本記事では、江田島市職員採用試験の面接対策で必要な、江田島市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

江田島市役所の面接試験では、「なぜ江田島市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。江田島市の受験案内でひときわ目を引くのは、最終合格を第2次試験の結果だけで決めるという書き方です。

筆記でどれだけ点を稼いでも、そこは持ち越されません。

本記事で扱う試験の内容は、江田島市が公式サイトで公開している令和5年度の受験案内(高等学校卒業程度)にもとづき、令和5年度時点の構成として整理したものです。

近年の募集は職員採用情報サイトを通じて行われており、試験の内容もその年度の案内で示されます。受験の際は、必ずご自身が受ける年度の案内とあわせてご覧ください。

第1部|自治体研究編

江田島市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは江田島市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 広島湾に浮かぶ島々からなる市で、隣接する自治体とはすべて海を隔てて接している。呉市・広島市・大竹市・廿日市市・坂町、そして山口県岩国市が海上での隣接自治体にあたる。
  • 市域の面積は100.65km²で、広島県全体(8,478.16km²)の約1.2%にあたる。
  • 人口は2万181人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市の公式サイトは、2026年5月31日現在の人口を19,936人、世帯数を11,615世帯としている。
  • 高齢化率は45.2%で、広島県全体の30.2%を15.0ポイント上回る。75歳以上の割合も29.2%と、県全体の18.2%を大きく超える。
  • 明治21年に海軍兵学校が東京の築地から移転し、現在は海上自衛隊の第1術科学校と幹部候補生学校が置かれている。
  • 市はオリーブ栽培について広島県内最大の産地と説明しており、かき・柑橘・花きの生産も行われている。
  • 職員採用試験は江田島市が単独で実施しており、広島県が行う土木職の合同試験には参加していない。

江田島市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「江田島市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

広島県は「市町民経済計算」として市町内総生産などを公表していますが、これは県民経済計算を統計指標で市町別に按分した推計値で、市が自前で積み上げた金額ではありません。

小さな市ほど推計の幅も気になりますので、面接で額を持ち出す必要はないでしょう。ここでは年齢構成と市域、そして海で接する隣接自治体までを一覧にしました。

項目内容
総人口20,181人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口(高齢化率)9,130人(45.2%/広島県全体は30.2%)
75歳以上人口(75歳以上率)5,896人(29.2%/広島県全体は18.2%)
総面積100.65km²(広島県の約1.2%)
人口密度約201人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体(海上で隣接)呉市・広島市・大竹市・廿日市市・坂町、山口県岩国市
市の花・市の木キク・サクラ
市役所の所在地江田島市大柿町大原505番地

総人口と年齢別の内訳、それぞれの割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。並記した広島県全体の割合も同じ調査の県の値ですから、そのまま比べられます。人口密度は、この人口と面積をもとに当研究会が算出しました。本文で触れた市公式サイトの人口(2026年5月31日現在)や、広島県が公表する国勢調査・推計人口は基準となる調査や時点が異なりますので、本表の人口と組み合わせて増減を計算しないでください。

数字から考えられる市政課題

江田島市の高齢化率45.2%は、広島県全体の30.2%を15.0ポイント上回ります。75歳以上の割合も29.2%で、県全体の18.2%を11.0ポイント超えています(いずれも令和8年1月1日現在)。

同じ調査で県内14市を並べると、江田島市の高齢化率は最も高い。市民のおよそ10人に3人が75歳以上という構成です。

県全体も減少局面にあります。広島県の人口は、令和7年国勢調査の速報値で2,683,399人。

令和2年の前回調査と比べると116,303人減で、減少率は4.2%です。

県の人口月報を見ても、対前年同月差での減少は令和8年5月1日現在まで254か月続いています。

県が緩やかにたどっている道を、江田島市は先に歩いているという位置づけになります。(出典:令和7年国勢調査 広島県の人口速報|令和7年)

この位置づけは、面接では次のように言葉にできます。

「江田島市は、市民の4割以上が65歳以上だと知りました。75歳以上の方も3割近くいらっしゃいます。県全体もこれから同じ方向に進むと聞きましたので、江田島市でうまくいったやり方は、後から他の市の役に立つのではと感じています」

江田島市の経済・産業

海だけで外とつながる市域

江田島市の市域100.65km²は、広島県全体の約1.2%にあたります。呉市・広島市・大竹市・廿日市市・坂町、そして山口県岩国市と接していますが、そのすべてが海上での隣接です。

陸路で市境をまたぐことができない市という条件は、通勤や通学、買い物、医療、そして災害時の支援の入り方まで、あらゆる行政分野の前提になります。

人口密度は約201人/km²で、限られた平地に集落が点在する姿がうかがえます。

海軍兵学校から続く歴史

明治21年、海軍兵学校が東京の築地から江田島へ移転しました。現在その場所には海上自衛隊の第1術科学校と幹部候補生学校が置かれています。(出典:海軍兵学校と海上自衛隊|江田島市公式)

市外から人が訪れる理由になっている施設であり、地域の経済とも結び付いています。志望動機でこの歴史に触れるなら、観光の材料として並べるだけでなく、施設と市民の暮らしがどう隣り合っているかまで想像しておきたいところです。

オリーブと海の幸

市の公式サイトは、オリーブ栽培について広島県内最大の産地と説明しています。あわせて、かき・柑橘・花きの生産も行われています。(出典:江田島市の農林水産業|江田島市公式)

参考までに、広島県全体では造船・鉄鋼・自動車から電気機械・電子部品まで層の厚い産業群が形成され、製造品出荷額等は中国・四国・九州地方で11年連続して1位を保っています。

江田島市はその工業県の中にあって、農水産業と自衛隊関連の施設を軸にした、別の性格を持つ地域です。県との違いを説明できると、「なぜ県庁ではなく市役所か」という問いにも答えやすくなります。(出典:広島県の産業・企業情報|県公式)

江田島市の主な行政課題

県内14市で最も高い高齢化率、海だけで外とつながる市域、そして人口2万人という規模。この3つが江田島市の課題を形づくっています。

面接で課題を問われたときの引き出しとして、4つに整理しました。

高齢化の先頭を走る市であること

高齢化率45.2%、75歳以上率29.2%という水準は、買い物や通院、住まいの周りの草刈りといった日常の維持を、誰がどう担うのかという問いを常に突きつけます。県の合計特殊出生率は、令和6年実績で1.29でした。

国立社会保障・人口問題研究所の推計も県独自推計の見込みも、この低下の速さには追いついていません。

人の出入りを見ても、20歳から24歳までの若年層が「就職」を契機に転出超過になる状態が変わっていません。若い世代が島の外へ出ていく流れと、残る世代の高齢化が同時に進んでいます。

海に囲まれていることの重み

陸続きの隣接自治体を持たない市では、日常の移動も緊急時の対応も海路と橋に依存します。医療や介護の専門職を確保しにくい、災害時に支援の到着が遅れやすい、といった条件は、他市と同じ制度を運用しても同じ結果にならない理由になります。

同じ仕事でも、島でやると手順が変わります。この感覚を持てるかどうかが、志望動機の具体性を左右します。

災害への備え

土砂災害警戒区域・特別警戒区域は、令和6年11月28日現在、県内に合計47,842箇所が指定されています。平成30年7月豪雨では県内で死者153名(うち災害関連死44名を含む)を数え、住家被害は全壊1,176棟・半壊3,632棟などの規模となりました。

加えて広島県地震被害想定調査報告書(令和7年10月)は、マグニチュード9.0の南海トラフ巨大地震で県内最大震度6強、想定死者数約1万4千人(うち津波による死者約1万3千人)、全壊棟数約9万棟(液状化約4万5千棟・津波約3万8千棟)と見込んでいます。

津波の高さは最大4メートル、避難者は70万人超、災害関連死は約1,900人から3,700人と初めて示されました。(出典:広島県地震被害想定調査報告書|令和7年10月)

津波を伴う地震で、海に囲まれた市が何を最優先にするか。ここは自分なりの考えを持っておきたい論点です。

少ない職員で幅広い職種を回す体制

令和5年度の受験案内では、一般事務のほか、学芸職員(さとうみ科学館)、土木技師、保育士、保健師が募集されていました。採用予定は職種ごとに1人から数人程度です。

受験案内には、一般事務以外の職種であっても市長部局などの一般事務に一定期間従事することがある、との記載もあります。専門職として採用されても、行政事務に携わる場面があるという運用は、規模の小さい市役所の実情を映しています。

江田島市の重点政策|広島県のビジョンが示す方向と江田島市

県が心配していることの多くは、江田島市ではもう起きています。改定作業が進む「ひろしまビジョン」の改定案は、県の総人口が推計を上回るペースで減っている点を主要課題に据えています。

県にとっての将来予測が、この市にとっては現在の説明になるという関係を頭に入れておくと、市政の話に芯が通ります。(出典:ひろしまビジョン改定案|令和7年)

県の課題認識と、江田島市での見え方

県が挙げる課題認識江田島市での見え方
想定を上回るペースで進む人口減少市の人口は2万181人。高齢化率45.2%は県全体を15.0ポイント上回り、県内14市で最も高い
出生率の低下による自然減と、20〜24歳の就職を契機とした転出超過島の外に進学や就職で出た若い世代が、戻る選択をできる条件をどうつくるかが問われる
避難生活の長期化による要配慮者の災害関連死という課題の顕在化要配慮者の割合が高く、かつ支援が海路や橋に頼る市として、避難後の生活をどう支えるかが直接の課題になる

3つとも、この市では抽象論になりません。数字の裏に実際の暮らしが見えている状態で話せるかどうかが、志望動機の厚みを決めます。

関心分野の掘り下げ方

POINT|覚える対象を絞る

計画の名称を覚え込んでも、それ自体が加点されるわけではありません。島の暮らしに直結する分野を一つ選び、その分野で何が起きているのか、市は何年後にどうなっていたいのか、そのために今どんな手が打たれているのかを順に確かめてください。そのうえで、自分の経験のどこが噛み合うかまで書き出しておけば、答えは自分のものになります。

悪い例「江田島市の高齢者福祉に貢献したいです」

改善例「市民の3割近くが75歳以上だと知りました。陸路で外へ出られない島で、買い物や通院にどう行かれているのかは、資料を読むだけでは分からないところだと思います。実際に伺って、少ない担い手でも続けられる形を一緒に考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

面接までに一度は開いておきたい資料です。江田島市は募集のたびに職員採用情報サイトで案内が出ますので、そこを起点にすると迷いません。

  • 自分が受ける年度の職員採用試験受験案内
    職種・試験科目・第2次試験の内容が示されます
  • 江田島市の職員採用情報のページ
    募集の有無と申込方法が確認できます
  • 江田島市の総合計画
    市がどの分野に力を入れているかを、自分の関心と照らし合わせられます
  • ひろしまビジョンと県の地震被害想定
    県全体の方向と災害リスクを、島という条件と重ねて理解できます

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、江田島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。江田島市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

江田島市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

江田島市役所の面接の概要

ここからは、令和5年度の受験案内に示された構成をもとに、面接の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を整理していきます。

最終合格は第2次試験だけで決まる

江田島市の受験案内には、次の一文があります。最終合格者は第2次試験の結果に基づき決定し、第1次試験の結果は反映されない。

ただし例外が一つ付いています。作文試験の評定は、第2次試験の得点としても用いる、というものです。

つまり、第1次の教養試験や専門試験は通過のための関門であって、最終順位には持ち越されません。第1次で唯一持ち越されるのが、記述式60分の作文の評定です。

ここは筆記対策と面接対策の中間にある科目ですから、優先度を上げて考えたほうがよいでしょう。

項目内容(令和5年度受験案内・高等学校卒業程度)
試験の段階第1次試験 → 第2次試験の2段階。第2次試験は第1次試験の合格者のみに実施されます
第1次試験(一般事務)一般・社会人とも、教養試験+作文試験+適性試験
第1次試験(その他の職種)土木技師(一般)・保育士(一般)は専門試験+作文試験+適性試験。土木技師(社会人)・保育士(社会人)・学芸職員・保健師は作文試験+適性試験
教養試験択一式75分。社会についての関心や基礎的・常識的な知識、職務遂行に必要な基礎的な言語能力と論理的思考力についての試験(民間企業志望者や社会人経験者、中途採用者も対象とした内容)
作文試験記述式60分。提示されたテーマに関する作文による、表現力、思考力、構成力などについての試験
適性試験択一式60分程度。性格特性検査及び職場適応性検査で、第2次試験の参考資料として実施されます
第2次試験全職種でグループワーク(試験官の指示により、グループで討論・作業・発表などを行う/180分程度)と個別面接(1人30分程度を2回)。学芸職員のみプレゼンテーション(1人20分程度)が加わります
最終合格の決め方第2次試験の結果に基づき決定され、第1次試験の結果は反映されません。ただし作文試験の評定は第2次試験の得点としても用いられます
提出書類第1次試験合格者は全職種、第2次試験の前に学業成績証明書を提出します。社会人枠・学芸職員・保健師は申込時に職務経歴書を提出し、最終合格発表後に職歴証明書などを提出します
配点各試験の配点は公表されていません。各試験について、成績が一定基準に達しない場合は不合格となります

上記は、江田島市が公式サイトで公開している令和5年度職員採用試験受験案内(高等学校卒業程度)に基づく内容です。募集職種・試験科目・採用予定人数は年度ごとに定められます。また申込方法については、令和5年度の申込書の郵送・持参から、近年は職員採用情報サイトを通じたインターネット申込みへ移行しています。受験の際は、江田島市が公表する最新の受験案内および職員採用情報サイトでご確認ください。(出典:江田島市の職員採用情報|令和8年度)

グループワークが180分あるという意味

第2次試験のグループワークは180分程度です。試験官の指示によって、討論・作業・発表などを行うとされ、テーマは試験日当日に知らされます。

加えて個別面接が1人30分程度で2回。合わせると、第2次試験だけで半日近くを他の受験者や面接官と過ごすことになります。

3時間という長さは、用意してきた台詞では埋まりません。途中で議論が行き詰まったとき、話していない人がいるとき、時間が足りなくなったときに何をするか。

そういう場面での振る舞いが、そのまま評価の材料になります。

選考の重心はどこにあるか

江田島市は「求める人物像」としてまとめた項目を公表していません。読み取る手がかりは、選考の組み立て方です。

第1次の点数を最終順位に持ち込まず、グループワークと2回の個別面接、それに作文の評定だけで最終合格を決めています。知識より、人と仕事をする場面での姿を見に来ている選考だと受け取れます。

公表されているのはここまでで、以下は当研究会が島という条件を踏まえて足した話になります。人口2万人規模の市役所では、一人の職員が受け持つ範囲が広くなりがちです。

受験案内が、専門職で採用された人も一定期間は一般事務に従事することがあると断っているのは、その表れでしょう。

加えて江田島市は、職員が広島県水道広域連合企業団に勤務する場合には市職員と企業団職員の身分を併せ持つ、という運用も明記しています。所属の枠がそのまま仕事の枠にならない職場です。

そういう環境では、初めての分野に当たったときに自分で調べ、周りに聞きながら形にしていける人が働きやすいと考えられます。

加えて、市民との距離が近い島の市ですから、丁寧なやり取りや誠実さの比重も高いでしょう。

市外から受験する人は、なぜこの市なのか、どの課題に関心があるのか、生活者としてどう関わるつもりなのかを具体的に語れれば、島の出身であるかどうかは大きな問題になりません。

とはいえ、この市に合わせた人物像を演じる準備は要りません。第2次試験で使われるのは、180分のグループワークと30分の面接2回、そして自分で書いた作文です。

合計すれば4時間を超えます。その時間の中で取り繕える人はいませんから、素の自分の中から江田島市の仕事に噛み合う部分を探し、そこを人に伝わる形に整えておきましょう。

準備としてはそれで十分です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。江田島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?島へ渡る移動を経て、落ち着いて話し始められるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?人口2万人規模の市を選んだ理由まで、話がつながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?60分の作文で書いた自分と、話す自分に食い違いがないか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください結果の大きさではなく、行き詰まったところから動き直せたか
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れて学んだことを説明してください学業成績証明書を提出する試験として、学びの中身を語れるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?専門職でも一般事務に従事しうる職場の実情を受け止めているか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?グループワークの題材にもなりうる社会の動きを見ているか

7項目そのものは、どこの自治体を受けても問われます。準備の差がはっきり出るのは、次に挙げる江田島市の中身に踏み込んだ質問のほうです。

合否を分けるのは「江田島市役所ならでは」の質問

「なぜ広島県庁ではなく、江田島市役所なのですか?」
「江田島市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

島だから不便です、という一般論だけで答えると、江田島市でなくても成り立つ話になります。逆に、島の条件をひとつ具体的に言えるだけで、答えの手触りが変わる質問でもあります。

グループワークで市政に関わるテーマが出た場合も、同じ材料がそのまま使えます。島の条件を軸に、面接でもグループワークでも効く事実を5つ挙げます。

質問テーマ知っておきたい江田島市の事実答え方のヒント
高齢化の現在地人口2万181人、高齢化率45.2%(広島県全体は30.2%)、75歳以上率29.2%(同18.2%)。いずれも令和8年1月1日現在数字を挙げたあと、県内14市で最も高い水準だという相対の位置まで言えると、現状認識の精度が伝わります
島であること隣接する自治体はすべて海上での隣接。陸路で市境をまたぐことができない不便さの列挙で終えず、その条件下で行政の手順がどう変わるかまで踏み込みます
歴史と自衛隊明治21年に海軍兵学校が築地から移転。現在は海上自衛隊の第1術科学校と幹部候補生学校が置かれている観光資源としてだけでなく、施設と市民生活が隣り合っている地域だという視点を添えます
産業の姿市はオリーブ栽培を県内最大の産地と説明。かき・柑橘・花きの生産も行われている特産品を並べるのではなく、生産する人が減っていく中で何を残すかという問いに置き換えます
なぜ県庁ではなく市役所か専門職で採用された人も一定期間は一般事務に従事することがあると受験案内に明記されている幅広く関わる働き方を望む理由を、自分がいろいろな役割を引き受けてきた場面に結び付けます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

江田島市は求める人物像を項目の形では公表していませんので、ここでは選考の設計に照らして評価の軸を読み取ります。180分のグループワーク、30分の個別面接2回、そして持ち越される作文の評定。

基本にあるのはコンピテンシー評価です。答えの体裁ではなく、経験の中身と行動の再現性を見にきています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
長い共同作業を続ける力180分のグループワークで、討論・作業・発表のどの局面でも役割を持てるか意見を通した経験ではなく、話が止まった場面で自分が何をしたかを1件用意しておく
書いた文章と話す内容の一致60分の作文の評定が第2次の得点にも使われる以上、文章と口頭の人物像がそろっているか市政に関わるテーマを2つ選び、60分で書ける分量の構成メモを作って時間を計っておく
島で働くことへの理解移動も支援も海路に依存する市で、仕事の進め方が変わることを踏まえて話せるか高齢化率や隣接の条件など、島の事実を1つ選び、自分の関心とつなぐ言い方を用意する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

江田島市は個別面接が2回ありますから、1回目の発言も2回目の材料になります。2回の面接で掘られても崩れないのは、実体験に根ざした答えだけです。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する年度の受験案内を職員採用情報サイトで確認し、募集職種と試験科目を確定させる。年度によって職種も科目も変わる
  2. 経験の棚卸しをする。学業・課外活動・アルバイトや職務経験から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 作文の練習をする。第1次で唯一第2次へ持ち越される科目なので、記述式60分で書き切る形を体に入れておく
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 自治体研究のインプットをする。高齢化率や島という条件など、志望分野に近い事実を2〜3個は数字ごと言えるようにする。そのうえで固有質問の対応表を手がかりに、島の条件と自分の関心を結ぶ話を用意する
  6. 声に出して練習する。グループワークが180分ある試験なので、長い議論の中で発言を積み重ねる練習まで含めておく

優先順位に注意

ステップ5に置いた自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しとステップ3の作文練習を先に終わらせてください。江田島市は第1次の点数を最終順位に持ち込まず、作文の評定だけを第2次へ引き継ぐ試験です。書く力と話す力が、そのまま最終合格に直結します。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、江田島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

江田島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

江田島市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和5年度の受験案内を読むかぎり、江田島市の職員採用試験は、第1次で絞り、第2次で決める2段階の試験でした。

最終合格は第2次試験の結果に基づいて決まり、第1次の点数は反映されません。持ち越されるのは作文の評定だけです。

人口2万181人、高齢化率45.2%。陸路で外へ出られない市で、県内14市の中では最も高齢化が進んでいます。

県がこれから向き合うことを先に引き受けている市で、自分は何を続けられるのか。ひとつ決めて理由を掘り下げておけば、180分のグループワークでも2回の個別面接でも同じ材料が使えます。

なお、募集職種や試験科目は年度ごとに定められ、申込方法も職員採用情報サイトを通じた形に変わっていますので、準備を始める前に必ず最新の案内をご確認ください。