本記事では、庄原市職員採用試験の面接対策で必要な、庄原市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度後期募集の受験案内をもとに、ユース枠・フレッシャーズ枠を軸として整理し、経験者向けの枠との違いも併記します。

庄原市役所の面接試験では、「なぜ庄原市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「庄原市の課題をどう捉えているか」といった、この市の広さと人の少なさを知らないままでは答えの芯が定まらない質問が想定されます。市の実情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、庄原市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

ここに載せた数字や地名は、そのまま暗記するためのものではありません。自分の手持ちの経験が庄原市の仕事のどこに届くのかを見極めるために使ってください。

第1部|自治体研究編

庄原市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは庄原市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 広島県の北東部に位置し、鳥取県・島根県・岡山県の3県と境を接する市。市役所は中本町一丁目に置かれている。
  • 市の面積は1,246.49km²。市自身が、県土の約14%を占め、全国の市町村で14番目、近畿以西では最大の広さと説明している。
  • 住民基本台帳人口は30,404人(令和8年1月1日現在)。同じ時点の広島県全体は約270万6千人。
  • 人口密度は約24人/km²。面積が広いことと、そこに暮らす人が少ないことが同時に成り立っている市域構造になっている。
  • 三次市・府中市・神石高原町(神石郡)と接し、鳥取県日南町(日野郡)、島根県の雲南市・奥出雲町(仁多郡)・飯南町(飯石郡)、岡山県の新見市・高梁市とも県境を接する。
  • 旧東城町・西城町・口和町・高野町・比和町の区域は、国が指定する豪雪地帯に含まれる(広島県内の豪雪地帯指定は6市町で、特別豪雪地帯はない)。
  • 令和8年度の職員採用試験は前期募集と後期募集の年2回で実施されている。
  • 応募区分はユース枠・フレッシャーズ枠・公務員経験者枠・社会人経験者枠(U・Iターン対応)・社会人経験者枠(デジタル人材)の5つで、年齢によって応募できる枠が決まる設計。
  • 市の花はサクラ、市の木はブナ。

庄原市の基礎データ

面接に向けた準備で、統計を細かく覚え込む必要はありません。効いてくるのは、この市の広さと人口の関係を、自分の言葉で説明できることです。

ここから先は、市の性格に直結する項目に絞って並べます。

項目内容
総人口30,404人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口13,638人(44.9%/広島県全体は30.2%)
75歳以上人口8,547人(28.1%/広島県全体は18.2%)
総面積1,246.49km²(県土の約14%)
人口密度約24人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地庄原市中本町一丁目
隣接する自治体三次市、府中市、神石郡神石高原町、鳥取県日野郡日南町、島根県雲南市・仁多郡奥出雲町・飯石郡飯南町、岡山県新見市・高梁市
市の花・市の木サクラ/ブナ

人口・年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)、総面積と県土に占める割合は庄原市の公表資料、隣接自治体・市の花木は当研究会が整理した基礎データによるものです。住民基本台帳をもとにした人口と国勢調査の人口とでは調査の基準が異なりますので、直接の比較はできません。

数字から考えられる市政課題

はじめに年齢構成です。庄原市の高齢化率44.9%は、同じ時点の広島県全体(30.2%)を14ポイント以上上回ります。

75歳以上の割合も28.1%で、県全体の18.2%と比べると1.5倍を超える水準です。市民の4割半ばが65歳以上、およそ3.5人に1人が75歳以上という前提で行政サービスが設計されているということです。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

そこに広さが重なります。1,246.49km²に約3万人。

人口密度は約24人/km²で、道路・水道・施設といったインフラを、少ない人数で支える構図になります。面接でこの2つを結び付けるなら、次のような話し方になります。(参考:庄原市の概要(面積)|庄原市公式)

「庄原市は高齢化率が4割半ばで、県の平均よりかなり高いと聞きました。しかも近畿より西では一番広い市だとうかがっています。同じサービスでも、住んでいる場所によって届くまでの手間がまったく違ってくるのではと感じています」

庄原市の経済・産業

県全体の産業の姿

広島県の経済は「ものづくり」が軸で、造船・鉄鋼・自動車といった重工業から、電気機械・電子部品などの先端産業までが層をなしています。

県の製造品出荷額等は中国・四国・九州地方で11年にわたり1位を続けているとされ、卸売業・小売業の中国5県におけるシェアも高い水準です。庄原市はその県の北東端、沿岸の工業地帯から離れた内陸に位置しています。(出典:広島県の産業・企業情報|令和6年)

3つの県と接するという立地

庄原市は鳥取県日南町、島根県の雲南市・奥出雲町・飯南町、岡山県の新見市・高梁市と県境を接しています。広島県内で接するのは三次市・府中市・神石高原町の3市町ですから、県外と接する境界のほうが長いという位置関係です。

生活圏や通勤圏が県境をまたぐ場面があり、災害時の応援や広域の連携でも、県外の自治体との関係が現実的な話題になります。志望動機で「地域を支えたい」と述べるなら、その地域がどこまでを指すのかを自分の中で決めておきましょう。

県全体の観光の伸びと、内陸の市の位置

県全体では令和6年の総観光客数が6,474万人となり、前年の6,037万人から7.2%の増加。外国人観光客数も422万人で、前年比57.2%増という伸びでした。

市町別で最も多いのは、宮島のある廿日市市の830.8万人でした。沿岸部に人が集まる一方で、内陸の市がその流れをどう取り込むかは残された課題です。

観光や地域振興を志望分野にするなら、既にある名所を数えるより、人の流れを設計する発想を持っておきましょう。(出典:広島県観光客数の動向|令和6年)

庄原市の主な行政課題

ここまでの数字と立地を踏まえると、庄原市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を尋ねられたときのために、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少と、高齢化の進み方

広島県の人口は、令和7年国勢調査の県独自集計の速報値で2,683,399人となり、前回調査から116,303人(4.2%)減少しました。県全体でこの動きのなか、庄原市の高齢化率は44.9%、75歳以上の割合は28.1%(いずれも令和8年1月1日現在)です。

医療・介護・移動・見守りといった、暮らしを直接支える仕事の比重が高くなります。庄原市が令和8年度の採用試験を年2回に分け、一般事務職だけで25名の採用を予定しているのも、この構造と無関係ではないでしょう。

若い世代の流出と、生まれる人の減少

広島県のビジョンの改定案では、合計特殊出生率が令和6年実績で1.29と推計上の見込みを上回るペースで低下していること、社会動態については、20歳から24歳までの若年層が「就職」を機に転出超過となる状態が続いていると記しています。

出生の減少と、働き始める年代の流出が同時に効いているという構造は、県北東部の庄原市にも当てはまります。市がU・Iターンに対応した応募区分を設けているのは、この流れに正面から向き合う姿勢の表れだと読めます。(出典:ひろしまビジョン改定案|令和7年)

土砂災害と豪雨への備え

県内で土砂災害警戒区域・特別警戒区域に指定されているのは、令和6年11月28日現在で合計47,842箇所です。平成30年7月豪雨のときは、広島県内で死者153名(うち災害関連死44名を含む)が出て、住家被害も全壊1,176棟・半壊3,632棟などにのぼりました。

広い市域に集落が点在する庄原市では、避難の呼びかけをどう届けるかが常に問われます。防災を語るなら、県全体の数字を土台にしつつ、距離のある地域へ情報を届ける工夫まで考えておきましょう。(出典:土砂災害警戒区域等の指定状況|令和6年11月28日現在)

雪の季節と、広い市域の維持

旧東城町・西城町・口和町・高野町・比和町の区域は国の豪雪地帯に指定されています。広島県内で豪雪地帯の指定を受けているのは6市町で、そのうち庄原市は5つの旧町域が指定を受けています。

1,246.49km²に広がる道路や施設を、冬の条件下でも保たなければなりません。面積の負担に季節の負担が積み上がるのが、この市の行政運営の前提条件です。

庄原市の重点政策|公表資料からたどれる柱

以下は、庄原市が公表している内容のうち、面接で使いやすい部分を選び出したものです。総合計画など計画本体の中身は、受験前に市の最新版で確かめてください。

広さを支えるという前提

庄原市の政策を考えるうえで外せないのが面積です。市は自らの面積1,246.49km²について、県土の約14%を占め、全国の市町村で14番目、近畿以西では最大の広さだと説明しています。

ここに約3万人が暮らし、5つの旧町域が豪雪地帯の指定を受けている。維持すべき範囲が広く、支える人が少ないという条件は、道路も水道も施設も福祉も、あらゆる分野の前提になります。

志望動機を組み立てるときは、この条件を無視した「増やす」提案にならないよう気をつけてください。

採用の設計そのものが人材確保策になっている

庄原市の姿勢が最も具体的に表れているのは、実は採用試験の設計です。令和8年度の試験は前期募集と後期募集の年2回に分けられ、応募区分はユース枠・フレッシャーズ枠・公務員経験者枠・社会人経験者枠(U・Iターン対応)・社会人経験者枠(デジタル人材)の5つ。

しかも後期募集では、第1次試験の会場を庄原会場だけでなく広島会場(県立広島大学 広島キャンパス)にも設けています。年2回の募集、年齢で分かれた5つの入口、そして市外にも置いた試験会場。

人を確保するための手立てが、制度としてはっきり形になっています。(出典:庄原市職員採用情報|令和8年度)

年間の採用予定人員も公表されています。一般事務職25名、技術職(土木)4名、技術職(建築)1名、社会福祉士(事務職)1名、保健師4名、保育士4名、調理員2名、デジタル人材(事務職)1名。

人口約3万人の市で一般事務職25名という規模は、市が職員体制の立て直しに力を入れていることをうかがわせます。

県が挙げる課題と、庄原市の現場

改定案が課題として掲げるのは、想定を超える速さで進む人口減少、出生率の低下による自然減、就職を契機とした若年層の県外流出、そして令和6年能登半島地震などを受けた防災・減災対策の充実の4点です。

いずれも、高齢化率44.9%の庄原市では日々の業務に直結します。志望動機を組み立てるときは、4つのうちどこに自分の関心が乗るのかを先に決めておきましょう。

POINT|「支える」の中身まで言葉にする

取組の名前を並べることが自治体研究の目的ではありません。まず関心分野を一つか二つに決めたうえで、①何が課題か、②市はどんな状態を目指すか、③現在の取組は何か、④市だからこそ担える役割はどこか、⑤自分の経験・強みをどう生かすか、と順に調べていきましょう。

悪い例「高齢化が進んでいるので、福祉の分野で庄原市を支えたいです」

改善例「市民の4割半ばが65歳以上だとお聞きしました。市域も広いので、窓口に来られない方にどう届けるかが課題になると思います。まずは地域を回っている方の話を聞きながら、届け方を一緒に考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

受験案内で自分の枠を確かめたら、次はこの4つです。作文の題材集めにも面接の材料集めにも同じ資料が効きますので、早い段階で一度開いておきましょう。

  • 庄原市職員採用試験の受験案内(自分が応募する枠のもの)と、市の職員採用情報のページ
  • 市が公表している総合計画の最新版
  • 防災・除雪など、広い市域の維持に関わる市の計画や取組のページ
  • 広島県のビジョン(人口減少と防災に関する県の課題認識)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、庄原市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。庄原市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

庄原市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

庄原市役所の面接の概要

ここからは、庄原市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

庄原市役所の面接の流れ

令和8年度の庄原市職員採用試験を実施しているのは庄原市で、申込み・問合せ先は総務部総務課職員係です。

段階は二段階で、人物を見る試験は第2次試験の個別面接だけという構成になっています。受験案内には「試験は第1次試験及び第2次試験とし、第2次試験については第1次試験の合格者について行います」と明記されています。(出典:令和8年度庄原市職員採用試験受験案内(ユース枠・フレッシャーズ枠)|令和8年度)

項目内容(令和8年度後期募集・ユース枠/フレッシャーズ枠)
試験の段階二段階。第1次試験 → 第2次試験(個別面接試験)
第1次試験の種目全職種共通で3種目。教養試験、性格特性検査、作文試験
教養試験高卒程度・択一式・120分。社会、人文及び自然に関する一般知識と、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈に関する一般知能
性格特性検査択一式・20分。職務遂行に必要な適性についての検査
作文試験記述式・60分。主として文章による表現力についての試験で、課題はおおむね身近な事例から出題されます
技術職(土木)の追加種目専門試験(高卒程度・択一式・90分)。数学・物理・情報技術基礎、土木基礎力学、土木構造設計、測量、社会基盤工学、土木施工
第1次試験の時間割性格特性検査20分 → 教養試験120分 → 作文試験60分の順。技術職(土木)のみ午後に専門試験90分
面接の種類第2次試験の個別面接試験
集団形式令和8年度の受験案内・実施計画に、集団面接・集団討論・グループワークを実施する旨の記載はありません
配点令和8年度の受験案内に配点・満点の記載はありません
第1次試験の会場後期募集は庄原会場(庄原市役所)と広島会場(県立広島大学 広島キャンパス)の2会場

ここで押さえたいのは、教養試験も専門試験も「高卒程度」と明記されている点です。大学を卒業する年齢で受けるフレッシャーズ枠でも、第1次試験の難易度の基準はこの表記のとおりです。

さらに、作文試験の課題が「おおむね身近な事例から出題」とされていることも見逃せません。制度論を書かせる試験ではなく、日常の出来事をどう受け止め、どう言葉にするかが問われる設計です。

第2次試験の個別面接でも、同じ資質が別の形で確かめられると考えておきましょう。

上記は令和8年度後期募集のユース枠・フレッシャーズ枠の構成です。公務員経験者枠・社会人経験者枠の第1次試験はSPI3で、自宅等で受ける性格検査(30分程度)と、予約した会場で受ける基礎能力検査(択一式・35分程度/言語的理解力、論理的思考力、数的処理能力)で構成され、テストセンター方式のリアル会場形式とオンライン会場形式のいずれかを選べます。令和8年度の試験は前期募集と後期募集の2回実施されています。試験の構成・応募区分・受験資格等は年度によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身の枠の最新の受験案内をご確認ください。

応募できる枠は年齢で決まる

庄原市の試験でもう一つ特徴的なのが、応募区分の分け方です。後期募集では、令和9年4月1日時点の年齢によって応募できる枠が決まります。

応募区分対象年齢(令和9年4月1日時点)
ユース枠18歳から21歳
フレッシャーズ枠22歳から30歳
公務員経験者枠31歳から45歳
社会人経験者枠(U・Iターン対応)31歳から40歳
社会人経験者枠(デジタル人材)31歳から50歳

令和8年度後期募集の受験案内による区分です。前期募集と後期募集で内容が異なる場合がありますので、最新の受験案内でご確認ください。

庄原市役所が求める人物像

確認した庄原市の令和8年度受験案内と職員採用情報のページには、「求める職員像」として定型化された公表文言は置かれていません。そこで、この試験の設計と市の条件から、評価されやすい資質を読み解いていきます。

手がかりは3つあります。第1次試験で作文の課題が「おおむね身近な事例」から出されること。

人物を見る試験が第2次試験の個別面接1回に絞られていること。

そして、年間の採用予定が一般事務職25名を筆頭に技術職や専門職まで広がっている一方で、市域は1,246.49km²、人口は約3万人であること。

公表された試験の形から逆算すると、見られている中心は身近な出来事を自分の言葉にできること、そして少人数で広い範囲を受け持てることの2つに絞られてきます。

後者は、庄原市の立地を思えば具体像が描きやすいはずです。1,246.49km²の市域のうち、広島県内で接するのは三次市・府中市・神石高原町の3市町だけ。

残りは鳥取・島根・岡山の3県と向き合う境界です。生活圏が県境をまたぐ地域を抱える以上、市民の困りごとが市の内側だけで片づかない場面も出てきます。

制度の線引きで押し返すのではなく、どこへつなげば前に進むかを自分で探せること。5つの旧町域が豪雪地帯に指定されている環境で、除雪も見守りも「誰の担当か」を待っていられない日があることを思えば、この動き方の重みは想像がつくでしょう。

そして忘れてはいけないのが、人物を見る場が第2次試験の個別面接1回きりだという点です。集団の中で挽回する機会も、二度目の面接で言い直す機会もありません。

一度で伝わるのは、当日つくった話ではなく、すでに自分の中で言葉になっている経験だけです。どの一件を持っていくかを早めに決め、声に出す回数を積んでおく。

庄原市の準備は、材料の数を増やすより一つひとつの深さを揃える方向に振ったほうが効きます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。庄原市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?一度きりの個別面接の入り口で、どれだけ普段どおりに戻れるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?年齢で応募先が分かれる試験のなかで、自分の枠を選んだ理由まで説明できるか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?第1次試験の性格特性検査の結果と、話している自己像が大きくずれないか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください人口約3万人の市で、入ってすぐ現場を任される場面を想像させる具体性
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)や、これまでの仕事について説明してください作文試験と同じく、身近な題材を相手に伝わる形で話せるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?1,246.49km²の市域のどこに配属されても働けるかという現実的な見通し
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?出来事を庄原市の暮らしに引き寄せて語れるか

一方で、この7つに沿った準備は誰もが進めてきます。

上積みできる幅が小さいということです。分かれ目は、次に挙げる「庄原市ならではの事情を踏まえた質問」にあります。

合否を分けるのは「庄原市役所ならでは」の質問

「広島県庁ではなく、庄原市役所を志望したのはなぜですか」
「庄原市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

とくに1問目は、人物を見る場が一度しかない庄原市の選考では重みが増します。言い直す機会がない以上、最初の説明の密度がそのまま評価に残るからです。

どちらも、市の実情を知らないと踏み込めません。裏返せば、庄原市の何をどれだけ知っているかが、答えの密度に直結する質問でもあります。

答えの土台になる事実を、下の表にまとめておきます。

質問テーマ知っておきたい庄原市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳人口は30,404人、高齢化率44.9%、75歳以上の割合は28.1%(令和8年1月1日現在)。県全体では30.2%と18.2%県平均との開きを数字で示し、その分だけ支える側の仕事が増えるという読み方まで添えます
市の広さ面積1,246.49km²は県土の約14%にあたり、市は全国の市町村で14番目、近畿以西では最大の広さと説明している。人口密度は約24人/km²広さを自慢として置かず、届けるまでの手間という行政側の負担に言い換えて話します
なぜ県庁ではなく市役所か年間の採用予定は一般事務職25名を筆頭に技術職・専門職まで及ぶ。人物を見る試験は第2次の個別面接1回県との役割の違いを説明するより、少人数で広い範囲を受け持つ働き方に自分を重ねます
3県と接する立地鳥取県日南町、島根県の雲南市・奥出雲町・飯南町、岡山県の新見市・高梁市と県境を接する県境をまたぐ暮らしや広域の連携に触れ、市の仕事の範囲を広く捉えていることを示します
災害と雪への備え広島県内の土砂災害警戒区域・特別警戒区域は47,842箇所(令和6年11月28日現在)。旧東城町・西城町・口和町・高野町・比和町の区域は国の豪雪地帯に指定豪雨と積雪という2つの局面を分けて述べ、届きにくい地域をどう先に把握するかに触れます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

庄原市は求める職員像を定型の文言では示していません。

そこで面接は、この試験の設計に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場だと捉えるのが現実的です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、重く見られるのは言い回しの巧みさではなく、行動の中身と、それを続けられるかどうかです。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
身近な出来事を言葉にする力特別な経験ではなく、日常の場面をどう受け止め、どう伝えるか作文試験の課題が身近な事例から出ることを踏まえ、家族や職場での小さな一件を600字程度で書き起こしておく
調べて形にする力知らない分野に当たったとき、どう手をつけて仕上げたか担当や役割が決まっていない状態から動いた経験を選び、着手から結果までを通しで話せるようにする
地域と関わり続ける姿勢一度きりの関わりではなく、続けて関わった経験があるか5つの旧町域が豪雪地帯に指定されるような環境で働くことを想像し、続けることの難しさに触れた経験を用意する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

庄原市は面接が1回に絞られている分、その1回の中で掘り下げが集中します。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内で、自分が応募できる枠(年齢で決まります)と、その枠の第1次試験の種目を確認する
  2. 自分の枠の第1次試験に合わせて対策する。ユース枠・フレッシャーズ枠なら高卒程度の教養試験と作文、経験者向けの枠ならSPI3の形式に慣れておく
  3. 作文試験の課題は身近な事例から出るため、日常の一件を選んで実際に書いてみる
  4. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイト・職務経験のそれぞれについて、話せる具体例を1つずつ書き出す
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い庄原市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 7カテゴリーの代表質問に一言メモで答えを作り、声に出して練習しながら「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、上積みのための工程です。時間が足りないときは、ステップ3の作文の練習と、ステップ4の経験の棚卸しを先に終わらせてください。人物を見る場は第2次試験の個別面接1回だけなので、その場で取り出せる経験がなければ、市の知識をいくら足しても届きません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、庄原市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

庄原市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

庄原市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の庄原市職員採用試験は、年2回の募集と5つの応募区分に分かれ、どの枠でも第1次試験を経て第2次試験の個別面接へ進みます。人物を見る場が一度しかないぶん、その1回で伝わる密度が問われます。

県土の約14%を占める広さに約3万人が暮らし、市民の4割半ばが65歳以上。その現実の中で、自分はどこに立って働きたいのか。

一度の面接で言い切れる形になるまで、語る経験を練り上げてください。