本記事では、広島県職員採用試験の面接対策で必要な、広島県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
広島県庁の面接試験では、「なぜ広島県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。広島の実情や県の計画を押さえておくと、抽象的な答えを避け、広島県ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と広島県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
広島県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは広島県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は広島市(中区基町)。中国地方の南部にあたる山陽側に位置し、瀬戸内海をはさんで四国と向き合う。陸では岡山県・鳥取県・島根県・山口県と接する。
- 人口は約268万人で、中国地方で最大の人口規模。ただし令和7年国勢調査の速報値では前回調査から4.2%減となり、人口減少が続いている。
- 令和6年の総観光客数は6,474万人。宮島を擁する廿日市市を筆頭に、瀬戸内の景観や食を目当てに国内外から観光客が訪れる。
- 「ものづくり県」として知られ、造船・自動車・鉄鋼から電気機械・電子部品まで層の厚い産業が集まる。製造品出荷額等は中国・四国・九州地方で11年連続1位。
- 広島市は世界で最初の被爆地であり、県は核兵器のない平和な世界の実現を県政の柱の一つに掲げ、国内外へ平和を発信している。
- 瀬戸内の恵みを生かした食も強みで、養殖かきや日本酒(吟醸酒発祥の地)といった特産品を持ち、食を通じた地域ブランドづくりが進められている。
- 山陽の陸海交通の結節点である一方、中山間地域では鉄道路線の維持が課題で、芸備線の再構築協議会が2024年に設置された。
- 県財政に構造的な余裕はない。人口や企業の集積を背景に一定の県税収入がある一方、社会保障関係費や公共インフラの維持管理費の増加が見込まれる。令和6年度の経常収支比率は94.0%で、財政の弾力性は高いとはいえない。
広島県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「広島県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、財政の状況など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約268万人(令和7年国勢調査速報値 2,683,399人・前回比4.2%減) |
| 人口の多い市 | 広島市 約117万人(県人口の43.7%)、福山市 約44万人、東広島市 約20万人、呉市 約19万人 |
| 高齢化率 | 30.1%(令和7年1月1日現在・前年比+0.2ポイント) |
| 合計特殊出生率 | 1.29(令和6年) |
| 総面積 | 8,478.16km²(全国11位) |
| 総世帯数 | 約124万世帯(1世帯当たり2.16人) |
| 県税収入(見込み) | 約4,124億円(令和8年度当初予算) |
| 財政力指数 | 0.602(令和6年度) |
総人口・世帯数は令和7年国勢調査の県集計による速報値、高齢化率は県資料(令和7年1月1日現在)、面積は国土地理院の令和7年調べ、県税収入・財政力指数は令和8年度当初予算および令和6年度決算による数値です。(出典:令和7年国勢調査(速報値)/全国都道府県市区町村別面積調)
数字から考えられる県政課題
広島県は中国地方最大の人口規模を持ちますが、人口が多いことだけを強みとして捉えるのは不十分です。すでに人口は減少局面に入っており、とくに若い世代が就職を機に県外へ流出する動きが続いています。
人口の規模ではなく、若い人に「働く場」と「暮らしの魅力」をどう届けるかが問われています。世帯数はほぼ横ばいの約124万世帯ですが、1世帯当たりの人員は2.16人まで縮小しており、単身世帯や高齢世帯の増加という側面もあわせて考える必要があります。
たとえば面接では、広島県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
広島県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 製造品出荷額等は中国・四国・九州地方で11年連続1位。西日本のなかでも屈指の工業県です。
- 造船・鉄鋼・自動車などの重工業から、電気機械・電子部品などの先端産業まで、層の厚い産業群を形成しています。
- 卸売業・小売業の中国5県におけるシェアも高く、中国地方の経済の中心的な役割を担っています。
- 近年は半導体関連産業やデジタル系企業の集積強化など、成長産業の育成にも力が入れられています。
つまり、「ものづくりを軸に西日本をリードする産業県」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:広島県の産業・企業情報)
ものづくり産業(製造業)
広島県の経済を支えるのは、瀬戸内の臨海部を中心に発達してきた「ものづくり」です。造船業や鉄鋼業、自動車を含む輸送用機械、電気機械や電子部品まで、幅広い分野の企業が集積しています。
県の情勢認識でも、電気機械製造業の生産が堅調で、造船業の持ち直しがみられるとされています。産業の話題では、こうした重厚な製造業の基盤があることを前提に、その競争力をどう保つかという視点を持っておくと説得力が増します。
観光業
観光も広島県の重要な産業です。令和6年の総観光客数は6,474万人(前年比7.2%増)、観光消費額は5,918億円(同18.4%増)と、いずれも大きく伸びました。
宿泊客数も1,167万人泊(同16.5%増)に増え、外国人観光客数は422万人(同57.2%増)と大きく伸びました。宮島を擁する廿日市市には830万人余りが訪れています。
県は令和8年4月に宿泊税を導入し、その財源で観光を主要産業へ育てる方針です。観光に関心があるなら、にぎわいが一部の地域に偏らない周遊のしくみづくりが論点になります。(出典:広島県観光客数の動向|令和6年)
成長産業の育成と脱炭素
県は、既存のものづくりに加えて次の柱づくりも進めています。厳しい国際競争にさらされる半導体関連産業では、企業誘致や県内企業の新規参入の促進、サポート体制の整備によって集積の強化を図っています。
あわせて、大崎上島町に国が整備した拠点と連携したカーボンリサイクルの研究拠点化にも取り組んでいます。人材面でも、県内企業の人的資本経営を後押しするリスキリング支援や、アジアを中心とした海外の学生に日本語教育やインターンシップを提供して県内企業への就職につなげる「ひろしまアカデミー」の構築などが進められています。
志望分野が産業やデジタルであれば、「守る産業」と「伸ばす産業」の両面を語れると、県の方向性を理解していることが伝わります。(参考:知事説明要旨|令和8年2月)
広島県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、広島県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
想定を上回るペースで進む人口減少
令和7年国勢調査の速報値では、前回調査から人口が4.2%減少しました。県は、総人口が国や県の推計を上回るペースで減っていると分析しており、県内の人口は254か月連続で前年同月を下回っています。
医療・福祉、教育、公共交通など、一定の人口規模があって成り立つ生活サービスをどう維持するかが、あらゆる政策の土台になります。
若者の県外流出と少子化
人口減少の中身を見ると、二つの流れが重なっています。一つは自然減で、合計特殊出生率は令和6年に1.29まで低下しました。
もう一つは社会減で、とくに20歳から24歳までの若年層が就職を契機に転出超過となっています。若者や女性に「広島で働き、暮らしたい」と感じてもらえる環境づくりが、県政の最重要テーマの一つです。
県は、県と市町が連携して仕事づくりや地元定着を進める「県・市町一体型プロジェクト」や、女性が業種を超えてつながるネットワークづくりなど、流出を食い止める取組を広げています。
大規模災害への備え
広島県は、地震・津波に加えて豪雨や土砂災害のリスクが高い県です。県の地震被害想定調査(令和7年10月)では、南海トラフ巨大地震で県内最大震度6強、想定死者は約1万4千人、全壊棟数は約9万棟と見込まれています。
同じ想定では、津波の高さは最大4メートル、避難者は70万人を超え、避難生活の長期化に伴う災害関連死は約1,900人から3,700人と初めて示されました。平成30年7月豪雨では県内で153名が犠牲となり、土砂災害警戒区域等の指定は4万7,842か所にのぼります。
県は「災害死ゼロ」を掲げ、事前防災と避難行動の促進、初動応急対応の強化に力を入れています。(出典:広島県地震被害想定調査報告書|令和7年)
産業競争力の維持と人手不足
ものづくり県として発展してきた広島県ですが、物価やエネルギー価格の高騰、通商政策の変化など、企業を取り巻く不確実性は高まっています。加えて、あらゆる分野で人手不足・担い手不足が深刻化しています。
県は、生産性向上や賃上げ環境の整備、先端・成長産業の育成によって、県経済の好循環につなげようとしています。
中山間地域の活力維持と公共交通
県土の多くを占める中山間地域では、人口減少と高齢化により、地域活動の担い手や生活の足の確保が課題です。
県は、地域外人材のマッチングや起業支援に取り組むとともに、バスや航路への支援、デジタルを活用した「広島型MaaS」、芸備線の再構築協議会での実証事業などを進めています。地域による事情の違いを踏まえて「どの地域の何を支えたいのか」まで具体化できると、回答に厚みが出ます。
広島県の重点政策|安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン
広島県の総合計画は「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」(令和2年10月策定・令和3年度始期)です。おおむね30年後のあるべき姿から10年後の目指す姿を描くバックキャストの手法で、令和12年度までの10年間を計画期間としています。
なお、上位のビジョンは令和8年6月に改定され、実行計画である「アクションプラン」も令和8年10月まで延長されたうえで、新たな計画が令和8年11月から施行される予定です。(出典:安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン)
計画を貫く考え方
基本理念は「将来にわたって、『広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かった』と心から思える広島県の実現」です。
そのうえで目指す姿として、県民一人一人が「安心」の土台と「誇り」により、夢や希望に「挑戦」している状態を掲げています。受験生としては、次の三つの言葉で理解しておくとよいでしょう。
- 安心=県民が抱く不安を軽減し、暮らしの土台を支えること。
- 誇り=広島の強みを伸ばし、住むことへの愛着を高めること。
- 挑戦=どこに住んでいても、夢や希望に踏み出せる環境をつくること。
実現に向けた基本的な考え方として、ビジョンは「県民の挑戦を後押し」することと、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」を掲げています。分散か集中かの二者択一ではなく、適切な分散と適切な集中の両方を大切にするという発想です。
志望動機を組み立てるときも、この「安心を土台に誇りと挑戦を広げる」という県の考え方を頭に置いておくと、話の軸がぶれにくくなります。
17の施策領域
ビジョンは、目指す姿の実現に向けて17の施策領域と99の取組の方向を定めています。数が多いので、性格ごとに整理すると全体像がつかみやすくなります。
| 整理の切り口 | 含まれる施策領域 |
|---|---|
| 暮らしの安心 | 健康、医療・介護、地域共生社会、防災・減災、治安・暮らしの安全 |
| 人づくりと誇り | 子供・子育て、教育、スポーツ・文化、平和 |
| 産業と挑戦 | 産業イノベーション、農林水産業、観光、働き方改革・多様な主体の活躍 |
| 地域と環境の基盤 | 持続可能なまちづくり、中山間地域、交流・連携基盤、環境 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がどの施策領域に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
令和8年度の一般会計当初予算は総額1兆1,514億円(前年度当初比5.6%増)で、昨年11月に就任した知事による初めての当初予算編成です。「人を惹きつける地域づくり」「県民の安全・安心な暮らしの基盤づくり」「核兵器のない平和な世界の実現」の三つを柱に、重要施策へ2,119億円が計上されました。
あわせて、物価高・米国関税措置への対応に109億円、養殖かきのへい死対策に3億円などが盛り込まれています。県は、AIをはじめとするデジタル技術を各施策に活用し、部局を横断した総合的な対策を進める方針もあわせて示しています。
ただし県財政は、令和6年度の実質公債費比率が14.8%、令和8年度末の県債残高見込みが2兆2,544億円と余裕のある状況ではなく、限られた財源を重点的に配分する運営が求められています。(出典:令和8年度当初予算)
POINT|17の施策領域をすべて暗記しなくてよい
領域名をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の取組 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験や強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「広島県の観光振興に携わりたいです」
改善例「令和8年に導入された宿泊税を生かして、にぎわいが広島市や宮島に偏らないように、県内をめぐってもらう仕組みづくりに携わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 広島県職員採用試験の受験案内/職員採用のポータルサイト
- 安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン(概要版)
- 最新年度の当初予算・県政運営に関する資料/関心分野の個別計画
- 県の統計資料(人口・産業・観光などを分野別に収録)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、広島県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。広島県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを1問ずつ収録しています。
第2部|面接対策編
広島県の面接の概要
ここからは、広島県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
広島県の面接の流れ
大学卒業程度・行政(一般方式)などの試験は、第1次試験(筆記)と第2次試験(面接)の2段階で、最終合格者は両方の成績を総合して決まります。
ここで注目したいのが配点です。第2次の面接は300点で、単独として最も大きな配点を占めています。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒業程度〈行政(一般方式)〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験・専門試験・論文試験)→ 第2次試験(面接試験)※論文は第1次試験で実施 |
| 面接の形式 | 対面の個別面接。2段階の個別面接を実施 |
| 集団討論・集団面接 | 令和8年度の受験案内に実施の記載はありません |
| 面接の配点 | 300点(第2次試験) |
| 総合成績の構成 | 第1次200点(教養45+専門55+論文100換算)+第2次面接300点=計500点 |
| 面接で見る力 | 使命感、信頼感、コミュニケーション力、判断力、積極性、達成力等 |
| 提出書類 | 採用ポータルを通じて必要書類を提出(面接カードの固有名称は受験案内に記載なし) |
総合成績500点満点のうち、面接だけで300点。最終合格の6割は面接で決まる、人物重視の試験だと言えます。しかも面接は1回で終わらず、2段階の個別面接で多面的に見られます。
用意した答えを言えるかどうかではなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われる構造です。
上記の試験構成は、広島県人事委員会発出の令和8年度受験案内にもとづく大学卒業程度・行政(一般方式)等のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
広島県が面接で見る力
広島県は令和8年度の受験案内で、第2次試験の面接を「使命感、信頼感、コミュニケーション力、判断力、積極性、達成力等についての面接試験」と定めています。
独立した「求める人物像」の文言ではなく、面接で確かめる力として示されているものですが、対策上はこれが実質的な人物像の指針になります。自己PRでは「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲にどんな変化をもたらしたのかまで説明しましょう。(参考:令和8年度職員採用試験の受験案内)
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。広島県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ本県(広島県)を志望するのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | (大学等の)専攻分野を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは広島県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「広島県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「広島県ならでは」の質問
どちらも、広島県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「広島県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい広島県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少 | 令和7年国勢調査速報で人口は約268万人と中国地方最大ながら、前回比4.2%減。県人口は254か月連続で前年同月を下回る | 「中国地方で一番人口が多い県でも減っている」という事実を軸にすると、危機感の一言に重みが出ます |
| 若者の県外流出 | 20〜24歳の若年層が就職を契機に転出超過。合計特殊出生率は令和6年で1.29 | 自分がなぜ広島で働きたいのかを、若者を引き留める側の視点に置き換えて語ると刺さります |
| 県の総合計画 | 「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」。17の施策領域と99の取組の方向で構成 | やりたい仕事を17の施策領域のどれかに位置づけて話せると、方向性を理解した志望に見えます |
| 防災・危機管理 | 南海トラフ巨大地震で県内最大震度6強・想定死者約1万4千人。平成30年7月豪雨の教訓、土砂災害警戒区域等は4万7,842か所 | 防災を語るなら「災害死ゼロ」に触れ、豪雨の教訓を踏まえた事前の備えの話へつなげます |
| 観光と宿泊税 | 令和6年の総観光客数は6,474万人。令和8年4月に宿泊税を導入し、観光を主要産業に育てる方針 | 導入された宿泊税を「何に使い、どう県内周遊を促すか」まで踏み込めると具体性が出ます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「面接で見る力」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 使命感・信頼感 | なぜ広島県で働きたいのか。約束や役割を果たしてきたか | 志望理由を暮らしの原体験と結び付け、相手の期待に応えた経験を一つ用意する |
| コミュニケーション力・判断力 | 相手の話を受けて自分の考えを整理できるか。状況に応じて判断できるか | 結論から順に話す練習をし、意見が割れた場面でどう折り合いをつけたかを語れるようにする |
| 積極性・達成力 | 自分から動いた経験、粘り強くやり遂げた経験があるか | 結果の大小より「なぜやろうと思い、何を工夫して続けたか」を話せるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の受験案内を読み、試験の段階と提出書類、面接の配点を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、限られた時間で面接の受け答えまで固めたい場合は、広島県庁に的をしぼった面接想定問答集を用意しておく選択肢もあります。
広島県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
広島県の面接は、最終合格の6割を占める300点が第2次試験に集中しています。筆記の手ごたえがいま一つでも、面接の準備次第で十分に挽回できる試験だということです。
人口が減り、若い世代が県外へ出ていくなかで、広島で働き、暮らしの魅力を高めたいという思いを、被爆地・広島の歴史や自分自身の経験に重ねて語れれば、きっと大きな強みになります。
この記事を土台に、一つずつ準備を積み重ねていきましょう。