本記事では、甲州市職員採用試験の面接対策で必要な、甲州市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
甲州市役所の面接試験では、「なぜ甲州市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。行政職は第2次の集団面接と第3次の個別面接で二度人物を見られるため、市について話せる材料の量がそのまま持ち時間の質になります。
ここに集めた事実を出発点にして、自分の関心と甲州市の仕事の接点を組み立て、回答づくりに使ってください。
第1部|自治体研究編
甲州市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは甲州市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 甲府盆地の東の端に位置する市。山梨市・笛吹市とともに、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定された峡東地域の一角を占める。
- 隣り合うのは大月市・山梨市・笛吹市と、北都留郡の小菅村・丹波山村。東側では埼玉県秩父市と接する県境の市でもある。
- 市域は264.11km²、人口は28,657人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は109人/km²。
- 65歳以上の割合は38.5%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、山梨県全体の32.1%を上回る。
- 市の木はぶどう、市の花は桜。市のシンボルそのものが果樹である。
- 令和6年の観光入込客数(実人数)は1,425,351人で、県全体の4.5%にあたる。
- 職員採用試験は第1次から第3次までの3段階。行政職は集団面接と個別面接の2回を通る設計になっている。
甲州市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「甲州市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
人口は3万人を切る一方で、市域は264.11km²あります。この開きが甲州市の数字の性格で、そこに県平均を上回る高齢化が重なります。
表には県の値も添えましたので、対照しながら読んでください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 28,657人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 264.11km² |
| 人口密度 | 109人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 38.5%(山梨県全体は32.1%) |
| 75歳以上の割合 | 22.8%(山梨県全体は18.6%) |
| 隣接自治体 | 大月市・山梨市・笛吹市・北都留郡小菅村・丹波山村/埼玉県秩父市 |
| 市役所所在地 | 甲州市塩山上於曽1085番地1 |
| (参考)山梨県の推計人口 | 774,332人(令和8年6月1日現在。前年同月比6,652人減) |
| (参考)山梨県の総面積 | 4,465.27km²(うち森林が県土の約78%) |
65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における甲州市の総人口は28,657人、山梨県全体は794,684人で、割合の分母にもこれらを用いています。表に併記した県の推計人口は国勢調査を基準に算出されたもので、住民基本台帳とは調査の基準が異なるため、両者を直接比べることはできません。総面積・隣接自治体・市役所所在地は公表値をもとに整理した値です。
数字から考えられる市政課題
甲州市の264.11km²は、山梨県全体(4,465.27km²)のおよそ6%にあたります。人口密度は109人/km²で、市域の相当部分が山地と果樹園です。
森林が県土の約78%を占め、平地が少ないという山梨県の条件は、そのまま甲州市の条件でもあります(参考:山梨県の人口と面積|令和2年)。人が住む場所が広く散らばっているぶん、道路も水道も交通も、同じサービスを届けるための手間が増えます。
もう一つの軸が高齢化です。令和8年1月1日現在の住民基本台帳では、65歳以上が38.5%、75歳以上が22.8%。
山梨県全体の32.1%・18.6%をどちらも上回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。市民の5人に1人以上が75歳以上という構成は、通院や買い物の足、独居世帯の見守り、果樹園の管理といった問題が同時に立ち上がることを意味します。
たとえば面接では、甲州市の現状を次のように数字と結び付けて説明できます。
甲州市の経済・産業
世界農業遺産に認定された果樹の産地
令和4年7月18日、山梨市・笛吹市・甲州市の峡東3市を対象とする「峡東地域の扇状地に適応した果樹農業システム」が、国連食糧農業機関(FAO)により世界農業遺産に認定されました。
評価されたのは、扇状地の傾斜地で多様な果樹を適地適作する土地利用、約400年前に考案された甲州式ぶどう棚と疎植・大木仕立てを組み合わせた栽培技術、果樹園に自生する植物を利用した草生栽培などです(出典:世界農業遺産「峡東地域の扇状地に適応した果樹農業システム」|令和4年認定)。
ここで押さえたいのは、認定の対象が個々の農産物ではなく果樹をつくる技術と、それが形づくってきた扇状地の暮らし方の全体だという点です。観光の目玉が一つ増えたという話ではありません。
担い手が代わっても栽培のやり方が引き継がれることが認定の前提であり、そこに行政の仕事が生まれます。
県全体の産業という背景
山梨県の製造品出荷額等は2兆5,302億20百万円で、構成比の最上位は生産用機械器具製造業の7,915億54百万円(31.3%)、次いで食料品製造業2,490億5百万円(9.8%)、電子部品・デバイス・電子回路製造業2,300億80百万円(9.1%)です。
はん用・生産用・業務用機械や電子部品などからなる機械電子産業が、県の基幹産業と位置づけられています(出典:山梨県の工業(経済センサス活動調査)|令和3年)。農業では、ぶどうの収穫量43,600t(全国の26.0%)、ももの31,500t(29.0%)、すももの5,090t(31.0%)がいずれも全国第1位です(出典:山梨県の日本一|令和6年産ほか)。
果樹だけを見て志望動機を組み立てると、県の産業の半分を見落とすことになります。甲州市で働くことは、果樹産地の市政に関わることであると同時に、ものづくりで成り立つ県経済の一部を担うことでもあります。
観光の位置づけ
令和6年の甲州市の観光入込客数(実人数)は1,425,351人で、県計31,587,960人(前年比122.7%)に対する構成比は4.5%でした。県内では富士吉田市の5,719,640人、富士河口湖町の5,155,767人が突出しており、観光客の流れは富士山側に大きく偏っています(出典:山梨県観光入込客統計調査報告書|令和6年)。
甲州市の観光を語るなら、富士山と同じ土俵で人数を競う話ではなく、果樹園や酒造りといった生業そのものを訪ねてもらう形をどう太くするか、という角度のほうが市の実態に合います。
甲州市の主な行政課題
ここまでの数字を並べると、甲州市が向き合っている論点の輪郭が見えてきます。面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の4つを用意しておきましょう。
県全体より一足先に進む高齢化
山梨県の高齢化率は、2020年の30.8%から2080年には42.5%まで上昇し、その後はほぼ同水準で推移すると見込まれています。県は2003年に死亡数が出生数を上回る自然減へ、2001年に社会減へ転じており、労働力人口は2020年の約45万人から2050年には35万人を下回る見通しです(出典:山梨県人口ビジョン2.0|令和7年)。
高齢化率38.5%の甲州市は、県が2080年に迎えると見込む水準に、すでに近い位置にいます。県の将来推計は、この市にとっては遠い未来の話ではありません。
果樹のシステムを誰が引き継ぐか
世界農業遺産に認定されたのは、ぶどうや桃という作物ではなく、扇状地に適応した栽培のシステムです。棚のかけ方も、草生栽培の手入れも、人の手を通してしか次の世代に渡りません。
県全体の労働力人口が30年で10万人規模の減少を見込むなかで、この技術をどう保つかは市政の課題そのものです。移住や就農の支援、農地の集約、観光と結び付けた販路づくりなど、関わり方は一つではありません。
志望動機で果樹に触れるなら、「守りたい」の一言で止めず、誰の手で守るのかまで踏み込んでおきましょう。
大規模地震への備え
令和5年の山梨県地震被害想定調査で最大の被害が想定されているのは、曽根丘陵断層帯による地震です。建物の全壊・全焼94,102棟、死者3,843人、1週間後の避難者207,242人が見込まれています。
南海トラフの巨大地震(東側ケース・M9クラス)でも県中西部で最大震度7が想定され、建物の全壊・全焼60,017棟、死者3,019人、1週間後の避難者140,329人という想定です(出典:山梨県地震被害想定調査(概要版)|令和5年)。人口の4割近くが65歳以上という市で、この規模の避難をどう回すか。
避難所の運営も要支援者の名簿も、日常の窓口業務と地続きです。
限られた人数で市政を回すという条件
令和8年度(令和9年4月1日採用)の試験区分と採用予定人数は、一般事務職(行政・上級/初級)が4名程度、土木・建築の技術系職が各若干名、保健師・栄養士の資格免許職が各若干名です(出典:甲州市職員採用試験案内|令和8年度)。2万8千人規模の市民に対する行政サービスを、この人数の積み重ねで担っています。
一つの制度を任されれば、その立ち上げから窓口での応対までが同じ担当の手元に残ります。これは負担の話であると同時に、若いうちから仕事の全体像が見えるという条件でもあります。
重点政策|峡東地域の世界農業遺産と甲州市
甲州市が今どの総合計画のもとで市政を進めているかは、市公式サイトに掲載されている最新版で必ず確かめてください。ここでは、その計画の外側にあって市政の前提になっている枠組みを2つ整理します。
峡東3市で担う世界農業遺産
甲州市の農業政策は、市の中だけで完結していません。世界農業遺産「峡東地域の扇状地に適応した果樹農業システム」は山梨市・笛吹市との3市が対象で、認定を受けた地域として保全と活用に取り組む立場を共有しています。
市の枠を越えた協議や、県との調整が日常的に発生する分野だということです。面接で農業や観光を志望分野に挙げるなら、単独の市の事業として語るより、3市で担っている枠組みの中に自分の関心を置いたほうが、実際の仕事の形に近くなります。
県の人口政策という条件
山梨県人口ビジョン2.0は、県内すべての地域で人口減少が見込まれるとしたうえで、2100年までにスーパーやコンビニの数が現在の半分以下になり、小中学校は約3分の1に、消防団員数は4割弱に減ると試算しています。減少のスピードがとりわけ速いのは峡南地域と東部地域とされ、これらの地域では現存店舗の9割以上が閉店するという見通しも示されています。
甲州市が属する峡東地域はこの2地域には含まれませんが、県全体の生活サービスが細っていく前提は共通です。市の施策を読むときは、県のこの見通しのどこに手を打とうとしているかという目で見ると、事業の意図がつかみやすくなります。
POINT|事業名を覚えることが目的ではない
市の事業を暗記しても、面接で聞かれるのは「あなたはどう関わりたいのか」です。①市の現状を示す数字を1つ選ぶ、②そこから生じている困りごとを具体的に書き出す、③市がすでに手を打っている領域を確かめる、④自分の経験のどこがそこに使えるかを言葉にする。この順で組み立てると、事業名を並べなくても話が立ちます。
悪い例「豊かな自然と果樹に恵まれた甲州市で、地域活性化に貢献したいです」
改善例「まずは窓口の仕事から市民の方の暮らしを覚えたいです。そのうえで、市民の4割近くが65歳以上という状況ですので、畑を続けたい方が続けられるように、担い手を呼び込む仕事にも関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
下の4点は、上から順に片づける種類のものではありません。自分が話したい分野に一番近いものを最初に開き、面接で使える一行を見つけたところで切り上げて構いません。
- 甲州市職員採用試験案内(最新年度)と、市の職員採用試験のページ
- 甲州市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- 世界農業遺産「峡東地域の扇状地に適応した果樹農業システム」の県の解説ページ(農業・観光分野を志望する場合)
- 山梨県人口ビジョン2.0(県全体の人口の見通しを押さえるため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、甲州市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。甲州市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
甲州市役所の面接の概要
ここからは、甲州市の3段階の選考がどう進み、どの場面で何を見られるのかを、市の採用試験案内と当研究会の分析から押さえていきます。
甲州市役所の試験の構成
令和8年度(令和9年4月1日採用)の甲州市職員採用試験は、第1次から第3次までの3段階です。行政以外の職種は第2次試験が最終試験となり、第3次まで進むのは行政(上級・初級)だけという構成になっています。
| 項目 | 内容(令和8年度・令和9年4月1日採用) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次・第2次・第3次の3段階。ただし行政職以外の職種は第2次試験が最終試験 |
| 第1次試験 | 全職種テストセンター試験。全国300か所以上で受験でき、県内には2か所の会場がある |
| 第1次試験の内容 | 基礎能力検査(SCOA)60分(文書読解能力、数的能力、論理的思考能力、一般教養のほか時事問題や社会常識、基礎英語)と、事務能力検査(SCOA)50分 |
| 第2次試験 | 全職種共通で小論文(作文)記述式60分(表現力、構成力、課題に対する理解力)。行政(上級・初級)は集団面接試験(約45分・5名程度のグループ)、行政以外の職種は個別面接試験(約20分) |
| 第3次試験 | 行政(上級・初級)のみ。甲州市役所本庁舎で個別面接試験(約20分・人柄、性格、態度、意欲等) |
| 提出書類 | 第1次試験合格者が「令和8年度甲州市職員採用試験エントリーシート」を写真貼付のうえ持参または書留郵便で提出。第2次試験当日には最終学校の卒業(見込)証明書を提出 |
| 採用予定人数 | 一般事務職(行政・上級/初級)4名程度、土木・建築各若干名、保健師・栄養士各若干名 |
| 申込方法 | 「やまなしくらしねっと電子申請サービス」から申込。受験票は郵送されず、各自でダウンロードして印刷し第2次試験当日に持参する |
| 結果の開示 | 受験者本人に限り口頭で開示請求できる。開示内容は総合得点及び総合順位、開示期間は合否通知発送日の翌日から1箇月間、開示場所は総務課 |
受験にあたって気をつけたいのは、エントリーシートの提出期限です。案内自体が「合格発表からエントリーシート提出まで期間がありませんので、あらかじめ準備をお願いします」と注意を促しています。
第1次の結果を見てから書き始めると間に合いません。志望動機と自己PRの下書きは、テストセンターの受験を終えた時点で用意しておくのが現実的です。
上記は甲州市の令和8年度職員採用試験案内にもとづく内容です。各試験種目の配点および人物試験の比重は案内に記載がなく、公表されていません。開示されるのも総合得点と総合順位のみで、種目別の得点は開示の対象外です。試験の構成・職種・日程は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける職種の最新の案内をご確認ください。
甲州市役所が求める人物像
甲州市の令和8年度採用試験案内と職員採用試験のページには、「求める人物像」を項目立てて示した記載はありませんでした。ただし、試験の設計そのものが市の考え方を映しています。
行政職には小論文と集団面接と個別面接の3種目が課され、面接の場は2回。書いて伝える力と、その場で人と話す力の両方を、時間をかけて見る設計です。
ここから先には推測が入ります。人口2万8千人規模の市で採用される一般事務職は4名程度で、先に見たとおり、任された制度は立ち上げから窓口まで同じ担当の手元に残ります。
加えてこの市は、第1次の合格発表からエントリーシートの提出までの期間が短く、案内そのものが事前の準備を促しています。前例のない相談を受けたときに、調べ先のあたりをつけ、話を通すべき相手を自分で選び、期限から逆算して形にできること。
小論文と2回の面接で確かめようとしているのは、この一連の運びだと考えるのが自然です。
もう一つ考えておきたいのが、市域264.11km²に2万8千人という暮らしの密度です。この人口規模では、一つの案件の進み具合も、職員の応対の仕方も、地域の中を早く伝わります。
丁寧さや誠実さが、対外的な礼儀ではなく仕事の成否そのものを左右する場面が多いということです。市外から受験することが不利になるわけではありません。
甲州市を選んだ理由と、この市のどの課題に関心があるかを、生活者の視点で具体的に語れるかが問われます。用意しておくべきなのは面接向けの人物像ではなく、自分がこれまでに人と一緒に何かを続けた場面の記憶です。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。甲州市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までの道のりはいかがでしたか | 身構える前の一言に出る、話し方の自然さ |
| ② 動機・志望 | 公務員を志望した理由を教えてください | どの自治体にも当てはまる理由で止まっていないか |
| ③ 自己理解 | ご自身の長所を一つ挙げてください | 申告の内容ではなく、裏づけになる出来事があるか |
| ④ 経験・行動 | 他の人と協力してやり遂げたことはありますか | 集団面接とも重なる観点。人の中での立ち位置 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れて学んだことは何ですか | 知識の量より、仕事へのつなげ方の説明 |
| ⑥ 適性・将来 | 希望する部署に配属されなかったらどうしますか | 市の業務範囲への理解と、配属に対する構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった出来事はありますか | 社会の動きへの目配りと、短くまとめる力 |
甲州市の選考でも、ここまでの7つは同じように問われるはずです。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「甲州市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「甲州市ならでは」の質問
どちらも甲州市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「甲州市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい甲州市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 一般事務職の採用は4名程度。世界農業遺産の峡東3市の一員として、県や隣接市と足並みをそろえる場面も市の担当が持つ | 県は広域の枠組みを描く側、市はぶどう畑一枚ずつの事情に合わせて動かす側だと置いたうえで、自分が向き合いたいのはどちらの距離かを言い切りましょう |
| 世界農業遺産の峡東地域 | 令和4年に山梨市・笛吹市との3市で認定。扇状地の栽培技術と土地利用そのものが評価された | 認定の事実に触れて終わらせず、技術を引き継ぐ人をどう増やすかという論点に進めると、観光の話に流れずに済みます |
| 高齢化の水準 | 65歳以上38.5%、75歳以上22.8%で、いずれも県平均を上回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) | 数字の紹介で止めず、移動手段や見守りなど具体の場面を一つ挙げ、自分が関わりたい部分を示します |
| 市域の広さと暮らし | 264.11km²に人口密度109人/km²。県土の約86%が山地という地形条件を共有する | 広さを不便さの説明で終えず、集落ごとに条件が違う市であることを述べ、届け方の工夫という話に進めます |
| 甲州市の魅力と課題 | 令和6年の観光入込客数は1,425,351人で県全体の4.5%。客足は富士山側に偏っている | 魅力は果樹と景観、課題は担い手と移動、と対にして語ると、褒めるだけの回答になりません |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接では、ここまで整理してきた資質が、あなたの過去の行動として実在するかどうかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 集団の中での振る舞い | 5名程度のグループで、他の受験者の発言をどう受けているか | 第2次は約45分の集団面接です。自分の答えを準備するだけでなく、人の話に反応する練習まで含めておきましょう |
| 書いて伝える力 | 60分の小論文で、課題をどう捉え、どう筋を通したか | 表現力・構成力・課題に対する理解力が試験の観点として示されています。市の課題を800字程度で書く練習を1本は通しておきましょう |
| 未経験の仕事を形にする力 | 経験のない役割を任されたとき、どう進めたか | 一般事務職の採用は4名程度で、担当の幅は広くなります。最初の一歩と、誰の力を借りたかまで話せるようにしておきましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。甲州市の行政職は第2次と第3次で二度面接を受けますから、同じ経験を別の面接官から角度を変えて問われると考えておきましょう。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、2回分の備えになります。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の採用試験案内を読み、受ける職種と、その職種が第3次まであるかどうかを確かめる
- テストセンターの会場と日時を早めに押さえる。基礎能力検査60分と事務能力検査50分の2種目があるので、時間配分の練習を先に始める
- エントリーシートの下書きを、第1次の結果を待たずに書き上げておく(提出までの期間が短いため)
- 学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる場面を1つずつ選んで書き留める
- 甲州市の事実を2つか3つ、メモを見ずに30秒で説明できるか確かめる(材料は第1部)
- 集団面接と個別面接の両方を想定して声に出し、深掘りへの返しを書き足していく
優先順位に注意
ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、甲州市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
甲州市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
甲州市の行政職の選考は、小論文で書き、集団面接で人の中に立ち、個別面接で一対一で問われるという三つの場面でできています。求められているのは、どの場面でも同じ人物として受け答えができることです。
ぶどうの棚を張る技術が人から人へ渡ってきたように、この市の仕事も、目の前の相手と話しながら引き継がれていきます。集団面接で隣の受験者の言葉を受け止められるか、個別面接で自分の経験を細部まで語れるか。
二度の面接は、その二つを別々に確かめています。どちらも、当日に急ごしらえできるものではありません。