本記事では、富士市職員採用試験の面接対策で必要な、富士市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
富士市役所の面接試験では、「なぜ富士市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。富士市は最終合格の決め方を比率まで公表しており、後半の選考ほど重く扱われる設計がはっきり読み取れます。
ここに整理した事実を、自分の関心と富士市の仕事が重なる場所をさがす材料として使ってください。
第1部|自治体研究編
富士市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは富士市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 令和4年の紙・板紙生産量が全国の9.8%を占める、紙・パルプ産業の集積地。
- 人口は244,718人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、市域は244.94km²、人口密度は999人/km²。
- 静岡市・富士宮市・沼津市・御殿場市・裾野市などと境を接し、県のほぼ中央から東側にかけて広がる。
- 市の花はバラ、市の木はクスノキ。市役所は富士市永田町に置かれている。
- 総務省の一覧に名前がある施行時特例市で、県内では沼津市とこの市の2市がこの区分にあたる。
- 消防職を市として採用しており、勤務先は消防本部または市内消防署など。消防本部を市が単独で設置している。
- 職員採用試験は春日程・夏日程・秋日程の3日程で行われ、職種に関わらず別日程との併願受験ができる。
- 県の被害想定で市町別の最大津波高が示されている沿岸の市であり、レベル2津波浸水域が高齢者等事前避難対象地域とされている。
富士市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「富士市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
富士市は、人口・面積とも県東部では大きい部類に入り、そこに厚い製造業が乗っています。表には製造業の規模も一緒に載せました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 244,718人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) |
| 65歳以上の割合 | 29.3%(71,754人) |
| 75歳以上の割合 | 17.0%(41,547人) |
| 総面積 | 244.94km² |
| 人口密度 | 999人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 静岡市・富士宮市・沼津市・御殿場市・裾野市など |
| 市の花・市の木 | バラ/クスノキ |
| 市役所所在地 | 富士市永田町一丁目100番地 |
| 製造事業所数・従業者数 | 1,164事業所(従業者4人以上)・36,541人(令和2年6月1日現在) |
| (参考)静岡県の推計人口 | 3,446,470人(令和8年6月1日現在) |
総人口と65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)から取りました。製造事業所数と従業者数は富士市が公表する令和2年6月1日現在の値です。面積・隣接自治体・市の花と木・市役所所在地は公表されている値を整理したもので、基準日はそろっていません。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。末尾の県の推計人口は令和7年国勢調査の速報集計をもとにした別系列の数字で、市の住民基本台帳の値とは調査の土台が違います。両者を並べて増減を論じることはできません。
数字が語る市政の輪郭
24万人余りが244.94km²に暮らし、その市域に1,164の製造事業所と36,541人の従業者が集まっています。人口の規模と産業の厚みが釣り合っている市だと言えます。
市政の仕事も、暮らしを支える分野と、働く場を支える分野の両方に足をかけることになります。福祉や子育てを志望するとしても、市の税収と雇用が何によって成り立っているかを知らずに語ると、話が浅く見えてしまいます。
年齢構成を見ると、令和8年1月1日現在の住民基本台帳では65歳以上が29.3%、75歳以上が17.0%です(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。県全体の値としては、静岡県が住民基本台帳ベースの別調査で令和7年4月1日現在の高齢化率30.9%、75歳以上17.9%を公表しています(出典:静岡県高齢者福祉行政の基礎調査|令和7年4月1日現在)。
基準日が違うため厳密な比較にはなりませんが、富士市の高齢化は県全体よりわずかに手前にとどまっていると見てよいでしょう。働く世代の層がまだ厚いということは、産業の担い手を確保できるうちに次の一手を打てる、という意味でもあります。
たとえば面接では、富士市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
富士市の経済・産業
紙のまちという看板
富士市の令和4年の紙・板紙生産量は2,327,090トンで、全国比9.8%を占めます。品種別に見ると、トイレットペーパーが395,284トンで全国(1,099,746トン)の35.9%、衛生用紙全体が590,603トンで全国の31.5%、下級印刷紙が85,039トンで全国の33.8%です。
市内のパルプ・紙産業は47社52工場(令和5年1月現在、市の調査で把握できた数)(出典:富士市の紙・パルプ産業|令和4〜5年)。日々使われる紙製品の3分の1前後がこの市から出ているという数字は、面接で市の産業を語るときの最も強い一枚になります。
製造業全体の厚み
紙・パルプだけが富士市の製造業ではありません。市の製造事業所数は1,164事業所(従業者4人以上)、従業者数は36,541人、製造品出荷額等は1兆4,250億4,833万円です(令和2年6月1日現在)(出典:富士市の工業統計|令和2年)。
人口24万人の市で3万6千人が製造業に従事しているということは、市民の暮らしと工場の景気が直結しているということです。産業振興や労働・雇用を志望分野に挙げるなら、企業誘致という言葉に飛びつく前に、すでにある集積をどう次の世代へつなぐかという問いから入りましょう。
全国第3位の製造県のなかで
静岡県の製造品出荷額等は19兆291億円で全国第3位(令和4年)、製造業従業者数は409,607人で全国第3位です(令和5年)。県の構成比は輸送機械24.4%、電気機械14.2%、化学工業13.5%で、県は自身の経済規模を「全国の3%経済」と表現しています(静岡県産業データブック令和6年度版)。
県全体を支えるものづくりの一角を、富士市の紙とパルプが担っているという位置づけを押さえておくと、県と市のどちらを志望するかという問いにも答えやすくなります。
富士市の主な行政課題
24万人の暮らしと、1,164事業所の働く場。この二つを同時に抱えていることが、富士市の課題の形を決めています。面接で市の課題に触れる場面に備えて、次の5つを押さえておきましょう。
働く世代の層が薄くなっていく
静岡県の人口は令和32年に282万9千人となり、平成19年のピーク時379万7千人の約4分の3まで減る見込みです。そのとき年少人口は9.7%、生産年齢人口は50.7%、高齢者人口は39.6%と推計されています(出典:静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)素案|令和7年7月)。
3万6千人が製造業に従事する市にとって、生産年齢人口の縮小は産業政策の問題でもあります。福祉の課題としてだけ語ると、富士市の実情の半分しか見ていないことになります。
進学と就職で出ていく世代を迎え直す
静岡県は平成20年から自然減に入り、加えて進学・就職の時期に若者を中心とした毎年約6千人の首都圏への転出が続いています。出生数は令和6年に1万7,439人と過去最少になり、合計特殊出生率も8年続けて下がって1.19となりました。
工場の担い手も市役所の受験者も、同じ母集団から出てきます。人が出ていく前提で、戻ってくる理由と留まる理由をどう用意するかが問われています。
数分で届く津波と、高齢者等の事前避難
静岡県第4次地震被害想定によれば、富士市の市町別最大津波高はレベル1(発生頻度が比較的高い地震)で3メートル、レベル2(南海トラフ巨大地震)で6メートルです。海岸の水位上昇が+50cmに達する最短到達時間は、レベル2のケース①で3分、レベル1で2分と見込まれています(出典:静岡県第4次地震被害想定(第一次報告の概要)|平成25年)。
また、南海トラフ地震臨時情報に伴う事前避難対象地域の指定状況(令和8年5月時点)では、富士市はレベル2津波浸水域が高齢者等事前避難対象地域とされています(出典:南海トラフ地震臨時情報に伴う事前避難対象地域の指定状況|令和8年5月時点)。臨時情報が発表されたとき、市が誰にどう声をかけるかという段取りが、すでに制度として動いているということです。
激しくなる雨と、県全体の被害想定
静岡県第4次地震被害想定は、レベル2で県全体の死者数を約105,000人(うち津波が約96,000人)、全壊・焼失棟数を約30万棟と見積もっています。加えて県内では令和3年7月の熱海市伊豆山地区の土砂災害や令和4年9月の台風15号のような被害が続き、静岡地方気象台によれば最近10年間で1時間降水量50mm以上の発生回数は1.4倍に増えました。
海と山を市域に抱える富士市では、津波と土砂と内水の三方向に備えが要ります。防災を志望するなら、どれか一つに絞らず、優先順位のつけ方を語れるようにしておきましょう。
施行時特例市として扱う制度の幅
富士市は施行時特例市にあたります。施行時特例市とは平成27年4月1日の時点で特例市であった市を指し、環境保全行政に関する事務や都市計画等に関する事務などの全部または一部を、特例として処理することができます(出典:中核市・施行時特例市(総務省)|2026年8月時点)。
工場が集まる市で環境保全の事務を市の名前で扱うということが何を意味するかは、少し考えてみる価値があります。消防本部を市が単独で設置している点も含め、富士市は同じ規模の市より自前で担う範囲が広い自治体です。
重点政策|富士市民憲章と「産業と文化のまちづくり」
富士市は職員採用試験案内で、求める人材の説明を市民憲章から始めています。「歴史と伝統をうけつぎ、明日にむかって、豊かな産業と文化のまちづくりをすすめるため」に、公務はもちろんのこと、まちづくりなどの地域活動にも、積極的にチャレンジできる人材を求めているという書き方です(出典:富士市職員採用試験案内(夏日程)|令和8年度実施)。
市の総合計画とその年度の予算の重点は、市公式サイトの最新版で必ず自分の目で確かめてください。
「地域活動にも」という一文をどう読むか
注目したいのは、公務と地域活動を並べて書いている点です。職務として市民に関わることと、一人の住民として地域に関わることを、市は分けて考えていないように読めます。
求められているのは、勤務時間の内側だけで完結する働き方ではないということでしょう。志望動機を組み立てるときは、仕事として何をしたいかに加えて、この市で暮らす人として何に関わりたいかまで言葉にしておくと、案内の趣旨に沿った答えになります。
県が置いている前提
市の施策は、県の計画が敷いた土俵の上に乗っています。静岡県は総合計画の素案で、人口が減った先への適応、令和22年に団塊ジュニア世代が65歳を超えたあとの社会保障制度、南海トラフ地震と激甚化する自然災害という3つを重点課題としました。
この3つを頭に入れてから市の予算資料を読むと、個別事業がどんな制約のもとで積み上げられているかが見えてきます。
POINT|事業名の暗記より、産業と暮らしのつなぎ方
面接官が確かめたいのは事業の名称ではなく、その事業に対するあなたの立ち位置です。富士市の数字を1つ選ぶところから始めてください。その数字の先で誰が何に困っているかを場面にします。市がすでに手を入れている領域を確かめます。そのうえで、自分の経験のどこが噛み合うかを言葉にします。ここまで揃えば、事業名を並べる必要はありません。
悪い例「紙の産業で有名な富士市で、産業振興に貢献したいです」
改善例「トイレットペーパーの3分の1以上がこの市から出ていると知りました。まずは窓口の仕事を覚えたうえで、こうした工場で働く方の暮らしを支える仕事に関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
1つ目は必ず、残りは志望分野に近いものを選んで読んでください。読み込む対象を絞るほど、面接で使える材料は濃くなります。
- 富士市職員採用試験案内(自分が受ける日程・職種の最新年度のもの)と、提出書類の様式
- 富士市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- 富士市の紙・パルプ産業や工業統計に関する市の公表資料
- 静岡県総合計画(県の課題認識と市の施策のつながりを確かめる)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、富士市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。富士市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
富士市役所の面接の概要
ここからは、富士市役所の選考の組み立てと、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、市の採用試験案内と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
富士市役所の試験の構成
令和8年度実施の夏日程は、第1次試験・第2次試験・第3次試験の三段階です。特筆すべきは合否の決め方で、一般事務職の最終合格は、第2次試験と第3次試験の成績を1対3の比率で総合して決まります。
消防職(大卒)はこの比率が1対4です。第3次試験の科目は個別面接試験とプレゼンテーション試験ですから、最後の一日に評価の重心が置かれていることになります。
| 項目 | 内容(令和8年度実施・夏日程) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験・第3次試験の三段階 |
| 第1次試験(一般事務職) | 教養試験(2時間)と適性検査。教養試験は時事、社会・人文、自然に関する一般知識と、文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力を問う |
| 論文(作文)試験 | 課されるのは職種限定で、土木・建築・電気・機械の各技術職と保健師・福祉施設保育士・幼稚園教諭が作文試験、消防職(大卒)が論文試験。一般事務職には課されない。第2次試験の科目だが、第1次試験時に併せて実施(1時間)。対象職種の受験者全員に対して行い、採点は第1次試験合格者についてのみ行う |
| 第2次試験(一般事務職) | 総合適性検査と個別面接試験 |
| 第3次試験(一般事務職) | 個別面接試験とプレゼンテーション試験 |
| 最終合格の決め方 | 第2次試験の成績と第3次試験の成績を各々の比率で総合して決定(一般事務職1:3、消防職1:4) |
| 消防職(大卒) | 第1次試験に体力試験(上体起こし、反復横とび、立ち幅とび、握力、20mシャトルラン)と論文試験。第2次試験は集団面接試験、第3次試験は個別面接試験 |
| 提出書類 | 「【夏日程】試験申込書」と「【夏日程】自己紹介書」。面接カードに相当するのは自己紹介書 |
| 採用予定人員 | 一般事務職(一般採用)5人程度・(障害者採用)若干人、土木・建築・電気・機械の各技術職 各若干人、保健師 若干人、福祉施設保育士・幼稚園教諭 若干人、消防職(大卒)5人程度 |
| 試験日程 | 春日程・夏日程・秋日程の3日程。職種に関わらず別日程との併願受験が可能 |
提出書類の名称にも注意しておきましょう。夏日程の様式として市が公表しているのは「試験申込書」と「自己紹介書」で、面接の下敷きになるのは後者です(出典:富士市職員採用試験の提出書類・様式|令和8年度実施)。
第2次と第3次で二度の面接を受ける以上、自己紹介書に書いた一行は二度読み返されると考えておくのが安全です。
上記は富士市の令和8年度実施職員採用試験案内(夏日程)にもとづく内容で、一般事務職を中心に整理しています。公表されているのは第2次試験と第3次試験を総合する比率であり、各試験科目の満点や配点そのものは案内に記載されていません。試験の構成・日程・配点等は年度や日程・職種によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける日程・職種の最新の試験情報をご確認ください。
富士市役所が求める人材
富士市が採用試験案内で示している人材像は、市民憲章の前文を引いたうえで、公務はもちろん、まちづくりなどの地域活動にも積極的にチャレンジできる人材、というものです。「チャレンジ」という語が置かれているのは、失敗を恐れずに動く姿勢を市が期待しているからでしょう。
自己PRでは「行動力があります」と名乗るのではなく、動いた結果として周囲や状況がどう変わったのかまで話してください。
では、そのチャレンジを面接官はどこで見るのか。手がかりになるのは、富士市が自前で抱えている仕事の広さです。
24万人が暮らし、1,164の製造事業所を抱え、環境保全や都市計画の事務まで特例として処理し、消防本部も市が単独で設置しています。この規模と権限を持つ市役所では、行政だけで片付く課題のほうが少なくなります。
企業、地域団体、周辺の市、県。相手の事情を聞いたうえで、限られた予算と人員で実行できる形へ落とし込める人が求められる場面は多いはずです。
プレゼンテーション試験が第3次に置かれているのも、この文脈で読めます。考えを持っているだけでなく、それを相手に届く形で組み立てられるかどうかを見ようとしている、という読み方です。
もう一点、備え方の話をしておきます。最終合格が第2次と第3次を1対3で総合する以上、第3次で語る内容の密度が順位を動かします。
自己紹介書、プレゼンテーション試験、個別面接。この3つは別々の科目として並んでいますが、読んだり聞いたりしている面接官は同じ人たちです。3つの場面で話が食い違わないところまで詰めておけば、密度は自然に上がります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。富士市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は緊張していますか | 第2次と第3次で二度の面接があります。最初の数十秒が、二度目の空気をつくります |
| ② 動機・志望 | 数ある自治体のなかで富士市を選んだ理由を教えてください | 自己紹介書に書いた志望理由と、口で語る理由が同じ根から出ているか |
| ③ 自己理解 | ご自身の短所を教えてください | 短所の中身より、それを踏まえて仕事の進め方をどう調整しているか |
| ④ 経験・行動 | 目標に向けて工夫を重ねた経験はありますか | 工夫の巧みさではなく、続けるために何を変えたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことを仕事にどう活かしますか | 専門の外にいる相手へ届く言葉に置き換えられるか。プレゼンテーション試験にも直結します |
| ⑥ 適性・将来 | どの分野の仕事に関わりたいですか | 一般事務職5人程度の採用です。幅の広い配属を前提に自分を置けているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースはありますか | 選んだ話題を、富士市の暮らしや産業のどこかに接続できるか |
この7つは受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。では、どこで差がつくのか。それが次の「富士市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「富士市役所ならでは」の質問
どちらも富士市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。第3次試験の比重が3倍である以上、この手の質問に厚く答えられるかどうかが、最後の順位を動かします。
| 質問テーマ | 知っておきたい富士市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 紙のまちという産業 | 令和4年の紙・板紙生産量2,327,090トンは全国比9.8%。トイレットペーパーは395,284トンで全国の35.9%。市内のパルプ・紙産業は47社52工場(令和5年1月現在) | 数字を挙げたあと、その集積を次の世代へどうつなぐかという問いまで進めると、産業を語れる受験者として印象に残ります |
| 市の規模と製造業の厚み | 人口244,718人・面積244.94km²。製造事業所1,164、従業者36,541人、製造品出荷額等1兆4,250億4,833万円(令和2年6月1日現在) | 暮らしを支える仕事と働く場を支える仕事の両方に市役所が関わる、という構図で話すと、志望分野の説明に軸が通ります |
| 高齢化の水準 | 65歳以上29.3%・75歳以上17.0%。県全体は基準の異なる調査で30.9%・17.9% | 県よりわずかに手前という位置を、余力のあるうちに手を打てる期間だと読み替えて話しましょう |
| 津波と事前避難 | 市町別最大津波高はレベル1で3メートル、レベル2で6メートル。水位上昇+50cmの最短到達時間はレベル2ケース①で3分、レベル1で2分。レベル2津波浸水域が高齢者等事前避難対象地域 | 被害の大きさではなく、臨時情報が出た日に誰へどう声をかけるかという段取りの側から語ってください |
| 施行時特例市 | 総務省の一覧では県内の施行時特例市は沼津市と富士市の2市。環境保全行政や都市計画等の事務を特例として処理できる | 工場が集まる市が環境保全の事務を自ら担うという重なりに触れると、制度の理解が具体的に伝わります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
富士市の面接は、採用試験案内が掲げる人材像に照らして、それが過去の行動として実在するかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 地域活動へ踏み出す姿勢 | 職務や学業の枠の外で、自分から関わった経験があるか | 市は「地域活動にも積極的にチャレンジできる人材」と書いています。仕事や学業の外で動いた出来事を1つ用意しておきましょう |
| 考えを組み立てて伝える力 | 限られた時間で、要点を並べ替えて話せるか | 第3次試験にはプレゼンテーション試験があります。自分の考えを短くまとめて声に出す練習を、早い段階から重ねてください |
| 掘り下げに耐える具体性 | 一つの経験を、場面と判断と結果まで説明できるか | 最終合格は第3次試験の比重が3倍です。深掘りされる前提で、自己紹介書に書いた出来事の細部を書き出しておきましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。富士市は個別面接が2回あり、そのうえプレゼンテーション試験まで課されます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の富士市職員採用試験案内で、自分が受ける日程(春・夏・秋)と職種の試験科目を確認する
- 「自己紹介書」の様式を早めに入手して下書きを始める(面接はここに書いた内容から掘られる)
- 学業・課外活動・アルバイトや仕事を振り返り、自己紹介書に書ける出来事を分野別に洗い出す
- 第3次試験のプレゼンテーション試験を想定し、自分の考えを筋道立てて声に出す練習を始める
- 第1部の富士市の事実から、志望分野に近いものを2つ選んで暗唱ではなく説明の形に直す
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、富士市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
富士市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
富士市の試験は、最終合格を第2次と第3次の1対3で決めると明かしています。ここまで比重を公表している市は、受験者に対して「後半で会って話す時間をいちばん重く見る」と宣言しているのと同じです。
全国のトイレットペーパーの3分の1以上を送り出す市で、24万人の暮らしと3万6千人の働く場を同時に支える仕事です。その仕事のどこに自分の手が届くのかを、自己紹介書の一行から第3次試験のプレゼンテーションまで、同じ芯で語り切ってください。