本記事では、島根県職員採用試験の面接対策で必要な、島根県の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

島根県庁の面接試験では、「なぜ島根県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。人口減少という全国屈指の難題に向き合う県だからこそ、県の実情と計画を理解しているかどうかで、回答の説得力が大きく変わります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と島根県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

島根県の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは島根県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 県庁所在地は松江市。中国地方の北部に位置し、東は鳥取県、西は山口県、南は中国山地を隔てて広島県と接し、北は日本海に臨む。
  • 県土は東西に細長く、島根半島の沖合には島前・島後などから成る隠岐諸島が浮かぶ。安来市から津和野町までの東西の距離は約230kmに及び、海岸線の長さは約1,027kmに達する。
  • 人口は全国で2番目に少ない県で、総人口は約63万人。県土は森林が多くを占め、中山間地域と離島が広がる。
  • 県内は大きく、県庁のある松江・出雲を中心とする出雲圏域、西部の石見圏域、離島の隠岐圏域に分けて語られ、それぞれ人口動向や産業、交通事情が異なる。
  • 出雲大社や松江城、世界遺産の石見銀山、隠岐ユネスコ世界ジオパークなど、歴史・自然の観光資源が全県に点在する。近年はNHKの連続テレビ小説の舞台にもなり、注目が高まった。
  • ものづくりでは電子部品などの製造業が集積し、近年はIT産業の従業者数と売上高がともに伸びている。石州瓦やたたら製鉄の系譜を引く産業も残る。
  • 財政力指数は全国で最も低い水準にあり、歳入の約7割を地方交付税などの依存財源が占める。限られた財源を人口減少対策や暮らしの維持へどう重点配分するかが、県政運営の前提になっている

島根県の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「島根県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、県土の広さ、経済規模、財政の状況など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口約63万3,105人(全国で2番目に少ない)
年少人口(0-14歳)約7万2,721人(11.5%)
生産年齢人口(15-64歳)約33万6,397人(53.1%)
老年人口(65歳以上)約22万3,987人(35.4%。県民の約2.8人に1人)
総面積6,707.79km²(全国19位)
位置・隣接中国地方北部。東は鳥取県、西は山口県、南は広島県、北は日本海。隠岐諸島を含む
製造品出荷額等1兆3,838億円(全国44位)
財政力指数0.27(令和5年度・全国で最も低い水準)
当初予算(一般会計)4,924億円(令和8年度)

人口・年齢別人口は令和7年10月1日現在の推計人口、面積は総務省統計、製造品出荷額等は2024年経済構造実態調査(2023年実績)、財政力指数は令和5年度の値です。割合は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

数字から考えられる県政課題

島根県の数字を見るときは、「人口が少ない」ことと「人口が減り続けている」ことを分けて考えることが大切です。総人口は令和7年10月1日現在で約63万人ですが、前年から8,291人(1.29%)減り、県民の約2.8人に1人が65歳以上という高齢化の進行と、若い世代の県外流出が同時に起きています

しかも減少のペースは石見圏域や隠岐圏域で速く、地域による差が大きいのが特徴です。

たとえば面接では、島根県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「島根県は今、約63万人が暮らしていますが、人口は全国で2番目に少なく、毎年8千人ほどのペースで減り続けていると聞きました。数の多さで勝負するのが難しい分、一人ひとりの暮らしをどう支え続けるかが問われていると感じています」

島根県の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 令和3年の経済センサスによると、県内の事業所数は3万2,637(全国比0.6%)、従業者数は29万6,596人(全国比0.5%)で、事業所数・従業者数ともに卸売業・小売業が最も多い
  • 製造品出荷額等は1兆3,838億円(2024年調査・全国44位)。業種別では電子部品・デバイス・電子回路が最大で、鉄鋼、情報通信機械器具が続く。
  • 県内総生産の規模そのものは大きくないが、山陰の観光や、たたら製鉄・石州瓦を源流とする地場産業など、島根ならではの資源を持つ。
  • 地域を支える産業の柱を育て、若い世代の県内就職につなげることが、人口の流出を抑えるうえでも重要になる。

つまり、「経済規模そのものは小さいが、電子部品などのものづくりと、伸びるIT産業を核に、若者が働く場をどう増やすかが問われる」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:経済センサス|令和3年

ものづくり(製造業)

製造品出荷額等は1兆3,838億円(2023年)で全国44位と規模は大きくありませんが、業種の中身に特色があります。最大は電子部品・デバイス・電子回路で、鉄鋼、情報通信機械器具が続き、付加価値額でも電子部品と鉄鋼が上位を占めます。

県は、航空産業やモーター産業への事業化を進める「次世代たたらプロジェクト」や、石州瓦産業の新製品開発などを後押ししています。面接では、県内のどの産業に自分の関心が近いかを一つ言えると、産業政策の話に厚みが出ます。(出典:工業統計(経済構造実態調査)|2024年

農林水産業

中山間地域と離島を多く抱える島根県では、一次産業が地域の暮らしを支えています。県は、気候変動に対応するため高温耐性に優れた新品種の米を開発し、畜産では肉質・肉量ともに全国トップクラスと評価された種雄牛の活用を進めています。

林業では県産木材の利用促進と循環型林業の定着、水産業では「磯焼け」に対応した藻場の整備など、資源を持続的に使う取り組みが課題です。志望動機で農林水産分野に触れるなら、「担い手の確保」という共通のテーマに引きつけると話がぶれません。

IT・情報産業

島根県が近年力を入れているのがIT産業です。県内のIT企業の従業者数は令和2年4月の1,608人から令和7年4月には1,985人へ増加し、売上高も令和元年度の約289億円から令和6年度の約409億円へと伸びています。

若者の就職の受け皿として期待される分野で、県は県西部へのDXコーディネーターの配置や、情報技術を学べる教育環境の整備なども進めています。「若者の県内定着」や「デジタル化」を語りたい人にとって、具体例を持ちやすいテーマです。(出典:知事施政方針|令和8年2月

観光業

島根県は歴史と自然の観光資源が豊富です。令和5年の観光入込客数は延べ約3,019万人、実人数は約1,259万人(前年比12.9%増)で、観光消費額は約1,143億円にのぼりました。

主要地点では出雲大社が約711万人(前年比15.5%増)と最も多く、玉造温泉、足立美術館、松江城、石見銀山が続きます。NHKの連続テレビ小説の放送を追い風とした誘客や、発見500年・世界遺産登録20周年を迎える石見銀山の魅力発信など、地域をまたいだ周遊をどう促すかが政策課題です(出典:観光動態調査|令和5年

島根県の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、島根県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と少子高齢化

島根県にとって最大のテーマが人口減少です。合計特殊出生率は令和5年で1.46と人口を維持できる水準(2.07)を大きく下回り、転入と転出の差である社会移動も令和5年で2,000人規模の転出超過が続いています。

県は、コロナ禍を経て東京一極集中が再び加速したことを受け、対策目標の達成時期を10年延ばしました。子育て支援だけでなく、若者の働く場、住まい、進学、県内定着を関連付けて考える必要があります。

中山間地域・離島の暮らしの維持

県土の多くを中山間地域が占め、隠岐諸島などの離島も抱える島根県では、高齢化と人口減少が進んだ集落で買い物、燃料、生活交通といった生活機能の維持が難しくなっています

県は市町村と連携した「小さな拠点づくり」や、隠岐航路の維持、路線バス運転手の確保などに取り組んでいます。県職員は松江・出雲だけでなく石見部や隠岐の出先機関に配属されることもあるため、こうした地域の暮らしに関わる仕事を志望するなら、その地域固有の事情まで踏み込めると強みになります

産業振興と若者の県内定着

人口の社会減を抑えるには、若者が「島根で働きたい」と思える仕事を増やすことが欠かせません。県は、成長するIT産業や次世代たたらプロジェクトなどの産業振興と、大学生の県内就職支援、UターンやIターンの促進を組み合わせて進めています。

「産業をつくること」と「人を呼び戻すこと」を両輪で考える視点が、島根の政策を理解する鍵になります。

脆弱な財政基盤

島根県は自主財源に乏しく、財政力指数は令和5年度で0.27と全国で最も低い水準にあります。歳入の約7割を地方交付税などの依存財源が占め、国の動向に大きく左右される構造です。

県は令和6年11月に「第2期中期財政運営方針」を策定し、島根創生の推進と健全な財政運営の両立をめざしています。限られた財源を何に重点配分するかという「選択と集中」が、あらゆる施策の前提になります(出典:島根県の財政|令和7年度

災害への備えとインフラの維持

島根県は地震・津波のリスクも抱えています。県の被害想定調査では、陸域で被害が最大となる宍道断層の地震(M7.1)で全壊約3,260棟・死者計102人、海域では鳥取県沖合の断層による地震で津波を含め死者計約397人が想定されています。

加えて、約12年ぶりに再稼働した島根原子力発電所2号機の安全監視や避難計画の実効性向上、山陰道の整備、JR地方路線の維持なども県政の重い課題です。(参考:地震・津波被害想定調査|平成30年

島根県の重点政策|第2期島根創生計画

島根県の最上位の計画は「第2期島根創生計画」(令和7年3月策定)です。計画期間は令和7年度から令和11年度までの5年間で、人口減少対策と地方創生を核に据え、県が実施する対策を「3つの柱」と「8つの基本目標」で整理しています。(出典:第2期島根創生計画

計画を貫く考え方

計画がめざす将来像は「県民一人ひとりが愛着と誇りを持って幸せに暮らし続けられる島根」です。

県は、島根の良さである「人のつながり、あたたかさ」を「誰もが、誰かの、たからもの。」というキーフレーズで発信しています。

長期の数値目標として、合計特殊出生率を2045年までに2.07(人口を維持する水準)へ、人口の社会移動を2040年までに均衡(差し引きゼロ)へ近づけることを掲げています。受験生としては、次の3つの柱で全体像をつかんでおくとよいでしょう。

  • 第1編 人口減少に打ち勝つための総合戦略(産業・結婚出産子育て・地域・人づくり)
  • 第2編 生活を支えるサービスの充実(健康・医療・福祉・心豊かな社会)
  • 第3編 安全安心な県土づくり(暮らしの基盤・防災)

3つの柱と8つの基本目標

基本目標
第1編 人口減少に打ち勝つための総合戦略Ⅰ 活力ある産業をつくる
Ⅱ 結婚・出産・子育ての希望をかなえる
Ⅲ 地域を守り、のばす
Ⅳ 島根を創る人をふやす
第2編 生活を支えるサービスの充実Ⅴ 健やかな暮らしを支える
Ⅵ 心豊かな社会をつくる
第3編 安全安心な県土づくりⅦ 暮らしの基盤を支える
Ⅷ 安全安心な暮らしを守る

面接では、自分の取り組みたい仕事がどの基本目標に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

令和8年度の県政運営のポイント

令和8年度の当初予算は4,924億円で、エネルギー価格・物価高騰対策と島根創生の推進の両立を図りつつ、健全な財政運営をめざす編成とされました。

第2期島根創生計画に基づき、産業、結婚・出産・子育て、暮らしの支援、新しい人の流れづくりに関連する事業が強化されるほか、山陰道の延伸や石見銀山の記念事業、令和12年開催予定の国民スポーツ大会に向けた準備なども進められています。(出典:知事施政方針|令和8年2月

POINT|施策名をすべて暗記しなくてよい

事業の名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態をめざすか → ③現在の事業 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「島根県の観光振興に携わりたいです」

改善例「まずは県職員として、地域の方や事業者の話を丁寧に聞くところから始めたいです。そのうえで、出雲大社などに来られた方に石見や隠岐まで足を運んでもらえるよう、地域をまたいだ周遊を促す仕組みづくりに関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 島根県職員採用試験の受験案内/職員採用パンフレット・職種紹介
  • 第2期島根創生計画(概要版)
  • 最新年度の当初予算・第2期中期財政運営方針/関心分野の個別計画
  • 島根県の姿・各種統計資料(人口・産業・観光などを分野別に収録)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、島根県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。島根県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

島根県庁の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

島根県の面接の概要

ここからは、島根県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

島根県の面接の流れ

島根県の大学卒業程度試験(行政A)は、第1次試験(教養試験・専門試験・性格検査・論文試験)と第2次試験(面接試験・集団討論試験)の2段階で行われます。

合計900点のうち人物試験(個別面接300点+集団討論200点=500点)が過半を占める人物重視型で、論文200点と合わせると、筆記以外の比重の高さがはっきりわかります。

項目内容(令和8年度・行政A)
試験の段階第1次試験(教養・専門・性格検査・論文)→ 第2次試験(面接試験・集団討論試験)。論文は第1次試験日に実施し、採点は第2次で行う
面接の種類個別面接(職務遂行能力等をみる目的で実施)
集団形式集団討論試験(集団内における個人の適応性や社会性をみる目的で実施)。全区分中、行政Aのみに課される
人物試験の配点個別面接300点+集団討論200点=計500点(教養100・専門100・論文200と合わせ総合900点満点)
面接カードあり(島根県での名称は「自己紹介書」)。Excel様式を作成しA4で印刷、第1次試験日に持参し、第2次の面接の参考資料とする
面接以外の検査性格検査(20分・配点なし)。第1次で実施し、結果は第2次の面接の参考とする

注目してほしいのは配点の重みです。個別面接だけで300点と単一の試験種目としては最も大きく、行政Aだけに課される集団討論200点を加えると、人物をみる試験が総合得点の半分以上を占めます。

用意した答えを言えるかではなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるか、他の受験者と議論しながら考えを示せるかが問われる構造です。

上記の試験構成は、島根県人事委員会発出の令和8年度受験案内にもとづく大学卒業程度試験(行政A)のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

島根県が求める人物像

島根県は受験案内で、面接試験を「職務遂行能力等をみる」ため、集団討論試験を「集団内における個人の適応性や社会性をみる」ために実施すると説明しています。

特定の人物像を標語として大きく掲げるより、これら試験の目的と、県政の最上位計画である第2期島根創生計画がめざす方向から、島根県が確かめようとしている資質を読み解くのが実際的です。整理すると、職務を担う基礎力、周囲と協力して合意を作る適応性や社会性、そして人口減少という難題に前向きに向き合い島根で働き続ける意欲の3つに集約できます。

自己PRでは、「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲や相手にどのような変化をもたらしたのかまで説明しましょう。(参考:令和8年度受験案内

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。島根県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は会場まで、どのくらい時間がかかりましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望数ある自治体の中で、なぜ島根県を選んだのですか?「島根県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか
③ 自己理解あなたの長所と短所を教えてください自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も力を入れて取り組んだことは何ですか?過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています
⑤ 学業・経歴学生時代に学んだことを、仕事でどう生かせそうですか?自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか
⑥ 適性・将来採用されたら、どんな県職員になりたいですか?働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し
⑦ 公共性・社会性最近、関心を持った出来事やニュースはありますか?社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点

ただし、この7カテゴリーは島根県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「島根県ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「島根県ならでは」の質問

「なぜ市役所や国ではなく、島根県庁を志望するのですか?」
「島根県の一番の課題は何だと思いますか。あなたなら、どう取り組みますか?」

どちらも、島根県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「島根県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい島根県の事実答え方のヒント
人口減少合計特殊出生率は令和5年で1.46。社会移動も2,000人規模の転出超過が続き、対策目標の達成時期を10年延ばした「人口を維持する水準の2.07には遠い」という現在地を押さえると、課題認識の一言に説得力が出ます
県の総合計画「第2期島根創生計画」(令和7年3月策定、令和7〜11年度)。3つの柱と8つの基本目標で構成やりたい仕事を8つの基本目標のどれかに位置づけて話せると、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります
中山間地域・離島県土の多くが中山間地域で、隠岐諸島などの離島も抱える。採用後は松江・出雲だけでなく石見部や隠岐など県内各地への勤務もありうる石見や隠岐を含め、県内のどこに配属されても前向きに働く覚悟と、地域に貢献したい理由をセットで語ります
産業と若者の定着IT産業の従業者数は令和2年4月の1,608人から令和7年4月の1,985人へ増加。県は県内就職やUターン・Iターンを支援「若者が働く場を増やす」という視点で、自分の関心や経験を県内定着の話につなげます
財政財政力指数は令和5年度で0.27と全国で最も低い水準。歳入の約7割が依存財源「限られた財源で優先順位をつける」という前提を理解していると、現実的な提案として響きます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

島根県の場合、個別面接と集団討論という2つの種目に対応する形で、次の観点を意識しておくとよいでしょう。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
職務遂行能力個別面接で、経験の具体と、そこから入庁後に生かせる力が語れるか学業・部活動・アルバイトから「課題→自分の工夫→結果」を1つ、細部まで話せるようにする
適応性・社会性集団討論で、他者の意見を踏まえて自分の考えを示し、合意づくりに関われるか結論を急がず、相手の発言を受けて話をつなぐ役回りを日頃から練習しておく
地域への理解と定着意欲島根の課題を自分ごととして受け止め、県で働き続ける覚悟が伝わるか人口減少や中山間地域の課題を、自分の経験や関心と結び付けて語れるようにする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、試験日程と自己紹介書の記入項目を確認する。行政Aは集団討論試験があることも押さえておく
  2. 学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ棚卸しする。できれば島根県との関わりや、地域に貢献した経験も探しておく
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足す。集団討論に向けて、他者の意見を受けて話す練習も加える

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、島根県庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

島根県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

島根県庁の想定問答集を見る

さいごに

島根県の行政Aは、個別面接と集団討論を合わせた人物試験と論文で、総合得点の大部分が決まります。

筆記の一発勝負ではなく、経験を語る力と、人と議論しながら考えをまとめる力が、そのまま合否につながる試験です。

人口が全国で2番目に少ないこの県が、なぜ人を増やすことにこれだけ力を注ぐのか。その問いを自分なりに考え、島根で働く理由を自分の言葉で話せるようになれば、面接の景色は変わります

焦らず、自分の経験を掘り起こし、島根で暮らし働きたい理由を声に出して確かめる作業を、一つずつ積み重ねていきましょう。