本記事では、福山市職員採用試験の面接対策で必要な、福山市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

福山市役所の面接試験では、「なぜ福山市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

福山市の採用候補者試験は、多くの区分で第1次試験に集団面接が置かれています。筆記の点数だけで第1次を通過することはできません。

本記事で扱う試験の内容は、福山市が2026年(令和8年)1月に公表した2026年度職員採用候補者試験の実施計画にもとづき、事務職を中心に整理したものです。福山市の試験は「早期枠」「6月実施分」「随時募集分」に分かれ、区分ごとに内容が異なりますので、ご自身が受ける区分の欄を確かめながらお読みください。

第1部|自治体研究編

福山市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは福山市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 広島県の東端に位置し、県内では尾道市・府中市・神石高原町と接する。岡山県笠岡市・井原市とも境を接し、海を隔てて香川県三豊市・観音寺市、愛媛県上島町とも隣り合う。
  • 市域の面積は517.72km²で、広島県全体(8,478.16km²)の約6.1%にあたる。
  • 人口は45万1,867人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、広島市に次ぐ県内2番目の規模。
  • 高齢化率は29.6%で、広島県全体の30.2%をわずかに下回る。75歳以上の割合は17.6%。
  • 1998年(平成10年)4月に中核市へ移行し、県から移譲された事務権限を活用したまちづくりを進めている。
  • 中核市として市保健所を設置しており、福山すこやかセンター内に置かれている。
  • 鞆町には江戸期から昭和戦前の伝統的建造物が約300棟残り、2017年に約8.6ヘクタールが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。
  • 1916年(大正5年)の市制施行以降、松永市や神辺町など周辺市町との合併を重ねて現在の市域になった。

福山市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「福山市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

市ごとの経済規模は、広島県が「市町民経済計算」として市町内総生産などを公表しています。ただしこれは県民経済計算を統計指標で市町別に按分した推計であり、市が独自に集計した金額ではありません。

数字を挙げるより、産業の中身を語れるほうが面接では通じます。以下の表は、年齢構成と市域の広さ、そして県境をまたぐ隣接関係までを一度に確かめられるようにしたものです。

項目内容
総人口451,867人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口(高齢化率)13万3,908人(29.6%/広島県全体は30.2%)
75歳以上人口(75歳以上率)7万9,494人(17.6%/広島県全体は18.2%)
総面積517.72km²(広島県の約6.1%)
人口密度約873人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体尾道市・府中市・神石高原町、岡山県笠岡市・井原市。海を隔てて香川県三豊市・観音寺市、愛媛県上島町
市の花・市の木バラ・キク/センダン・モクセイ・クスノキ
市役所の所在地福山市東桜町3番5号

総人口と年齢別の内訳、それぞれの割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値によります。かっこ内の広島県全体の割合も同じ調査の県の値ですので、そのまま比較できます。人口密度は、この人口と面積から当研究会が算出したものです。広島県が公表している国勢調査や毎月の推計人口とは調査の基準が異なりますから、本表の人口と並べて増減を計算することはお避けください。

数字から考えられる市政課題

福山市の高齢化率29.6%は、広島県全体の30.2%をわずかに下回ります。75歳以上の割合も17.6%で、県の18.2%より0.6ポイント低い水準です(いずれも令和8年1月1日現在)。

45万人規模の市が、県平均よりわずかに若い年齢構成を保っているという状態です。県内で人口が集まる場所に、相対的に若い層も集まっているという構図が読み取れます。

ただし、県全体の減少は続いています。令和7年国勢調査の速報値による広島県の人口は2,683,399人で、令和2年の前回調査から116,303人(4.2%)減りました。

同じ速報値で福山市は439,994人と県内2番目です。県の人口月報でも、令和8年5月1日現在で、対前年同月差での減少が254か月続いています。

県全体が縮んでいく局面で、人口が集まる市には周辺地域の機能まで受け止める役割が生じます。(出典:令和7年国勢調査 広島県の人口速報|令和7年)

この構図は、面接では次のような言い方で示せます。

「福山市の高齢化率は3割弱で、県全体よりわずかに低いと知りました。ただ、県全体は20年以上人口が減り続けているそうです。福山市のように人が集まる市が、周りの地域の分まで役割を引き受ける場面が増えていくのではと感じています」

福山市の経済・産業

県境と海をまたぐ位置

福山市の市域517.72km²は、広島県全体の約6.1%にあたります。県内で接するのは尾道市・府中市・神石高原町の3市町ですが、東は岡山県笠岡市・井原市と陸続きで、南は海を隔てて香川県・愛媛県の市町とも境を接しています。

県内より県外の自治体と多く接している市という条件は、通勤圏や商圏、災害時の連携先を考えるうえで前提になります。人口密度は約873人/km²で、県内2番目の人口が比較的まとまった市域に集まっていることが分かります。

なお、職員採用の共同実施という点では、福山市が参加しているのは広島県内の枠組みだけです。岡山県側の市と隣接していても、採用試験を一緒に行っているわけではありません。

ここは志望動機で県境の話をするときに混同しないよう気をつけてください。

ものづくりの県のなかの東部拠点

広島県の製造品出荷額等は中国・四国・九州地方で11年連続して1位を保っています。造船・鉄鋼・自動車といった重工業から電気機械・電子部品などの先端産業まで層が厚く、卸売業・小売業の中国5県におけるシェアも高い水準です。(出典:広島県の産業・企業情報|県公式)

福山市は、この産業県の東の端に位置し、県庁所在地から離れた場所で45万人規模の都市機能を成り立たせています。市の産業を語るときは、県全体の骨格を示したうえで、県都から離れた拠点都市という立ち位置を添えると、話が具体的になります。

鞆の浦とばらのまち

鞆町には江戸期から昭和戦前にかけての伝統的建造物が約300棟残っており、2017年(平成29年)に約8.6ヘクタールが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。鞆の浦の港町文化のストーリーは、2018年に日本遺産に認定されています。(出典:鞆町伝統的建造物群保存地区|福山市公式)

もう一つ、市が長く掲げてきたのが「ばらのまち福山」です。2024年4月の植栽リニューアルで、約670種7,000本のばらが植えられています。(出典:ばらのまち福山|福山市公式)

どちらも観光の話に見えますが、行政としては別の顔を持ちます。歴史的な町並みには所有者の生活があり、まちづくりの象徴には維持の手間と費用があります。

面接で地域資源に触れるなら、その裏側まで触れてください。

福山市の主な行政課題

県内2番目の人口、中核市としての権限、県境をまたぐ位置、そして合併を重ねた市域。福山市の課題は、この4条件の交差点にあります。面接で課題を問われたときの引き出しとして、5つに整理しました。

人口が集まる市が背負うもの

高齢化率29.6%は県平均をわずかに下回りますが、実数で見れば65歳以上が13万3,908人、75歳以上が7万9,494人です。割合の低さは、対象となる人数の少なさを意味しません。

県レベルでは、合計特殊出生率が令和6年実績で1.29となり、国立社会保障・人口問題研究所の推計や県独自推計の見込みを上回るペースで低下しています。

社会動態でも、20歳から24歳までの若年層が「就職」を契機に転出超過となる傾向が続いています。人が集まる市であっても、この流れの外にはいません。

中核市として保健所を持つということ

福山市は1998年(平成10年)4月に中核市へ移行し、市保健所を設置しています。県が担う仕事の一部を市が直接引き受けているという体制は、感染症対応でも食品衛生でも、市民との距離が近い場所で専門的な判断を下す場面が生じることを意味します。

市公式の説明も、移譲された事務権限を活用して市民サービスの向上と自主・自立のまちづくりを進めている、という書き方をしています。(出典:福山市のあゆみ|福山市公式)

歴史的な町並みと、そこでの暮らし

鞆町の重要伝統的建造物群保存地区は約8.6ヘクタール、伝統的建造物は約300棟。保存地区の指定は、建物の外観を変える際に手続きが必要になることも意味します。

守るべき価値と、そこで日々暮らす人の都合。この二つを同じテーブルに載せて調整するのが行政の仕事です。

観光の魅力として語るだけでは、市職員としての視点になりません。

合併を重ねた市域の一体感

福山市は1916年(大正5年)の市制施行後、1966年に松永市、2003年に内海町と新市町、2005年に沼隈町、2006年に神辺町と合併するなど、周辺市町を編入しながら現在の市域になりました。

もともと別の自治体だった地域が並んでいるため、地域ごとに歴史も生活圏も異なります。市域全体で一律のサービスを設計することが難しい場面は、これからも出てくるでしょう。

災害への備え

広島県内の土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定は、合計47,842箇所にのぼります(令和6年11月28日現在)。平成30年7月豪雨では県内で死者153名(うち災害関連死44名を含む)を数えました。

広島県地震被害想定調査報告書(令和7年10月)が見込むのは、マグニチュード9.0の南海トラフ巨大地震における県内最大震度6強、死者数約1万4千人(うち津波による死者約1万3千人)、全壊棟数約9万棟(液状化約4万5千棟・津波約3万8千棟)です。

津波の高さは最大4メートル、浸水想定面積は1万2千ヘクタール以上、避難者は70万人を超え、災害関連死は約1,900人から3,700人と初めて示されました。(出典:広島県地震被害想定調査報告書|令和7年10月)

瀬戸内海に面し、海際に市街地と港町を抱える市として、津波と浸水の想定は日常業務の設計に直結します。

福山市の重点政策|広島県のビジョンが示す方向と福山市

中核市として権限を持つ市ほど、県の課題認識との重なりと違いの両方を説明できると強くなります。広島県で改定が進む「ひろしまビジョン」の改定案は、県の総人口が推計を上回るペースで減っている点を主要課題としています。

県が全体で背負う課題を、福山市は県東部でまとめて引き受ける立場にあるという見取りをしておくと、市政の話に位置づけができます。(出典:ひろしまビジョン改定案|令和7年)

県の課題認識と、福山市での見え方

県が挙げる課題認識福山市での見え方
想定を上回るペースで進む人口減少令和7年国勢調査の速報値で県人口は前回比4.2%減。福山市は439,994人で県内2番目の規模を占める
出生率の低下による自然減と、20〜24歳の就職を契機とした転出超過高齢化率29.6%は県平均をわずかに下回るものの、65歳以上は13万人を超え、実数での支援需要は大きい
避難生活の長期化による要配慮者の災害関連死という課題の顕在化中核市として保健所を持ち、避難後の健康管理まで市が直接担う体制にある

3つの課題を福山市に置き直すと、割合ではなく人数で考える必要が出てきます。45万人規模の市では、数パーセントの違いが数千人から数万人の差になります。

この感覚を持って話せると、規模への理解が伝わります。

関心分野の掘り下げ方

POINT|名前より中身を追う

計画名を並べられても、面接での評価にはつながりません。福山市の施策のなかから関心のある分野を一つ選び、その分野が抱えている問題、市が目指している状態、実際に動いている事業の順に読み進めてください。そのうえで自分の経験のどこが接続するのかを言葉にしておくと、志望動機まで一本につながります。

悪い例「福山市の観光やまちづくりに携わりたいです」

改善例「鞆町の町並みが国の保存地区になっていると知りました。まずは目の前の仕事を覚えるところからですけれども、その上で、そこに住んでおられる方が暮らしにくくならないように、建物を直すときの相談に乗るような仕事に関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

受験する区分を決めたあとに読む資料を並べます。福山市は試験の区分が多いので、実施計画で自分の区分を特定してから、内容の読み込みに入るのが早道です。

  • その年度の職員採用候補者試験の実施計画
    早期枠・6月実施分・随時募集分の区分ごとに、試験内容と受験資格が並んでいます
  • 自分が受ける区分の試験案内
    実施計画の後に公表され、申込方法や当日の詳細が示されます
  • 福山市が公表している求める人物像
    2つの柱で示されており、評価の観点を考える土台になります
  • 福山市の総合計画
    市がどの分野に力を入れているかを、自分の関心と照らし合わせられます
  • ひろしまビジョンと県の地震被害想定
    県全体の方向と災害リスクを、市の条件と重ねて理解できます

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、福山市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。福山市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

福山市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

福山市役所の面接の概要

ここからは、2026年度の実施計画を対象に、面接の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、市の公表資料と当研究会の分析から整理していきます。

人物試験が二段構えになっている

福山市の事務職では、第1次試験に集団面接、第2次試験に個人面接が置かれています。筆記と同じ日程の中で、はじめから人物を見る場が設けられているという組み立てです。

実施計画に集団討論やグループディスカッションの記載はありませんので、討論対策より、集団の中で自分の考えを短く述べる練習に時間を割くほうが実際的でしょう。

区分(2026年度)第1次試験第2次試験
事務職(1種A)/6月実施分集団面接+教養試験(大学卒業程度)+専門試験(大学卒業程度)+適性検査個人面接+論文
事務職(1種B)/6月実施分集団面接+SPI3(基礎能力試験(大学卒業程度)、性格検査)個人面接+論文
事務職(社会福祉士)/6月実施分集団面接+教養試験(大学卒業程度)+適性検査個人面接+論文
事務職(1種B)・技術職(1種・土木)/早期枠録画面接+SPI3(基礎能力試験(大学卒業程度)、性格検査)個人面接+作文又は論文
技術職(1種・土木/建築/電気/機械)/6月実施分個人面接+専門試験(大学卒業程度)+適性検査+論文実施計画の第2次試験欄は「―」=第1次試験のみの1段階
保育士・幼稚園教諭/6月実施分集団面接+教養試験(高校卒業程度)+適性検査個人面接+論文+実技試験
保健師/6月実施分集団面接+教養試験(大学卒業程度)+適性検査個人面接+論文
〔職務経験者〕事務職・事務職(デジタル)/6月実施分集団面接+SPI3+経験論文個人面接+論文
〔職務経験者〕技術職(土木)・技術職(建築)/6月実施分個人面接+SPI3+論文実施計画の第2次試験欄は「―」=第1次試験のみの1段階

上記は、福山市が公表した2026年度職員採用候補者試験の実施計画に基づく内容です。試験は早期枠・6月実施分・随時募集分に分かれ、区分ごとに内容が定められています。各試験の配点は実施計画には記載されておらず、科目の構成のみが示されています。区分・科目・実施の枠組みは年度によって変わりますので、受験の際は福山市が公表する最新の実施計画および試験案内でご確認ください。(出典:2026年度福山市職員採用候補者試験実施計画|2026年度)

表から読み取っておきたい点が2つあります。1つは、技術職(1種)と職務経験者の技術職は、第1次試験だけで選考が完結することです。

第1次に個人面接と論文が組み込まれ、第2次の欄は「―」となっています。1日で勝負が決まる区分だという前提で準備の密度を決めてください。

もう1つは、早期枠の第1次試験に録画面接が採用されていることです。事前に設定した質問への回答を録画して提出する方式で、SPI3は全国のテストセンター(オンライン会場を含む)で指定期日内に受験します。

目の前に面接官がいない状態で話す訓練は、対面の練習とは別に要ります。なお、早期枠の事務職(1種B)を受験した人は、6月実施分の事務職(職務経験者を含む)に応募できません。

どちらで勝負するかは、申込の前に決めておく必要があります。

福山市が求める人物像

福山市は、職員採用のページで求める人物像を2つの柱で公表しています。

  • 情勢の変化に対応し,多様な行政課題に果敢に挑戦する人材(ア 状況の変化に気を配り,新たな行政課題を発見できる人/イ デジタル化への対応や時代をリードする政策を勇気をもって実行できる人)
  • 業務を正しく執行し,市民の負託に応えられる人材(法令等を深く理解し,福山市職員としての誇りと規律を持って業務を遂行できる人)

攻めと守りが一つずつ並んでいる形です。新しいことに踏み出す姿勢を求めながら、同じ文章の中で法令の理解と規律にも触れている。

どちらか一方に寄った自己PRは、この2本立てとかみ合いません。(出典:福山市が求める人物像|2026年度)

2つの柱の文言はここまでが市の公表分で、その先をどう補うかは当研究会の解釈になります。人口45万人規模で中核市の権限を持つ市役所では、市が単独で片づけられる課題のほうが少なくなります。

保健所を持てば医療機関や県との調整が要り、歴史的な町並みを守れば所有者や地域団体との合意が要り、県境をまたぐ通勤圏を抱えれば近隣自治体との歩調合わせが要ります。

市民、地域団体、事業者、周辺自治体をつなぐ位置に職員が立つ場面が多いと考えてよいでしょう。

そうした場では、現場で見聞きしたことを制度の言葉に置き換え、逆に制度の話を現場に伝わる言葉へ戻す往復が求められます。「新たな行政課題を発見できる人」という一文は、机の上で発見しろという意味ではないはずです。

加えて、45万人分の予算と人員という限られた資源の中で、やりたいことを実行できる形まで落とし込む力も要ります。「勇気をもって実行できる人」の実行には、そこまで含まれると読むのが妥当なところでしょう。

とはいえ、いま挙げた読み取りのほうに自分を寄せていく作業は要りません。福山市の選考では、区分によって録画面接、集団面接、個人面接、論文と、伝える形式が入れ替わります。

形式が変わっても中身が変わらない話を持っている人が強い試験です。これまで自分が誰かと誰かの間に立った場面、限られた条件の中で形にした場面を洗い出し、それがこの市の仕事のどこと重なるかを言えるようにしておきましょう。

土木職には県との合同試験という別ルートがある

土木職を志望する人は、もう一つの枠組みも知っておいてください。福山市は、広島県が実施する広島県市町合同職員採用試験(土木職)の参加市町の一つです。

令和7年度に参加した10市町は、呉市・竹原市・三原市・福山市・府中市・庄原市・東広島市・廿日市市・熊野町・大崎上島町です。市町が合同で面接試験を実施して採用者を決め、受験者は3市町まで受験できます。

ここに挙がる府中市は広島県府中市を指します。(出典:広島県市町合同職員採用試験(土木職)|令和7年度)

この合同試験は土木職を対象とする枠組みで、福山市が単独で実施する職員採用候補者試験とは別のものです。事務職をはじめ他の職種は対象に含まれません。参加市町や実施内容は年度によって変わりますので、最新の情報は広島県および福山市の公表資料でご確認ください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。福山市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?集団面接で他の受験者が並ぶ中でも、自分の調子で話し始められるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?早期枠と6月実施分、1種Aと1種Bのどれを選んだかまで理由がつながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?「誇りと規律」という人物像の言葉に照らして、自分を客観視できているか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください集団面接の短い持ち時間でも、要点から話を組み立てられるか
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れて学んだことを説明してください専門試験のある区分では、学んだ内容と職務の接続まで説明できるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?中核市として保健所まで持つ市の業務範囲を、どこまで把握しているか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?「状況の変化に気を配り」という人物像に見合う目配りがあるか

7項目そのものに、福山市ならではの色はありません。ここは通過点です。準備の差が表に出るのは、次に挙げる市の中身へ踏み込む質問のほうになります。

合否を分けるのは「福山市役所ならでは」の質問

「なぜ広島県庁ではなく、福山市役所なのですか?」
「福山市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

県都から離れた45万人の市を選んだ理由は、必ず問われると考えてよいでしょう。中核市であることを一言添えられるかどうかで、答えの厚みが変わります。

集団面接では持ち時間が短くなりますから、事実を1つ入れて短く言い切る形を用意しておきましょう。中核市としての性格が伝わる事実を5つ選び、それぞれに答え方を添えました。

質問テーマ知っておきたい福山市の事実答え方のヒント
県内での位置人口45万1,867人(令和8年1月1日現在)。令和7年国勢調査の速報値では439,994人で県内2番目規模を挙げたあと、県都から離れた場所で都市機能を成り立たせている点まで進めると、立地への理解が伝わります
中核市としての権限1998年(平成10年)4月に中核市へ移行し、市保健所を設置している権限があるという事実で終えず、市民に近い場所で専門的な判断を下す責任へ話をつなぎます
鞆町の保存地区伝統的建造物が約300棟残り、2017年に約8.6ヘクタールが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定保存の価値と住民の暮らしの両方に触れると、調整役としての行政の姿が語れます
県境をまたぐ立地岡山県笠岡市・井原市と陸続きで接し、海を隔てて香川県・愛媛県の市町とも隣り合う広域連携の話に広げつつ、採用試験の共同実施は広島県内の枠組みだけである点は混同しないよう注意します
なぜ県庁ではなく市役所か事務職は1種A・1種B・社会福祉士など複数区分に分かれ、早期枠と6月実施分で選考の入口も異なる制度の比較ではなく、住民や事業者と直接やり取りする仕事を選ぶ理由を、自分の経験に結び付けます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

福山市は求める人物像を2つの柱で公表していますので、ここではその言葉と選考の組み立てを突き合わせて評価の軸を読み取ります。

集団面接と個人面接、そして区分によっては録画面接と論文。コンピテンシー評価の考え方が背景にあり、答えの完成度ではなく、経験の中身と行動の再現性が問われます。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
課題を見つけて動く力言われていないことに気づき、自分から着手した経験があるか「新たな行政課題を発見できる人」という人物像に照らし、気づいたきっかけと最初の一歩を具体的に語れるようにする
正確さと規律決まりを守りながら成果を出した場面を説明できるか「誇りと規律を持って業務を遂行できる人」という言葉に対応させ、手を抜かずに続けた経験を1件用意する
形式が変わっても伝わる話し方集団面接、個人面接、録画面接のいずれでも同じ内容を伝えられるか主要な経験を1分版と3分版で用意し、カメラに向かって話す練習も一度は入れておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。福山市は第1次で集団面接、第2次で個人面接という流れですから、集団面接で口にした内容が個人面接で掘り返されることも想定しておきましょう。

形式が変わっても通用するのは、実体験に根ざした答えを細部まで自分の言葉で持っている場合だけです。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の実施計画で自分の区分を特定する。早期枠か6月実施分か、事務職なら1種Aか1種Bか。早期枠の事務職(1種B)を受けると6月実施分の事務職には応募できない
  2. 特定した区分の試験内容を書き出す。技術職(1種)のように第1次だけで完結する区分もあり、準備の配分が変わる
  3. 経験の棚卸しをする。学業・課外活動・アルバイトや職務経験から、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 主要な経験を1分版と3分版で言えるようにする。集団面接や録画面接に備え、短いほうを先に固める
  5. 自治体研究のインプットをする。中核市としての権限や鞆町の保存地区など、志望分野に近い事実を2〜3個は数字ごと言えるようにする。そのうえで固有質問の対応表からテーマを1つ選び、話の筋道をつくっておく
  6. 声に出して練習する。早期枠を受けるなら、カメラに向かって一人で話す形式でも一度は録って確認する

優先順位に注意

ステップ5に置いた自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ1で区分を確定させることと、ステップ3の経験の棚卸しを先に済ませてください。福山市は区分によって試験の段数も面接の形式も変わりますので、どの土俵で戦うかが決まらないうちは対策の焦点が定まりません。区分の特定と自己分析が終わってはじめて、市の知識が武器になります。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、福山市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

福山市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

福山市役所の想定問答集を見る

さいごに

2026年度の実施計画を読むかぎり、福山市の事務職は、第1次試験に集団面接、第2次試験に個人面接と論文を置く構成でした。早期枠では第1次が録画面接とSPI3になり、技術職(1種)は第1次だけで選考が完結します。

人口45万1,867人、高齢化率29.6%。1998年に中核市へ移行して保健所を持ち、鞆町には国の保存地区を抱える市です。

県都から離れたこの場所で自分が何をしたいのか。答えをひとつに絞り、そこへ行き着いた理由まで説明できる状態にしておくと、集団面接で短く述べる場面でも、個人面接で掘り下げられる場面でも対応できます。

なお、区分ごとに試験の段数も面接の形式も異なり、土木職には県との合同試験という別の枠組みもありますので、準備を始める前に必ず最新の実施計画と試験案内でご自身の区分を確認してください。