本記事では、福島県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、福島県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・重点方針・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
福島県警察の面接試験では、「なぜ福島県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった質問が想定されます。福島県警察の採用試験は最終合格が第2次試験の得点順で決まる人物重視の試験であり、県内の治安の現状と県警察の方針を知っておくことが、抽象的な回答を避けるための土台になります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と福島県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
福島県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは福島県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 福島県全域を管轄し、その県土は13,783.90平方キロメートル。北海道・岩手県に次ぐ全国3位の広さを、ひとつの警察組織で受け持っている。
- 県内は中通り・会津・浜通りの3つの地方に分かれ、気候の異なる7つの生活圏で構成される。同じ県内でも、市街地と中山間地域とで求められる警察活動が変わってくる。
- 管轄人口は約170万人(令和8年6月現在)。1998年の約214万人をピークに減少が続いており、県の人口ビジョンでは、現状の傾向が続けば2040年に145万人まで減るという推計が示されている。
- 組織は、警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の6部と警察学校、県内各地の警察署で構成される。本部は福島市杉妻町に置かれている。
- 業務運営指針の基本姿勢は「福島を支える力強い警察」。平成31年制定の例規に置かれた言葉で、令和8年の指針にも同じ柱が掲げられている。
- 例規には「福島の復興を支える治安総合対策の推進について」が現行の通達として置かれ、復興と防災に取り組む枠組みが今も続いている。(参考:福島の復興を支える治安総合対策の推進について|現行例規)
- 東日本大震災では、原発周辺での避難指示の伝達、自力で避難できない人の誘導、入院患者などの搬送にあたった記録が国の資料に残っている。(出典:東日本大震災に伴う警察措置|平成23年)
- 特殊詐欺の呼称に「なりすまし詐欺」を用い、その認知状況を毎月公表している。全国で一般的な「特殊詐欺」とは違う呼び方が、公式資料でも一貫して使われている。
福島県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究で、細かい統計値をいくつも暗記する必要はありませんが、福島県警察が受け持っている範囲の大きさをつかんでおくことは重要です。
ここでは、管轄区域・管轄人口・組織構成・犯罪情勢など、組織の輪郭を自分の言葉で説明できるようになる項目を優先して整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 福島県全域(中通り・会津・浜通りの3地方/7つの生活圏) |
| 管轄人口 | 1,699,510人(令和8年6月1日現在) |
| 管轄面積 | 13,783.90km²(北海道・岩手県に次ぐ全国3位) |
| 本部の組織 | 警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の6部と警察学校 |
| 本部所在地 | 福島市杉妻町 |
| 刑法犯認知件数 | 8,674件(令和7年・前年比1.9%減) |
| 刑法犯検挙率 | 43.8%(令和7年) |
| 業務運営指針 | 令和8年福島県警察業務運営指針(基本姿勢「福島を支える力強い警察」) |
管轄人口は福島県現住人口調査月報(令和8年6月1日現在)、管轄面積と3地方・生活圏の区分は福島県公式「県のすがた」および県概況、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)・検挙率は福島県警察の犯罪統計(令和7年確定値)、組織構成と本部所在地は福島県警察の公表情報にもとづく数値です。(出典:福島県現住人口調査月報|令和8年6月)
数字から見える福島県警察の輪郭
この表を眺めるときは、面積と人口を並べて見てください。全国3位の広さの県土に約170万人が暮らしているということは、単純に割ると1平方キロメートルあたり約123人という密度になります。
人が密集した街をきめ細かく警戒する仕事と、集落と集落が離れた地域まで警察の目をどう行き渡らせるかという仕事が、同じ県警察の中に同居しているということです。
もう一つ、令和7年の刑法犯認知件数が前年より1.9%減り、犯罪情勢が減少局面にある点も押さえておきましょう。
報道で見聞きする治安の話をそのまま福島県に当てはめると、県内の数字とずれてしまいます。「治安の悪化を止めたい」という切り出し方をする前に、県内の数字がどちらを向いているのかを確かめておきましょう。
たとえば面接では、次のように規模と情勢を組み合わせて話せます。
福島県の治安情勢
刑法犯認知件数の動向
令和7年の県内の刑法犯認知件数は8,674件で、前年から1.9%の減少となりました。
検挙率は43.8%で、認知した事件のおよそ4割を検挙している水準です。総数が減っていること自体は、これまでの抑止と検挙の積み重ねが効いてきた結果とも読めます。
ただ、総数の増減だけを見て「治安が良くなった」「悪くなった」と結論づけるのは早計です。面接で使えるのは、次に見る罪種の内訳のほうです。
罪種の内訳に表れる福島県の犯罪の形
| 区分 | 令和7年の認知件数 |
|---|---|
| 刑法犯総数 | 8,674件(前年比1.9%減) |
| 侵入盗 | 1,021件 |
| 自動車盗 | 56件 |
| ひったくり | 0件 |
| 強盗 | 11件 |
| 殺人 | 15件 |
内訳を並べると、福島県の犯罪の形がはっきりします。令和7年のひったくりの認知は0件、一方で侵入盗は1,021件。侵入盗だけで刑法犯全体のおよそ12%を占めます。路上で通行人がいきなり狙われる被害はほとんど出ておらず、住宅や事業所という生活の場に入り込まれる被害が中心だということです。
この違いは、警察活動の力点の置き方に直結します。
街頭に人があふれる場所を見張るより、留守になりがちな時間帯の住宅地をどう回るか、鍵かけをどう根づかせるかが効いてくるということです。志望動機で防犯を語るなら、この形に合った言い方をしましょう。
なりすまし詐欺(特殊詐欺)への対応
福島県警察は、特殊詐欺を「なりすまし詐欺」と呼んでいます。他人になりすまして信じ込ませるという手口の本質を、聞いた人がすぐ理解できる言葉にしたものです。県警察は「なりすまし詐欺の認知状況等について」を毎月公表し、広報啓発と金融機関との連携による被害防止を進めています。(出典:なりすまし詐欺対策|令和8年)
面接で詐欺対策に触れるなら、県警察が使っている呼び方をそのまま使うだけでも、公表資料を自分で見た人だと伝わります。被害件数や被害額は毎月更新されるため、受験の直前に最新の公表値を確認しておきましょう。
交通事故と高齢化
交通事故については、県警察が「福島県下交通事故情報」で警察署別の発生状況などを公表しており、死者数や高齢者の占める割合といった最新の数値はここで確認できます。(出典:福島県下交通事故情報|令和8年)
数字を見る前に押さえたいのは、福島県の交通が置かれている条件です。県の高齢化率は31.7%(2020年国勢調査ベース)で、過疎地域に限れば39.2%に達します。
そこへ全国3位の広い県土が重なり、日常の移動は自動車に頼らざるを得ません。高齢者が、運転する側としても歩く側としても道路に出る機会が多い県だということです。
実際、令和6年度の警察官A採用試験では、県内の交通事故死者の半数以上を高齢者が占めているという前提を示した論文課題が出題されており、県警察自身がこの点を重い課題として扱っていることが読み取れます。
福島県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、福島県警察が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「福島県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
生活の場に入り込む犯罪の抑止
侵入盗1,021件(令和7年)という数字は、玄関や窓の内側で被害が起きていることを意味します。金品を失うだけでなく、自宅が安全な場所ではなくなるという感覚が残るため、体感治安への影響が大きい犯罪です。
県土が広く人口が散らばっている福島県では、住宅どうしの間隔が離れ、人の目が届きにくい場所や時間帯が生まれます。パトロールと防犯指導、そして発生時の速やかな初動捜査を、限られた人員でどう組み合わせるかが問われています。
なりすまし詐欺と組織犯罪
なりすまし詐欺の背後には、暴力団に加えて、その場限りの実行役をつのって犯行を繰り返す匿名・流動型犯罪グループがあります。指示役は姿を見せず、末端だけが短期間で入れ替わる構造のため、実行役を検挙しても被害の流れは止まりません。
令和8年の業務運営指針でも、重点目標「県民が不安を感じる犯罪の徹底検挙と組織犯罪対策の推進」の筆頭に、暴力団と匿名・流動型犯罪グループへの対策が置かれています。実態解明と取締りに加えて、高齢者に被害防止の情報をどう届けるか、割のいい仕事という誘いに乗ってしまう若者をどう出さないかまでが、ひと続きの課題です。
サイバー空間の脅威
インターネットを入口にした犯罪は、県土が広いことも人口が少ないことも関係なく届きます。
県警察は業務運営指針にサイバー空間の脅威への対処を1本の柱として立て、事案の取締りと被害防止、企業などへの攻撃の実態解明に加えて、この分野で戦える職員を育てることまで掲げています。情報系の学習経験やデジタル分野への関心がある人にとっては、志望動機と直接つながるテーマです。
高齢化と自動車依存を前提にした交通事故防止
先ほど見た高齢化率31.7%、過疎地域では39.2%という数字に、もう一つ重ねたい数字があります。県内の過疎地域は、人口では13.9%にすぎない一方、面積では54.9%を占めます。
人が少なく面積が広い地域ほど、生活の足を自動車に頼らざるを得ないという構図です。免許を返したくても返せない事情がある以上、取締りだけでは事故は減りません。
業務運営指針が重大交通事故の防止、道路環境の整備、悪質で危険な運転の根絶、運転者への働きかけを並べて掲げているのは、この構図に総合的に当たるためです。(出典:福島県人口ビジョン|令和6年12月)
大規模災害と原子力災害への備え、そして復興治安対策
県の地震・津波被害想定調査は、沿岸と内陸の両方を見積もっています。海溝型の想定東北地方太平洋沖地震(M9.0)については、死者1,651人・全壊焼失31,971棟、1週間後の避難者155,053人という数字が示されました。内陸も安全圏ではありません。会津盆地東縁断層帯を震源とする地震(M7.7)で死者1,624人、福島盆地西縁断層帯を震源とする地震(M7.8)で死者1,471人と、ほぼ同じ規模の被害が見込まれています。(出典:福島県地震・津波被害想定調査|令和4年度)
加えて福島県警察には、原子力災害という前提があります。「福島県警察原子力災害警備計画の策定について」が令和3年12月に策定され、現行の通達として置かれています。
起きてから考えるのではなく、あらかじめ手順を決めておく備えです。(参考:福島県警察原子力災害警備計画の策定について|令和3年)
そして復興です。震災と原子力災害で失われた産業基盤を立て直すため、浜通りでは福島イノベーション・コースト構想のもとで新しい産業の集積が図られてきました。
その創造的復興の中核拠点として浪江町に置かれたのが、令和5年に発足した福島国際研究教育機構です。地域の姿が変われば、人と車の流れも、必要とされる警察活動も変わります。
震災を直接には知らない世代の受験生も、復興を支える治安対策が過去の取組ではなく現在進行形の枠組みだという点は、押さえておきたいところです。
重点方針|令和8年福島県警察業務運営指針
福島県警察は、その年の警察活動の方向づけとして「福島県警察業務運営指針」を毎年定めています。令和8年版は、基本姿勢と7つの重点目標、そしてそれぞれにぶら下がる推進事項という構成です。(出典:福島県警察業務運営指針|令和8年)
指針を貫く言葉
この指針で目を引くのは、基本姿勢の言葉づかいです。「福島を支える力強い警察」という柱は平成31年制定の例規にも置かれていますが、例規で添えられた副題が「県民とともに、復興をめざして」であるのに対し、令和8年版の副題は「県民とともに創り上げる福島のために」です。
復興を目標として掲げる言い方から、県民と一緒に福島をつくっていく言い方へ、という重心の移り方として読むことができます。
「どんな警察官になりたいか」を考えるときにも、この方向性は軸になります。
7つの重点目標
令和8年の重点目標は次の7項目です。あわせて、それぞれが指している内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 重点目標(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① 県民の安全と安心を守る犯罪抑止対策の推進 | 身近な犯罪となりすまし詐欺の被害を防ぎ、命や身体に危険が及ぶ事案には急いで手を打つ。少年が非行に走ることも被害に遭うことも防ぐ |
| ② 街頭活動の推進による地域の安全と安心の確保 | 制服の警察官が街に出ることで事件と事故を未然に抑え、通報を受けてからの動き出しを速くする。地域警察のかたちを社会の変化に合わせて立て直す |
| ③ 県民が不安を感じる犯罪の徹底検挙と組織犯罪対策の推進 | 暴力団や匿名・流動型犯罪グループを追い、凶悪犯や窃盗犯を確実に捕まえる。鑑識と科学技術を使いこなし、初動捜査の土台を厚くする |
| ④ 総合的な交通事故防止対策の推進 | 命に関わる事故を減らし、走りやすく安全な道路環境を整える。飲酒運転などの悪質で危険な運転をなくし、運転する人そのものに働きかける |
| ⑤ 大規模災害や県民生活を脅かす事態への的確な対処と備え | 災害時の警察活動をより高い水準へ引き上げ、復興を支える治安対策を続ける。テロへの備え、要人の警護、経済安全保障への対応もここに入る |
| ⑥ サイバー空間の脅威への的確な対処 | ネットを使った犯罪を取り締まって被害を防ぎ、企業などへの攻撃の実態を解き明かす。この分野で働ける職員を育てることまで柱に含まれている |
| ⑦ 県民のための強く、やさしく、開かれた組織づくり | 警察活動を支える足腰を強くし、犯罪の被害に遭った人の気持ちに寄り添う。県民から見て中身の分かる警察行政を保つ |
自分が取り組みたい仕事がこの7つのどこに乗るのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。各項目にぶら下がる推進事項の全文は、県警察が公表している指針そのもので確認できます。
POINT|7つの重点目標は答えを組み立てる足場に使う
組織研究のゴールは、項目名をそらで言えるようになることではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①県内で何が起きているか(数字) → ②県警察はどう対処しようとしているか(重点目標) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順につないでいきましょう。
悪い例「福島の復興のために働きたいと思っています」
改善例「まずは交番勤務で、地域の方に顔を覚えてもらうところから始めたいです。その上で、県内では住宅などへの侵入盗が年間千件を超えていますので、留守になりやすい時間帯の警戒や、戸締まりの呼びかけといった地道な取組を続けていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読み込む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、大事な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 警察官採用試験の受験案内(試験の段階・種目・受験資格・申込方法)
- 採用案内のページとパンフレット(仕事の内容と現職の声)
- 令和8年福島県警察業務運営指針(基本姿勢と7つの重点目標、推進事項)
- なりすまし詐欺の認知状況と福島県下交通事故情報(毎月・随時更新されるため直前に最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、福島県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。福島県警察の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
福島県警察の面接の概要
ここからは、福島県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
福島県警察の面接の流れ
福島県警察・警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。種目の全体像は次の表のとおりです。(出典:福島県警察官採用試験|令和7年度)
| 項目 | 内容(令和7年度・警察官A/B区分) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階 |
| 実施回数 | 近年は第1回・第2回の年2回で実施 |
| 第2次試験の口述試験 | 個別面接2回及び集団討論による試験(適性検査とあわせて実施) |
| 最終合格の決め方 | 第2次試験の得点が高い順に決定。第1次試験の得点は加算されない |
| 論(作)文試験 | 警察官A=論文(60分・800字以内)/警察官B=作文(60分・800字以内) |
| 面接・集団討論の配点 | 公表資料からは確認できないため、最新の受験案内でご確認ください |
この表でいちばん重い意味を持つのは、最終合格の決め方です。第1次試験の得点は最終合格の判定に加算されません。第1次試験は第2次試験へ進むための関門であって、順位は第2次試験でつけ直されます。
筆記でどれだけ上位に入っても、その分の貯金は持ち越せないということです。逆に言えば、筆記に不安を残したまま第1次試験を通過した人にも、十分な逆転の余地があります。
そのうえで、第2次試験の口述試験は個別面接が2回と集団討論という構えです。個別面接が2回あるということは、1回目で話した内容と2回目の受け答えとの間に食い違いがないかまで含めて見られるということでもあります。
用意した文章をそのまま読み上げるのではなく、どの角度から聞かれても同じ人物像に着地する状態をつくっておきたいところです。集団討論では、話した量より、議論を前に進めるためにとった行動のほうが見られます。
なお、警察官の採用試験では、面接のほかに体力や身体に関する検査が行われます。福島県警察の実施種目や基準は公表資料から読み取れる範囲が限られるため、必ず最新の受験案内で確認し、日々のトレーニングを準備の一部として組み込んでおきましょう。
上記は福島県警察が公表する令和7年度の採用試験情報および公表済みの論作文課題にもとづく整理です。試験の構成・実施回数・種目・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。福島県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか? | 他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの強み(自己PR)を教えてください | 自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか |
| ④ 経験・行動 | 学生時代に最も力を入れたことは何ですか? | 実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢 |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を順序立てて話せるか。意思決定の一貫性 |
| ⑥ 適性・将来 | 体力に自信はありますか? | 交替制の勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは福島県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいと考えてください。
また、警察官の採用面接では、規律のある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問が向けられることがあります。そうした質問が存在すると事前に知っておくだけでも、当日の落ち着き方が変わります。
合否を分けるのは「福島県警察ならでは」の質問
どちらも、福島県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「福島県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい福島県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 令和7年の刑法犯認知件数は8,674件で前年比1.9%減、検挙率43.8%。うち侵入盗が1,021件を占め、ひったくりは0件 | 件数が減っている県なので、悪化を前提に切り出すと足元がずれます。総数の減少と、住宅を狙う侵入盗が千件規模で残っていることを分けて話しましょう |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年業務運営指針の基本姿勢は「福島を支える力強い警察」。犯罪抑止、街頭活動、検挙と組織犯罪、交通、災害と復興、サイバー、組織づくりの7本の柱を掲げる | 7本すべてを覚えるのではなく、自分の関心に一番近い1本を選び、その柱の言葉を借りて志望を語ると、どこで働きたいのかが具体的に伝わります |
| 詐欺対策 | 県警察は特殊詐欺を「なりすまし詐欺」と呼び、認知状況を毎月公表。金融機関との連携と広報啓発で被害防止を進めている | 面接でも県警察の呼び方に合わせて話しましょう。金融機関との連携に加えて、家族や近所からの声かけをどう増やすかまで踏み込むと、対策を自分の頭で考えた跡が伝わります |
| 復興と原子力災害 | 「福島の復興を支える治安総合対策の推進について」が現行の通達として置かれ、「福島県警察原子力災害警備計画の策定について」は令和3年12月に策定された | 復興は済んだ話ではなく、いまの警察活動の枠組みとして続いています。震災当時の記憶の濃さを競うのではなく、続いている枠組みを踏まえて語れば十分です |
| 広い県土で働くこと | 県土は13,783.90km²で全国3位。中通り・会津・浜通りの3地方に分かれ、気候の異なる7つの生活圏がある | 勤務地の希望を聞かれたときの答えにも直結します。どこに配属されても働く姿勢を、県土の規模と地方ごとの事情という具体で裏づけましょう |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「県内の数字 → そこで自分が気になったこと → 警察官として関わりたい場面」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
福島県警察は、「求める警察官像」を定式化した文言を公表していません。手がかりになるのは、業務運営指針が掲げる基本姿勢と重点目標です。面接は、そこに示された組織の価値観に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場だと考えてください。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 支える力=持ち場をやり抜く粘り強さ | すぐには結果の出ない役割を、途中で投げ出さずに続けた事実があるか | 侵入盗の抑止のように、地道な警戒と呼びかけの積み重ねで効いてくる仕事です。自分が続けてきたことについて、続けられた理由まで話せるようにしておきましょう |
| 県民とともに創る=人と一緒に動く姿勢 | 立場や意見の違う相手と、どう折り合いをつけて前へ進めたか | 福島県警察の第2次試験には集団討論が含まれます。意見を通した経験より、意見をまとめる側に回った経験を用意しておきましょう |
| 有事に動く備え=日頃の準備と自己管理 | 予測しにくい出来事に対して、事前の準備でどう備えてきたか | 原子力災害警備計画のように、起きる前に手順を決めておくのが警察の備え方です。自分の生活で先回りして準備した経験を一つ思い出しておきましょう |
評価の観点の3項目は、令和8年福島県警察業務運営指針の基本姿勢と重点目標をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。福島県警察の場合は個別面接が2回ありますから、なおさら細部の強さがものを言います。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、試験の段階と種目、申込方法を確認する。福島県警察は最終合格が第2次試験の得点順で決まるため、どの種目が第2次試験に置かれているかを最初に把握しておく
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分が実際にとった行動を話せる出来事を1つずつ用意する
- 7つのカテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究をインプットする。この記事の前半を読み返し、刑法犯の内訳・なりすまし詐欺・復興と災害への備えのうち、自分の関心に近いものを2〜3個選んで自前の言葉に置き換えておく
- 固有質問の対応表から材料を集め、「県内の数字 → そこで自分が気になったこと → 関わりたい場面」の一続きの話に編む。個別面接が2回ある構えなので、同じ話を二度語っても崩れない形にしておく
- 実際に口に出して本番同様に通し、掘られたときの返し方を書き足していく。あわせて、集団討論で意見をまとめる練習と、警察官の職務に必要な体力づくりを日々の習慣に組み込む
優先順位に注意
ステップ4と5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が限られているなら、先に終わらせるべきはステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析のほうです。自分自身のことを語れないまま組織の知識だけを積み上げても、評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、福島県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
福島県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
福島県警察の採用試験は、第1次試験の得点が最終合格に持ち越されない仕組みです。筆記の手応えがいまひとつでも、第2次試験の個別面接2回と集団討論で順位をつけ直せるということでもあります。
業務運営指針が掲げる「福島を支える力強い警察」という言葉は、特別な誰かを探している言葉ではありません。全国で3番目に広い県土のどこかの持ち場に立って、県民の暮らしを地道に支える人を求めている言葉だと、当研究会は受け止めています。
部活動やアルバイトで積み重ねてきた身近な経験を、その持ち場に立つ自分の姿と結び付けて語れる状態にして、当日を迎えてください。