本記事では、吉野川市職員採用試験の面接対策で必要な、吉野川市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度の試験案内をもとに、上級行政を軸として整理し、方式ごとの違いや他区分との差も併記します。

吉野川市役所の面接試験では、「なぜ吉野川市を志望したのか」、「市職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度は第2次試験で集団討論と論文が同じ日にまとめて行われ、別の機会に個別面接が置かれます。市の現状を自分の言葉で扱えるかどうかが、討論でも論文でも面接でも試されます。

ここに並べた事実を材料に、自分の強みや関心と吉野川市政の接点を考え、回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

吉野川市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは吉野川市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 徳島県の北部、吉野川の流域に位置する市。人口は36,891人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)、面積は144.14km²で、人口密度は約256人/km²。
  • 市域は美馬市、阿波市、上板町、神山町、石井町と接する。海には面していない内陸の市である。
  • 高齢化率は39.5%と県全体の34.9%を4.6ポイント上回り、75歳以上の割合も23.1%と県の20.3%より高い。
  • 市名の由来となった吉野川は「四国三郎」と呼ばれる日本を代表する暴れ川で、幹川流路延長194km、流域面積3,750km²は四国のおよそ20%にあたる。
  • 吉野川の計画高水流量は毎秒24,000tで全国最大規模。流域内には約64万人が暮らしている。
  • 市内の川島町と阿波市市場町にまたがる善入寺島は、日本最大の川の中の無人島。明治40年に始まった吉野川の改修事業で全島が買収され、遊水地とされた。
  • 県が公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、津波による死者は見込まれていない。一方、内陸直下型の中央構造線・活断層地震では吉野川以北の被害が大きいとされている。
  • 市の花はキク、市の木はオンツツジ。市役所は吉野川市鴨島町鴨島に置かれている。

吉野川市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「吉野川市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

集団討論でも論文でも、根拠として持ち出せる数字は多くありません。使えるものを先に押さえておきましょう。

項目内容
総人口36,891人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口14,570人(39.5%、県34.9%)
75歳以上人口8,509人(23.1%、県20.3%)
総面積144.14km²(徳島県4,147.00km²の約3.5%)
人口密度約256人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
接する市町村美馬市、阿波市、上板町、神山町、石井町
市役所所在地吉野川市鴨島町鴨島115番地1
市の花・市の木キク・オンツツジ

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値で、市と県を同じ系列でそろえています。国勢調査や人口推計を基礎とする数値とは調査の基準が異なるため、それらと並べて増減を比べることはできません。人口密度は同じ住民基本台帳人口を面積で割った概数です。面積・所在地・接する市町村・市の花と木は、当研究会が整理した基礎データによります。

数字から考えられる市政課題

吉野川市の高齢化率39.5%は、県全体を4.6ポイント上回ります。10人に4人が65歳以上、4人に1人近くが75歳以上という構成です(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。

この数字が意味するのは、福祉の需要が大きいということだけではありません。地域の行事や消防団、見守りの担い手も同じ層から出ているということです。

担い手不足は、行政サービスの話であると同時に、地域の自治の話でもあります。

もうひとつ押さえたいのが、内陸の市だという点です。津波の心配がない代わりに、川と山が近い。

市の名前がそのまま日本有数の大河の名前であることは、この土地の成り立ちを言い当てています。面接で市の姿を語るなら、次のような入り方ができます。

「吉野川市は3万7千人ほどの市で、高齢化率は4割近くと県全体より高いと聞きました。海に面していないので津波の心配はありませんが、その分、川と山にどう向き合うかが大きい市だと思います。地域を支えている方々自身が高齢になっている中で、行政がどこまで手を入れるかを考える必要があると感じています」

吉野川市の経済・産業

川がつくった土地

吉野川は高知県を水源とし、大歩危・小歩危の峡谷を刻みながら東へ流れて徳島平野を形づくってきました。計画高水流量が毎秒24,000tという全国最大規模の川で、流域面積3,750km²は四国のおよそ20%、流域内人口は約64万人にのぼります。

明治40年に国による本格的な治水事業が始まり、昭和2年に現在の堤防がほぼ形づくられました。市内の川島町と阿波市市場町にまたがる善入寺島は、その第1期改修事業で全島が買収され遊水地とされた場所で、それ以前は約500戸・約3,000人が暮らしていました。

現在は堤防のない農地として使われ、潜水橋で対岸と結ばれています。(出典:吉野川の概要(徳島河川国道事務所)/善入寺島)

治水のために島から人が退いたという歴史は、この地域の産業と暮らしが川の条件の上に組み立てられてきたことを示しています。農地の使い方も、住宅地の位置も、道路の通し方も、川と切り離しては決められません。

県経済の枠組みと市の位置

県全体では、令和4年度の県内総生産が名目3兆2,658億円(対前年度比2.6%減)、県民所得は2兆2,309億円(同3.0%減)、1人当たり県民所得は317万円(同1.9%減)です。

県は医薬品・LED・リチウムイオン電池の大きな工場が立地する「LED王国」を自認し、機械製品の製造業に加えて家具や仏壇などの木工業を代表的な地場産業に挙げています。

農業では、吉野川沿いの平野を中心になると金時やすだちの生産が盛んとされており、この「吉野川沿いの平野」の一角が吉野川市です。(出典:徳島県の県民経済計算|令和4年度/徳島県の産業紹介(工業))

東西を貫く動線

吉野川沿いを東西に走る四国縦貫自動車道は県内88.8kmで、平成12年3月に全区間が開通しました。県都の徳島市と県西部を結ぶこの軸の途中に、吉野川市は位置しています。

一方、県内の国県道の改良率は65.4%、舗装率は57.5%と全国的に低い水準にとどまり、急峻な山地と河川の橋梁費用が理由とされています。幹線は通っていても、そこから先の道は別の話という条件は、地域交通を語るときの前提になります。(参考:徳島県の道路整備の現状)

吉野川市の主な行政課題

ここまでの条件から、市が向き合っている宿題を4つに整理します。第2次試験の論文や集団討論で扱う題材を考えるときにも使えます。

県を大きく上回る高齢化と、担い手の重なり

徳島県の推計人口は令和8年6月1日現在で669,003人、前月から626人減と、毎月数百人単位の減少が続いています。県の総合計画はこの状況を「静かなる有事」と呼びました。

吉野川市の高齢化率39.5%は、同じ系列の県平均34.9%より4.6ポイント高く(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)、県の課題がより濃い形で現れる地域だといえます。

介護や医療の需要が増える一方で、支える側の人手も同じ地域から出さなければならない。この重なりをどう解くかが、市政の中心的な問いです。(参考:徳島県の推計人口|令和8年6月1日現在)

津波ではなく、揺れと川に備える

県が令和8年2月4日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定で、吉野川市の死者は冬・深夜の最大ケースで80人、津波による死者は見込まれていません。建物の全壊・焼失は冬・夕のケースで1,300棟です。

県全体では死者21,700人・全壊焼失81,100棟という想定ですから、この市の地震被害は津波ではなく揺れによって決まることになります。海のない市の防災は、耐震化と初期火災、そして避難所の運営に力点が移ります。(出典:南海トラフ巨大地震・被害想定|令和8年)

中央構造線という、もうひとつの想定

徳島県には南海トラフとは別に、讃岐山脈の南縁を走る中央構造線活断層帯があります。県が平成29年7月に公表した被害想定では、最悪ケースで死者3,440人・全壊63,700棟、停電率87%、断水率75%、被災1週間後の避難者は25万人を超えるとされ、規模は南海トラフに匹敵します。

被害が大きいのは吉野川以北の地域で、県は建物の耐震化により死者数を約9割減らせるとしています。吉野川の流域に暮らす以上、この想定は南海トラフと同じ重みで扱う必要があります。(参考:中央構造線・活断層地震の被害想定(徳島県))

川と暮らす条件をどう更新するか

吉野川は日本を代表する暴れ川であり、市の土地の成り立ちそのものです。堤防が現在の形になったのは昭和2年で、その前提のうえに住宅も農地も配置されてきました。

人口が減り、高齢化が進む中で、これまでどおりの範囲を同じやり方で守り続けられるとは限りません。

川の条件は変わらないが、守る側の体力は変わる。この非対称を意識できているかどうかが、防災の質問での差になります。

吉野川市の重点政策|採用区分に表れる人の配り方と県の計画

市がどこに人を配ろうとしているかは、採用の区分立てによく表れます。令和8年度の吉野川市は、上級行政3人程度、初級行政1人程度に加えて、情報技術、上級土木、上級建築、学芸員(埋蔵文化財)、保健師、保育教諭4人程度、運転手(技能労務職)を募集しています。

学芸員の職務内容は「文化財の保存活用や埋蔵文化財の発掘調査等に関する事務及び一般行政事務に従事します。」とされており、この規模の市が専門の枠を立てているという事実自体が、文化財に人を割く姿勢を示しています。

もうひとつ目を引くのが上級行政(チャレンジ枠)です。市はこの枠を「挑戦する意欲や能力を市政に発揮することができる人」を対象とすると明記し、受験資格をスポーツや文化芸術等の分野で高校在学時から全国規模以上の大会やコンクール等に顕著な実績を持つ人としています。

志願者には「実績・成果申告書」の提出が求められます。市が公表している人物像に関する言葉は、現時点ではこの一文です。

総合計画をはじめとする市の計画は年度ごとに見直されます。志望分野に関わるものは、吉野川市の公式サイトで現在有効な版を開き、掲げられている目標と足元の数字の差を自分の目で確かめてください。

県の計画が置いている前提

吉野川市の施策は、県全体の方向とも重なります。県レベルの計画としては「徳島新未来創生総合計画」があります。

令和6年3月に策定され令和7年3月に改訂、対象期間は令和6年度からの5年間です。ビジョンとして「未来に引き継げる徳島」の実現が掲げられ、安心度・魅力度・透明度を高める3つのミッションのもとに、17の戦略と75の戦術、93のKPIが配置されています。

現状認識に並ぶのは、労働力不足や過疎化の進行と、自然災害の頻発化・激甚化です。(出典:徳島新未来創生総合計画)

POINT|計画の項目名より、市の困りごとを追う

関心のある分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市や県はどんな状態を目指すか → ③今どんな事業が動いているか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう生かすか」の順で調べていくと、論文でも討論でも使える形になります。

悪い例「吉野川市の地域振興に携わりたいです」

改善例「高齢化率が4割近いということは、地域の行事を支えている方々も高齢になっているということだと思います。担い手を増やすより先に、いまの行事をどこまで続けるかを住民の方と一緒に決めていく仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

全部を読む必要はありません。志望分野に近いものから開き、800字の論文に使える形まで自分の言葉で縮めておいてください。

  • 吉野川市職員採用試験の試験案内(最新年度)と受験する方式の説明
  • 吉野川市の総合計画・個別計画のうち、志望分野に関係するもの
  • 吉野川市の文化財や埋蔵文化財に関する公表資料
  • 徳島県の南海トラフ巨大地震被害想定と中央構造線・活断層地震の被害想定
  • 徳島新未来創生総合計画(概要版)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、吉野川市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。吉野川市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

吉野川市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

吉野川市役所の面接の概要

ここからは、吉野川市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公表資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

吉野川市役所の面接の流れ

令和8年度の吉野川市は、上級行政にA方式・B方式・C方式という3つの入口を用意しています。案内は違いを明快に書いており、「上級行政の『A方式』は、公務員試験対策が必要な試験内容です。『B方式』と『C方式』は公務員試験対策が不要な試験内容ですが、『B方式』は集合方式、『C方式』はテストセンター方式の違いがあります。」とされています。

どの方式を選んでも、第2次試験から先は同じ土俵です。第1次で何を課されたかにかかわらず、討論と論文と面接で評価されます。

項目内容(令和8年度・上級行政)
第1次試験(A方式)教養試験(2時間)と専門試験(憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係/2時間)。吉野川市役所本館での集合方式です
第1次試験(B方式)基礎能力検査(SCOA-A/60分)。集合方式で吉野川市役所本館にて実施されます
第1次試験(C方式)基礎能力検査(SCOA-A/60分)。テストセンター方式で、全国の会場から予約して受験します
第2次試験(前半)口述試験(集団討論)、論文試験、性格診断検査。吉野川市役所東館で実施されます
第2次試験(後半)口述試験(個別面接)。吉野川市役所本館で、前半とは別に実施されます
集団討論試験当日に提示されるテーマについて40分程度行います。初級行政と運転手(技能労務職)では実施されません
論文試験試験当日に提示されるテーマ(課題)について、課題解決策を800字程度にまとめて提案します(60分)
個別面接主として人柄、性格等をみるため、15分程度行われます
提出書類試験案内に面接カード・エントリーシートの記載はありません。明示されているのは上級行政(チャレンジ枠)の「実績・成果申告書」です

準備の観点から重要なのは二点あります。ひとつは、集団討論も論文も、テーマが当日に提示されるということ。

事前に文章を用意しておく余地はなく、その場で考えを組み立てる力が問われます。だからこそ、材料を頭に入れておく作業が効いてきます。

もうひとつは、個別面接が15分程度と短いこと。長く語る場ではないため、一つの質問に対して結論から入り、必要な部分だけを具体で埋める練習が要ります。

上記の試験構成は、吉野川市が公表した令和8年度の試験案内にもとづく上級行政のものです。配点(得点配分)は同案内には記載されていません。この試験で申し込めるのは1つの試験区分のみで、申込後の区分変更はできないとされています。また最終合格者は試験区分ごとの採用候補者名簿(有効期間1年間)に登載され、その中から採用予定者が決まる仕組みです。受験の際は、ご自身が申し込む区分と方式の最新の試験案内をご確認ください。

吉野川市役所が求める人物像

吉野川市の令和8年度の試験案内には、全区分に共通する体系化された「求める人物像」の記載がありません。公表されているのは、上級行政(チャレンジ枠)の対象として掲げられた「挑戦する意欲や能力を市政に発揮することができる人」という一文です。

特定の枠に向けた言葉ではありますが、市が「挑戦」という語をわざわざ採用の場に置いたことは、読み取る価値があります。

ここから先は当研究会の見立てです。上級行政の採用予定は3人程度で、この人数が人口3万7千人規模の市の一般行政事務を担っていきます。

分野ごとに人を張る余裕は大きくなく、一人が複数の仕事を持ち回ることになるはずです。高齢化率が4割に近い市では、窓口や地域の会合で向き合う相手もまた高齢であることが多くなります。

制度の説明を一度で終わらせず、相手の受け取り方に合わせて言い直せるかどうかが、日々の仕事の質を左右します。市が第2次試験に当日提示の集団討論と論文を置いているのは、用意してきた原稿ではなく、その場の相手と課題に合わせて考えを組み立てられるかを見ようとしているためだとも読めます。

材料をどこまで絞れるかも、この市では実務的な問題になります。個別面接は15分程度で、用意したものを全部並べる余裕はありません。

高齢化率が県平均を4.6ポイント上回ること、津波ではなく揺れと川に備える市であること、市名の由来である吉野川が全国最大規模の計画高水流量を持つこと。この中から一つを選び、なぜ自分がそこに引かれたのかまで言えるようにしておけば、15分でも十分に届きます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。吉野川市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷いませんでしたか?15分という短い面接の入口。硬さを引きずらずに本題へ移れるかどうか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間との違いをどう捉えているか。A方式かB・C方式かという選択とも筋が通っているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分の傾向を言葉にできるか。集団討論での立ち回りと矛盾しない自己像か
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください出来事の大きさではなく、その場面で何を考えどう動いたか。少人数で回す職場での働き方の裏づけ
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマを簡単に説明してください要点を絞って伝える力。800字の論文と40分の討論の両方に効く
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?3人程度の採用で幅広い分野を回る前提を、どこまで具体的に想像できているか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?ニュースの選び方に自分の関心が出ているか。高齢化率4割近い市の話に落とせるか

この7つは、吉野川市が個別面接で見るとしている「人柄、性格等」を確かめるための土台にあたります。ただし個別面接は15分程度で、集団討論と論文はテーマが当日に提示されます。

事前に仕込んでおけるのは、7カテゴリーの答えと、市について自分が持っている材料だけです。後者を作るのが、次の質問になります。

合否を分けるのは「吉野川市役所ならでは」の質問

「なぜ徳島県庁ではなく、吉野川市役所なのですか?」
「吉野川市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問は、当日提示の集団討論や論文とは性質が違い、事前に材料を持っているかどうかで結果が決まります。当日の受け答えの巧みさでは補えない差が出るのは、この質問群のほうです。事前に仕込んでおける材料を、答え方の目安とともに並べます。

質問テーマ知っておきたい吉野川市の事実答え方のヒント
市の規模人口36,891人、高齢化率39.5%、75歳以上23.1%。面積144.14km²、人口密度は約256人/km²(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)高齢化を課題として挙げるだけでなく、地域を支える側も同じ年代であるという重なりまで踏み込みます
なぜ県庁ではなく市役所か上級行政の職務内容は「一般行政事務に従事します。」で、採用予定は3人程度。分野を限定しない配属が前提制度上の役割分担ではなく、少ない人数で幅広く関わる働き方に自分が向いている理由を、経験から述べます
市の名前と川吉野川は幹川流路延長194km、流域面積3,750km²で四国の約20%。計画高水流量は毎秒24,000tと全国最大規模川を観光資源としてだけ語らず、治水という行政の仕事と土地の成り立ちを結んで話すと厚みが出ます
防災南海トラフ巨大地震の被害想定では津波による死者が見込まれず、死者80人(冬・深夜の最大ケース)。一方、中央構造線・活断層地震は県全体で死者3,440人・全壊63,700棟津波がないことを安心材料にせず、揺れと火災、そして避難所運営に力点が移るという整理を示します
文化財と歴史市内の川島町と阿波市市場町にまたがる善入寺島は日本最大の川の中の無人島。市は学芸員(埋蔵文化財)の採用区分を設けている歴史の紹介で終わらせず、市が専門職を置いてまで守ろうとしているものは何か、という視点で語ります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

吉野川市は全区分に共通する人物像を公表していないため、選考の設計に照らして観点を読み取ります。個別面接が「主として人柄、性格等をみるため」と定義されている以上、確かめられているのは答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性だと考えるのが順当な読みでしょう。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
その場で考えを組み立てる力第2次試験の集団討論。当日提示されるテーマについて40分程度議論する市や県の課題を5つほど頭に入れ、どのテーマが来ても引き寄せられる材料を持っておく
課題解決の提案力第2次試験の論文試験。当日提示される課題に対し、解決策を800字程度で提案する(60分)800字の型を先に決める。現状・原因・打ち手・効果の4段で書く練習を、時間を計って繰り返す
短時間で人柄を伝える力第2次試験後半の個別面接。15分程度という限られた時間で行われる結論を先に置き、続けて具体例を一つ添える形に統一する。長い前置きを削る訓練をする
挑戦の実績(チャレンジ枠)上級行政(チャレンジ枠)は「挑戦する意欲や能力を市政に発揮することができる人」を対象とし、志願者は「実績・成果申告書」を提出するこの枠で受けるなら、申告書に書いた実績について、何を目指し、どこでつまずき、どう立て直したかまで語れるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

吉野川市の個別面接は15分程度と短いぶん、一つの話題を掘る密度は上がると考えられます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する試験区分と方式を決める(上級行政ならA方式は公務員試験対策が必要、B方式とC方式は不要と案内に明記されている。申込は1区分のみで変更できない)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る。個別面接が15分程度なので、答えは短くまとめる
  4. この記事の前半を読み返し、志望分野に近い吉野川市の事実を2〜3個、自分の言葉で言えるようにする
  5. 800字の論文を、時間を計って書く練習を重ねる。テーマは当日提示なので、書き方の型を体に入れておく
  6. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、掘られたときの返しを書き足していく

優先順位に注意

ステップ4の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ5の論文の型づくりを先に進めてください。吉野川市では集団討論も論文もテーマが当日に提示されるため、書き方と話し方の型が固まっているかどうかが、そのまま出来を左右します。自分のことを語る準備がないまま市の情報だけを増やしても、評価には結びつきません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、吉野川市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

吉野川市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

吉野川市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の吉野川市は、上級行政に3つの入口を用意したうえで、第2次試験では当日提示のテーマで40分の集団討論と800字の論文を課し、別の日に15分の個別面接を置きます。準備しておけるのは、その場で使う中身だけです。

高齢化率が県平均を4.6ポイント上回り、津波ではなく揺れと川に備えるこの市で、あなたが取り組みたい仕事は何か。

討論の輪の中でも、原稿用紙の上でも、15分の面接でも、同じ答えが出てくるところまで詰めておいてください。