本記事では、秋田県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、秋田県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・運営の基本方針と重点目標・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
秋田県警察の面接試験では、「なぜ秋田県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。秋田県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、秋田県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と秋田県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
秋田県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは秋田県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 秋田市に県警本部を置き、秋田県全域を管轄する。管轄人口は約87万人、県土の面積は約1万1,637平方キロメートルと全国6位の広さがあり、少ない人口が広い県土に分散して暮らしている。
- 県内は13市9町3村で構成され、奥羽山脈や白神山地などの山地と、秋田平野・横手盆地などの平野・盆地が広がる。市街地から中山間地・海岸部まで、地域ごとに求められる警察活動が異なる。
- 組織は、警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部といった本部各部のほか、県内各地の警察署と警察学校で構成されている。
- 刑法犯認知件数は令和7年で2,647件と全国的にも少ない水準にあるが、前年から2.8%増と増加に転じており、「治安は年々良くなっている」とは言い切れない局面に入っている。
- 一方で、県内の詐欺被害額は令和7年に13億円を超え(暫定値)、初めて10億円を突破して過去最悪を更新した。犯罪の件数が少ないこととは対照的に、被害の大きい犯罪への対応が重い課題になっている。
- 秋田県の高齢化率は39.5%で全国で最も高く、交通事故の死者でも特殊詐欺の被害でも高齢者が占める割合が大きい。超高齢社会の中で県民の安全をどう守るかが、秋田県警察の活動を貫くテーマになっている。
- 令和8年の運営重点には第50回全国高等学校総合文化祭の警備が掲げられており、大規模行事や災害への備えといった、多様化する脅威への対応も控えている。
秋田県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「秋田県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄人口や県土の広さ、高齢化の程度、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 秋田県全域(13市9町3村) |
| 管轄人口 | 約87万人(令和8年6月1日推計で865,885人) |
| 管轄面積 | 約1万1,637平方キロメートル(全国6位の広さ) |
| 高齢化率 | 39.5%(令和6年・全国で最も高い) |
| 刑法犯認知件数 | 2,647件(令和7年・前年比2.8%増) |
| 刑法犯検挙率 | 58.5%(令和7年) |
管轄人口は秋田県の人口推計(令和8年6月1日現在)、面積と市町村数は県公表資料、高齢化率は内閣府「高齢社会白書」(令和6年時点の値)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は秋田県警察の犯罪統計(令和7年)にもとづく数値です。
数字から考えられる治安課題
秋田県は、全国でも刑法犯の件数が少ない県として知られてきました。ただ、その少なさに安心していられる状況ではありません。
令和7年の刑法犯認知件数は前年から増加に転じ、詐欺の被害額は初めて10億円を超えて過去最悪を更新しています。
件数の小ささという「静けさ」の裏で、一件あたりの被害が大きい犯罪や、高齢者をねらう犯罪が存在感を増しているのが、いまの秋田の特徴です。数字を単体で覚えるのではなく、「件数は少ない、しかし被害は深刻化している」という組み合わせで押さえておきましょう。
たとえば面接では、秋田県の治安の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
秋田県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
秋田県内の刑法犯認知件数は、令和7年で2,647件でした。全国的にも少ない部類ですが、件数の少なさが続いてきた秋田でも、令和7年は前年比2.8%増と増加に転じています。
あわせて、刑法犯全体の検挙率は58.5%(令和7年)で、認知件数の多い都市部と比べれば高い水準を保っています。とはいえ、警察官一人ひとりが受け持つ地域が広い秋田では、増加局面で検挙の水準を保ち続けること自体が負担になります。
面接では、件数の少なさを強調するより、検挙(起きた犯罪への対応)と抑止(犯罪を起こさせない取組)の両輪で語れると、仕事理解の深さが伝わります。
主な罪種の内訳(令和7年の認知件数)は次のとおりで、住宅などに入り込む侵入盗が目立つ一方、ひったくりのような街頭犯罪はほとんど発生していません。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 7件 |
| 強盗 | 2件 |
| 侵入盗 | 147件 |
| 自動車盗 | 3件 |
| ひったくり | 0件 |
罪種別の認知件数・刑法犯認知件数・検挙率は、秋田県警察の犯罪統計(令和7年)にもとづく数値です。
過去最悪を更新する特殊詐欺・SNS型投資詐欺
いまの秋田で最も深刻なのが、詐欺の被害の急拡大です。県内の詐欺被害額(SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺を含む)は、令和6年に9億9,993万円(暫定値・200件)とそれまでの最悪を大きく更新し、令和7年には13億1,693万円(暫定値)と初めて10億円を超えて過去最悪を更新しました。
従来の最悪だった令和5年の5億3,399万円と比べると、わずか2年で被害額はおよそ2.5倍に膨らんだ計算です。
手口はスマートフォンやSNSを入口にしたものが中心で、被害者には高齢層が多く含まれます。志望動機で詐欺対策に触れるなら、この数字が出発点になります。
高齢者に偏る交通事故の死者
交通事故では、亡くなる人に高齢者が偏っている点が秋田の特徴です。令和6年の県内の交通事故死者31人のうち、26人(83.9%)が高齢者で、高齢者を65歳以上と定義して集計を始めた昭和63年以降で最も高い割合となりました。
全国一の高齢化率を背景に、歩行中や運転中の高齢者をどう事故から守るかが、秋田の交通安全の中心テーマになっています。交通部門を志望する場合はもちろん、治安上の課題を問われた際の引き出しとしても使えます。(出典:交通死亡事故の状況|令和6年)
秋田県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、秋田県警察が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「秋田県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
超高齢・人口減少社会という前提
秋田県は、人口減少率が令和6年に1.87%と12年連続で全国最も高く、高齢化率も39.5%で全国一という、全国のどこよりも高齢化と人口減少が進んだ地域です。(出典:高齢社会白書|令和7年版)
これは治安の課題にも直結します。犯罪や事故の被害者に高齢者が多くなる一方で、地域で見守りや防犯活動を担う人の確保は年々難しくなります。
犯罪の件数そのものは少なくても、限られた人手で高齢者の安全をどう守り抜くかという、秋田ならではの重い前提がここにあります。(出典:秋田県人口ビジョン|令和8年3月改訂)
特殊詐欺と匿名・流動型犯罪グループ
被害額が2年でおよそ2.5倍に膨らんだ特殊詐欺の背後には、SNSなどで実行役を募って犯行を繰り返す匿名・流動型犯罪グループの存在があります。指示役は匿名の陰に隠れ、末端の実行役だけが短い期間で入れ替わっていくため、実行役を捕まえるだけでは被害が止まりません。
秋田県警察が令和8年の重点目標に「匿名・流動型犯罪グループ対策の推進」を新たに加えたのは、この構造への危機感の表れです。実態の解明と取締りに加えて、だまされる人を出さない被害防止と、実行役の募集に応じてしまう若者を出さない対策までが、一続きの課題になっています。
高齢者と子どもを守る交通安全
令和6年の交通事故死者の8割以上が高齢者だったように、秋田の交通安全は「誰を守るか」がはっきりしています。運営重点でも「子供と高齢者に重点をおいた交通安全の確保」や、横断歩道で歩行者を優先する「歩行者ファースト」の意識を広げる取組が掲げられています。車社会で移動を車に頼らざるをえない地域事情もあり、運転者への取締りだけでなく、道路を使うすべての人の意識にどう働きかけるかが問われています。
大規模行事の警備と災害への備え
令和8年の運営重点には、県内で開かれる第50回全国高等学校総合文化祭に伴う警備が明記されています。全国から多くの高校生や関係者が集まる行事の安全確保は、開催地の警察にとって大きな仕事です。
あわせて、災害への備えも欠かせません。県の地震被害想定調査では、被害が最大となる横手盆地・真昼山地連動地震(マグニチュード8.1)で死者4,524人・建物全壊72,594棟(冬の深夜のケース)が想定されており、緊急事態への迅速・的確な対応が運営重点にも位置づけられています。(出典:秋田県地震被害想定調査(概要版)|平成25年)
サイバー空間の脅威と警察基盤の維持
特殊詐欺やSNS型投資詐欺がそうであるように、今の犯罪の多くはインターネットやSNSを入口にしています。相手の顔が見えないサイバー空間で被害が広がるため、被害に気づいたときには手がかりが乏しいことも珍しくなく、運営重点でも「サイバー空間の安全の確保」が掲げられています。加えて、広い県土に少ない人口が分散する秋田では、警察官の担い手をどう確保し、限られた人員で県内をどう支えるかという警察基盤の強化そのものが、治安を維持するための課題になっています。
重点方針|令和8年秋田県警察運営の基本方針と重点目標
秋田県警察は、毎年の警察活動の大綱として「秋田県警察運営の基本方針と重点目標」を定めています。令和8年の基本方針は「安全で安心な秋田を守る力強い警察」で、その副題として「県民に寄り添い 県民のために」が掲げられました。(出典:令和8年秋田県警察運営の基本方針と重点目標|令和8年)
方針を貫く考え方
令和8年の方針で注目したいのは、副題が前年の「県民とともに」から「県民のために」へと変わった点です。
県民と一緒に取り組むという姿勢から一歩進めて、県民が本当に求めていることに応えるという、警察の側の責任をより前面に出した言葉づかいになっています。
面接で「どんな警察官になりたいか」を考えるときも、この「県民のために」という方向性は軸になります。重点目標は次の3つの柱の下に整理されており、名称の暗記ではなく、それぞれの柱が何を守ろうとしているのかを理解しておくことが大切です。
重点目標の3つの柱
重点目標は3本柱で構成されています。あわせて、それぞれの柱が指す内容を、受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 重点目標の柱(公式の3本柱) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| 県民を犯罪等から守るための取組 | 子ども・女性・高齢者の安全確保、特殊詐欺の被害防止、令和8年に新設された匿名・流動型犯罪グループ対策、殺人・強盗など重要犯罪の検挙、被害者の視点に立った活動を束ねる柱 |
| 交通事故防止のための総合的な取組 | 子どもと高齢者に重点を置いた安全確保、横断歩道での「歩行者ファースト」の浸透、安全で円滑な交通環境づくり、自転車を含めた指導取締りを進める柱 |
| 社会の変化と多様化する脅威への取組 | 第50回全国高等学校総合文化祭の警備、災害など緊急事態への対応、テロの未然防止、サイバー空間の安全確保、警察基盤の強化を扱う柱 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの3つの柱のどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。各柱の下に置かれた個別の項目は、県警察の公式ページで確認できます。
POINT|重点目標をすべて暗記しなくてよい
項目名を丸暗記することが組織研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①何が起きているか(数字) → ②県警察はどう対処しようとしているか(重点目標) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順で調べましょう。
悪い例「秋田の平和な暮らしを守れる警察官になりたいです」
改善例「まずは地域を回るお巡りさんとして、地道に信頼を積み重ねたいです。その上で、秋田では詐欺の被害額が去年、初めて10億円を超えたと聞きましたので、特にお年寄りが被害に遭わないよう、声かけや広報に力を入れていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 警察官採用試験の受験案内(試験の種目・受験資格・申込方法)
- 採用ホームページ・募集案内(仕事内容と職員の声)
- 令和8年秋田県警察運営の基本方針と重点目標(3つの柱と個別項目)
- 犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、秋田県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。秋田県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
秋田県警察の面接の概要
ここからは、秋田県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
秋田県警察の面接の流れ
秋田県警察・警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。
人物についての面接は、第2次試験の「口述試験(個別面接)」として実施されます。種目と配点の全体像は、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容(令和8年度・警察官B区分) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階 |
| 第1次試験 | 択一式の教養試験(100点)または基礎能力試験(SPI3・100点)と、記述式の作文試験(100点) |
| 面接(人物試験)の種類 | 第2次試験の口述試験=個別面接。集団討論・集団面接は受験案内・採用FAQに記載なし |
| 口述試験(個別面接)の配点 | 300点(第2次試験で最大の配点) |
| そのほかの第2次試験 | 体力試験(100点)、適性検査、身体精密検査 |
| 加点制度 | 一定の資格保有者は第2次試験の総合得点に最大15点を加点 |
| 申込方法 | インターネットによる電子申請(申込フォーム入力+顔写真の画像添付) |
ここで押さえたいのは配点です。第1次の教養試験100点と作文試験100点の合計に対し、第2次の口述試験(個別面接)には300点が置かれ、筆記2種目の合計を上回る配点になっています。
筆記の出来に自信が持てなくても、面接の準備しだいで十分に挽回できる構造であり、逆に言えば面接対策を後回しにすると勝負にならない、ということでもあります。
人物試験が個別面接1回に集約されている分、その1回で自分を語り切る準備が重要になります。
上記の試験構成は、秋田県警察発出の令和8年度受験案内・採用FAQにもとづく警察官B区分(第1回)のものです。配点は警察官B・令和8年度第1回で確認した値で、警察官A区分や回によって異なる場合があります。試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって変わる可能性があるため、受験の際は必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:秋田県警察採用試験FAQ|令和8年度)
秋田県警察が求める人材
秋田県警察は、箇条書きで定式化した「求める人物像」を採用ホームページや受験案内では公表していません。手がかりになるのは、募集案内(2024年版)が掲げる「多様性社会の治安維持を担う、多様な警察官」というメッセージです。
ここでは「一人一人の個性を尊重し、様々な価値観を共有する」姿勢や、「いろいろな立場から様々な考え方や視点を持つことで、多岐にわたる課題を解決に導く」人材が求められると述べられています。
令和8年の基本方針の副題「県民に寄り添い 県民のために」とも重なる方向性です。(出典:秋田県警察官募集案内|2024)
ここで求められているのは、特別な経歴や派手な実績ではありません。自己PRでは、立場や考え方の違う相手と折り合いをつけて動いた経験や、困っている人に自分から関わった経験など、多様な立場を尊重し県民に寄り添う姿勢に重なる自分の行動を、具体的な場面で示すことが軸になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。秋田県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は会場まで、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 数ある進路の中で、なぜ警察官で、なぜ秋田県警察なのですか? | 他の選択肢と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの長所は、警察の仕事のどんな場面で活かせますか? | 自分の強みを、警察の具体的な仕事の場面と結びつけて説明できているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も粘り強く取り組んだことは何ですか? | 成果の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢 |
| ⑤ 学業・経歴 | その学科や部活動を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を筋道立てて話せるか。意思決定の一貫性 |
| ⑥ 適性・将来 | 交替制勤務や訓練の厳しさに耐えられますか? | 体力の裏づけと日頃の健康管理の習慣、警察官として働く覚悟 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは秋田県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのが実情です。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは秋田県の実情を踏まえた質問
どちらも、秋田県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「秋田県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい秋田県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 刑法犯認知件数は令和7年で2,647件(前年比2.8%増)、検挙率は58.5%。件数は全国でも少ないが増加に転じている | 「治安が良い」で止めず、増加に転じた変化と、少ない人員で検挙を追い付かせる難しさに触れる |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の基本方針は「安全で安心な秋田を守る力強い警察~県民に寄り添い 県民のために~」。重点目標は犯罪から守る・交通事故防止・多様化する脅威への取組の3本柱 | やりたい仕事が3本柱のどこに当たるかを一言添えると、組織研究の深さが伝わる |
| 特殊詐欺への対策 | 県内の詐欺被害額は令和6年に約10億円で過去最悪、令和7年には13億円超(暫定)と初めて10億円を突破。令和8年に匿名・流動型犯罪グループ対策を新設 | 高齢者の被害防止という切り口で、声かけや広報とどう結びつけるかを自分の言葉にする |
| 超高齢社会と交通安全 | 秋田県の高齢化率は39.5%で全国最高。交通事故死者は令和6年で31人中26人(83.9%)が高齢者で、集計開始以降で最も高い割合 | 高齢者と子どもを守る「歩行者ファースト」の視点で、取締りだけでない働きかけに触れる |
| 大規模行事・災害への備え | 令和8年の運営重点に第50回全国高等学校総合文化祭の警備。県の地震被害想定は最大の連動地震で死者4,524人(冬深夜のケース)を想定 | 人が集まる行事の警備や災害対応も警察の仕事という視点で、自分の関心と結びつける |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、募集案内が掲げる「多様な立場を尊重し、県民に寄り添う」という組織の価値観に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 多様な立場を尊重して動ける協調性 | 価値観や意見の違う相手と、どう折り合いをつけて物事を進めたか | 意見が割れた場面で、相手の言い分を聞いて自分の動きを変えた出来事を一つ用意する |
| 県民に寄り添う姿勢・当事者意識 | 困っている人に、頼まれる前から自分で関わった経験があるか | 身近な高齢者や地域の人を手助けした場面を、自分がとった行動まで話せるようにする |
| 地道な役割をやり切る責任感 | 成果が出るまで時間のかかることを、途中で投げ出さずに続けたか | 目立たない役回りを引き受けて続けた経験を、なぜ続けられたかまで言葉にする |
評価の観点の3項目は、秋田県警察の募集案内(2024年版)と令和8年の基本方針の趣旨をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、試験の種目・配点と申込方法を確認する。口述試験(個別面接)に300点が置かれていることを、準備の前提として頭に入れる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉に置き換えておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、第2次試験の体力試験に備え、日々のトレーニングと生活リズムづくりを並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、秋田県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
秋田県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。口述試験の配点が大きい試験だからこそ、本番までの時間が限られている方は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
秋田県警察の試験は、第2次試験の口述試験に300点が置かれ、筆記2種目の合計を上回る配点となっています。しかも人物試験は個別面接に集約されており、その一回でどれだけ自分を語れるかが問われます。
全国でも犯罪の少ない秋田ですが、詐欺の被害は過去最悪を更新し、超高齢社会の中で守るべき人ははっきりしています。
だからこそ、県の現状を自分の言葉で語り、身近な経験と結びつけて話せる人が強い試験です。部活動やアルバイトのような等身大の経験を、面接で語れる形にまで磨いて、当日を迎えてください。