本記事では、甲斐市職員採用試験の面接対策で必要な、甲斐市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
甲斐市役所の面接試験では、「なぜ甲斐市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。第2次試験の配点の7割は30分の個人面接に置かれており、対面で話す時間の中身がそのまま結果に響きます。
市が公表している試験の設計と、市を取り巻く数字。この2つを材料に、自分の経験の置きどころを考えながら読んでください。
第1部|自治体研究編
甲斐市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは甲斐市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口76,349人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)に対して市域は71.95km²しかなく、人口密度は1,061人/km²にのぼる。
- 市役所は甲斐市篠原2610番地。竜王庁舎(本館)のほか、敷島庁舎と双葉庁舎が置かれている。
- 接しているのは甲府市・韮崎市・南アルプス市・北杜市と中巨摩郡昭和町の5市町。
- 市の花はサクラ、市の木はケヤキ。
- 65歳以上の割合は26.7%、75歳以上は15.5%で、山梨県全体(32.1%・18.6%)をいずれも大きく下回る。
- 市は「負担軽減のため専門試験や集団討論を廃止するなど、受験しやすい試験内容に変更しています」と公表している。
- 保健師を除く職種は、採用時以降に市内に居住できる人に限られ、採用時に甲斐市消防団への入団研修を2年間行う。
- 令和6年の観光入込客数(実人数)は323,850人。県全体は31,587,960人で、客足は富士山側に大きく偏っている。
甲斐市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「甲斐市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
甲斐市の数字で目を引くのは、市域の狭さと人口密度の高さ、そして県平均より若い年齢構成です。この3つを県全体の値と並べて確かめておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 76,349人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 71.95km² |
| 人口密度 | 1,061人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 26.7%(山梨県全体は32.1%) |
| 75歳以上の割合 | 15.5%(山梨県全体は18.6%) |
| 庁舎 | 竜王庁舎(本館)・敷島庁舎・双葉庁舎 |
| 隣接自治体 | 甲府市・韮崎市・南アルプス市・北杜市・中巨摩郡昭和町 |
| 市役所所在地 | 甲斐市篠原2610番地 |
| 市の花・市の木 | サクラ・ケヤキ |
| (参考)山梨県の推計人口 | 774,332人(令和8年6月1日現在。前年同月比6,652人減) |
| (参考)山梨県の総面積 | 4,465.27km²(森林が県土の約78%) |
65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における甲斐市の総人口は76,349人、山梨県全体は794,684人で、割合の分母にもこれらを用いています。表に併記した県の推計人口は国勢調査を基準に算出された山梨県の公表値で、住民基本台帳とは調査の基準が異なるため、両者を直接比べることはできません。総面積・隣接自治体・市役所所在地は公表値をもとに整理した値です。
数字から考えられる市政課題
市域71.95km²は、山梨県の総面積4,465.27km²の1.6%ほどにすぎません(参考:山梨県の人口と面積|令和2年)。それでも人口は7万6千人を超え、人口密度は1,061人/km²になります。
また、県は総面積の約86%を山地が占め、平地が極めて少ない地形です(参考:山梨県の地形と土砂災害|山梨県)。その少ない平地に人が集まった結果が、この密度です。
住宅が密に並ぶ市では、道路も公園も学校も、限られた土地の使い方をめぐる調整の連続になります。
年齢構成はさらに特徴的です。令和8年1月1日現在の住民基本台帳で、65歳以上は26.7%、75歳以上は15.5%。
県全体と比べると、65歳以上の割合は5.4ポイント低い水準です(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。いま市役所に持ち込まれる相談は、保育や学校、住まいや通勤といった働く世代のものが多くなります。
ただし、その世代はやがて一斉に高齢期へ入ります。若いことは有利な条件であると同時に、備えの締切が先に見えているという意味でもあります。
たとえば面接では、次のように話をつなげられます。
甲斐市の経済・産業
県を支える機械電子の産業
- 県全体の製造品出荷額等は2兆5302億20百万円にのぼる。
- 最大の構成比は生産用機械器具製造業の7,915億54百万円(31.3%)。
- 食料品製造業2,490億5百万円(9.8%)、電子部品・デバイス・電子回路製造業2,300億80百万円(9.1%)が続く。
- はん用・生産用・業務用機械、電子部品、電気機械、情報通信機械、輸送用機械からなる機械電子産業が、県の基幹産業と位置づけられている。
つまり、「精密なものづくりが県の稼ぎ頭になっている」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります(出典:山梨県の工業(経済センサス活動調査)|令和3年)。市域が狭く住宅が集まる甲斐市は、働く場が市内だけで完結する市ではありません。
また、周辺の市町へ通う人が暮らす場所でもあります。市の仕事を考えるときは、住む人の生活時間を支える施策という視点が効いてきます。
果樹とワインという県の顔
山梨県はぶどうの収穫量43,600t(全国の26.0%)、ももの31,500t(29.0%)、すももの5,090t(31.0%)がいずれも全国第1位です。ミネラルウォーターは出荷額約585億円で全国の31.3%を占めて第1位、日本ワインは製成数量4,278kl(全国の29.9%)、ワイナリーは89場(18.0%)を数えます(出典:山梨県の日本一|令和6年産ほか)。
県の名前で語られる産品の多くは農と結び付いています。市の暮らしを支える仕事も、この県の風景の上にあると考えておくと、志望動機に土地の手触りが出ます。
観光と交通の位置関係
甲斐市の観光入込客数(実人数)は、令和6年で323,850人。県全体は31,587,960人(前年比122.7%)で、その内訳は富士・東部圏域が実人数の54.8%を占めます(出典:山梨県観光入込客統計調査報告書|令和6年)。
観光客の数で競う土俵に甲斐市はいません。むしろ効いてくるのは交通です。
県は鉄道路線が少ない一方、中央自動車道・中部横断自動車道・新山梨環状道路などの道路網が充実しており、リニア中央新幹線の山梨県駅(仮称)は隣接する甲府市の大津町に設置されます。
隣の市に高速鉄道の駅ができる市という位置づけは、住む場所として選ばれる条件に直結します。
甲斐市の主な行政課題
ここまでの数字と地域の姿を並べると、甲斐市の論点が見えてきます。市の課題を聞かれたときにすぐ取り出せるよう、次の4つを整理しておきましょう。
若い年齢構成の、その先
山梨県の高齢化率は2020年の30.8%から2080年には42.5%まで上昇する見込みで、県は2003年に自然減、2001年に社会減へ転じています。労働力人口は2020年の約45万人から2050年には35万人を下回る見通しです(出典:山梨県人口ビジョン2.0|令和7年)。
65歳以上26.7%という甲斐市の数字は、県全体より低いというだけで、向かう先が違うわけではありません。県の見通しが示す変化は、この市には少し遅れて届きます。
その猶予をどう使うかが問われています。
受験しやすさへ舵を切った採用
甲斐市は職員採用試験について、より多くの人に受験してもらえるよう、負担軽減のため専門試験や集団討論を廃止するなど受験しやすい試験内容に変更していると公表しています(出典:甲斐市職員採用情報|令和8年度)。
これは受験生にとって朗報であると同時に、市が担い手の確保に力を入れている状況の表れでもあります。県全体で労働力人口が10万人規模で減る見通しのなか、人を採ることそのものが行政課題になっているという理解を持っておきましょう。
大規模地震への備え
山梨県が令和5年に公表した地震被害想定調査のうち、被害が最も大きくなるのは曽根丘陵断層帯の地震です。想定されているのは建物の全壊・全焼94,102棟、死者3,843人、1週間後の避難者207,242人。
南海トラフの巨大地震(東側ケース・M9クラス)でも県中西部で最大震度7とされ、全壊・全焼60,017棟、死者3,019人、1週間後の避難者140,329人が見込まれています(出典:山梨県地震被害想定調査(概要版)|令和5年)。
人口密度1,061人/km²の市街地で、この規模の避難が発生したときに何が起きるか。避難所の運営も物資の配分も、市職員が担う仕事です。
地域を守る人の減少と消防団
山梨県人口ビジョン2.0は、人口減少により2100年までにスーパーやコンビニの数が現在の半分以下になり、小中学校は約3分の1に、消防団員数は4割弱にまで減ると試算しています。
甲斐市が保健師以外の職種の採用条件として、市内に居住できることと、採用時に消防団への入団研修を2年間行うことを掲げているのは、この文脈に置くと意味がはっきりします。市職員が地域の守りの一員でもあるという設計です。
受験する側にとっては、働き方の前提として理解しておくべき条件になります。
甲斐市の重点政策|県の人口見通しと市が置いた採用の条件
甲斐市がいまどの総合計画で動いているかは、市の公式サイトが唯一確かな情報源です。ここで取り上げるのは計画そのものではなく、その計画を書かせている条件のほうです。次の2つを見ていきます。
県が描く人口の見通し
山梨県人口ビジョン2.0は、県内すべての地域で今後人口減少が見込まれるとし、なかでも峡南地域と東部地域では減少のスピードが速く、生産年齢人口だけでなく老年人口も大きく減ると認識しています。2100年までには生活関連サービスが縮小し、地域コミュニティが弱くなるという見通しも示されています。
甲斐市が属する地域はこの2地域には含まれませんが、県全体で生活サービスが細っていくという前提は共通です。買い物の場も、学校も、消防団も、いまと同じ数では残らないという想定のもとで、市の施策は組み立てられています。
市の条件に現れている考え方
甲斐市の場合、市の考え方は採用の条件そのものにも表れています。専門試験と集団討論を廃して受験の間口を広げる一方で、市内に住むこと、消防団の入団研修を受けることは条件として残しています。
人を集めたいが、誰でもよいわけではない。地域と関わる意思のある人に来てほしい。
この二つの方向が同時に置かれているのが甲斐市の採用です。志望動機を組み立てるときは、この条件をどう受け止めたかを避けて通らないほうが、話に筋が通ります。
POINT|施策名より、市の条件を読む
事業名を並べても、面接で問われるのは「あなたはどう関わるのか」です。①市が示している条件や数字を1つ選ぶ、②そこから自分の生活がどう変わるかを考える、③市がその条件を置いた理由を推し量る、④自分の経験のどこが噛み合うかを言葉にします。この順で組み立てれば、事業名を挙げなくても中身のある志望動機になります。
悪い例「住みやすい甲斐市で、市民に寄り添った行政サービスを提供したいです」
改善例「まずは窓口で子育て世代の方の相談を覚えたいです。そのうえで、消防団の研修を通じて地域の方と顔がつながる立場になりますので、支え合いの仕組みをつくる仕事にも関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
次の4点は、優先度をつけて当たれば足ります。案内を最初に読み、そのうえで志望分野に近いものを1つ選ぶ、という進め方をおすすめします。
- 甲斐市職員採用試験案内(申し込む職種の最新年度のもの)
- 甲斐市の職員採用情報のページ(現在の公式サイトからたどること)
- 甲斐市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- 山梨県人口ビジョン2.0(県全体で何が減っていくのかを確かめるため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、甲斐市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。甲斐市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
甲斐市役所の面接の概要
ここからは、甲斐市の選考がどう組み立てられ、どこに重みが置かれているのかを、市の採用試験案内と当研究会の分析から押さえていきます。
甲斐市役所の試験の構成
令和8年度の甲斐市職員採用試験は、第1次試験と第2次試験の二段階です。特徴は配点の置き方にあります。
第2次試験は論述試験30%・人物試験70%で、人物試験の中身は30分の個人面接。専門試験と集団討論は、受験の負担軽減を理由に廃止されています。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験の二段階。第2次試験は第1次試験合格者のみに通知される |
| 第1次試験の会場 | 甲斐市双葉公民館(市役所ではない点を市自ら案内している。駐車場65台、最寄りはJR中央本線塩崎駅から徒歩3分) |
| 第1次試験の内容 | 教養試験(択一式120分)、事務適性検査、職場適応性検査(20分) |
| 第1次試験の配点 | 教養試験70%・事務適性検査30%。職場適応性検査は配点がなく、第2次試験の面接の参考とされる |
| 第2次試験の内容 | 論述試験(記述式90分。主として文章による表現力、課題に対する理解力等をみる)と人物試験(個人面接30分) |
| 第2次試験の配点 | 論述試験30%・人物試験70% |
| 人物試験でみる観点 | 自己表現力、質問回答力、競争力、積極性、社会性、信頼感、経験学習力、自己統制など |
| 専門試験・集団討論 | 受験の負担軽減のため廃止されている |
| 資格等加点 | 行政Ⅰは、基本情報技術者試験の合格者又はそれと同等以上の情報処理に関する資格の保有者について、教養試験の点数に15点を加点(受付期間内に証明書類の提出が必要) |
| 受験・採用の条件 | 保健師以外の職種は、採用時以降に甲斐市内に居住することが可能な人に限られ、採用時に甲斐市消防団への入団研修を2年間行う |
| 採用予定人員 | 行政Ⅰ・行政Ⅱ合わせて20人程度、土木Ⅰ・土木Ⅱ合わせて3人程度、建築若干名、保育士2人程度、保健師3人程度、司書若干名、管理栄養士若干名 |
| 結果の提供 | 第1次試験は不合格者に教養試験・事務適性検査の得点、合計得点及び順位。第2次試験は受験者に、これに加えて論述試験・人物試験の得点、合計得点及び順位が提供される |
この構成から読めることは多いはずです。まず、集団の中での立ち回りを見る場面がありません。
評価はすべて、書いたものと一対一の受け答えに集まります。次に、第1次で受けた職場適応性検査は得点にならず、面接の参考資料として使われます。
事前の検査で見えた傾向を、面接官が手元に置いて話を聞くということです。そして人物試験は30分。
エピソードを数多く並べるより、一つの経験を細部まで語れる状態にしておくほうが、この長さには噛み合います。
上記は甲斐市の令和8年度職員採用試験案内にもとづく内容です。配点は割合(パーセント)で示されており、各試験種目の素点は公表されていません。面接カードに相当する提出書類についても案内に記載がありません。試験の構成・職種・会場は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける職種の最新の案内をご確認ください。
甲斐市役所が求める人物像
甲斐市の令和8年度職員採用試験案内と、市の職員採用情報のページには、求める人物像を項目立てて示した記載はありませんでした。人物像や人材育成の考え方を探すときは、市の公式サイトから採用情報のページをたどってご確認ください。
その代わりに、市の考え方は試験の設計そのものに書き込まれています。専門試験と集団討論を廃して受験しやすくしたと明言する一方で、人物試験には30分と第2次の7割という重みを与え、観点として自己表現力・質問回答力・積極性・社会性・信頼感・経験学習力・自己統制などを挙げています。
入口を広げたぶん、一対一の対話でしっかり見るという構えです。
設計の先を読むところからは、当研究会の推し量りになります。行政職の採用は20人程度。
人口7万6千人規模の市では、担当がついた仕事はその人の手元で完結させることを求められます。試験案内が観点に挙げる「経験学習力」は、やったことのない仕事を任されたときに、前の経験から手順を引き出せるかという意味に読めます。
加えて、市内に住み、消防団の入団研修を受けることが条件に置かれています。甲斐市で働くとは、勤務時間の外側でも地域の一員として動く働き方を選ぶということです。
30分という長さは、条件への意気込みを述べるには余りますが、これまで地域や集団の中で引き受けてきた役割を一つずつ話すには、ちょうどよい長さです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。甲斐市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらからお越しになりましたか | 事実を落ち着いて答えられるか。話し出しの調子 |
| ② 動機・志望 | 甲斐市を志望した理由を聞かせてください | 市の名前を入れ替えても通る理由になっていないか |
| ③ 自己理解 | 自分を一言で表すと、どうなりますか | 言葉選びと、その根拠になる出来事があるか |
| ④ 経験・行動 | 長く続けてきたことと、続けられた理由を教えてください | 継続の裏側にある考え方と、周囲との関わり |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでに身につけたことを、市の仕事にどう使いますか | 持っているものを仕事の形に置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 消防団の入団研修があることを、どう受け止めていますか | 採用の条件を理解したうえでの応募かどうか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースはありますか | 関心の理由まで自分の言葉で言えるか |
もっとも、この7つは全国どこの官公庁でも似た形で並びます。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
差がつくのは、次の質問です。
合否を分けるのは「甲斐市役所ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「甲斐市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい甲斐市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市域71.95km²に約7万6千人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。竜王・敷島・双葉の3庁舎で窓口を持ち、住民との距離が近い | 竜王・敷島・双葉と3つの庁舎を残している市の形から入ると、住民の近くで働きたいという志望が具体的になります |
| 消防団への入団研修 | 保健師を除く職種は、採用時に甲斐市消防団への入団研修を2年間行うことが条件になっている | 負担として語るのではなく、地域の一員として働く条件を理解したうえで応募したことが伝わるように整理します |
| 試験の設計 | 市は「負担軽減のため専門試験や集団討論を廃止するなど、受験しやすい試験内容に変更しています」と公表している | 受けやすさの話で終わらせず、より多くの人に来てほしいという市の状況まで読み取っていることを示します |
| 年齢構成の現在地 | 65歳以上26.7%、75歳以上15.5%で、県全体(32.1%・18.6%)を大きく下回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) | いま若いことを強みとして述べたうえで、その世代が高齢期に入る時期への備えという話に進めます |
| 甲斐市の魅力と課題 | 令和6年の観光入込客数は323,850人。県内の客足は富士山側に大きく偏っている | 観光の数で競う市ではないと押さえ、住む場所として選ばれるための条件のほうへ話を運びます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接で確かめられているのは、案内に並ぶ観点の言葉が、あなたの過去の行動として実在するかどうかです。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 30分を持たせる具体性 | 一つの経験を、どこまで細かく語れるか | 第2次の7割が人物試験で、面接は30分あります。話を3つ用意するより、1つを深く掘っておくほうがこの長さには効きます |
| 書いて伝える力 | 90分で書き上げる論述試験に、課題の受け止め方と組み立てが出る | 文章による表現力と課題に対する理解力が観点に挙げられています。市の課題について書く練習を、本番と同じ時間で1本通しておきましょう |
| 地域の中で働く構え | 市内に住み、消防団の研修を受ける前提をどう受け止めているか | 条件を知ったうえで応募したことが伝わるように、地域の行事や団体に関わった経験があれば併せて話せる形にしておきましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。甲斐市の人物試験は30分あり、掘る時間が十分にあります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、話し始める前に用意しておいてください。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の試験案内で、受ける職種と第1次試験の会場(市役所ではなく甲斐市双葉公民館)を確かめる
- 行政Ⅰを受ける人は、情報処理の資格による15点の加点対象に当たるかを確認し、当たる場合は受付期間内に証明書類を提出する
- 教養試験(択一式120分)と事務適性検査を、通しの時間配分で1度は練習する
- 学業・課外活動・アルバイトや職場から、長く続けたことを1つ選び、細部まで思い出して書き留める
- 論述試験に備え、市の課題について自分の考えを90分で書く練習を1本通す。あわせて第1部から甲斐市の事実を2つか3つ選び、30秒で説明できるか試す
- 30分の個人面接を想定して声に出し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、甲斐市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
甲斐市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
甲斐市の選考には、集団討論も専門試験もありません。書いたものと、30分の一対一。評価はその二つに集まります。
逃げ場が少ないぶん、準備した人としていない人の差がそのまま出る試験だと考えてください。市内に住み、消防団の研修を受けることを条件に掲げる市は、職員に対して地域の一員であることを求めています。
あなたがこれまで、誰かと一緒に何かを続けてきた場面を思い出してください。
その記憶を借りものでない言葉で話せたとき、30分は長すぎる時間ではなくなります。