本記事では、館林市職員採用試験の面接対策で必要な、館林市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
館林市役所の面接試験では、「なぜ館林市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市の仕事でどう活かすのか」といった、市の実情を自分の言葉で説明できるかを確かめる質問が想定されます。館林市の事務員・技術員(短大卒・高校卒程度)の試験は、第2次と第3次の二度にわたって個別面接が置かれる構成です。人物を見る場面が重ねて用意されています。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と館林市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
館林市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは館林市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口73,086人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積60.97km²・人口密度1,199人/km²の市である。
- 群馬県の東の端にあり、栃木県の足利市・佐野市と県境で接する。県内では邑楽郡の邑楽町・千代田町・明和町・板倉町と隣り合う。
- 面積60.97km²は、群馬県内の12市のなかでもっとも小さい。
- 一方で人口密度1,199人/km²は、県庁所在地の前橋市(1,052人/km²)や高崎市(793人/km²)を上回る。限られた市域に人口が集まっている市である(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。
- 市役所は〒374-8501 群馬県館林市城町1番1号に置かれている。団体コードは10207-5。
- 市の花はヤマツツジ、市の木はクロマツ。
- 職員採用試験は年2回募集される。6月募集は事務員(大学卒)・事務員(スポーツ枠)・保健師・技術員・保育士等、8月募集は事務員(高校・短大・専門学校卒、障がい者)・技術員・社会人経験者等が対象。
- 令和7年度に実施した事務員(大学卒)の試験は、受験申込者112人に対し最終合格17人・採用決定11人であった(令和8年4月1日付採用)。
館林市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「館林市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。市の規模を測るときの比較先として、群馬県全体の数値もあわせて載せています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 73,086人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 60.97km² |
| 人口密度 | 1,199人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 邑楽郡邑楽町、千代田町、明和町、板倉町、栃木県足利市、佐野市 |
| 市役所所在地 | 〒374-8501 群馬県館林市城町1番1号 |
| 市の花・市の木 | ヤマツツジ・クロマツ |
| (参考)群馬県の総人口 | 1,867,582人(令和7年10月1日現在・国勢調査人口速報集計/全国第18位) |
| (参考)群馬県の面積 | 約6,362km²(全国第21位。県土の約6割が森林) |
| (参考)群馬県の老年人口割合 | 31.3%(令和6年10月1日現在・過去最高) |
館林市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに整理したものです。群馬県の総人口・面積・老年人口割合は、群馬県公式サイトおよび県統計課の資料による数値です。市の統計の最新値は、館林市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
館林市を説明するときの軸になるのは、面積の小ささと人口密度の高さの組み合わせです。60.97km²という面積は群馬県内の12市でもっとも小さく、それでいて1km²あたり1,199人が暮らしています。前橋市の1,052人、高崎市の793人と比べると、館林市は市域がコンパクトで、人がまとまって住んでいる市だといえます(いずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在。人口密度は総人口÷総面積)。
人がまとまっているということは、施設や路線を効率よく配置できるということでもあります。ただし、その利点は施設の置き場所を誤ると簡単に失われます。
群馬県全体では、令和7年国勢調査の人口速報集計で人口が1,867,582人となり、令和2年から71,528人(3.7%)減りました(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|令和7年)。母数が細っていくなかで、限られた市域のどこに何を残すかという判断が、館林市でも重くなっていきます。
面積の小ささと県の人口減。この二つを一息で話すと、次のようになります。
館林市の経済・産業
関東平野の北のへりという立地
群馬県は日本列島のほぼ中央に位置する内陸県で、県西・県北の県境に山々が連なり、南東部に関東平野が開けています。県土の約6割は森林です。
気候の面では、平野部で夏に雷が多く、冬は「空っ風」と呼ばれる冷たく乾いた季節風が吹きます。年間日照時間の長さは全国第2位です(出典:ぐんまの概要|群馬県)。
館林市があるのは、この平野が開けた側、県の東の端です。栃木県の足利市・佐野市と県境で接し、県内では邑楽郡の4つの町に囲まれています。
行政の区域と、人が実際に働き買い物をする範囲がずれやすい位置だといえます。産業や暮らしについて語るときは、まずこの立地から入ると話の筋が通ります。
全国一の作物を持つ農業県として
群馬県の農業産出額は2,868億円で全国第15位です(令和6年)。品目別に見ると、こんにゃくいもが生産量49,700tで全国1位(占有率97%)、キャベツも271,700tで全国1位(占有率21%)と、全国の食卓を支える作物を持っています(出典:群馬県IR資料|令和8年6月)。
ただし群馬県人口ビジョンは、農業分野について基幹的農業従事者の高齢化と大幅な減少を課題に挙げています。作物の強さと、それを作る人の細りが同時に進んでいるということです。
平野部に位置する館林市で農業に関心があるなら、産出額の大きさではなく、誰が作り続けるのかという担い手の問題のほうを語るべきです。
輸送機器が引っ張る、ものづくりの県
群馬県の製造品出荷額等は10兆1,485億円で全国第12位です(令和5年)。業種別の内訳では輸送機器が37,532億円で最大となり、全体のおよそ37%を占めます。
次いで食料品9,670億円、化学7,302億円と続きます。産業別の名目県内総生産で見ても第2次産業が41.8%を占め、全国の25.4%を大きく上回る、ものづくり中心の構造です(令和5年度県民経済計算)(出典:群馬県IR資料(産業構造)|令和8年6月)。
この構造は、雇用の話題にそのままつながります。県は首都東京から約100kmの距離にあり、新幹線でも高速道路でも東京まで約50分で移動できる位置にあります。
館林市の場合は、そこに栃木県側との行き来が加わります。通勤や買い物の流れが県境をまたぐ地域で、働く場所と暮らす場所をどう市内に結び付けるかは、面接で市の将来を語るときの切り口になります。
館林市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、館林市を含む群馬県内の市町村が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
人口が減っていく速さ
群馬県版総合戦略の人口ビジョンは、国立社会保障・人口問題研究所の推計として、県人口が2020年の192.6万人から2040年に163.8万人へ20年間で28.8万人減り、2060年には128.8万人にまで加速度的に減少するとの見通しを示しています(出典:群馬県人口ビジョン|令和2年3月)。県は1920年から2004年まで自然増が続いていましたが、2005年に初めて死亡数が出生数を上回り、自然減に転じました。
人口7万人規模の館林市にとって、この速さは、施設や路線をいつまで今の形で保てるのかという期限の問題として表れます。
高齢の市民が暮らし続けるための環境
群馬県の老年人口(65歳以上)割合は令和6年10月1日現在で31.3%(579,228人)と過去最高になり、うち75歳以上は32万8,200人です。年少人口(0~14歳)割合は10.9%と過去最低、生産年齢人口割合は57.7%でした(出典:群馬県年齢別人口統計調査|令和6年)。
県の人口ビジョンは、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、医療・介護・住まい・公共交通・生活支援を地域で提供する環境の整備を課題に挙げています。人口密度の高い館林市は移動の負担が比較的小さい条件にありますが、単身の高齢世帯が増えれば必要になるのは移動手段だけではありません。
市自身の数字も見ておきましょう。調査の基準をそろえるため住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で拾うと、館林市の高齢化率は30.2%、75歳以上の割合は17.7%です。同じ基準の群馬県全体が30.8%・18.0%ですから、館林市は県平均をわずかに下回る位置にあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
なお、先に挙げた県の31.3%は年齢別人口統計調査による値で、住民基本台帳とは調査が異なるため、市の30.2%と直接並べて比べることはできません。
面接で使うなら、県平均に近いという位置づけそのものより、その数字を市の形と重ねたほうが具体的になります。館林市は60.97km²に7万人余りが暮らす市ですから、高齢の市民の自宅から病院や店までの距離は、山間部を抱える市に比べれば短いはずです。
移動距離が短いという条件を持っている市で、それでも届かなくなるのは何か。そこまで踏み込めると、統計を読んだだけの答えとは違って聞こえます。
生活サービスと担い手をどう保つか
県の人口ビジョンはさらに、人口減少によって民間事業者の経営環境が厳しくなり、身近な生活圏での生活サービスの提供が難しくなる場合があること、高度な医療のように一定の人口集積を必要とする都市機能の維持が困難になる場合があること、利用者の減少により住民一人当たりのインフラ維持管理費が増えるおそれがあることを挙げています。
加えて、生産年齢人口の減少により人手不足が深刻化し、中小企業では経営者の高齢化に伴う後継者確保が課題になるとしています。ものづくりの比重が高い県で、これは産業政策と生活支援が地続きになるという意味です。
市域全体にかかる地震の想定
群馬県地震被害想定調査報告書(令和8年3月)は、想定地震を「深谷断層帯・綾瀬川断層」「片品川左岸断層」「太田断層」「大久保断層」「六日町断層帯」「長野盆地西縁断層帯」の6つに増やし、これに加えて全35市町村の役場直下でマグニチュード6.9の地震が起きた場合の被害も想定しました。
県全体で被害が最大となるのは深谷断層帯・綾瀬川断層の地震で、冬18時・強風時のケースで死者4,028人、負傷者31,674人、建物の全壊114,653棟・半壊141,924棟と予測されています(出典:群馬県地震被害想定調査報告書 概要版|令和8年3月)。役場直下の想定は全35市町村が対象ですから、館林市もそのひとつに数えられています。
なお、過去10年間(平成27~令和6年)の自然災害による罹災世帯数は群馬県が459世帯と関東で最小で、震度4以上の地震回数も関東で最小でした。被害が少なかった土地ほど備えが薄くなりやすいという裏返しの読み方も、面接では成り立ちます。
館林市の重点政策|群馬県の将来見通しと館林市
館林市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。この章では、群馬県の将来見通しを館林市に引き寄せて読む手順と、募集の回次と区分を確定させる順序を続けて扱います。
県の見通しの中に市を置いて読む
前章で挙げた3つの論点、すなわち生活サービスの提供、都市機能の維持、住民一人当たりのインフラ維持管理費は、いずれも「人口密度が下がるほど不利になる」性質を持っています。裏返せば、人がまとまって住んでいる館林市は、この3点で相対的に有利な条件を持っているということです。
市の計画を読むときは、その条件を市がどう使おうとしているかという目線で見てください。施策の並び順は、市が何を先に守ろうとしているかの表明でもあります。
募集の回次と区分を先に確定させる
館林市の採用情報を読むうえで、最初に押さえるべきなのは日程ではなく枠組みです。館林市の職員採用試験は、募集の回次と受験区分によって試験の段階数そのものが異なります。
事務員・技術員(短大卒・高校卒程度)は第1次から第3次までの3段階、社会人経験者枠は第1次の書類選考を含めて第4次までの4段階です。キャリアリターン枠、事務員(障がい者対象)もそれぞれ別の構成をとります。
加えて、館林市では令和9年4月1日採用の本体試験とは別に、令和8年10月1日採用の別枠募集も行われています。年度と採用日をセットで確認しないと、まったく違う試験の要項を読み込んでしまうことになります。
POINT|自分が受ける試験の段階数を数えることから始める
館林市は6月募集と8月募集で対象となる区分が分かれ、区分ごとに段階数が違います。事務員・技術員なら個別面接は2回、社会人経験者枠なら書類選考を経て個別面接は2回です。準備の総量が変わるので、志望動機を練り始める前に、自分がどの募集のどの区分に当たるかを確定させておきましょう。
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 館林市職員採用試験要項(受験する年度・採用日・募集回次のもの)
- 館林市職員採用案内(求められる職員像と、前年度の実施状況が掲載されている)
- 館林市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
- 群馬県の人口ビジョン、県の統計資料(市政の背景を知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、館林市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。館林市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
館林市役所の面接の概要
ここからは、館林市役所の採用試験の流れと、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
館林市役所の試験の流れ
事務員・技術員(短大卒・高校卒程度)の試験は、第1次が筆記試験、第2次が個別面接試験および作文試験、第3次が個別面接試験という3段階です。注目したいのは、人物を見る場面が第2次と第3次の二度置かれ、そのどちらも個別面接である点です。
市の要項には集団面接や集団討論の記載がありません。
| 項目 | 内容(令和8年度実施・令和9年4月1日採用) |
|---|---|
| 試験の段階 | 事務員・技術員(短大卒・高校卒程度)は第1次=筆記試験、第2次=個別面接試験および作文試験、第3次=個別面接試験の3段階 |
| 第1次の筆記 | SCOA基礎能力A(事務員のみ。「言語」「数理」「論理」「常識」「英語」の5尺度)と、SCOAパーソナリティB(全員。社会人としての職場における適応性の検査)。事務員は受験者が選択したCBTテストセンターで受験し、事務員以外はパーソナリティBを自宅等で受験する |
| 第2次の個別面接 | 「主として、人物及び職務に対する適応性について試験を行います」と示されている |
| 第3次の個別面接 | 「主として、総合的に人物試験を行います」と示されている |
| 作文試験 | 「課題による作文とし、主として文章表現力、思考力等について試験を行います」。第2次試験日に実施するが、評価等は最終試験で行い、第2次試験合格者のみ採点される |
| 集団形式 | 館林市の職員採用試験要項および採用案内に、集団面接・集団討論の記載はありません |
| 社会人経験者枠 | 第1次=書類選考、第2次=筆記試験、第3次=個別面接試験(保育士・幼稚園教諭のみ実務を含む)および作文試験、第4次=個別面接試験の4段階 |
| キャリアリターン枠 | 第1次=書類選考(申込時の入力情報、本市職員として在職していた期間における人物的な側面、仕事に対する意欲・適正、職務経験等を審査)、第2次=個別面接試験、第3次=個別面接試験 |
| 事務員(障がい者対象) | 第1次=筆記試験(会場は館林市役所)、第2次=個別面接試験・作文試験、第3次=個別面接試験 |
| 申込内容の扱い | 受験申込みの際に入力した内容も選考の対象になる |
| 配点・提出書類 | 館林市の職員採用試験要項には、試験種目ごとの配点・満点や、面接カードにあたる様式・提出書類一覧の記載がありません |
| 採用予定人員(8月募集分) | 事務員・技術員25人程度(先に募集した大学卒及び社会人経験者と併せた人数)、事務員(障がい者)若干人、社会人経験者の保育士・幼稚園教諭5人程度、キャリアリターン枠若干人 |
| 受験の制限 | 同年度に実施した試験において、面接試験以降に不合格となった人は受験できない |
| 健康診査 | 第3次試験(社会人経験者の事務員・技術員・保健師・保育士・幼稚園教諭は第4次試験)の合格者について、職務遂行に必要な健康度を有するかどうか健康診査を行う |
| 初任給 | 高校卒200,300円、短大卒216,500円、大学卒232,000円(令和8年4月1日現在) |
上記は、館林市が公表している令和8年度実施(令和9年4月1日採用)の職員採用試験要項および職員採用案内にもとづくものです。館林市は年2回募集を行い、募集の回次と受験区分によって試験の段階数が異なります。また、令和8年10月1日採用の別枠募集も行われています。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。(出典:館林市職員採用試験要項|令和8年度実施)
令和7年度の実施状況
館林市は前年度の実施状況を採用案内で公表しています。事務員の学歴区分ごとに通り方の違いがはっきり出ているため、目を通しておく価値があります。
| 区分 | 受験申込者 | 一次合格 | 二次合格 | 最終合格 | 採用決定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大学卒 事務員 | 112人 | 64人 | 35人 | 17人 | 11人 |
| 短大卒 事務員 | 9人 | 8人 | 5人 | 5人 | 2人 |
| 高校卒 事務員 | 17人 | 12人 | 8人 | 4人 | 2人 |
大学卒事務員では、受験申込者112人のうち一次合格が64人と、最初の関門で半分ほどが残ります。そこから二次合格35人、最終合格17人へと、面接が入る段階で人数が半分ずつ削られていく形です。
学歴区分によっては一次で大きく絞られないぶん、面接の比重がさらに大きくなります。
もうひとつ押さえておきたいのが、試験成績の自己情報開示に関する記載です。館林市は、一定の基準に達しない試験科目がある場合はその試験種目を得点化しないため、順位がつかないことがあると明記しています。
合計点で挽回する前提を置かず、どの科目にも最低限の水準を確保しておく必要があるということです。
館林市役所が求める職員像
館林市は、職員採用案内のなかで求められる職員像を公表しています。掲げられているのは、「時代の変化に対応できる適応力の高い人材」という一文と、それを具体化した5つの項目です(出典:館林市職員採用案内|2026年版)。
- コミュニケーション能力
郷土を愛し、市民と協働できる職員 - マネジメント能力
業務改善とコスト意識を持った職員 - チャレンジ精神
新たな課題に果敢に取り組む職員 - 柔軟なアイディア
情報を素早く捉え、柔軟なアイディアで業務を遂行できる職員 - プロフェッショナル
法令を遵守し、迅速かつ適正に仕事のできる職員
5項目の並びを見ると、市民と協働する力と、業務を改善する力の両方が求められていることが分かります。「適応力」を軸に置いている以上、面接では、変化した状況にどう合わせて動いたのかが確かめられると考えるのが自然です。
「柔軟に対応できます」という表現は、それだけでは適応力の裏づけになりません。状況が変わった場面を一つ挙げ、自分が何を変えて対応し、その対応で相手の困りごとがどう解けたのかを添えてください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。館林市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどうやって会場まで来ましたか | 構えていない場面での声の出し方と表情。会話の入り口での自然さ |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください | 待遇や安定以外の言葉で職業選択を説明できるか |
| ③ 自己理解 | 周囲からはどんな人だと言われますか | 他人から見た自分を把握しているか。自己評価とのずれに気づいているか |
| ④ 経験・行動 | 集団のなかで意見が食い違ったとき、どうしましたか | 対立の場面での立ち回りと、折り合いのつけ方 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことのうち、仕事に生かせそうなことは何ですか | 学びを実務の言葉へ置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 希望どおりの部署に配属されなかったら、どうしますか | 配属の現実を受け止めたうえで働く姿勢 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった行政のニュースを一つ教えてください | 社会の動きへの関心と、自分の意見を短く述べる力 |
ただし、この7カテゴリーは館林市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「館林市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「館林市役所ならでは」の質問
どちらも館林市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「館林市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい館林市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置 | 人口73,086人、面積60.97km²、人口密度1,199人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。面積は群馬県内の12市で最小だが、密度は前橋市・高崎市を上回る | 「小さい市です」で止めず、市域が狭く人がまとまっているという条件が、施設の配置や移動のしやすさにどう効くのかまで述べます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県は約6,362km²の県土全体を見るが、館林市は7万人の暮らしと60.97km²の市域を直接担う。市の求められる職員像には「郷土を愛し、市民と協働できる」職員が挙げられている | 制度の違いを述べて終わらせず、市が掲げる協働という言葉に自分の経験を重ね、どの場面で市民と一緒に動きたいのかを具体的に示します |
| 県境をまたぐ暮らし | 栃木県の足利市・佐野市と県境で接し、県内では邑楽郡の4町と隣り合う。群馬県は首都東京から約100kmで、新幹線でも高速道路でも東京まで約50分の距離にある | 行政の区域と、通勤や買い物で人が動く範囲は一致しないという前提に立ち、市の外へ出ていく人をどう呼び戻すかという角度で話します |
| 市の課題 | 社人研の推計では、群馬県の人口は2040年に163.8万人、2060年には128.8万人まで減る。県の人口ビジョンは、医療・介護・住まい・公共交通・生活支援を地域でそろえる環境整備を課題としている | 人口減少という言葉で止めず、密度の高い館林市では5つの要素のうちどれが先に効いてくるのかを、自分なりに順序立てて述べます |
| 防災への備え | 群馬県地震被害想定調査(令和8年3月)は全35市町村の役場直下でマグニチュード6.9の地震を想定。県全体で最大となるのは深谷断層帯・綾瀬川断層の地震で、冬18時・強風時に死者4,028人と予測 | 県全体の被害想定を暗唱するのではなく、役場直下の想定が館林市も対象であることに触れ、自分がまず確かめたい市の備えを挙げます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「求められる職員像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 変化への適応力 | 第2次の「人物及び職務に対する適応性」を見る面接で、条件が変わった場面の話し方に表れる | 館林市が掲げる職員像の軸は適応力です。途中で前提が変わった出来事を一つ選び、変わる前と後で自分の動き方がどう違ったかを分けて話せるようにしておく |
| 市民と協働する姿勢 | 第3次の総合的な人物試験で、地域や集団に関わった経験の具体性が問われる | 職員像の一つ目は郷土を愛し市民と協働できる職員です。自分が住む地域や所属先で、誰かと一緒に何かを動かした場面を、相手の反応まで含めて用意しておく |
| 基礎を取りこぼさない姿勢 | 一定の基準に達しない科目は得点化されないという運用そのものが、準備の姿勢を問う設計になっている | 館林市の第1次はSCOAの基礎能力とパーソナリティ、第2次には作文があります。どれか一つに賭ける準備ではなく、全科目で最低限の水準を確保する計画を先に立てておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。館林市は個別面接が2回ある分、この傾向はより強く出ます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 館林市の職員採用試験要項を入手し、自分が受けるのは何月の募集のどの区分か、試験が何段階あるかを確定させる。採用日が異なる別枠募集と取り違えないよう、年度と採用日をセットで確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、面積60.97km²に7万人が暮らすという市の輪郭から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。個別面接が2回あるため、同じ話題を別の角度から問われる前提で用意する
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、館林市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
館林市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
館林市の試験は、事務員・技術員(短大卒・高校卒程度)であれば第2次と第3次で個別面接が二度置かれ、そのあいだに作文が挟まります。しかも作文の採点は最終試験で行われるため、書いた内容と話す内容がずれていないかも問われることになります。
まず自分がどの募集回次のどの区分に当たるかを確定させ、そのうえで、面積60.97km²に7万人余りが暮らし、県境の向こうには足利市と佐野市があるという館林市の姿を、自分の関心と結び付けてみてください。
令和7年度の大学卒事務員は、受験申込者112人から17人が最終合格した試験でした。その位置に届くのは、市の事情を自分の見聞きした言葉で話せる人です。