本記事では、阿南市職員採用試験の面接対策で必要な、阿南市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度の試験案内をもとに、前期採用試験の上級行政事務を軸として整理し、経験者採用試験・後期採用試験との違いも併記します。

阿南市役所の面接試験では、「なぜ阿南市を志望したのか」、「市職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。前期採用試験の上級行政事務では第2次試験でプレゼンテーションが課され、しかもその課題は事前に与えられます。調べたことをどう組み立てたかが、そのまま点数として見える試験だといえます。

ここに整理した事実を材料に、自分の強みや関心と阿南市政の接点を考え、回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

阿南市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは阿南市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 徳島県の南東部に位置し、紀伊水道に面する市。人口は66,921人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)、面積は279.22km²。
  • 青色LEDを開発し白色LEDを製品化した日亜化学工業が立地し、市は「光のまち」を掲げている。市の公式記事によれば、県内の自治体で科学センターを所管しているのは阿南市だけである。
  • 市域は小松島市、勝浦町、那賀町、美波町と接する。県内では三好市、美馬市に次ぐ広さを持ち、人口密度は約240人/km²。
  • 高齢化率は34.7%、75歳以上の割合は20.6%。県全体(34.9%、20.3%)とほぼ同じ水準で、県の平均像に近い年齢構成である。
  • 那賀川の下流域にあたり、基準地点の古庄は市内に置かれている。平成26年8月の台風11号では、この地点で観測開始以降最高の水位8.00mを記録した。
  • 県が公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、建物の全壊・焼失が冬・夕のケースで12,500棟とされ、市町村別で徳島市に次ぐ規模となっている。
  • 沖合の伊島から市街地側まで、津波の到達時間には大きな幅がある。同じ市の中で、逃げるための時間が30分の場所と97分の場所が同居している。
  • 市の花はヒマワリ、市の木はウメ。市役所は阿南市富岡町トノ町に置かれている。

阿南市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「阿南市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

プレゼンテーションでも面接でも、話の土台になるのは同じ数字です。まとめて確認しておきましょう。

項目内容
総人口66,921人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口23,245人(34.7%、県34.9%)
75歳以上人口13,817人(20.6%、県20.3%)
総面積279.22km²(徳島県4,147.00km²の約6.7%)
人口密度約240人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
接する市町村小松島市、勝浦町、那賀町、美波町
市役所所在地阿南市富岡町トノ町12番地3
市の花・市の木ヒマワリ・ウメ

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。市と県は同じ系列でそろえていますが、国勢調査や人口推計を基礎とする数値とは調査の基準が異なるため、それらと並べて増減を比較することはできません。人口密度は同じ住民基本台帳人口を面積で割って求めた概数です。面積・所在地・接する市町村・市の花と木は、当研究会が整理した基礎データによります。

数字から考えられる市政課題

阿南市の年齢構成は、高齢化率も75歳以上の割合も県全体とほぼ重なり、県の縮図に近い姿をしています(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。極端に若いわけでも、極端に高齢化が進んでいるわけでもない。

だからこそ、県の課題として語られていることは、そのまま阿南市の課題として当てはまりやすいと考えてよいでしょう。

一方で、面積279.22km²という広さが効いてきます。人口密度は約240人/km²で、人が均等に散らばっているわけではありません。

工場と市街地が集まる区域があり、山と川に沿った集落があり、沖合には島がある。ひとつの施策を市内一律に当てはめるのが難しいのが阿南市の行政の特徴です。

面接でこの構図に触れるなら、次のように言えます。

「阿南市は7万人弱の市で、高齢化率は県全体とほとんど変わらないと聞きました。ただ、市の広さが280平方キロメートル近くあるので、同じ市内でも工場のある地区と山あいの集落では困りごとが違うと思います。同じやり方で全部をカバーするのは難しい市なのだと感じています」

阿南市の経済・産業

「光のまち」という看板

阿南市の産業を語るとき、最初に挙がるのが光です。青色LEDを開発し、白色LEDを製品化した日亜化学工業がこの市に立地しており、市は「光のまち」を掲げています。

市の公式記事は、県内の自治体で科学センターを所管しているのは阿南市だけであることにも触れています。産業の看板と教育施設が同じ主題でつながっている自治体で、企業誘致や人材育成を志望動機にする場合、この一貫性は使える足場になります。(出典:阿南市の「光のまち」と科学センター)

県全体を見ても、この分野は徳島の柱です。県は「世界一のLED製造会社」がある「LED王国」と自らを位置づけ、医薬品・LED・リチウムイオン電池の大きな工場が立地することを産業紹介で示しています。

機械製品の製造業に加え、家具や仏壇などの木工業が代表的な地場産業とされ、農業では吉野川沿いの平野を中心になると金時やすだちの生産が盛んです。(参考:徳島県の産業紹介(工業))

県経済の中での位置づけ

令和4年度の徳島県の県内総生産は名目3兆2,658億円(対前年度比2.6%減)、県民所得は2兆2,309億円(同3.0%減)、1人当たり県民所得は317万円(同1.9%減)です。

総額としては縮んでいる局面ですが、その中で大きな製造業の拠点を抱えるということは、雇用も税収も特定の産業の動きに左右されやすいということでもあります。

一つの分野に強みがあることを誇るだけでなく、その強みが揺れたときにどう備えるかまで考えられていると、答えに厚みが出ます。(出典:徳島県の県民経済計算|令和4年度)

広い市域を結ぶ交通

県内の道路事情は、国県道の改良率が65.4%、舗装率が57.5%と全国的に低い水準にとどまります。急峻な山地と河川の橋梁費用が理由とされており、市町村道まで含めた県内の道路の実延長は15,050kmに及びます。

279.22km²の市域を持つ阿南市にとって、道路と公共交通の維持は暮らしの土台に直結する話です。観光では、県全体の延べ宿泊者数が令和6年(2024年)に全国46位(速報値)ながら歴代2番目の水準まで戻り、外国人の延べ宿泊者数は過去最多となりました。(参考:徳島県の道路整備の現状/徳島県の観光の現状|令和6年)

阿南市の主な行政課題

ここまでの条件を、市が向き合っている宿題として並べ替えると、次の5つが浮かびます。プレゼンテーションの題材を考えるときの引き出しにもなります。

那賀川の洪水と、その記録の重さ

阿南市の防災を語るうえで、地震と並んで外せないのが川です。那賀川の基準地点である古庄は市内にあり、平成26年8月の台風11号による出水で、観測開始以降最高となる水位8.00mを記録しました。

このときの推定流量は約9,500m³/s(速報値)で、昭和25年のジェーン台風の約9,000m³/sを上回る戦後最大の出水でした。床上浸水240棟・床下浸水106棟、水害区域の面積は約168haに及んでいます。

那賀川では平成16年の台風23号で約8,100m³/s、平成27年の台風11号で約8,200m³/sと、大きな出水が繰り返し起きてきました。過去の話ではなく、10年ほどの間隔で戻ってくる現象として捉える必要があります。(出典:那賀川の過去の災害被害状況)

南海トラフ巨大地震と、市内でばらつく津波の時間

県が令和8年2月4日に公表した被害想定では、阿南市の死者は冬・深夜の最大ケースで2,900人、うち津波によるものが2,400人とされました。建物の全壊・焼失は冬・夕のケースで12,500棟です。

県全体では死者21,700人・全壊焼失81,100棟という想定になっています。県が令和7年9月に公表した津波浸水想定を見ると、市内の地点は伊島の前島橋で4.0mが第1波30分後、福井川河口では7.7mが第2波97分後と、高さも到達時間も大きく異なります。

避難計画を市内一律で作れない、という現実がここに表れています。(出典:南海トラフ巨大地震・被害想定|令和8年)

県と足並みをそろえる人口減少への対応

徳島県の推計人口は令和8年6月1日現在で669,003人、前月から626人減と、毎月数百人単位の減少が続いています。県の総合計画はこの状況を「静かなる有事」と表現しました。阿南市の年齢構成が県の平均に近いということは、この流れをそのまま受ける立場にあるということです。

産業の集積があるうちに、働く世代が住み続けられる条件をどう整えるかが問われます。(参考:徳島県の推計人口|令和8年6月1日現在)

一つの産業に支えられることの裏側

「光のまち」という看板は強力ですが、特定の企業や分野への依存度が高いということは、その分野が変調したときの影響も大きいということです。

県全体の県内総生産が縮んでいる局面であればなおさら、既存の強みを守る手当てと、次の柱を育てる投資の両方が要ります。誇りと危うさは同じ場所にあるという見方を持っておくと、産業振興の質問に一段深く答えられます。

市域の広さと、暮らしの支え方

山、川、平地、海、そして島。阿南市は279.22km²の中にこれだけの地形を抱えています。

買い物や通院の足、災害時の情報伝達、子育て支援の拠点配置。どれも「市内に一つ置けば済む」とはいかない性質のものです。

限られた職員と予算でこれを回す以上、優先順位の付け方そのものが仕事になります。

阿南市の重点政策|「光のまち」が掲げるものと県の計画

阿南市が対外的に示している市政の性格は、「光のまち」という言葉に集約されています。青色LEDを世に出した企業が立地し、県内で唯一、市として科学センターを所管しているという事実は、産業と教育の両方に軸足を置いてきたことの表れだといえます。

志望動機を組み立てるとき、この主題に自分の関心を接続できるかどうかは、一つの分かれ目になります。

採用の文書からも市の考え方は読み取れます。令和8年度後期採用試験の案内で、初級行政事務の職務内容は「市の関係機関において、一般行政事務に従事します。」と示されています。

配属分野を約束する試験ではないという前提は、志望動機を特定分野に絞りすぎないための目安になります。市の総合計画や個別計画は年度ごとに改定されるため、志望分野に関わるものは阿南市の公式サイトで現在有効な版を開き、掲げられた目標と現状の差を自分の目で確かめてください。

県の計画が示す前提

阿南市の施策は、県全体の方向とも重なります。県側の枠組みとなる総合計画が「徳島新未来創生総合計画」です。

令和6年3月に策定、令和7年3月に改訂され、令和6年度から令和10年度までの5か年を見通しています。ビジョンは「未来に引き継げる徳島」の実現。

安心度・魅力度・透明度の3点をそれぞれ引き上げることをミッションとし、17の戦略と75の戦術に整理したうえで、93のKPIで達成度を測る建て付けです。現状認識として並んでいるのは、労働力不足や過疎化の進行、そして自然災害の頻発化・激甚化です。(出典:徳島新未来創生総合計画)

POINT|計画の項目数を覚えても意味がない

関心のある分野を一つか二つ選び、課題の中身、市や県が描く到達点、進行中の事業、市だからこそ担える部分、そして自分の経験の生かしどころという順で調べていくと、面接でもプレゼンテーションでも使える形になります。

悪い例「阿南市の産業振興に携わりたいです」

改善例「光をテーマにした企業と科学センターが同じ市にあるのは強みだと思います。子どもがそこで科学に触れて、そのまま地元で働くところまでつながる流れを作る仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

すべてを追う必要はありません。志望分野に近いものから開き、プレゼンテーションで3分間話せるところまで自分の言葉に直しておいてください。

  • 阿南市職員採用試験の試験案内(前期・経験者・後期のうち自分が受ける系統)
  • 阿南市の総合計画・個別計画のうち、志望分野に関係するもの
  • 阿南市の「光のまち」や科学センターに関する公式の紹介
  • 徳島県の南海トラフ巨大地震被害想定と津波浸水想定
  • 那賀川の治水と過去の出水に関する国の公表資料

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、阿南市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。阿南市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

阿南市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

阿南市役所の面接の概要

ここからは、阿南市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公表資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

阿南市役所の面接の流れ

令和8年度の阿南市は、前期採用試験・経験者採用試験・後期採用試験の3系統で職員を募集しています。系統によって段階の数が違い、前期は3次試験制、後期は2次試験制です。

ここでは前期採用試験の上級行政事務を軸に整理します。まず押さえたいのは、第1次試験はテストセンター方式の基礎能力検査と録画動画面接の両方を受けなければ成立しないという点です。

筆記だけ、面接だけという受け方はできません。

項目内容(令和8年度前期採用試験・上級行政事務)
試験の段階3次試験制。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験と段階ごとに絞り込みます(後期採用試験は2次試験制)
第1次試験試験期間内に、①テストセンター方式による基礎能力検査(SCOA)と性格適性検査、②Web方式による録画動画面接の両方を受験します
第2次試験文章要約試験、プレゼンテーション、個別面接
第3次試験個別面接
プレゼンテーション事前に与えられた課題について、3分間程度の口述による試験です(当日提示型ではありません)
文章要約試験課題に対する論旨理解力、要点把握力、文章表現力についての筆記試験です
録画動画面接主として人物の人柄や意欲等について、録画動画によって評価します。試験期間中に、都合の良い時間に専用サイトへアクセスし回答動画を録画・送信します
集団形式令和8年度の前期・後期いずれの試験案内にも集団討論・集団面接の記載はありません
他区分との違い上級土木技術・機械技術・上級行政事務(文化財)は第2次試験が専門試験とプレゼンテーション・個別面接、保育士は専門試験と保育実技試験、上級消防は消防適性検査と体力検査。いずれも第3次試験は個別面接です
提出書類経験者採用試験ではエントリーシートの提出が必要とされ、様式が案内ページに掲載されています

この設計の要は、プレゼンテーションの課題が事前に与えられることにあります。当日その場で考える試験ではないため、準備した内容の質がそのまま出ます。

調べ方、組み立て方、3分に収める編集力までが評価の対象です。もうひとつ、両案内には「各試験区分とも、基準に満たない場合は合格者はありません。」と明記されています。

定員を埋めるための試験ではないという姿勢の表れだと受け取ってよいでしょう。

上記の試験構成は、阿南市が公表した令和8年度前期採用試験の案内にもとづく上級行政事務のものです。配点(得点配分)は前期・後期いずれの案内にも記載されていません。前期および経験者採用試験を申し込んだ人は後期採用試験を受験できないとされ、前期・経験者では採用日を令和8年10月1日または令和9年4月1日から選べるとされています。受験の際は、ご自身が申し込む系統と試験区分の最新の案内をご確認ください。

阿南市役所が求める人物像

阿南市の令和8年度前期・後期の試験案内には、体系化された「求める人物像」にあたる記載がありません。代わりに手がかりになるのが、市が各科目に付した定義です。

録画動画面接は「主として人物の人柄や意欲等」を、個別面接は「主として人物」を、文章要約試験は論旨理解力・要点把握力・文章表現力を見るとされています。人柄と、情報を受け取って整理し直す力が、別々の科目で確かめられる構成になっているわけです。

以下は当研究会の解釈になります。阿南市は279.22km²の市域に、工場の集積地から山あいの集落、そして島までを抱えています。

そのうえで後期採用試験の初級行政事務は採用予定人員が1人程度と、少ない人数で幅広い分野を回す前提です。地形も暮らしぶりも一様でない市域を少人数で受け持つとなると、同じ説明を相手に応じて組み替える場面が増えます。

工場で働く人、山あいの集落で暮らす人、島に渡る人では、同じ制度でも聞きたい入口が違うからです。市が第2次試験に文章要約試験とプレゼンテーションを並べているのも、受け取った情報を相手に届く形へ作り直す作業を、書く側と話す側の両方から確かめようとしているためだと読めます。

準備の重心は、そのまま第2次試験のプレゼンテーションに置くとよいでしょう。課題が事前に渡される以上、3分間で何を語るかは受験者の側で設計できます。

那賀川が10年ほどの間隔で大きな出水を繰り返してきたこと、津波の到達時間が市内で30分から97分まで開いていること、「光のまち」という看板が産業と教育の両方にかかっていること。このうちどれを軸に据えるかを先に決めれば、個別面接で問われる志望動機も同じ軸の上に乗せられます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。阿南市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は緊張していますか?録画動画で見た人柄と、目の前の様子が重なるかどうか。硬さのほぐし方
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間との違いをどう捉えているか。前期・経験者・後期のどの系統で受けたのかと筋が通っているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分の傾向を言葉にできるか。担当が固定されない職場で自分がどう働くかを描けているか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください出来事の規模ではなく、その場面で何を考えどう動いたか。知らない仕事に当たるときの構え
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマを簡単に説明してください要点をつかんで届く言葉に直す力。文章要約試験とプレゼンテーションの両方に効く
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?分野を約束されない採用だと承知したうえで、やりたい仕事を挙げられるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?時事への感度。それが7万人弱の市の暮らしにどうつながるかまで述べられるか

この7つが扱うのは、阿南市が「主として人物」と定義している領域そのものです。ただし阿南市には、課題が事前に渡されるプレゼンテーションがあります。

7カテゴリーの答えは面接の受け答えには効きますが、3分間の口述で何を語るかまでは決めてくれません。その中身を決める材料になるのが、次の質問です。

合否を分けるのは「阿南市役所ならでは」の質問

「なぜ徳島県庁ではなく、阿南市役所なのですか?」
「阿南市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

2問目は、阿南市では答えの奥行きが出しやすい質問です。「光のまち」という魅力と、特定の産業に支えられていることの危うさは、同じ事実の表と裏だからです。

魅力を語る言葉の中に課題の芽を見つけられるかが、この市で問われていることだといえます。答えの芯になる事実を、話す順番の目安と一緒に並べておきます。

質問テーマ知っておきたい阿南市の事実答え方のヒント
市の規模人口66,921人、高齢化率34.7%、75歳以上20.6%と県全体にほぼ重なる。面積279.22km²、人口密度は約240人/km²(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)県の平均に近いという特徴を弱みにせず、県全体の課題を市の規模で試せる場所だという捉え方で語ります
なぜ県庁ではなく市役所か後期採用試験の案内が示す初級行政事務の職務内容は「市の関係機関において、一般行政事務に従事します。」役割分担の議論に寄りかからず、広い市域で住民に直接向き合う働き方を選ぶ理由を、自分の経験から述べます
阿南市の魅力青色LEDを開発し白色LEDを製品化した日亜化学工業が立地し、市は「光のまち」を掲げる。県内で科学センターを所管するのは阿南市のみ企業名を挙げて終わらせず、産業と教育が同じ主題でつながっていることを、自分がやりたい仕事に結びます
水害への備え那賀川の基準地点・古庄で平成26年8月に観測開始以降最高の水位8.00mを記録。推定流量約9,500m³/sは戦後最大で、床上浸水240棟地震だけを防災と考えていないことを示せる材料です。繰り返し起きてきた出水という時間軸を添えます
津波と避難南海トラフ巨大地震の被害想定で死者2,900人(冬・深夜の最大ケース、うち津波2,400人)、全壊焼失12,500棟(冬・夕)。津波は伊島で30分後、福井川河口で97分後市内で到達時間が3倍以上違うという事実から、地区ごとに避難のやり方を変える必要があるという話に進めます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

阿南市は体系化された人物像を公表していないため、選考の設計に照らして観点を読み取ります。市が各科目に付した定義を並べると、確かめられているのは答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性だと考えるのが妥当な線でしょう。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
人柄と意欲第1次試験の録画動画面接。「主として人物の人柄や意欲等」を録画で評価するとされている撮り直しがきく形式だからこそ、作り込みすぎない。一度撮って見返し、口調が硬すぎないか確かめる
要点をつかむ力第2次試験の文章要約試験。論旨理解力、要点把握力、文章表現力を見る筆記試験新聞記事や計画の概要版を200字にまとめる練習を重ねる。要約した文をそのまま面接で使えるようにする
準備を形にする力第2次試験のプレゼンテーション。事前に与えられた課題について3分間程度述べる課題が事前に分かる以上、下調べの量が差になる。市の資料に当たり、話す順番を紙に書いて時間を計る
深掘りに耐える一貫性第2次・第3次の個別面接。「主として人物についての試験」として2回課される録画で話した内容とプレゼンで述べた内容がずれないよう、題材を先に決めて全体を通す

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

阿南市は個別面接が2回あり、その前に録画とプレゼンテーションで話した内容も残ります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 前期・経験者・後期のどの系統で受けるかを決め、その案内で段階構成と試験科目を確認する(前期の上級行政事務なら3次試験制で、第2次試験にプレゼンテーションがある)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. その一言メモを録画して見返す。第1次試験の録画動画面接と同じ環境で撮ると、明るさや音声の問題にも先に気づける
  5. この記事の前半を読み返し、志望分野に近い阿南市の事実を2〜3個、自分の言葉で言えるようにする
  6. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編んだうえで、3分の口述に収まるよう順番を整える

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。ただし阿南市の場合、第2次試験のプレゼンテーションは課題が事前に与えられるため、この工程がそのまま得点に直結します。時間がない場合でも、ステップ2の経験の棚卸しとステップ6の組み立てはセットで進めてください。知識の量ではなく、自分の経験を語れるかどうかが面接の評価を決めます。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、阿南市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

阿南市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

阿南市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度前期採用試験の阿南市は、録画動画面接と基礎能力検査で入口を作り、文章要約試験とプレゼンテーションと個別面接で第2次試験を組み、第3次試験でもう一度個別面接を行います。読む力、まとめる力、話す力を順に確かめる並びです。しかもプレゼンテーションの課題は事前に渡されます。

「光のまち」を掲げ、那賀川と津波の両方に備え続けてきた市で、あなたが3分間で語ることは何か。

そこから逆に、これまでの経験のどれを持ち出すかを決めていってください。