本記事では、秋田市職員採用試験の面接対策で必要な、秋田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
秋田市役所の面接試験では、「なぜ秋田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。秋田市の試験は一般教養試験と専門試験という本格的な筆記から始まりますが、その先には面接試験が2回控えています。
筆記を突破した人どうしが、人物で比べられる構成です。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と秋田市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
秋田市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは秋田市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 秋田県の県庁所在地であり、人口289,888人と県内最大の規模を持つ市である(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。
- 総面積は906.07km²、人口密度は320人/km²。県土のおよそ8%にあたる市域に、県人口の3割あまりが集まっている。
- 隣接するのは北秋田市・由利本荘市・大仙市・仙北市・潟上市の5市と、上小阿仁村・五城目町・井川町の1村2町。県内8つの市町村と境を接する広い市域を持つ。
- 市役所は山王一丁目1番1号に置かれ、職員採用は総務部人事課が所管している。
- 令和8年度の職員採用試験(大学卒業程度・保健師)の採用予定人員は9区分で合計47人。うち行政Aが33人を占める。
- 第1次試験の会場には秋田会場に加えて東京会場(全国町村会館)が設けられており、県外に住む受験者にも門戸が開かれている。
- スポーツ・芸術文化・学術分野等で卓越した実績を収めた人を対象とする「行政B」という区分があり、専門試験の代わりに自己PR試験が行われる。
- 令和8年度の受験案内書は試験区分ごとに8本に分かれており、その中には職務経験者を対象とする移住定住枠の試験も含まれる。
- 秋田港は洋上風力発電所が運用を始めた港であり、市の沖合を含む海域ではさらに大規模な発電事業が計画されている。
- 市の花はさつき、市の木はけやき。
秋田市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「秋田市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口・市域・人口密度といった秋田市そのものの数字と、県内での位置づけを測る物差しになる秋田県全体の数字を並べました。表に載せたのは、出所をたどれる項目だけです。
年齢別の人口や事業所ごとの統計は載せていませんので、志望動機を組み立てるうえで必要になった場合は秋田市公式サイトの統計ページをあたってください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 289,888人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 906.07km² |
| 人口密度 | 320人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 北秋田市・由利本荘市・大仙市・仙北市・潟上市・北秋田郡上小阿仁村・南秋田郡五城目町・井川町(5市1村2町) |
| 市役所所在地 | 秋田市山王一丁目1番1号 |
| 市の花/市の木 | さつき/けやき |
| (参考)秋田県の総人口 | 865,885人(2026年6月1日現在の推計) |
| (参考)秋田県の総面積 | 1万1,637km²(全国6番目の大きさ) |
| (参考)秋田県内の市町村数 | 13市9町3村 |
秋田市の人口・総面積・人口密度・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整備する自治体データベース(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)による値です。基準日や集計方法によって市公式の推計人口とは差が出る場合があるため、面接で数値に触れる際は秋田市公式サイトの最新値もあわせてご確認ください。市役所所在地は令和8年度の受験案内書の記載と一致することを確認しています。秋田県の総人口は県の推計人口、総面積と市町村数は県公式サイトによります。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
秋田市の位置づけは、県全体と並べたときにはっきりします。県土の約8%にあたる市域に、県人口の3割あまりが集まっているという構図です。
人口密度320人/km²は、県全体を人口と面積から計算した約74人/km²の4倍を超えます。県内13市の一つでありながら、人口の集積という点では他の市町村と性格が異なるということです(出典:秋田県の推計人口|2026年6月1日現在)。
ただし、この集積は安泰を意味しません。秋田県の人口は2025年6月からの1年間で17,254人(1.95%)減り、その内訳は自然減13,200人・社会減4,054人でした。
県全体が縮んでいく中で県都に人が集まるということは、周辺市町村から人を受け止める役割と、市自身の人口減少への備えを同時に負うということです。たとえば面接では、秋田市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
秋田市の経済・産業
秋田県の経済という土台
秋田市だけを取り出した産業統計は公表されている資料が限られます。まずは市が属する秋田県全体の構造から、地域経済の土台を整理します。
- 令和3年度の県内総生産は名目3兆5,453億円(前年度比2.2%増)で、全国に占めるシェアは0.64%。
- 経済活動別の内訳は第1次産業897億円、第2次産業9,163億円(うち製造業6,230億円)、第3次産業2兆5,461億円。
- 付加価値額の業種別割合(2012年)では医療・福祉が20.9%と全国平均を11.1ポイント上回り、建設業も11.2%と高い。製造業は17.4%で全国平均を5.6ポイント下回る。
- 付加価値額の特化係数は農業・林業が3.64と全国水準の3倍を超える一方、製造業は0.76。
製造業が全国平均より薄く、医療・福祉と農林業が厚いというのが県経済の輪郭です(出典:秋田県民経済計算|令和3年度)。
ただし県内総生産の7割超を占める第3次産業の多くは、卸売や小売、サービスといった人の集まる場所で成り立つ業種です。県の第3次産業をどこが支えているかを考えると、県都である秋田市の役割が見えてきます。
交通と港が集まる結節点
秋田市は、県内の交通の要が重なる場所でもあります。秋田新幹線こまちは秋田と東京を3時間37分で結び、最高速度320km/hで運行しています。
秋田空港の東京便は1日9便(所要65分)、ほかに大阪便6便、名古屋便2便、札幌便4便。秋田港は5万トン岸壁1バースを含む30バースの公共岸壁を持ち、令和6年のクルーズ客船寄港数は26回でした。
県内の高速自動車道は計画延長約362kmのうち約331.5kmが供用され、供用率は約92%に達しています(出典:秋田県の交通アクセス|企業立地サポートガイド)。
新幹線、空港、港湾、高速道路が一つの市の周辺に集まっているという条件は、企業誘致や観光の受け入れ、災害時の物資輸送といった話題にそのまま使えます。面接で産業や観光を語るときは、施設の名前を並べるのではなく、その結節点をどう使って人や物を動かすかという視点まで用意できると、話に厚みが出ます。
沖合で進む洋上風力発電
秋田県は洋上風力発電の促進区域として全国最多となる4海域が指定されており、県内の総発電容量は運用中と計画中を合わせて200万キロワット以上(およそ150万世帯分に相当)を見込んでいます。すでに秋田港と能代港の洋上風力発電所(合わせて138,000kW)は運用が始まりました。
計画中の海域のうち、「男鹿・潟上・秋田沖」315,000kWは秋田市沖を含み、2028年6月の運転開始が予定されています(出典:秋田県の洋上風力発電の取組)。
ここで注意したいのは、これが県の事業であって秋田市の施策ではないという点です。面接で触れるなら「市がこれをやっている」ではなく、秋田港という拠点を抱える市として、そこで生まれる仕事や人の流れをどう地域に定着させるかという自分の問題意識の形で語るほうが正確です。
秋田市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、県都である秋田市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
全国で最も速い人口減少の中の県都
秋田県人口ビジョン(令和8年3月改訂)は、県人口が昭和31年(1956年)の約135万人をピークに減少へ転じ、令和7年(2025年)には約87万9千人になったことを課題として明記しています。令和2年国勢調査での減少率6.2%は5回連続で全国最大でした。
国立社会保障・人口問題研究所の推計に基づく令和32年(2050年)の県人口は約56万人と見込まれています(出典:秋田県人口ビジョン|令和8年3月改訂)。
県は昭和26年(1951年)の調査開始以降ずっと社会減が続いており、県外への転出が長期の傾向として定着しています。県人口の3割あまりを抱える秋田市は、この流れの受け皿であると同時に、首都圏への転出の出発点にもなりうる位置にあります。
ただし、県の分析をそのまま秋田市の課題として語ると裏づけのない話になりますので、市の統計で自分の目で推移を確かめてから使いましょう。
高齢化率が全国で最も高い県の中で
秋田県の高齢化率は令和6年(2024年)現在で39.5%と全国で最も高く、令和32年(2050年)には49.9%まで上昇して、その時点でも全都道府県で最も高いと推計されています(出典:高齢社会白書|令和7年版)。この人口構成は産業の姿にも表れており、県全体の付加価値額に占める医療・福祉の割合は全国平均を11.1ポイント上回ります。
県都には医療機関や福祉サービスの拠点が集まりやすく、周辺市町村から利用者が流れ込む構造も生まれます。市民のための施策を組み立てながら、同時に広域の受け皿としても機能するわけです。
この二重の役割は、福祉分野を志望する人が押さえておきたい論点です。
県財政の厳しさという制約
秋田県の令和5年度の実質公債費比率は15.3%(全国43位)、将来負担比率は243.0%(全国42位)で、経常収支比率は89.8%(全国平均92.5%)でした。令和7年度の一般会計当初予算は5,773億円、県債残高は令和7年度末で約1兆2,128億円になる見込みです。
県の財政状況資料は、社会保障関係経費や公債費の高止まりに加え、人口減少などの影響で地方交付税の減少が見込まれるとして、厳しい財政状況が続いていると明記しています(出典:秋田県の財政状況|令和7年6月公表)。
県と市では財政の規模も構造も異なりますが、税収の基盤が細っていくという前提は共通です。志望動機で新しい取り組みを語る場合は、その財源をどう考えるかまで一言添えられると、話の受け止められ方が変わります。
大規模地震への備え
秋田県地震被害想定調査(平成25年8月)は、県に影響を及ぼす地震として日本海東縁部の地震と、能代断層帯・横手盆地東縁断層帯・北由利断層といった陸域の活断層による地震、計27パターンを想定しています。被害が最大となるのは横手盆地・真昼山地連動地震(マグニチュード8.1・最大震度7)で、冬の深夜に発生した場合の死者数は4,524人、建物全壊72,594棟、1か月後の避難者数は約9万人と見込まれています。
歴史上、県内に最も大きな被害を及ぼしたのは昭和58年(1983年)の日本海中部地震(マグニチュード7.7)です(出典:秋田県地震被害想定調査(概要版)|平成25年8月)。
これらは県全体の想定です。人口が集中する秋田市でどう現れるかは、市が公表しているハザードマップや地域防災計画で確認しておきましょう。
28万9千人が暮らす市の避難や帰宅困難者への対応は、周辺の市町村とは規模が変わります。
行政の担い手をどう確保するか
令和8年度の採用予定人員は9区分で合計47人。行政A33人のほか、土木3人、建築2人、電気2人、機械1人、化学1人といった技術系の区分が並びます。
人口が減っていく県の中で、これだけの職種を毎年そろえて採用し続けることは、それ自体が課題です。秋田市が第1次試験に東京会場を設け、スポーツや芸術文化、学術で卓越した実績を持つ人を対象とする行政B区分を用意しているのは、この文脈で理解できます。
行政Bが実績の例として挙げるのは、1年以上続けた海外留学や青年海外協力隊、ボランティアやNPOでの社会貢献活動、語学力を活かした活動、スポーツや芸術文化の全国規模以上の大会やコンクールで収めた成績です。採用後の職務内容や処遇は行政Aと変わりません。
さらに、職務経験者を対象とする試験には移住定住枠の受験案内書が別に用意されています。
つまり秋田市は、県外に出た人材や、公務員試験の枠に収まらない経歴を持つ人材にも接点をつくろうとしているということです。受験者の側から見れば、自分の経歴のどこが市の求める「貢献」につながるのかを説明できるかどうかが問われます。
重点政策|秋田県の方針と秋田市の位置づけ
ここでは、秋田市が置かれた県の状況と、市が採用案内書で示している方向性を手がかりに、市政を理解する土台を作ります。なお、市の計画名や個別の施策は年度ごとに更新されるため、本記事では公式資料で確認できた範囲にとどめています。
「魅力あふれるまちづくり」という言葉の位置
令和8年度の受験案内書は、秋田市が求める職員像を説明する中で「魅力あふれるまちづくりを実現するため」という目的を掲げています。抽象的な言い回しに見えますが、県全体が全国で最も速い人口減少と最も高い高齢化率に直面していることを踏まえると、人に選ばれ続ける市であることが県都の課題として意識されていると読めます(出典:秋田市職員採用試験受験案内書(大学卒業程度・保健師)|令和8年度)。
面接で「秋田市の魅力」を問われたときも、観光名所や食べ物を挙げて終わるのではなく、それが人を呼び込み、住み続けてもらう力にどうつながるのかまで話せると、この方向性と噛み合った答えになります。
県の大型プロジェクトと市の距離感
秋田市を語るときに使いやすい素材が洋上風力発電ですが、これはあくまで県が主導する事業ですので、秋田港という拠点や市内で働く人の暮らしという、市の側の切り口から入るのが前提になります。そのうえで押さえておきたいのが時期です。
2028年6月という運転開始の予定は、いま採用される人が働き始めて間もない時期にあたりますから、遠い未来の話としてではなく、自分が関わりうる期間の話として整理しておきましょう。
POINT|計画名の暗記より、部署と仕事の対応を知る
計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①秋田市の人口規模と県内での位置を知る → ②市の組織図で、自分が携わりたい仕事の担当部署を確かめる → ③その部署の取り組みを市公式サイトや広報紙で調べる → ④自分の経験や強みをどう生かせるかを言葉にする、という順で進めましょう。
悪い例「県庁所在地である秋田市で、まちづくりに関わりたいです」
改善例「秋田市には県の人口の3分の1くらいが集まっていると知って、周りの市町村から来る方も含めて受け止める役割があるのだと感じました。まずは窓口の仕事で市民の方の困りごとを直接聞きながら、住み続けてもらえる工夫を考える仕事に関わっていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できる状態まで持っていければ十分です。
- 秋田市職員採用試験の受験案内書(最新年度・志望する試験区分のもの)
- 秋田市公式サイトの市政情報・広報紙・予算や決算に関する公表資料
- 秋田市が公表している防災情報(ハザードマップ・地域防災計画等)
- 秋田県の人口ビジョン・財政状況資料(県内における秋田市の位置づけを知る参考として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、秋田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。秋田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
秋田市役所の面接の概要
ここからは、秋田市役所の採用試験の構成と面接の位置づけ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
秋田市役所の面接の流れ
令和8年度の受験案内書(大学卒業程度・保健師)によると、選考は第1次試験、第2次試験、第3次試験、資格調査、最終合格発表という順で進みます。第1次が筆記、第2次が論文・適性検査・面接、第3次が面接という配置です。
面接試験は第2次と第3次でそれぞれ行われ、選考全体では計2回実施されます。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒業程度/保健師) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験 → 資格調査 → 最終合格発表 |
| 第1次試験 | 一般教養試験(択一式120分)と専門試験(択一式120分。保健師は90分) |
| 一般教養試験の内容 | 時事、社会、人文および自然に関する一般知識と、文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力を問う問題 |
| 専門試験の出題科目 | 行政Aと文化財保護主事は憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係 |
| 行政Bの扱い | 専門試験を実施せず、提出した自己PRシートによる自己PR試験を行います |
| 基準点 | 第1次試験には基準点があり、基準点に満たない試験種目がある場合は総合得点にかかわらず不合格となります |
| 第2次試験 | 第1次試験の合格者について、論文試験(大学卒業程度のみ)、適性検査、面接試験を実施 |
| 論文試験の評価 | 第3次試験とあわせて行われます |
| 第3次試験 | 第2次試験の合格者について、面接試験を実施 |
| 提出書類 | 「自己申告表」(全受験者)と「自己PRシート」(行政Bの受験者のみ)。市ホームページから様式を取得し、電子申請時に添付ファイルとして提出します |
| 第1次試験の会場 | 秋田会場(秋田県社会福祉会館または秋田市役所本庁舎5階正庁)と東京会場(全国町村会館)。東京会場は収容人数の都合により秋田会場へ変更となる場合があります |
| 申込方法 | インターネット(電子申請)のみ。2つ以上の試験区分には申し込めず、受付後は同年度に市が実施する他の採用試験(障がい者を対象とした試験を除く)にも申し込めません |
| 配点 | 各試験種目の配点や満点、面接の形式・時間・面接官の人数は受験案内書に記載がなく、公表されていません |
| 結果の開示 | 口頭による開示請求が可能。第1次不合格者は一般教養試験と専門試験(行政Bは自己PR試験)の得点と順位、第2次不合格者と第3次受験者はそれに加えて総合評価が開示されます(各発表日から1か月間) |
| 試験の所管 | 秋田市総務部人事課 |
試験区分と採用予定人員は次のとおりです。志望する区分の枠が何人あるのかは、併願の可否や準備の力の入れどころを判断する材料になります。
| 試験区分 | 採用予定人員(令和8年度) |
|---|---|
| 行政A | 33人 |
| 行政B | 1人 |
| 文化財保護主事 | 1人 |
| 土木 | 3人 |
| 建築 | 2人 |
| 電気 | 2人 |
| 機械 | 1人 |
| 化学 | 1人 |
| 保健師 | 3人 |
この構成から読み取れることが3つあります。1つ目は、第1次に基準点があるため、得意科目で稼いで苦手科目を補うという戦い方が通用しないことです。
2つ目は、論文試験が第2次で実施されながら評価は第3次とあわせて行われる点で、書いた内容が最終盤まで持ち越されるということです。3つ目は、面接が2回あることです。
1回目で人物の基礎を幅広く確認し、2回目で志望度と考えの深さを掘り下げるのが、面接を複数回置く試験の一般的な役割分担です。
提出書類の名称にも注意しましょう。秋田市の書類は「自己申告表」と「自己PRシート」であり、他の自治体でよく使われる「面接カード」という名称の様式ではありません。
名前は違っても、面接で聞かれる材料になるという性質は同じです。提出前に、面接で話すつもりの内容と食い違いがないか確かめておきましょう(参考:秋田市の職員採用試験 受験案内書一覧|令和8年度)。
上記は令和8年度の秋田市職員採用試験受験案内書(大学卒業程度・保健師)による内容です。秋田市は職務経験者、高校卒業程度、獣医師、保育士・学芸員・臨床心理士、障がい者を対象とした試験など、区分ごとに別の受験案内書を用意しており、段階構成や試験種目が異なる場合があります。また、面接試験の形式(個別か集団かの別、集団討論の有無)、面接官の人数、面接時間、各試験種目の配点は公表されていません。試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内書でご自身の区分の試験情報をご確認ください。
秋田市役所が求める人物像
秋田市の場合、この点は推測に頼る必要がありません。令和8年度の受験案内書は、求める職員像を「市民・地域・組織へ貢献する職員」と明示しています。
その中身は、魅力あふれるまちづくりを実現するため、市民・地域・組織への「貢献」を常に考え、追求することをめざす職員と説明されています。
ここで注目したいのは、貢献の相手が3つ並べられていることです。市民だけでなく、地域という単位と、組織そのものが挙げられています。
組織への貢献という言葉は、自分の担当を越えて同僚を支えたり、仕事の進め方を良くしたりする姿勢を指すと読めます。自己PRでは「人の役に立ちたいです」と述べて終わらせず、誰にどう貢献し、その結果まわりがどう変わったのかまで具体的に話せるようにしておきましょう。
なお、求める職員像の文言は年度によって変わっています。受験する年度の案内書で必ず確認してください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。秋田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどのように会場まで来られましたか | 構えのない一言のやり取りに出る、第一声の表情と声の調子 |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく公務員を選んだ理由を教えてください | 民間でも実現できる動機で止まっていないか。職業選択の理由が自分の経験とつながっているか |
| ③ 自己理解 | ご自身の短所と、その付き合い方を教えてください | 自分を客観視できているか。短所を認めたうえで対処まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさではなく、その場面で何を考え、どう動いたかという中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文や研究のテーマを、簡単に説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ言い換える力。学びを仕事へつなげる視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか | 市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか | 社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは秋田市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「秋田市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「秋田市役所ならでは」の質問
秋田市は県庁所在地であり、県庁と市役所の両方を受ける人が少なくないと考えられます。1問目が県都ならではの重みを持つのは、そのためです。
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「秋田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい秋田市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 県内での位置づけ | 人口289,888人・面積906.07km²・人口密度320人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。秋田県の総人口865,885人(2026年6月1日現在の推計)に対し、県土の約8%の市域に県人口の3割あまりが集まる | 県内最大という規模を誇る形ではなく、周辺の市町村から人が集まる県都の役割として説明し、そこで自分が担いたい仕事につなげます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 秋田市の採用は総務部人事課が所管し、求める職員像は「市民・地域・組織へ貢献する職員」と明示されている。面接は第2次試験と第3次試験の計2回行われる | 役割分担の説明で止めず、市が掲げる「貢献」の3つの相手のうち、自分がどこにどう関わりたいかを具体的な場面で語ります |
| 秋田市の魅力 | 秋田新幹線こまちで東京まで3時間37分、秋田空港の東京便は1日9便。秋田港は30バースの公共岸壁を持ち、令和6年のクルーズ客船寄港数は26回 | 交通の便を並べて終えず、その結節点が人や物をどう運び入れているのかという流れの話にしてから、自分の関心分野へつなぎます |
| 秋田港と洋上風力 | 秋田港と能代港の洋上風力発電所(合わせて138,000kW)は運用開始済み。秋田市沖を含む「男鹿・潟上・秋田沖」315,000kWは2028年6月の運転開始予定。いずれも県が主導する事業 | 市の施策として語らないことが前提です。港を抱える市の立場から、そこで生まれる雇用や人の流れをどう地域に定着させるかという問題意識として話します |
| 防災・危機管理 | 秋田県地震被害想定調査は、横手盆地・真昼山地連動地震(マグニチュード8.1・最大震度7)が冬の深夜に起きた場合、県内の死者数4,524人・1か月後の避難者約9万人と想定 | 県の想定を出発点に、28万9千人が暮らす秋田市では避難者数の規模が変わることに触れ、市のハザードマップで自分の関わる地域まで確かめたうえで話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、受験案内書が掲げる「市民・地域・組織へ貢献する職員」という職員像に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民への貢献 | 目の前の人が何に困っているかを自分で確かめ、動いた経験があるか | 秋田市の職員像が最初に挙げる相手が市民です。誰かの困りごとに気づいて行動した場面を選び、相手が何と言ったかまで思い出しておきます |
| 地域への貢献 | 自分の所属を越えて、まわりの人や地域に働きかけた経験があるか | 県人口の3割あまりが集まる秋田市では、市民だけでなく周辺から訪れる人も相手になります。学校やサークルの外の人と関わった経験を用意しておきます |
| 組織への貢献 | チームの仕事のやり方そのものを良くしようと動いた経験があるか | 職員像に「組織」が明示されているのが秋田市の特徴です。自分の担当ではないところで手順や情報共有を改善した経験を、変えた前後がわかる形で話せるようにします |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。秋田市は面接が2回ありますので、同じ経験を別の面接官から角度を変えて確かめられることも想定しておきましょう。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、いちばんの備えになります。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 志望区分の受験案内書を読み、受験資格と試験の段階、提出書類の様式を確認する。第1次に基準点があるため、苦手科目を捨てない科目配分で筆記の計画を立てる
- 自己申告表(行政Bの場合は自己PRシートも)の記入内容を先に固める。面接で話すつもりの経験と食い違いがないかを確かめてから提出する
- 高校・大学生活やアルバイト等の経験を棚卸しする。学業・課外活動・仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習する。面接が2回ある試験なので、同じ経験を別の角度から聞かれる想定で、答えるたびに掘られそうな点を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、秋田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
秋田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
秋田市の採用試験は、一般教養と専門の筆記を基準点付きで課したうえで、論文と2回の面接で人物を確かめる構成になっています。筆記を突破した人だけが面接の場に立てる一方、論文の評価が最終盤まで持ち越されることを考えると、書く力と話す力の両方が最後まで問われる試験だといえます。
県土の8%ほどの市域に県人口の3割あまりが集まる県都で、市民と地域と組織の3つに貢献するとはどういうことなのか。受験案内書が掲げるこの職員像を、自分の経験のどの場面と結び付けられるかを言葉にしてから、本番に臨んでください。