本記事では、久慈市職員採用試験の面接対策で必要な、久慈市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

久慈市役所の面接試験では、「なぜ久慈市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。久慈市の第2次試験には人物試験しか置かれていないため、市の実情をどれだけ自分の言葉にできているかが、そのまま最終盤の材料になります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と久慈市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

久慈市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは久慈市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 岩手県の北部で太平洋に面する市で、人口は30,587人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。市役所は市内の川崎町に置かれている。
  • 市域は623.50km²と広く、人口密度は約49人/km²。岩手県は北海道に次ぐ全国2番目の面積を持つ県で、広い土地に人口が薄く分布するという県の姿が、市の単位でもそのまま現れている。
  • 隣接するのは軽米町・九戸村・洋野町・野田村・岩泉町・葛巻町の6町村で、市とは接していない。周囲を町村に囲まれた、県北における拠点的な位置にある。
  • 市の花はつつじ、市の木はしらかば。
  • 令和8年度に公表された職員採用試験の案内で当研究会が確認できた試験区分は一般事務A・一般事務Bで、採用予定人数はいずれも2名程度。ほかの職種の募集の有無は年度によって変わるため、市の職員採用のページで最新の募集区分もあわせて見ておきたい。
  • 試験は第1次試験と第2次試験の二段階。第2次試験の試験種目は「人物試験」のみで、久慈市職員採用試験案内のページではこれを「人物試験(面接試験)」と説明している。
  • 申込みは岩手県電子申請サービスによる電子申請で受け付けられる。

久慈市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「久慈市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

その手がかりになるのは、市の基礎的なプロフィールと、比較の物差しになる岩手県全体の数値です。市内総生産のように市単独で公表されている経済統計は範囲が限られるため、県の数値を土台に置いて読んでいきましょう。

項目内容
総人口30,587人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積623.50km²
人口密度約49人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地岩手県久慈市川崎町1番1号
隣接自治体軽米町・九戸村・洋野町・野田村・岩泉町・葛巻町(6町村)
市の花/市の木つつじ/しらかば
(参考)岩手県の総人口1,126,813人(令和7年10月1日現在)
(参考)岩手県の世帯数535,667世帯(令和7年10月1日現在)
(参考)岩手県の総面積15,275.04km²(北海道に次ぐ全国2番目の広さ)

久慈市の総人口は、総務省の住民基本台帳人口(令和8年1月1日現在)と市の公表値をもとに整理したものです。人口密度は上記の総人口と総面積から当研究会が算出しました。面積・所在地・隣接自治体・市の花木も同様に公表資料をもとに整理しています。国勢調査や市の推計人口とは調査の基準が異なるため、面接では「およそ3万人規模」といった概数で押さえておくのが安全です。岩手県の人口・世帯数は県「岩手県の人口・経済」(令和7年10月1日現在)、面積は県「岩手県の面積・気候」によります。

数字から考えられる市政課題

久慈市の姿は、単独の数字よりも岩手県全体の人口の動きと重ねたほうが輪郭がはっきりします。県が用いている将来推計では、県人口は2015年から2045年までの30年間で30.9%減少する見込みです(全国は16.3%減)。

しかも減り方は県内で一様ではなく、県北・沿岸地域は30年間で人口が平均43.9%、労働力人口が平均55.9%減る見通しとされています。久慈市が位置するのは、まさにこの県北・沿岸です。(出典:岩手県の将来推計人口に関する県資料|平成30年推計

同じ推計では、県の65歳以上人口は2025年にピークを迎えて減少に転じる一方、高齢化率は上昇を続け、県人口は令和22年(2040年)に100万人を下回るとされています。全国の65歳以上人口のピークが2040年である以上、岩手県は全国より15年早く「高齢者も減るが、支える側はもっと速く減る」段階に入ることになります。

たとえば面接では、久慈市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「久慈市は人口がおよそ3万人で、面積は600平方キロメートルを超える広いまちだと知りました。岩手県の中でも県北や沿岸は人口の減り方が大きいと聞きましたので、広い市域の中で暮らしをどう支えていくかが大きな課題になると感じています。私は、住民の方との距離が近いという規模の強みを生かして働きたいです」

久慈市の経済・産業

経済・産業構造の概要

久慈市の経済を考えるときの土台になるのは、市が属する岩手県全体の産業構造です。まずは県全体の姿から、地域経済の輪郭をつかんでおきましょう。

  • 県内総生産(名目)は4兆8,973億円、1人当たり県民所得は283万5千円(令和5年度県民経済計算)。全国を100とした場合の水準は80.5。
  • 産業別の県内総生産構成比は第1次産業3.0%、第2次産業25.5%、第3次産業70.7%(令和5年度)。
  • 産業別の就業者数構成比は第1次産業8.8%、第2次産業26.0%、第3次産業65.2%(令和5年度)。

ここで目を留めてほしいのは、生産額と就業者数のずれです。生産額では3.0%にとどまる第1次産業が、就業者では8.8%を占めています

農林水産業は、県内で生み出す金額の大きさ以上に、地域の働き口として人を支えているということです。第1次産業を語るときに「儲かる産業ではない」で切り捨ててしまうと、この地域で暮らす人の実感からずれた話になります。(出典:岩手県の人口・経済(県民経済計算)|令和5年度

広い市域と、道路がもたらした変化

久慈市の623.50km²という市域を考えるうえで外せないのが、道路の整備です。復興道路として整備された三陸沿岸道路(仙台から八戸までの約359キロメートル)は令和3年12月に全線開通し、所要時間はおよそ3時間20分短縮されました。

内陸方面でも、宮古盛岡横断道路が令和3年3月に、東北横断自動車道釜石秋田線(釜石から花巻)が平成31年3月に全線開通しています。沿岸同士、そして沿岸と内陸が、以前よりはるかに近くなりました。(出典:岩手県の道路整備の現況(復興道路)

移動時間が縮むことは、通勤・通学、買い物、救急搬送、観光客の動線、そして企業の物流のすべてに関わります。面接で交通や産業振興に触れるなら、「道路ができて便利になりました」で止めないでください。

近くなったことで人やお金がどちらへ流れるのかを考え、その流れを地元へ引き寄せるために市が何をするのか、というところまで話を進めると、行政の視点で見ていることが伝わります。

交流人口と観光の位置づけ

令和6年の岩手県の観光入込客数は延べ26,441,111人回で、前年から3,003,094人回(12.8%)増えました。一方、観光消費額は1,992億7,300万円で、伸びは1.6%にとどまっています。

訪れる人の数は大きく戻ったのに、地域に落ちるお金はそこまで増えていないという形です。定住人口が減っていく地域にとって、外から来る人をどう地域の売上と雇用につなげるかは切実なテーマですから、この差は行政が向き合うべき論点そのものだと言えます。(出典:岩手県観光統計概要|令和6年

久慈市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、久慈市が県北の市として向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少の速さと、県北・沿岸という位置

岩手県が用いている将来推計では、県全体の人口減少率は30年間で30.9%、全国平均の16.3%のおよそ2倍です。そのうえで県北・沿岸地域は平均43.9%減と、県内でも下げ幅の大きい圏域に位置づけられています。

県の課題認識としても、平成20年以降に自然増減率と社会増減率が逆転し、自然減のウェイトが高まっていることが挙げられており、対策は仕事の創出による社会減対策と、社会全体での子育て支援による自然減対策の2本立てで語られています。久慈市を志望する人は、この2本立てのどちらに自分が関わりたいのかを決めておくと、志望動機の芯が定まります

生産年齢人口の急減と、担い手の確保

より切実なのは、人口全体の減り方より働き手の減り方です。同じ推計で、県の15歳以上65歳未満の人口は30年間で43.2%減る見込みとされています(全国平均は27.7%減)。

県資料はこれを受けて、医療介護人材の確保が困難になる可能性を指摘しています。人手が減る中でサービスの水準を保つには、担い手を増やす取組と、少ない人数でも回る仕組みづくりの両方が要ります。

久慈市の採用予定人数が試験区分ごとに2名程度という規模であることは、裏を返せば、職員一人が受け持つ業務の幅が広いということでもあります

津波災害への備え

東日本大震災津波による岩手県内の被害は、死者4,672人・行方不明者1,122人の合計5,794人、家屋の全壊・半壊26,077棟にのぼりました(平成29年2月28日現在)。県が令和4年に公表した地震・津波被害想定調査は、マグニチュード9クラスの地震を想定し、県全体の死者数は日本海溝のモデルで冬の夕方に発生した場合が最も多く約7,100人としています。

建物の全壊は東北地方太平洋沖地震のモデルで最も多く約35,000棟、うち津波によるものが約33,000棟です。想定される人的被害のほとんどは、揺れではなく津波によるものだという点が、この調査の要点です。(出典:岩手県地震・津波被害想定調査(概要版)|令和4年

ただし、これは県全体を対象とした想定です。久慈市のどこに、どれだけの高さの浸水が想定されているのかは、市の地域防災計画とハザードマップに書かれています。

防災を志望動機に入れるなら、県の規模感と市の想定を分けて話せるようにしておきましょう。避難のスピードが命に直結する地域だからこそ、平時の周知や訓練という地味な仕事の重みも語れると強い答えになります

限られた人員と財源での行政運営

岩手県の令和7年度一般会計当初予算は7,329億円(前年度比7億円増、0.1%増)で、うち299億円が震災分です(出典:岩手県一般会計当初予算のポイント|令和7年度。財政指標では、令和5年度決算の実質公債費比率が12.7%、将来負担比率が201.1%、経常収支比率が92.6%となっています。

将来負担比率は早期健全化基準の400%を下回るものの、経常収支比率が9割を超えるということは、新しいことに回せる財源の余地が小さいということです。市の財政指標は本記事で扱える範囲を超えますが、税源基盤の弱い地域で行政サービスの水準を保つという条件は市町村にも共通します。

何かを始めるには何かを見直すという前提で優先順位を考えられるかどうかが、職員には問われます(出典:岩手県の財政状況に関する説明資料|令和5年度決算

重点政策|いわて県民計画(2019〜2028)と久慈市

久慈市の市政を読む土台として、まずは市が属する岩手県の計画を「県内の背景」として押さえましょう。市の仕事は、県が示す方向の中に置かれているからです。

県の令和7年度当初予算は「いわて県民計画(2019〜2028)」第2期アクションプランのもとで編成されており、人口の自然減・社会減対策を主軸に、GXとDXを両翼、安全・安心な地域づくりを基盤とする構成が示されています。県はこの人口減少対策を地方創生の取組として位置づけています。(出典:岩手県一般会計当初予算のポイント|令和7年度

計画が置いている問題意識

この構成でまず読み取ってほしいのは、人口減少対策が数ある施策の一つではなく、予算全体を貫く軸として置かれていることです。GXは脱炭素と経済成長を両立させる取組、DXはデジタル技術で仕事や暮らしのやり方を変える取組を指し、いずれも人口減少対策を支える手段として位置づけられています。

受験生としては、①なぜ若い世代が県外へ出るのか ②残る、あるいは戻るために何が足りないのか ③そのうち一つを市の仕事のどこで埋められるのか、という三段階で自分の考えを組み立てておくとよいでしょう。

県の計画を市の仕事に置き換える

県の計画は県全体の方向を示すものです。久慈市を受験する人が語るべきなのは、その方向を市の現場でどう形にするかという一段下の話になります。

窓口での手続き、子育てや高齢者の相談、地域の産業や行事の支援、災害時の対応。県の計画が掲げる大きな目標は、市役所ではこうした日常の業務に分解されて現れます。

しかも久慈市の場合、その日常の業務を623.50km²の市域に届けなければなりません。同じサービスでも、移動の時間や届け方の工夫が必要になるということです

志望動機は、この分解された場面のどこに自分が立ちたいかまで言えると、借り物ではない言葉になります。

POINT|計画名を覚えることが目的ではない

市独自の計画名が見つからなくても、対策は十分にできます。①久慈市の人口規模と県内での位置を知る → ②県全体が抱える課題(人口減少・高齢化・災害)を押さえる → ③自分が携わりたい仕事を市の業務の中から選ぶ → ④その仕事に自分の経験や強みをどうつなげるかを言葉にする、という順で準備しましょう。

悪い例「久慈市の活性化に貢献したいです」

改善例「まずは窓口の仕事を覚えて、市民の方の質問に正しく答えられるようになりたいです。その上で、岩手県では県北や沿岸のほうが働く世代の減り方が大きいと知りましたので、久慈市で若い人が働き続けられる場をつくる仕事にも関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 久慈市職員採用試験の受験案内(志望する試験区分の最新のもの)
  • 久慈市公式サイトの市政情報のページと広報紙
  • 久慈市の地域防災計画・ハザードマップ
  • いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン(県内の背景を知る参考として)

資料を探すときに一つ注意があります。久慈市の公式情報は、www.city.kuji.iwate.jp と www.city.kuji.lg.jp の2つのドメインにまたがって掲載されており、採用試験の詳細ページは後者にあります。

検索から古いページにたどり着くことがあるため、開いたページの更新日と年度表記を必ず確かめてから読み込んでください。

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、久慈市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。久慈市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

久慈市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

久慈市役所の面接の概要

ここからは、久慈市役所の試験の構成と面接の位置づけ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

久慈市役所の面接の流れ

久慈市の職員採用試験は、第1次試験と第2次試験の二段階です。第1次試験の試験種目は「職務能力試験」「職務適応性検査」「作文試験」で、案内に専門試験の記載はありません。

そして第2次試験の試験種目は「人物試験」です。つまり、第1次試験を通過したあとに残っているのは、面接での受け答えだけということになります。(出典:久慈市職員採用試験の案内|令和8年度久慈市職員採用試験案内

項目内容(令和8年度・一般事務A/一般事務B)
試験の段階第1次試験 → 第2次試験の二段階
第1次試験の種目職務能力試験(60題・1時間)、職務適応性検査(150題・20分)、作文試験(1題。一般事務Aは2時間、一般事務Bは1時間)。専門試験の記載はありません
第2次試験の種目人物試験。久慈市職員採用試験案内のページでは「人物試験(面接試験)」と記載されています
面接の形式・回数個別面接か集団面接かの別、面接の回数は、市の公表ページには記載がありません
集団討論実施の有無についても、公表ページに記載がありません
配点各試験段階の配点・満点、合否判定の方法は公表されていません
提出書類面接カード・自己PRシートにあたる様式の記載はありません
試験区分・採用予定人数一般事務A 2名程度、一般事務B 2名程度
受験資格(年齢)一般事務Aは20歳から35歳まで、一般事務Bは18歳から31歳まで(生年月日で指定されています)
申込方法岩手県電子申請サービスによる電子申請

この構成から、準備に直結することが3つ読み取れます。1つ目は名称です。

第1次試験の筆記は「教養試験」ではなく「職務能力試験」、検査は「適性検査」ではなく「職務適応性検査」と表記されています。志望先の言葉づかいをそのまま覚えておくのは、細かいようで効く準備です。

2つ目は、作文試験が同じ1題でありながら、一般事務Aは2時間、一般事務Bは1時間と持ち時間が倍違うこと。求められる書き込みの深さが区分によって違うと考えられます。

3つ目は、第2次試験に人物試験しか置かれていないことです。ここでの評価がそのまま採否につながる以上、面接の準備は後回しにできません。

上記の試験構成は、久慈市が令和8年度に公表した採用試験の案内にもとづく一般事務A・一般事務Bのものです。面接の形式・回数や配点など、公表ページに記載のなかった項目は、案内に添付されている受験案内に示されている可能性があります。試験の構成・日程・配点等は年度や試験区分によって変わる可能性があるため、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。

久慈市役所が求める人物像

久慈市の採用試験のページに、定型の「求める人物像」にあたるまとまった記載を、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。手がかりになるのは試験種目の名称です。

「職務能力試験」「職務適応性検査」と、二つの種目名に共通して「職務」という語が置かれています。一般的な知識量や性格そのものではなく、仕事に向き合ったときにどう働けるかを見るという建て付けだと読み取れます。

そこから浮かび上がる評価されやすい資質を、当研究会では次の3点と整理しています。限られた時間で考えをまとめて言葉にする力(作文試験)、組織の一員として日々の職務に慣れ、続けていける適応の力(職務適応性検査)、そして人物試験ひとつで確かめられる受け答えの中身です。

自己PRでは「責任感があります」と述べて終わらせず、その力を使って何をして、周りがどう変わったのかまで話せるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。久慈市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは、どのような経路で来られましたか本題に入る前のやりとりに、表情の柔らかさと受け答えのテンポが表れます
② 動機・志望民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください待遇や安定以外の言葉で、職業の選び方を説明できるか
③ 自己理解ご自身の弱いところは、どんな場面で出ますか弱みを認めたうえで、どう付き合っているかまで語れるか
④ 経験・行動仲間と意見が食い違ったとき、どう折り合いをつけましたか対立した場面で、実際にどんな一手を打ったのかという中身
⑤ 学業・経歴学校や職場で最も時間をかけて取り組んだことを教えてください専門外の相手に伝わる言葉へ置き換える力
⑥ 適性・将来配属先の希望がかなわなかったら、どうしますか市の仕事の広がりを、どこまで具体的に想像できているか
⑦ 公共性・社会性久慈市に関することで、最近気になった話題はありますか身の回りの出来事を行政の目で見ているか

ただし、この7カテゴリーは久慈市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「久慈市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「久慈市役所ならでは」の質問

「なぜ岩手県庁ではなく、久慈市役所なのですか」
「久慈市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。しかも久慈市では、人物試験が第2次試験の唯一の種目です。

この場で出せる材料の量と質が、そのまま合否の判断材料になります。こうした質問に答えるための「久慈市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい久慈市の事実答え方のヒント
市の規模とスケール感人口30,587人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積623.50km²、人口密度は約49人/km²。市域は岩手県の面積15,275.04km²の約4%にあたる「小さな市です」で終えず、「人口の割に広い市」という言い方に置き換えます。役所から遠い地区へどうサービスを届けるかという論点まで進めると、地図を見て考えた人の答えになります
なぜ県庁ではなく市役所か県はいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランで県全体の人口減少に向き合う立場。市は窓口・福祉・防災など暮らしに直結する場面を担う役割の違いを述べたあと、久慈市の窓口で誰の何を助けたいのかまで一段下げます。一般事務A・Bを合わせて4名程度という採用規模にも触れ、一人が受け持つ仕事の幅の広さを、自分が望む働き方として語れると説得力が増します
久慈市の魅力と課題隣接するのは軽米町・九戸村・洋野町・野田村・岩泉町・葛巻町の6町村で、市とは接していない。復興道路の三陸沿岸道路(仙台から八戸まで約359キロメートル)は令和3年12月に全線開通し、沿岸の移動時間が大きく縮んだ魅力は観光名所の紹介で止めず、6町村に囲まれた県北の拠点という位置づけと、道路の全線開通で人の行き来が変わったことに触れます。課題は県北・沿岸の人口減少を挙げ、そこで自分がやりたい仕事まで言い切ります
人口減少の現在地岩手県は2015年から2045年の30年間で人口30.9%減の見込み(全国16.3%減)。県北・沿岸地域は平均43.9%減、労働力人口は平均55.9%減県全体の数字と圏域の数字を分けて言えると、資料を読んだことが伝わります。数字を挙げたあとに「だから窓口では」と生活の場面へ降ろすところまでを一続きにしてください
防災・危機管理東日本大震災津波の県内被害は死者4,672人・行方不明者1,122人。県の被害想定(令和4年公表)ではマグニチュード9クラスで県全体の死者数が最大約7,100人、人的被害のほとんどが津波による県全体の想定と、久慈市のハザードマップに書かれた想定は別物です。市の資料で自分の受験先の想定を確かめてから話すと、借り物ではない防災の話になります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、試験種目の名称から読み取れる評価の軸に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
考えをまとめて表す力質問に対する答えの組み立て方や、理由を尋ねられたときの説明の順序第1次試験には作文試験があり、同じ1題でも一般事務Aは2時間、一般事務Bは1時間です。書いた主張を30秒で言い直す練習をしておくと、書く力がそのまま話す力に変わります
職務への適応職務適応性検査の結果と、面接での受け答えから見える人物像の整合検査は150題を20分で答える速さですから、取り繕う余地はほとんどありません。背伸びした人物像を作らず、面接で語る自分と検査で出る自分をそろえておきます
受け答えの中身第2次試験の唯一の種目である人物試験で、一つの経験を掘り下げる質問を重ねながら確かめられます採用予定が試験区分ごとに2名程度という規模では、一人ひとりの受け答えは丁寧に見られると考えておきましょう。ひとつの経験について、場所・人数・自分の役割まで答えられる細かさを用意します

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 志望する試験区分の最新の受験案内を読み、第1次試験の種目と受験資格を確認する(一般事務Aと一般事務Bで年齢の範囲も作文の持ち時間も違う点に注意)
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 作文試験で書く予定の主張を短く言い直す練習と、声に出す練習をあわせて行い、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、久慈市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

久慈市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

久慈市役所の想定問答集を見る

さいごに

久慈市の採用試験は、第1次試験を通過したあと、第2次試験に人物試験だけが置かれた構成です。最後に残る材料は、面接での受け答えに集約されると考えてよいでしょう

人口はおよそ3万人、市域は623.50平方キロメートル、一般事務Aと一般事務Bを合わせた採用予定は4名程度。周囲を6つの町村に囲まれたこの規模のまちで、誰のどんな場面を支える職員になりたいのか。

受験案内と市のハザードマップ、そして広報紙を手元に置きながら、その像を少しずつ言葉にしていってください