本記事では、由利本荘市職員採用試験の面接対策で必要な、由利本荘市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

由利本荘市役所の面接試験では、「なぜ由利本荘市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市政でどう活かしたいか」といった、市政への理解を前提とする質問が想定されます。市が公表する試験日程を見ると、第二次試験の内容はどの試験区分でも「個別面接」と記載されています。

筆記を通過した先に待っているのは、一対一で自分の言葉を確かめられる場だということです。

本記事を参考に、自分の強みや関心と由利本荘市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

由利本荘市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは由利本荘市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 総面積1,209.59km²は秋田県内13市のなかで最も広く、県土のおよそ10.4%を一つの市が占めている。県庁所在地の秋田市(906.07km²)よりも300km²以上広い。
  • 人口は69,064人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、県内13市では4番目。県全体の人口のおよそ7.8%が由利本荘市で暮らしている。
  • 人口密度は57.1人/km²で、県内13市では9番目。県平均のおよそ74人/km²を下回る。
  • 隣り合うのは秋田市、大仙市、湯沢市、横手市、にかほ市、雄勝郡羽後町の県内6市町と、県境を越えた山形県の酒田市、飽海郡遊佐町、最上郡真室川町を加えた計9自治体である。
  • 市役所は尾崎に置かれ、市の花はさくら、市の木はケヤキと定められている。
  • 市の沖合では出力845,000kWの洋上風力発電が計画され、2030年12月の運転開始が予定されている。秋田県内で指定された4海域のうち、最も大きな出力の計画である。
  • 職員採用試験は上級(大学卒業程度)、中級(短大卒業程度)、初級(高校卒業程度)、障がい者対象、公務員経験者の5区分。それぞれに行政職と技術職(土木)が置かれている。
  • 試験は第一次試験と第二次試験の二段階で、第二次試験の内容はどの区分も「個別面接」と記載されている。
  • 令和8年度の実施試験から、上級の第一次試験が「SPI3から教養試験及び適性検査(テストセンター方式)に変更します」と市が公表している。試験を所管するのは総務部総務課である。

由利本荘市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「由利本荘市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、由利本荘市の位置づけを説明できる項目を整理しました。市単独の経済統計は公表資料が限られるため、比較の物差しとして秋田県全体の数値もあわせて示します。

項目内容
総人口69,064人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積1,209.59km²(秋田県のおよそ10.4%。県内13市で最も広い)
人口密度57.1人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地秋田県由利本荘市尾崎17番地
隣接自治体秋田市、大仙市、湯沢市、横手市、にかほ市、雄勝郡羽後町、山形県酒田市、飽海郡遊佐町、最上郡真室川町(9自治体)
市の花・市の木さくら/ケヤキ
沖合の大規模プロジェクト洋上風力発電 845,000kW(2030年12月運転開始予定・県内4海域で最大)
(参考)秋田県の総人口865,885人(2026年6月1日現在の推計)
(参考)秋田県の総面積1万1,637km²(全国の都道府県で6番目)
(参考)秋田県の高齢化率39.5%(令和6年・全国で最も高い)

由利本荘市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値で、市公式の推計人口との照合は済んでいません。秋田県の総人口は県の推計人口(2026年6月1日現在)、総面積は秋田県公式サイト、高齢化率は内閣府「高齢社会白書」令和7年版の令和6年の値です。県の平均人口密度、県土に占める面積の比率、県内13市での順位は、これらの公表値から当研究会が算出しました。市と県で数値の時点が異なるため、おおよその水準感として捉えてください。実際の受験や提出書類で数値を用いる際は、市公式サイトの最新値をご確認ください。(参考:秋田県の紹介(県土と地形)|秋田県総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

由利本荘市の輪郭は、三つの順位を並べると見えてきます。県内13市のなかで人口は4番目、面積は1番目、人口密度は9番目。

面積で県内一の市が、密度では下から数えたほうが早い位置にいるという組み合わせが、この市の条件です。秋田県全体の865,885人と1万1,637km²から計算した県平均はおよそ74人/km²ですから、由利本荘市の57.1人/km²は県の平均を下回ります。

(出典:秋田県の人口と世帯(推計)|令和8年6月1日現在

数字の大きさを実感するには、隣の市と並べるのが早道です。県内で最も人口の多い秋田市の面積は906.07km²で、由利本荘市はそれより300km²以上広い計算になります。

県都より広い市域に、秋田市のおよそ4分の1の人が暮らしている。県内で最も広い市域を、県内4番目の人口で支えているという関係が、市政のあらゆる場面に効いてきます。

広さは、行政サービスのコストにも時間にも跳ね返ります。道路も水路も学校も、市域が広ければそれだけ数と距離が増えます。

一方で、山も海も平地も一つの市のなかに抱えているということでもあります。由利本荘市を語るときは、「広い」で終わらせず、広いから何が起こるのかまで一歩踏み込みましょう。

もう一つの前提が、県全体の人口の動きです。秋田県の人口は2026年6月1日現在で865,885人。

直近1年間(2025年6月から2026年5月まで)で17,254人、率にして1.95%減りました。内訳は自然減が13,200人、社会減が4,054人です。

高齢化率は令和6年時点で39.5%と全国で最も高く、令和32年(2050年)には49.9%まで上がると推計されています。面接では、次のように話せます。

「由利本荘市は秋田県で一番面積の広い市で、県庁所在地の秋田市よりも広いと知りました。人口は7万人弱ですけれども、その人数で県土の一割ほどの範囲を支えているということだと思います。秋田県全体では1年で1万7千人ほど人が減っていて、高齢化率も4割近いと聞きました。だからこそ、市役所まで来るのが大変な方にどう届けるかが仕事の中心になるのではと感じています」

由利本荘市の経済・産業

秋田県の経済規模と由利本荘市の位置

由利本荘市単独の市民経済計算は公表資料が限られるため、ここでは秋田県全体の姿を土台に地域経済を整理します。

  • 秋田県の県内総生産は名目3兆5,453億円(令和3年度・前年度比2.2%増)。
  • 経済活動別では第1次産業897億円、第2次産業9,163億円(うち製造業6,230億円)、第3次産業2兆5,461億円。
  • 県内総生産の対全国シェアは0.64%で、全国の経済のおよそ160分の1にあたる。

つまり、「県全体を合わせても全国の1%に届かない規模のなかで、第3次産業が7割強を占める」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:秋田県民経済計算|令和3年度

農林業への特化と、医療・福祉という雇用の受け皿

産業の構成をもう少し細かくみると、県の特徴がはっきりします。付加価値額の特化係数(全国水準を1としたときの偏りを示す値)でみると、農業・林業が3.64と全国水準を大きく上回る一方、製造業は0.76にとどまります。

業種別の割合では、医療・福祉が20.9%(全国平均比プラス11.1ポイント)、建設業が11.2%(同プラス4.8ポイント)と高く、製造業は17.4%(同マイナス5.6ポイント)です。(出典:秋田県の産業分析|秋田県。いずれも2012年の基準による値です)

農業・林業への強い特化は、1,209.59km²という市域の広さと切り離せません。土地に根ざした産業が県の経済を支えているということは、由利本荘市で働く自分の仕事も、その土地の管理と保全に関わるということです。

市が技術職(土木)を各試験区分に置いていることも、この文脈のなかで読めます。県の数字を引くだけで止めず、市の仕事のどこにその産業が現れるかまで見ておきましょう。

県境を越えて9つの自治体と接するという位置

秋田県は東北地方の日本海側にあり、県土は奥羽山脈や出羽山地などの山地と、秋田平野・能代平野・本荘平野などの平野、大館盆地・横手盆地といった盆地から成り立っています。県内には13の市、9つの町、3つの村があります。

由利本荘市は日本海に面し、平野から山地までを市域に抱えています。

接している自治体は9つ。そのうち3つは山形県の酒田市、遊佐町、真室川町であり、県境をまたぐ結び目にあたる位置です。通勤や買い物、通院といった暮らしの動きは、県境で止まりません。

医療や交通、災害時の応援といった場面では、県をまたいだ連携が現実の課題として立ち上がります。市の外側との関係を前提に市政を考える市だと押さえておくと、地域振興や広域連携の話題に触れるときの足場になります。

由利本荘市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、由利本荘市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

全国で最も高い高齢化率のもとで進む人口減少

秋田県の高齢化率は令和6年時点で39.5%と、47都道府県のなかで最も高い水準にあります。最も低い東京都の22.7%とは17ポイント近い開きがあり、令和32年(2050年)には49.9%まで上がると推計されています。

全国で最初に「県民の半分近くが65歳以上」という段階に入る県だ、ということです。(出典:高齢社会白書|令和7年版

人口そのものの動きも急です。令和2年国勢調査の人口は前回の平成27年調査から63,617人減、減少率6.2%で、減少数・減少率とも過去最大でした。

減少率が全国で最も大きいのは、これで5回連続です。県人口ビジョンは、人口が昭和31年(1956年)の約135万人をピークに減少へ転じ、令和7年(2025年)には約87万9千人になったことを課題として明記しています。

(出典:秋田県人口ビジョン|令和8年3月改訂

若い世代の転出超過という積み重ね

秋田県は昭和26年(1951年)の調査開始以降、一貫して社会減が続いてきました。平成5年(1993年)には初めて死亡数が出生数を上回り、自然減の状態に入っています。

令和7年(2025年)は自然減14,019人、社会減3,408人。直近1年間でみても、県内への転入11,191人に対して県外への転出は15,245人です。

転出は、進学や就職の時期に集中して起こります。県外へ出る道があるなかで、あえて由利本荘市役所を選ぶ理由は、面接で必ず確かめられます。

市内出身の方なら「なぜここに残る(戻る)のか」、市外出身の方なら「なぜこの市なのか」という形で問われます。市が採用試験に公務員経験者の区分を置いていることも、一度外へ出た人を迎え入れる構えの表れだと読めます。

県内で最も広い市域に、同じ質のサービスをどう届けるか

1,209.59km²という市域は、秋田県の県土のおよそ10.4%にあたります。そこに69,064人が暮らし、市役所は尾崎に置かれています。

人口密度57.1人/km²は、県平均の74人/km²を下回る水準です。尾崎の本庁舎まで出てくるだけで長い移動になる市民の方がいるという前提から、市政を考える必要があります

この条件は、市の仕事の中身にも表れています。試験区分のすべてに技術職(土木)が置かれているのは、道路や河川といった社会基盤を市域全体で保ち続ける必要があるからです。

行政職を志望する場合でも、「自分が担当したい分野を、海沿いにも山あいにも同じ質で届けるには何が要るか」という視点を一つ足すと、話が具体的になります。

海と山の両方を抱える市の災害への備え

秋田県が平成25年8月に取りまとめた地震被害想定調査では、県に影響を及ぼす地震として、日本海東縁部の地震と陸域の活断層による地震(能代断層帯、横手盆地東縁断層帯、北由利断層など)の計27パターンが想定されています。被害が最大となるのは横手盆地・真昼山地連動地震(マグニチュード8.1・最大震度7)で、冬の深夜に発生した場合の県内死者数は4,524人、建物全壊は72,594棟、1か月後の避難者数は約9万人と見込まれています。

歴史上、県に最も大きな被害を及ぼした地震は昭和58年(1983年)の日本海中部地震(マグニチュード7.7)でした。(出典:秋田県地震被害想定調査(概要版)|平成25年8月

これらは秋田県全体の想定値であって、由利本荘市単独の被害想定ではありません。ただ、想定に挙げられた活断層のなかに北由利断層という名称があること、そして市が日本海に面していることは、この市で防災を語るときの出発点になります。

海沿いから山あいまでを一つの市が抱えているということは、同じ災害でも場所ごとに必要な対応が変わるということです。防災に触れるときは、県の想定に軽く触れたうえで、広い市域で被害を把握し避難所を回す市職員の現場へ話を進めましょう。

県内最大の洋上風力計画を、市の暮らしへどうつなぐか

由利本荘市沖では、出力845,000kWの洋上風力発電が2030年12月の運転開始予定で計画されています。秋田県内で指定された4海域のなかで最大の規模です。

ただし、これは再エネ海域利用法にもとづいて県レベルで進む事業であり、市が単独で実施するものではありません。

市の側から考えるべきなのは、工事の期間に人が入ってくることへの対応、地元の事業者が仕事に加われるかどうか、漁業をはじめとする既存の生業との調整、そして完成後に地域に何が残るかという部分です。市民の暮らしの側から見て何が変わるのかを考えるのが市の仕事だと押さえておきましょう。

由利本荘市の重点政策|沖合で進む県内最大の洋上風力

由利本荘市の総合計画や個別計画の名称と内容は、市の公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市域の沖合で進む県内最大の計画と、市が公表している採用試験の構えを組み合わせて、市政を理解する土台をつくります。

秋田県の洋上風力と、由利本荘市沖の位置づけ

再エネ海域利用法にもとづく秋田県内の洋上風力発電は、次のように進んでいます。(出典:洋上風力発電の推進|秋田県

海域出力状況
能代港・秋田港138,000kW運用開始済み
男鹿市・潟上市及び秋田市沖315,000kW2028年6月 運転開始予定
能代市・三種町及び男鹿市沖494,000kW2028年12月 運転開始予定
由利本荘市沖845,000kW2030年12月 運転開始予定

秋田県は洋上風力の促進区域として全国最多の4海域が指定された県であり、そのなかで最も大きな出力が計画されているのが由利本荘市沖です。県全体では運用中と計画中を合わせて200万キロワット以上、およそ150万世帯分に相当する発電容量が見込まれています。

運転開始の予定が2030年12月と、4海域のなかで最も先であることも押さえておきましょう。それだけ準備の期間が長いということでもあります。

試験区分の広さが示す、市の仕事の幅

市が公表する試験日程表を見ると、採用の入口の広さが分かります。試験区分は上級(大学卒業程度)、中級(短大卒業程度)、初級(高校卒業程度)、障がい者対象、公務員経験者の5つで、それぞれに行政職と技術職(土木)が置かれています。

日程表には「上記以外の試験区分についても必要に応じて実施します」との注記もあります。(出典:由利本荘市職員採用試験日程|令和8年度

学歴の段階だけでなく、障がい者対象の区分と公務員経験者の区分が常設されていること。そして、どの区分にも土木の技術職が並んでいること。

この二つから、さまざまな経歴の人が同じ職場で働く前提と、社会基盤を守る仕事の比重が読み取れます。志望動機を組み立てるときは、この構えと噛み合う話にしておきましょう。

POINT|計画名を言えなくても、面接の準備はできる

由利本荘市の場合、①人口69,064人・面積1,209.59km²・人口密度57.1人/km²という輪郭をつかむ → ②県内で最も広い市域という条件が、行政サービスの届け方にどう効くかを考える → ③沖合の845,000kWという県内最大の計画を、市民の暮らしの側から捉え直す → ④市公式サイトの市政情報や広報紙で、いま実際に動いている取組を確かめる、という順で進めるのが近道です。

悪い例「由利本荘市の豊かな自然を活かしたまちづくりに貢献したいです」

改善例「由利本荘市は秋田県で一番面積が広い市で、県庁所在地よりも広いと知りました。市役所まで来るのが大変な方も多いのではと思います。まずは窓口に立って、市民の方の用件をきちんと受け止められるようになりたいです。そのうえで、遠くにお住まいの方にも同じ説明が届くように、先輩に教わりながら工夫を重ねていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

  • 自分が受ける年度・区分の職員採用試験の受験案内(市公式サイトの職員募集のページに掲載されます)
  • 市が公表する職員採用試験の日程表(試験区分、段階構成、各試験の内容が一覧になっています)
  • 由利本荘市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
  • 秋田県が公表する洋上風力発電の関連ページ(市域の沖合の動きを知るための県側の資料です)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、由利本荘市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。由利本荘市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

由利本荘市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

由利本荘市役所の面接の概要

ここからは、由利本荘市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

由利本荘市役所の試験の流れ(令和8年度)

総務部総務課が公表した令和8年度の試験日程表は、試験の段階を第一次試験と第二次試験の二段階と定めています。第三次試験の記載はありません。

そして第二次試験の内容は、上級から公務員経験者まで、どの区分も「個別面接」の一語で示されています。筆記を通過した先は、一対一の場で自分の経験を確かめられる時間だということです。

項目内容(令和8年度)
試験区分上級(大学卒業程度)、中級(短大卒業程度)、初級(高校卒業程度)、障がい者対象、公務員経験者。それぞれに行政職と技術職(土木)。日程表には「上記以外の試験区分についても必要に応じて実施します」との注記があります
試験の段階第一次試験、第一次試験合格発表、第二次試験、最終合格発表の二段階
第一次試験(上級・中級)教養試験と適応性検査。技術職(土木)のみ別途、専門試験が課されます
第一次試験の受け方上級・中級は指定された期間のうち、受験者が希望する日に受験します(技術職(土木)の専門試験のみ指定日実施)
上級の変更点市は「SPI3から教養試験及び適性検査(テストセンター方式)に変更します」と公表しています(令和8年度実施試験から)
第一次試験(公務員経験者)職務基礎力試験。受付期間内の指定期間のうち、受験者が希望する日に受験します
第二次試験いずれの区分も「個別面接」と記載。「※詳細は第一次試験合格者へ通知します。」と明記されています
実施の系統「上級・中級」と「初級・障がい者対象・公務員経験者」の2系統に分けて実施されます
配点各試験の満点と人物試験の比重は、公表資料には記載がありません
提出書類面接カードや自己PRシートに相当する様式の有無は、公表資料では確認できません
所管由利本荘市総務部総務課

この表から読み取れることが二つあります。一つは、第一次試験を自分で日程を選んで受けられることです。

準備の進み具合に合わせて受験日を決められるぶん、いつまでに仕上げるかを自分で管理する必要があります。もう一つは、第二次試験の詳細が第一次試験の合格者にだけ通知される運用だということです。

合格通知を受け取ってから面接の準備を始めるのでは、間に合わない前提で動きましょう

上記は、由利本荘市が公表した令和8年度職員採用試験の日程表と、市公式サイトのお知らせにもとづく内容です。試験内容の表記には資料ごとの違いがあり、日程表では「適応性検査」、お知らせページでは「適性検査(テストセンター方式)」と記載されています。第二次試験の欄に記載があるのは個別面接のみですが、集団討論・集団面接・作文・プレゼンテーションを実施しないと公式に述べられているわけではありません。詳細が第一次試験合格者に通知される運用のため、断定はできない点にご注意ください。また、令和8年度第一次試験(上級・中級)の合格者ページは当研究会の確認時点で表示できず、受験者数・合格者数・倍率は取得できませんでした。市は実施年度で「令和8年度職員採用試験」と呼ぶ一方、過去の募集記事は採用年度で表記しており、同じ試験が異なる年度名で参照される点も混同しやすいところです。なお、秋田県庁の採用試験にある面接シートの提出や外国語資格の加点は県の制度であり、由利本荘市には適用されません。試験の構成・区分・日程等は年度によって変わりますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご確認ください。(出典:令和8年度職員採用試験の変更について|由利本荘市

由利本荘市役所が求める人物像

由利本荘市が公表する「求める人物像」にあたる文言を、資料のなかでは確認できていません。公表されたものがない以上、評価されやすい資質は、市が示している事実から読み解くことになります。

手がかりは三つあります。第二次試験がどの区分も個別面接であること。

試験区分に障がい者対象と公務員経験者が常設され、経歴の異なる人が同じ職場に入ってくる前提があること。そして市域が1,209.59km²と県内で最も広く、市民との距離が場所によって大きく違うこと。

これらを重ねると、「一人で相手と向き合って話を進める力」「立場や経歴の違う人と組める柔軟さ」「離れた場所の事情を想像できる視野」のあたりが評価の中心になると考えられます。自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。由利本荘市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は会場まで、迷わずに来られましたか身構えていない問いかけへの応じ方。個別面接では最初の数十秒で場の空気が決まります
② 動機・志望民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください比べたうえでの選択になっているか。動機が自分の来し方と地続きか
③ 自己理解自分の短所を一つ挙げて、どう付き合っているか教えてください弱さを言い切れるか。認めたうえで手を打っているところまで話せるか
④ 経験・行動年齢や立場の違う人と一緒に何かを進めた経験を教えてください相手に合わせて進め方を変えられるか。摩擦が生じたときの収め方
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことを、専門を知らない人にも伝わるように話してください相手に合わせて言い換える力。学んだことを市の仕事へつなぐ視点
⑥ 適性・将来5年後、由利本荘市役所でどんな仕事をしていたいですか市の仕事の広がりをどこまで見込んでいるか。希望どおりの配属でない場合の構え方
⑦ 公共性・社会性最近見聞きした出来事で、印象に残っているものはありますか社会の動きに目を向けているか。自分の受け止めを短い言葉にできるか

ただし、この7カテゴリーは由利本荘市に限らず全国の官公庁でほぼ共通で、受験者全員が対策してきます。差がつくのは、次の「由利本荘市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「由利本荘市役所ならでは」の質問

「なぜ秋田県庁ではなく、由利本荘市役所なのですか」
「由利本荘市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも由利本荘市の現状を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「由利本荘市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい由利本荘市の事実答え方のヒント
市の規模と広さ人口69,064人・面積1,209.59km²・人口密度57.1人/km²。県内13市で人口は4番目、面積は最も広く、密度は9番目県庁所在地の秋田市(906.07km²)より広いという比較が、規模を一言で伝えます。広さを述べたあと、その広さが行政サービスにどう効くかまで続けます
なぜ県庁ではなく市役所か試験区分は上級から公務員経験者まで5つ、いずれにも行政職と技術職(土木)が置かれている市は住民の生活基盤を直接担う組織です。土木の技術職が全区分に置かれている事実を引くと、市役所を選ぶ理由が実務に接地します
由利本荘市の魅力日本海に面し、平野から山地までを市域に抱える。県内6市町と山形県の3自治体、計9自治体と接する名所を並べるのではなく、県境をまたいで人が行き来する位置と、海も山もある地形から、暮らしの実感に引きつけて話します
洋上風力由利本荘市沖は845,000kWで2030年12月運転開始予定。県内4海域のなかで最大の出力県レベルで進む事業であって市の事業ではない、と正確に線を引いたうえで、市民の暮らしにどう関わるかへ話を進めると、事実の扱いの丁寧さが伝わります
人口と高齢化令和6年時点の県の高齢化率39.5%は47都道府県で最も高い。令和32年(2050年)には49.9%まで上がると推計され、県人口は直近1年で17,254人(1.95%)減った県の数字をそのまま述べても市の話にはなりません。それが県内で最も広い市域の、どのあたりの現場でどう表れるかまで自分の見立てを足します
試験の性格第一次試験は指定期間のうち希望する日に受験。第二次はどの区分も個別面接で、詳細は第一次合格者へ通知される受験日を自分で決められるということは、仕上げる期限も自分で決めるということです。第一次の準備と並行して面接の中身を固めておく、と言えると説得力が出ます

コツは、6つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、先ほど整理した「由利本荘市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
一人で相手と向き合って話を進める力助けを借りられない場面で、どこまで自分で判断して動いたか第二次試験はどの区分も個別面接です。集団のなかで役割を分け合った話ではなく、自分ひとりが矢面に立った場面を選び、そのときの判断の根拠まで書き出しておく
立場や経歴の違う人と組める柔軟さ自分と前提の違う相手と、どう折り合いをつけたか市は障がい者対象と公務員経験者の区分を常設しています。経歴の異なる人が同じ職場に入る前提ですから、年齢や立場が違う相手と成果を出した経験を用意しておく
離れた場所の事情を想像できる視野目の前にいない人のことを、どこまで考えて動いたか市域は1,209.59km²と県内で最も広く、人口密度は57.1人/km²です。窓口に来られない市民がいるという前提に立って、自分なら何を確かめるかを言えるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。個別面接では逃げ場がないぶん、掘られたときに続きが出てくるかどうかがそのまま評価に表れます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける区分の試験日程表と受験案内を読み、第一次試験の内容と、希望日を選んで受験する方式であることを確認する
  2. 上級を受ける場合は、第一次試験が教養試験と適性検査(テストセンター方式)に変わっている点を踏まえて対策を組み直す
  3. これまでの経験を棚卸しする。学業、部活動、アルバイト、地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 自治体研究のインプットをする。人口69,064人・面積1,209.59km²・人口密度57.1人/km²という輪郭と、県内で最も広い市域という位置づけを、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 第二次試験の詳細が第一次合格後に通知される前提で、個別面接を想定した練習を第一次試験の前から始めておく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、由利本荘市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

由利本荘市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

由利本荘市役所の想定問答集を見る

さいごに

由利本荘市の第二次試験は、どの区分でも個別面接です。第一次試験を自分で選んだ日に受け、通過すればその先の詳細が個別に通知される。

準備の時計を自分で回さなければならない試験だということです。県内で最も広い1,209.59km²の市域に、69,064人が暮らしています。

その一人ひとりに、市役所からどう手が届くのか。沖合で始まる県内最大の計画を、そこに暮らす人の側からどう受け止めるのか。

その二つを自分の言葉にする作業から始めてください。