本記事では、浜松市職員採用試験の面接対策で必要な、浜松市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

浜松市役所の面接試験では、「なぜ浜松市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。浜松市の第Ⅰ類は、事務・技術の区分であれば、第1次試験の段階ですでに個別面接に600点が置かれています。

筆記で多少の差がついても、面接の準備量がそのまま順位に出る設計です。

配点が公表されている以上、時間をどこへ割くべきかは最初から見えています。以下に並べた事実は、その面接で使うための材料です。

第1部|自治体研究編

浜松市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは浜松市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 平成19年4月に政令指定都市へ移行し、令和6年1月1日の再編で7つの区が中央区・浜名区・天竜区の3区にまとめられました。静岡県内の政令指定都市は、静岡市とこの浜松市の2市です。
  • 市域は1,558.11km²。静岡県全体の約7,777km²のおよそ2割を、1つの市が占めています。ここに約78万人が暮らしていますが、その内訳は区によって大きく偏っています。
  • 接しているのは磐田市・湖西市・島田市・周智郡森町・榛原郡川根本町に加え、愛知県の豊橋市・新城市・東栄町・豊根村、長野県の飯田市・天龍村。2つの県と山を挟んで境を接しています。
  • 再編で区役所ではなくなった東区・西区・南区・北区の庁舎は、行政センターとして残りました。市は「区役所と同じサービスを提供します」としており、区の数は減っても、住民が手続きに行ける窓口の場所は減っていません。
  • 65歳以上の割合は29.1%(令和8年1月1日現在)で、静岡県全体の31.1%を下回ります。ただし天竜区だけを見ると48.3%で、中央区の27.9%とは20ポイント以上の開きがあります。
  • 市の花はミカン、市の木はマツ。市役所は浜松市中央区元城町103番地の2にあります。
  • 職員採用試験を実施するのは浜松市人事委員会です。試験案内を公表しているのも人事委員会なので、配点や試験種目を確かめるときは、この試験案内が一次情報になります。第Ⅰ類の事務・技術区分では、第1次と第2次で個別面接が計2回あります。

浜松市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「浜松市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

浜松市の数字は、政令指定都市としての人口規模と、県土の2割におよぶ市域の広さをひと組にして覚えると扱いやすくなります。区ごとの差は、そのあとに重ねてください。

項目内容
総人口778,346人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
(内訳)中央区600,660人(市の77.2%)
(内訳)浜名区153,403人
(内訳)天竜区24,283人(市の3.1%)
行政区数3区(令和6年1月1日再編)
総面積1,558.11km²(静岡県の約2割)
人口密度500人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合29.1%(静岡県全体は31.1%)
75歳以上の割合16.9%(静岡県全体は18.3%)
隣接自治体磐田市・湖西市・島田市・周智郡森町・榛原郡川根本町/愛知県豊橋市・新城市・北設楽郡東栄町・豊根村/長野県飯田市・下伊那郡天龍村
市役所所在地浜松市中央区元城町103番地の2

総人口・区別人口・65歳以上および75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。比較のために置いた静岡県全体の値も同じ統計から取っています。静岡県が高齢者福祉行政の基礎調査として公表する高齢化率や、国勢調査を基準とする県の推計人口は調査の系列が異なるため、同じ列に並べて比べることはできません。総面積・隣接自治体・市役所所在地は、公表されている値をもとに整理しました。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

人口の8割近くが中央区に集まる一方、天竜区に暮らすのは24,283人。市民の割合でいえば3.1%です。

その天竜区で65歳以上が48.3%、75歳以上が29.1%に達しています(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。中央区の27.9%と並べると、同じ制度を同じように運用しても、住民に届く実感はまるで違うことがわかります。

浜松市は、都市部の行政課題と中山間地の行政課題を1つの市役所で同時に抱えています。人口を増やす話と、減っていく前提で暮らしを守る話が、区をまたいで並走している。

この構図を押さえておくと、志望動機が「大きな市だから」で止まらなくなります。たとえば面接では、次のように数字を暮らしの場面へ翻訳して話せます。

「浜松市には3つの区がありますが、天竜区だけは65歳以上の方が半分近くを占めると知りました。同じ市の中でも必要な支援は違ってくると思いますので、区ごとの事情に合わせて動ける職員になりたいです」

浜松市の経済・産業

ものづくりの県という土台

静岡県の製造品出荷額等は19兆291億円で、愛知県・大阪府に次ぐ全国第3位(令和4年)。製造業の従業者数も409,607人で全国第3位です(令和5年)。

構成比は輸送機械24.4%、電気機械14.2%、化学工業13.5%の順で、この3分野はいずれも全国第2位のシェアを占めます(出典:静岡県産業データブック|令和6年度版)。製造品出荷額が全国第1位の品目は83品目におよび、ピアノは全国シェア100.0%、二輪自動車用の内燃機関は96.1%、プラスチックモデルキットは85.0%です。

浜松市で働くということは、この県の産業構造の一角に立つということでもあります。

県境をまたぐ生活圏

浜松市が接するのは県内5市町だけではありません。西は愛知県豊橋市・新城市、北は長野県飯田市へと市域が届いています。

通勤・通学も物流も、行政区域の線とは無関係に動きます。企業誘致や観光を志望分野に挙げるなら、静岡県内での位置づけだけでなく、東西の都市圏との間で人と物がどう行き来しているかまで視野に入れておくと、話の射程が広がります。

観光と農林水産という別の顔

静岡県の観光交流客数は令和6年度に1億4,034万人(前年度比100.5%)、宿泊客数は1,950万人(同104.4%)でした(出典:静岡県観光交流の動向|令和6年度)。農では茶が県の看板で、栽培面積11,600ヘクタール(全国シェア34.7%)、荒茶産出額99億円(同31.5%)はいずれも全国第1位です(出典:静岡県の茶の栽培面積・産出額|令和6年から令和7年)。

天竜区を含む北部の山間地は、この農林業と観光の側に立つ区域です。市の産業を語るとき、工業だけを取り上げると市域の大半が視界から落ちます。

浜松市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を重ねると、浜松市が向き合っている論点が浮かび上がります。面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の4つを用意しておきましょう。

区によって大きく違う高齢化

天竜区は65歳以上が48.3%、75歳以上が29.1%で、静岡県全体(65歳以上31.1%、75歳以上18.3%)を大きく上回ります。一方の中央区は65歳以上27.9%、75歳以上16.3%で、いずれも県平均を下回ります。市全体の平均値だけを見ていると、この落差は消えてしまいます。買い物や通院の足、独居世帯の見守り、集落単位の防災といった課題は天竜区で先に立ち上がり、中央区では保育や住宅の課題が前に出ます。政策の優先順位を市域一律で決められないことが、この市の難しさです。

遠州灘に面した市の地震・津波対策

静岡県第4次地震被害想定(平成25年公表)は、レベル2(最大クラス)の駿河トラフ・南海トラフ沿いの地震・津波で県全体の死者数を約105,000人(うち津波約96,000人)、全壊・焼失棟数を約30万棟と見込んでいます(出典:静岡県第4次地震被害想定 第一次報告のポイント|平成25年)。同じ想定で遠州灘沿岸の最大津波高はレベル2で10メートルから19メートル程度、発生頻度が比較的高いレベル1でも5メートルから11メートル程度とされています(出典:静岡県第4次地震被害想定 第一次報告の概要|平成25年)。

浜松市は遠州灘に長い海岸線を持ち、その一方で北部には山間地が広がります。海と山で備えの中身が変わることも、3区体制の市ならではの事情です。

県全体で進む人口減少と若者の流出

静岡県の人口は平成19年の379万7千人をピークに減少し、令和32年(2050年)には282万9千人になる見込みです。高齢者人口の割合は39.6%に達すると推計されています。

自然減へ転じたのは平成20年で、そこに進学や就職のタイミングで毎年約6千人が首都圏へ出ていく流れが重なっています(出典:静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)素案|令和7年7月)。令和6年の県内の出生数は1万7,439人で過去最少、合計特殊出生率は1.19でした。

政令指定都市である浜松市は、この流れの受け皿にも供給源にもなり得る立場にあります。

政令指定都市として県とどう役割を分けるか

政令指定都市は、都道府県が担う事務の一部を市が処理する仕組みです。静岡県は23市12町の35市町で構成され、そのうち政令指定都市は静岡市と浜松市の2市。

県と市のどちらが何を担うのかという問いが、この市では制度としてすぐそばにあります。令和6年1月1日の3区への再編と、旧区役所庁舎を行政センターとして残した判断も、住民に近い窓口をどう配置するかという同じ問いの一部です。

この論点は、面接の定番質問「なぜ県庁ではなく市役所なのか」に直結します。

重点政策|3区体制と静岡県の計画から読む浜松市

計画の本文そのものは、市の公式サイトが最新版を載せています。この節で見るのは個々の事業ではなく、その事業が乗っている枠組みのほうです。浜松市の3区体制と、県が示した方向。この2つを先に押さえておくと、市の施策を読むときの座標ができます。

3区体制と行政センターという器

令和6年1月1日、浜松市は中区・東区・西区・南区・北区・浜北区・天竜区の7区を、中央区・浜名区・天竜区の3区へ再編しました(出典:浜松市の区制度|令和6年1月1日再編)。現行の区役所は中央区役所・浜名区役所・天竜区役所の3か所で、東・西・南・北の4か所は行政センターとして残されています。

区の数を減らしながら窓口は残す。この形が、市の内部でどんな仕事の分け方を生んでいるかを想像しておくと、配属を問われたときの答えが具体的になります。

旧7区の名称を現在のものとして口にすると、それだけで調べていないことが伝わってしまう点にも注意してください。

県が示した、抑える対策と適応する対策

静岡県は総合計画の素案で、人口減少は待ったなしの状況だとしたうえで、人口減少を抑える対策と、減った社会に合わせて仕組みを組み替える対策の両方が要ると明記しました。災害についても、静岡地方気象台の観測で最近10年間の1時間降水量50ミリ以上の発生回数が1.4倍に増えていることを挙げ、南海トラフ地震と激甚化する自然災害への備えを重点課題に置いています。

市の施策を読むときは、県が示したこの方向のどこに浜松市が手を伸ばしているのかという目で見ると、事業の狙いをつかみやすくなります。

POINT|事業名を並べるより、区を1つ選ぶ

浜松市の施策を覚えるときは、事業名から入らないでください。中央区・浜名区・天竜区のどれか1つを選び、そこで暮らす人にどんな困りごとが起きるかを場面として描き、市の取組を確かめ、自分の経験と結ぶ。この順で調べたほうが、面接での答えは具体的になります。

悪い例「政令指定都市である浜松市なら、スケールの大きな仕事ができると思って志望しました」

改善例「天竜区は65歳以上の方が半分近くを占めると聞きました。まずは配属された部署の仕事を覚えることが先だと思っていますけれども、いずれは山あいに住んでいる方にも行政の手が届く仕組みづくりに関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

優先順位をつけるなら、まず試験案内です。配点と提出書類がここに書かれているためで、残りは志望分野に関係する章だけ拾えば足ります。

  • 浜松市人事委員会の職員採用試験案内(最新年度・受験する類と区分のもの)
  • 浜松市の区制度と行政センターに関する市公式ページ
  • 浜松市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
  • 静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)の素案または最新版(県全体の方向を押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、浜松市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。浜松市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

浜松市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

浜松市役所の面接の概要

ここからは、浜松市人事委員会が公表している令和8年度第Ⅰ類の試験案内をもとに、選考の形と、そこで問われる中身を順に見ていきます。

浜松市役所の試験の構成と配点

第Ⅰ類の事務・技術区分は、第1次試験が「筆記試験または適性検査」と「個別面接」の2段階、第2次試験が「個別面接・小論文試験」という構成です。第1次では、まず筆記試験の成績または適性検査の結果で個別面接の受験対象者が決まり、その筆記(または適性検査)の点数と個別面接の点数を合わせたものが第1次試験の得点になります。

注目すべきはその内訳で、第1次試験の個別面接600点は、事務・技術区分の第1次合計800点の4分の3を占めます。行政Aなら教養100点と専門100点を足しても200点で、面接の3分の1にしかなりません。

第2次はここからさらに、個別面接300点と小論文100点の合計400点で選考が続きます。

項目内容(令和8年度・第Ⅰ類)
実施主体浜松市人事委員会
試験の段階第1次試験(筆記試験または適性検査+個別面接)と第2次試験(個別面接・小論文試験)の2段階
第1次の配点(行政A・学校事務)教養試験100点+専門試験100点+個別面接600点=800点
第1次の配点(行政B)適性検査(SPI3)200点+個別面接600点=800点。教養試験・専門試験は課さない
第1次の配点(技術)専門試験200点+個別面接600点=800点
第1次の配点(社会福祉士・学芸員)教養試験80点+専門試験120点+個別面接600点=800点
第2次の配点個別面接300点+小論文試験100点(60分)=400点
面接の種類個別面接。評定内容は「人柄、意欲、対人関係能力等について、個別面接を行います。」
集団形式試験種目に集団面接・集団討論の記載はありません
教養試験30題・択一式・90分。大学卒業程度の社会、現代の社会に関する問題、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈。「※人文、自然の出題はありません。」と明記
専門試験(行政A)40題・択一式。政治学、行政学、憲法、行政法、民法、刑法、労働法、経済学、財政学、社会政策、国際関係、経営学
性格検査配点は付されず、「面接試験の参考とするため、職務遂行上必要な資質、適性等について、主に性格的な面から検査します。」とされています
提出書類マイページから受験票・宣誓書・自己紹介書等をダウンロードして印刷し、記入・写真貼付のうえ第1次試験時に持参(面接カードに相当するのは「自己紹介書」)
免許資格職「免許資格職の面接回数は1回です。」と明記。保健師・精神保健福祉士は第1次に個別面接がなく教養100点+専門150点の250点、薬剤師・獣医師は適性検査100点のみ
採用予定人数行政A40人程度、行政B22人程度、学校事務3人程度、社会福祉士3人程度、土木15人程度、保健師5人程度など

上記は浜松市人事委員会が公表した令和8年度第Ⅰ類の試験案内にもとづく内容です(出典:浜松市職員採用試験案内(第Ⅰ類・行政)|令和8年度)。配点・試験種目は区分によって異なり、年度によって変わる可能性もあります。受験の際は、必ずご自身が受ける類と区分の最新の試験案内をご確認ください。

浜松市役所が求める人物像

浜松市は、目指す職員像を「~変化を先取りし、市民の目線で考え、果敢に行動する職員~」という一文で試験案内に掲げています。3つの要素が並んでいますが、順番に意味があります。

先に動きを察知し、判断の基準を市民側に置き、そのうえで実際に手を出す。この並びをそのまま自己PRの骨に使うと、話が市の言葉とかみ合います。

ここから先は試験案内に書かれていない部分です。政令指定都市の職場は、区役所と行政センターに分かれた窓口と、市全体の制度をつくる部署の両方を抱えます。県土の2割にあたる市域に約78万人が暮らし、事務系だけで年に60人以上を採る規模ですから、担当する仕事の幅も配属の振れ幅も大きくなります。圏域全体をどう引っ張るかという視点と、目の前の市民1人にどう向き合うかという視点を、同じ人が行き来できるか。そこが見られていると考えて準備するのが現実的です。

その振れ幅は、先に見た区ごとの高齢化の差にそのまま表れています。同じ制度を担当しても、中央区と天竜区では市民から持ち込まれる相談の中身が変わるということです。

第1次と第2次で同じ受験者が2度問われる設計ですから、そのつど別の顔を出しても続きません。自己紹介書に書いた出来事を、3区それぞれの現場で働くことになったらどう生きるかという目で読み返す。

その作業のほうが、2回の面接を貫く説明をつくってくれます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。浜松市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までの道のりはいかがでしたか個別面接が2回ある試験の入口。硬さそのものより、間の取り方
② 動機・志望公務員という仕事のどこに惹かれましたか民間という選択肢を検討したうえでの説明になっているか
③ 自己理解周囲からどんな人だと言われますか自己紹介書に書いた内容と、口頭の説明がそろっているか
④ 経験・行動これまでで最も粘り強く続けたことを教えてください600点が置かれた種目の中心。行動の細部まで語れるか
⑤ 学業・経歴学んできたことは市の仕事にどう使えそうですか専門試験の知識量ではなく、業務への言い換え
⑥ 適性・将来中央区以外での勤務も想定していますか3区と4か所の行政センターに分かれた職場への理解
⑦ 公共性・社会性関心を持っている社会の動きはありますか第2次の小論文とも重なる、論点を1つに絞る力

ただし、ここに並ぶ問いは受験者全員が対策してくる領域なので、大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「浜松市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「浜松市役所ならでは」の質問

「なぜ静岡県庁ではなく、浜松市役所なのですか」
「浜松市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

とくに1問目は、政令指定都市を受ける以上は避けて通れません。県と市の役割が重なって見えるからこそ、なぜ市の側で働きたいのかを自分の言葉で語れるかが見られます。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「浜松市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい浜松市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か静岡県の35市町のうち政令指定都市は静岡市と浜松市の2市。政令指定都市は県の事務の一部を市が処理する制度の説明で終わらせず、区役所と行政センターという窓口を持つ市の側で働きたい理由へ着地させると、浜松市を選んだ話になります
区ごとの高齢化の差65歳以上は市全体29.1%に対し、天竜区48.3%・中央区27.9%(令和8年1月1日現在)。75歳以上で見ても天竜区は29.1%で、中央区16.3%の1.8倍にあたる数字を挙げたあと、通院の足や集落の見守りなど困りごとが起きる場面を1つ選び、そこに自分がどう入るかまで話しましょう
行政区の再編令和6年1月1日に7区から3区へ再編。旧東区・西区・南区・北区の庁舎は行政センターとして「区役所と同じサービスを提供します」とされている再編を評価してみせる必要はありません。旧区名を使わず現行の3区で話せるかどうかが、そのまま準備の差になります
災害への備え遠州灘沿岸の最大津波高は県第4次被害想定でレベル2が10メートルから19メートル程度、レベル1が5メートルから11メートル程度海沿いの津波と北部の土砂災害では備えの中身が違います。市域が広い市の防災として、両方に触れると理解の深さが伝わります
浜松市の魅力と課題静岡県は製造品出荷額等19兆291億円(令和4年)で全国第3位、輸送機械・電気機械・化学工業がいずれも全国第2位のシェア。一方で県の人口は令和32年に282万9千人へ減る見込み産業の強さを魅力に挙げるなら、その担い手が減っていく話まで進めてください。魅力と課題が別々の話に見えないことが大事です

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

試験案内が個別面接の評定内容として挙げているのは「人柄、意欲、対人関係能力等」です。ここに目指す職員像の3つの要素を重ねると、面接で確かめられるのは、それらがあなたの過去の行動として実在するかどうかだとわかります。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
変化を先取りする姿勢状況が変わる前に手を打った経験があるか目指す職員像の1つ目に置かれた要素です。結果より、変化に気づいた瞬間に何を見ていたかを言葉にしておきましょう
市民の目線で考える力判断の基準を相手側に置いた場面を語れるか中央区と天竜区では市民の暮らしが違います。相手が変われば同じ対応でよいとは限らない、という前提で話すと厚みが出ます
果敢に行動する力迷った末に動いた経験と、その後の始末個別面接が2回ある試験です。1つの経験を2度違う角度から聞かれても崩れないよう、動いた理由と反省をセットで用意してください

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。浜松市は第1次と第2次で個別面接があるぶん、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の試験案内を読み、受験する類と区分を確定させ、その区分の配点と試験種目を書き出す
  2. マイページからダウンロードする自己紹介書の記入項目を先に確認し、書ける経験があるかを点検する
  3. 高校・大学生活の経験を棚卸しし、学業・課外活動・アルバイトから具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 中央区・浜名区・天竜区から1つ選び、その区で起きている困りごとを2つ3つ書き出す
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の区ごとの調べものは、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を浜松市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、浜松市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

浜松市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

浜松市役所の想定問答集を見る

さいごに

浜松市の第Ⅰ類は、事務・技術の区分なら第1次の800点のうち600点が個別面接に置かれ、第2次でもさらに個別面接300点と小論文100点が待っています。筆記で稼いだ差は、面接の前ではあっという間に埋まります。

県土の2割を市域とし、天竜区の48.3%と中央区の27.9%を同じ市役所で引き受ける。その市で自分が何をしたいのかを、自己紹介書に書ける事実として持っているかどうか。

準備の中身はそこに尽きます。