本記事では、大仙市職員採用試験の面接対策で必要な、大仙市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
大仙市役所の面接試験では、「なぜ大仙市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市政でどう活かしたいか」といった、市政への理解を前提とする質問が想定されます。2027年度採用の上級区分では、筆記にあたるものがSPI3だけで、第2次試験と第3次試験に面接が置かれています。
教養試験も専門試験も作文試験もない構成ですので、対策の重心は最初から人物試験に置くことになります。
本記事を参考に、自分の強みや関心と大仙市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
大仙市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは大仙市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 秋田県の内陸ほぼ中央にあり、人口は県内13市のなかで秋田市、横手市に次ぐ3番目。県全体の人口のおよそ8.1%が大仙市で暮らしている。
- 総面積は866.77km²。秋田県全体の1万1,637km²のおよそ7.4%にあたり、県内13市では6番目の広さ。
- 人口密度は83.4人/km²で、県内13市では7番目。県平均のおよそ74人/km²をわずかに上回る程度で、人口の順位ほどには密度が高くない。
- 隣り合うのは秋田市、由利本荘市、横手市、仙北市、仙北郡美郷町の県内5市町と、県境を越えた岩手県和賀郡西和賀町の計6自治体。県内で人口の多い上位5市のうち3市と接している。
- 本庁舎は大曲花園町にあり、これとは別に神岡、西仙北、中仙、協和、南外、仙北、太田の7つの支所が置かれている。各支所には地域活性化推進室、市民サービス課、農林建設課が配置され、市立大曲病院も市の組織である。
- 市の組織には花火産業推進課と花火伝統文化継承資料館があり、ほかに世界少年野球大会推進室、健幸まちづくり推進室、移住定住促進課、DX推進課などが置かれている。
- 職員数は849人(2026年4月1日時点)。一般行政職の平均年齢は42.1歳、管理職の女性比率は26.9%。
- 令和8年度の一般会計当初予算額は472億7,300万円。市の花はコスモス、市の木はケヤキ。
- 2027年度採用の上級区分は第1次から第3次までの3段階で、第1期日程で受験した人は第2期を受験できない。
大仙市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「大仙市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、大仙市の位置づけを説明できる項目を整理しました。あわせて秋田県全体の数値を並べ、県内での位置を測る物差しとしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 72,318人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 866.77km²(秋田県のおよそ7.4%。県内13市で6番目) |
| 人口密度 | 83.4人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 秋田県大仙市大曲花園町1番1号(大曲庁舎) |
| 庁舎の構成 | 本庁のほか神岡、西仙北、中仙、協和、南外、仙北、太田の7支所。市立大曲病院も市の組織 |
| 隣接自治体 | 秋田市、由利本荘市、横手市、仙北市、仙北郡美郷町、岩手県和賀郡西和賀町(6自治体) |
| 市の花・市の木 | コスモス/ケヤキ |
| 職員数 | 849人(2026年4月1日時点。一般行政職の平均年齢42.1歳、管理職女性比率26.9%) |
| 一般会計当初予算 | 472億7,300万円(令和8年度) |
| (参考)秋田県の総人口 | 865,885人(2026年6月1日現在の推計) |
| (参考)秋田県の総面積 | 1万1,637km²(全国の都道府県で6番目) |
| (参考)秋田県の高齢化率 | 39.5%(令和6年・全国で最も高い) |
大仙市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値です。市の職員採用案内は2026年3月末日時点の人口を71,752人、世帯数を31,394世帯、面積を866.79km²としており、時点も集計の系統も異なります。本記事では県内13市を同じ物差しで比べるため、データベースの値で統一しました。職員数・予算額・庁舎の構成は市の職員採用案内による値です。秋田県の総人口は県の推計人口(2026年6月1日現在)、総面積は秋田県公式サイト、高齢化率は内閣府「高齢社会白書」令和7年版の令和6年の値です。県の平均人口密度と県内13市での順位は当研究会の算出です。数値を用いる際は市公式サイトの最新値をご確認ください。(出典:大仙市職員採用案内|2026年7月作成)総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
大仙市の輪郭は、三つの順位の食い違いに表れています。県内13市のなかで人口は3番目、面積は6番目、人口密度は7番目です。
人口では上位にいるのに密度では真ん中より下という並びは、人が広い範囲に散らばって暮らしている市であることを意味します。秋田県全体の865,885人と1万1,637km²から計算した県平均はおよそ74人/km²ですから、大仙市の83.4人/km²は県の平均をわずかに上回る程度にとどまります。
(出典:秋田県の人口と世帯(推計)|令和8年6月1日現在/秋田県の紹介(県土と地形)|秋田県)
隣り合う市と並べると、位置づけがはっきりします。秋田市はおよそ320人/km²、横手市は114人/km²で、いずれも大仙市の83.4人/km²を上回ります。
一方、由利本荘市は57.1人/km²、仙北市は20.4人/km²で、大仙市を下回ります。密度の高い市と低い市の両方に接しているという位置は、この市を語るときの足場になります。
本庁のほかに7つの支所が置かれ、そのすべてに市民サービス課と農林建設課があるという組織の姿は、この散らばりへの答えでもあります。窓口も、農地や道路を見る担当も、市域の各所に置いておかなければ暮らしが回りません。
組織図は市の地理を映した図でもあるという見方ができると、自治体研究は一段面白くなります。
もう一つの前提が、県全体の人口の動きです。秋田県の人口は2026年6月1日現在で865,885人。
直近1年間(2025年6月から2026年5月まで)で17,254人、率にして1.95%減りました。内訳は自然減が13,200人、社会減が4,054人です。
高齢化率は令和6年時点で39.5%と全国で最も高く、令和32年(2050年)には49.9%まで上がると推計されています。人が減り、そのなかで高齢の方の割合が増える二つの変化が、全国のどこよりも速く進んでいる県だということです。
面接では、次のように話せます。
大仙市の経済・産業
秋田県の経済規模と大仙市の位置
地域経済の話は、県という単位まで引くと輪郭がはっきりします。大仙市の産業を考える前に、秋田県全体の規模と構成を確かめておきましょう。
- 秋田県の県内総生産は名目3兆5,453億円(令和3年度・前年度比2.2%増)。
- 経済活動別では第1次産業897億円、第2次産業9,163億円(うち製造業6,230億円)、第3次産業2兆5,461億円。
- 県内総生産の対全国シェアは0.64%で、全国の経済のおよそ160分の1にあたる。
つまり、「県全体を合わせても全国の1%に届かない規模のなかで、第3次産業が7割強を占める」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:秋田県民経済計算|令和3年度)
気をつけたいのは、これらがすべて県の数字だということです。県の総生産をそのまま持ち出しても「県の話」で終わります。
面接で効くのは、県の規模感を土台に語られる大仙市の話だけです。
農林業への特化と、医療・福祉という雇用の受け皿
産業の構成をもう少し細かくみると、秋田県の特徴がはっきりします。付加価値額の特化係数(全国水準を1としたときの偏りを示す値)でみると、農業・林業が3.64と全国水準を大きく上回る一方、製造業は0.76にとどまります。
業種別の付加価値額の割合でも、医療・福祉が20.9%(全国平均比プラス11.1ポイント)、建設業が11.2%(同プラス4.8ポイント)と高く、製造業は17.4%(同マイナス5.6ポイント)と低い水準です。(出典:秋田県の産業分析|秋田県。いずれも2012年の基準による値です)
この構造は、大仙市の組織にも重なって見えます。7つの支所のすべてに農林建設課が置かれているのは、農地と生産基盤が市域の全域に広がっていることの裏返しです。
医療・福祉の割合の高さは、高齢化率が全国で最も高いという県の姿と表裏であり、市が市立大曲病院を持つことも、この文脈で読めます。
花火を「産業」として担当課に持つ市
大仙市の組織で目を引くのが、経済産業部に置かれた花火産業推進課と、花火伝統文化継承資料館の存在です。イベントの時期だけ動く実行委員会ではなく、産業として推進する常設の課の名称に花火が入っている点が、この市の際立った特徴です。
観光文化スポーツ部には世界少年野球大会推進室も置かれています。
面接でこの点に触れるなら、名所としてではなく行政の仕事として語りたいところです。産業として推進するという言い方には、担い手を育てる、技術を継承する、来訪者を受け入れる体制を整える、といった継続的な仕事が含まれます。
一日のにぎわいを、一年を通じた雇用や技術の継承につなげられるかという問いは、市の産業振興そのものです。
また、大仙市は日本海に面していない内陸の市です。秋田県の県土は奥羽山脈や出羽山地などの山地と、秋田平野・能代平野などの平野、大館盆地・横手盆地といった盆地から成り立ち、県内には13の市、9つの町、3つの村があります。
港や海の資源に直接ひもづく仕事とは距離がある一方、6つの自治体と接し、県内の主要な市とのあいだで人が行き来する位置にあります。暮らしの動きが市の境で止まらないという前提は、移住定住の話題の出発点になります。
大仙市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、大仙市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
全国で最も高い高齢化率のもとで進む人口減少
秋田県の高齢化率は令和6年時点で39.5%と、47都道府県のなかで最も高い水準にあります。最も低い東京都の22.7%とは17ポイント近い開きがあり、令和32年(2050年)には49.9%まで上がると推計されています。
全国で最初に「県民の半分近くが65歳以上」という段階に入る県だ、ということです。(出典:高齢社会白書|令和7年版)
人口そのものの動きも急です。令和2年国勢調査の人口は前回の平成27年調査から63,617人減、減少率6.2%で、減少数・減少率とも過去最大でした。
減少率が全国で最も大きいのは、これで5回連続です。県人口ビジョンは、人口が昭和31年(1956年)の約135万人をピークに減少へ転じ、令和7年(2025年)には約87万9千人になったことを課題として明記しています。
大仙市で仕事を語るなら、事業を増やす話だけでなく、限られた人手をどこに厚く置くかという判断まで視野に入れておきたいところです。(出典:秋田県人口ビジョン|令和8年3月改訂)
若い世代の転出超過と、移住定住という打ち手
秋田県は昭和26年(1951年)の調査開始以降、一貫して社会減が続いてきました。平成5年(1993年)には初めて死亡数が出生数を上回り、自然減の状態に入っています。
令和7年(2025年)は自然減14,019人、社会減3,408人。直近1年間(2025年6月から2026年5月まで)でみても、県内への転入11,191人に対して県外への転出は15,245人です。
転出は、進学や就職の時期に集中して起こります。大仙市の企画部に移住定住促進課と地域活動応援課が置かれ、経済産業部に商工業・若者チャレンジ振興課が置かれているのは、この流れに正面から向き合うための配置だと読めます。
県外へ出る道があるなかで、あえて大仙市役所を選ぶ理由は、面接で必ず確かめられます。市内出身の方なら「なぜここに残る(戻る)のか」、市外出身の方なら「なぜこの市なのか」という形で問われます。
内陸の市としての災害への備え
秋田県が平成25年8月に取りまとめた地震被害想定調査では、県に影響を及ぼす地震として、日本海東縁部の地震と陸域の活断層による地震(能代断層帯、横手盆地東縁断層帯、北由利断層など)の計27パターンが想定されています。被害が最大となるのは、マグニチュード8.1・最大震度7の横手盆地・真昼山地連動地震です。
冬の深夜に発生した場合の想定は、県内死者数4,524人、建物全壊72,594棟、1か月後の避難者数が約9万人にのぼります。(出典:秋田県地震被害想定調査(概要版)|平成25年8月)
これらは秋田県全体の想定値であって、大仙市単独の被害想定ではありません。ただ、866.77km²の市域を本庁と7つの支所で分担している市にとって、災害時にどこで何が起きているかを把握する仕事は、平時の組織の形と地続きです。
新規採用職員の研修に防災が組み込まれていることも、この文脈で理解できます。防災に触れるときは、県の想定に軽く触れたうえで、支所を含めた体制で市民の安全を確かめる現場へ話を進めましょう。
限られた財源で、広い市域と8つの庁舎を支える
大仙市の令和8年度一般会計当初予算額は472億7,300万円です。この規模の財源で、866.77km²の市域と本庁を含む8つの庁舎、市立大曲病院を含む組織を動かしています。
職員数は849人(2026年4月1日時点)ですから、単純に割れば職員1人あたりおよそ82人の市民を支える計算です。
面接で財政の細かい議論をする必要はありません。ただ、この前提を知っているかどうかで「やりたいこと」の語り方は変わります。
新しい事業を提案する形で志望を語るなら、その財源をどこから持ってくるのかという問いが返ってくると考えておきましょう。市が求める資質のひとつにコスト意識が挙げられているのも、この現実の裏返しです。
働き方を変えながら、人材をどう確保するか
大仙市は働き方改革の取組みとして、令和8年4月から時差出勤制度を導入しています。午前7時30分の始業から午前10時30分の始業まで、AからFまでの6区分が設けられました。
あわせて令和8年5月からは、各庁舎8カ所でサテライトオフィス勤務を試験的に実施しています。
実績の数字も公表されています。職員の月平均時間外勤務は7.8時間(2025年度実績)、年次有給休暇の平均取得日数は13.4日(2025年実績)、育児休業の取得率は100.0%(2025年度実績)。
管理職に占める女性の割合は26.9%(2026年4月1日時点)です。庁舎が分散していることを、働き方の面では強みに変えようとしていると読めます。
制度の名前を挙げるだけでなく、広い市域を持つ市がそれをどう使いこなそうとしているのかという視点まで持っておきましょう。
大仙市の重点政策|組織が示す重点分野と求める職員像
大仙市の総合計画や個別計画の名称と内容は、市の公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市が採用案内で公表している組織の姿と、求める能力・資質を組み合わせて、市政を理解する土台をつくります。
課と室の名前に表れた重点分野
市の重点がどこにあるかは、組織図を見るとかなりの部分が分かります。
| 部 | 置かれている課・室・施設 | 読み取れる重点分野 |
|---|---|---|
| 経済産業部 | 花火産業推進課、花火伝統文化継承資料館、商工業・若者チャレンジ振興課 | 花火を産業として推進する体制と、若い世代の挑戦への支援 |
| 観光文化スポーツ部 | 世界少年野球大会推進室 | 大会の受け入れを通じた交流とスポーツによる活性化 |
| 健康福祉部 | 健幸まちづくり推進室 | 高齢化が全国で最も進んだ県で、健康づくりを柱に置く姿勢 |
| 企画部 | 移住定住促進課、地域活動応援課 | 社会減への対応と、地域の担い手を支える仕組みづくり |
| 総務部 | DX推進課、アーカイブズ | デジタル化による業務の見直しと、市の記録を残し活かす取組み |
| 各支所(7カ所) | 地域活性化推進室、市民サービス課、農林建設課 | 広い市域のそれぞれで窓口と地域振興と生産基盤の管理を担う体制 |
計画名を暗記していなくても、この表の並びから市の関心の在りかは説明できます。花火、スポーツ、健康づくり、移住定住、デジタル化という五つが、課や室の名前として組織に刻まれているということです。
志望動機は、この五つのどれかに自分の経験を接続しましょう。
大仙市が公表する「求める能力・資質」
大仙市は、職員に求める能力・資質として次の4つを公表しています。(出典:大仙市職員採用案内|2026年7月作成)
- 創造性
行政の問題を自ら発見して解決策を考え、条例や予算等の具体的な措置を通じて政策を実行していく能力。 - 市民感覚
市民と同じ目線で物事をみて、市民と行政が一緒に考え行動すること。市の仕事は最大のサービス業と捉える姿勢。 - コスト意識
日頃からコスト削減に努め、費用対効果を常に考慮して政策を立案・実施すること。 - チャレンジ
柔軟な発想・工夫により新たな解決方法を探り出し、課題を解決するチャレンジ精神。
さらに採用案内は、求める人物像として「これからの大仙市をわたしが創っていきたいという強い思いを持っている方をお待ちしています」と明記しています。主語が「わたし」になっているところが、この文言の要です。
市がやってくれることへの期待ではなく、自分が何を担うつもりなのかを語れるかどうかが見られている、と読めます。
採用後に何を学び、どこへ配属されるか
採用案内は、入庁後の育成の姿も具体的に示しています。新規採用職員研修では、4月に服務、人事評価、マナーを学び、業務システムの研修を受け、組織、財政、防災、総合計画を学びます。
加えて秋田県自治研修所で、秋田県や他市町村の職員との合同研修が前期と後期に行われます。職場ではOJT指導担当とOJTリーダーによる指導があります。
事務職の配属先は税、住民登録、福祉など直接市民と接する職場が多いと明記されています。人事異動は毎年4月で、若いうちから幅広い業務を経験できるよう概ね3年から5年のサイクル。
毎年12月頃に自己申告書で本人の希望が確認されます。特定の分野だけをやりたいという形で志望を語ると、この実際の姿と噛み合わなくなります。
POINT|計画名を言えなくても、面接の準備はできる
大仙市の場合、①人口72,318人・面積866.77km²・県内13市で人口3番目という輪郭をつかむ → ②本庁と7支所という組織の形を市域の広さと結びつけて理解する → ③五つの重点分野から自分に近いものを選ぶ → ④創造性・市民感覚・コスト意識・チャレンジの4つに自分のどの経験が対応するかを書き出す、という順で進めるのが近道です。
悪い例「大仙市の地域振興に貢献したいです」
改善例「大仙市は本庁のほかに7つの支所があると知りました。市域が広くて、人の暮らしが一か所に集まっていないからだと思います。まずは窓口で市民の方のお話を正確に受け止められるようになりたいです。そのうえで、市役所まで来るのが大変な方にも同じ説明が届くように、先輩に教わりながらやり方を考えていきたいと思っています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
- 大仙市職員採用試験の受験案内(第1期と第2期、上級と中級・初級ほかで別に公表されます)
- 大仙市の職員採用案内(組織図、求める能力・資質、初任給や休暇の条件がまとまっています)
- 大仙市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
- 市サイトには大曲仙北広域市町村圏組合の採用試験も掲載されますが、これは別団体の採用です
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大仙市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大仙市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
大仙市役所の面接の概要
ここからは、大仙市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
大仙市役所の試験の流れ(2027年度採用・上級)
2027年度採用(正式採用は令和9年4月1日)の上級事務・上級技術の受験案内は、試験を第1次から第3次までの三段階と定めています。際立っているのは筆記の軽さです。
受験案内の日程・内容・会場欄に並ぶのはSPI3と面接試験2回だけで、教養試験も専門試験も作文試験も課されません。
案内には「2次試験・3次試験は、人物重視の面接試験を実施します。」と明記されています。
| 項目 | 内容(2027年度採用・第2期/上級事務・上級技術) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験・第3次試験の三段階 |
| 採用予定者数 | 上級事務、上級技術(土木・建築・機械)いずれも若干名 |
| 第1次試験 | SPI3(性格検査、基礎能力検査、構造的把握力検査)。SPIテストセンターのリアル会場またはオンライン会場で、受験者が選ぶ日時に受験します |
| 第2次試験 | 面接試験(WEB)。会場は「ご自宅等のPC」と示されています |
| 第3次試験 | 面接試験(対面)。会場は大仙市役所大曲庁舎 |
| 教養・専門・作文 | 上級区分では課されません。筆記に相当するのは第1次のSPI3のみです |
| 面接の形式 | 個人面接か集団面接かの別、面接官の人数、所要時間、集団討論の有無は公表されていません |
| 配点 | 各試験の満点、人物試験の比重、合計点は受験案内・採用案内のいずれにも記載がなく非公表です |
| 結果の開示 | 各試験の不合格者は、本人に限り総合得点と総合順位を確認できます。合格発表の日から1か月以内に大仙市役所総務部総務課へ。電話・はがき・メール等での開示や写しの交付は行われません |
| 申込方法 | 「必ずインターネットで申し込んでください。持参、郵送その他の方法では受付できません。」とされ、スマート申請サービスから申し込みます。その後SPI3の受験依頼メールで受験番号が通知され、テストセンターの予約へ進みます |
| 受験資格 | 平成11年4月2日以降に生まれた人で、大学(短期大学を除く)卒業または令和9年3月31日までの卒業見込み。技術は当該専門課程の3科目以上の取得が必要。日本国籍を有しない人、地方公務員法第16条の欠格条項に該当する人、第1期日程で受験した人は受験できません |
| 合格発表と採用 | 市ホームページと大曲庁舎の掲示場に受験番号を掲示するほかメールでも通知(第3次は合格者のみ文書でも通知)。最終合格者は採用候補者名簿に登録され、令和9年4月1日以降、欠員の状況に応じて採用されます。名簿の有効期間は1年で、補欠合格が決定される場合もあります。採用までに普通自動車免許の取得が求められます |
| (参考)初任給と勤務条件 | 大学卒 月233,844円(職務経験等により加算あり)。勤務時間は8時30分から17時15分、年次有給休暇は年20日 |
この表から読み取れることが二つあります。一つは、面接が2回あり、1回目は自宅等のPCによるWEB面接、2回目は大曲庁舎での対面と形式が違うことです。
画面越しで伝わる話し方と、対面で伝わる話し方は同じではありません。もう一つは、配点が公表されていない一方で、不合格になった場合には本人が総合得点と総合順位を確認できる制度が用意されていることです。
上記は大仙市の2027年度採用(第2期・上級事務/上級技術)の受験案内と職員採用案内にもとづく内容です。面接試験の形式(個別面接・集団面接・集団討論の別)、面接官の人数、所要時間は公式資料に記載がなく未確認です。面接カードに相当する提出書類の名称・様式も、受験案内・採用案内には記載がありません。また大仙市は同一年度内に複数の期・区分(第1期/第2期、上級/中級・初級ほか、アーキビスト、任期付職員、通年募集)で試験を実施し、期と区分によって内容が異なります。中級・初級ほかと通年募集の試験構成は未確認で、上級と同じとは断定できません。市サイト上には「令和8年度職員採用試験」と「2027年度採用」の両表記が併存しますので、自分が受ける区分を必ず特定してください。試験の構成・区分・日程等は年度によって変わりますので、受験の際は最新の受験案内でご確認ください。(出典:大仙市職員採用試験案内(第2期)|2026年度実施)
大仙市役所が求める人物像
大仙市は求める能力・資質を4つ公表し、あわせて「これからの大仙市をわたしが創っていきたいという強い思いを持っている方」という人物像を明示しています。人物像を公表していない自治体も多いなかで、これは受験者にとって有利な条件です。
ただし、4つの言葉をそのまま自己PRに使うと、かえって浅く響きます。市はどの資質についても、説明文で「行政の問題を自ら発見して」「市民と一緒に考え行動する」「費用対効果を常に考慮して」と、行動の中身まで書き込んでいるからです。
評価されるのは資質を名乗ることではなく、その資質に対応する行動を自分が実際にとった場面を語れるかどうかです。資質の名前を出したあとに、それを使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大仙市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日の接続の具合はいかがですか。音声は届いていますか | 用意のない問いかけへの応じ方。WEB面接では、環境を整えてきたかがここで分かります |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください | 比べたうえでの選択になっているか。動機が自分の来し方と地続きか |
| ③ 自己理解 | 自分の短所を一つ挙げて、どう付き合っているか教えてください | 弱さを言い切れるか。認めたうえで手を打っているところまで話せるか |
| ④ 経験・行動 | やり方を工夫して物事を前に進めた経験を教えてください | 市が挙げる「チャレンジ」に対応する場面。工夫の中身と結果まで説明できるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れたことを、専門を知らない人にも伝わるように話してください | 相手に合わせて言い換える力。学んだことを市の仕事へつなぐ視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 3年から5年ごとに担当が変わる異動をどう受け止めていますか | 市の人事の仕組みを知ったうえで働く姿を描けているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近見聞きした出来事で、印象に残っているものはありますか | 社会の動きに目を向けているか。自分の受け止めを短い言葉にできるか |
ただし、この7カテゴリーは大仙市に限らず全国の官公庁でほぼ共通で、受験者全員が対策してきます。差がつくのは、次の「大仙市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「大仙市役所ならでは」の質問
どちらも大仙市の現状を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「大仙市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい大仙市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と広がり | 人口72,318人・面積866.77km²・人口密度83.4人/km²。県内13市で人口は3番目、面積は6番目、密度は7番目 | 順位を三つ並べると、人口では上位なのに密度は真ん中より下という食い違いが見えます。人が散らばって暮らしている市だという読み方まで添えます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 事務職は市税の賦課徴収、地域振興、住民登録、環境対策、障がい者支援、子育て支援、産業・観光の振興、教育、防災に従事し、配属先は市民と直接接する職場が多い | 市民と直接接する職場から始まるという採用案内の記述を引くと、市役所を選ぶ理由が実務に接地します。県との違いは、権限の上下ではなく市民との距離で語ります |
| 大仙市の魅力 | 経済産業部に花火産業推進課と花火伝統文化継承資料館、観光文化スポーツ部に世界少年野球大会推進室が置かれている | 行事の名前を挙げるだけでは観光客の感想になります。花火を産業として推進する常設の課があるという事実から、担い手の育成や技術の継承という行政の仕事へつなげます |
| 広い市域とサービス | 本庁のほか神岡、西仙北、中仙、協和、南外、仙北、太田の7支所があり、各支所に地域活性化推進室、市民サービス課、農林建設課を配置 | 支所の存在は暗記事項ではなく、市の地理への答えです。市役所まで来ることが難しい市民にどう同じ質を届けるか、という問題設定に使えます |
| 人口と高齢化 | 秋田県の高齢化率は令和6年時点で39.5%と全国最高。令和32年(2050年)には49.9%と推計。県人口は直近1年で17,254人(1.95%)減少 | 全国最高という事実だけなら誰でも言えます。健幸まちづくり推進室や移住定住促進課という市の配置と重ねると、県の課題を市の仕事に引き寄せられます |
| 試験の性格 | 筆記に相当するのはSPI3のみで、第2次(WEB)と第3次(対面)に人物重視の面接が置かれる。配点は非公表だが、不合格者は総合得点と総合順位を確認できる | 筆記の負担が軽いぶん、面接の完成度がそのまま結果に出ます。同じテーマを2回、形式を変えて問われる前提で、話す内容の芯を一つに固めておきます |
コツは、6つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、市が公表している4つの能力・資質に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 創造性 | 決まったやり方が通じない場面で、問題をどう見つけ、どんな手を考えたか | 市は「行政の問題を自ら発見して」と書いています。指示された改善ではなく、自分が最初におかしいと気づいた場面を選び、気づいた根拠まで説明できるようにしておく |
| 市民感覚 | 相手の立場が自分と違う状況で、どこまで話を聞き、何を変えたか | 市は「市の仕事は最大のサービス業」と言い切っています。配属先が税や住民登録など市民と直接接する職場から始まる点も踏まえ、対応の中身を一場面まで具体化しておく |
| コスト意識 | 限られた時間やお金のなかで、どこに力を配分したか | 令和8年度の一般会計当初予算は472億7,300万円、職員は849人。この規模で866.77km²を支える前提を知ったうえで、優先順位をつけた経験を用意しておく |
| チャレンジ | 新しい方法を試したときの動機と、うまくいかなかったときの立て直し方 | 市自身が令和8年から時差出勤制度とサテライトオフィス勤務を試している最中です。自分が試して学んだことを、結果の良し悪しを含めて話せるようにしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。大仙市は第2次と第3次の両方に面接が置かれていますから、同じテーマを別の形式で問い直される前提で備えましょう。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておくことです。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける期・区分・年度の受験案内を特定し、申込がスマート申請サービスからのインターネット受付のみであることを確認する
- SPI3の性格検査・基礎能力検査・構造的把握力検査に一通り触れ、テストセンターのリアル会場とオンライン会場のどちらで受けるかを決めておく
- これまでの経験を棚卸しし、創造性・市民感覚・コスト意識・チャレンジの4つに、それぞれ対応する場面を1つずつ割り当てる
- 7カテゴリーの代表質問に一言メモで答えを作る。異動が3年から5年のサイクルである点を踏まえ、配属の希望が通らない場合の答えも用意しておく
- 自治体研究のインプットをする。人口72,318人・面積866.77km²・本庁と7支所という輪郭と、五つの重点分野を、自分の言葉で説明できるようにする
- 第2次のWEB面接を想定し、自宅等のPCで声を出して練習する。画面越しの見え方と聞こえ方を確かめたうえで、第3次の対面を想定した練習に移る
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大仙市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
大仙市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
大仙市の上級区分は、筆記にあたるものがSPI3だけで、あとは人物重視の面接が2回という構成です。教養試験の得点で差をつける余地が小さいぶん、話す内容の芯がそのまま結果に表れます。
「これからの大仙市をわたしが創っていきたい」という採用案内の一文に、自分なりの中身を入れられるかどうか。人口72,318人が866.77km²に散らばり、本庁と7つの支所がそれを支えるまちで、自分はどの現場に立ちたいのか。
そこを言葉にしていきましょう。