本記事では、徳島市職員採用試験の面接対策で必要な、徳島市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度後期募集分Ⅰの試験要綱をもとに、上級行政事務を軸として整理し、他の試験区分との違いも併記します。
徳島市役所の面接試験では、「なぜ徳島市を志望したのか」、「市職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県庁所在地でありながら制度上は一般市であるという徳島市の立ち位置まで踏まえて話せると、どの市にも当てはまる回答から一歩抜け出せます。
掲載内容を手元の材料として、自分の強みや関心と徳島市政の接点を考え、回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
徳島市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは徳島市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 徳島県の県庁所在地であり、県民のおよそ3人に1人が暮らす県内最大の市。人口は242,618人で、県全体の691,229人の約35%を占める(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)。
- 大都市制度の上では「一般市」にあたる。市の説明によれば、東京都を除く46の道府県庁所在都市のうち一般市は佐賀市・津市・山口市・徳島市の4市のみで、残りは政令指定都市15市と中核市27市である。
- 市は中核市に移行しておらず、中核市への将来的な移行を目指して調査・研究等を行う段階にあると説明している。
- 面積は191.52km²で県土4,147.00km²の約4.6%。人口密度は約1,267人/km²と、県全体の平均(約167人/km²)の7倍を超える。
- 吉野川が河口へと注ぐ徳島平野に位置し、市域は1市6町1村と接する(小松島市、勝浦町、松茂町、北島町、藍住町、石井町、神山町、佐那河内村)。
- 北隣の板野郡3町は高齢化率が26〜27%台と県内でも若く、西と南で接する山あいの町村は47〜51%台。性格の異なる地域が一つの生活圏に同居している。
- 県が令和8年2月に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、徳島市の建物全壊・焼失は27,400棟(冬・夕のケース)と、市町村別に示された数値の中で最も多い。
- 市の花はサクラ、市の木はホルトノキ。市役所は徳島市幸町2丁目に置かれている。
徳島市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「徳島市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模と年齢構成、市域の広さ、周辺自治体との関係など、市政の性質を説明するときに手が届く項目を並べました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 242,618人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 74,539人(30.7%、県34.9%) |
| 75歳以上人口 | 43,334人(17.9%、県20.3%) |
| 総面積 | 191.52km²(徳島県4,147.00km²の約4.6%) |
| 人口密度 | 約1,267人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 接する市町村 | 小松島市、勝浦町、松茂町、北島町、藍住町、石井町、神山町、佐那河内村 |
| 市役所所在地 | 徳島市幸町2丁目5番地 |
| 市の花・市の木 | サクラ・ホルトノキ |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値で、市と県を同じ系列でそろえています。国勢調査や人口推計を基礎とする数値とは調査の基準が異なるため、直接の比較はできません。面積・所在地・接する市町村・市の花と木は、当研究会が整理した基礎データによります。人口密度は住民基本台帳人口と面積から算出しました。
数字から考えられる市政課題
同じ住民基本台帳の系列で並べると、徳島市の高齢化率30.7%は県平均を4ポイント余り下回り、県内では若い部類に入ります。県全体では総務省統計局の人口推計(令和6年10月1日現在)で高齢化率35.8%・全国3位とされており、こちらは基準の異なる別系列の数値ですが、いずれで見ても「県の中では都市部が支えている」構図は変わりません。(参考:高齢化の状況|令和6年)
ただし、若いといっても75歳以上が43,334人で人口の17.9%を占めます。65歳以上のうち6割近くが75歳以上という内訳で、介護や医療、見守りの必要が濃くなる層がすでに厚い。
しかも徳島市の外に目を向けると、北の藍住町・北島町・松茂町は高齢化率が26%台から27%台、西の神山町は51.8%、南の佐那河内村は48.6%と、ひとつの通勤圏の中で人口構成がまるで違います。
窓口に来る人の暮らしぶりを一色で思い描けない、というのが徳島市役所の仕事の前提です。面接でこの構図に触れるなら、次のような言い方が自然でしょう。
徳島市の経済・産業
県経済の中の徳島市
徳島市を単位とする市民経済計算にあたる統計を、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。そこで、まずは県全体の経済規模を押さえたうえで、その中で徳島市が担っている役割を読み取る形で整理します。
- 令和4年度の徳島県の県内総生産は名目で3兆2,658億円(対前年度比2.6%減)。
- 県民所得は2兆2,309億円(同3.0%減)、1人当たり県民所得は317万円(同1.9%減)。
- 県は「世界一のLED製造会社」がある「LED王国」と自らを位置づけており、医薬品・LED・リチウムイオン電池の大きな工場が立地する。
- 機械製品の製造業に加え、家具・仏壇などの木工業が代表的な地場産業。農業では吉野川沿いの平野でなると金時やすだちの生産が盛ん。
つまり県経済は、縮小しつつある総額の中に、特定分野の強い製造業が飛び地のように立っている構造です。
徳島市はその生産の現場そのものというより、県庁が置かれ、周辺市町の働き手や買い物客を受け止める場所として機能しています。産業振興を語るときは、工場の数を競う話ではなく、市が事業者と人をどうつなぐかという役割に引き寄せると、徳島市の職員としての目線になります。(出典:徳島県の県民経済計算|令和4年度/徳島県の産業紹介(工業))
人と物を集める交通の結び目
徳島市は、吉野川沿いを東西に走る四国縦貫自動車道(県内88.8km)と、県東部を南北に走る四国横断自動車道(県内約49km)、そして近畿圏と結ぶ神戸淡路鳴門自動車道(89.0km)が集まる位置にあります。空の玄関である徳島阿波おどり空港は隣の松茂町にあり、市はその利用圏の中心です。
一方で県内の道路全体を見ると、国県道の改良率は65.4%、舗装率は57.5%と全国的に低い水準にとどまります。急峻な山地と河川の橋梁費用が理由とされており、都市部の便利さと中山間地域の不便さが同じ県の中で隣り合っています。(参考:徳島県の道路整備の現状)
観光と文化の受け皿
県がまとめた観光の統計によれば、県全体の延べ宿泊者数は令和6年(2024年)に全国46位(速報値)ながら歴代2番目の水準まで戻り、外国人の延べ宿泊者数は過去最多となりました。過去最多だったのは平成26年(2014年)の287万人です。
加えて、県が旧徳島市立文化センター跡地等(計画地全体19,004㎡)で整備を進める徳島文化芸術ホール(仮称)は、実施設計概要版(令和6年4月)で延床面積16,223㎡、大ホール1,804席、小ホール307席とされています。
市域の中で県の大型施設が動くとき、周辺の交通やにぎわいをどう受け止めるかは市の仕事です。観光を語るなら、名所を挙げるのではなく、来た人をどう市内に滞在させるかまで踏み込みましょう。
徳島市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、徳島市が今向き合っている課題が見えてきます。次の5つは、課題を問う質問が来たときに真っ先に出せるよう、頭に入れておきましょう。
県全体の人口減少と、市が引き受ける役割
徳島県の推計人口は令和8年6月1日現在で669,003人。前月から626人、前々月から748人と、毎月数百人単位で減り続けています。
県の総合計画は、人口減少に伴う労働力不足や過疎化の進行を「静かなる有事」と表現しました。県内で最も人口が多く、進学や就職で人が集まる徳島市は、県外への流出をどこで食い止めるかという議論の中心に置かれます。
若い世代の定着、住まい、子育て、働く場をひとつながりで考える視点が要ります。(参考:徳島県の推計人口|令和8年6月1日現在)
南海トラフ巨大地震と津波への備え
県が令和8年2月4日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、徳島市の死者は冬・深夜の最大ケースで5,200人、うち津波によるものが3,900人とされました。建物の全壊・焼失は冬・夕のケースで27,400棟です。
県全体では死者21,700人・全壊焼失81,100棟という想定で、市の数字はいずれも県内で大きな部分を占めます。津波の到達時間は、県南部の海部郡で26分から31分の地点が多いのに対し、鳴門・徳島・小松島の方面は40分から70分台とされています。
猶予がある分、避難できる人を確実に動かせるかどうかが分かれ目になるという読み方ができます。
県は、住宅の耐震化率を100%にすれば死者を約3割、早期避難率も100%にすればおよそ9割減らせると試算していますが、現状は耐震化率86%(令和5年時点)、早期避難率33%です。(出典:南海トラフ巨大地震・被害想定|令和8年)
吉野川と向き合う治水と水利用
徳島市が開けた徳島平野は、吉野川が運んだ土砂の上にあります。吉野川は「四国三郎」と呼ばれる日本を代表する暴れ川で、幹川流路延長194km、流域面積3,750km²は四国のおよそ20%、流域内人口は約64万人。
計画高水流量は毎秒24,000tと全国最大規模です。一方、水は足りなくなることもあります。
平成6年の列島渇水では吉野川水系で139日間の取水制限が行われ、県の渇水対策本部は104日間設置されました。このとき影響を受けた水道事業体として、国の記録に徳島市が明記されています。
洪水と渇水の両方を同じ川で抱えているのが、この地域の水の課題です。(参考:吉野川の概要|徳島河川国道事務所)
内陸直下型地震という第二の想定
徳島県には南海トラフとは別に、讃岐山脈の南縁を走る中央構造線活断層帯があります。県が平成29年7月に公表した被害想定では、最悪ケースで死者3,440人・全壊63,700棟、停電率87%、断水率75%、発災1週間後の避難者は25万人を超えるとされ、規模は南海トラフに匹敵します。
被害が大きいのは吉野川以北の地域ですが、県都の機能が止まれば復旧の指揮も物資の流れも滞ります。想定される地震が一つではないことは、防災を語るときに押さえておきたい前提です。
一般市のまま、県内最大の都市機能を担う
徳島市は県内最大の都市でありながら、保健所の設置などを伴う中核市には移行していません。県庁所在地で一般市にとどまるのは全国で4市だけという環境で、県と市の役割分担は日々の実務に直結します。
市は中核市への将来的な移行を目指して調査・研究等を行う段階にあると説明しており、権限をどこまで引き受けるかという検討は今も進行中です。この論点は、市役所志望者への定番質問「なぜ県庁ではなく市役所なのか」と正面からつながります。(出典:道府県庁が所在する都市の状況(徳島市))
徳島市の重点政策|中核市への移行検討と県の計画
徳島市が公表している市政の方向を、面接で使える形に整理します。市の説明で最も具体的に語られているのが、中核市への移行をめぐる検討です。
市は中核市への将来的な移行を目指し、調査・研究等を行うという立場を示しています。制度の背景としては、平成27年4月1日に特例市制度が中核市の指定要件を引き下げる形で中核市制度へ統合され、当時の特例市は「施行時特例市」として令和2年3月31日まで人口20万人未満でも中核市の指定を受けられる経過措置が設けられていました。(出典:中核市について(徳島市))
総合計画をはじめとする市の個別計画は年度によって改定されます。志望動機に関わる分野については、市の公式サイトで現在有効な版を開き、章立てと目標のところだけでも自分の目で確かめておきましょう。
県の計画が示す前提
徳島市の施策は、県全体の方向とも重なります。県が持つ最上位の計画が「徳島新未来創生総合計画」です。
令和6年3月に策定され、令和7年3月に改訂されました。対象は令和6年度からの5か年。
掲げられたビジョンは「未来に引き継げる徳島」の実現で、その下に安心度・魅力度・透明度をそれぞれ引き上げる3つのミッションが置かれ、17の戦略、75の戦術、93のKPIへと具体化されています。(出典:徳島新未来創生総合計画)
同計画は、人口減少に伴う労働力不足や過疎化の進行を「静かなる有事」と呼び、今後10年を地方の正念場と位置づけました。県の言葉として押さえておくと、県と市の関係を問われたときに、両者が同じ課題を別の距離から見ていることを説明できます。
POINT|計画の名前を覚えるのが目的ではない
関心のある分野を一つか二つ選び、その分野で何が起きているのか、市と県はどこを目指しているのか、いま動いている事業は何か、そこで市が担う部分はどこかという順にたどってみてください。最後に自分の経験の置きどころまで考えれば、面接で持ち出せる話になります。
悪い例「徳島市の防災に携わりたいです」
改善例「津波が届くまでに40分から70分あるという想定を読んで、その時間を使い切れるかどうかが分かれ目だと思いました。避難訓練の参加者を増やしたり、避難経路をわかりやすく示したりする仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
数が多いので、志望する分野に近いものから順に開いてください。読んだ内容は、面接で一言で言い直せるところまで縮めておくと使えます。
- 徳島市職員採用試験の試験要綱(最新の募集分)と職員採用のページ
- 徳島市の総合計画・個別計画のうち、志望分野に関係するもの
- 徳島市の中核市に関する説明ページ
- 徳島県の南海トラフ巨大地震被害想定(市町村別の資料を含む)
- 徳島新未来創生総合計画(概要版)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、徳島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。徳島市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
徳島市役所の面接の概要
ここからは、徳島市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公表資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
徳島市役所の面接の流れ
徳島市の採用試験は令和8年度から大きく変わりました。市の説明によれば、前期分および後期分は3次試験制(初級職・技能職は2次試験制)、通年実施分は1次試験制です。
ここでは後期募集分Ⅰの上級行政事務を軸に見ていきます。まず押さえたいのは、最終合格を決める得点配分が第二次試験:第三次試験=1:3と要綱に明記されている点です(初級行政事務A・Bを除く)。
最後の個別面接が、その前の段階の3倍の重みを持つ設計になっています。
| 項目 | 内容(令和8年度後期募集分Ⅰ・上級行政事務) |
|---|---|
| 試験の段階 | 3次試験制。第一次試験 → 第二次試験 → 第三次試験と段階ごとに絞り込みます(初級職・技能職は2次試験制、通年実施分は1次試験制) |
| 第一次試験 | 基礎能力検査(SCOA)と録画動画面接。得点配分は1:1。録画動画面接は受付期間中にWebで提出、SCOAはテストセンター方式 |
| 第二次試験 | グループワーク試験とロールプレイング試験。得点配分は1:1 |
| 第三次試験 | 個別面接 |
| 集団形式 | 要綱に集団討論の記載はなく、集団で行う人物試験はグループワーク試験とロールプレイング試験として実施されます |
| 最終合格の配点 | 第二次試験:第三次試験=1:3(初級行政事務A・Bを除く) |
| 基礎能力検査の内容 | 一般知識(常識および英語)と一般知能(言語、数理および論理)の択一式。上級行政事務は大学卒業程度、初級行政事務A・Bは高等学校卒業程度 |
| 適性検査 | 第一次試験で実施しますが、試験の参考として行うもので得点化はされません |
| 提出書類 | 要綱に面接カード・エントリーシートの記載はありません。上級行政事務(職務経験者)は令和8年度から第一次試験のエントリーシート審査が廃止されました |
| 採用予定人員 | 上級行政事務8人程度、上級行政事務(職務経験者)6人程度ほか(後期募集分Ⅰ) |
この設計から読み取れることが二つあります。ひとつは、要綱に「各試験科目で一定の基準に達しない場合は、他の成績に関わらず不合格となります」と書かれていること。どこかで大きく崩れれば、他が良くても通りません。
もうひとつは、人物を見る場面が録画動画面接、グループワーク試験、ロールプレイング試験、個別面接と4種類あり、それぞれ求められる振る舞いが違うことです。録画では一人で話し切る力、グループワークでは他者の意見を受けて進める力、ロールプレイングでは相手の立場に応じて言葉を選ぶ力が問われます。
初級行政事務Aは第二次試験が最終で、グループワーク試験:ロールプレイング試験:個別面接=1:1:6という配分です。
この二つは、準備の順番を決めるときに噛み合わせて考える必要があります。第三次試験に3の重みがあると聞けば、そこへ時間を寄せたくなります。
けれども要綱が最終合格の得点配分として挙げているのは第二次試験と第三次試験の両方で、グループワークとロールプレイングの結果も4分の1として最後まで残ります。そのうえ各試験科目には一定の基準が置かれているため、配分が軽いほうの種目で崩れれば、そもそも第三次試験にたどり着けません。
第二次試験は苦手をなくす方向で、第三次試験は掘られても崩れない題材を用意する方向でと、種目ごとに準備の目的を分けておくと、時間の配り方に迷いが減ります。初級行政事務Aの1:1:6も読み方は同じで、個別面接が8のうち6を占める一方、残る2の側で基準に届かなければ意味がありません。
日程の扱いも段階によって違います。第一次試験の録画動画面接は受付期間中にWebで提出する形で、いつ撮っていつ出すかは自分で決められます。基礎能力検査(SCOA)と適性検査もテストセンター方式です。
これに対して第二次試験と第三次試験は徳島市が指定する日時に行われ、要綱は「個別の事情による日程変更には応じられません」としています。
併願を考えているなら、動かせない第二次・第三次の指定日を先に手帳へ入れ、自分の裁量で動かせる録画とテストセンターを、その隙間へ前倒しで置いていくのが安全です。
上記の試験構成は、徳島市が公表した令和8年度後期募集分Ⅰの試験要綱にもとづく上級行政事務のものです。試験の構成・配点・実施方法は、募集の回次や試験区分によって異なります。受験の際は、必ずご自身が申し込む区分の最新の試験要綱をご確認ください。
徳島市役所が求める人物像
徳島市の職員採用のページと令和8年度の試験要綱の本文には、体系化された「求める人物像」にあたる記載がありません。採用試験の変更を知らせるページに掲げられているのは、「徳島市の未来を創る、意欲ある仲間をお待ちしています」という呼びかけの言葉です。
したがって、評価の軸は公表文言そのものではなく、市の置かれた環境と試験の組み立て方から読み取ることになります。
ここからは当研究会の見解として書きます。徳島市は、県人口の約35%が集中する県内最大の市でありながら制度上は一般市で、保健所の設置などを伴う権限は県が持っています。
つまり市職員の仕事は、市の中で完結するものより、県や隣接する1市6町1村、事業者や地域の団体と話をつなぎながら進めるものが多くなります。要綱が示す上級行政事務の職務内容も、戸籍・住民登録や市税の賦課徴収、生活保護のケースワークといった市民生活に密着した業務から、施策の企画立案、庶務や予算・経理まで幅があります。
こうした環境では、目の前の相手の事情をつかむ力と、それを制度や予算の枠に収まる形にまとめ直す力の両方が求められやすいと考えられます。試験がグループワークとロールプレイングを重ねて課しているのも、この二つを別々の場面で見ようとしているためだと読めます。
大切なのは、この環境に合わせて自分を作り変えることではありません。
すでに持っている経験の中から、人の話を引き出した場面や、無理な要望をどう着地させたかという場面を選び直し、市役所の仕事の言葉で語れるようにしておくことです。録画動画面接から個別面接まで、同じ人物として一貫していれば十分です。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。徳島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどのように来られましたか? | 録画動画面接を通過した人物と、目の前の人物が地続きかどうか。構えの外れた一言の温度 |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間でもできる説明で止まっていないか。徳島市の窓口業務や企画の仕事と、自分の関心がどうつながるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。グループワークで自分がどう振る舞う型かを言えるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさではなく、その場面で何を考えどう動いたか。ロールプレイング試験で見る対応力の裏づけ |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマを簡単に説明してください | 専門外の相手に届く言葉へ置き換える力。基礎能力検査では測れない説明の順序 |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 戸籍・住民登録から企画立案まで幅のある職務への理解。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 世の中の出来事を自分なりに噛み砕けているか。県都の暮らしに引き寄せて短く言えるか |
この7つは、徳島市の要綱が「主として人物についての試験」と定義する範囲とおおむね重なります。ただし徳島市では、同じ人物を録画動画面接・グループワーク・ロールプレイング・個別面接の4場面で見ます。
7カテゴリーの答えを一通り用意しても、形式が変わるたびに同じ芯が出てくるかどうかまでは、それだけでは担保されません。その芯を作る材料になるのが、次の質問です。
合否を分けるのは「徳島市役所ならでは」の質問
1問目は、徳島市では特に答えの厚みが出やすい質問です。第1部で見たとおり、徳島市は県庁所在地でありながら一般市で、中核市への移行を検討している最中だからです。
県と市の距離が制度としてはっきり見える珍しい環境で、そこに踏み込めるかどうかで説明の解像度が変わります。下調べの差がそのまま答えの厚みの差になる質問だといえます。
こうした質問に答えるための「徳島市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい徳島市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置 | 人口242,618人は県全体の約35%。面積191.52km²は県土の約4.6%で、人口密度は県平均の7倍を超える(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口) | 「県内最大」で止めず、狭い面積に人が集まっているという密度の話まで出すと、都市部の行政課題につなげやすくなります |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県庁所在地でありながら大都市制度上は一般市。中核市への将来的な移行を目指し、調査・研究等を行う段階にある | 制度の説明に終始せず、住民票や生活保護など市が直接担っている仕事のどれに自分が関わりたいのかを添えます |
| 防災 | 南海トラフ巨大地震の被害想定で死者5,200人(冬・深夜の最大ケース、うち津波3,900人)、建物全壊・焼失27,400棟(冬・夕)。津波到達は40分から70分台 | 数字を言うだけでなく、到達までの時間をどう使い切るかという発想で、市の避難対策への理解を示します |
| 周辺自治体との関係 | 小松島市と6町1村に接し、北の板野郡3町は高齢化率26〜27%台、西や南の山あいは47〜51%台 | 「広域連携」という言葉だけで済ませず、生活圏が一体である以上どんな課題を共有するのかを一つ挙げます |
| 市の課題 | 県の推計人口は令和8年6月1日現在669,003人で毎月数百人単位の減少。県の総合計画は人口減少を「静かなる有事」と表現 | 県の課題をそのまま述べるのではなく、県内最大の市として徳島市が引き受けている部分を切り出して話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
徳島市は体系化された人物像を公表していないため、選考の設計そのものから観点を読み取ります。要綱は録画動画面接・グループワーク試験・ロールプレイング試験・個別面接をまとめて「主として人物についての試験」と定義しており、いわゆるコンピテンシー評価と同じく、答えの整い方ではなく経験の中身と行動の再現性が見られていると考えられます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 一人で話し切る力 | 第一次試験の録画動画面接。設定された質問に、相手の反応がない状態で答えを組み立てて話す | 結論から短く言い切る練習を、実際に録画して見返す。話し出しの一文が長すぎないか、うなずきも相づちも返ってこない状態で最後まで同じ速さを保てるかまで確かめる |
| 議論を前に進める力 | 第二次試験のグループワーク試験。他の受験者の意見を受けて、結論に向けて何をしたか | ゼミやアルバイトで意見が割れた場面を思い出し、自分がどの役割を取ったかを言葉にしておく |
| 相手に合わせて言葉を選ぶ力 | 第二次試験のロールプレイング試験。設定された相手に対し、その場でどう応じるか | 戸籍や市税、生活保護など市の窓口業務を思い浮かべ、希望どおりにはできないと伝える場面を一つ用意する。断る言葉で終わらせず、代わりに示せる手立てまで組み立てておく |
| 深掘りに耐える一貫性 | 第三次試験の個別面接。最終合格の配点で3の重みを持つ、いちばん長く掘られる場面 | 録画で話した内容と食い違わないよう、話す題材を先に決めて、細部まで自分の記憶で語れるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
徳島市は最後の個別面接に3の重みを置いているため、この傾向はより強く出ると考えられます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 申し込む募集の回次と試験区分を決め、その試験要綱で段階構成と得点配分を確認する(後期募集分Ⅰの上級行政事務なら3次試験制で、第二次試験:第三次試験=1:3)
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 録画動画面接を想定して、その一言メモを声に出して録画し、時間と話し出しを整える。提出は受付期間の中で自分が選んだ日にできるので、締切間際ではなく一度撮り切ってから直す余裕を残す
- この記事の前半を読み返し、志望分野に近い徳島市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、掘られたときの返しを書き足していく
優先順位に注意
ステップ5〜6の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4の録画の練習を先に済ませてください。徳島市では第一次試験の時点で録画動画面接が基礎能力検査と同じ重みを持ちます。市の知識だけが増えても、自分のことを語れなければ面接では評価に届きません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、徳島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
徳島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
徳島市の令和8年度後期募集分Ⅰでは、第一次試験の半分が録画動画面接、第二次試験の全体がグループワークとロールプレイング、そして最終合格の配点は第二次試験:第三次試験=1:3です。人物を見る場面が4種類あり、そのすべてに同じあなたが現れます。
県人口の約35%が集まる県内最大の市で、県との役割分担を検討し続けている自治体の職員として、自分は何を引き受けたいのか。
その答えを、録画のカメラの前でも、グループワークやロールプレイングの場でも、最後の個別面接でも同じ言葉で言えるところまで持っていってください。