本記事では、群馬県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、群馬県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・重点目標・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
群馬県警察の面接試験では、「なぜ群馬県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。群馬県の治安の現状と県警察の重点目標を知っておくことで、抽象的な回答を避け、群馬県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と群馬県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
群馬県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは群馬県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地の前橋市に本部を置き、群馬県全域の35市町村を管轄する。管轄人口は約187万人で、全国では18番目の規模にあたる。
- 県土の面積は約6,362平方キロメートルで全国21番目、関東地方では栃木県に次ぐ2番目の広さ。県西・県北の県境に山々が連なり、南東部に関東平野が開ける内陸県で、県土の約6割は森林が占める。(参考:ぐんまの概要|群馬県)
- 組織は、警務部・地域部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の6部に、サイバー犯罪に対応するサイバーセンターと警察学校、そして県内各地の警察署を加えた体制で構成されている。
- 令和7年の刑法犯認知件数は15,283件で、前年から4.7%増加した。刑法犯全体の検挙率は48.4%。件数が前年を上回った年であり、犯罪の抑止と検挙の両面が問われる局面にある。
- 罪種の内訳を見ると、住宅などに入り込む侵入盗が2,554件と多く、自動車盗も323件を数える。繁華街型の犯罪よりも、住まいと車という生活の足元をねらう犯罪が数字に表れているのが群馬の特色。
- 製造品出荷額等は10兆1,485億円(令和5年)で全国12位。輸送機器が約37%を占め、SUBARUや日野自動車などの工場が県内に立地する。働き手が各地から集まる太田市や大泉町では外国人住民の割合も高く、そのことが警察活動の前提条件にもなっている。
- 県内には関越・北関東・上信越・東北という4本の高速道路が通り、高崎駅では上越新幹線と北陸新幹線が分かれる。東京から約100キロメートル、新幹線でも高速道路でも約50分という位置にあり、人と車が絶え間なく行き来する。
- 令和8年3月には、犯罪発生情報や特殊詐欺・闇バイトへの注意喚起を配信する公式防犯アプリ「ぐんまポリス」の運用が始まった。(参考:防犯アプリ「ぐんまポリス」|令和8年3月運用開始)
- 自転車ヘルメットの着用率は43.8%で全国3位。全国平均13.5%を大きく上回っており、県が2021年に全国に先駆けて条例で着用の努力義務を定めた成果が数字に表れている(警察庁の2023年7月調査)。
群馬県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「群馬県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄人口や県土の広さ、高齢化の程度、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 群馬県全域(35市町村) |
| 管轄人口 | 約187万人(令和7年10月1日現在で1,867,582人・全国18位) |
| 管轄面積 | 約6,362平方キロメートル(全国21位・関東で2番目の広さ) |
| 世帯数 | 816,104世帯(1世帯あたり2.29人) |
| 高齢化率 | 31.3%(令和6年10月1日現在・過去最高) |
| 刑法犯認知件数 | 15,283件(令和7年・前年比4.7%増) |
| 刑法犯検挙率 | 48.4%(令和7年) |
| 本部の組織 | 警務部・地域部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の6部、サイバーセンター、警察学校 |
管轄人口と世帯数は令和7年国勢調査人口速報集計結果(令和7年10月1日現在)、管轄面積は群馬県「ぐんまの概要」、高齢化率は群馬県年齢別人口統計調査(令和6年10月1日現在)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計にもとづく数値です。警察署や交番の数、職員数は公表資料で確認できた項目のみを掲載しているため、この表にない項目は県警察の公表資料や最新の受験案内でご確認ください。(出典:令和7年国勢調査人口速報集計結果|令和7年)
数字から考えられる治安課題
群馬県は、人口が全国18位、面積が21位という中位の県です。ただし、県内の人口は前橋市や高崎市の市街地だけに集まっているわけではなく、平野部の住宅地から山あいの集落まで広く分散しています。
移動の多くを車が担い、住宅や事業所も市街地の外へ広がっています。この暮らし方が、犯罪の現れ方にもそのまま反映されます。
その象徴が、令和7年の刑法犯15,283件のうち侵入盗が2,554件を占めるという内訳です。刑法犯のおよそ6件に1件が、住まいや事業所に入り込む犯罪だという計算になります。
一方でひったくりは4件にとどまり、人混みを舞台にした街頭犯罪は多くありません。数字を単体で覚えるのではなく、「暮らしの場が繰り返しねらわれている県」という読み方まで持っておきましょう。
たとえば面接では、群馬県の治安の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
群馬県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
群馬県内の刑法犯認知件数は、令和7年で15,283件、前年から4.7%の増加となりました。
前年を上回ったという事実そのものが、面接で治安の現状を語るときの出発点になります。「治安は年々良くなっている」という説明は、今の群馬にはそのまま当てはまりません。
あわせて押さえたいのが検挙の状況です。刑法犯全体の検挙率は48.4%(令和7年)で、認知した事件のうち半分近くを検挙できている計算になります。
ただし認知件数が増える局面では捜査の負担も増えるため、この水準を保ち続けること自体が課題になります。面接では、検挙(起きた犯罪への対応)と抑止(犯罪を発生させない取組)の両輪で治安を語れると、仕事理解の深さが伝わります。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 16件 |
| 強盗 | 17件 |
| 侵入盗 | 2,554件 |
| 自動車盗 | 323件 |
| ひったくり | 4件 |
罪種別の認知件数・刑法犯認知件数・検挙率は、令和7年(2025年)の犯罪統計にもとづく数値です。犯罪統計は毎年更新されるため、受験時には県警察の公表ページで最新値をご確認ください。
住まいと車をねらう犯罪
群馬の犯罪情勢を語るうえで外せないのが、侵入盗2,554件・自動車盗323件という数字です(いずれも令和7年)。
殺人16件・強盗17件という重要犯罪の少なさと比べると、被害の中心が財産犯に寄っていることがはっきりします。留守宅や作業場に入り込む手口、駐車場から車ごと持ち去る手口は、被害に遭った人にとっては生活の基盤を揺さぶられる出来事です。
殺人や強盗のような重い事件と違い、この種の犯罪は一件ごとに大きく報じられるわけではありません。
それでも、件数の多さがそのまま「うちも入られるかもしれない」という不安になって地域に広がります。地域警察官として何をしたいかを語るとき、群馬ではこの分野が最も具体的な話をしやすいテーマになります。
特殊詐欺と闇バイトへの警戒
SNSやインターネット掲示板を入口に実行役を募る、いわゆる闇バイトの問題は、群馬県警察も正面から取り上げています。
令和8年3月に運用が始まった公式防犯アプリ「ぐんまポリス」では、犯罪発生情報の配信とあわせて、特殊詐欺と闇バイトへの注意喚起が行われています。被害者を出さないための呼びかけと、加担者を出さないための呼びかけを同時に進めるところに、この分野の難しさがあります。
特殊詐欺の被害件数や被害額は年ごとに大きく動くため、面接の直前に県警察の公表資料で最新の数字を見ておいてください。志望動機で詐欺対策に触れるなら、数字よりもむしろ「誰にどう届けるか」という具体策まで話せるかどうかが分かれ目になります。
交通事故と自転車の安全利用
交通事故では、亡くなる方に高齢者が偏っている点が群馬の大きな特徴です。令和7年中の県内の人身事故は9,095件(前年比0.4%増)、死者は48人(前年から1人減)でした。
このうち65歳以上の高齢者が27人と、死者の56.3%を占めて年齢層別で最も多くなっています。前年の令和6年はこの割合が73.5%(死者49人のうち36人)と過去最高に達し、同じ年の全国平均56.8%を大きく上回りました。
年ごとの振れはあっても、亡くなる方の中心が高齢者であるという構図は変わりません。高速道路網が発達し、日常の移動を車に頼る県であるだけに、高齢の運転者と歩行者の双方をどう守るかが交通安全の中心テーマになります。(出典:交通事故発生状況|令和7年)
一方で、群馬には全国に誇れる実績もあります。自転車ヘルメットの着用率は43.8%(警察庁の2023年7月調査)で全国3位。全国平均13.5%の3倍を超える水準です。
県が2021年に全国に先駆けて条例で着用の努力義務を定め、学校や地域を通じた働きかけを重ねてきた結果です。
ルールを定めるだけでは人は動かず、伝え方を工夫して初めて行動が変わることを示す、群馬ならではの実例だといえます。
群馬県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、群馬県警察が今向き合っている課題が浮かび上がります。面接で「群馬県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の6つを整理しておきます。
前年を上回った刑法犯と体感治安
令和7年の刑法犯認知件数が前年比4.7%増となったことは、統計上の変化にとどまりません。
近所で事件が起きたという実感は、統計の数字より速く「この街は大丈夫か」という不安に変わります。数字が増えた年だからこそ、起きた事件を確実に検挙することと、制服姿の警察官が地域にいる安心感を保つことの両方が求められます。
防犯を地域とどう組み立てるか
刑法犯のおよそ6件に1件が侵入盗という令和7年の内訳は、群馬の警察活動の重心がどこにあるかを示しています。広い敷地に住宅が点在し、農機具や資材を置く作業場も多い県では、目の届かない場所が都市部より多くなります。
パトロールの手を厚くするだけでは足りず、住民の側の備えを地域ぐるみで底上げする必要があります。
補助錠の設置や車両の盗難防止装置といった具体策を、防犯講話や巡回連絡を通じてどれだけ広げられるか。地道で成果の見えにくい活動を続ける力が問われる領域です。
特殊詐欺・闇バイトとサイバー空間の脅威
特殊詐欺の背後には、SNSなどで実行役を募って犯行を繰り返す匿名・流動型犯罪グループの存在があります。指示役は匿名の陰に隠れ、末端の実行役だけが短期間で入れ替わっていく構造のため、実行役を捕まえるだけでは被害が止まりません。
令和8年の重点目標では、この領域が二つの項目に分かれて立てられています。ひとつは「犯罪の徹底検挙と犯罪組織の壊滅」、もうひとつは「サイバー空間の脅威に対する総合対策の推進」です。
項目としては別でも、現場で求められる対応は一続きになります。実態の解明と取締り、被害を防ぐ広報、そして若者が加担してしまわないための働きかけまでが、ひとまとまりの課題です。
高齢者に偏る交通死亡事故
令和7年の交通事故死者48人のうち27人(56.3%)が高齢者、前年の令和6年は49人のうち36人(73.5%)という数字は、群馬の交通安全が「誰を守るか」をはっきり示しています。この偏りは、高齢化率31.3%(令和6年10月1日現在)という人口構成だけでは説明しきれません。
車がなければ生活が成り立ちにくい地域事情のもとで、運転を続ける高齢者の安全と、歩行中や自転車に乗っているときの安全の両方に手を打つ必要があります。取締りだけでなく、免許の自主返納をめぐる相談や、道路環境の改善まで含めた総合的な対応が求められる分野です。
多様な住民が暮らす地域の安全
群馬県は、太田市や大泉町をはじめとする製造業の集積地を中心に、外国人住民が多く暮らす県です。大泉町では外国人比率が20%を超えており(令和8年時点)、県も多文化共生の施策を進めています。
警察の側から見れば、これは安全に関わる情報をどう届けるかという課題になります。交通ルールや詐欺の手口、災害時の行動といった情報が言葉の壁で止まってしまえば、被害はそこに集中します。
事件や事故の当事者になったときに、ためらわずに110番できる関係をどう築くか。地域警察官の日常の仕事に直結するテーマです。
大規模災害への備え
群馬県は、災害リスクが相対的に低い県として知られます。過去10年(平成27年から令和6年)の自然災害による罹災世帯数は459世帯と関東で最小、震度4以上の地震回数も関東で最も少ないという実績があります。(参考:群馬県IR資料|令和8年6月)
しかし、それは「起きない」ことを意味しません。令和8年3月の県の地震被害想定調査では、被害が最大となる深谷断層帯・綾瀬川断層の地震について、冬の18時に強風という条件下で死者4,028人・負傷者31,674人・建物全壊114,653棟が想定されました。
あわせて、全35市町村の役場直下でマグニチュード6.9の地震が起きた場合の被害も新たに想定されています。(出典:群馬県地震被害想定調査報告書(概要版)|令和8年3月)
「群馬は災害が少ない」という実感と、この想定との落差こそが、危機管理を語るうえでの出発点です。令和8年の重点目標にも「テロ、大規模災害等危機管理対策の推進」が掲げられており、警備部門を志望する人以外にも押さえておいてほしい前提になります。
重点方針|令和8年群馬県警察重点目標
群馬県警察は、毎年の警察活動の柱として重点目標を定めており、その最新版が『令和8年群馬県警察重点目標』です。指針に置かれたのは「安全・安心を実感できる群馬県の実現」で、副題には「県民の期待と信頼に応える力強い警察」が添えられています。(出典:令和8年群馬県警察重点目標|令和8年)
方針を貫く考え方
まず目を引くのが、指針に置かれた「実感できる」という言葉です。統計上の数値が改善することと、県民が日々の暮らしの中で安全を感じられることは、必ずしも一致しません。
刑法犯が前年を上回り、交通事故で亡くなる方の半数以上を高齢者が占める(いずれも令和7年)という現状の中で、数字と実感の両方に働きかけるという構えが、この一語に込められています。
もうひとつは、副題の「期待と信頼に応える」という表現です。期待は将来に向けたもので、信頼は過去の積み重ねから生まれます。
一件の対応、一度の受け答えが信頼を作りもすれば損ないもする、という職業の性格をそのまま言い表した言葉だといえます。
ここで、面接対策として知っておいてほしいことがあります。群馬県警察が重点目標として公表しているのは、指針とこのあと挙げる6項目までで、それぞれの項目の下にどんな取組を置くかという詳細は公表されていません。
公式が示しているのは骨格までなので、その中身を群馬の数字で埋めて語れるかどうかが、そのまま差になります。
6つの重点目標
重点目標は次の6項目です。あわせて、それぞれの項目が群馬の現状とどうつながるのかを、受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 重点目標(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① 県民生活の安全を確保するための取組の推進 | 子ども・女性・高齢者など被害に遭いやすい人の安全確保と、身近な犯罪の抑止。令和7年に侵入盗が2,554件を数えた群馬では、住まいの防犯を地域とどう進めるかが具体的な仕事になる |
| ② 迅速・的確な初動警察活動の推進 | 110番通報から現場到着、初動捜査までの速さと確実さ。生活圏が県内に広く分散する群馬では、現場へ早くたどり着く体制そのものが治安を左右する |
| ③ 犯罪の徹底検挙と犯罪組織の壊滅 | 検挙率48.4%(令和7年)という現状を押し上げる取組と、特殊詐欺や闇バイトの背後にいる匿名・流動型犯罪グループの実態解明・取締り |
| ④ 安全で快適な交通社会の実現 | 死者の半数以上を高齢者が占める事故情勢(令和7年は48人中27人)への対策と、着用率43.8%(2023年7月調査)まで進んだ自転車ヘルメットのさらなる浸透。高速道路網を抱える県としての交通秩序の維持 |
| ⑤ テロ、大規模災害等危機管理対策の推進 | 令和8年3月の県の地震被害想定で死者4,028人が見込まれる事態への備え。装備資機材の整備と訓練、テロの未然防止 |
| ⑥ サイバー空間の脅威に対する総合対策の推進 | サイバーセンターを中心とした捜査体制の強化と、SNSを入口にした被害を防ぐための広報啓発 |
左欄の項目名は群馬県警察の公表どおりです。右欄の解説は、各項目の下位に置かれる推進事項が公表されていないため、当研究会が群馬県の治安情勢と照らして受験生向けに補ったものであり、県警察の公式見解ではありません。
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの6つのどれに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
POINT|関心のある項目にしぼって深く語る
項目名を覚えること自体が目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①群馬で何が起きているか(数字)→ ②県警察はどの目標でそれを受け止めようとしているか → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順に、自分の関心の側から近づけていきましょう。
悪い例「群馬の安全を守れる警察官になりたいです」
改善例「まずは交番のお巡りさんとして、受け持つ地域の方の顔と名前を覚えるところから始めたいです。その上で、群馬では住宅などに入り込む侵入盗が年に2千5百件を超えていると聞きましたので、留守がちなお宅の見回りや、戸締まりの呼びかけといった地道な働きかけに力を入れていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 警察官採用試験の受験案内(試験の種目・受験資格・申込方法)
- 群馬県警察の採用専用サイト(仕事の紹介と先輩職員の声)
- 令和8年群馬県警察重点目標(指針と6つの項目)
- 犯罪統計・交通事故発生状況のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、群馬県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。群馬県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
群馬県警察の面接の概要
ここからは、群馬県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
群馬県警察の面接の流れ
群馬県警察・警察官採用試験は、令和8年度の第1回試験から仕組みが大きく変わりました。
それまでの3次試験制が2次試験制になり、集団面接が廃止されて、人物試験は個別面接に一本化されています。種目と配点の全体像は、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容(令和8年度・警察官A/B区分) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階(令和8年度第1回から3次試験制を改め、集団面接を廃止) |
| 第1次試験 | 教養試験(択一式・300点)と論(作)文試験を実施。警察官Aは論文、警察官Bは作文 |
| 論(作)文試験 | 配点は100点。第1次試験で実施し、採点は第2次試験で行う(配点も第2次試験に算入)。いずれも60分・900字 |
| 面接の種類 | 個別面接試験のみ。集団面接・集団討論は実施しない |
| 人物試験の配点 | 500点(個別面接試験と適性検査。前年度までの400点から引き上げ) |
| 個別面接の特徴 | 約1分間の「自己PRタイム」が設定されている |
| 体力検査 | 200点(握力・上体起こし・立ち幅とび・反復横とび・20mシャトルランの5種目) |
| 身体検査 | 身体外形検査・身体精密検査(いずれも適否判定) |
| 加点制度 | 術科の資格保有者に、いずれか1つの資格につき第1次試験の得点へ30点を加点 |
| 採用までの流れ | 受験申込 → 第1次試験 → 第2次(最終)試験 → 採用面接(任命権者面接) → 内定 → 採用 |
注目してほしい点は2つあります。1つ目は配点です。教養試験が300点、第2次試験で採点される論(作)文が100点であるのに対し、個別面接を含む人物試験には500点が置かれ、しかも前年度までの400点から引き上げられました。
筆記の出来に自信が持てなくても面接の準備しだいで十分に挽回できる構造であり、逆に言えば、面接対策を後回しにすると勝負にならない試験だということです。
2つ目は、集団面接が廃止され、人物試験が個別面接1回に集約されたことです。集団の場での立ち回りで印象を補うことができなくなり、その1回でどれだけ自分を語れるかに評価が集中します。
個別面接には約1分間の自己PRタイムが設定されているため、冒頭の1分で何を話すかをあらかじめ決めておくかどうかで、その後の展開が変わります。
上記の試験構成は、群馬県人事委員会および群馬県警察が公表する令和8年度の試験情報にもとづくものです。令和8年度に試験制度が大きく変更されているため、令和7年度以前の受験案内や解説をそのまま参考にすると誤りになります。試験の構成・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があるため、受験の際は必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:令和8年度群馬県警察官採用試験|令和8年度)(参考:警察官採用試験の概要|令和8年度)
群馬県警察が求める人材
群馬県警察は、箇条書きで定式化した「求める人物像」を、採用専用サイトや試験の案内ページでは公表していません(当研究会が確認できた範囲)。
代わりに読み取る材料になるのが、令和8年の重点目標の指針に添えられた副題、「県民の期待と信頼に応える力強い警察」です。
県民の求めを受け止めること、日々の仕事で信頼を積み上げること、そして頼られるだけの強さを備えること。組織が自らに課している像が、この一文に凝縮されています。
ここで求められているのは、特別な経歴や派手な実績ではありません。むしろ、自己PRタイムが約1分と決まっている以上、詰め込める題材は多くありません。引き受けたことをやり切った場面、思うような結果が出ない時期を経て続けた場面、周囲から頼られて動いた場面のうち、いちばん細部まで話せるものを一つ選んでおくことが、準備の出発点になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。群馬県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は会場まで、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 進路の選択肢がいくつもあった中で、なぜ警察官で、なぜ群馬県警察なのですか? | 他の選択肢と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの強みは、警察の仕事のどんな場面で活きますか? | 強みの説明が、警察の具体的な仕事の場面まで届いているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も粘り強く取り組んだことは何ですか? | 成果の大きさではなく、そのとき実際にとった行動の事実 |
| ⑤ 学業・経歴 | その学科や進路を選んだ理由を教えてください | 進路の決め方に一貫性があるか。自分の決断を、受け売りでなく説明できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 交替制勤務や訓練の厳しさに耐えられますか? | 体力の裏づけと日頃の健康管理の習慣、警察官として働く覚悟 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは群馬県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのが実情です。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは群馬の実情を踏まえた質問
どちらも、群馬県の現状と県警察の重点目標を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「群馬県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい群馬県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 刑法犯認知件数は令和7年で15,283件(前年比4.7%増)、検挙率は48.4% | 「増えている」で終わらせず、侵入盗2,554件という内訳まで踏み込むと、群馬の犯罪の質まで見ていることが伝わる |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の指針は「安全・安心を実感できる群馬県の実現」。重点目標は県民生活の安全、初動、検挙と組織壊滅、交通、危機管理、サイバーの6項目 | 公式が示しているのは項目名までなので、その中身を群馬の数字で埋めて話せると、志望の具体性が際立つ |
| 群馬で働く規模感 | 管轄人口は約187万人で全国18位(令和7年国勢調査速報)、面積は約6,362平方キロメートルで全国21位。県土の約6割が森林で、生活圏が広く分散している | 人口が集まる南東の平野部と、人家のまばらな県西・県北の山間部を、ひとつの県警察が併せて受け持つ点に触れると、勤務地への理解が伝わる |
| 交通安全 | 令和7年の交通事故死者48人のうち27人(56.3%)が高齢者。令和6年は49人中36人(73.5%)と過去最高で、同年の全国平均56.8%を大きく上回った。自転車ヘルメット着用率は43.8%で全国3位 | 「高齢者を守る」で止めず、条例と地道な広報で着用率を全国3位まで押し上げた群馬のやり方に、自分の考えを重ねる |
| 多様な住民が暮らす地域 | 大泉町では外国人比率が20%を超え、太田市など製造業の集積地を中心に外国人住民が多く暮らす | 交通ルールや防犯情報をどう届けるかという「伝え方」の課題として語ると、地域警察の仕事に直結する |
| 災害への備え | 県の地震被害想定(令和8年3月)では、被害が最大となる深谷断層帯・綾瀬川断層の地震で死者4,028人・建物全壊114,653棟。一方、過去10年の罹災世帯数は関東で最小 | 「群馬は災害が少ない」という一般的な印象と、想定された数字との落差を、自分の問題意識として語る |
この表を丸ごと抱え込む必要はありません。志望する部門や自分の関心に近いテーマにしぼり、「群馬の事実 → 自分が引っかかっている点 → 警察官として関わりたい場面」の順に一続きで話せる状態まで持っていけば十分です。
想定される評価の観点
面接は、「県民の期待と信頼に応える力強い警察」を掲げる組織の姿に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 期待に応える責任感 | 引き受けた役割を、途中で放り出さずに務め切ったか | 自己PRタイムは約1分しかない。責任感が一目で伝わる出来事を一つに絞り、細部まで話せる状態にしておく |
| 信頼を積み上げる誠実さ | 都合の悪いことも含めて、起きた事実をそのまま話せるか | 集団面接が廃止され個別面接1回で判断される試験だからこそ、失敗した経験とその後に変えたことを、取り繕わずに話す練習をしておく |
| 伝わるまで働きかける力強さ | 相手が動くまで、言い方や方法を変えて働きかけた経験があるか | 群馬が条例と広報で自転車ヘルメットの着用率を43.8%(2023年7月調査)まで高めたように、伝え方を工夫して人の行動を変えた場面を探しておく |
評価の観点の3項目は、令和8年群馬県警察重点目標の指針をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。群馬県警察が公表している評価基準ではありません。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、試験の種目・配点と申込方法を確認する。令和8年度から2次試験制に変わっているため、古い年度の情報や解説をそのまま信じないよう気をつける
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い群馬の事実を2〜3個、自分の言い方に直しておく
- 固有質問の材料を対応表から集める。事実の紹介で終わらせず、そこで自分が引っかかった点と、就きたい仕事の場面までを一続きの話に編む
- 約1分の自己PRを実際に声に出して計り、そのうえで想定問答のリハーサルをする。答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、体力検査の5種目(握力・上体起こし・立ち幅とび・反復横とび・20mシャトルラン)を日々のトレーニングに組み込み、生活リズムづくりも並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、群馬県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
群馬県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。人物試験に500点が置かれ、しかも個別面接1回で判断される試験ですから、本番までの時間が限られている方は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
群馬県警察の採用試験は、令和8年度から形を変えました。集団面接がなくなり、人物試験は個別面接の一回だけになり、その配点は500点へ引き上げられています。
準備の量がそのまま結果に表れる試験である一方、やり直しのきかない一回でもあります。
群馬の治安には、刑法犯が前年を上回ったこと、住まいや車をねらう犯罪が数字に表れていること、交通事故で亡くなる方の半数以上を高齢者が占めていることという、はっきりした輪郭があります。
その輪郭のどこに自分が関わりたいのかを、約1分の自己PRから逆算して考えてみてください。面接で語られるのは、特別な武勇伝ではなく、あなたがこれまで誰のために動いてきたかという事実です。