本記事では、岩手県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、岩手県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢重点方針面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

岩手県警察の面接試験では、「なぜ岩手県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。岩手県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、岩手県ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と岩手県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

岩手県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは岩手県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 岩手県全域を管轄する県警察で、管轄人口は約113万人。北海道に次ぐ広さの県土を、ひとつの警察組織で受け持つ。(出典:岩手県の人口・経済
  • 管轄面積は15,275.04平方キロメートルで、北海道に次ぐ全国2位の広さ。本州の北東部に南北へ長く広がり、奥羽山脈のある内陸部と、リアス式海岸を含む沿岸部とで、地理も治安需要も大きく異なる。(出典:岩手県の面積・気候
  • 県内には世界遺産「平泉」や三陸の海岸線など観光資源が広がる一方、県北・沿岸地域では人口減少が特に速く進み、地域コミュニティの維持が課題になっている。
  • 組織は、盛岡市内丸に置かれた警察本部(警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部などの部)のほか、警察学校と、県内各地の第一線を担う警察署で構成される。
  • 2011年の東日本大震災津波で沿岸部が甚大な被害を受けた被災県であり、「被災者に寄り添う警察活動」が組織の基軸に据えられている点が、他の都道府県警察には見られない大きな特徴。
  • 復興道路として三陸沿岸道路(仙台〜八戸、約359キロメートル)が令和3年12月に全線開通するなど、沿岸と内陸を結ぶ交通網が整い、人と車の流れも変わってきた
  • 令和8年中は盛岡市で東北絆まつりの開催が予定され、被災地関連施設への要人来訪も見込まれるなど、警備・交通対策の面で大きな行事が控える。

岩手県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「岩手県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄区域、管轄人口、県土の広さ、犯罪情勢など、組織の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
管轄区域岩手県全域(本州で最も広い県)
管轄人口約113万人(1,126,813人・令和7年10月1日現在)
管轄面積15,275.04平方キロメートル(北海道に次ぐ全国2位)
本部所在地盛岡市内丸
組織警察本部(警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部などの部)/警察学校/県内の警察署
刑法犯認知件数3,351件(令和7年・前年比約1%増)
刑法犯検挙率49.5%(令和7年)

管轄人口は岩手県「岩手県の人口・経済」(令和7年10月1日現在)、管轄面積は岩手県「岩手県の面積・気候」、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)・検挙率は岩手県警察の犯罪統計(令和7年確定値)にもとづく数値です。警察署の数など組織の詳細は、最新の岩手県警察の公表資料でご確認ください。

数字から考えられる治安課題

岩手県警察が約113万人の暮らしを受け持つ管内では、刑法犯認知件数は令和7年で3,351件(前年比約1%増)と、近年は増加傾向からやや横ばいへと落ち着いています。ただし数字が横ばいでも、安心はできません。

押さえておきたいのは、全国2位の広い県土を限られた人員で守りながら、県北・沿岸を中心に人口減少と高齢化が全国以上の速さで進む、という組み合わせです。

件数の多さより、地域ごとに事情が違うことをどう受け止めるかが問われます

たとえば面接では、岩手県の治安の現状について説明する際、次のように数字と地域の姿を結び付けられます。

「岩手県は北海道に次いで面積が広い県で、内陸から沿岸まで地域の事情がずいぶん違うと聞きました。刑法犯の認知件数はここ数年3千件台で大きくは増えていませんが、高齢化が進む中で特殊詐欺の被害は増えていると聞いていますので、地域ごとの実情に合わせた見守りや声かけが、これまで以上に大切になるのではと感じています」

岩手県の治安情勢

刑法犯認知件数の状況

岩手県内の刑法犯認知件数は、令和7年で3,351件(前年比約1%増)でした。全国で見られた増加傾向とは異なり、近年は増加傾向からやや横ばいで推移しています。

罪種別では侵入盗が224件(令和7年認知)と、住宅などを狙う身近な財産犯が一定数を占めており、地域に密着した抑止活動の重みは変わりません

刑法犯の検挙率

件数とあわせて押さえたいのが検挙の状況です。刑法犯全体の検挙率は49.5%(令和7年)で、認知件数のおよそ半数を検挙しています。

件数が急増する局面ではない一方、殺人8件・強盗5件(いずれも令和7年認知)といった県民に強い不安を与える重要犯罪も発生しており、一件ごとに確実な検挙を積み重ねることが求められます。面接では、検挙(起きた犯罪への対応)と抑止(犯罪を発生させない取組)の両輪で治安を語れると、仕事理解の深さが伝わります。

特殊詐欺・SNS型投資詐欺の被害

岩手県警察の運営重点は、特殊詐欺およびSNS型投資・ロマンス詐欺の被害が認知件数・被害額ともに急増していると指摘しています。被害者は高齢層の割合が高く、高齢者とその家族に、より分かりやすく効果的な方法で注意を呼びかけることが課題です。志望動機で詐欺対策に触れるなら、この「手口が変わり、被害が広がっている」という現状が出発点になります。(出典:岩手県警察運営重点|令和8年

交通事故の情勢

岩手県の交通死亡事故は、高齢ドライバーが第1当事者となる割合が高い水準で推移しています。交通事故の全死者に占める高齢者の割合は6割を超え、全国平均を上回る状況が続いており、高齢者が関係する交通死亡事故の抑止が大きな課題です。

加えて、令和8年4月からは自転車に対する交通反則通告制度が適用されるため、自転車の交通ルールの徹底も新たなテーマになります

サイバー空間の脅威

フィッシングによる不正送金や、SNSを入口とする詐欺など、犯罪の多くはサイバー空間を舞台に広がっています。県内のサイバー犯罪検挙件数は令和6年で131件(前年比プラス47件)と増加し、サイバー犯罪等に関する相談は2,873件(前年比マイナス458件)に上りました。

岩手県警察が「能動的サイバー防御の推進」を活動重点に掲げているのは、この領域の深刻さの表れです。デジタル分野の知識や経験がある人にとっては、志望動機と接続しやすいテーマでもあります

岩手県の主な治安課題

ここまでの数字と情勢を踏まえると、岩手県警察が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「岩手県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

被災地の復興と被災者に寄り添う警察活動

2011年の東日本大震災津波は、岩手県内に死者4,672人・行方不明者1,122人(合計5,794人)という甚大な被害をもたらしました(平成29年2月末現在)。

行方不明者の家族や生活再建に取り組む被災者にとって、復興は今も道半ばであり、岩手県警察は「被災者に寄り添う警察活動」を活動重点の筆頭に掲げています。

人口減少で地域コミュニティが希薄になる沿岸部で、行方不明者の捜索や身元不明遺体の身元割り出し、見守り活動や防犯座談会など、震災の教訓を風化させない活動が続いています。他県にはない、岩手ならではの最重要課題です。(出典:いわて震災津波アーカイブいわて県民計画(2019〜2028)

子供・女性・高齢者を狙う犯罪への対処

子供や女性に対する声かけ、ストーカーや配偶者からの暴力、児童や高齢者への虐待といった、命や身体に関わる事案は依然として高止まりの状況にあります。とりわけ高齢者を狙う特殊詐欺の被害と、その予兆となる不審な電話などが後を絶ちません。

関係機関や地域と連携した通学路の見守りに加えて、高齢者とその家族への分かりやすい注意喚起を、いかに継続できるかが問われています。

悪質・重要犯罪と匿名・流動型犯罪グループの台頭

殺人・強盗・放火などの凶悪犯罪に加え、性犯罪が高止まりし、若年層への広がりが深刻な大麻事犯などの摘発も強く求められています。近年はさらに、SNSの「闇バイト」で募集された実行役が、特殊詐欺や組織的な強盗・窃盗を広域的に繰り返す匿名・流動型犯罪グループが台頭しています。

指示役が匿名の陰に隠れ、末端の実行役だけが入れ替わる構造のため、実行役の検挙だけでは被害が止まらないことが、対策を難しくしています。

高齢化を背景とした交通事故の抑止

岩手県の交通死亡事故は、高齢ドライバーが第1当事者となる割合が高く、全死者に占める高齢者の割合は6割を超えて全国平均を上回っています。

運転する側だけの問題ではなく、令和8年4月に始まる自転車への交通反則通告制度も踏まえ、自転車利用者や歩行者を含めた、すべての道路利用者の意識にどう働きかけるかが課題です。目に見える街頭活動で安全意識を高める取組が重視されています。

大規模災害・テロへの備え

激甚化する風水害・土砂災害や、大規模地震・津波への備えは、被災県である岩手にとって切実な課題です。県の地震・津波被害想定調査(令和4年9月公表)は、最大規模の想定で県全体の死者を約7,100人(人的被害の多くは津波による)と見込んでおり、災害用資機材の整備と実践的な訓練による対処能力の向上が欠かせません。(出典:岩手県地震・津波被害想定調査|令和4年

あわせて、県の観光入込客数は令和6年に延べ約2,644万人回(前年比12.8%増)と回復傾向にあり、令和8年には盛岡市で東北絆まつりの開催も予定されています。人が集まる場所の雑踏警備や、要人来訪・大規模イベントを標的とするテロの未然防止も、開催地の警察にとって大きな仕事です。(出典:観光入込客数|令和6年

重点方針|令和8年岩手県警察運営重点

岩手県警察は、毎年の警察活動の指針として『岩手県警察運営重点』を定めています。令和8年版は、基本姿勢に「県民の期待と信頼に応える力強い警察」を掲げ、その下に7つの活動重点を置く構成です。(出典:岩手県警察運営重点|令和8年

方針を貫く考え方

令和8年の運営重点でまず目を引くのは、活動重点の筆頭に「被災者に寄り添う警察活動」を据えている点です。被災地を抱える岩手ならではの姿勢であり、震災の教訓を風化させないという組織の意志が表れています

もう一つの柱は、変わり続ける犯罪情勢への対応です。特殊詐欺やSNS型投資詐欺、闇バイトによる匿名・流動型犯罪グループ、サイバー空間の脅威など、新しい形の犯罪に組織全体で立ち向かう姿勢が打ち出されています。

面接で「どんな警察官になりたいか」を考えるときも、この2つの視点は手がかりになります

7つの活動重点

活動重点は次の7項目です。あわせて、それぞれが指す内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。

活動重点(公式の項目名)受験生向けの解説
① 被災者に寄り添う警察活動の推進行方不明者の捜索や身元不明遺体の身元割り出し、見守り活動や防犯座談会など、震災の教訓を踏まえ被災者・県民に寄り添った活動を続ける
② 子供・女性・高齢者の安全を確保するための活動の推進声かけ・ストーカー・DV・虐待などの人身安全事案への対処と、高齢者を狙う特殊詐欺被害を防ぐ注意喚起
③ 悪質・重要犯罪の徹底検挙凶悪犯罪・性犯罪・薬物事犯や、闇バイトを使う匿名・流動型犯罪グループの摘発
④ 安全意識を高める目立つ街頭活動及び交通指導取締りの推進高齢者が関係する交通死亡事故の抑止、自転車の交通ルール徹底、目に見える街頭活動
⑤ 災害等への的確な対応及びテロ未然防止対策の徹底風水害・地震津波など大規模災害への対応力向上と、大規模イベント・要人来訪時のテロ未然防止
⑥ 能動的サイバー防御の推進サイバー犯罪の捜査・実態解明・解析能力の高度化と、産学官の連携による被害防止
⑦ 職員一人一人が輝ける魅力ある職場環境の実現業務の合理化、働きやすい職場づくり、女性職員の活躍推進などによる組織力の維持・向上

面接では、自分の取り組みたい仕事がこの7つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。各活動重点の詳しい設定趣旨は、岩手県警察の公式ページで確認できます。

POINT|7つの活動重点をすべて暗記しなくてよい

項目名を丸暗記することが組織研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①岩手で何が起きているか(数字・現状) → ②県警察はどう対処しようとしているか(活動重点) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順で調べましょう。

悪い例「地域の安全を守れる警察官になりたいです」

改善例「まずは交番の地域警察官として、住民の方の声を聞くところから始めたいです。岩手は交通事故で亡くなる方に高齢者が多いと聞きましたので、いずれは高齢の方への声かけや、目立つ街頭での見守りにも力を入れていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 警察官採用試験の受験案内(試験種目・受験資格・申込方法)
  • 岩手県職員募集案内・岩手県警察の採用ページ(仕事内容と職員の声)
  • 令和8年岩手県警察運営重点(基本姿勢と7つの活動重点)
  • 犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、岩手県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。岩手県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

岩手県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

岩手県警察の面接の概要

ここからは、岩手県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

岩手県警察の面接の流れ

岩手県警察官の採用試験(警察官A)は、筆記試験と適性検査による第1次試験と、その合格者に対して行う第2次試験(人物試験など)の2段階で実施されます。人柄や適性をみる人物試験は第2次試験の種目であり、面接の具体的な形式や配点までは公表資料に示されていないため、詳細は必ず最新の受験案内で確認してください。

項目内容(警察官A区分)
試験の段階第1次試験(筆記試験・適性検査)→ 第2次試験(人物試験など)の2段階
論(作)文試験作文(1題)・試験時間60分。近年はおおむね800字程度・12行以上で回答する出題が続く
人物試験第2次試験で実施される、人柄・適性をみる試験
面接の形式・配点個別・集団の別や各種目の配点などの詳細は、最新の受験案内でご確認ください

注目したいのは、筆記試験と適性検査を終えた先の第2次試験に人物試験が置かれている点です。第1次試験を通過したあとに人物面が本格的に見られる構成のため、筆記対策と並行して、早い段階から面接の準備を進めておくことが大切です。

上記の試験構成は、岩手県職員募集案内で公表された令和8年度の警察官A採用試験にもとづくものです。面接(人物試験)の形式・回数や各種目の配点は、公表されているHTML資料では確認できず、詳細は受験案内(PDF)に集約されています。試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があるため、受験の際は必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

岩手県警察が求める人材

岩手県警察は、「求める人物像」を定式化した形では公表していません。手がかりになるのは、運営重点の基本姿勢「県民の期待と信頼に応える力強い警察」と、活動重点の筆頭に掲げられた「被災者に寄り添う警察活動」という姿勢です。

県民の期待に応える力強さと、被災者や高齢者など困っている人に寄り添う温かさ、その両方を備えた人物が求められていると読み取れます

ここで求められているのは、特別な経歴や派手な実績ではありません。自己PRでは、責任ある役割を最後までやり通した経験や、困っている人に自分から関わった経験など、この2つの姿勢に重なる自分の行動を、具体的な場面で示すことが軸になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。岩手県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は会場まで、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ないやり取りに、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望民間企業ではなく、なぜ警察官を選んだのですか?他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性
③ 自己理解あなたの強み(自己PR)を教えてください自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか
④ 経験・行動学生時代に最も力を入れたことは何ですか?実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢
⑤ 学業・経歴専攻や部活動を選んだ理由を教えてください自分の選択を筋道立てて話せるか。意思決定の一貫性
⑥ 適性・将来交替制勤務や体力面に不安はありませんか?職務に耐える体力・生活習慣の裏づけと、覚悟の現実味
⑦ 公共性・社会性警察官に最も必要な資質は何だと思いますか?職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識

ただし、この7カテゴリーは岩手県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通で、受験者の多くが対策してくる領域です。ここでは大きな差がつきにくいのが実情です。

なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在すると知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。

合否を分けるのは「岩手県警察ならでは」の質問

「岩手県には内陸から沿岸まで幅広い地域がありますが、あなたはどの地域で、どんな警察官として働きたいですか」
「岩手県の治安上の課題を一つ挙げるとすれば、何だと思いますか」

どちらも、岩手県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「岩手県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい岩手県警察の事実答え方のヒント
治安の現状刑法犯認知件数は令和7年で3,351件(前年比約1%増)と近年はやや横ばい。検挙率は49.5%で、一方で特殊詐欺やSNS型投資詐欺の被害は急増している「件数は横ばいでも、手口が変わり被害が広がっている」という捉え方を示すと、現状認識の確かさが伝わる
志望動機・やりたい仕事令和8年の運営重点は基本姿勢「県民の期待と信頼に応える力強い警察」のもと、被災者に寄り添う活動など7つの活動重点を掲げるやりたい仕事が7つの活動重点のどれに当たるかを一言添えると、組織研究の深さが伝わる
岩手で働く規模感・地域性管轄面積は15,275平方キロメートルで北海道に次ぐ全国2位。内陸と沿岸で事情が異なり、県北・沿岸では人口減少が特に速い広さや地域差を「大変そう」で終わらせず、内陸か沿岸か、自分が根を張りたい地域まで具体的に語る
被災地・復興東日本大震災津波では県内で死者・行方不明者が合わせて5,794人にのぼり、復興は今も道半ば。「被災者に寄り添う警察活動」が活動重点の筆頭震災を直接知らない世代でも、被災地を守る仕事への向き合い方を自分の言葉で語れるようにする
災害への備え県の地震・津波被害想定調査(令和4年)は、最大規模で県全体の死者を約7,100人と想定岩手は震災を経た県であり、被災者に寄り添う警察活動が活動重点の筆頭に置かれている。この死者想定の重さを踏まえ、災害に強い地域づくりに警察官として加わりたいと語れると差がつく

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、岩手の事実を入り口にして、そこで自分が引っかかった問題意識と、警察官として取り組みたいことまでを、ひと続きの話として語れる状態に整えておくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の基本姿勢や活動重点に表れた組織の価値観に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
県民の期待に応える責任感任された役割を、途中で投げ出さずにやり遂げた経験があるか部活動や係活動で「目立たない役割を続けた」場面を、具体的な行動として言葉にしておく
困難に向き合う粘り強さうまくいかない状況で、自分から動いて立て直そうとしたか結果の大小よりも「なぜ向き合い、何を工夫したか」を順を追って話せるようにする
人に寄り添う姿勢立場や考えの違う相手に、どう歩み寄って関わったか困っている人に自分から声をかけた経験を、相手の様子まで思い出して用意する

評価の観点の3項目は、岩手県警察運営重点の基本姿勢と活動重点をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、試験の種目・日程・申込方法と、警察官A・Bそれぞれの受験資格を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分の行動を具体的に話せる出来事を一つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い岩手の事実を2〜3個、自分の言葉に置き換えておく
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、岩手の事実・そこで抱いた問題意識・自分が取り組みたいことが一本の線でつながるように、答えを組み立てておく
  6. 実際に声に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、警察官の職務に必要な体力づくりと規則正しい生活リズムづくりを、早いうちから並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、岩手県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

岩手県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。

岩手県警察の想定問答集を見る

さいごに

岩手県警察の採用試験は、筆記による第1次試験を通過した先の第2次試験で、人物面がじっくり見られる構成です。

だからこそ、筆記の勉強と並行して、自分の経験を自分の言葉で語れるように整えておくことが、合否を分ける準備になります

岩手は、震災からの復興を今も続ける被災地を含み、北海道に次ぐ広い県土を限られた人員で守る土地です。

その現場で「自分は何をしたいのか」を、身近な経験と岩手の事実の両方から語れるようになれば、面接での説得力は大きく変わります。準備の一つひとつを積み重ねて、本番に臨んでください。