本記事では、大竹市職員採用試験の面接対策で必要な、大竹市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度(令和9年4月1日採用予定)の1回目の募集をもとに、一般事務職を軸として整理し、他の職種の違いも併記します。

大竹市役所の面接試験では、「なぜ大竹市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「大竹市の課題をどう捉えているか」といった、この市が工業とともに歩んできた経緯を知らないと表面をなぞって終わる質問が想定されます。市の実情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、大竹市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

以下の数字や地名は、覚え込むためのものではありません。自分がこれまで積んできたものと、大竹市の仕事とが噛み合う場所を探すために読んでください。

第1部|自治体研究編

大竹市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは大竹市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 広島県の西端に位置し、山口県と県境を接する臨海の市。市役所は小方一丁目に置かれている。
  • 住民基本台帳人口は25,017人(令和8年1月1日現在)。同じ時点の広島県全体は約270万6千人。
  • 市域は78.66km²で、人口密度は約318人/km²。市民の暮らす範囲がまとまっている。
  • 廿日市市・江田島市と接し、西側では山口県岩国市・和木町(玖珂郡)と県境を接する。
  • パルプ・化学繊維・石油化学の大企業誘致によって臨海工業地帯として発展し、旧陸海軍用地に石油化学コンビナートが形成された。
  • 市は、製造品出荷額のうち化学工業とパルプ・紙・紙加工品製造業が県内1位だと説明している。
  • 工場夜景も市の観光資源として位置づけられている。
  • 消防職も市が直接採用しており、一般事務職と同じ採用試験の枠組み・同一日程で実施される。
  • 令和8年度の職員募集にあたり、市は「公務員だからできることを このまちでかなえる。」というメッセージを広報の募集記事に掲げている。
  • 市の花はサツキ、市の木はクロガネモチ。

大竹市の基礎データ

面接の準備で、統計を細部まで覚える必要はありません。効いてくるのは、この市の規模と、人の暮らす密度を自分の言葉で説明できることです。

ここでは、市の性格に直結する項目だけを抜き出しました。

項目内容
総人口25,017人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口9,175人(36.7%/広島県全体は30.2%)
75歳以上人口5,674人(22.7%/広島県全体は18.2%)
総面積78.66km²
人口密度約318人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地大竹市小方一丁目
隣接する自治体廿日市市、江田島市、山口県岩国市、山口県玖珂郡和木町
市の花・市の木サツキ/クロガネモチ

人口・年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)によります。総面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整理した基礎データに基づくものです。住民基本台帳による人口と国勢調査による人口は調査の基準が違いますので、両者をそのまま比べることはできません。

数字から考えられる市政課題

年齢構成を見ると、大竹市の高齢化率36.7%は同じ時点の広島県全体(30.2%)を6ポイント以上上回ります。

75歳以上の割合も22.7%で、県全体の18.2%より厚みがあります。人口減少と高齢化という県共通の流れの中で、この市は先を行く位置にいるということです。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

一方で、市域は78.66km²で人口密度は約318人/km²。高齢化は県平均より進んでいるが、市民の暮らす範囲はまとまっているという組み合わせが、大竹市の行政サービスの前提です。

移動の距離が短いぶん、顔の見える形で関われる余地があります。面接でこの点に触れるなら、次のような言い方が考えられます。

「大竹市は高齢化率が3割半ばで、県の平均より高いと聞きました。ただ、市の広さは80平方キロほどで、住んでいる場所も比較的まとまっています。距離が近いぶん、担当の方が顔を覚えて関わっていけるやり方があるのではと感じています」

大竹市の経済・産業

臨海工業地帯としての成り立ち

大竹市は、パルプ・化学繊維・石油化学の大企業誘致によって臨海工業地帯として発展してきました。旧陸海軍用地には石油化学コンビナートが形成されています。

市は、製造品出荷額のうち化学工業とパルプ・紙・紙加工品製造業が県内1位だと説明しており、この2分野が市の経済の骨格をなしていることがわかります。(出典:大竹市の工業|大竹市公式)

広島県全体でも「ものづくり」は経済の軸で、造船・鉄鋼・自動車などの重工業から電気機械・電子部品などの先端産業までを含む層の厚い産業群が形成されています。

県の製造品出荷額等は、中国・四国・九州地方のなかで11年続けて首位を保っているとされます。大竹市はその県のなかで、素材産業に特化した位置を占めているということです。(出典:広島県の産業・企業情報|令和6年)

工場夜景という観光資源

大竹市は工場夜景も観光資源として位置づけています。産業の現場そのものを見せる観光は、企業の協力なしには成り立ちません。

市と事業所の関係の良さが、そのまま観光の成立条件になるという点で、他のまちの観光とは組み立てが違います。産業振興や観光を志望分野にするなら、この関係をどう保ち、どう広げるかという視点を持っておきましょう。(参考:大竹市のプロフィール|大竹市公式)

県全体の観光の伸びと、県境のまちという位置

令和6年の広島県は、総観光客数が6,474万人と前年の6,037万人から7.2%増え、外国人観光客数も422万人(前年比57.2%増)と大きく伸びています。市町別の総観光客数では、隣接する廿日市市が宮島を擁して830.8万人で最多です。

大竹市は、その廿日市市と、県境を挟んだ山口県岩国市の間に位置しています。人と車が行き交う県境という立地は、通過されるか立ち寄られるかの分かれ目でもあります。(出典:広島県観光客数の動向|令和6年)

大竹市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、大竹市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を振られたときのために、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少と、若い世代の流出

広島県のビジョンの改定案が挙げているのは、合計特殊出生率が令和6年実績で1.29と推計上の見込みを上回るペースで低下していること、社会動態の面では、20歳から24歳までの若年層が「就職」を境に転出超過となる状態が続いていると指摘しています。

県人口も、令和7年国勢調査の県独自集計の速報値で前回調査から116,303人(4.2%)減りました。県内で生まれる人が減り、働き始める年代が外へ出ていくという流れは、大竹市の高齢化率36.7%という数字の背景にもあります。(出典:ひろしまビジョン改定案|令和7年)

産業のまちを支える安全

石油化学コンビナートを抱える市にとって、災害への備えは産業政策と切り離せません。広島県の地震被害想定調査報告書(令和7年10月)は、南海トラフ巨大地震(マグニチュード9.0)で県内最大震度6強、津波の高さは最大4メートル、津波浸水想定面積は1万2千ヘクタール以上、避難者は70万人を超えると想定しています。

これらはいずれも広島県全体の想定値であり、大竹市単独の数字ではありませんが、臨海部を持つ市として押さえておく必要があります。

土砂災害と豪雨への備え

土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定は、令和6年11月28日現在で広島県内に合計47,842箇所あります。平成30年7月豪雨では、県内の死者は153名(うち災害関連死44名を含む)、住家被害は全壊1,176棟・半壊3,632棟などにのぼりました。

臨海部と背後の斜面地が近接する市では、海側と山側の両方に備えが要ります。防災を語るなら、県全体の数字を土台にしつつ、大竹市の地形に引き寄せて話しましょう。(出典:土砂災害警戒区域等の指定状況|令和6年11月28日現在)

職員体制をどう確保するか

令和8年度の職員採用試験(1回目)の実施状況を見ると、市が抱える課題がもう一つ見えてきます。全職種の合計で申込98人・受験76人・第1次試験合格者23人、第2次試験は受験18人・合格15人。

職種別では、募集人員2人程度の建築技術職が申込2人・受験1人で第1次試験の合格者は0人でした。専門職の確保は、この規模の市にとって現実の難題です。(出典:令和8年度大竹市職員採用試験実施状況(1回目)|令和8年度)

大竹市の重点政策|公表資料からたどれる柱

ここでは、大竹市が公表している内容のうち、面接で持ち出せる形になっている部分を取り上げます。総合計画をはじめとする計画そのものの中身については、受験前に市の最新版にあたってください。

工業のまちであり続けるということ

大竹市の政策を考えるとき、出発点になるのは産業構造です。パルプ・化学繊維・石油化学の大企業誘致で発展し、化学工業とパルプ・紙・紙加工品製造業が県内1位だと市自身が説明しています。

この構造は、雇用も税収も工場夜景の観光も、同じ土台の上に乗っていることを意味します。一つの産業分野が市の複数の側面を同時に支えているということです。

だからこそ、環境や安全、事業所との関係づくりといった仕事の重みが増します。志望動機を語るなら、「工業のまち」を枕詞にせず、その土台をどう保つ側に立ちたいのかまで踏み込みましょう。

採用のメッセージが示す姿勢

市の姿勢が短い言葉で表れているのが、令和8年度の職員募集にあたって広報の募集記事に掲げられたメッセージです。「公務員だからできることを このまちでかなえる。」という一文には、行政でなければ担えない役割があるという前提が置かれています。

消防職までを市が直接採用し、一般事務職と同じ枠組み・同一日程で試験を行っていることも、この姿勢と重なります。市民の暮らしと安全を、市が自前で受け持つ構えだといえるでしょう。(出典:広報おおたけ|令和8年6月号)

県が挙げる課題と、大竹市の位置

広島県のビジョンの改定案は、想定より速い人口減少、出生率の低下による自然減、就職を機に若年層が県外へ抜けていく流れ、そして令和6年能登半島地震などを踏まえた防災・減災対策の充実を、課題として並べています。

いずれも、高齢化率36.7%で臨海部を抱える大竹市の業務に直結します。志望動機を固めるときは、この4つのうちどこに自分の関心が乗るのかを先に決めておくとよいでしょう。

POINT|産業の名前を挙げるだけで終わらせない

企業名や産業分野を言えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つに絞り、①何が課題か、②市はどんな状態を目指すか、③現在どんな取組があるか、④市だからこそ担える役割は何か、⑤自分の経験・強みをどう生かすか、の順に調べましょう。

悪い例「工業が盛んなまちなので、産業振興に携わりたいです」

改善例「工場夜景を観光に生かすには、企業の方の協力が前提になると思います。まずは事業所を回って、市に何を求めておられるのかを聞くところから関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

この市は受験案内が募集期間の終了後に取り下げられるため、公表資料は出ているうちに手元へ残しておくのが確実です。次の4つは、面接前に一度は目を通しておきましょう。

  • 大竹市の職員採用情報のページと、最新年度の受験案内
  • 市が公表している総合計画の最新版
  • 市の工業・産業振興に関するページと、防災に関する市の計画
  • 広島県のビジョン(県が挙げる人口・防災の課題を確認するため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大竹市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大竹市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

大竹市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

大竹市役所の面接の概要

ここからは、大竹市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

大竹市役所の面接の流れ

大竹市職員採用試験を実施するのは大竹市で、問い合わせ先は総務課職員秘書係です。

令和8年度(令和9年4月1日採用予定)の1回目の募集では、第1次試験から第3次試験までの三段階で選考が進みました。人物を見る試験は、第2次試験以降に行われる個別面接です。(出典:大竹市職員採用情報|令和8年度)

項目内容(令和8年度・令和9年4月1日採用予定の1回目)
試験の段階三段階。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験
一般事務職の第1次試験教養試験(択一式・120分/時事、社会・人文、自然に関する一般知識、文章理解、判断・数的推理、資料解釈)と職場適応性検査(20分)
土木技術職の第1次試験専門試験(択一式・90分/数学、物理、情報、土木構造設計、土木基盤力学、測量、社会基盤工学、土木施工)と職場適応性検査(20分)
建築技術職の第1次試験専門試験(択一式・90分/数学、物理、情報、建築構造設計、建築構造、建築計画、建築法規、建築施工)と職場適応性検査(20分)
保健師職の第1次試験専門試験(択一式・90分/公衆衛生看護学、疫学、保健統計学、保健医療福祉行政論)と職場適応性検査(20分)
消防職の第1次試験教養試験(択一式・120分/出題分野は一般事務職と同じ)と消防適性検査(20分)
面接の種類第2次試験以降に行う個別面接。募集記事には「職場適応性検査(※消防職は、消防適性検査)は、第2次試験以降に行う個別面接の際に参考資料として活用します」と明記されています
集団形式大竹市の公表資料に、集団面接・集団討論を実施する旨の記載はありません
配点大竹市は採用試験の配点を公表していません
募集職種と定員一般事務職4人程度、土木技術職2人程度、建築技術職2人程度、保健師職2人程度、消防職2人程度

この試験で最も意識したいのは、第1次試験で受ける職場適応性検査が、そのあとの個別面接で参考資料として使われるという設計です。検査は面接から切り離された足切りではなく、面接官の手元に置かれる材料になります。

つまり、検査で示した傾向と、面接で語る自己像が食い違うと、そのずれ自体が見えてしまいます。取り繕った長所を並べるより、自分で認めている傾向を素直に言葉にできるほうが、この試験では通りがよいはずです。

上記の試験内容は、大竹市が広報おおたけ令和8年6月号(通巻1307号)に掲載した職員募集記事によるものです。試験の構成・職種・受験資格等は年度や募集の回によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご確認ください。

受験者数と合格者数の目安

市は採用試験の実施状況も公表しています。職種ごとの申込みと合格の並びまで出ているので、自分が受ける職種で何が起きているかを具体的に確かめられます。

職種申込者/受験者/第1次試験合格者
一般事務職54人/40人/11人(第2次試験は受験8人・合格7人。募集人員4人程度)
土木技術職1人/1人/1人
建築技術職2人/1人/0人
保健師職10人/9人/4人
消防職31人/25人/7人
全職種の合計98人/76人/23人(第2次試験は受験18人・合格15人)

令和8年度大竹市職員採用試験(令和9年4月1日採用予定・1回目)の実施状況として市が公表した数値です。

大竹市役所が求める人物像

大竹市の職員採用情報のページと広報の募集記事を確認した限りでは、「求める職員像」にあたる一覧や定義は示されていません。ただし、令和8年度の募集にあたって市が掲げたメッセージ「公務員だからできることを このまちでかなえる。」は、市の考え方を読み解く手がかりになります。

行政でなければ担えない役割を、このまちで果たす。志望動機を組み立てるときに、この一文と自分の言葉が重なるかどうかを確かめてみてください。

ここに市の条件を重ねます。一般事務職の募集は4人程度、他の職種は2人程度。

人口約2万5千人の市で、石油化学コンビナートを抱え、消防職までを自前で採用しています。少ない人数で、産業と暮らしと安全のすべてを受け持つのがこの市役所の姿です。

窓口の相談と、事業所や地域の団体との直接のやり取りが、同じ人の一日の中に並ぶ職場だということです。持ち込まれた話が自分の担当かどうかで止まらず、まず受け止めて次につなげられます。

そういう構えのほうが、この市では長く効いてくるはずです。

そこに、もう一つ大竹市ならではの条件が乗ります。第1次試験の職場適応性検査は、第2次試験以降の個別面接で参考資料として使われます。

検査で出た傾向と、面接で語る自分。この2つを別々に用意しておく余地が、この試験にはありません。

逆に言えば、飾らずに答えた検査ほど、そのあとの面接で味方になります。自分の傾向を言い訳ではなく事実として認め、それを踏まえてどう働いてきたかまで話せる状態。

ここまで持っていけば、大竹市の選考は最後まで同じ線でつながります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大竹市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?第2次試験から始まる個別面接の入り口で、普段の話し方に戻れるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?県庁でも隣接する山口県側の自治体でもなく、大竹市を選んだ理由まで届いているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?職場適応性検査が面接の参考資料になるため、検査で示した傾向と話す自己像が重なるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください一般事務職の募集が4人程度という規模で、入ってすぐ任される場面を想像させる具体性
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください教養試験で問われる文章理解や資料解釈を、話し言葉に置き換えられるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?工業のまちの窓口から現場まで、配属の幅を前提に働けるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?出来事を人口2万5千人規模の市の暮らしに引き寄せて語れるか

ただ、ここに挙げた質問は他の受験者も想定してきます。

準備の量だけでは差がつきにくくなります。分かれ目になるのは、次の「大竹市ならではの事情を踏まえた質問」のほうです。

合否を分けるのは「大竹市役所ならでは」の質問

「広島県庁ではなく、大竹市役所を志望したのはなぜですか」
「大竹市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

とくに1問目は、県境に位置する大竹市では重みが出ます。山口県側の自治体も生活圏に入りうるなかで、この市を選んだ理由が問われるからです。

どちらも、調べていなければ一般論で終わってしまいます。裏を返せば、大竹市の実情に触れられるかどうかで、答えの説得力が大きく変わる質問でもあります。

面接で持ち出しやすい事実を、下の表に整理しました。

質問テーマ知っておきたい大竹市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳人口は25,017人、高齢化率36.7%、75歳以上の割合は22.7%(令和8年1月1日現在)。広島県全体の値は30.2%と18.2%県との差を数字で示したうえで、市域が78.66km²とまとまっていることを合わせて話します
なぜ県庁ではなく市役所か一般事務職の募集は4人程度。消防職までを市が直接採用し、一般事務職と同じ枠組み・同一日程で試験を実施している県との役割の違いを論じるより、暮らしと安全をひとつの役所で受け持つ体制に自分を重ねます
大竹市の魅力パルプ・化学繊維・石油化学の大企業誘致で臨海工業地帯として発展し、化学工業とパルプ・紙・紙加工品製造業は県内1位と市が説明。工場夜景も観光資源産業を誇るだけで終えず、その産業が市の雇用や税収にどう効いているかまで一続きにします
産業と安全の両立市は石油化学コンビナートを抱える。広島県の地震被害想定では南海トラフ巨大地震で県内最大震度6強、津波の高さは最大4メートルと想定(いずれも県全体の想定値)県全体の想定値であることを断ったうえで、臨海部を持つ市としての備えに話をつなげます
県境という立地山口県岩国市・和木町と県境を接し、県内では廿日市市・江田島市と接する県境をまたぐ暮らしや広域の連携に触れ、市の仕事の範囲を広く捉えていることを示します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

大竹市は求める職員像を定型の文言では示していません。

そこで面接は、この試験の設計と市の掲げるメッセージに照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場だと捉えるのが現実的です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、問われるのは答えの整い方より、実際に何をしたかと、それが偶然でないかどうかです。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
検査の結果とぶれない自己理解職場適応性検査で示した傾向と、面接で語る自分が一致しているか飾った長所を用意せず、自分で認めている傾向を短い言葉で言えるようにしておく
相手のある仕事を進める力事業所や地域の団体とのやり取りを想像させる具体性があるか相手の事情を聞いたうえで自分の案を通した場面、あるいは引いた場面のどちらかを用意する
このまちで働き続ける見通し希望どおりの配属でなくても力を出せる根拠を語れるか一般事務職4人程度・消防職2人程度という規模を踏まえ、幅のある配属を前提に話を組み立てる

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

大竹市は第2次試験以降に個別面接が続く分、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内で、自分が受ける職種の試験内容と段階、受験資格を確認する
  2. 自分の職種に合わせて第1次試験の対策をする。一般事務職と消防職は教養試験、技術職と保健師職は専門試験が中心になる
  3. 職場適応性検査は個別面接の参考資料として使われるため、正直に答えることを前提に自己理解を進めておく
  4. これまでの経験を棚卸しする。学業や課外活動、アルバイト、職務経験のそれぞれから、話せる具体例を1つずつ用意する
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い大竹市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 7カテゴリーの代表質問に一言メモで答えを作り、声に出して練習しながら「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、最後の上乗せにあたる工程です。余裕がないときは、ステップ3の自己理解と、ステップ4の経験の棚卸しを先に終わらせてください。検査の結果が面接の手元に置かれる試験では、自分を説明できないまま市の知識だけを足しても、ちぐはぐに見えてしまいます。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大竹市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

大竹市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

大竹市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度(令和9年4月1日採用予定)の1回目の募集では、大竹市の試験は第1次試験から第3次試験まで進み、人物を見る場は第2次試験以降の個別面接に置かれました。第1次試験で受けた職場適応性検査が、その面接の手元に参考資料として置かれます。

県の西端で、山口県と接し、石油化学コンビナートを抱えながら、市民約2万5千人の暮らしと安全を一つの役所で受け持つまち。そこで自分はこのまちの何を守る側に回りたいのか。

検査の結果と食い違わない話ができるまで、自分の経験を見直しておきましょう。