本記事では、にかほ市職員採用試験の面接対策で必要な、にかほ市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

にかほ市役所の面接試験では、「なぜにかほ市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。にかほ市の大学卒業程度の試験は、公式の試験案内に書かれている試験種目が第1次試験のSPI3だけで、第2次試験の中身は公表されていません。

形式が読めない分、人物面の準備の厚みがそのまま結果に出ます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心とにかほ市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

にかほ市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずはにかほ市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 秋田県内で隣接するのは由利本荘市だけという、人口21,768人の市である(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。
  • 市域の南側は山形県飽海郡遊佐町と接する。県境をまたぐ暮らしが前提になる位置にある。
  • 総面積は241.11km²、人口密度は90人/km²。秋田県全体の面積は1万1,637平方キロメートル(全国6番目の大きさ)で、そのうち市域が占めるのはおよそ2%にとどまる。
  • 市役所は象潟町字浜ノ田1番地に置かれ、職員採用は人事委員会ではなく総務部総務課人事秘書班が所管している。
  • 大学卒業程度の第1次試験はSPI3(総合適性検査)で、申込はリクナビ専用サイトからのエントリー方式。民間企業の就職活動と同じ入口が用意されている。
  • 令和8年度採用予定の大学卒業程度(一般行政)は、採用予定人数3〜5人程度。令和7年度に実施された試験の区分は、大学卒業程度(一般行政)、高校卒業程度(一般行政・土木・建築・電気)、保健師の3系統だった。
  • 職員の人材育成の基本文書として「第2次にかほ市人材育成ビジョン」(平成31年3月策定)、服務・倫理の基準として「にかほ市職員コンプライアンスマニュアル」(令和2年12月改訂)を公表している。
  • 市の花はねむの花、市の木はむら杉。市名の正式表記は、公式サイト上ひらがなの「にかほ市」である。

にかほ市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「にかほ市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、人口密度など、にかほ市の基礎的なプロフィールを整理しました。市の規模は単独の数字だけでは実感しにくいので、物差しとして秋田県全体の数値も並べています。

項目内容
総人口21,768人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積241.11km²
人口密度90人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体由利本荘市、山形県飽海郡遊佐町(1市1町)
市役所所在地にかほ市象潟町字浜ノ田1番地
市の花/市の木ねむの花/むら杉
(参考)秋田県の総人口865,885人(2026年6月1日現在の推計)
(参考)秋田県の面積1万1,637km²(全国で6番目の大きさ)

にかほ市の人口・総面積・人口密度・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整備する自治体データベース(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)による値です。基準日や集計方法によって市公式の推計人口とは差が出る場合がありますので、面接で数値に触れる際はにかほ市公式サイトの最新値もあわせてご確認ください。秋田県の総人口は県の推計人口(2026年6月1日現在)、面積は県公式サイトによります。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

にかほ市の人口密度90人/km²は、秋田県全体の約74人/km²(上掲の県人口と面積から算出)を上回ります。県内では市域が広いほうではなく、そのぶん市民の暮らしが行政の手の届く範囲にまとまっている、と読むことができます。

一方で母数そのものは減り続けており、県人口は2025年6月からの1年間で17,254人(1.95%)減りました。内訳は自然増減が13,200人の減、社会増減が4,054人の減です(出典:秋田県の人口と世帯(推計)|2026年6月1日現在

市の人口がどのくらいの速さで減っているかは、にかほ市が公表する推計人口で必ず自分で確かめておきましょう。県の減り方をそのまま市の数字として語ると、裏づけのない話になってしまいます

たとえば面接では、次のように規模と課題を結び付けられます。

「にかほ市は人口が2万1千人ほどで、同じ広さに住んでいる人の数でみると、秋田県の平均より少し多いと知りました。県全体では1年で1万7千人ほど減っていますので、市民の方との距離が近いところを生かして、住み続けたいと思ってもらえる関わり方が大事になるのではと感じています」

にかほ市の経済・産業

県経済という土台から押さえる

市の産業を考えるときは、その市が乗っている県経済の姿を先に知っておくと話の見通しが立ちます。ここでは秋田県全体の経済から、にかほ市の地域経済を読む土台を押さえます。

  • 令和3年度の県内総生産は名目3兆5,453億円(前年度比2.2%増)。経済活動別では第1次産業897億円、第2次産業9,163億円(うち製造業6,230億円)、第3次産業2兆5,461億円。
  • 県内総生産の対全国シェアは0.64%
  • 付加価値額の業種別割合(2012年の県産業分析)では、医療・福祉が20.9%(全国平均比プラス11.1ポイント)、建設業が11.2%(同プラス4.8ポイント)と高く、製造業は17.4%(同マイナス5.6ポイント)と低い。
  • 同じ分析の特化係数では、農業・林業が3.64と全国水準を大きく上回る一方、製造業は0.76にとどまる。

つまり、医療・福祉と建設業の比重が高く、農林業への特化が強いのが秋田県の産業構造です。産業振興や雇用の話題では、企業を呼ぶ話だけでなく、いま地域を支えている仕事をどう続けられるようにするかという視点を持っておくと、答えが地に足のついたものになります(出典:秋田県民経済計算|令和3年度

再生可能エネルギーという新しい軸

秋田県は洋上風力発電の促進区域として全国最多となる4海域が指定され、運用中と計画中を合わせた県内の総発電容量は200万キロワット以上(約150万世帯分に相当)を見込んでいます。能代港・秋田港の洋上風力発電所(138,000キロワット)はすでに運用が始まり、にかほ市に隣接する由利本荘市沖では845,000キロワットの事業が2030年12月の運転開始をめざして計画されています。

にかほ市沖の事業ではありませんが、隣接する市の沖合で進む県内最大級の事業ですから、関連する工事や人の動きは地域経済の話題として押さえておく価値があります(参考:秋田県の洋上風力発電の取組|秋田県

県境をまたぐ生活圏

にかほ市が県内で接するのは由利本荘市だけで、南は山形県飽海郡遊佐町です。通勤や通学、買い物や通院といった暮らしの動きは行政の区域では止まりませんから、公共交通や医療、災害時の応援といった分野は、市の内側だけを見ていても実態がつかめません

面接で地域の課題を語るときに、隣接する市や県境の向こう側まで視野に入れて話せると、生活の実感に沿った受け答えになります

にかほ市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、にかほ市が秋田県の市として向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

全国で最も速い人口減少という前提

秋田県人口ビジョン(令和8年3月改訂)は、県人口が昭和31年(1956年)の約135万人をピークに減り続け、令和7年(2025年)には約87万9千人になったことを課題として明記しています。令和2年国勢調査での減少率6.2%は5回連続で全国最大で、国立社会保障・人口問題研究所の推計では令和32年(2050年)の県人口は約56万人と見込まれています。

県は社会減の早期抑制と自然減の抑制を柱に掲げています(出典:秋田県人口ビジョン|令和8年3月改訂

高齢化率が全国で最も高い県で働くということ

令和6年(2024年)時点の秋田県の高齢化率は39.5%で、全国で最も高い水準です(最も低い東京都は22.7%)。令和32年(2050年)には49.9%まで上昇すると見込まれています(出典:高齢社会白書|令和7年版

これは県全体の数値ですが、職員数の限られた市ほど、福祉と地域づくりを同じ職員が担う場面が増えますにかほ市の高齢化の状況そのものは市の公表資料で確認したうえで、面接では「支える側の人手も減っていく」という両面から話せるようにしておきましょう

大規模地震への備え

秋田県地震被害想定調査(平成25年8月)で被害が最大となるのは横手盆地・真昼山地連動地震(マグニチュード8.1・最大震度7)で、冬の深夜に発生した場合の死者数は4,524人、建物全壊は72,594棟、1か月後の避難者は約9万人と想定されています。

県は日本海東縁部の地震と陸域の活断層による地震を合わせて27パターンを想定しており、歴史上最大の被害をもたらしたのは昭和58年(1983年)の日本海中部地震(マグニチュード7.7)でした(出典:秋田県地震被害想定調査(概要版)|平成25年8月

これらは県全体の想定です。にかほ市でリスクがどう現れるかは、市が公表しているハザードマップや避難所の情報で確かめておきましょう。

数を覚えるより、自分の住む地域の想定を一つ言えるほうが、面接では話が具体的になります

少ない採用で次の世代をつくる

令和8年度採用予定の大学卒業程度(一般行政)の採用予定人数は3〜5人程度です。令和7年度に実施された試験でも、区分は大学卒業程度、高校卒業程度(一般行政・土木・建築・電気)、保健師の3系統にとどまります。

人口が減り高齢化が進むということは、行政サービスの受け手が増える一方で、支える側の職員は限られていくということでもあります。数人の採用が市役所の次の世代を形づくるため、一人ひとりを見きわめる目はおのずと細やかになります

第1次試験にSPI3を用い、リクナビ経由で申込を受け付けるのは受験の間口を広げる方式ですが、入口が広いことと選考が甘いことは別だと考えておきましょう

重点政策|県の見通しとにかほ市の人材育成ビジョン

にかほ市政を理解する土台として、まず市が公式に示している職員向けの方針を押さえ、そこに県の財政と人口の見通しを重ねていきます。市の総合計画の名称や個別の施策は、にかほ市公式サイトの市政情報で最新版を確認しておきましょう。

市が公表している職員の方針

にかほ市は、職員の人材育成の基本文書として「第2次にかほ市人材育成ビジョン」(平成31年3月策定)を、服務・倫理の基準として「にかほ市職員コンプライアンスマニュアル」(令和2年12月改訂)を公表しています。

あわせて人事の方針として、「特に若手職員の発想やアイデアを大切にし、風通しの良い職場づくり」「職員が自ら学ぶことを奨励」という記述を公式サイトに掲げています(出典:にかほ市職員採用試験情報|令和7年度

ただしこれらは採用試験の選考基準として示されたものではありません。「求める人物像」としてそのまま暗唱するのではなく、市がどんな職場をつくろうとしているかを知る手がかりとして使うのが適切な距離感です。

県財政という制約

秋田県の財政力指数は0.31178(令和5年度)で、自主財源だけでは行政サービスを賄いきれない水準です。同じ令和5年度の実質公債費比率は15.3%(全国43位)、将来負担比率は243.0%(全国42位)、経常収支比率は89.8%(全国平均92.5%)。

県債残高は令和7年度末で約1兆2,128億円となる見込みで、県は社会保障関係経費や公債費の高止まりを理由に厳しい財政状況が続くと明記しています(出典:秋田県の財政状況|令和7年6月公表

県と市では財政の規模も構造も違いますが、新しいことを始めるには今あるものを見直すしかないという制約は共通です。志望動機で新しい取り組みを語る場合は、その財源や人手をどう考えるかまで一言添えられると、思いつきではない提案として聞いてもらえます。

POINT|計画名の暗記より、調べる順番で差がつく

計画名を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①にかほ市の人口規模と、県内で由利本荘市とだけ接するという位置を知る → ②市の窓口や広報でどんな仕事が行われているかを調べる → ③自分が携わりたい分野を一つ決める → ④その分野で自分の経験がどう役立つかを言葉にする、という順で準備しましょう。

悪い例「にかほ市の地域活性化に貢献したいです」

改善例「まずは窓口の仕事から覚えていきたいです。その上で、にかほ市は人口が2万1千人ほどで職員の数も限られていると聞きましたので、担当が変わっても市民の方に同じように向き合える職員になりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 最新年度のにかほ市職員採用試験案内(志望する試験区分のもの)
  • にかほ市公式サイトの市政情報・広報紙・財政に関する公表資料
  • にかほ市が公表している防災情報(ハザードマップ・避難所一覧等)
  • 秋田県の人口・財政に関する公表資料(県内でのにかほ市の位置づけを知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、にかほ市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。にかほ市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

にかほ市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

にかほ市役所の面接の概要

ここからは、にかほ市役所の採用試験の構成と面接の位置づけ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

にかほ市役所の面接の流れ

令和8年度採用予定(令和7年度実施)のにかほ市職員採用試験のうち、大学卒業程度(一般行政)は第1次試験と第2次試験の2段階構成です。公式の試験案内に試験種目として明記されているのは第1次試験の「SPI3(総合適性検査)」だけで、第2次試験の種目は記載がありません。

つまり、面接の形式も回数も、受験案内の段階では公表されていないということです(出典:にかほ市職員採用試験案内(大学卒業程度)|令和8年度採用予定

項目内容(令和8年度採用予定・大学卒業程度/一般行政)
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階
第1次試験SPI3(総合適性検査)。公式試験案内に明記されている試験種目はこれのみです
第2次試験試験種目の記載がありません。面接の形式(個別面接・集団面接・集団討論の別)や回数も公表されていません
採用予定人数一般行政3〜5人程度
申込方法リクナビ専用サイトからのエントリー方式。エントリーシート(リクナビOpenES)の登録が必要で、事前の申込書用紙の請求は不要です
提出書類上記のエントリーシート。「面接カード」にあたる市独自の様式は公表されていません
配点各試験の満点・人物試験の比重・合否判定の方法は公表されていません
試験の所管人事委員会ではなく、総務部総務課人事秘書班
情報の公表先年度別に「◯◯年度にかほ市職員採用試験情報」と「採用試験案内」の親子ページで公表されます

この構成から読み取れることは2つあります。1つは、筆記の入口がSPI3だけだということです。

公務員試験型の勉強量で差がつく設計になっていないため、第2次試験で何を話せるかの比重が実質的に重くなります。もう1つは、その第2次試験の中身が事前に分からないということです。

個別面接を想定した一問一答だけを磨いても、集団の場で意見を求められれば準備は生きません。形式に合わせるのではなく、どの形式でも使える自分の経験の引き出しを増やしておくのが、この試験に対する現実的な備え方です

上記は、にかほ市が公表する令和8年度採用予定(令和7年度実施)の試験案内および年度別の採用試験情報ページによる、大学卒業程度(一般行政)の内容です。高校卒業程度や保健師の区分は試験の構成が異なる場合があります。面接の形式・回数・面接官の人数・所要時間、および配点は公表されていません。試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の区分の試験情報をご確認ください。

にかほ市役所が求める人物像

にかほ市の採用ページには、他の自治体でみられる定型の「求める人物像」にあたる記載を確認できません(当研究会調べ)。近い記述は人材育成の側にあります。

市は人事の方針として、若手職員の発想やアイデアを大切にすること、風通しの良い職場づくり、職員が自ら学ぶことの奨励を挙げています。

これは選考基準ではありませんが、市がどんな職員と働きたいと考えているかは読み取れます。面接対策の言葉に置き換えれば、自分から学び続けられるか、思いついたことを口に出して形にできるか、周囲と率直にやり取りできるかの3点です。

自己PRでは「まじめに取り組みます」と述べて終わらせず、その姿勢によって周りの人や状況がどう変わったのかまで話せるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。にかほ市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやって会場まで来ましたか用意していない質問への返し方。声の大きさと表情の自然さ
② 動機・志望民間企業ではなく公務員を選ぶ理由は何ですか民間でも実現できる動機で止まっていないか。選んだ理由が自分の経験と地続きか
③ 自己理解自分の短所を、どう付き合っているかも含めて教えてください自分を客観視できているか。弱みを認めた上での工夫があるか
④ 経験・行動周りを巻き込んで何かに取り組んだ経験を教えてください役割の大きさではなく、その場で何を考えてどう動いたかという中身
⑤ 学業・経歴学んできたことを、専門外の人にも分かるように説明してください相手に合わせて言葉を選び直す力。学びを仕事につなげる視点
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか市役所の仕事の幅への理解と、配属をめぐる現実的な構え
⑦ 公共性・社会性最近気になった地域の出来事を教えてください身の回りの出来事を行政の視点でとらえ、自分の意見を述べられるか

ただし、この7カテゴリーはにかほ市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「にかほ市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「にかほ市役所ならでは」の質問

「なぜ秋田県庁ではなく、にかほ市役所なのですか」
「にかほ市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

にかほ市の第1次試験はSPI3で、申込もリクナビ経由です。民間企業と並行して受ける人が多い入口だからこそ、「なぜ民間ではなく公務員なのか」「なぜ県庁でも他市でもなく、にかほ市なのか」という二段構えの問いに自分の言葉で答えられるかどうかが差になります。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「にかほ市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたいにかほ市の事実答え方のヒント
市の規模感人口21,768人・面積241.11km²・人口密度90人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。秋田県全体の人口密度は約74人/km²2万1千人という数字を小さいと言い換えるのではなく、県平均より人口密度が高いという特徴に触れ、市民との距離の近さを自分の働き方の希望に結び付けます
なぜ県庁ではなく市役所かにかほ市は人事委員会を置かず、総務部総務課人事秘書班が採用を所管し、大学卒業程度の採用予定は3〜5人程度。市町村では抱えきれない規模の事務や市町村どうしの連絡役は、県の受け持ちになる3〜5人程度という採用規模を持ち出し、一人の職員が受け持つ役割の幅の広さを、自分が望む仕事の仕方として語ります
県境に接する立地秋田県内で接するのは由利本荘市のみ。市域の南側は山形県飽海郡遊佐町と接する県境をまたぐ生活圏であることを踏まえ、他県の自治体とも足並みをそろえる必要がある分野を一つ挙げて話します
採用方式と併願第1次試験はSPI3。申込はリクナビ専用サイトからのエントリーで、リクナビOpenESの登録が必要民間と同じ入口で受けられる試験ですから、併願を隠すより、にかほ市の名前を先に出して志望理由を言い切るほうが伝わります
防災・危機管理横手盆地・真昼山地連動地震(マグニチュード8.1・最大震度7)で県内死者数4,524人、1か月後の避難者約9万人というのが秋田県地震被害想定調査(平成25年8月)の最大想定。県内の想定は27パターン27という数を覚えるより、にかほ市が公表する避難所や避難経路を一つ調べておくほうが、面接では具体的な言葉になります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、先ほど読み解いた「にかほ市で評価されやすい力」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自ら学び続ける姿勢誰にも言われていないのに、自分で調べたり学んだりしてきたことがあるか市は人事の方針として職員が自ら学ぶことの奨励を掲げています。資格の有無にこだわらず、続けて調べてきたことを一つ、始めたきっかけから話せるようにしておきます
思いつきを形にする力気づいたことを口に出し、実際に何かを変えた経験があるか若手職員の発想やアイデアを大切にすると公表している市ですから、提案が通らなかった経験でも、その後どう働きかけ直したかまで用意しておきます
担当の枠を越えて動ける幅不慣れな役割や、自分の希望と違う仕事にどう向き合うか令和7年度は一般行政のほか土木・建築・電気・保健師も募集された市です。専門職と組んで一つの仕事を進める場面を思い描き、未経験の役目を引き受けた経験を話せるようにしておきます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。にかほ市は第2次試験の形式が公表されていませんから、どの聞かれ方でも耐えられるように、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の採用試験案内を読み、志望区分の受験資格と試験の流れ、リクナビ専用サイトからのエントリー手順を確認する(エントリーシートの内容は面接での発言と食い違わないように)
  2. 高校・大学生活やアルバイト等の経験を棚卸しする。学業・課外活動・仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習する。第2次試験の形式が公表されていないため、一問一答だけでなく、複数人の前で短く話す練習もあわせて行う

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、にかほ市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

にかほ市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

にかほ市役所の想定問答集を見る

さいごに

にかほ市の大学卒業程度の試験は、公式に示されている試験種目が第1次のSPI3だけで、第2次試験の中身は当日まで分かりません。だからこそ、形式に合わせた小手先の対策より、どんな聞かれ方をしても崩れない材料を持っているかが効いてきます

人口2万1千人あまり、県内で接するのは由利本荘市だけ、南は山形県という位置にあるこの市で、3〜5人程度という枠の一人になったとき、自分は何を引き受けたいのか。市が公表している人材育成の方針と、秋田県全体の人口の見通しを手がかりに、自分の経験と結び直す時間をとってから本番に臨んでください