本記事では、三次市職員採用資格試験の面接対策で必要な、三次市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度の受験要項をもとに、事務職A(一般事務)を軸として整理し、他の職種の違いも併記します。
三次市役所の面接試験では、「なぜ三次市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「三次市の課題をどう捉えているか」といった、この市で暮らす人の姿が見えていないと答えようのない質問が想定されます。市の実情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、三次市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
以下に挙げる数字や地名は、暗記して披露するためのものではありません。自分がこれまでにしてきたことと、三次市の仕事とがつながる点を見つけるために使ってください。
第1部|自治体研究編
三次市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは三次市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 市の中心部で江の川(可愛川)・馬洗川・西城川の三つの川が合流する、広島県北部の市。市役所は十日市中二丁目に置かれている。
- 住民基本台帳人口は47,223人(令和8年1月1日現在)。同じ時点の広島県全体は約270万6千人。
- 市域は778.18km²と広く、人口密度は約61人/km²。
- 安芸高田市・庄原市・東広島市・府中市・世羅町(世羅郡)と接し、北側では島根県の美郷町・邑南町(邑智郡)、飯南町(飯石郡)とも県境を接する。
- 秋から早春にかけては川霧による「霧の海」が見られ、鵜飼には400年以上の伝統がある。
- 市は江の川流域水害対策計画を策定しており、川とともにある暮らしを守る取組が行政の柱の一つになっている。
- 旧君田村・布野村・作木村の区域は、国が指定する豪雪地帯に含まれる(広島県内の豪雪地帯指定は6市町で、特別豪雪地帯はない)。
- 最上位計画は「みよし未来共創ビジョン(第3次三次市総合計画)」で、めざす姿は「人と想いがつながり、未来につなぐまち」。
- 市の花はサクラ、市の木はモミジ。
三次市の基礎データ
面接の準備で統計を丸暗記する必要はありません。むしろ効いてくるのは、人口と面積という二つの数字を、結び付けて説明できることです。
以下は、市の性格に直結する項目に絞って並べたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 47,223人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 17,662人(37.4%/広島県全体は30.2%) |
| 75歳以上人口 | 10,539人(22.3%/広島県全体は18.2%) |
| 総面積 | 778.18km² |
| 人口密度 | 約61人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 三次市十日市中二丁目 |
| 隣接する自治体 | 安芸高田市、庄原市、東広島市、府中市、世羅郡世羅町、島根県邑智郡美郷町・邑南町、飯石郡飯南町 |
| 市の花・市の木 | サクラ/モミジ |
人口・年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)、総面積と隣接自治体、市の花・市の木は当研究会が整理した基礎データによります。住民基本台帳による人口は、国勢調査による人口とは調査の基準が異なるため、そのまま比較することはできません。
数字から考えられる市政課題
まず年齢構成です。三次市の高齢化率37.4%は、同じ時点の広島県全体(30.2%)を7ポイント以上上回ります。
75歳以上の割合も22.3%で、県全体の18.2%より厚みがあります。市民の4割近くが65歳以上という前提で、窓口も現場も動いているということです。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
年齢構成と並ぶもう一つの軸が距離です。778.18km²の市域に約4万7千人が暮らし、人口密度は約61人/km²。
しかも市域は島根県の3つの町と県境を接しています。行政サービスをどう届けるかという問題が、常に距離の問題とセットになる市です。
面接では、この2つを並べて次のように話せます。
三次市の経済・産業
県全体の産業の姿
広島県の経済は「ものづくり」が軸です。造船や鉄鋼、自動車といった重工業に加え、電気機械や電子部品などの先端産業も集まり、県の製造品出荷額等は中国・四国・九州地方で11年連続して1位とされています。
卸売業・小売業の中国5県におけるシェアも高い水準です。三次市はその県の北部、島根県境に接する内陸に位置しています。(出典:広島県の産業・企業情報|令和6年)
三つの川がつくる景観と、400年の鵜飼
三次市の中心部では、江の川(可愛川)に馬洗川と西城川が合流します。この地形が生むのが、秋から早春にかけての川霧による「霧の海」です。
また、市の鵜飼には400年以上の伝統があります。景観と伝統行事がどちらも川に由来している点が、この市の観光資源の特徴です。
裏を返せば、川の状態が観光にも暮らしにも直結するということでもあります。(参考:三次の鵜飼と霧の海|三次市公式)
県全体の観光の伸びと、内陸の市の位置
広島県全体では、令和6年の総観光客数が6,474万人(前年の6,037万人から7.2%増)、外国人観光客数は422万人(前年比57.2%増)と大きく伸びました。市町別に見ると、宮島のある廿日市市が830.8万人で最も多くなっています。
県内の観光がこれだけ動くなかで、沿岸部に集まる人の流れを内陸へどう引き込むかは、三次市にとって現実的な論点になります。観光を志望分野にするなら、名所の紹介ではなく、この流れの設計まで踏み込んで考えておきましょう。(出典:広島県観光客数の動向|令和6年)
三次市の主な行政課題
ここまでの数字と川の姿を踏まえると、三次市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を問われたときに取り出せるよう、次の4つを押さえておきましょう。
合併から20年余りで進んだ人口減少
令和8年度の受験要項に載る市長メッセージは、平成16年の合併時に約62,000人だった人口が、現在は約46,900人になったと記しています。20年余りで市民が減り続けてきたという事実を、市自身が採用の入り口で受験者に伝えているということです。
人口が減るなかで、どのサービスをどう保つのか。三次市の仕事は、多くの場面でこの問いに接続します。(出典:令和8年度三次市職員採用資格試験受験要項(事務職)|令和8年度)
市長メッセージの人口は市が受験要項に記載した概数であり、上の基礎データ表に載せた住民基本台帳による人口とは基準・時点が異なります。
若い世代の流出と、生まれる人の減少
広島県のビジョンの改定案は、合計特殊出生率が令和6年実績で1.29と推計上の見込みを上回るペースで低下していること、社会動態でも20歳から24歳までの若年層が「就職」をきっかけに転出超過となっている点を課題としています。
出生の減少と、就職期の流出。この2つが重なる構造は、県北部の三次市にもそのまま当てはまります。(出典:ひろしまビジョン改定案|令和7年)
川とともにある市の、水害への備え
三つの川が合流する地形は、景観の源であると同時に水害のリスクでもあります。市はこれに対して江の川流域水害対策計画を策定しています。
県内では、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定が令和6年11月28日現在で47,842箇所に達しています。平成30年7月豪雨の際には、広島県内で死者153名(うち災害関連死44名を含む)、住家被害は全壊1,176棟・半壊3,632棟などが記録されました。
防災を語るなら、県全体の数字を土台にしつつ、三次市の地形に引き寄せて話しましょう。(出典:土砂災害警戒区域等の指定状況|令和6年11月28日現在)
広い市域と、雪の季節の維持コスト
旧君田村・布野村・作木村の区域は国の豪雪地帯に指定されています。県内で指定を受けているのは6市町で、三次市はそのひとつです。
778.18km²に広がる道路や施設を、冬の条件下でも保たなければなりません。広さと季節が同時にのしかかるのが、この市の行政運営の前提条件です。
三次市の重点政策|みよし未来共創ビジョン
三次市の最上位計画は「みよし未来共創ビジョン(第3次三次市総合計画)」で、めざす姿として「人と想いがつながり、未来につなぐまち」を掲げています。
人口が減っていく前提のもとで、人と人のつながりを資源として次の世代へ渡す。計画の名前と、めざす姿の言葉に、その考え方が表れています。
「共創」という言葉が意味するもの
計画名に置かれた「共創」は、行政が単独で何かを整えるのではなく、市民や地域の担い手と一緒につくるという姿勢の宣言です。同じ姿勢は採用の場面にも現れています。
市がめざす職員像に「対話により分かり合い、他者を巻き込みながら」という言葉が入っているのは偶然ではないでしょう。計画の言葉と採用の言葉が同じ方向を向いていることは、志望動機を組み立てるうえで使える手がかりです。
川と暮らしを守る計画
もう一つ、三次市の政策で押さえておきたいのが江の川流域水害対策計画です。三つの川が合流する市街地を抱える以上、水害への備えは特定の部署だけの仕事にとどまりません。
避難情報の出し方、要配慮者への連絡、道路や施設の管理、復旧の段取り。ほとんどの部署が何らかの形で関わるのが、この規模の市の災害対応です。(参考:江の川流域水害対策計画|三次市公式)
県が挙げる課題と、三次市の距離
広島県のビジョンの改定案が課題として並べているのは、想定を上回るペースで進む人口減少、出生率の低下による自然減、若年層が就職を機に県外へ出ていく流れ、そして令和6年能登半島地震などを踏まえた防災・減災対策の充実です。
県北部でこれらを正面から受けているのが三次市だといえます。志望動機を練るときは、この4つのどこに自分の関心が重なるかを先に決めておきましょう。
POINT|計画の名前を覚えるだけでは足りない
計画名を言えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の取組 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「三次市の防災に関わる仕事がしたいです」
改善例「三つの川が合流するまちですので、大雨のときにどの家へ先に声をかけるかが大事になると思います。まずは地域の方と一緒に、避難の段取りを確かめていく仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
エントリーシートの設問が当日に示される試験なので、材料は先に頭へ入れておきたいところです。次の4つには、面接までに一度は目を通しておきましょう。
- 三次市職員採用資格試験の受験要項(自分が受ける職種のもの)
- みよし未来共創ビジョン(第3次三次市総合計画)の最新版
- 江の川流域水害対策計画など、防災に関する市の計画
- 広島県のビジョン(県全体で何が課題とされているかを押さえるため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、三次市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。三次市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
三次市役所の面接の概要
ここからは、三次市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
三次市役所の面接の流れ
令和8年度の試験は「三次市職員採用資格試験」という名称で実施され、問い合わせ先は三次市総務部総務課職員係です。
この試験でまず知っておきたいのは、受験要項が「試験制度を事前の公務員試験対策を必要としない人物重視の採用試験へと見直して」いると明記していることです。要項には「試験では、求める人材像へのマッチングに重点を置いて評価します」とも書かれています。(出典:令和8年度三次市職員採用資格試験受験要項(事務職)|令和8年度)
| 項目 | 内容(令和8年度・事務職A(一般事務)) |
|---|---|
| 試験の段階 | 三段階。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験 |
| 第1次試験 | 総合適性検査とエントリーシート |
| 総合適性検査の内容 | 文章理解、語彙、計算、判断推理、数的推理、資料解釈および組織での人間関係や、業務への順応性・適応性についての検査。要項には「民間企業の入社試験と同様の内容であり、公務員試験特有の社会や人文、自然に関する一般的な問題は出題されません」と記載されています |
| エントリーシート | 第1次試験で実施。志望動機、自己PRなど。具体的な質問事項は第1次試験当日に発表されます |
| 第2次試験 | 小論文試験と集団面接 |
| 集団面接の形態 | 要項の記載は「集団での面接による口述試験、グループディスカッション、グループワーク等を予定」であり、実施形態は要項の時点で確定していません |
| 第3次試験 | 個別面接(個人ごとの面接による口述試験) |
| 配点 | 令和8年度の受験要項に配点・満点の記載はありません |
| 採用予定人員 | 事務職A(一般事務)5人程度。ほかに事務職B(障害のある人)・事務職C(Uターン枠)・事務職D(公務員経験者枠)が各若干名。1受験者につき1職種のみ受験でき、学歴および国籍は問われません |
この構成で目を引くのは、人物を見る材料が第1次試験のエントリーシートから始まり、小論文と集団面接、個別面接へと積み上がる設計です。しかもエントリーシートの質問事項は第1次試験当日に発表されます。
家で完成させた文章を持ち込む方式ではないため、自分の経験がすぐ言葉になる状態かどうかが、初日から試されます。同じ話題を段階をまたいで問われる前提で、暗記した答えの再生ではなく、掘り下げに耐える準備をしておきましょう。
上記は令和8年度の事務職A(一般事務)の構成です。事務職B・事務職Cは第1次試験(総合適性検査・エントリーシート)と第2次試験(小論文試験・個別面接)の二段階、事務職Dは第1次試験(職務適合性検査・エントリーシート)と第2次試験(個別面接)の二段階です。保育士・技師(土木)・技師(建築)・保健師は第1次試験(総合適性検査・エントリーシート)と第2次試験(個別面接・小論文試験)の二段階で、集団面接は事務職Aの第2次試験に置かれています。試験の構成・職種・受験資格等は年度によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身の職種の最新の受験要項をご確認ください。
受験者数と採用者数の目安
受験要項には、直近3年度の受験実績も掲載されています。数字を見れば、この試験の規模感がつかめます。
| 年度 | 事務職(受験者数/採用者数) | 保育士(受験者数/採用者数) |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 46人/8人 | 5人/1人 |
| 令和6年度 | 94人/16人 | 12人/3人 |
| 令和5年度 | 54人/19人 | 10人/3人 |
令和8年度の受験要項に掲載された実績です。合格後に内定・採用を辞退した受験者は採用者数に含まれていません。
三次市役所が求める人物像
三次市は「三次市がめざす職員像」を受験要項で公表しています。示されているのは「社会の変化をとらえ、対話により分かり合い、他者を巻き込みながら自発的に解決に向けた行動ができる、変革力のある職員」という一文で、これを支える要素として「自立」「共感」「変革」の3つが挙げられています。
- 自立
社会の変化を把握し、変革を前向きに捉え、市民・関係者・想いを共有する仲間たちを巻き込み、解決に向け自ら行動する - 共感
相互尊重の意識のもと対話を大切にし、双方向のコミュニケーションを実践することで、関わり合うすべての方々と向き合い、共感することで、良好な結果を生み出す - 変革
職員一人ひとりが、未来の三次を市民と共に創り上げるという意識のもと、地域課題や組織課題を発見する感性を磨き、よりよい未来に向けて日々変革を続ける
ここに、この市の選考の形を重ねてみます。事務職Aの採用予定は5人程度、他の職種は若干名。
そして集団面接が置かれているのは、事務職Aの第2次試験だけです。その形態も「集団での面接による口述試験、グループディスカッション、グループワーク等を予定」とされ、複数人で何かを進める場面まで含みうる書き方になっています。
初対面の相手とどう関わるかを見る場が事務職Aにだけ用意されていることと、めざす職員像の3要素に「共感」が入り、その定義に「双方向のコミュニケーションを実践する」と書かれていること。この2つは切り離せない、というのが当研究会の読み方です。
人前で意見を押し通す強さより、相手の話を受けて自分の案を動かせるかどうかが、ここでは表に出やすくなります。
ここで、この試験の順番を思い出してください。人物の材料は、第1次試験当日に書くエントリーシートから始まります。
設問が事前に分からない以上、その場で選べるのは自分が本当に経験したことだけです。だからこそ、書ける題材を増やす作業は前倒しでやっておく値打ちがあります。
三次市で働く自分と重ねられる経験を、いくつ言葉にしてあるか。それが、三段階を通して同じ人として見てもらうための持ち物になります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。三次市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 集団面接から個別面接へと場面が変わっても崩れない、受け答えの構え |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 公務員試験対策を前提としない選考だからこそ、志望の理由そのものに重みがある |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 第1次試験当日に書いたエントリーシートの自己像と、口頭の説明が重なるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 事務職Aの採用予定が5人程度という規模で、入ってすぐ任される場面を想像させる具体性 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 総合適性検査で測る文章理解や資料解釈を、話し言葉に置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 778.18km²の市域のどこに配属されても働けるかという現実的な見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 小論文試験でも問われる、課題への理解と表現力 |
もっとも、ここに並ぶ質問は多くの受験者が想定して臨みます。
準備の有無では差が出にくい領域だということです。差が出るのは、次の「三次市ならではの事情を踏まえた質問」のほうです。
合否を分けるのは「三次市役所ならでは」の質問
とくに1問目は、人物重視を掲げる三次市の選考では重みが増します。筆記で差がつきにくい設計である以上、志望の中身そのものが評価の対象になるからです。
どちらも、事前に調べていなければその場で組み立てるのは難しい問いです。逆に言えば、三次市について語れる具体が手元にあるかどうかで、答えの厚みがはっきり変わる質問でもあります。
面接で使いやすい材料を、下の表に絞り込みました。
| 質問テーマ | 知っておきたい三次市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成 | 住民基本台帳人口は47,223人、高齢化率37.4%、75歳以上の割合は22.3%(令和8年1月1日現在)。県全体の同じ指標は30.2%と18.2% | 県平均との差を数字で押さえたうえで、その差が現場の仕事量にどう跳ね返るかまで踏み込みます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 事務職Aの採用予定は5人程度。市域778.18km²に約4万7千人が暮らし、人口密度は約61人/km² | 規模の小ささを謙遜の材料にせず、一人が受け持つ幅の広さを自分の働き方の希望と結びます |
| 市の総合計画 | 最上位計画は「みよし未来共創ビジョン(第3次三次市総合計画)」。めざす姿は「人と想いがつながり、未来につなぐまち」 | 「共創」という言葉と、めざす職員像にある「他者を巻き込みながら」を並べて、自分の経験に引き寄せます |
| 三次市の魅力 | 市の中心部で江の川(可愛川)・馬洗川・西城川が合流し、秋から早春には川霧による「霧の海」が見られる。鵜飼は400年以上の伝統 | 景色の紹介で終えず、その資源を誰がどう支えているのかまで踏み込みます |
| 防災・水害への備え | 市は江の川流域水害対策計画を策定。広島県内の土砂災害警戒区域・特別警戒区域は47,842箇所(令和6年11月28日現在)で、旧君田村・布野村・作木村の区域は国の豪雪地帯に指定 | 川の増水と雪という2つの備えを並べ、離れた集落へ知らせを届ける難しさに触れます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、「三次市がめざす職員像」を支える3要素に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、評価の対象は答えの体裁ではなく、実際にとった行動と、その再現のしやすさです。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 自立 | 自ら動いた場面と、そのとき誰を巻き込んだか | 要項の定義にある「解決に向け自ら行動する」に当たる一件を選び、巻き込んだ相手の名前と役割まで言えるようにする |
| 共感 | 一方的に伝えるのではなく、やり取りの中で結果が変わった経験 | 相手の言い分を聞いて自分の案を変えた場面を、変える前と変えた後で書き分けておく |
| 変革 | 課題に気づいた感性と、その後どこまで手を入れ続けたか | 「人と想いがつながり、未来につなぐまち」というめざす姿に照らし、自分が続けて手を加えた小さな変化を一つ用意する |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
三次市の事務職Aは集団面接と個別面接の両方がある分、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の受験要項で、自分が受ける職種(事務職A〜D、保育士、技師、保健師)の段階と試験種目を確認する
- 総合適性検査の形式に触れ、時間配分に慣れておく(公務員試験特有の科目対策とは別のものと割り切る)
- これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトや職務経験から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い三次市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- エントリーシートは第1次試験当日に設問が示されるため、手元のメモから短時間で書き起こす練習をしておく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生に差をつけるための工程です。手が回らないときは、ステップ3の経験の棚卸しと、ステップ6の書く練習を先に終わらせてください。設問が当日に示される以上、その場で取り出せる経験がなければ、市の知識をいくら足しても書き出せません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、三次市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
三次市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度の三次市職員採用資格試験は、事務職Aであれば第1次試験のエントリーシートから始まり、小論文と集団面接を経て、最後に個別面接へ進みます。公務員試験対策を前提としない設計である分、評価の重みは人物そのものに寄っています。
三つの川が合流するまちで、高齢化率が4割近くまで進み、合併時から人口が減り続けてきた。その現実の中で、自分は何を引き受けたいのか。
当日の設問に手が動く状態になるまで、話せる経験を絞り込んでいってください。