本記事では、桐生市職員採用試験の面接対策で必要な、桐生市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
桐生市役所の面接試験では、「なぜ桐生市を志望したのか」「市職員としてどんな仕事に携わりたいのか」「これまでの経験を市の仕事でどう活かしたいのか」といった質問が想定されます。桐生市の上級採用試験は第2次試験と最終試験の両方に面接試験が置かれ、しかも第2次の試験種目は面接ただ一つです。筆記を通ったあとは、人物をみる試験だけが残る組み立てだといえます。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と桐生市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
桐生市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは桐生市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口99,318人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積274.45km²・人口密度362人/km²の市である。群馬県内12市のうち人口・面積とも第5位にあたる。
- 前橋市、伊勢崎市、太田市、沼田市、みどり市に加え、栃木県の足利市・佐野市とも接する。県境をまたいで生活圏がつながっている市である。
- 市役所は〒376-8501 群馬県桐生市織姫町1番1号に置かれている。団体コードは10203-2。
- 市の花はサルビア、市の木はモクセイ。いずれも1975年4月15日に制定された。
- 令和8年度の職員採用試験は、上級試験A日程、大学等推薦特別選考、初級事務等、上級試験B日程の4つの系統で実施される。
- 上級採用試験A日程(令和9年4月1日採用)の職種は上級行政、社会福祉、上級土木、上級建築、上級機械で、採用予定人数は上級行政が9人程度、他は各若干人である。
- 上級採用試験A日程は第1次試験・第2次試験・最終試験の3段階構成で、面接試験は第2次と最終の計2回課される。
桐生市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、桐生市が県内でどのくらいの位置にある市なのかを説明できることは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、県内での位置づけなど、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。比べるための物差しとして、群馬県全体の数値もあわせて示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 99,318人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 274.45km²(県内12市中第5位) |
| 人口密度 | 362人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 高齢化率 | 38.0%(住民基本台帳・令和8年1月1日現在/県内12市で最高)。同じ調査の群馬県全体は30.8% |
| 隣接自治体 | 前橋市、伊勢崎市、太田市、沼田市、みどり市、栃木県足利市、栃木県佐野市 |
| 市役所所在地 | 〒376-8501 群馬県桐生市織姫町1番1号 |
| 市の花・市の木 | サルビア・モクセイ(ともに1975年4月15日制定) |
| (参考)群馬県の総人口 | 1,867,582人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報集計/全国第18位) |
| (参考)群馬県の製造品出荷額等 | 10兆1,485億円(令和5年・全国第12位) |
桐生市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在。県内順位は同時点の県内12市の比較による)。高齢化率は総務省が住民基本台帳をもとにまとめた令和8年1月1日現在の値で、県内順位は同じ調査による県内12市の比較です。群馬県の総人口は県公式サイト、製造品出荷額等は県の資料による値です。市の統計の最新値は、桐生市公式サイトであわせてご確認ください。
県境をまたぐ市であるということ
桐生市の隣接自治体は7つ。そのうち足利市と佐野市は栃木県の市です。
群馬県内の5市と、栃木県の2市に囲まれているという位置は、市政を考えるうえで見過ごせません(隣接関係は2026年5月時点)。通勤も通学も買い物も、県境で止まるわけではないからです。
人口99,318人という規模は、県内では高崎市、前橋市、太田市、伊勢崎市に次ぐ第5位です。上位4市がいずれも20万人を超えているのに対し、桐生市は10万人を下回っています。
県内の主要都市の一角でありながら、上位との差ははっきりあるという位置づけです。この立ち位置は、単独でできることと、周辺の市町や県、さらには県境の向こうと組んで進めることを分けて考える必要があることを意味します。
面接では、たとえば次のように市の位置から仕事の話へつなげられます。
桐生市の経済・産業
製造業に厚みのある県の中で
群馬県の産業別名目県内総生産は、第1次産業1.1%(1,127億円)、第2次産業41.8%(41,167億円)、第3次産業57.1%(56,262億円)で、合計98,555億円です(令和5年度県民経済計算)。注目したいのは第2次産業の比率41.8%が、全国の25.4%を大きく上回っていることです(出典:群馬県IR資料(産業構造)|令和8年6月)。
製造品出荷額等は10兆1,485億円で全国第12位(令和5年)。業種別では輸送機器が37,532億円で最大の約37%を占め、続いて食料品9,670億円、化学7,302億円、電気機器5,512億円、プラスチック5,160億円、金属製品4,975億円と並びます(2024年経済構造実態調査二次集計結果)。
ものづくりが県の経済を支えている構図は、桐生市の産業を語るときの前提になります。
働く場としての広がり
群馬県の工場立地件数は38件で全国第8位(令和6年)。県内にはSUBARU、日野自動車、ミツバなど輸送機器関連の企業が多数立地しています(参考:群馬県IR資料(企業立地)|令和8年6月)。
この広がりは、桐生市に住む人の働く場が必ずしも市内にあるとは限らないことも意味します。隣接する太田市や伊勢崎市、さらに県境の足利市まで含めれば、通勤の選択肢は市域をはるかに超えます。住む場所として選ばれるかどうかが、市の人口を左右するという構図です。
産業振興を語るなら、企業誘致の話だけでなく、住み続けてもらうための施策という角度も持っておくと、話が立体的になります。
人の出入りという視点
群馬県移動人口調査(令和6年年報)によると、県全体では自然増減が-17,183人(出生10,107人・死亡27,290人)である一方、社会増減は+5,768人と転入が転出を上回りました。県外からの転入は46,758人、県外への転出は44,212人です(出典:群馬県移動人口調査|令和6年年報)。
生まれる人と亡くなる人の差で減り、他県との出入りでは少し増えている。これが県全体の姿です。
県境に接する桐生市では、この出入りが日常の風景としてより身近にあります。誰に選ばれたいのかを具体的に考えることが、人口の話を実務へ落とす第一歩になります。
桐生市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、桐生市を含む群馬県内の市町村が向き合う課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
人口減少のスピードと、その先の姿
群馬県版総合戦略の人口ビジョンは、国立社会保障・人口問題研究所の推計として、県人口が2020年の192.6万人から2040年に163.8万人へ減り、2060年には128.8万人にまで加速度的に減少するとの見通しを示しています(出典:群馬県人口ビジョン|令和2年3月)。
県は1920年から2004年まで自然増でしたが、2005年に初めて死亡数が出生数を上回り、自然減に転じています。20年ほど前に始まった流れが、これから40年かけて県の姿を変えていくということです。
働き手が減っていくこと
群馬県の生産年齢人口(15〜64歳)割合は令和6年10月1日現在で57.7%、老年人口(65歳以上)割合は31.3%で過去最高、年少人口(0〜14歳)割合は10.9%で過去最低となりました(出典:群馬県年齢別人口統計調査|令和6年)。県の人口ビジョンは、生産年齢人口の減少で人手不足が深刻化するおそれがあり、中小企業では経営者の高齢化にともなう後継者確保が課題だと指摘しています。
製造業の比率が高い県だけに、この問題は市の産業政策と直結します。
そして桐生市自身の数字は、県の平均よりさらに進んでいます。基準をそろえて住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で見ると、桐生市の高齢化率38.0%は県内12市でもっとも高い水準で(65歳以上37,722人)、75歳以上の割合も23.6%(23,441人)に達します。
同じ調査の群馬県全体は30.8%・18.0%ですから、高齢化率で7ポイント以上、75歳以上の割合でも5ポイント以上高い計算になります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。なお、先に挙げた県の31.3%は別の調査による値なので、この38.0%と並べて差を語ることはできません。
働き手が減るという県の課題は、桐生市では平均より早く現れていると考えたほうが実態に近く、面接で人手不足に触れるなら、この差から話し始めると具体性が出ます。
公共施設とインフラの維持
県の人口ビジョンは、利用者の減少によって住民一人当たりのインフラ維持管理費が増えるおそれがあること、高度な医療など一定の人口集積を必要とする都市機能の維持が難しくなる場合があることを挙げています。
面積274.45km²に約9万9千人が暮らす桐生市では、今ある施設や道路をどこまで今の形で持ち続けるかという判断が、これから何度も必要になります。総論として賛成されても各論では反対が出やすい分野であり、住民への説明のしかたそのものが仕事になります。
地震への備え
群馬県地震被害想定調査報告書(令和8年3月)は、想定地震を6つに増やしたうえで、全35市町村の役場直下でマグニチュード6.9の地震が起きた場合の被害も想定しました。県全体で被害が最大と見込まれているのは深谷断層帯・綾瀬川断層の地震です。
冬18時・強風時のケースで、死者4,028人、負傷者31,674人と予測されています(出典:群馬県地震被害想定調査報告書 概要版|令和8年3月)。市役所そのものが被災する前提の想定が加わったことは、庁舎で働く職員にとって他人事ではありません。
桐生市の重点政策|群馬県の見通しと桐生市
桐生市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここでは、桐生市政の背景にある県全体の動きと、採用情報をどこで確認するかを押さえておきます。
県の見通しを、人口約9万9千人の市に引き寄せる
群馬県人口ビジョンが挙げる課題は3つあります。人口減少により民間事業者の経営環境が厳しくなり、身近な生活圏での生活サービスの提供が困難になる場合があること。
高度な医療など一定の人口集積を必要とする都市機能の維持が難しくなる場合があること。利用者の減少により住民一人当たりのインフラ維持管理費が増えるおそれがあること。
人口約9万9千人の桐生市は、この3つのうち2つ目の「都市機能の維持」を、自分の市の問題として考えなければならない規模にあります。県内第5位という位置は、機能を持ち続けられるかどうかの境目に近いという意味でもあります。
市の計画を読むときは、どの機能を市内に残し、どの機能を周辺と分担するのかという目線で見てください。
桐生市の採用情報をどこで見るか
桐生市の職員採用試験の情報は、市公式サイトの職員採用のページと、そこに掲載される試験案内および職員採用案内パンフレットで確認します。桐生市の採用ページには、上級・初級の実施状況(申込者数から最終合格者数まで)も掲載されており、年度ごとの通り方を数字で追える状態になっています。
もう一つ、案内の読み落としが多い箇所があります。第1次試験の当日に、筆記用具のほか返信用封筒(長形3号、110円切手貼付)と、受付完了メール等の受付番号を確認できるものを持参する必要がある点です。
細かいことですが、案内に書かれた条件を守れるかどうかも、社会人としての準備の一部として見られます。
POINT|「面接カード」ではなく「エントリーシート」
桐生市では、申込の段階で面接カードを提出するのではなく、第1次試験の合格者がエントリーシートを登録します。合格通知で案内されるQRコードまたはURLから入力フォームにアクセスし、期限までに入力する方式です。つまり、筆記を通ってから短い期間で自分の経験と志望を言語化することになります。第1次の勉強と並行して、書く材料だけは先に用意しておきましょう。
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 桐生市職員採用試験案内(受験する年度・試験系統のもの)
- 桐生市職員採用案内パンフレット(求める人材の考え方が示されている)
- 桐生市人材育成基本方針(平成26年5月策定。4Cアクションプランとして職員像が示されている)
- 群馬県の人口ビジョンと産業関係の資料(市政を取り巻く環境の参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、桐生市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。桐生市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
桐生市役所の面接の概要
ここからは、桐生市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
桐生市役所の試験の流れ
ここでは、上級採用試験A日程(令和9年4月1日採用)を例に整理します。特徴がはっきり出ているのは第2次試験です。
試験種目は「面接試験」の1種目だけで、内容は「主として、人物について面接を行います。」と記されています。最終試験でも適性検査とあわせて面接試験が課されるため、面接は計2回受けることになります。
| 項目 | 内容(令和8年度・上級採用試験A日程/令和9年4月1日採用) |
|---|---|
| 職種と採用予定人数 | 上級行政9人程度、社会福祉・上級土木・上級建築・上級機械が各若干人 |
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験・最終試験の3段階 |
| 第1次試験(上級行政・社会福祉) | 教養試験(60題、1時間。論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解等を確認するための基礎的な出題) |
| 第1次試験(上級土木・建築・機械) | 教養試験(60題、1時間)に加え、専門試験(30題、2時間。大学卒業程度の択一式) |
| 第2次試験 | 面接試験の1種目のみ(主として、人物について面接を行います。) |
| 最終試験 | 適性検査(職員としての適性を有するかどうかの検査。択一式)と面接試験(主として、人物について面接を行います。) |
| 提出書類 | 第1次試験合格者はエントリーシートの登録が別途必要。合格通知で案内されるQRコードまたはURLから入力フォームにアクセスし、期限までに入力する |
| 第1次試験当日の持ち物 | 筆記用具のほか、合否通知用の返信用封筒(長形3号、110円切手貼付)と、受付完了メール等の受付番号を確認できるもの |
| 合格後の扱い | 最終試験の合格者は採用資格者として扱われ、欠員補充を必要とするときにこの中から順次採用される。採用資格者としての有効期間は合格発表の日から1年間 |
| 年度内の試験系統 | 上級試験A日程、大学等推薦特別選考、初級事務等、上級試験B日程の4系統。上級行政はA日程に申し込んだ人はB日程を申し込むことができない |
上記は令和8年度の桐生市職員採用試験案内および市公式サイトの掲載内容にもとづく上級採用試験A日程のものです。桐生市の試験案内には、各試験の配点・合格基準の記載はありません。第2次試験・最終試験の面接が個別面接か集団面接かの別も案内には明記されておらず、集団討論やグループワークの記載もありません。試験の構成・日程・配点等は年度や試験系統によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の系統の試験情報をご確認ください。
実施状況の数字が示していること
桐生市は前年度までの実施状況を公表しています。
上級行政の令和7年度は、申込82人、第1次試験受験68人、第1次合格57人、第2次合格33人、最終合格5人で、競争倍率は13.6倍でした。令和6年度は申込145人、第1次受験125人、第1次合格85人、第2次合格41人、最終合格6人で20.8倍です。
令和7年度の数字を追ってみてください。第1次試験を受けた68人のうち57人が通っています。絞り込みのほとんどは、第1次を通過した後の面接2回で起きているということです。
試験案内が教養試験について「基礎的な内容が出題されますので、特別な公務員試験対策は不要です」と明記していることも、この構造と符合します。
なお初級事務は令和7年度が申込21人・最終合格5人で4.0倍、令和6年度が申込24人・最終合格4人で5.0倍と、上級とは倍率の水準が異なります。
桐生市役所が求める人物像
桐生市職員採用案内パンフレット(令和8年度版)は、冒頭で「魅力ある桐生のまちを未来に向けてさらに発展させるため 無限の可能性を秘め、果敢に挑戦する若い力を求めます」と掲げています(出典:桐生市職員採用案内パンフレット|令和8年度版)。
さらに具体的なのが「桐生市人材育成基本方針」(平成26年5月策定)です。目指すべき職員像を4Cアクションプランとして、1 挑戦(「どうしたらできるか」問題の解決に向け、自ら考え行動する職員)、2 共有(常に問題意識を持って、政策や課題を共有し、自分の業務の一部として自覚し、行動する職員)、3 魅力発信(桐生を愛し大事に思うとともに、伝統・歴史・文化・自然を学び、街と人の魅力を理解し発信できる職員)、4 市民目線(市民が何を求めているのか、市民の目線で考え、市民の幸せと未来のために行動する職員)の4つに定めています(出典:桐生市人材育成基本方針|平成26年5月策定)。
4Cの4項目は、どれも動いた先に相手がいることを前提にしています。「積極性があります」という一文で止めず、自分が動かした物事と、それで誰の何が楽になったのかまで語れると、この4項目と対応します。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。桐生市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか | 取り繕わずに応じられるか。素の受け答えの温度 |
| ② 動機・志望 | 他の市ではなく桐生市を受けた理由は何ですか | その市を選んだ理由を、自分の事情に即して語れるか |
| ③ 自己理解 | 自分の短所をどう補っていますか | 弱みを認めたうえで、対処のしかたまで話せるか |
| ④ 経験・行動 | チームで成果を出した経験を教えてください | 集団の中での自分の役割を客観的に説明できるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻の内容を仕事にどう結び付けますか | 学んだことを行政の仕事へ翻訳できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、市役所でどんな立場になっていたいですか | 長く働く前提での見通しと、成長の描き方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 公平と平等の違いをどう考えますか | 行政の判断基準について自分なりの考えを持てているか |
ただし、この7カテゴリーは桐生市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「桐生市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「桐生市役所ならでは」の質問
どちらも桐生市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「桐生市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい桐生市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置 | 人口99,318人、面積274.45km²、人口密度362人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。県内12市中第5位で、上位4市はいずれも20万人を超える。高齢化率38.0%は県内12市で最高(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) | 「県内で5番目です」で終わらせず、10万人を下回る規模と県内で最も高い高齢化率を重ねて、何を市内に残すべきかという判断の話へ進めます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は約6,362km²の県土全体を見るが、桐生市は約9万9千人の暮らしと274.45km²の市域を直接担う | 役割分担の説明で満足せず、栃木県の2市と接する市だからこそ市の職員として関わりたい場面を具体的に挙げます |
| 県境をまたぐ生活圏 | 隣接7自治体のうち足利市・佐野市は栃木県。県全体では社会増減が+5,768人(令和6年)で県外転入46,758人・県外転出44,212人 | 県境という言葉を出すだけでなく、住む場所として選ばれるために市が何をすべきかという視点に落とします |
| 産業と働く場 | 県の第2次産業比率は41.8%で全国25.4%を大きく上回る。製造品出荷額等は10兆1,485億円で全国第12位、輸送機器が約37%を占める | 県全体の統計を紹介して終わらせず、市内で働く人と市外へ通う人の両方を想定した施策の話に接続します |
| 試験への向き合い方 | 上級行政の令和7年度は申込82人・第1次合格57人・最終合格5人で13.6倍。第2次試験の種目は面接1種目のみ | 倍率の高さを嘆くのではなく、第1次通過後に面接だけで絞られる構造を踏まえてどう準備したかを話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「目指すべき職員像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 挑戦(自ら考え行動する) | うまくいかない状況で、自分から動いた場面を語れるか | 桐生市の4Cアクションプランの筆頭が挑戦です。「どうしたらできるか」を考えた出来事を選び、諦めなかった理由まで説明できるようにしておく |
| 魅力発信(街と人の魅力を理解し発信する) | 市の何をどう伝えたいかを、自分の言葉で語れるか | 市の方針が伝統・歴史・文化・自然を学ぶことを挙げています。市内で自分が実際に見た場所を一つ挙げ、誰に何を伝えたいかまで用意しておく |
| 市民目線(市民の目線で考え行動する) | 2回の面接を通じて、相手の立場に立った具体例を出せるか | 桐生市は第2次と最終の2回とも人物について面接を行います。同じ経験を2回話す可能性があるため、角度を変えて語れるよう掘り下げておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 桐生市の試験案内を入手し、上級試験A日程、大学等推薦特別選考、初級事務等、上級試験B日程のどの系統で受けるかを決める。上級行政はA日程とB日程の併願ができない
- これまでの経験を書き出す。学業、部活動、アルバイトのそれぞれから、人に話せる出来事を1つ選ぶ
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、県内第5位という市の位置と、栃木県2市と接する条件から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。第1次合格後に登録するエントリーシートの下書きにもそのまま使える
- 声に出して練習する。面接が2回あるため、同じ経験を別の角度から話す練習を必ず入れておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、桐生市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
桐生市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
桐生市の上級試験は、教養試験について特別な公務員試験対策は不要だと案内に書かれている試験です。第1次で大きくは絞られず、そのあとの面接2回で結果が決まる構造は、市が公表している実施状況の数字にもそのまま表れていました。
筆記で差がつかないぶん、準備の重心は問題集ではなく自分の経験の側に置いてください。4Cアクションプランが挙げる挑戦、共有、魅力発信、市民目線の4つは、いずれも「やったことがあるか」を問う言葉です。
県境をまたいで人が行き交い、県内の市でもっとも高齢化が進んだこの市で、あなたが何を面白いと感じ、何を変えたいと思ったのか。それを話せるようになったとき、上級行政の倍率は、単なる数字に戻ります。