本記事では、鳴門市職員採用試験の面接対策で必要な、鳴門市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度後期の受験案内をもとに、行政事務職を軸として整理し、他の職種との違いも併記します。
鳴門市役所の面接試験では、「なぜ鳴門市を志望したのか」、「市職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度後期の鳴門市は第1次試験から人物を見にくる設計なので、市のことを知らないまま臨むと、最初の関門で言葉が薄くなります。
ここに並べた事実を材料に、自分の強みや関心と鳴門市政の接点を考え、回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
鳴門市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは鳴門市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 徳島県の北東端、鳴門海峡に面する市。人口は52,552人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)で、面積は135.66km²。
- 鳴門海峡を挟んで兵庫県南あわじ市と向かい合い、陸路では香川県東かがわ市と接する。県内では板野郡の松茂町・北島町・藍住町・板野町と隣り合う。
- 市の説明によれば、鳴門海峡の潮の流れは日本国内で最も速い。平常時で時速13〜15km、春と秋の大潮時には18km、風向きによっては20kmに達する。
- 渦の直径は南流時に最大15m以上(裸島東側)、北流時に12m(中瀬南西)。海峡の幅は約1.3km。
- 1918年(大正7年)6月1日、市内の板東俘虜収容所でベートーヴェンの「第九」交響曲がアジアで初めて全曲演奏された。所長の松江豊寿による人道的な処遇のもと「模範収容所」と呼ばれた場所である。
- 本州と四国を結ぶ神戸淡路鳴門自動車道(89.0km)の四国側の入口にあたる。同路線は明石海峡大橋の開通に合わせ、平成10年4月に全線開通した。
- 高齢化率は36.3%、75歳以上の割合は21.5%。いずれも県全体(34.9%、20.3%)を上回る。
- 市の花はハマボウ、市の木はモチ。市役所は鳴門市撫養町南浜に置かれている。
鳴門市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「鳴門市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
志望動機や市の課題を語るときに立ち返る土台として、人口と年齢構成、市域、周辺との関係を並べておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 52,552人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 19,101人(36.3%、県34.9%) |
| 75歳以上人口 | 11,302人(21.5%、県20.3%) |
| 総面積 | 135.66km² |
| 人口密度 | 約387人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 接する市町村 | 松茂町、北島町、藍住町、板野町、東かがわ市(香川県)、南あわじ市(兵庫県) |
| 市役所所在地 | 鳴門市撫養町南浜字東浜170番地 |
| 市の花・市の木 | ハマボウ・モチ |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値で、市と県をそろえて掲載しています。国勢調査や人口推計を基礎とする数値は調査の基準が異なるため、これらと並べて増減を比べることはできません。人口密度は同じ住民基本台帳人口を面積で割って算出したものです。面積・所在地・接する市町村・市の花と木は、当研究会が整理した基礎データによります。
数字から考えられる市政課題
鳴門市の高齢化率36.3%は、県全体より1.4ポイント高く、75歳以上の割合でも県を上回ります(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。人口5万人台の市で、4人に1人以上が後期高齢者に近い年代という構成です。
職員数も予算規模も大都市のようにはいかない中で、医療・介護・移動手段・見守りといった支えの手が同時に必要になります。
もうひとつ効いてくるのが位置です。鳴門市は淡路島と橋でつながり、香川県とも接しています。
通勤・通学・買い物・観光の流れが県境をまたぐため、市の施策は市内だけを見て決められません。橋の向こうから来る人と、橋を渡って出ていく人の両方を勘定に入れる必要があります。
面接でこの環境に触れるなら、次のような言い方ができます。
鳴門市の経済・産業
海峡が生む観光資源
鳴門市の産業を語るとき、外せないのが海峡そのものです。日本で最も速い潮の流れと、直径15mを超えることもある渦は、他の土地では再現できない観光資源です。
市はこの現象を市公式サイトで正面から紹介しており、潮の速さや渦の大きさ、海峡の幅といった数値まで公開しています。観光を語る受験者は多いのですが、「渦潮がある」で止めず、季節や潮汐で見え方が変わるという性質まで踏まえると、受け入れ体制の話につなげられます。(出典:鳴門市のうず潮について)
県全体の観光は回復の途上です。徳島県の延べ宿泊者数は令和6年(2024年)に全国46位(速報値)ながら歴代2番目の水準に達し、外国人の延べ宿泊者数は過去最多となりました。
過去最多だったのは平成26年(2014年)の287万人です。県の玄関口のひとつである鳴門市にとって、この回復をどう滞在時間と消費に変えるかが実務上の課題になります。(参考:徳島県の観光の現状|令和6年)
「第九」が残した文化資産
もうひとつの資産が、板東俘虜収容所の歴史です。第一次世界大戦のドイツ兵捕虜収容所だったこの場所で、1918年6月1日にベートーヴェンの「第九」がアジアで初めて全曲演奏されました。
所長の松江豊寿が捕虜を人として遇したことから「模範収容所」と呼ばれ、市はこの経緯を公式サイトで詳しく伝えています。観光と文化と国際交流が一つの史実に束ねられている点が鳴門市の強みで、イベント運営や交流事業を志望動機にする場合の足場になります。(出典:なると第九について(鳴門市))
県経済の中での位置
県全体では、令和4年度の県内総生産が名目3兆2,658億円(対前年度比2.6%減)、1人当たり県民所得は317万円(同1.9%減)です。県は医薬品・LED・リチウムイオン電池の大きな工場が立地する「LED王国」を自認し、農業では吉野川沿いの平野を中心になると金時やすだちの生産が盛んとされています。
鳴門市はこの県経済の中で、製造の集積地というより、本州からの人と物が最初に降りる場所として機能しています。神戸淡路鳴門自動車道が四国に入る地点であることの意味は、観光だけでなく物流の話としても語れます。(出典:徳島県の県民経済計算|令和4年度/徳島県の産業紹介(工業))
鳴門市の主な行政課題
前の章までの数字と産業の姿を、行政の宿題という形に置き直すと、次の5つが見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しにしてください。
県を上回る高齢化と、人口5万人台の運営
徳島県の推計人口は令和8年6月1日現在で669,003人、前月から626人減と、毎月数百人単位で減り続けています。県の総合計画はこの状況を「静かなる有事」と表現しました。
鳴門市の高齢化率は36.3%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、同じ系列の県平均34.9%をさらに上回ります。支える側の人数が細るのと支えられる側が増えるのが同時に来ます。
人口規模が小さいほど、一人の職員が受け持つ分野は広くなります。(参考:徳島県の推計人口|令和8年6月1日現在)
南海トラフ巨大地震と津波
県が令和8年2月4日に公表した被害想定では、鳴門市の死者は冬・深夜の最大ケースで2,200人、うち津波によるものが1,900人とされました。建物の全壊・焼失は冬・夕のケースで8,100棟です。
県全体では死者21,700人・全壊焼失81,100棟という想定になっています。津波の高さと到達時間については、県が令和7年9月に公表した浸水想定で、里浦海岸5.7m(59分)、岡崎海水浴場5.4m(62分)、粟田漁港2.1m(73分)といった数値が示されています。
海に開けた市域のどこにいるかで、逃げ方も残された時間も変わるということです。(出典:南海トラフ巨大地震・被害想定|令和8年)
観光の回復を暮らしにどう返すか
渦潮と「第九」という強い資源があっても、来訪者数がそのまま市民の暮らしを良くするわけではありません。
県の延べ宿泊者数が歴代2番目の水準まで戻り、外国人の宿泊が過去最多になったという状況は追い風ですが、宿泊・飲食・交通の担い手が確保できなければ受け止めきれません。観光の伸びと人手の減少が同時に進むのが、いまの鳴門市の難しさです。
県境をまたぐ生活圏と交通
鳴門市は淡路島経由で兵庫県と、陸続きで香川県とつながっています。徳島県内の道路事情を見ると、国県道の改良率は65.4%、舗装率は57.5%と全国的に低い水準で、急峻な山地と河川の橋梁費用が理由とされています。
高速道路の結節点でありながら、周辺の生活道路や公共交通の維持には別の難しさがある。広域の交通と足元の交通は別問題という視点を持っておくと、交通政策の質問に厚みが出ます。(参考:徳島県の道路整備の現状)
水をどう確保するか
平成6年の列島渇水では、吉野川水系で139日間にわたる取水制限が行われ、徳島県の渇水対策本部は104日間設置されました。このとき影響を受けた水道事業体として、国の記録に鳴門市が名指しで挙げられています。
海に面していても、暮らしと産業を支える水は川から来る。渇水は地震ほど語られませんが、繰り返し起こりうる災害として押さえておく価値があります。
鳴門市の重点政策|受験案内が示す仕事の範囲と県の計画
市の政策の方向は、実は採用の文書からも読み取れます。令和8年度後期の受験案内で、行政事務職の職務内容は「市の各部局において行政事務に従事します。」と一文で示されています。
分野を限定せずに書かれているということは、配属先を選んで入る試験ではないという意味でもあります。志望動機を特定の分野に絞りすぎると、この一文と噛み合わなくなる点は意識しておきましょう。
市の総合計画や個別計画は年度によって改定されます。志望する分野に関わるものは、鳴門市の公式サイトで現在有効な版を開き、目標として掲げられている状態と、そこに至る筋道を自分の目で確かめてください。
県の計画が置いている前提
鳴門市の施策は、県全体の方向とも重なります。徳島県が掲げる総合計画を「徳島新未来創生総合計画」といいます。
策定は令和6年3月、改訂は令和7年3月で、令和6年度から令和10年度までを見通す内容です。ビジョンに据えられているのは「未来に引き継げる徳島」の実現。
ミッションは安心度・魅力度・透明度をそれぞれ高めるという3本で、そこから17の戦略と75の戦術が枝分かれし、達成度は93のKPIで測られます。県は人口減少と自然災害の激甚化を並べ、今後10年を地方の正念場と位置づけました。(出典:徳島新未来創生総合計画)
POINT|計画の名前を並べても点にはならない
関心のある分野を一つか二つ選び、何が問題になっているのか、市や県はどんな状態を目指しているのか、いま何が動いているのかを順に追ってください。そのうえで市の役割と自分の経験を重ねておけば、録画でも面接でも取り出せる材料になります。
悪い例「鳴門市の観光振興に携わりたいです」
改善例「渦潮は潮の時間によって見え方が変わると聞きました。せっかく来てもらっても短い滞在で帰ってしまうのはもったいないので、待ち時間を市内で過ごしてもらえるような案内づくりに関わりたいと思っています」
あわせて確認したい公式資料
並べた順に読む必要はありません。自分の志望分野に一番近いものを最初に開き、面接で一言に縮められるところまで整理しておいてください。
- 鳴門市職員採用試験の受験案内(最新の募集)と職員採用のページ
- 鳴門市の総合計画・個別計画のうち、志望分野に関係するもの
- 鳴門市の観光や「第九」に関する公式の紹介ページ
- 徳島県の南海トラフ巨大地震被害想定と津波浸水想定
- 徳島新未来創生総合計画(概要版)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、鳴門市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。鳴門市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
鳴門市役所の面接の概要
ここからは、鳴門市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公表資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
鳴門市役所の面接の流れ
令和8年度後期の受験案内は、試験の性格を自ら宣言しています。「試験のポイント」に書かれているのは、「第1次試験は全職種WEB録画面接試験のみの人物重視の試験です。」という一文です。
続けて「第2次試験はSPI3又はSCOAを実施し、公務員試験対策は不要です。」とも明記されています。つまり、筆記の準備量で勝負が決まる試験ではありません。
行政事務職を軸に、令和8年度後期の構成を整理します。
| 項目 | 内容(令和8年度後期・行政事務職) |
|---|---|
| 試験の段階 | 3次試験制。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験と段階ごとに絞り込みます(土木技術職は第2次試験までで、第3次試験は実施されません) |
| 第1次試験 | 録画動画面接。設定された質問に対し、受験者が動画を撮影してアップロードする投稿形式で、受験申込の申請フォームから提出します |
| 第2次試験 | 総合能力検査(SPI3)、事務適性検査、面接試験。SPI3は基礎能力検査と性格検査で構成され、その他の科目は鳴門市役所で実施されます |
| 第3次試験 | 面接試験とプレゼンテーション試験 |
| 面接の種類 | 第2次・第3次とも「主として、人物及び職務に対する意欲等についての個別面接を行います。」と定義されています |
| プレゼンテーション試験 | 提示された課題についてプレゼンテーション・シートを作成し、発表することで、発想力や論理的思考力、表現力等を検証するものです |
| 集団形式 | 令和8年度後期の受験案内に集団討論・集団面接の記載はありません |
| 他区分との違い | 行政事務職(障がい者)は第2次で総合適性検査(SCOA)と面接試験、第3次で面接試験。消防職は第2次に消防適性検査と体力検査が加わります |
| 提出書類 | 受験案内にエントリーシート・小論文の記載はなく、明示されているのは民間企業等経験者・職務経験者区分の職歴証明書等です |
この並びで注目したいのは、人物を見る場面が第1次から第3次まで途切れず続くことです。第1次で録画、第2次で個別面接、第3次でまた個別面接とプレゼンテーション。
筆記でふるいにかけてから人物を見るのではなく、最初から最後まで人物の情報を積み上げていく組み立てになっています。同じ人が繰り返し評価されるわけですから、録画で話した内容と本番の受け答えが食い違わないよう、題材を決めて臨むのが安全です。
上記の試験構成は、鳴門市が公表した令和8年度後期の受験案内にもとづく行政事務職のものです。配点(得点配分)は同案内には記載されていません。試験の構成や実施方法は募集の時期や職種によって異なりますので、受験の際はご自身が申し込む職種の最新の受験案内をご確認ください。なお受験者本人は、合格発表日の翌日から1か月間、鳴門市人事課で自身の総合得点および総合順位の開示を受けられます。
鳴門市役所が求める人物像
鳴門市の令和8年度後期の受験案内には、体系化された「求める人物像」にあたる記載がありません。手がかりになるのは、案内が自ら掲げた「人物重視の試験」という言葉と、面接試験を「人物及び職務に対する意欲等」を見る場と定義していることです。
意欲という語がわざわざ添えられている点は、読み流さないほうがよいでしょう。
ここからは当研究会の解釈です。鳴門市は人口5万人台の市で、令和8年度後期の採用予定人員も行政事務職が若干名、土木技術職3人程度、消防職2人程度という規模です。
この人数で市域全体の行政を回すということは、一人が担当する仕事の幅が広くなるということでもあります。しかも鳴門市が向き合う相手は市民だけではありません。
淡路島を経て兵庫県と、陸続きで香川県とつながる市では、他の自治体との調整や、外から訪れる人への対応が日常の業務に混じります。相手の立場が入れ替わる場面で、用件を手早く整理して穏やかに伝えられることは、この市では特に重宝されるはずです。
加えて、市民と職員が日常の場面でも顔を合わせる規模なので、丁寧さや公私の線引きが、能力とは別の評価軸として効いてくる可能性があります。
市外から受験する人が持ち出せる材料も十分にあります。渦潮の見え方が潮の時間で変わること、県境をまたいで人が行き来すること、津波の到達までに1時間前後の地点があること。
こうした具体に自分の関心を重ねて話せれば、出身地の話をする必要はありません。第1次試験が録画である以上、最初に届くのは経歴ではなく話し方と中身です。
持っている経験のどこを鳴門市の仕事に差し出すのかを決めてから、カメラの前に立ってください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。鳴門市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは迷わずに来られましたか? | 録画で見た印象と、対面での様子がつながるかどうか。硬さのほぐれ方 |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間の仕事と何が違うと考えているか。市の各部局を回る働き方を承知しているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分の傾向を言葉にできるか。少人数の職場で自分がどう働くかを想像しているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさではなく、そこで何を考えどう動いたか。初めての仕事に向かう構えの裏づけ |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマを簡単に説明してください | 知らない相手に届く言葉に置き換える力。第3次試験のプレゼンテーションにも直結する |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 配属先を選んで入る試験ではないと分かったうえで、何をしたいかを語れるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 日々の報道に触れているか。橋を渡って人が行き来する市の話に置き換えられるか |
この7つが扱うのは、鳴門市の案内が「人物重視」と呼ぶ領域そのものです。ただし鳴門市の場合、最初に届くのは録画された数分の答えだけです。
7カテゴリーを一通り用意したうえで、そこに鳴門市でなければ出てこない話が一つ混じっているかどうかが、次の段階へ進めるかどうかを分けます。その一つを作るための質問が、以下の2問です。
合否を分けるのは「鳴門市役所ならでは」の質問
2問目は、鳴門市では答えが割れやすい質問です。魅力として渦潮や「第九」を挙げるのは簡単ですが、その魅力を支える人手が細っているという課題と、同じ口で語れるかどうかで印象が変わります。
魅力と課題が同じ一つの現象の裏表になっているのが、この市の面白いところです。ここから先は、答えを組み立てるための事実と、その使い方を並べます。
| 質問テーマ | 知っておきたい鳴門市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模 | 人口52,552人、高齢化率36.3%、75歳以上21.5%。いずれも県全体を上回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口) | 数字を並べるだけで終えず、5万人台の市では職員一人が受け持つ範囲が広くなる、という働き方の話まで接続します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 受験案内が示す行政事務職の職務内容は「市の各部局において行政事務に従事します。」 | 県との比較を論じるより、市の各部局を回りながら住民に直接向き合う働き方を選ぶ理由を、自分の経験から語ります |
| 鳴門市の魅力 | 日本で最も速い潮の流れと最大15mを超える渦。板東俘虜収容所で1918年6月1日に「第九」がアジア初の全曲演奏 | 名所の紹介にせず、来た人にどれだけ長く滞在してもらうかという観点で、市の受け入れ体制の話に寄せます |
| 防災 | 南海トラフ巨大地震の被害想定で死者2,200人(冬・深夜の最大ケース、うち津波1,900人)、全壊焼失8,100棟(冬・夕)。津波は里浦海岸5.7mが59分後 | 到達まで1時間前後という数字を、避難所の場所や避難訓練の参加率といった具体的な備えの話につなげます |
| 県境をまたぐ位置 | 海峡の対岸は兵庫県南あわじ市、陸で接する県外の隣は香川県東かがわ市。神戸淡路鳴門自動車道(89.0km)の四国側の入口にあたる | 「交通の要衝」で止めず、県外から来る人と県外へ出ていく人の両方が市民生活に影響する、という双方向で説明します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
鳴門市は体系化された人物像を公表していないため、選考の設計に照らして観点を読み取ります。面接試験が「人物及び職務に対する意欲等」を見る場と定義されている以上、確かめられているのは答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性だと考えてよいでしょう。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 相手のいない場で話し切る力 | 第1次試験の録画動画面接。設定された質問に、反応が返ってこない状態で答えを組み立てる | 実際に自分で撮影して見返す。最初の一文が長すぎないか、視線と語尾がぶれていないかを確かめる |
| 職務への意欲の具体性 | 第2次・第3次の個別面接。「人物及び職務に対する意欲等」という定義そのもの | やりたい分野を挙げるだけでなく、市の各部局を回る前提でどう働きたいかを一言添えられるようにする |
| 考えを組み立てて伝える力 | 第3次試験のプレゼンテーション試験。シートを作成し、発想力や論理的思考力、表現力を見られる | 市の課題を一つ選び、現状と打ち手を紙一枚にまとめる練習をする。書けた内容を口頭で3分に縮める |
| 着実さと正確さ | 第2次試験の事務適性検査。事務職員としての適応性を、正確さや迅速さといった作業能力の面から検査する | 検査そのものの対策より、日頃の作業でミスを減らす手順を持っているかを、面接用の具体例として用意する |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
鳴門市は個別面接が2回あるため、同じ題材を別の面接官から角度を変えて問われる前提で備えておきましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、いちばんの近道です。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 申し込む募集の時期と職種を決め、その受験案内で段階構成と試験科目を確認する(令和8年度後期の行政事務職なら第1次が録画動画面接のみ)
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- その一言メモを声に出して録画し、長さと表情を自分で確認する。第1次試験がこの形式なので、練習と本番の距離がいちばん近い工程になる
- この記事の前半を読み返し、志望分野に近い鳴門市の事実を2〜3個、自分の言葉で言えるようにする
- 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。第3次のプレゼンテーションを見据えて、紙一枚にまとめる練習も加える
優先順位に注意
ステップ5〜6の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4の録画練習を先に終わらせてください。鳴門市では第1次試験が録画動画面接だけで構成されており、ここを通らなければ他の準備を使う場面が来ません。自分について話せないまま市の情報だけを積んでも、面接の評価は動きません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、鳴門市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
鳴門市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度後期の鳴門市は、第1次試験を録画動画面接だけで組み、第2次でSPI3と個別面接、第3次で個別面接とプレゼンテーションを課します。案内が「人物重視の試験」と自ら書いているとおり、最初から最後まで見られているのは人物です。
渦潮と「第九」を持つ一方で、県平均を上回る高齢化と津波の想定を抱える市で、あなたはどの仕事に手を挙げるのか。
それを、カメラの前でも面接室でも同じ温度で話せるところまで準備を進めてください。