本記事では、福島県職員採用試験の面接対策で必要な、福島県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
福島県庁の面接試験では、「なぜ福島県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。震災と原子力災害からの復興という県ならではの事情や、県の計画を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、福島県らしさを踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と福島県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
福島県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは福島県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は福島市。東北地方の最も南に位置し、宮城・山形・新潟をはじめ6つの県と接する。
- 面積は約1万3,784km²で、北海道、岩手県に次ぐ全国第3位の広さ。県土は奥羽山脈と阿武隈高地によって、中通り、会津、浜通りの3つの地域に分かれる。
- 人口は約170万人。1998年の約214万人をピークに減少が続き、この四半世紀ほどで2割ほど減った。
- 2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で甚大な被害を受け、震災と原子力災害からの復興が、今も県政の最重要テーマとなっている。
- 浜通りでは、震災からの再生を新産業の創出につなげる福島イノベーション・コースト構想が進み、令和5年には浪江町に福島国際研究教育機構(F-REI)が設立された。
- 会津には猪苗代湖や磐梯山などの自然と歴史文化があり、中通りには県都の福島市や県内有数の都市である郡山市が位置するなど、地域ごとに異なる個性を持つ。
- 交通は、中通りを東北新幹線と東北自動車道が縦断し、太平洋岸には重要港湾の小名浜港が、県内には大阪や新千歳と結ぶ福島空港が立地する。
- 県財政は、標準的な指標では健全性を保つ一方で、復興という特殊な事情を抱える。経常収支比率は95.8%(令和6年度決算)と高く、自由に使える財源に余裕は大きくない。
福島県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「福島県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、経済規模、地域構成など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約170万人(1,699,510人) |
| 高齢化率 | 約34%(令和6年8月時点) |
| 総面積 | 約1万3,784km²(全国3位) |
| 総世帯数 | 約75万世帯(754,392世帯) |
| 地域構成 | 中通り・会津・浜通りの3地域(7つの生活圏) |
| 名目県内総生産 | 約8兆3,950億円(令和5年度) |
| 1人当たり県民所得 | 321万5千円(令和5年度) |
総人口・世帯数は福島県現住人口調査月報(令和8年6月1日現在)の推計人口、高齢化率は令和6年8月時点、県内総生産と1人当たり県民所得は令和5年度県民経済計算、面積は県公式「県のすがた」による数値です。
数字から考えられる県政課題
福島県は東北で最も南に位置する広い県ですが、面積の広さと人口減少の両方に向き合う必要があります。人口はピーク時から2割ほど減っており、高齢化も進んでいます。
広い県土のなかで、中通り、会津、浜通りという性格の異なる地域に、行政・医療・介護・交通などのサービスをどう維持するかが問われます。
たとえば面接では、福島県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
福島県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 名目県内総生産は約8兆3,950億円(令和5年度)。経済成長率は名目6.7%・実質5.4%で、前年度から増加した。
- 1人当たりの県民所得は321万5千円(令和5年度)。
- 令和5年度は、第1次・第2次・第3次のいずれの産業でも県内総生産が増加した。
- 震災からの再生を新産業につなげる取組と、農林水産業や観光といった地域資源に根ざした産業が併存している。
つまり、「復興を契機に新産業の集積を進めつつ、農林水産業や観光を土台に持つ」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:県民経済計算|令和5年度)
農林水産業
広い県土を持つ福島県では、農林水産業が基幹産業のひとつです。米をはじめ、果樹や畜産など多様な品目が生産され、令和5年度も農業を含む第1次産業の県内総生産は増加しました。
県は、輸入依存度の高い麦や大豆の安定供給、暑さに強い飼料品種の導入、漁業の担い手確保などに取り組んでいます。震災と原子力災害に伴う風評の払拭も、農林水産業にとって続く課題です。
面接では、農林水産業の振興と風評対策を結び付けて語れると、県の実情を踏まえた話になります。
ものづくりと新産業
浜通り地域等の15市町村では、福島イノベーション・コースト構想が進んでいます。これは、震災と原子力災害で失われた産業を回復するため、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクトです。
令和5年には、その中核拠点として浪江町に福島国際研究教育機構(F-REI)が設立され、ロボット、農林水産業、エネルギー、放射線科学・創薬医療、原子力災害に関するデータの5分野で研究に取り組んでいます。
県はこれらを土台に、航空宇宙、水素、創薬などの新産業の集積を進めています。(参考:福島国際研究教育機構の研究5分野)
再生可能エネルギー
福島県は総合計画で「再生可能エネルギー先駆けの地」の実現を掲げ、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んできました。近年は、燃料電池商用車の導入を促す重点地域に選ばれたことを踏まえ、水素ステーションの整備や燃料電池自動車の導入など、水素社会の構築にも力を入れています。
エネルギー分野は、復興と産業振興、脱炭素をつなぐテーマとして押さえておくとよいでしょう。
観光業
令和6年(2024年)の観光客入込総数は約5,757万人で、前年より6.8%増えました。地域別では中通り(約2,772万人)が最も多く、会津(約1,757万人)、浜通り(約1,229万人)が続き、3つの地域それぞれに異なる観光資源があります。
近年は、猪苗代湖のラムサール条約湿地への登録や、大型観光キャンペーン「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の展開が進みました。震災の教訓を学ぶホープツーリズムなど、福島ならではの観光の広がりも特徴です。(出典:観光客入込状況|令和6年)
福島県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、福島県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
東日本大震災・原子力災害からの復興・再生
福島県の課題を語るうえで、震災と原子力災害からの復興は避けて通れません。避難指示の解除が進む一方で、帰還困難区域は今も残り、県は全ての避難指示解除に最後まで責任を持って取り組むとしています。
加えて、廃炉作業や避難地域の営農再開、根強く残る風評と、時間の経過に伴う風化への対応が続いています。復興を「終わったこと」ではなく、現在進行形の課題として理解しておくことが大切です。
人口減少と少子高齢化
人口は1998年の約214万人をピークに減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとにした県の人口ビジョンでは、現状の傾向が続くと2040年に約145万人まで減るとされ、県はこれに対し2040年に150万人程度を維持することを目標に掲げています。
子育て支援だけでなく、若者の定着、教育、雇用、医療・介護の担い手などを関連付けて考える必要があります。
過疎・中山間地域の維持
過疎地域は、県の人口の13.9%、面積の54.9%を占めています(2020年)。過疎地域の高齢化率は39.2%と、当時の県全体(31.7%)を上回っていました。
買い物や生活交通、医療、教育といった日常生活のサービスや、自治会・消防団などの共助機能をどう維持するかが問われています。
大規模災害への備え
県は地震・津波被害想定調査を実施し、想定東北地方太平洋沖地震(M9.0)では死者1,651人、県内津波の最大遡上高23.5mなどを見込んでいます。近年は災害の激甚化・頻発化も進んでおり、県は「防災タイムライン」の策定やマイ避難の推進などで地域防災力の強化を図っています。
東日本大震災を経験した県として、事前の備えは重い課題です。(参考:地震・津波被害想定調査結果の概要)
地域による状況の違い
福島県は、中通り、会津、浜通りという性格の異なる3つの地域からなり、さらに7つの生活圏に分かれます。人口構成、産業、交通事情、行政需要はそれぞれ異なります。
総合計画も、県北、県中、県南、会津、南会津、相双、いわきの地域区分で地域づくりを進めています。
| 地域 | 主な都市・エリア | 特徴と課題のキーワード |
|---|---|---|
| 中通り | 福島市、郡山市、白河市など | 新幹線と高速道路が縦断する県の背骨。人口と都市機能の集積、観光入込も最多 |
| 会津 | 会津若松市、喜多方市、猪苗代町など | 猪苗代湖や磐梯山などの自然と歴史文化。豪雪・中山間地域、過疎と高齢化 |
| 浜通り | いわき市、南相馬市、浪江町など | 太平洋岸。震災と原子力災害の影響が大きく、イノベーション・コースト構想や小名浜港の拠点 |
「取り組みたい仕事」を考えるときも、どの地域のどんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。
福島県の重点政策|福島県総合計画
福島県の総合計画は「福島県総合計画(2022▶2030)」(令和3年10月策定)です。県のあらゆる政策分野を網羅する最上位計画で、計画期間は令和4年度から令和12年度までの9年間。
未曽有の複合災害からの復興と、急激な人口減少への対応という前例のない課題に、SDGsの理念を踏まえながら取り組むとしています。(出典:福島県総合計画(2022▶2030))
計画を貫く考え方
計画は基本目標に「やさしさ、すこやかさ、おいしさあふれる ふくしまを共に創り、つなぐ」を掲げます。そして県民の意見から集約した将来の姿として、「ひと・暮らし・しごとが調和しながらシンカ(深化、進化、新化)する豊かな社会」を目指すとしています。
受験生としては、この将来の姿を、「ひと(人を大切にする)」「暮らし(安心・快適に暮らせる)」「しごと(働きたい場所がある)」という3つの柱で理解しておくとよいでしょう。
三つの分野と八つの重点プロジェクト
計画の政策は、「ひと」「暮らし」「しごと」の3分野・18の政策に整理されています。
| 分野 | 主な政策の柱 |
|---|---|
| ひと | 健康長寿、結婚・出産・子育て、「福島ならでは」の教育、共生社会、新しい人の流れ |
| 暮らし | 震災・原子力災害からの復興・再生、防災と治安、医療・介護・福祉、環境との共生、過疎・中山間地域、魅力あるまちづくり |
| しごと | 地域産業、福島イノベーション・コースト構想、もうかる農林水産業、再生可能エネルギー、観光・交流、産業人材、社会基盤 |
さらに、特に重要な行政課題は8つの「重点プロジェクト」として展開されます。復興・再生の区分には「避難地域等復興加速化」「人・きずなづくり」「安全・安心な暮らし」「産業推進・なりわい再生」の4つ、地方創生の区分には「輝く人づくり」「豊かなまちづくり」「しごとづくり」「魅力発信・交流促進」の4つが位置づけられています。
面接では、自分の取り組みたい仕事がどの分野・どのプロジェクトに位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
令和8年度の一般会計当初予算は1兆2,606億円で、前年度と比べると212億円の減です。このうち復興・創生分は1,970億円が計上されています。
令和8年度は第3期復興・創生期間の初年度にあたり、県は「復興・再生」と「地方創生」を一層推進するとともに、長引く物価高への対応、防災力の強化、地球温暖化対策、デジタル変革の推進などに、8つの重点プロジェクトを中心に取り組むとしています。18歳以下の医療費無料化や高校無償化に向けた支援、ふくしまデスティネーションキャンペーンなどが具体例です。(出典:知事説明要旨|令和8年2月)
POINT|施策名をすべて暗記しなくてよい
事業や計画の名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「福島県の復興に携わりたいです」
改善例「まずは県職員として、避難した地域に人が戻ってこられるよう、農業の再開や移住の後押しといった仕事に取り組みたいです。まだ帰還が進んでいない地域も残っていると聞きましたので、地元の声を聞きながら少しずつ支えていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 福島県職員採用候補者試験の受験案内/職員採用案内・職種紹介
- 福島県総合計画(2022▶2030)(概要版)
- 最新年度の当初予算・知事説明要旨/関心分野の個別計画
- 福島県人口ビジョンや県勢のあらまし(人口・産業・観光などの統計)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、福島県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。福島県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
福島県の面接の概要
ここからは、福島県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
福島県の面接の流れ
福島県の大学卒程度試験は、第1次試験(教養試験・専門試験・論文試験)と第2次試験(口述試験・適性検査)の2段階です。口述試験は個別面接2回と集団討論からなり、この口述試験だけで総合460点の約54%を占める、人物を重視した配点の試験です。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒程度〈行政事務〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験・専門試験〈いずれも多肢選択式〉・論文試験〈記述式・800字以内〉)→ 第2次試験(口述試験・適性検査) |
| 論文試験の扱い | 論文は第1次試験で実施するが、評価は第2次試験で行う |
| 口述試験の内容 | 個別面接2回+集団討論。個別面接は学業やサークル活動などこれまでの活動や経験に着目、集団討論は指導力や協調性等をみる |
| 第2次の日程 | 2日間で実施(第1回=適性検査及び個別面接、第2回=集団討論及び個別面接)。両日とも受験が必要 |
| 配点 | 総合460点(教養・専門180点、論文30点、口述250点、適性検査は適否判定) |
| 合否の決め方 | 第1次合格は教養+専門の高い順、最終合格は第1次+第2次の合計の高い順。基準に達しない種目が一つでもあると不合格 |
注目してほしいのは配点の置き方です。口述試験の配点は250点と、全試験種目の中で最も高く設定されています。
用意した答えを言えるかではなく、個別面接で掘り下げられても、また集団討論で他の受験者と議論しても、自分の言葉で伝え続けられるかが問われる構造だと言えます。
上記の試験構成は、福島県人事委員会の令和8年度受験案内(大学卒程度)にもとづくものです。なお、面接カードや自己PRシートなど事前提出書類については、同案内に明記が確認できませんでした。試験の構成・日程・配点・提出書類等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
福島県が求める人物像
福島県は受験案内で、求める人物像として「いつも県民がいることを意識できる人」「失敗を恐れずにチャレンジできる人」「よく聴き、よく考え、わかりやすく伝えることができる人」「福島県をより良くしたいという熱い思いのある人」の4つを公表しています。(参考:職員採用候補者試験受験案内|令和8年度)
自己PRでは、「チャレンジできます」と述べるだけでなく、その姿勢を使って何を行い、周囲や相手にどのような変化をもたらしたのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。福島県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ本県を志望するのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | (大学等の)専攻分野を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは福島県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「福島県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「福島県ならでは」の質問
どちらも、福島県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「福島県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい福島県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 復興・再生 | 令和8年度は第3期復興・創生期間の初年度で、当初予算1兆2,606億円のうち復興・創生分が1,970億円。避難地域では帰還困難区域の避難指示解除、営農再開、廃炉、風評と風化への対応が続く | 復興を過去の出来事ではなく現在進行形の課題として語り、どの地域のどの段階に関わりたいかまで具体化すると、志望の本気度が伝わります |
| 人口減少 | 人口はピークの約214万人(1998年)から約170万人へ。社人研推計をもとにした県の推計では2040年に約145万人。県は2040年に150万人程度の維持を目標に掲げる | 「全国的な人口減少」で終わらせず、県が掲げる150万人維持という目標に触れると、県の政策を踏まえた課題認識だと示せます |
| 過疎・中山間地域 | 過疎地域は県の人口の13.9%・面積の54.9%を占め、高齢化率は39.2%(2020年)と県全体を上回る | 会津や中山間地域を念頭に、生活交通や医療、共助の担い手といった暮らしの場面に引きつけて話すと厚みが出ます |
| 防災・危機管理 | 地震・津波被害想定調査では、想定東北地方太平洋沖地震(M9.0)で死者1,651人、県内津波の最大遡上高23.5mを想定。近年は災害の激甚化・頻発化も進む | 東日本大震災を経験した県ならではの備えとして、防災タイムラインなど事前の取組に触れると説得力が増します |
| 新産業・イノベ構想 | 福島イノベーション・コースト構想が浜通り15市町村で進み、令和5年に浪江町にF-REIが設立。航空宇宙・水素・創薬などの新産業集積を推進 | 「復興から新産業へ」という県の流れを押さえ、自分の関心分野を構想のどの分野に結び付けられるか一言添えられると強いです |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「求める人物像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| いつも県民がいることを意識できるか | 震災からの復興を進める福島県では、相手の立場をくんで動いた経験や、困っている人にどこまで踏み込んで関わったかが問われます | アルバイトや部活動で相手に合わせて動いた場面を、なぜそうしたのかという理由まで言葉にしておく |
| 失敗を恐れずチャレンジできるか | 復興という前例のない課題に挑む福島県だけに、指示を待たず自分から動き、うまくいかなくても工夫を重ねて続けた経験があるか | 結果の大小ではなく、なぜ挑もうと思い、何を変えたのかを話せるようにする |
| よく聴き、よく考え、伝えられるか | 相手の話を丁寧に聞き、考えを整理してわかりやすく伝えた経験 | 集団討論も見据え、人の意見を受けて自分の考えを組み立て直した経験を用意しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の受験案内を読み、第1次・第2次の試験種目と配点、第2次が2日間で行われることを確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、復興や人口減少など志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習する。個別面接の深掘りと集団討論の両方を想定し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、福島県庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
福島県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
福島県の採用試験は、口述試験に総合の半分以上の配点が置かれ、個別面接を二度重ねたうえで集団討論まで課す、人物を丁寧に見る試験です。
筆記の力はもちろん必要ですが、最後にものを言うのは、自分の経験を自分の言葉で語れるかどうかです。復興と地方創生という、福島県ならではの大きなテーマに、あなた自身の関心や経験をどうつなぐのか。
時間をかけて考え、声に出して練習を重ねていけば、面接の場でも落ち着いて言葉を届けられるはずです。あなたの挑戦を応援しています。