本記事では、美馬市職員採用試験の面接対策に必要な、美馬市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点をまとめています。

美馬市役所の面接では、「なぜ美馬市を志望したのか」「市職員としてどんな仕事をしたいのか」「自分の経験を美馬市でどう役立てるのか」といった、市の中身を知らないと言葉が一般論に流れてしまう質問が想定されます。

令和8年度(2026年度)の美馬市職員採用試験は、一般枠・早期選考枠・社会人経験枠の複数の枠で実施されます。本記事は、三段階で選考を行う一般枠の行政事務を中心に整理しました。掲載した数字と公表事項を、自分の経験と美馬市の仕事を結ぶ材料として使ってください。

第1部|自治体研究編

美馬市の特徴

面接の練習を始める前に、美馬市がどういう市なのかを押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 徳島県の西部、吉野川の中流域に位置する市。北は讃岐山脈を挟んで香川県と接し、高松市・さぬき市・まんのう町・三木町と県境を共有する。
  • 脇町南町の「うだつの町並み」は、昭和63年に全国で28番目の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。面積5.3ヘクタールに、江戸中期から昭和初期の伝統的建造物85棟が残る。
  • この町並みは藍の集散地として発展した商家町で、町家の両端には本瓦葺きに漆喰を塗った「うだつ」が並ぶ。
  • 人口は25,692人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、徳島県内8市のうち7番目。市域は367.14平方キロメートルで、県内8市では三好市に次ぐ2番目の広さ。
  • 高齢化率は40.9%、75歳以上の割合は22.9%。いずれも徳島県全体(34.9%・20.3%)を上回り、高齢化率は県内8市で2番目に高い。
  • 市域の消防は二つの本部が分担している。美馬市消防本部が脇町・穴吹町・木屋平の区域を、つるぎ町との一部事務組合である美馬西部消防組合が美馬町とつるぎ町を管轄する。
  • 令和8年度の一般枠では、行政事務や技術職に加えて消防士も同じ試験の中で募集されている。市が消防まで自ら抱えていることが、募集職種の並びから読み取れる。
  • 一般枠の第一次試験は全職種がテストセンター方式の基礎能力検査で、指定された期間内に受験者自身が日時と会場を選ぶ仕組み。

美馬市の基礎データ

統計を細かく暗記する必要はありません。求められるのは、吉野川沿いの市街地と讃岐山脈までの山あいを一つの市が受け持っている、という構図を言葉にできることです。

市のかたちに直結する項目だけを抜き出しました。

項目内容
総人口25,692人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口10,512人(40.9%/徳島県全体は34.9%)
75歳以上人口5,881人(22.9%/徳島県全体は20.3%)
総面積367.14km²(徳島県内8市で2番目の広さ)
人口密度約70人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地美馬市穴吹町穴吹
隣接する自治体三好市、阿波市、吉野川市、つるぎ町、神山町、那賀町、香川県高松市・さぬき市・まんのう町・三木町
市の花・市の木百日紅/シダレヤナギ

人口・年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)によります。総面積・市役所所在地・隣接自治体・市の花木については、当研究会が整理した基礎データによります。住民基本台帳による人口と国勢調査による人口は調査の基準が異なりますので、両者をそのまま並べて比べることはできません。

人口と面積の組み合わせを読む

年齢構成から見ます。美馬市の高齢化率40.9%は、同じ時点の徳島県全体(34.9%)を6ポイント上回ります。75歳以上の割合22.9%も県全体の20.3%より高い。

徳島県はもともと高齢化率が全国でも高い県ですから、その中でさらに上に位置しているということです。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

面積は367.14平方キロメートルで、25,692人が暮らしています。人口密度は約70人/平方キロメートル、徳島県全体の約167人/平方キロメートルの半分にも届きません。

市街地はうだつの町並みを含む吉野川沿いにまとまる一方、市域は讃岐山脈側にも山あいの奥にも伸びています。同じ市の中に、歩いて回れる範囲と、車で長く走らなければ着かない範囲が同居する。

この構造が、窓口の置き方から災害時の連絡体制まで、市の判断に影響します。

この前提を面接で口にするなら、こういう組み立てが考えられます。

「美馬市は人口が2万5千人ほどで、高齢化率は4割を超えていると聞きました。ただ市の面積は県内でも2番目に広くて、町並みのある平地と山あいでは事情が違うと思います。同じ制度でも届き方が変わるところに、市の職員の工夫が要るのではと感じています」

美馬市の経済・産業

藍が育てた商家町

美馬市の経済を語るときに外せないのが、第1章でも触れた脇町南町の「うだつの町並み」です。ここは観光地である前に、今も人が住む生活の場でもあります。

重要伝統的建造物群保存地区に選定された区域では、修繕や建て替えに保存のための制約がかかるため、景観を守ることと、そこに住み続けやすくすることをどう両立させるかが、観光振興と住宅・福祉の施策が交わる論点になります。(出典:脇町南町(うだつの町並み)|美馬市公式)

ここで押さえておきたいのは、この町並みが観光施設ではなく、建物の所有者が現に存在する市街地だという点です。修繕にも景観の維持にも所有者の判断が要り、市の仕事は許可や補助だけでは終わりません。

観光振興を志望動機にするなら、訪れる人の話と、そこで暮らし商いを続ける人の話を、両方の側から語れるようにしておきましょう。

県の産業構造という背景

吉野川の中流域という美馬市の位置は、県全体の産業の姿と並べて見ると意味がはっきりします。令和4年度の徳島県の県内総生産は名目3兆2,658億円(前年度比2.6%減)、県民所得は2兆2,309億円、1人当たり県民所得は317万円でした。(出典:徳島県の統計情報(県民経済計算)|令和4年度)

徳島県は自らを「LED王国」と位置づけ、医薬品、LED、リチウムイオン電池といった大きな工場に加え、家具や仏壇などの木工業を代表的な地場産業に挙げています。農業は吉野川沿いの平野が中心で、なると金時やすだちが主な産品です。(出典:徳島県の産業|徳島県公式)

その吉野川は、高知県を水源として大歩危・小歩危の峡谷をつくりながら東へ流れ、くさび形の徳島平野を形づくります。美馬市はその流れの中流域にあたり、平野の農業と山あいの林業のちょうど境目に位置しています。

県の産業の話を市に引きつけるときは、この位置関係を押さえておくと説明がぶれません。(参考:徳島県の概要|徳島県公式)

美馬市の主な行政課題

ここまでの数字と地理を重ねると、美馬市が向き合っている論点が見えてきます。面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の4つを用意しておきましょう。

県内でも進んだ高齢化

高齢化率40.9%、75歳以上22.9%は、徳島県内8市で2番目に高い水準です。徳島県は総合計画の中で、人口減少に伴う労働力不足や過疎化を「静かなる有事」と呼び、今後10年を地方の正念場と位置づけています。

美馬市は、その県の平均をすでに追い越した位置で日々の行政を回している市だといえます。(出典:徳島新未来創生総合計画|令和6年3月策定)

讃岐山脈の直下を走る活断層

美馬市の防災を考えるうえで外せないのが、中央構造線・活断層地震です。中央構造線活断層帯は讃岐山脈の南縁を走り、県の被害想定は吉野川以北の地域で被害が大きくなると説明しています。

県全体の最悪ケースは死者3,440人・全壊63,700棟・停電率87%・断水率75%で、被災1週間後の避難者は25万人を超える規模。南海トラフ巨大地震に匹敵するとされています。

建物の耐震化によって死者数を約9割減らせるとも示されており、美馬市の防災は、住宅の耐震化をどこまで進められるかに直結しています。(出典:中央構造線・活断層地震の被害想定|平成29年7月公表)

南海トラフ巨大地震についても想定があります。徳島県が令和8年2月に公表した市町村別の被害想定では、美馬市の死者は冬の深夜を想定した最大ケースで40人、建物の全壊・焼失は冬の夕方を想定したケースで720棟とされ、内陸に位置するため津波による死者は0と想定されています。

二つの地震想定を並べると、この市で備えるべきものが揺れと建物であることがはっきりします。(出典:南海トラフ巨大地震被害想定(市町村別)|令和8年2月公表)

水と川をめぐる備え

吉野川は「四国三郎」と呼ばれる日本を代表する暴れ川で、幹川流路延長194キロメートル、流域面積3,750平方キロメートルは四国のおよそ20%にあたります。計画高水流量は毎秒24,000トンで全国最大規模です。一方で、平成6年の列島渇水では吉野川水系で139日間の取水制限が行われ、国の記録には影響を受けた水道事業体として美馬市の名前が挙げられています。洪水と渇水の両方に備えなければならないのが、この川と暮らす市の現実です。(出典:平成6年列島渇水の記録|国土交通省)

広い市域を支える体制の維持

人口2万5千人あまりの市が、消防を二つの本部で分担しながら自ら抱えています。市域が広く、平地と山あいで条件が違うぶん、体制を薄く広げるだけでは持ちません。

市の採用試験で行政事務、福祉、土木、建築、水道技術、保育士幼稚園教諭、消防士がまとめて募集されていることは、市が担っている仕事の幅そのものを表しています。町並みの保存も、山あいの集落の生活も、同じ組織の中で扱われているということです。

美馬市の重点政策|「静かなる有事」と向き合う計画

美馬市の施策を大きな流れの中に置くために、まず県の最上位計画を確認します。徳島県は「徳島新未来創生総合計画」(令和6年3月策定、計画期間は2024年度から2028年度まで、令和7年3月改訂)を掲げ、ビジョンに「未来に引き継げる徳島」、ミッションに「安心度UP」「魅力度UP」「透明度UP」を置いています。

重点施策は17項目の「戦略」、75項目の「戦術」、93項目の「KPI」として整理されています。(出典:徳島新未来創生総合計画|令和6年3月策定)

県の現状認識を美馬市に置き換える

この計画は現状認識として、人口減少に伴う労働力不足や過疎化の進行を「静かなる有事」と呼び、南海トラフ巨大地震をはじめとする自然災害の頻発化・激甚化を並べています。美馬市に置き換えれば、前者は高齢化率40.9%という数字であり、後者は讃岐山脈の南縁を走る活断層です。

県が県全体の課題として書いていることが、美馬市ではそのまま現場の日程表になっていると考えると、両者のつながりが見えてきます。志望動機を組み立てるときは、計画の言葉を借りるのではなく、この二つのどちらに自分の関心が触れているかを確かめてください。

市の計画は自分で開いて確かめる

市がどんな計画を持っているかは、名称も改定の時期も自治体によって違います。美馬市についても、総合計画や分野別の計画の最新版は市の公式サイトで公開されていますから、受験前に必ず現物にあたってください。読み進め方としては、志望する分野に近い章をひとつだけ選び、そこにある目標と事業をひとつ取り出して、人に説明できるところまで噛み砕いておくやり方が効率的です。

POINT|施策名を覚えることが目的ではない

計画の項目を諳んじられても、面接の評価にはほとんど届きません。関わりたい分野をひとつ選んだうえで、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな事業があるか → ④市だからこそ動けることは何か → ⑤自分の経験をどこで使えるか」の順に並べてみてください。

悪い例「うだつの町並みを生かした地域振興に取り組みたいです」

改善例「うだつの町並みには建物が85棟残っていると知りましたが、そこに住んでいる方がいると聞きました。まずは修繕の相談がどんな形で市に来ているのかを教わって、住み続けながら残していける方法を一緒に考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

まず何を開くかは、試験との距離が近い順に決めるのが確実です。

  • 令和8年度美馬市職員採用試験の試験案内(自分が受ける枠と職種のもの)
  • 美馬市の総合計画と、志望分野に近い個別計画の最新版
  • 最新年度の美馬市の当初予算と、市長が議会で述べた市政運営の方針
  • 徳島新未来創生総合計画の概要版(県の方向性を短時間でつかむため)

ただし、読んだ資料の量と面接の評価は比例しません。頭に入れた知識と、問いに合わせて取り出せる言葉は、それぞれ別に仕込む必要があります。数字だけ持っていても、そこから一歩踏み込まれた瞬間に止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、美馬市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。美馬市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

美馬市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

美馬市役所の面接の概要

ここからは、美馬市役所の試験の組み立てと面接の位置づけを、公表資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。

美馬市役所の面接の流れ

令和8年度の美馬市職員採用試験の一般枠でまず押さえたいのは、三段階の選考のうち、第二次と第三次の両方に個別面接が置かれているという点です。試験案内に沿って構成を並べます。

項目内容(令和8年度・一般枠)
職種区分と採用予定人数行政事務Ⅰ10人程度、行政事務Ⅱ(各種障害者手帳の交付を受けている人が対象)、行政事務(福祉)、土木・建築・水道技術 各若干名、保育士幼稚園教諭 若干名、消防士 若干名
試験の段階第一次試験・第二次試験・第三次試験の3段階
第一次試験全職種・全受験者が基礎能力検査(テストセンター方式・60分)。文章読解能力、数的能力、論理的思考能力、人文・社会・自然に関する一般知識、基礎英語等を問う内容です
第一次試験の受け方市が指定する期間の中から、受験者自身が日時と会場を選んで予約し、コンピュータで受験します。会場は全国に約340か所あり、徳島県内にも2か所あります
第二次試験(全職種共通)①パーソナリティ検査(Web方式・35分)②文書要約試験(60分)③面接試験(個別面接)の3種目
パーソナリティ検査の位置づけ試験案内に「Web方式で実施し、面接試験の基礎資料とします」と記載されています
文書要約試験の内容3,000字程度の課題文を読み、要旨を400字程度にまとめます
第二次試験の職種別追加種目保育士幼稚園教諭はピアノ演奏等による保育実技試験(約15分)、消防士は職務遂行上必要な体力検査(60分)
第三次試験第二次試験合格者を対象とした面接試験。「主として人物、識見等についての個別面接」と記載されています
集団形式試験案内に集団討論・集団面接の記載はありません
合否の扱い「一定の基準に満たない試験種類がある場合は、他の成績にかかわらず不合格となります」と明記されています
配点各試験種目の配点は公表されていません
申込インターネット申込みのみ。申込み前3か月以内に背景を無地で撮影した上半身・脱帽・正面向きの顔写真データの登録が必要です

上記は美馬市の令和8年度職員採用試験【一般枠】の試験案内に基づく構成です。各試験種目の配点は公表されていません。最新の試験案内でご確認ください。美馬市は同じ年度に早期選考枠・社会人経験枠でも採用を行っており、枠によって職種区分や試験の内容は異なります。受験の際は必ずご自身が受ける枠と職種の最新の試験情報をご確認ください。(出典:令和8年度美馬市職員採用試験|令和8年度)

この構成から読めることが三つあります。ひとつめは、面接が2回あることです。第二次では「適性を有するか等」、第三次では「主として人物、識見等」と、確かめる中身が書き分けられています。

同じ経験を別の角度から二度問われる前提で、掘られても崩れない材料を用意しておく必要があります。

ふたつめは、一定の基準に満たない試験種類が一つでもあれば、他の成績にかかわらず不合格になると明記されていることです。面接だけを磨いても、文書要約や基礎能力検査を落とせば先へ進めません。

逆に筆記だけ得意でも同じです。どの種目にも下限があるという前提で、時間配分を決めてください。

三つめは、面接の下敷きになる資料です。美馬市には面接カードにあたる書類がなく、試験案内が面接試験の基礎資料と明記しているのは第二次試験のパーソナリティ検査です。

検査の結果を見ながら質問される前提で、自分の傾向を自分でも言葉にしておくことが、この市の面接では効いてきます。また、文書要約試験は3,000字を400字に落とす作業ですから、面接で長く話しすぎない訓練としても意味を持ちます。

美馬市役所が求める人物像

美馬市は、令和8年度【一般枠】の試験案内本文でも、一般枠・早期選考枠の案内ページでも、「求める職員像」に相当する文言を公表していません(2026年8月時点・当研究会調べ)。手がかりになるのは、面接の目的として書かれた「適性」と「人物、識見」という二つの言葉です。

ここから先は当研究会の推量です。断定できる材料はありません。

手がかりになるのは職種の並びのほうです。行政事務Ⅰ10人程度の採用と同じ試験で、福祉、土木、建築、水道技術、保育、そして消防士までが募集されています。

人口2万5千人あまりの市が、これだけの仕事を自前で抱えているということです。事務職として入っても、隣の課が扱っている分野の相談が自分のところへ回ってくる距離にあると考えておくのが実際的でしょう。

担当の外から来た話を突き返さずに受け止められるかどうかが、ここでは効いてきます。

試験の組み方からも読めることがあります。第二次のパーソナリティ検査は、面接試験の基礎資料にすると試験案内が明記しています。

第二次と第三次で面接の目的が「適性」と「人物、識見」に書き分けられていることも合わせると、二段階で人を見る設計になっていると考えられます。答えの上手さより、二度の面接を通して同じ人物像が立ち上がるかどうかが確かめられる、と想定しておくのが安全です。

美馬市に引きつければ、うだつの町並みで所有者と向き合う仕事も、山あいの集落で高齢の市民を支える仕事も、同じ組織の中にあります。どちらに惹かれるかは人によって違って構いません。

個別面接が2回置かれている以上、分かれ目になるのは、二度目に一段深く掘られても同じ話が崩れないかどうかです。使う経験を早めに一つ決めて、時期も、関わった人も、自分が何を判断したのかも、細部まで思い出しておいてください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。美馬市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場の場所はすぐに分かりましたか?準備していない一言に、力まずに応じられるかどうか
② 動機・志望数ある仕事の中で、なぜ公務員なのですか?職業としての選択に、自分の経験からの筋道が通っているか
③ 自己理解周りからはどんな人だと言われますか?パーソナリティ検査の結果と照らして、自己認識にずれがないか
④ 経験・行動人に頼らざるを得なかった場面を教えてください一人で抱え込まずに動けるか。頼り方に工夫があるか
⑤ 学業・経歴長い文章を読んでまとめた経験はありますか?文書要約試験とも重なる、要点を選び取る力の使い方
⑥ 適性・将来美馬市の職員として、どの分野に関わりたいですか?市の仕事に対する解像度と、希望と違う配属でも働けるか
⑦ 公共性・社会性最近気になった出来事を一つ挙げてください関心の向け方と、それを短く整理して伝えられるか

美馬市の試験案内は、面接の目的を第二次では「適性」、第三次では「主として人物、識見等」と書き分けています。表に並べた7つは、そのどちらの面接でも入口になる問いです。

ただ、二度の面接がここだけで終わることはありません。深く掘られる材料になるのは、次の一群です。

合否を分けるのは「美馬市役所ならでは」の質問

「なぜ徳島県庁ではなく、美馬市役所なのですか?」
「美馬市の魅力と、課題だと思うところを教えてください」

二問とも、準備なしでは輪郭が出ません。美馬市が抱える二つの地震想定と、うだつの町並みについて何を知っているかから、答えの中身が決まってきます。手元に置いておきたい事実を、答え方とあわせて整理しました。

質問テーマ知っておきたい美馬市の事実答え方のヒント
市の規模と広さ人口25,692人(令和8年1月1日現在)は徳島県内8市で7番目。市域367.14km²は県内8市で2番目に広く、人口密度は約70人/km²人数の少なさではなく、広さとの落差から入ると、市の仕事のやり方を論点にできます
なぜ県庁ではなく市役所か美馬市は消防士まで自ら採用し、行政事務から福祉・土木・水道技術・保育まで同じ試験でまとめて募集している市が担う仕事の幅の広さを挙げ、そこに自分がどう加わりたいかという形で述べます
高齢化の現在地高齢化率40.9%・75歳以上22.9%は、いずれも徳島県全体(34.9%・20.3%)を上回り、県内8市で2番目に高い数字を置いたうえで、自分が関わりたい分野でその年齢構成がどう効くかまで続けます
防災中央構造線活断層帯は讃岐山脈南縁を走り、県は吉野川以北の被害が大きいとする。南海トラフの想定では冬の深夜の最大ケースで死者40人、津波死者は0二つの想定を区別し、この市では揺れと建物の耐震化が焦点になると整理して話します
市の魅力脇町南町のうだつの町並みは昭和63年に全国28番目の重要伝統的建造物群保存地区に選定。5.3haに伝統的建造物85棟が残る藍の商家町景観の紹介にとどめず、そこに住む人と建物を守る仕組みの話まで踏み込みます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

美馬市は求める職員像を文言としては示していませんので、確かめられる中身は、試験案内が面接の目的として掲げる「適性」と「人物、識見」から読むのが実際的です。実際にどう行動してきたかを確かめるコンピテンシー評価が基本にあります。

問われるのは、行動を起こしたときの判断と、それが偶然の一回で終わっていないかどうかです。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自己認識のずれの少なさパーソナリティ検査を基礎資料として、自分をどう見ているかを問われる他人から言われてきた評価と、自分の実感の両方を並べて用意しておく
要点を選び取る力長い経験談を短く求められる場面や、二度目の面接での言い直しで表れる一つの経験を、30秒版と2分版の二通りで話せるようにしておく
二度の面接に耐える一貫性第二次と第三次で、同じ話題を別の観点から確かめられる使う経験について、時期・関わった人数・自分の役割を、後から食い違わない形で書き出しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

美馬市の一般枠は個別面接が2回ありますので、この傾向は強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の試験案内を開き、自分が受ける枠と職種の段階構成、追加される種目、必要な顔写真データの条件を確認する
  2. 第一次試験のテストセンターは日時と会場を自分で予約する方式なので、予約可能な期間と会場を早めに押さえておく
  3. 高校・大学時代の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる場面を1つずつ用意する
  4. 3,000字の文章を400字にまとめる練習を、新聞や白書の記事で数回やっておく
  5. この記事の第1部に戻り、高齢化率と面積、二つの地震想定、うだつの町並みのうち、志望分野に近いものを2つ選んで自分の説明に直す
  6. 固有質問の対応表を手元に、事実から問題意識、そしてやりたいことへ流れる話を作り、声に出して練習する

優先順位に注意

ステップ5と6の自治体研究は、周りと差が出る部分です。ただし美馬市の試験は、基準に満たない種目が一つでもあれば他の成績にかかわらず不合格になります。まずはステップ2と4で足元を固め、そのうえで自治体研究に時間を回してください。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、美馬市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

美馬市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

美馬市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の美馬市職員採用試験の一般枠は、第一次から第三次までの三段階で、第二次と第三次の両方に個別面接が置かれています。第二次には文書要約試験とパーソナリティ検査も並び、基準に満たない種目が一つでもあれば他の成績にかかわらず不合格です。

つまり、どれか一つで挽回する試験ではありません。

うだつの町並みが残る平地と、讃岐山脈へ続く山あいを一つの市が受け持ち、市民の4割が65歳以上。この条件のもとで自分がどんな仕事をしたいかは、二度の面接で同じ深さで語れて初めて伝わります。

使う経験を早めに決めて、掘り下げに備えてください。