本記事では、熱海市職員採用試験の面接対策で必要な、熱海市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。対象は静岡県熱海市です。
熱海市役所の面接試験では、「なぜ熱海市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。熱海市は年間に複数の日程で採用試験を行っており、春日程と夏日程は併願できません。
どの入口から受けるのかを、準備の最初に決める必要があります。
ここに整理した事実を材料に、自分の関心と熱海市の仕事の接点を言葉にしていってください。
第1部|自治体研究編
熱海市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは熱海市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 静岡県の東端に位置し、伊東市・伊豆の国市・田方郡函南町に加えて、神奈川県足柄下郡湯河原町とも境を接する市です。県境をまたぐ日常生活圏を持っています。
- 市域は61.70km²、人口は32,757人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は531人/km²です。
- 65歳以上の割合は48.6%、75歳以上は32.0%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。この統計では、県内23市の中で最も高い値です。
- 市の花はウメ、市の木はアタミザクラ。市役所は熱海市中央町1番1号にあります。
- 令和3年7月3日、伊豆山地区の逢初川で土石流が発生しました。市は同年8月16日に警戒区域を設定し、令和5年9月1日に解除しています。
- 職員採用は春日程・夏日程・秋日程・キャリア活用採用・カムバック採用と複数の入口があり、春日程と夏日程は併願できません。
- 一般事務など一部の職種には、採用時に熱海市内に居住することという要件が設けられています。
熱海市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「熱海市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
熱海市の数字は、61.70km²に3万2千人というまちの大きさと、市民のほぼ半数が65歳以上という年齢構成の2つが軸になります。県の値も併記していますが、これは順位づけではなく、市の数字の読み方をそろえるための補助線です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 32,757人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 61.70km² |
| 人口密度 | 531人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 48.6%(静岡県全体は30.9%) |
| 75歳以上の割合 | 32.0%(静岡県全体は17.9%) |
| 隣接自治体 | 伊東市・伊豆の国市・田方郡函南町/神奈川県足柄下郡湯河原町 |
| 市役所所在地 | 熱海市中央町1番1号 |
| 市の花・市の木 | ウメ/アタミザクラ |
| (参考)静岡県の人口 | 3,446,470人(令和8年6月1日現在の推計人口) |
| (参考)熱海伊東圏域の人口 | 96,974人(令和7年4月1日現在・住民基本台帳) |
65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計での熱海市の総人口は32,757人で、割合の分母にもこの値を用いています。併記した県の30.9%・17.9%の出どころは、静岡県の高齢者福祉行政の基礎調査(令和7年4月1日現在・住民基本台帳ベース)です。基準の違う統計どうしですので、引き算をして差を論じることはできません。参考欄の県の人口は国勢調査を基準に推計したさらに別系列の数値で、熱海伊東圏域の人口は県の基礎調査による値です。
数字から考えられる市政課題
65歳以上15,928人、75歳以上10,497人。3万人規模の市で、75歳以上だけで1万人を超えています(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
この統計での65歳以上の割合48.6%は、県内23市の中で最も高い値です。町を含めれば賀茂郡の西伊豆町や松崎町がさらに高く、伊豆半島全体で高齢化が先行しています。
市民の3人に1人が75歳以上という構成は、市役所のほとんどすべての部署に関わってきます。福祉や医療はもちろん、坂の多い市街地での移動手段、災害時の避難支援、空き家の管理まで、同じ年齢構成が背景にあります。たとえば面接では、次のように数字を市の仕事へ翻訳して話せます。
熱海市の経済・産業
宿泊が伸びている県の観光
静岡県の観光交流客数は令和6年度に1億4,034万人(前年度比100.5%)で、そのうち宿泊客数は1,950万人と前年度を83万人上回りました(同104.4%)。一方、観光レクリエーション客数は1億2,084万人で前年度比99.9%とほぼ横ばいです(出典:静岡県観光交流の動向|令和6年度)。
県全体で見ても、動いているのは泊まる人のほうです。宿泊を軸にしてきた熱海市にとって、この差はそのまま追い風でもあり、受け入れる側の人手を問う課題でもあります。
観光を志望分野に挙げるなら、来訪者を増やす話ではなく、迎える側をどう保つかという角度で準備してください。
熱海伊東圏域という支え手の規模
県の統計では、熱海市は伊東市と合わせて熱海伊東圏域として扱われることがあります。この圏域を合わせた人口は96,974人、高齢化率は45.8%です(出典:高齢者福祉行政の基礎調査|令和7年4月1日現在)。
全国から人が訪れる観光地を抱えながら、支える側の人口は2市合わせても10万人に届きません。医療も交通も、この規模で成り立たせる工夫が要ります。
市域の内側だけを見て仕事を考えると、実際に担っている役割を小さく見積もることになります。
静岡県の産業構造という背景
県全体の数字を見ると、製造品出荷額等は令和4年で19兆291億円、全国第3位(全国比5.3%)です。製造業の従業者数も令和5年で409,607人と、同じく全国第3位でした(出典:静岡県産業データブック|令和6年度版)。
県の経済は人口・県内総生産をはじめ多くの指標で全国第10位、全国のおよそ3%を占めるとされています。県の骨格がものづくりにある一方、県の東端に位置する熱海市は観光と宿泊を軸に別の形で地域を組み立ててきました。
同じ静岡県でも地域ごとに産業の姿が違うという前提は、県庁ではなく市役所を選ぶ理由を語るときの足場になります。
熱海市の主な行政課題
ここまでの数字と地形を重ねると、熱海市が向き合っている論点が浮かびます。面接で市の課題を尋ねられたときに備えて、次の4つを頭に入れておきましょう。
令和3年7月の土石流と、その後の市政
令和3年7月3日午前10時30分頃、伊豆山地区の逢初川で土石流の第1波が発生し、その後も正午過ぎまで数度にわたって土石流が起きました。この災害による人的被害は死者26名、災害関連死1名、行方不明者1名でした。
住宅等の被害は全壊53戸を含む136戸です(令和4年6月24日現在)。県の調査では、逢初川の源頭部に2007年以降に造成された盛り土が確認されており、崩落した土砂量は約55,500立方メートルと推定されています(出典:静岡県 逢初川土石流災害に関する調査報告(第1章)|令和4年)。
市は令和3年8月16日午前9時に伊豆山地区へ警戒区域を設定し、令和5年9月1日に解除しました(出典:熱海市 伊豆山地区の警戒区域について|令和5年9月解除)。警戒区域の設定から解除まで2年余り。その間の住民の暮らしを支え続けたのが市役所の仕事です。
面接でこの災害に触れる場合は、出来事の描写ではなく、行政が何をどこまで担ったのかという視点で語ってください。
県内で最も高い水準の高齢化
65歳以上48.6%、75歳以上32.0%という水準(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)は、静岡県が別系列で公表する県全体の30.9%・17.9%を大きく上回ります。住民基本台帳のこの統計では、県内23市の中で最も高い値です。
県全体の高齢化率も令和2年の29.5%から毎年上がり続けていますが、熱海市はその流れのさらに先にあります。県が2050年に迎えるとする高齢者39.6%という姿を、この市はすでに超えています。
他の自治体が将来の課題として議論していることが、ここでは日々の実務です。
激甚化する豪雨と、坂の多い市街地
静岡地方気象台によると、静岡県内では最近10年間で1時間降水量50mm以上の発生回数が1.4倍に増えています。県は総合計画素案で、南海トラフ地震と激甚化・頻発化する自然災害への備えを重点課題に位置づけました(出典:静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)素案|令和7年7月)。
津波については、静岡県第4次地震被害想定で熱海市の最大津波高がレベル2で5m、レベル1で2mとされ、水位が50cm上昇するまでの最短到達時間はいずれのレベルでも24分と見込まれています(出典:静岡県第4次地震被害想定 第一次報告(概要)|平成25年)。海に迫る斜面に市街地が広がる地形では、雨と土砂への備えが津波と並ぶ重さを持ちます。
3万人規模の市が担う職種の幅
令和8年度夏日程の募集は、一般事務15人程度のほか、一般事務(障がい者対象)、社会福祉士、土木技術Ⅰ・Ⅱ、建築技術、機械技術、水道技能、幼稚園教諭・保育士、栄養士、社会教育主事という構成です。事務・専門職・技術職をひととおり自前で抱えるということであり、人口3万人規模の市としては幅の広い採用になっています。採用試験は市が単独で実施する一方、採用後の基本研修は近隣市との合同で行うと案内しています。単独で担うところと、近隣と組むところを使い分けているわけです。
熱海市の重点政策|災害の経験と静岡県の防災の枠組み
市の総合計画と最新年度の予算については、熱海市公式サイトの現行版で、志望分野に関係する章を読み込んでください。この章で扱うのは、市の政策の前提として動かしがたい2つの条件です。
災害の経験が市政に残したもの
令和3年の土石流は、県の総合計画素案でも近年の県内の甚大な被害の例として挙げられています。市はその後、警戒区域の設定と解除という判断を経てきました。
ここで受験生が押さえておきたいのは、被害の規模そのものよりも、行政が担った役割の幅です。避難所の運営、被災者の生活再建の支援、区域の設定と解除の判断、そして原因の究明に関する県との連携。
どれも、平時の窓口業務とは別の筋肉を必要とする仕事です。なお、この災害に関連する特別な採用枠については、令和8年度の春日程・夏日程の試験案内には記載がありません。
志望動機で復興を語る場合は、制度としての枠ではなく、通常の職員としてどう関わりたいのかという形に落として話してください。
静岡県が示している方向
静岡県は南海トラフ地震について、第4次地震被害想定でレベル2(最大クラス)の場合に死者数約105,000人、全壊・焼失棟数約30万棟と想定しています(いずれも県が公表した想定の総括値)(参考:静岡県第4次地震被害想定 第一次報告のポイント|平成25年)。県の令和7年度当初予算は一般会計1兆3,723億円で、前年度比563億円・4.3%の増でした。
県の枠組みと、熱海市が現場で抱える条件は、防災という一点で強く結ばれています。市の事業を調べるときは、県の想定を前提に市が何を上乗せしているのかという順で読むと、輪郭がつかめます。
POINT|災害を志望動機に使うときの作法
被害の数字を並べることが目的ではありません。市の数字をひとつ選び、そこから生まれる困りごとを具体的な場面として描き、自分が関わりたい仕事へつなぐ。この順番であれば、災害に触れる場合でも語り口が軽くなりません。市がすでに打っている手まで調べておけば、深掘りにも耐えられます。
悪い例「熱海市の復興に貢献したいと思い、志望しました」
改善例「まずは配属先の仕事を覚えたいです。そのうえで、熱海市は市民の半数近くが65歳以上という状況ですので、大雨のときに早めに避難していただくための伝え方を工夫する仕事に関わりたいと思っています」
あわせて確認したい公式資料
まず試験案内です。受ける日程によって採用の時期も職種も変わりますから、ここを外すと準備の前提が崩れます。
- 熱海市職員採用試験の案内(受ける日程のもの)と、市公式サイトの職員採用のページ
- 熱海市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- 熱海市の地域防災計画と、土砂災害・避難に関する市の案内
- 静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)の素案(県全体の課題認識を押さえるため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、熱海市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。熱海市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
熱海市役所の面接の概要
ここからは、熱海市の複数の日程がどう組まれているのか、そして3段階の選考で何が問われるのかを整理していきます。
熱海市役所の試験の構成
令和8年度の熱海市職員採用試験は、春日程(既卒者・社会人経験者採用。採用予定日は令和8年10月1日)、夏日程(採用予定日は令和9年4月1日)、秋日程、キャリア活用採用、カムバック採用という複数の入口で実施されています。春日程と夏日程はいずれも第1次から第3次までの3段階で、試験科目は全職種共通です。
第2次が個別面接、第3次は個別面接と論文試験という構成で、面接が2回置かれています。論文は800字以内60分で、一般的な行政課題や時事問題から出題されます。
市役所の論文としては短めの分量ですので、論点を1つに絞り、時間内に結論まで書き切る練習が要ります。
| 項目 | 内容(令和8年度・春日程および夏日程) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階。試験科目は全職種共通 |
| 第1次試験 | 基礎能力(SCOA-A)。知能、学力、一般常識について択一式の筆記試験を学歴に応じて実施。テストセンター方式で、指定期間内に希望の会場と日程を選択 |
| 第2次試験 | 個別面接。会場は熱海市役所(夏日程は熱海市役所またはいきいきプラザ) |
| 第3次試験 | 個別面接および論文試験。論文は800字以内60分で、問題意識、論理性、表現力、理解力などを評価 |
| 夏日程の募集職種 | 一般事務15人程度、一般事務(障がい者対象)若干名、社会福祉士若干名、土木技術Ⅰ・Ⅱ計4人程度、建築技術若干名、機械技術若干名、水道技能若干名、幼稚園教諭・保育士5人程度、栄養士若干名、社会教育主事若干名 |
| 市内居住要件 | 一般事務、社会福祉士、栄養士、社会教育主事は採用時に熱海市内に居住すること。土木技術、建築技術、機械技術、水道技能、幼稚園教諭・保育士は要件なし |
| 申込方法 | 電子申請のみ。複数の申込みはできず、複数申込みの場合は最初に受信したもの以外は無効 |
| 併願の可否 | 春日程と夏日程は併願できません。春日程の受験者はキャリア活用採用・カムバック採用への申込みもできません |
| 結果の通知 | 最終試験のみ郵送で通知。それ以外は合格者の受験番号を市ホームページに掲載。最終合格者は採用候補者名簿に登載されます |
上記は熱海市の令和8年度春日程・夏日程の試験案内にもとづく内容です。各試験の配点・満点は、試験案内にも採用試験のページにも記載がなく公表されていません。「面接カード」という名称の書類はなく、申込は電子申請フォームのみで、最終合格者には健康診断書、卒業証明書、成績証明書の提出が求められます。受験票は第2次試験の個別面接の際に使用します。市内居住要件は職種によって扱いが異なり、年度によって変更される可能性がありますので、必ず最新の試験案内でご確認ください。試験の構成・区分・日程についても同様です。
熱海市役所が求める人物像
熱海市の令和8年度春日程・夏日程の試験案内と、市公式サイトの職員採用試験のページには、求める職員像を項目立てで示した記載はありませんでした。手がかりになるのは、市が試験の設計に組み込んだ条件のほうです。
一般事務など一部の職種に、採用時に熱海市内に居住することという要件が置かれています。ここに、この市の採用の考え方がはっきり出ています。
要件が置かれているのは一般事務、社会福祉士、栄養士、社会教育主事で、いずれも市民と直接向き合う事務と福祉の職種です。土木技術や建築技術などの技術職、幼稚園教諭・保育士には要件がありません。
ここから先は熱海市が明言していない部分についての当研究会の推測ですが、この線引きは、全国的に確保が難しい職種で応募の間口を狭めないための判断とも読めます。裏を返せば、事務と福祉の職種には、このまちで暮らすことがそれだけ強く期待されているということです。
3万2千人が暮らす市域では、大雨のたびに斜面と川の状況を確かめる必要があり、通報や相談も生活の時間帯に集中します。同じまちに住み、地域の様子を日常の感覚として知っている職員がいることの意味は、大きな市よりはるかに大きいはずです。
そのうえで、この規模の市役所では担当する範囲が広くなります。事務から専門職までを1つの案内で募る構成ですから、ひとつの係が複数の分野を抱え、経験のない領域の相談を受けることもあります。
加えて、同じまちに住む職員は、勤務時間の外でも市民の目に触れる立場になります。落ち着いた受け答えと、職務で得た情報の扱いの厳格さは、3万人規模の市ではとりわけ重く見られるとみておいてください。
市内居住要件のある職種を志望するなら、住まいの条件まで調べたうえで、熱海市で暮らしながら働く自分を具体的に描けているかどうか。そこが定まっていれば、あとはこれまでの経験の中から、このまちの暮らしと結び付く場面を選んで話すだけです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。熱海市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までの坂道は大変ではありませんでしたか | 緊張をほぐすための一問。まちを歩いた経験があれば自然に答えられます |
| ② 動機・志望 | なぜ民間ではなく行政の仕事なのですか | 民間と比べたうえで行政を選んだ理由を自分の言葉で言えるか |
| ③ 自己理解 | ご自身の弱点はどこにあると思いますか | 自分の課題を人のせいにせずに語れるか |
| ④ 経験・行動 | 予定外の出来事に対応した経験はありますか | 災害対応を抱える市役所での動き方の再現性 |
| ⑤ 学業・経歴 | レポートや報告書など、文章をまとめた経験はありますか | 第3次に置かれた800字の論文との対応 |
| ⑥ 適性・将来 | 熱海市内に住んで働くことをどう考えていますか | 市内居住要件を生活設計として受け止めているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 高齢化が進む地域の課題をどう捉えていますか | 65歳以上48.6%という現実への向き合い方 |
もっとも、ここは受験者全員が対策してくる領域なので、大きな差はつきにくいところです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「熱海市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「熱海市役所ならでは」の質問
どちらも熱海市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「熱海市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい熱海市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と高齢化の現在地 | 65歳以上48.6%、75歳以上32.0%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。同じ統計の県内23市では最も高い値 | 数字を挙げるだけで終わらせず、坂の多い市街地でその年齢構成が何を意味するかまで具体化してください |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市内居住要件が一般事務など一部の職種に設けられ、市は基本研修を近隣市との合同で実施している | 制度上の違いを述べるより、住民として同じまちに暮らしながら働くことをどう受け止めているかを語るほうが伝わります |
| 防災・危機管理 | 令和3年7月の伊豆山地区の土石流。警戒区域は令和3年8月16日設定、令和5年9月1日解除。県内は1時間降水量50mm以上の発生回数が最近10年間で1.4倍 | 災害を出来事として語るのではなく、警戒区域の期間に行政が担った役割へ視点を置いてください。関係者への配慮を欠いた表現は避けましょう |
| 観光と地域経済 | 県全体の宿泊客数は令和6年度に1,950万人で前年度から83万人増。熱海伊東圏域の人口は96,974人 | 訪れる人を増やす話に寄せず、迎える側の担い手をどう確保するかという課題まで一続きで話しましょう |
| 採用の入口の多さ | 春日程・夏日程・秋日程・キャリア活用採用・カムバック採用。春日程と夏日程は併願できない | なぜその日程を選んだのかを問われたときに答えられるよう、採用時期と自分の状況の関係を整理しておきましょう |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、これまでの行動の積み重ねを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| このまちで暮らす覚悟 | 市内居住要件のある職種では、生活の場をどう考えているかが問われます | 通勤や住まいの条件を実際に調べたうえで、住民として関わりたいことを1つ挙げられるようにしておきましょう |
| 予定外の事態に動く力 | 大雨や地震の対応は、通常業務の途中で始まります | 段取りが崩れたときに優先順位を組み替えた経験を、判断の理由まで含めて話せるようにしておいてください |
| 考えを文章にまとめる力 | 第3次試験に800字以内60分の論文が置かれています | 行政課題や時事問題のテーマで、時間を計って書く練習を重ねましょう。書いた主張を口頭で1分に縮める練習まで続けると面接にも効きます |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。熱海市は第2次と第3次で面接が続くため、同じ話題を角度を変えて問われる前提で備えてください。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の試験案内を読み、受ける日程を決める(春日程と夏日程は併願できず、採用の時期も異なります)
- 志望する職種に市内居住要件があるかどうかを確認し、住まいの条件を具体的に調べておく
- テストセンターで受ける第1次試験の会場と日程を、指定期間の早いうちに押さえる
- これまでの経験から、予定外の事態に対応した場面を3つ書き出す
- 行政課題や時事問題のテーマで、60分で800字以内という本番の条件のまま論文を1本書き上げる
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
第1部で整理した市の事実は、あくまで他の受験生と差をつけるための材料です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を熱海市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、熱海市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
熱海市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
熱海市の採用は入口が複数あり、そのどれを選ぶかから受験が始まります。選考は3段階、面接は2回、最後に800字の論文。
準備の量がそのまま当日の余裕になる設計です。市民のおよそ半数が65歳以上、市街地は海に迫る斜面に広がり、令和3年の災害の記憶も市政の中に残っています。
そういうまちで、住民として暮らしながら働くことを引き受けられるかどうか。そこがはっきりしていれば、面接で問われる順番が変わっても、答えの芯は動きません。