本記事では、東広島市職員採用試験の面接対策で必要な、東広島市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
東広島市役所の面接試験では、「なぜ東広島市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度第1回の募集では、第1次試験の段階から面接が組まれています。
筆記を通ってから人物を見るという順番ではなく、試験当日の午後にはもう面接が始まります。準備の組み立て方が、他市とは変わってきます。
本記事で扱う試験の内容は、東広島市が公表した令和8年度職員募集(第1回)の受験案内にもとづくものです。
東広島市は一般職の採用試験を年4回に分けて実施しており、回によって募集職種が変わります。第1回で募集された職種を前提に整理していますので、他の回を受験する方は、その回の受験案内とあわせてお読みください。
第1部|自治体研究編
東広島市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは東広島市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 広島県の中西部に位置し、県内では広島市・呉市・三原市・竹原市・三次市・安芸高田市と接するほか、熊野町・世羅町・大崎上島町とも隣り合う。
- 市域の面積は635.15km²で、広島県全体(8,478.16km²)の約7.5%にあたる。
- 人口は19万1,300人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。令和7年国勢調査の速報値は19万8,496人で、広島市・福山市に続く県内3番目にあたる。
- 高齢化率は25.0%で、広島県全体の30.2%を5.2ポイント下回る。75歳以上の割合も14.5%と、県全体の18.2%より低い。
- 市の中心市街地である西条には、国の史跡に指定された西条酒蔵群がある。江戸期の宿場町から酒造のまちへと発展した経緯を持つ。
- 市役所本館はJR西条駅から徒歩7分の距離にあり、第1次試験の会場にもなっている。
- 市の消防は、東広島市・竹原市・大崎上島町の各消防署・分署等を受け持つ広域の体制で運営されている。
- 一般職の職員採用試験は年4回実施され、これとは別に技術職の採用試験が5期に分けて行われる。
東広島市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「東広島市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
広島県は「市町民経済計算」として市町内総生産などを公表していますが、これは県民経済計算を各種の統計指標で市町別に按分した推計であり、市が独自に積み上げた金額ではありません。
規模の当たりを付ける用途に留め、面接で額を挙げる必要はないでしょう。この表では、年齢構成と市域の広さ、隣接する自治体の数までを一度に見渡せるようにしました。(参考:市町民経済計算|広島県統計情報)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 191,300人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口(高齢化率) | 4万7,886人(25.0%/広島県全体は30.2%) |
| 75歳以上人口(75歳以上率) | 2万7,767人(14.5%/広島県全体は18.2%) |
| 総面積 | 635.15km²(広島県の約7.5%) |
| 人口密度 | 約301人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 広島市・呉市・三原市・竹原市・三次市・安芸高田市・熊野町・世羅町・大崎上島町 |
| 市の花・市の木 | ツツジ・マツ |
| 市役所の所在地 | 東広島市西条栄町8番29号 |
人口と年齢別の内訳、それぞれの割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値によります。かっこ内の広島県全体の割合も同じ調査の県の値ですので、そのまま比較できます。人口密度は、この人口と面積から当研究会が計算した値です。広島県が公表している国勢調査や毎月の推計人口は基準となる調査が異なりますから、本表の人口と組み合わせて増減を求めることはお控えください。
数字から考えられる市政課題
東広島市の高齢化率25.0%は、広島県全体の30.2%を5.2ポイント下回ります。75歳以上の割合も14.5%で、県の18.2%より3.7ポイント低い水準です(いずれも令和8年1月1日現在)。
同じ調査で県内14市を並べると、東広島市の高齢化率は最も低い。県全体が高齢化の進む局面にあるなかで、この市は年齢構成の面でまだ余裕を持っている側にいます。
ただし、余裕があることは課題がないことを意味しません。令和7年国勢調査の速報値による広島県の人口は2,683,399人で、令和2年から116,303人(4.2%)減りました。
県の人口月報でも、令和8年5月1日現在で対前年同月差での減少が254か月続いています。その中で東広島市は198,496人と県内3番目の規模を保っています。
県の縮小が進むほど、人口を保っている市が背負う役割は重くなるという見方ができます。(出典:令和7年国勢調査 広島県の人口速報|令和7年)
この構図は、面接では次のように言葉にできます。
東広島市の経済・産業
広い市域と、9つの自治体との境
東広島市の市域635.15km²は、広島県全体の約7.5%にあたります。
広島市・呉市・三原市・竹原市・三次市・安芸高田市の6市と、熊野町・世羅町・大崎上島町の3町。合わせて9つの自治体と境を接しています。
市域が県の中央部へ大きく張り出しているためで、南は瀬戸内海側の市町と、北は中国山地側の市と接することになります。
人口密度が約301人/km²であることからも、西条を中心とする市街地と、周囲に広がる農山村の両方を抱える姿が読み取れます。
広島県全体の面積は8,478.16km²で、全国47都道府県のうち11番目の広さです。令和7年国勢調査の速報値では、広島市が1,172,423人、福山市が439,994人、東広島市が198,496人。
県内で3番目の人口を持つ市が、県のほぼ中央に位置しているという地理は、広域の連携を語るときの前提になります。
西条を中心とする酒造のまち
東広島市の中心市街地である西条には、国の史跡に指定された西条酒蔵群があります。江戸期の宿場町から酒造のまちへと発展した歴史を持ち、酒蔵通りの景観をどう保全していくかについて、市は伝統的建造物群保存地区制度の活用を含めて検討を進めています。(出典:西条酒蔵群|東広島市公式)
産業の話としても、まちづくりの話としても使える題材です。志望動機で地域資源に触れるなら、酒蔵を観光の目玉として語るだけでなく、そこで実際に事業を営む人がいて、その建物が生活の場でもあるという二重性まで踏み込むと、行政側の視点になります。
広島県の産業のなかでの位置
広島県の製造品出荷額等は中国・四国・九州地方で11年連続して1位を保っています。造船・鉄鋼・自動車といった重工業から、電気機械・電子部品などの先端産業まで層が厚く、卸売業・小売業の中国5県におけるシェアも高い水準にあります。(出典:広島県の産業・企業情報|県公式)
市の産業を語るときは、この県の骨格の上に東広島市を置いてみてください。広島市に隣接し、県の中央に広い市域を持ち、人口も年齢構成も県内では若い側にあります。
どういう産業がここに立地しやすいのかを自分なりに説明できれば、産業振興を志望分野に挙げても話が続きます。
東広島市の主な行政課題
県内で3番目の人口、9つの自治体と接する広い市域、そして県内14市で最も低い高齢化率。この3条件の組み合わせから、東広島市が向き合っている論点を5つ取り出しました。
面接で課題を問われたときの引き出しにしてください。
若い年齢構成をどう保つか
高齢化率25.0%、75歳以上率14.5%という数字は、県内では低い側に位置します。ただし県レベルでは、合計特殊出生率が令和6年実績で1.29となり、国立社会保障・人口問題研究所の推計や県独自推計の見込みを上回るペースで低下しています。
社会動態でも転出超過が続き、とくに20歳から24歳までの若年層が「就職」を契機に転出超過となる傾向が県の課題に挙がっています。今の年齢構成は結果であって、放っておいて続くものではありません。
広い市域と、地域ごとに違う暮らし
635.15km²の市域には、西条の市街地から山あいの集落までが含まれます。市の職員の勤務場所も、市役所本館だけでなく各支所や出張所、さらに広島中央環境衛生組合や広島県水道広域連合企業団の東広島事務所に及ぶことが受験案内に示されています。
同じ市の中で、行政サービスの届け方は地域ごとに変わります。人口が多いという事実だけを見て市の姿を語ると、この幅を見落とします。
酒蔵通りの景観をどう残すか
国の史跡である西条酒蔵群は、観光資源であると同時に、現役の産業施設であり、人が暮らす町並みでもあります。市は伝統的建造物群保存地区制度の活用を含めて景観保全の検討を進めていますが、規制を掛ければ所有者の負担が増え、掛けなければ町並みが失われていきます。
行政が調整に入らざるを得ない典型的な場面です。文化財と経済のどちらか一方に寄った答えは、面接では浅く聞こえます。
消防を近隣2市町とともに担う体制
東広島市の消防は、東広島市に加えて竹原市と大崎上島町の各消防署・分署等を受け持ちます。受験案内でも消防士の勤務場所としてこの3市町が明記されています。
自分の市の区域を超えて隣の市町の安全まで引き受けるという体制は、事務職を志望する人にとっても他人事ではありません。広域で仕事をする組織であることは、市の役割を説明するときの材料になります。
土砂災害と南海トラフへの備え
県内で指定されている土砂災害警戒区域・特別警戒区域は、令和6年11月28日現在で合計47,842箇所あります。平成30年7月豪雨では県内で死者153名(うち災害関連死44名を含む)を数え、住家被害は全壊1,176棟・半壊3,632棟・一部損壊2,183棟・床上浸水3,180棟・床下浸水5,579棟に及びました。
加えて広島県地震被害想定調査報告書(令和7年10月)は、マグニチュード9.0の南海トラフ巨大地震で県内最大震度6強、想定死者数約1万4千人(うち津波による死者約1万3千人)、全壊棟数約9万棟(液状化約4万5千棟・津波約3万8千棟)と見込んでいます。
避難者は70万人を超え、災害関連死は約1,900人から3,700人と初めて示されました。(出典:広島県地震被害想定調査報告書|令和7年10月)
東広島市の重点政策|広島県のビジョンが示す方向と東広島市
県内で人口を保っている市ほど、県全体の動きから切り離して考えにくくなります。県が改定を進める「ひろしまビジョン」の改定案は、県の総人口が推計を上回る速さで減っている点を主要な課題に置いています。
県の縮小は、東広島市が受け止める側に回ることを意味するという読み方をしておくと、市の施策の位置づけが分かりやすくなります。(出典:ひろしまビジョン改定案|令和7年)
県の課題認識と、東広島市での見え方
| 県が挙げる課題認識 | 東広島市での見え方 |
|---|---|
| 想定を上回るペースで進む人口減少 | 令和7年国勢調査の速報値で県人口は前回比4.2%減。その中で東広島市は198,496人と県内3番目の規模を保っている |
| 出生率の低下による自然減と、20〜24歳の就職を契機とした転出超過 | 高齢化率25.0%という若い年齢構成は、就職期の人にとどまってもらえるかどうかで先の姿が変わる |
| 避難生活の長期化による要配慮者の災害関連死という課題の顕在化 | 635.15km²の市域に市街地と農山村が併存し、避難所までの距離も支援の届き方も地域ごとに差がある |
3つの課題は、東広島市では「まだ深刻ではないが、確実に近づいている」という形で現れます。
深刻な地域と隣り合っている市だからこそ、先に手を打てる立場でもあります。この言い方ができると、志望動機の説得力が変わります。
関心分野の掘り下げ方
POINT|暗記ではなく、つながりで調べる
計画名を言えるかどうかは、面接の評価とは別のところにあります。関心のある分野を一つか二つ決めて、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指しているか → ③今どんな取組があるか → ④市役所だからこそ担える役割は何か → ⑤自分の経験をどう生かすか」の順に調べていきましょう。
悪い例「東広島市のまちづくりに関わりたいです」
改善例「酒蔵通りが国の史跡になっていて、今も現役のお酒の蔵だと聞きました。文化財として守る話と、そこで商売を続けていく話は、そのままでは重ならない場面もあるはずです。蔵元の方の事情を伺いながら折り合いを探る仕事に、町並みを残す側から関わっていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
準備の途中で開くとよい資料を挙げます。東広島市は採用試験の回が多く、回ごとに募集職種も試験内容も変わりますので、自分が受ける回の案内を最初に確定させてください。
- 自分が受ける回の職員募集受験案内
職種・試験内容・試験当日の流れが1冊にまとまっています - 東広島市の職員採用試験の年間日程
一般職4回と技術職5期、県市町合同試験の区分が一覧になっています - 東広島市の総合計画
市がどの分野に力を入れているかを、自分の関心と照らし合わせられます - 西条酒蔵群と景観保全に関する市の資料
文化財としての位置づけと、まちづくりの検討状況が読み取れます - ひろしまビジョンと県の地震被害想定
県が向かう方向と災害リスクを、東広島市の条件と並べて読めます
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、東広島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。東広島市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
東広島市役所の面接の概要
ここからは、令和8年度職員募集(第1回)を対象に、面接の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、市の公表資料と当研究会の分析から整理していきます。
第1次試験の当日から面接がある
令和8年度第1回の東広島市は、第1次試験と第2次試験の2段階で選考を行います。特徴が出るのは第1次の中身です。
書類選考、集団面接試験、筆記試験の3本立てで、筆記の結果を待たずに、同じ日のうちに面接が実施されます。受験案内には、第1次試験当日の受付が午前8時20分から8時45分、午前が筆記試験で午後が面接試験と示されています。
集団面接には注記が付いています。受験人数によっては個人面接試験へ変更する場合がある、というものです。
どちらの形になるかは当日まで確定しないと考えて、両方に備えておくのが安全でしょう。
| 項目 | 内容(令和8年度職員募集・第1回) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階 |
| 第1次試験 | (ア)申込書記載内容に基づく書類選考、(イ)集団面接試験(受験人数により個人面接試験へ変更する場合があります)、(ウ)筆記試験の3本立て |
| 筆記試験 | 全職種「教養」(択一式・2時間)。出題は「社会及び人文に関する一般知識並びに文章理解・判断推理・数的推理及び資料解釈に関する一般知能」 |
| 筆記試験の程度 | 消防士Aのみ大学卒業程度。一般事務C・一般事務S・福祉・情報・保健師・保育士・農業・消防士Sは高等学校卒業程度 |
| 第2次試験 | (ア)個人面接試験(全職種)、(イ)体力試験(消防士Aに限る)、(ウ)身体検査(消防士A・消防士Sに限る) |
| 第1次試験当日の流れ | 全職種共通で受付は午前8時20分から8時45分。午前が筆記試験、午後が面接試験 |
| 募集職種と採用予定 | 一般事務C(障がいのある人)2人程度、一般事務S(職務経験者)5人程度、福祉1人程度、情報(職務経験者)1人程度、農業(職務経験者)1人程度、保健師2人程度、保育士2人程度、消防士A1人程度、消防士S(職務経験者)1人程度。全職種とも学歴は問いません |
| 申込のきまり | 申込みは一つの職種に限られ、受付後に受験職種を変更することはできません |
| 合否の基準 | 受験案内に「第1次試験において、試験項目の成績が一定基準に達しない場合は、不合格となります」と明記されています |
| 配点 | 各試験項目の配点は公表されていません |
| 試験会場 | 第1次試験は東広島市役所本館(東広島市西条栄町8番29号)。JR西条駅から徒歩7分です |
上記は東広島市が公表した令和8年度職員募集(第1回)の受験案内に基づく内容で、同回で募集された職種についてのものです。東広島市は一般職の採用試験を年4回、技術職の採用試験を5期に分けて実施しており、募集職種と試験内容は回ごとに定められます。第2回以降を受験する場合は、その回の受験案内でご確認ください。配点は同案内には記載されていません。(出典:令和8年度東広島市職員募集(第1回)受験案内|令和8年度)
第1回の受験案内には、昨年度からの変更点も書かれています。1つは「農業」を募集職種に新たに加えたこと、もう1つは消防士Aの第1次試験を筆記試験と集団面接試験へ変更したことです。
職種の追加と、面接を前倒しする方向の見直しが同時に行われているという事実は、市が採用に手を入れ続けていることを示しています。
年4回の採用試験と、土木職の別ルート
東広島市の令和8年度は、一般職の採用試験が年4回、技術職の採用試験が5期に分けて予定されています。日程表にはこれらとは別に「県市町合同採用試験(土木職)」の区分も置かれています。(出典:東広島市職員採用試験|令和8年度)
この合同試験は、広島県が実施する広島県市町合同職員採用試験(土木職)を指します。
令和7年度の参加は呉市・竹原市・三原市・福山市・府中市・庄原市・東広島市・廿日市市・熊野町・大崎上島町の10市町で、合同で面接試験を行って採用者を決めます。受験者は3市町まで受験できます。(出典:広島県市町合同職員採用試験(土木職)|令和7年度)
合同試験は土木職を対象とする枠組みで、東広島市が単独で実施する職員募集とは別のものです。事務職をはじめ他の職種は対象に含まれません。参加市町や実施内容は年度によって変わりますので、最新の情報は広島県および東広島市の公表資料でご確認ください。
選考の設計から読み取れる評価の方向
東広島市は、採用試験のページや受験案内で「求める人物像」としてまとめた項目を掲げていません。手がかりになるのは、試験の並べ方そのものです。
申込書の記載内容に基づく書類選考を第1次に置き、同じ日の午後に面接を実施し、第2次で改めて個人面接を行います。申込の段階から選考が始まっており、書いた内容が面接まで持ち越される構造になっています。
東広島市が人物像を言葉で示していないぶん、以下は試験の並べ方から当研究会が推し量った内容になります。人口19万人台の市役所には、県庁ほどの分業も、小さな町ほどの一体感もありません。
市役所本館のほか各支所や出張所、さらに一部事務組合や企業団まで勤務先が広がることが受験案内に示されています。配属される場所によって、向き合う相手も、扱う制度も変わります。
そうした職場では、決まった仕事を正確に処理する力に加えて、着任してから状況を把握し直す構えのほうが効いてくると考えられます。
東広島市の場合、そこに広域という条件が重なります。消防は竹原市と大崎上島町まで受け持ち、土木職には県と市町の合同試験という枠組みがあります。
自分の市の中だけで話が完結しない仕事が、はじめから設計に組み込まれています。他の組織の人と一緒に物事を進めた経験があるなら、それはこの市の説明と噛み合いやすい材料です。
ただ、こうした読み取りに合わせて自分の話を作り替えるのは順番が逆です。第1回の選考では、申込書に書いた内容が書類選考の対象になり、その日の午後の面接、そして第2次の個人面接へと引き継がれていきます。
3つの場面で語られる中身がそろっていることが先で、印象づくりはその後です。
すでに経験してきたことの中から、勤務先も担当も動く職場で生きる場面を選び出し、その理由まで言葉にしておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。東広島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 午前の筆記を終えた直後でも、話し方の調子を戻せるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 年4回の募集のうちこの回を選んだところまで、理由がつながっているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 申込書に書いた自己像と、話す内容に食い違いがないか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 集団面接になった場合でも、限られた持ち時間で要点から話せるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れて学んだことを説明してください | 学歴を問わない試験として、何をどこまで身に付けたかを自分の言葉で示せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 本館・支所・出張所・企業団まで及ぶ勤務先の幅を、どう受け止めているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 広域で仕事をする市の職員として、市外の動きにも目が向いているか |
この7項目は、どの回を受験しても同じように問われる部分です。逆に言えば、ここで抜きん出るのは難しいでしょう。
準備の差がはっきり出るのは、次に挙げる東広島市の中身に踏み込む質問のほうです。
合否を分けるのは「東広島市役所ならでは」の質問
この2問に、県内3番目の人口という規模だけで答えると、統計を読み上げただけの回答になってしまいます。裏返せば、用意してきた人だけが具体で答えられる質問です。
第1次が集団面接になった場合は持ち時間が短くなりますから、長く語るより、数字を1つ入れて短く言い切る練習をしておきましょう。第1次の集団面接でも持ち出せる事実を5つ選び、答え方とあわせて並べます。
| 質問テーマ | 知っておきたい東広島市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 県内での位置 | 人口19万1,300人(令和8年1月1日現在)。令和7年国勢調査の速報値では198,496人で県内3番目 | 規模の大きさで終えず、県全体が減っていく中でこの市が担う役割へ話を進めると、視野の広さが伝わります |
| 年齢構成の若さ | 高齢化率25.0%、75歳以上率14.5%。同じ調査で県内14市の中では最も低い | 若いことを長所として並べるのではなく、この状態を続けるために何が要るかという問いに置き換えます |
| 酒蔵通りと景観保全 | 西条酒蔵群は国の史跡。伝統的建造物群保存地区制度の活用を含めた景観保全の検討が進む | 文化財の保護と、そこで営まれている商売の両方に触れると、調整役としての行政の姿が語れます |
| 消防の広域体制 | 市の消防は東広島市・竹原市・大崎上島町の各消防署・分署等を受け持つ | 事務職志望でも、市域を超えて機能を担う組織であることを踏まえて話すと、理解の深さが出ます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 一般職の採用試験は年4回、技術職は5期。勤務先は本館・支所・出張所のほか一部事務組合や企業団にも及ぶ | 制度の比較ではなく、住民や事業者と直接やり取りする仕事を選ぶ理由を、自分の経験に結び付けます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
東広島市は求める人物像を項目の形では公表していませんので、ここでは選考の設計から評価の軸を読み取ります。
申込書に基づく書類選考、同日の集団面接、第2次の個人面接という並び。コンピテンシー評価の考え方が下敷きにあり、話の巧みさではなく、経験の中身と行動の再現性が確かめられます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 書いた内容と話す内容の一致 | 申込書に記した経歴や志望理由を、口頭でどこまで具体化できるか | 申込書の下書きを手元に残し、書いた一行ごとに「この話を3分でできるか」を確かめておく |
| 限られた時間で伝える力 | 集団面接になった場合、短い持ち時間で要点から話せるか | 主要な経験を1分版と3分版の2通りで用意し、声に出して時間を計っておく |
| 市域と広域への理解 | 市街地から農山村まで、そして隣接市町まで及ぶ仕事の範囲を踏まえて話せるか | 消防の広域体制や合同試験の枠組みなど、市の外につながる事実を1つ選び、自分の関心とつなぐ |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
東広島市は第1次と第2次で面接の場が2度ありますので、1度目に触れた話題が2度目に戻ってくることも想定しておきましょう。実体験に根ざした答えを、細部まで自分の言葉で説明できる状態にしておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける回の受験案内を手に入れ、募集職種と試験内容を確定させる。東広島市は一般職が年4回、技術職が5期に分かれており、回ごとに中身が変わる
- 申込書を書く。第1次で書類選考の対象になる書類なので、面接で話す内容と食い違わないよう、下書きを残しながら仕上げる
- 経験の棚卸しをする。学業・課外活動・アルバイトや職務経験から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 主要な経験を1分版と3分版で言えるようにする。集団面接になった場合に備え、短いほうを先に固める
- 自治体研究のインプットをする。県内3番目という人口規模や酒蔵通りの景観保全など、志望分野に近い事実を2〜3個は数字ごと言えるようにする。そのうえで固有質問の対応表から1つ選び、志望動機の中へ組み込む
- 声に出して練習する。午前に筆記、午後に面接という一日の流れを想定し、頭を切り替えて話し始める練習まで入れておく
優先順位に注意
ステップ5に置いた自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の申込書とステップ3の経験の棚卸しを先に終わらせてください。東広島市は申込書の記載内容が第1次試験の選考項目に入っている試験ですから、ここが曖昧なままでは面接まで曖昧さが持ち越されます。書いたことを語れる状態が先にあって、市の知識はその上に乗ります。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、東広島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
東広島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度職員募集(第1回)の受験案内を読むかぎり、東広島市は第1次試験の当日に筆記と面接を並べ、第2次で改めて個人面接を行う2段階の試験でした。申込書の記載内容も第1次の選考項目に入っています。
人口19万1,300人、高齢化率25.0%。県内で3番目の人口を保ちながら、消防では竹原市と大崎上島町まで受け持つ市です。
県全体が縮んでいく中でこの市がどんな役割を担うのか。自分なりの見方を持ち、そう考える根拠まで言葉にしておけば、申込書の記載でも面接の受け答えでも筋が通ります。
なお、募集職種と試験内容は回ごとに定められ、技術職には5期の試験と県との合同試験という別の枠組みもありますので、準備を始める前に必ず自分が受ける回の受験案内を確認してください。