本記事では、沼田市職員採用試験の面接対策で必要な、沼田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
沼田市役所の面接試験では、「なぜ沼田市を志望したのか」「市職員として何を実現したいのか」「自分の経験を市の仕事にどうつなげるのか」といった質問が想定されます。
沼田市は人材育成基本方針の中で、知識偏重ではなく人物重視の採用を行うと明記しています。第2次試験と第3次試験がいずれも個別面接という構成も、その方針と重なります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と沼田市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
沼田市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは沼田市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口42,647人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積443.46km²・人口密度96人/km²の市である。
- 群馬県内12市の中で、人口はもっとも少なく、面積は高崎市に次ぐ第2位。人口密度96人/km²も12市中でもっとも低い(いずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在の比較)。
- 隣接自治体は前橋市、桐生市、渋川市、みどり市、吾妻郡高山村、利根郡みなかみ町、片品村、昭和村、川場村、そして栃木県日光市の10自治体にのぼる。
- 市役所は〒378-8501 群馬県沼田市下之町888に置かれている。団体コードは10206-7。
- 市の花はキキョウ、市の木はサクラ。
- 令和8年度の職員採用試験は試験1、試験2、試験3の系統に分かれており、試験3は通年募集・随時採用として行われる。
- 試験2(令和9年4月1日採用)は第1次から第3次までの3段階構成で、第2次試験と第3次試験がいずれも個別面接試験である。
沼田市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、沼田市が「広くて人が少ない市」であることを数字で示せるようにしておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、隣接する自治体など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。大きさの見当をつけるための比較対象として、群馬県全体の数値も並べました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 42,647人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 443.46km²(県内12市中第2位) |
| 人口密度 | 96人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 高齢化率 | 36.9%(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。同じ調査の群馬県全体は30.8% |
| 隣接自治体 | 前橋市、桐生市、渋川市、みどり市、吾妻郡高山村、利根郡みなかみ町、片品村、昭和村、川場村、栃木県日光市 |
| 市役所所在地 | 〒378-8501 群馬県沼田市下之町888 |
| 市の花・市の木 | キキョウ・サクラ |
| (参考)群馬県の総人口 | 1,867,582人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報集計/全国第18位) |
| (参考)群馬県の面積 | 約6,362km²(全国第21位・関東地方では第2位。県土の約6割が森林) |
沼田市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在。県内順位は同時点の県内12市の比較による)。高齢化率は総務省が住民基本台帳をもとにまとめた令和8年1月1日現在の値です。群馬県の総人口・面積は群馬県公式サイトによる数値です。市の統計の最新値は、沼田市公式サイトであわせてご確認ください。
96人/km²という密度が生む仕事
沼田市の面積443.46km²は、群馬県の面積約6,362km²の約7%にあたります。そこに暮らすのは約4万2千人。
県内12市の中で、もっとも広い部類の市域に、もっとも少ない人口が住んでいるという組み合わせです(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。
人口密度96人/km²は、たとえば渋川市の297人/km²の3分の1以下にあたります。
この数字は、行政の仕事のかたちを決めます。同じ1件の相談を受けるのにも移動の時間がかかり、同じ1本の道路を維持するのにも、負担を分け合う住民の数が少ない。
群馬県の人口は令和7年国勢調査の速報集計で1,867,582人となり、令和2年から3.7%減りました(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|令和7年)。
県全体が縮む中で、この条件のもとで何を守るのか。面接では、たとえば次のように話せます。
沼田市の経済・産業
森林と山に囲まれた市域
群馬県は日本列島のほぼ中央にある内陸県で、県西・県北の県境に山々が連なり、南東部に関東平野が開けます。
県土の約6割が森林に覆われているのが特徴で、平野部は夏に雷が多く、冬は「空っ風」と呼ばれる冷たく乾いた季節風が吹きます。
山間部は季節風の影響で雪が多くなります(出典:ぐんまの概要|群馬県)。
沼田市は、この県北の山側に位置します。利根郡のみなかみ町、片品村、昭和村、川場村と接し、県境の向こうには栃木県日光市があります。
市域の多くが平野ではないという条件は、農業のかたちも、道路や上下水道の維持のしかたも、冬場の除雪の負担も左右します。産業や暮らしを語るときは、まずこの地形から入ると話がぶれません。
全国有数の作物を持つ県の一角で
群馬県の農業産出額は2,868億円で全国第15位(令和6年)。
品目別では、こんにゃくいもが生産量49,700tで全国1位(占有率97%)、キャベツも271,700tで全国1位(占有率21%)です(出典:群馬県IR資料(農業)|令和8年6月)。
全国の食卓を支える作物を持つ県だといえます。
一方で群馬県人口ビジョンは、農業分野について基幹的農業従事者の高齢化と大幅な減少を課題に挙げています。作物の強さと、それを育てる人の細りが同時に進んでいるということです。
中山間地を抱える沼田市では、この担い手の問題が、耕作されない土地の増加や集落の維持といった別の課題へ連なっていきます。
農業に関心があるなら、産出額の大きさではなく、この連なりのほうを語るべきです。
観光資源としての自然
群馬県の令和6年(2024年)の観光入込客数は64,352千人で前年から1,448千人増(前年比102.3%)、観光消費額は2,809億円(前年比106.2%)でした。
県の主要な観光資源には、全域が国立公園特別地域である尾瀬が挙げられています(参考:群馬県IR資料(観光)|令和8年6月)。沼田市は、その尾瀬を有する片品村と接する位置にあります。
自然そのものが観光の資源になるということは、その自然を守る費用と手間も同時に発生するということです。
訪れる人にとっての価値と、住み続ける人にとっての負担は、同じ場所の裏表になります。この両面を意識して話せると、観光の話が単なる魅力紹介で終わらなくなります。
沼田市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、沼田市を含む群馬県内の市町村が向き合う課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
人口減少が続くという前提
群馬県版総合戦略の人口ビジョンは、国立社会保障・人口問題研究所の推計を引きながら、県の人口が2020年の192.6万人から2040年には163.8万人へと20年間で28.8万人減り、2060年には128.8万人まで加速度的に減少すると見込んでいます(出典:群馬県人口ビジョン|令和2年3月)。
県内でもっとも人口の少ない市である沼田市にとって、この見通しは、施設や路線をいつまで今の形で維持できるかという期限の問題として現れます。
移動できることが暮らしの前提になる
群馬県の老年人口(65歳以上)割合は令和6年10月1日現在で31.3%(579,228人、うち75歳以上32万8,200人)と過去最高になりました(出典:群馬県年齢別人口統計調査|令和6年)。
県の人口ビジョンは、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、医療・介護・住まい・公共交通・生活支援を地域で提供する環境整備が課題だとしています。
人口密度96人/km²の市では、この5つのうち公共交通が要になります。移動できなければ、医療も買い物も生活支援も届かないからです。
この条件に、市の年齢構成が重なります。
基準をそろえて住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で見ると、沼田市の高齢化率は36.9%(65歳以上15,724人)、75歳以上の割合は21.0%(8,977人)です。
同じ調査による群馬県全体は30.8%・18.0%ですから、高齢化率で6ポイント、75歳以上の割合で3ポイント高い水準です(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
なお、県の31.3%は年齢別人口統計調査の値で、調査が違うため、この36.9%とは物差しが別だと考えてください。
広い市域と高い高齢化率が同時に効いてくるという条件は、移動の問題を県内でもとりわけ重いものにします。
面接で公共交通を語るなら、この2つを結んでから話すと、借り物でない意見になります。
担い手と後継者
県の人口ビジョンは、生産年齢人口の減少により人手不足が深刻化するおそれがあり、中小企業では経営者の高齢化にともなう後継者確保が課題だと指摘しています。
人口4万2千人規模の市では、商店も事業所も一つひとつが地域の機能を担っています。一軒閉まることの影響が、大きな市よりもはるかに直接的に住民へ及びます。
産業支援を語るなら、企業誘致より事業承継や創業支援に軸足を置いたほうが、この市の実情に合います。
災害の少なさに慣れないこと
群馬県は、過去10年間(平成27〜令和6年)の自然災害による罹災世帯数が459世帯と関東でもっとも少なく、震度4以上の地震回数も関東で最少です(出典:群馬県IR資料(災害)|令和8年6月)。
ただし、群馬県地震被害想定調査報告書(令和8年3月)は想定地震を6つに増やし、全35市町村の役場直下でマグニチュード6.9の地震が起きた場合の被害も新たに想定しました(出典:群馬県地震被害想定調査報告書 概要版|令和8年3月)。
県全体で被害が最大となるのは深谷断層帯・綾瀬川断層の地震で、冬18時・強風時のケースで死者4,028人と予測されています。
被害の経験が少ないことは、備えの必要がないことを意味しません。山あいの地区では道路の寸断による孤立も想定しておく必要があります。
沼田市の重点政策|群馬県の見通しと沼田市
沼田市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここでは、沼田市政の土台になる県の見通しと、採用情報の確認先をまとめておきます。
県の見通しを、広い市域の市に置き直す
群馬県人口ビジョンは、人口減少により民間事業者の経営環境が厳しくなり、身近な生活圏での生活サービスの提供が困難になる場合があること、高度な医療など一定の人口集積を必要とする都市機能の維持が難しくなる場合があること、利用者の減少により住民一人当たりのインフラ維持管理費が増えるおそれがあることを課題に挙げています。
面積443.46km²に約4万2千人が暮らす沼田市では、3つ目のインフラ維持管理費がとりわけ重くのしかかります。
道路や水道の長さは面積で決まり、それを支える人数は人口で決まるからです。市の計画を読むときは、この負担にどう向き合おうとしているかという目線で見てください。
どの施策を先に並べているかに、市の優先順位が表れます。
沼田市の採用情報をどこで見るか
沼田市の職員採用試験の情報は、市公式サイトの職員採用のページと、そこに掲載される試験案内のPDFで確認します。
沼田市の採用ページでは、年度内の試験が試験1、試験2、試験3の系統に分かれて案内されており、それぞれ募集する職種や枠が異なります。
まず自分がどの系統の対象なのかを確かめることが、対策の出発点になります。
もう一つ、案内の細部で注意したいのが用語です。沼田市の試験案内は欠格条項を「禁錮以上の刑」と表記しており、近年の他市の案内で見かける表記と異なります。
原典の言葉づかいをそのまま読み取る姿勢は、公務の実務でもそのまま求められる力です。
POINT|第1次試験に作文があります
沼田市の第1次試験には、SCOAの基礎能力とパーソナリティに加えて作文試験(60分程度)が課されます。案内の説明は「与えられたテーマに関する識見、思考力及び表現力についての記述式の試験」で、テーマや字数は公表されていません。何が出るかを当てにいくより、市の課題を一つ選んで結論から先に書く練習を重ねるほうが確実です。書いた内容は、そのまま面接で話す材料にもなります。
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 沼田市職員採用試験の受験案内(受験する年度・試験系統のもの)
- 沼田市人材育成基本方針(令和6年2月改正。目指すべき職員像と採用の考え方が示されている)
- 沼田市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
- 群馬県の人口ビジョン、県の統計資料(市政の背景を知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、沼田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。沼田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
沼田市役所の面接の概要
ここからは、沼田市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
沼田市役所の試験の流れ
ここでは、試験2(令和9年4月1日採用)を例に整理します。もっとも目を引くのは第2次試験と第3次試験の中身です。
どちらも全職種共通の個別面接試験で、一対一の面接を2回受ける構成になっています。集団討論やグループワークの記載はありません。
| 項目 | 内容(令和8年度・試験2/令和9年4月1日採用) |
|---|---|
| 採用職種と採用予定人数 | 一般事務職6名程度、土木技術職・建築技術職・管理栄養士職が各若干名 |
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階 |
| 第1次試験 | 全職種共通。SCOA基礎能力(60分程度。文章読解能力、数的能力、論理的思考に関する能力のほか、時事、社会、人文に関する一般知識及び基礎的な英語知識についての多肢択一式。大学卒・短大卒・高校卒ごとに試験内容が異なる)、SCOAパーソナリティ(35分程度。主として職務及び職場への適応性を有するかどうかの試験)、作文試験(60分程度。与えられたテーマに関する識見、思考力及び表現力についての記述式の試験) |
| 第2次試験・第3次試験 | いずれも全職種共通の個別面接試験(主として人物、性向及び職務に対する適応性等をみるための面接試験) |
| 試験会場 | 第1次試験は沼田市役所4階防災会議室、第2次試験・第3次試験は沼田市役所4階庁議室 |
| 受験資格(一般事務職) | 大学卒程度・短大卒程度・高校卒程度の学歴区分(最終学歴で受験)。年齢要件は昭和62年4月2日以降に生まれた人 |
| 受験資格(技術職等) | 土木技術職・建築技術職・管理栄養士職は昭和57年4月2日以降に生まれた人 |
| 申込方法 | インターネットのオンライン電子申請システムによる。申込手続に顔写真データ(たて4×よこ3ほどの比率、最近3か月以内に撮影したもので、カラー・白黒問わず)が必要 |
| 受験票 | 申込後3営業日以内に送信される受験番号記載の受付完了メールが受験票となる |
| 合格後の扱い | 第3次試験合格者は沼田市職員採用候補者名簿に登録され、その中から任命権者が採用を決定する |
| 初任給 | 大学卒232,000円、短大卒216,500円、高校卒200,300円(令和8年4月1日採用者の例) |
上記は令和8年度の沼田市職員採用試験(試験2)の受験案内にもとづくものです。沼田市の試験案内には、各試験の配点・合格基準の記載はありません。年度内には試験1・試験2・試験3の系統があり、系統によって募集職種や枠が異なります。試験の構成・日程・配点等は年度や系統によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の系統の試験情報をご確認ください。
個別面接が2回あることの意味
集団の場がない試験では、周囲との比較で目立つ機会もありません。裏を返せば、自分の話だけで最初から最後まで評価されるということです。
しかも同じ形式の面接を2回受けるため、1回目で話した内容は当然引き継がれます。用意した答えを暗記して読み上げる準備では、2回目に耐えられません。
ひとつの経験について、動機、行動、迷い、結果、そこから変わった考え方まで、掘っても掘っても出てくる状態にしておくことが対策になります。
沼田市役所が求める人物像
沼田市は「沼田市人材育成基本方針」(平成24年策定・令和6年2月改正)で、目指すべき職員像を3つ掲げています。
「活力ある職員」(自ら考え動く、前向きさん)、「使命感を持つ職員」(行政のプロ、しっかりさん)、「信頼される職員」(まかせて安心、頼れるさん)です(出典:沼田市人材育成基本方針|令和6年2月改正)。
愛称のような呼び名が添えられているのが特徴で、職員に覚えてもらうための工夫がうかがえます。
採用については、同じ方針が踏み込んだ書き方をしています。
「知識偏重ではなく、人物重視の採用とし、組織の活性化のために多様な実務経験を積んだ人材の確保を引き続き行っていきます」という一文です。
また「信頼される職員」は、公務員として高い倫理観を持ち市民の気持ちに配慮し誠実に対応する職員、市民に対し公平・公正に対応する職員、長期的視点を持ち経営感覚を意識しながら業務を遂行する職員、行政サービスについて市民にわかりやすく伝えることができる職員と定義されています。
人物重視を掲げている市ですから、「誠実さがあります」という自己申告は出発点にすぎません。
その誠実さがどんな対応となって表れ、相手からどう受け取られたのかまでを、一つの出来事として用意してください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。沼田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどこから来ましたか | 身構える前の受け答え。声の届き方と表情のやわらかさ |
| ② 動機・志望 | 公務員という働き方のどこに惹かれましたか | 安定以外の言葉で職業選択を語れるか |
| ③ 自己理解 | 自分を動物にたとえると何ですか | 意表を突く問いへの反応と、自己像の説明のしかた |
| ④ 経験・行動 | 長く続けてきたことは何ですか | 継続の理由と、その間に工夫したこと |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文やゼミの内容を説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉を選べるか |
| ⑥ 適性・将来 | 異動が多い職場で働くことをどう考えますか | 組織で長く働くことへの理解 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 住民から強い口調で苦情を受けたらどうしますか | 感情的な場面での立ち位置の取り方 |
ただし、この7カテゴリーは沼田市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「沼田市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「沼田市役所ならでは」の質問
どちらも沼田市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「沼田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい沼田市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置 | 人口42,647人、面積443.46km²、人口密度96人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。県内12市で人口はもっとも少なく、面積は第2位。高齢化率36.9%は同じ調査の群馬県全体30.8%を上回る(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) | 「自然が豊かです」で止めず、広い市域に人が少なく高齢化も進んでいるという条件が、職員一人あたりの守備範囲をどう広げるかまで述べます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は約6,362km²の県土全体を見るが、沼田市は約4万2千人の暮らしと443.46km²の市域を直接担う | 役割の違いで終わらせず、隣接10自治体に囲まれた市で自分が関わりたい地区や場面を具体的に挙げます |
| 中山間地の課題 | 県人口は社人研推計で2040年163.8万人、2060年128.8万人へ減る見通し。県の人口ビジョンは医療・介護・住まい・公共交通・生活支援の環境整備を課題とする | 人口減少という言葉で止めず、5つの要素のうち移動手段を起点に、沼田市で何から手をつけるかを述べます |
| 自然と観光 | 県土の約6割が森林。県の観光入込客数は令和6年で64,352千人、主要な観光資源には全域が国立公園特別地域の尾瀬がある | 観光地の紹介で終わらせず、自然を守る費用と手間を誰がどう負担するのかという行政の論点へ進めます |
| 試験への向き合い方 | 第1次はSCOAの基礎能力とパーソナリティに作文を加えた3種目、第2次と第3次はいずれも個別面接。配点は公表されていない | 配点を推測せず、個別面接が2回あるからこそ一つの経験を深く掘り下げて準備したという過程を話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「目指すべき職員像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 活力ある職員(自ら考え動く) | 指示を待たずに動いた場面を、具体的に説明できるか | 沼田市の方針が最初に掲げる職員像です。誰にも頼まれていないのに始めたことを一つ選び、始めようと思った理由まで語れるようにしておく |
| 使命感を持つ職員(行政のプロ) | 作文試験と面接で、市の課題への理解に一貫性があるか | 沼田市の第1次には作文試験があります。書いたテーマと面接で話す関心がずれないよう、市の課題を一つ決めて掘り下げておく |
| 信頼される職員(まかせて安心) | 2回の個別面接を通じて、話の細部が揺れないか | 方針は市民にわかりやすく伝えられることを挙げています。専門用語を使わずに自分の経験を説明する練習を、声に出して繰り返しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 沼田市の受験案内を入手し、試験1・試験2・試験3のどの系統が自分の対象かを確かめ、職種と学歴区分、年齢要件を確定させる
- 話せる経験を書き出す。学業、部活動やサークル、アルバイトから、掘り下げに耐える出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口密度96人/km²という条件と県北の地形から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。第1次の作文試験でもこの材料が使える
- 声に出して練習する。個別面接が2回あるため、同じ経験を1回目より深く語る形を必ず用意しておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、沼田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
沼田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
沼田市は、採用の方針を文書ではっきり書いている市です。知識偏重ではなく人物重視で採ると人材育成基本方針に明記し、実際の試験でも第2次と第3次に個別面接を並べています。
ここまで揃っていれば、対策の方向で迷う必要はありません。SCOAと作文で第1次を通り、そのあとは一対一で二度、自分について語る。
問われるのは、前向きさん、しっかりさん、頼れるさんという3つの職員像に、あなたのどの経験が重なるかです。
広い市域に人口が点在し、高齢化も県の平均より進んだこの市で、遠い地区にも足を運ぶ仕事を自分がどう受け止めるのか。そこまで考えが進んだとき、答えは借り物でなくなります。