本記事では、福島市職員採用試験の面接対策で必要な、福島市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

福島市役所の面接試験では、「なぜ福島市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「これまでの経験を市政でどう活かすのか」といった、市の実情を踏まえていなければ厚みの出ない質問が想定されます。第2次試験の口述試験には個別面接だけでなくグループワークも含まれるため、一人で語る準備と、その場の議論に加わる準備の両方が要ります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と福島市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

福島市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは福島市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 福島県の県庁所在地であり、中通りの北部にあって山形県と宮城県の両方に市域を接している市。福島県は中通り・会津・浜通りの3つの地域に分かれる。
  • 人口は261,534人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。福島県全体のおよそ170万人に対して16%ほどを占める。
  • ただし県庁所在地でありながら、県内の人口では郡山市の309,563人、いわき市の298,865人に次ぐ3番目(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。行政の中心と人口の最大が一致しない県である。
  • 面積は767.72km²で、福島県の県土13,783.90km²の約5.6%。人口密度は341人/km²で、県全体を平均した123人/km²のおよそ2.8倍にあたる。
  • 接している自治体は9つ。県内が二本松市・伊達市・伊達郡桑折町・川俣町・耶麻郡猪苗代町で、県外が山形県米沢市・東置賜郡高畠町と、宮城県白石市・刈田郡七ヶ宿町。9つのうち4つが他県である。
  • 市の花はモモ、市の木はケヤキ。市役所は福島市五老内町3番1号に置かれている。
  • 東北新幹線が中通りを縦断しており、東京駅から福島駅までの最短所要時間は87分
  • 令和8年度実施の職員採用試験は、「先行実施枠」「第1期」「土木職通年募集(クール制)」という複数の枠に分かれている。本記事で扱うのは第1期である。

福島市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「福島市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、県内での位置づけなど、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口261,534人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
県内での位置県庁所在地。人口は郡山市309,563人、いわき市298,865人に次ぐ3番目
総面積767.72km²(福島県の県土13,783.90km²の約5.6%)
人口密度341人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体9自治体(二本松市・伊達市・伊達郡桑折町・川俣町・耶麻郡猪苗代町、山形県米沢市・東置賜郡高畠町、宮城県白石市・刈田郡七ヶ宿町)
市の花・市の木市の花はモモ、市の木はケヤキ
市役所の所在地福島市五老内町3番1号
(参考)福島県の総人口1,699,510人(令和8年6月1日現在の推計人口。世帯数754,392世帯)
(参考)福島県の高齢化率31.7%(2020年国勢調査ベース)

総面積・隣接自治体・市の花と木は市の公表値をもとに整理したものです。福島県の総人口は福島県現住人口調査月報(令和8年6月1日現在)、高齢化率は福島県人口ビジョン(2020年国勢調査ベース)の値です。市の統計は更新されますので、受験前に市公式サイトの最新値もあわせて確認してください。(出典:福島県現住人口調査月報|令和8年6月総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

福島市の位置づけは、二つの数字の関係で説明できます。県全体の人口のおよそ16%を抱える一方、市内の人口密度は県平均の3倍近い。

つまり県のなかでは人が集まっている側の市だということです。県庁所在地として行政や経済の機能が置かれてきた結果でもあります。

ところが、人口そのものの順位は県内3番目です。行政の中心地であることと、最も人が多いこととが別になっている。

この構造は、面接で「福島市の役割」を問われたときに使える視点になります。県北の中心としてどんな機能を担うのか、規模で上回る市とどう役割を分けるのか。首位ではない県庁所在地という立ち位置をどう説明するかに、市への理解度が出ます

そこへ県全体の人口の動きが重なります。福島県の人口は1998年の約214万人をピークに減り続け、2024年10月1日現在の推計人口で約174万人。

26年間でおよそ40万人、ピークの約8割の水準まで下がりました。県は地方創生の取組によって2040年に150万人程度を維持するという目標を掲げています。(出典:福島県人口ビジョン|令和6年12月更新

面接では、こうした数字をそのまま並べるのではなく、市の姿として言い直せると強くなります。たとえば次のような話し方です。

「福島市は県庁所在地ですけれども、人口では県内で3番目だと知りました。県全体を見ても、人口のピークだった頃から2割ほど減ってきたと聞いています。だからこそ、市の中心部だけでなく、周りの町とのつながりを含めて考える必要があるのではと感じています」

福島市の経済・産業

福島県の経済規模と、そのなかの福島市

県庁所在地である福島市の経済は、県全体の動きと重ねて見ると輪郭がはっきりします。まずは福島県全体の姿から入ります。

  • 福島県の県内総生産は名目で8兆3,950億円(令和5年度)。経済成長率は名目6.7%・実質5.4%。
  • 1人当たり県民所得は321万5千円(令和5年度)。
  • 令和5年度は、第1次産業が農業等の増加、第2次産業が製造業の増加、第3次産業が電気・ガス・水道・廃棄物処理業等の増加により、いずれの産業も県内総生産が増えた。

ここから読み取れるのは、県経済が特定の分野だけで支えられているのではなく、農業から製造業、公共性の高いサービスまで幅を持って動いているという姿です。これは県全体の数字であり、福島市の数字ではありません。

それでも、県庁所在地として県内の企業や団体が集まる市で働く以上、県全体の経済の輪郭は押さえておく価値があります(出典:福島県県民経済計算|令和5年度

県境をまたぐ結節点という条件

福島市の経済を考えるうえで見落とせないのが、位置です。市域は山形県の米沢市と東置賜郡高畠町、宮城県の白石市と刈田郡七ヶ宿町に接しています。

接する9自治体のうち4つが他県という構成は、県内でもそう多くありません。加えて東北新幹線が通り、東京駅から福島駅までは最短87分で結ばれています。(参考:福島県へのアクセス|福島県

県境も市境も、行政の線であって暮らしの線ではありません。通勤や通学、買い物や通院は、県をまたいで日常的に起こります。

福島市の施策は、市民だけでなく市を使う人まで視野に入れて設計される場面があると考えておくと、志望動機に奥行きが出ます。仙台や山形との関係をどう捉えるかを、自分なりに言葉にしておきましょう。

観光と交流人口

令和6年(2024年)の福島県内の観光客入込総数は57,573千人で、前年より6.8%(3,650千人)増えました。3つの方部別にみると、福島市が属する中通り地方が27,717千人で最も多く、会津地方17,568千人、浜通り地方12,288千人と続きます。3方部とも前年を上回りました。(出典:福島県観光客入込状況|令和6年

中通りが最も多いという事実は、裏を返せば競争相手も多いということです。観光や交流を志望分野にするなら、名所を挙げるだけでは物足りません。

県内のどこと組み、県外のどこから呼ぶのかという組み立てまで持っていくと、話が市職員の仕事に近づきます。市の花がモモであることのように、暮らしに根づいた素材をどう見せるかも入口の一つです。

福島市の主な行政課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、福島市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少の中身が自然減に寄っていること

福島県の高齢化率は31.7%(2020年国勢調査ベース)で、1980年の10.5%、2010年の24.9%から一貫して上がってきました。直近の動きはさらに具体的です。

令和8年6月の県人口は1か月で1,503人減り、その内訳は自然減が1,409人、社会減が94人でした。転出による減少より、亡くなる方が生まれる子どもより多いという構造のほうが、はるかに大きくなっています。人を呼び込む施策だけでは追いつかない局面で、福島市の仕事も組み立てられています

福島盆地西縁断層帯という、市の足元の想定

福島県は、地震・津波被害想定調査(令和元年度から令和4年度に実施)で4つの地震を想定しています。福島盆地西縁断層帯を震源とする地震(マグニチュード7.8)、会津盆地東縁断層帯を震源とする地震(マグニチュード7.7)、想定東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)、そして各市町村の直下で起こる地震(マグニチュード7.3)です。

このうち福島盆地西縁断層帯の地震では、県全体で死者1,471人、全壊・焼失33,618棟と算出されています。(出典:福島県地震・津波被害想定調査結果の概要|福島県

数値はいずれも県全体のものです。それでも、名前に「福島盆地」を冠した断層帯の想定が県の調査に置かれているという事実は、防災を語るうえで避けて通れません。

市の地域防災計画やハザードマップで、市域の想定を自分の目で確かめておきましょう。なお同じ調査は、東日本大震災の実績として県内津波最大波高21.1メートル、県内最大震度6強、住家の全壊15,435棟、直接死1,605人という県全体の値も比較で示しています。

財政の前提と、担い手そのものの減少

市の財政をめぐる前提は、県全体の指標を見るとおおよその見当がつきます。福島県の財政力指数は0.51927、経常収支比率は95.8%(いずれも令和6年度決算・普通会計ベース)。使いみちが決まっている支出の割合が高く、新しい事業に回せる余地は大きくありません(出典:福島県の主要な財政指標|令和6年度決算

県の人口ビジョンは、高齢化に伴う社会保障関係費の増加や、老朽化するインフラの維持・更新費の増加によって財政の硬直化が進むおそれを挙げ、あわせて人口減少によって職員のなり手そのものが減り、行政サービスの水準を保つことが難しくなるおそれを課題として明記しています。福島市が令和8年度実施の第1期で一般行政Aを8名程度、保育士Aを7名程度と、職種ごとに人数を示して募集していることも、この文脈のなかで見ると意味が変わってきます。

広域のなかで、県北の中心として何を担うか

福島市は、県内では二本松市・伊達市・桑折町・川俣町・猪苗代町と、県外では山形県と宮城県の4市町と接しています。医療、買い物、進学、就職。

人の動きが市の境を越えていく前提のもとで、県北の中心にある市が何を引き受けるのかは、それ自体が課題です。周辺の市町とどう役割を分け、どう補い合うのかという問いは、県庁ではなく市役所を志望する理由を語るときにも効いてきます。

人口で上回る郡山市やいわき市との違いを、優劣ではなく機能の違いとして説明できるようにしておきましょう。

福島市の重点政策|受験案内と県の計画

福島市の総合計画や個別計画は、市公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市が令和8年度実施の第1期で公表している受験案内と、福島市が属する福島県の計画を組み合わせて、市政を理解する土台をつくります。

受験案内が示す「福島市の採り方」

令和8年度実施の第1期は、実施主体が福島市役所総務部人事課で、区分は大学卒程度・資格免許職・社会人経験者の3系統です。職種と採用予定人員は細かく分かれており、一般行政Aが8名程度、一般行政(農業)1名程度、一般行政(福祉)2名程度、土木4名程度、消防士A4名程度、消防士B(救急救命士)1名程度、保健師2名程度、保育士A7名程度、社会人経験者の一般行政B4名程度、保育士B4名程度、消防士C1名程度と示されています。

消防士も消防本部の別試験ではなく、福島市職員採用試験の一職種として募集されている点は取り違えやすいので押さえておきましょう。(出典:令和8年度実施 福島市職員採用試験(第1期)受験案内|福島市

試験の中身には、区分ごとの考え方がはっきり出ています。大学卒程度と資格免許職の第1次試験は、教養試験と専門試験による筆記です。

教養試験は時事、社会、人文及び自然に関する一般知識に加え、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈から出題されます。一般行政Aの専門試験は、憲法・行政法・民法・経済学・財政学・社会政策・政治学・行政学・国際関係という9分野から出題されます。公務員試験らしい負荷が正面から課される設計です。

一方、社会人経験者の第1次試験は各テストセンターで受検するSPI3(性格検査と基礎能力検査)で、筆記試験会場での受験ではありません。同じ市の同じ年度の試験でありながら、入口の関門がまったく違うということです。自分がどの区分で受けるのかを最初に固めないと、対策の方向を丸ごと間違えます。

そして第2次試験です。大学卒程度・資格免許職の試験種目は口述試験・適性検査・論文試験(作文試験)の3つ。

口述試験は受験案内の言葉で「主として人物について、個別面接及びグループワークによる試験を行います」とされており、個別面接に加えてグループワークが課されます。適性検査はWEBによる実施が予定され、論文試験は職員として必要な論理性や表現力についての試験と説明されています。

社会人経験者の口述試験は個別面接のみでグループワークはなく、論文試験(消防士Cは作文試験)が併せて実施されます。

もう一つ、福島市に固有の仕組みがあります。一般行政(農業)だけは、筆記の専門試験に加えて「専門性確認シート」の事前提出が課されます。

農業に関する専門知識についてこれまで学んできた内容を記述して電子メールで提出し、その記載内容をもとに第2次試験の個別面接で専門性が確認されます。指定期間内に提出がなければ第2次試験を受験できません。

しかも面接の場では、そのシートを含めて資料等の持ち込みができないと明記されています。書いたことを、手元を見ずに話せる状態にしておく必要があるということです。

福島県の計画から見た、市政の方向

県の計画は、福島市がどちらへ向かって仕事をしているかの背景を教えてくれます。福島県人口ビジョンは、現状の傾向が続けば県人口が2040年に145万人、2070年に85万人まで減ると推計しています。

あわせて、過疎化の進行によって買い物・生活交通・医療・子育て・教育といった日常のサービスの維持が難しくなること、町内会や自治会、消防団などの共助の機能を保つことが困難になることを課題として挙げています。

県が方向を定め、市が暮らしの単位でそれを運ぶ。県と市の違いを権限の上下ではなく市民との距離だと捉えると、志望理由の輪郭がはっきりします。

県庁所在地である福島市は、県の機関と最も近い場所にある市でもあります。その近さを利点としてどう使うかまで考えておくと、話が一段深くなります。

POINT|計画名を言えなくても、自治体研究はできる

名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①福島市の人口261,534人と面積767.72km²、県庁所在地でありながら県内3番目という位置を知る → ②福島県全体で人口が減り続けている前提を重ねる → ③その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ④市公式サイトや広報で、実際に動いている取組を確かめる、という順で準備しましょう。

悪い例「県庁所在地である福島市の発展に貢献したいです」

改善例「福島市は県庁所在地ですけれども、人口では県内3番目だと知りました。まずは窓口で市民の方の用件を正確に受け止められるようになりたいです。そのうえで、山形県や宮城県と隣り合う場所ですので、市の外から来る方にも届く情報の出し方に関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 自分が受ける枠と区分の受験案内
    先行実施枠・第1期・土木職通年募集で内容が異なります。枠を取り違えると試験構成の理解ごとずれます
  • 市の採用情報総合ページ
    枠ごとの受験案内はここから辿れます。過去には個別ページが表示されない事例もあったため、総合ページを起点にするのが確実です
  • 市の総合計画・地域防災計画
    志望分野に関係するものを1〜2つ選び、市の言葉づかいのまま押さえます
  • 福島県の統計・計画
    人口ビジョンや県民経済計算は、市の課題を県全体の流れのなかに位置づけるときの物差しになります

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、福島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。福島市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

福島市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

福島市役所の面接の概要

ここからは、福島市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

福島市役所の試験の流れ

令和8年度実施の第1期は、第1次試験と第2次試験の二段階です。人物を見る場面が第2次に集約されており、そこに個別面接とグループワークが並んで置かれている点が福島市の特徴です。第2次試験は計2日(予定)で実施されます。

項目内容(令和8年度実施・第1期)
実施主体・区分福島市役所総務部人事課。大学卒程度・資格免許職・社会人経験者の3系統
採用予定人員一般行政A8名程度、一般行政(農業)1名程度、一般行政(福祉)2名程度、土木4名程度、消防士A4名程度、消防士B1名程度、保健師2名程度、保育士A7名程度、一般行政B4名程度、保育士B4名程度、消防士C1名程度
第1次試験(大学卒程度・資格免許職)筆記試験(教養試験と専門試験)。消防士A・Bは専門試験がなく、適性検査と実技試験を実施
第1次試験(社会人経験者)各テストセンターで受検するSPI3(性格検査・基礎能力検査)
第2次試験(大学卒程度・資格免許職)口述試験・適性検査・論文試験(作文試験)の3種目。口述試験は個別面接及びグループワーク
第2次試験(社会人経験者)口述試験は個別面接のみ。論文試験(消防士Cは作文試験)を併せて実施し、保育士Bは実技試験が加わる
適性検査職務遂行上必要な適性についての検査。WEBによる実施を予定
面接の回数・時間個別面接の回数、面接官の人数、所要時間はいずれも受験案内に記載がありません
配点試験種目ごとの配点・満点、人物試験の比重、最終合格者の決定方法は受験案内に記載がありません
試験会場(第2次)計2日(予定)。福島市市民センター、福島市役所庁舎棟(予定)で、第1次試験合格者に直接通知
事前提出の書類一般行政(農業)のみ「専門性確認シート」を電子メールで提出。未提出の場合は第2次試験を受験できません
受験資格一般行政A・農業・土木は平成8年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた方で学歴は問いません。社会人経験者の一般行政Bは平成3年4月2日から平成15年4月1日までに生まれ、職務経験5年以上
申込方法インターネット(採用試験申込ページのLoGoフォーム)。同一年度中の受験は行政3回・他職種2回まで
(参考)初任給大学卒程度の新卒者で一般行政・土木242,500円、消防士246,500円(令和8年4月1日時点)

この表から読み取れることは二つあります。一つは、大学卒程度では筆記の負荷が正面から課されるということ。

教養に加えて9分野の専門試験があり、そこを通過した人だけが人物試験に進みます。もう一つは、その人物試験が個別面接だけで終わらないことです。

グループワークは、用意してきた答えを述べる場ではなく、初めて会う人と一緒に何かを形にする場です。準備の質がそのままは通用しません。

上記の試験構成は、福島市の令和8年度実施(第1期)の受験案内にもとづくものです。各試験種目の配点・満点、人物試験の比重、最終合格者の決定方法(第1次試験の成績を第2次試験に加算するか否か)は同案内に記載がなく、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。個別面接の回数も明示がありません。「先行実施枠」および「土木職通年募集(クール制)」は面接構成や試験方法が異なる可能性があり、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。試験の構成・区分・日程等は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身の枠と区分の最新の受験案内でご確認ください。(出典:福島市の職員採用情報|福島市

福島市役所が求める人物像

福島市が公表する「求める人物像」「求める職員像」にあたる文言を、令和8年度実施(第1期)の受験案内のなかでは確認できていません。採用のPRページや人材育成の方針など、受験案内以外の場所に関連する記述が置かれていることもありますので、志望する方は市公式サイトもあわせて見ておいてください。

ここでは、市が示している事実から評価されやすい資質を読み解いていきます。

手がかりは三つあります。口述試験に個別面接とグループワークの両方が置かれていること

一般行政Aの専門試験が9分野にわたること。そして職種が細かく分かれ、社会人経験者には5年以上の職務経験が求められていること。

これらを重ねると、「筋の通った考えを組み立てられること」「初対面の相手と一緒に結論へ運べること」「経歴の違う同僚と噛み合うこと」のあたりが評価の中心になると考えられます。自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。福島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はここまでどのくらい時間がかかりましたか身構えのない問いへの応じ方。短い受け答えでも声と表情は伝わります
② 動機・志望数ある自治体のなかで、福島市を選んだ理由を教えてくださいほかと比べたうえでの選択になっているか。動機が自分のこれまでと地続きか
③ 自己理解周囲からどんな人だと言われますか自分の見え方を把握しているか。他者の評価を受け止める素直さ
④ 経験・行動人と意見が食い違ったとき、どう折り合いをつけましたか対立の大きさではなく、その場面で自分がどう振る舞ったか
⑤ 学業・経歴これまでの学業や仕事で、力を入れて取り組んだことは何ですか取り組みの中身と、そこから何を持ち帰ったか
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたら、どうしますか市役所の仕事の幅をどこまで見込んでいるか。前提の変化への構え方
⑦ 公共性・社会性最近気になった出来事を一つ挙げてください社会の動きに目を向けているか。自分の受け止めを短い言葉にできるか

ただし、この7カテゴリーは福島市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「福島市ならでは」の質問です。

差がつくのは「福島市役所ならでは」の質問

「なぜ福島県庁ではなく、福島市役所なのですか」
「福島市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも福島市の現状を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「福島市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい福島市の事実答え方のヒント
市の規模と輪郭人口261,534人・面積767.72km²・人口密度341人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。県全体の人口の約16%を占め、人口密度は県平均123人/km²の2.8倍ほど県のなかでは人が集まっている側の市だという整理から入ると、話が散らかりません。密度の高さを、行政サービスをどう届けるかという話へつないでください
なぜ県庁ではなく市役所か県庁所在地でありながら人口は県内3番目(郡山市309,563人・いわき市298,865人に次ぐ)。県の機関と最も近い場所にある市でもある県との距離の近さを、二重行政の話ではなく市民との距離の話に置き換えて語ります。県庁との役割の違いは、借り物でない言葉で言い切ってください
福島市の位置と近隣接する9自治体のうち4つが県外(山形県米沢市・東置賜郡高畠町、宮城県白石市・刈田郡七ヶ宿町)。東京駅から福島駅まで最短87分県境をまたぐ暮らしがあるという前提を置くと、施策の対象が市民だけではないという話に進めます。仙台や山形との関係も一言用意しておきましょう
防災と地域の備え県の被害想定には福島盆地西縁断層帯の地震(マグニチュード7.8)が含まれ、県全体で死者1,471人・全壊焼失33,618棟と算出されている県全体の値だと断ったうえで、市のハザードマップで自分が確かめたことを話します。想定の大きさより、避難や情報伝達で市職員が担う役割へ話を進めてください
試験の性格大学卒程度の第1次は教養試験と9分野の専門試験。第2次の口述試験は個別面接及びグループワークで、適性検査はWEB実施の予定グループワークがあることに触れ、話し合いで自分が担ってきた役割を具体例で示します。筆記の負荷を通過した先に人物試験があるという構造も押さえておきましょう

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、先ほど読み解いた「福島市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
筋の通った考えを組み立てられるかひとつの質問に対する答えの構造。結論と理由の関係がずれていないか福島市の第2次試験には論文試験も置かれています。論理性と表現力は書く場面でも見られますから、話す準備と書く準備を切り離さないでください。同じ題材を口頭と文章の両方で扱ってみると穴が見えます
初対面の相手と結論へ運べるかグループワークでの立ち回り。発言量ではなく、議論が前へ進んだ場面での関わり方口述試験には個別面接とグループワークの両方が含まれます。合意をつくった経験を思い出し、自分が引き受けた役割と、他の人の意見をどう扱ったかを書き出しておきましょう
経歴の違う同僚と噛み合うか年齢や立場の違う相手と組んだ経験。前提を共有するために何をしたか福島市は社会人経験者の区分を並べて募集しており、職務経験5年以上という要件が付いています。同期が同じ年齢とは限りません。世代の違う相手と何かを仕上げた場面を用意しておいてください

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。福島市の第2次試験は計2日(予定)で行われますから、面接官が入れ替わる可能性も含めて、同じ話を角度を変えて問われる前提で備えておく必要があります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける枠(先行実施枠・第1期・土木職通年募集)と区分を確定し、その受験案内で第1次試験の種目と申込方法を確かめる
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業、部活動、アルバイト、職務、地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口261,534人・面積767.72km²・人口密度341人/km²という福島市の輪郭と、県庁所在地でありながら人口は県内3番目という位置づけを自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 個別面接とグループワークの両方を想定して練習する。話す練習に加えて、複数人での話し合いに入り、結論を出すところまで付き合う経験を意識的につくる

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、福島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

福島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

福島市役所の想定問答集を見る

さいごに

福島市の第1期は、大学卒程度で教養と9分野の専門試験を越えた先に、個別面接とグループワーク、そして論文試験が待つ構成です。一般行政Aは8名程度、保育士Aは7名程度というように、職種ごとに人数が示されています。

県庁所在地でありながら人口では県内3番目、接する9自治体のうち4つが他県。その場所で、これから誰の暮らしをどう支えたいのか。一人で語るときも、初めて会う人と話し合うときも同じ芯で言えるところまで、自分の経験を整えていきましょう。