本記事では、富士吉田市職員採用試験の面接対策で必要な、富士吉田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

富士吉田市役所の面接試験では、「なぜ富士吉田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。第2次で論文と面接、第3次でもう一度面接という二段構えの選考なので、市について話せる材料の厚みが、そのまま持ち時間の密度に変わります。

ここに集めた事実を出発点にして、自分の関心と富士吉田市の仕事が重なる場所を探しながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

富士吉田市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは富士吉田市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 山梨県の南東部、富士山の北麓に位置し、富士北麓地域の中核的な位置を占める高原都市。市街地はおおむね標高650〜850mに展開している。
  • 市域は121.74km²、人口は45,904人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は377人/km²。
  • 隣り合うのは都留市と南都留郡の西桂町・富士河口湖町・忍野村・鳴沢村・山中湖村。南では静岡県の富士宮市・駿東郡小山町と接する県境の市でもある。
  • 市の南側は富士の裾野をなし、陸上自衛隊の北富士演習場が大きな面積を占める。市域の多くは富士箱根伊豆国立公園の区域に含まれる。
  • 65歳以上の割合は32.3%、75歳以上は18.2%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。年平均気温は12.6℃(平成30年)。
  • 令和6年の観光入込客数(実人数)は5,719,640人で、県内の市町村では最も多い。県全体に対する構成比は18.1%にのぼる。
  • 市の花はふじざくら、市の木はしらかば。市役所は下吉田六丁目1番1号にある。
  • 職員の採用は3段階の選考で行われ、市立病院職員採用試験との併願は認められていない。

富士吉田市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「富士吉田市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

富士吉田市の数字は、市域の狭さと来訪者の多さという2つの軸から入ると整理しやすくなります。県全体の値も並べていますので、まずは規模の当たりをつけてください。

項目内容
総人口45,904人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積121.74km²
人口密度377人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合32.3%(山梨県全体は32.1%)
75歳以上の割合18.2%(山梨県全体は18.6%)
隣接自治体都留市・南都留郡西桂町・富士河口湖町・忍野村・鳴沢村・山中湖村/静岡県富士宮市・駿東郡小山町
観光入込客数(実人数)5,719,640人(令和6年・県計の18.1%)
市役所所在地富士吉田市下吉田六丁目1番1号
(参考)山梨県の推計人口774,332人(令和8年6月1日現在。前年同月比6,652人減)
(参考)山梨県の総面積4,465.27km²(総面積の約86%が山地)

65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値によるものです。この統計での富士吉田市の総人口は45,904人、山梨県全体は794,684人で、割合の分母にもこれらを用いています。あわせて載せた県の推計人口は国勢調査を基準に算出されており、調査の基準が異なるため住民基本台帳の数値と直接比べることはできません。総人口や面積、人口密度、隣接自治体、市役所所在地は、公表されている値をもとに整理しました。

数字から考えられる市政課題

富士吉田市の市域は121.74km²で、山梨県全体(4,465.27km²)の3%に届きません。そこに人口密度377人/km²で人が暮らし、令和6年には実人数で5,719,640人の観光客が訪れています(出典:山梨県観光入込客統計調査報告書|令和6年)。

市の人口で単純に割れば、市民1人あたり年間125人ほどの来訪者を迎えている計算になります。ごみも交通も上下水道も、住民の人数ではなく訪れる人の数に合わせて備えなければならないという条件が、市政の前提にあります。

もう一つの軸が高齢化です。令和8年1月1日現在の住民基本台帳では65歳以上が32.3%、75歳以上が18.2%で、山梨県全体の32.1%・18.6%とほぼ同じ水準にあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

県内では高齢化がとりわけ速く進んでいる市もあるなかで、富士吉田市は県の平均的な姿に近い位置にいます。たとえば面接では、次のように数字と暮らしの実感を結び付けて話すことができます。

「富士吉田市は人口が4万人台の市ですけれども、観光でいらっしゃる方は年間570万人ほどと知りました。暮らしの場と観光地が重なっている市なので、ごみや渋滞への対応は観光の仕事であると同時に、市民の生活を守る仕事でもあるのではと感じています」

富士吉田市の経済・産業

県内最多の観光客を受け止める市

令和6年の山梨県の観光入込客数(実人数)は31,587,960人で、前年比122.7%と大きく伸びました。市町村別で最も多いのが富士吉田市の5,719,640人(構成比18.1%)で、次いで富士河口湖町の5,155,767人(16.3%)が続きます。

圏域別に見ると富士・東部圏域が県全体の54.8%を占め、外国人延べ宿泊者数も255万5千人(前年比79.6%増)に達しました(出典:山梨県観光入込客統計調査(概要)|令和6年)。

ここで押さえたいのは、観光が「増やす」局面だけの話ではなくなっているという点です。山梨県富士山吉田口県有登下山道(吉田ルート)では、令和7年シーズンに規制期間7月1日から9月10日、1日あたりの登山者数の上限4,000人、通行料1人1回4,000円という仕組みで運用されました。

同年の許可者数は149,713人、使用料の徴収額は591,384,000円です(出典:富士山吉田口登山道の通行規制と使用料|令和7年シーズン)。来る人の数を数え、上限を決め、費用を負担してもらうという管理型の運営へ、富士山の観光は舵を切っています。

県の経済という土台

市域の外に目を向けると、山梨県の製造品出荷額等は2兆5,302億20百万円で、構成比の最上位は生産用機械器具製造業の7,915億54百万円(31.3%)、次いで食料品製造業2,490億5百万円(9.8%)、電子部品・デバイス・電子回路製造業2,300億80百万円(9.1%)となっています。機械電子産業が県の基幹産業と位置づけられています(出典:山梨県の工業(経済センサス活動調査)|令和3年)。

観光地の市役所を志望するとしても、県経済がものづくりで支えられているという前提は押さえておきたいところです。

農産物とミネラルウォーターの県

山梨県はぶどうの収穫量43,600t(全国の26.0%)、ももの31,500t(29.0%)、すももの5,090t(31.0%)がいずれも全国第1位です。ミネラルウォーターの出荷額も約585億円で全国の31.3%を占めて第1位、ワイナリー数は89場で全国の18.0%にあたります(出典:山梨県の日本一|令和6年産ほか)。

富士山の湧水も観光も果樹も、水と地形という同じ資源から生まれている点は、志望動機の中で触れやすい材料です。

富士吉田市の主な行政課題

ここまでの数字を並べると、富士吉田市役所がどんな仕事に向き合っているかが見えてきます。市の課題を聞かれたときに取り出せるよう、次の4つを頭に入れておきましょう。

5万人を割り込んだ人口

富士吉田市の人口は、2015(平成27)年国勢調査で49,003人と5万人を割り込み、2020(令和2)年国勢調査では46,530人となりました(同年の住民基本台帳では48,331人)。県内では5位の人口規模です(出典:富士吉田市の概要|平成30年ほか)。

山梨県全体でも、2003年に死亡数が出生数を上回る自然減へ、2001年に社会減へ転じており、労働力人口は2020年の約45万人から2050年には35万人を下回る見通しです(出典:山梨県人口ビジョン2.0|令和7年)。観光客の数が伸びても、市を支える働き手はその外側で減っていきます。

火山と隣り合う市であること

富士山は標高3,776mの成層火山で、気象庁の常時観測火山に指定され、地震計や傾斜計、監視カメラによる観測が続けられています。1707(宝永)年の噴火では南東山腹から噴火し、江戸方面への降灰など甚大な被害を及ぼしました(参考:気象庁 富士山の活動状況|常時観測火山)。

噴火は起こるかどうかではなく、起きたときにどう動くかとして備えられているのが、この地域の防災の考え方です。市はその備えを担う自治体の一つとして、県や国、近隣市町村と同じ枠組みの中にいます。

大規模地震への備え

令和5年の山梨県地震被害想定調査で最大の被害が想定されているのは曽根丘陵断層帯による地震で、建物の全壊・全焼94,102棟、死者3,843人、1週間後の避難者207,242人という想定です。

南海トラフの巨大地震(東側ケース・M9クラス)でも、県中西部で最大震度7、建物の全壊・全焼60,017棟、死者3,019人、1週間後の避難者140,329人が見込まれています(出典:山梨県地震被害想定調査(概要版)|令和5年)。観光客が市内に多数滞在している時間帯に大きな揺れが起きれば、避難所には市民ではない人が大勢集まります。

防災の計画は、住民の数だけを見て立てられません。

観光の受け入れと暮らしの折り合い

市域121.74km²のうち相当部分は演習場と国立公園です。人が住み、商売をし、観光客が歩く空間はその外側の限られた面積に重なっています。

渋滞やごみ、宿泊施設の集中、山岳での事故対応。どれも観光振興の課題であると同時に、そこで生活する市民の課題でもあります。

面接で観光を志望分野に挙げるなら、集客の話だけでなく、住んでいる人にとっての観光という視点まで持っておくと厚みが出ます。

重点政策|富士山の防災と利用管理

富士吉田市が現在どの総合計画のもとで市政を進めているかは、市公式サイトに載っている最新版で必ず目を通してください。ここでは、その計画の外側で市政の前提になっている2つの枠組みを整理します。

富士山火山防災の広域の枠組み

平成24年6月8日、山梨県・静岡県・神奈川県の3県で連携した防災対策を検討するため「富士山火山防災対策協議会」が設立されました。構成メンバーには3県知事のほか関係市町村長、関係消防本部消防長、陸上自衛隊、火山の専門家、国の機関、ライフライン関係事業者が名を連ね、広域避難計画や訓練計画の策定を担っています(出典:富士山火山防災対策協議会|平成24年設立)。

同協議会は令和5年3月に「富士山火山避難基本計画」を策定し、令和3年3月にはハザードマップを改定して、溶岩流や火砕流、融雪型火山泥流、降灰、降灰後土石流などを対象に整理しました。

受験者の立場でここから読み取っておきたいのは、市の防災担当が市役所の中だけで完結する仕事ではないという点です。県や他県の自治体、消防、自衛隊との調整が日常的に発生します。

世界遺産と利用管理

富士山は平成25年6月、第37回ユネスコ世界遺産委員会において「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産への登録が決定しました。構成資産は25件で、山梨県側には吉田口登山道や北口本宮冨士浅間神社、御師住宅、富士五湖や忍野八海などが含まれます(出典:世界遺産「富士山」構成資産の紹介|山梨県)。

環境省の調査では、2025年の開山日から9月10日までに富士山八合目を通過した登山者は全登山道の合計で約20万5千人でした。信仰の対象であり、観光資源であり、危険を伴う登山の場でもある。

この3つの顔を同時に扱うのが、この地域の行政の特徴です。

POINT|事業名を並べることが目的ではない

事業名を覚えることと、その事業に自分がどう関わるかを語ることは別の作業です。①市の現状を示す数字を1つ選ぶ、②そこから起きている困りごとを具体的に書き出す、③市や県がすでに手を打っている領域を確かめる、④自分の経験のどこがそこで使えるかを言葉にする。この4つが埋まれば、事業名を一つも挙げずに志望動機を語れます。

悪い例「富士山という世界に誇れる資源を活かして、観光振興に貢献したいです」

改善例「まずは窓口で市民の方の困りごとを知るところから始めたいです。そのうえで、市の人口の百倍を超える方が毎年訪れる市ですので、観光の受け入れと市民の暮らしの両方が成り立つ仕組みづくりに関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

4つとも通読する構えでいると、かえって手が止まります。関心のある分野に近いものを1つ選び、面接で一言引用できる程度に読んでおけば足ります。

  • 富士吉田市職員採用試験案内(最新年度)と、市の採用情報のページ
  • 富士吉田市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
  • 富士山火山避難基本計画とハザードマップ(防災分野を志望する場合)
  • 山梨県観光入込客統計調査(観光や交通を志望分野にする場合)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、富士吉田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。富士吉田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

富士吉田市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

富士吉田市役所の面接の概要

ここからは、第1次から第3次までの選考が実際にどう進み、それぞれの段階で何を見られるのかを、市の採用試験案内と当研究会の分析にもとづいて整理します。

富士吉田市役所の試験の構成

令和8年度実施の富士吉田市職員採用試験は、第1次から第3次までの3段階です。第2次で論文と面接、第3次でも面接と、人物を見る機会が2度置かれているのがこの試験の形です。

項目内容(令和8年度実施)
試験の段階第1次・第2次・第3次(各段階の合格者だけが次の試験に進む)
第1次試験教養試験(テストセンター形式。社会で必要とされる基礎的な知的能力、応用力、学力を問う問題)と適性検査等(テストセンター方式)
第2次試験第1次試験合格者のみ。論文・面接試験等
第3次試験第2次試験合格者のみ。面接試験
試験会場第1次は全国各地のテストセンター(県内の例として甲府バイパス国母、JESパソコンスクール甲府、栄光学院富士吉田校、NKTS甲府駅前が案内に挙げられている)、第2次・第3次はいずれも富士吉田市役所
募集職種・人員行政職(一般〔大学卒・短大卒〕8名程度、民間企業等職務経験者5名程度、身体障がい者1名程度)、土木職1名程度、保健師1名程度、管理栄養士1名程度、社会福祉士1名程度、看護専門学校専任教員3名程度
申込方法「やまなしくらしねっと電子申請サービス」による電子申請のみ
提出書類履歴書は第1次試験合格者のみ別途提出。受験票は第1次試験では不要で、申込前6か月以内に撮影した写真(タテ4cm・ヨコ3cm、上半身・脱帽・正面向き)を貼り第2次試験当日に持参する
併願の制限別途日程で実施される市立病院職員採用試験との併願受験は認められておらず、判明した場合は失格となる
結果の開示各試験の合格発表の日から2週間。受験者本人が本人確認書類を持参して総務課へ直接来庁して請求する(電話・はがき等による請求は不可)
採用の仕組み合格者は採用候補者名簿に登載され、欠員が生じた場合にこの中から採用者が決定される。補欠合格者を決定する場合があり、名簿の有効期間は1年

職種の一覧を見ると、行政職のほかに土木、保健師、管理栄養士、社会福祉士、看護専門学校の専任教員まで並んでいます。人口4万人台の市役所が、専門職を含めてこれだけの守備範囲を持っているということです。

行政職として入れば、こうした専門職と同じ庁舎で仕事を組み立てることになります。

上記は富士吉田市の令和8年度実施の職員採用試験案内にもとづく内容です。各試験種目の配点と人物試験の比重については、案内に記載がありません。なお、近隣の3市3村は令和8年度から第1次試験を共同で実施する枠組みに参加していますが、富士吉田市はその参加団体ではなく、市単独で試験を行っています。試験の構成・職種・日程は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける職種の最新の案内をご確認ください。

富士吉田市役所が求める人物像

富士吉田市の令和8年度採用試験案内と、市の職員採用のページの本文には、求める人物像を項目立てて掲げた記載はありませんでした。手がかりになるのは試験の設計そのものです。

論文で書かせ、面接を2度重ねる。文章で筋道を示す力と、対面で人と向き合う力の両方を、時間をかけて確かめる組み立てになっています。

そこで、採用の規模のほうから考えてみます。行政職の一般枠は8名程度の採用で、そこに民間企業等職務経験者の枠が5名程度加わります。

新卒中心の枠に、社会で働いてきた人が同じくらいの数で加わる構成です。観光の繁忙期も、災害への備えも、福祉の相談も、この顔ぶれで受け止めることになります。

前例のない相談を持ち込まれたときに、手がかりの探し方と相談先の見つけ方を自分で組み立てられる人は、こうした職場で力を発揮しやすいでしょう。ここまでは採用案内の数字から当研究会が引いた線であって、市が選考の基準として掲げているものではありません。

もう一つ見ておきたいのが、募集職種の並びです。行政職に加えて土木、保健師、管理栄養士、社会福祉士、看護専門学校の専任教員まで、人口4万人台の市がこれだけの専門職を抱えています。

行政職として入れば、専門の違う職員と分野をまたいで話をつなぐ場面が出てきます。相手の専門が自分と違っても、必要なことを聞き出して段取りに変えられるか。

富士山の観光と市民の生活が同じ市域に重なるこの場所で何をしたいのかは、自分の言葉で言い切れるようにしておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。富士吉田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか身構える前の一言に出る、話し方の自然さ
② 動機・志望公務員を志望した理由を教えてくださいどの自治体にも当てはまる理由で止まっていないか
③ 自己理解ご自身の短所を一つ挙げてください自分を客観視できているか、対処まで語れるか
④ 経験・行動これまでに一番粘り強く続けたことは何ですか続けた理由と、途中で工夫したこと
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れて学んだことは何ですか知識の量より、仕事へのつなげ方の説明
⑥ 適性・将来希望どおりの配属にならなかったらどうしますか配属先を選べない前提を受け止められているか
⑦ 公共性・社会性最近気になった出来事はありますか社会の動きへの目配りと、短くまとめる力

ただし、この見取り図に富士吉田市の名前はどこにも出てきません。論文を書き切って面接まで進んだ受験者は、この7つをひととおり用意して席に着きます。

では、どこで差がつくのか。それが次の「富士吉田市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「富士吉田市ならでは」の質問

「なぜ山梨県庁ではなく、富士吉田市役所なのですか」
「富士吉田市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。ここでは、その材料になる富士吉田市の事実を、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい富士吉田市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か行政職の一般枠8名程度に加え、土木・保健師・管理栄養士・社会福祉士・看護専門学校の専任教員までを同じ庁舎に置いている県が制度の枠を決める立場だとすれば、市はその枠を専門職と一緒に現場へ下ろす立場です。志望分野で誰と組むことになるかまで話すと、具体性が出ます
観光と暮らしの両立令和6年の観光入込客数(実人数)は5,719,640人で県内最多。県計の18.1%にあたる集客を増やす提案で終わらせず、渋滞やごみなど住民側に生じる負担にも触れると、生活者として市を見ている姿勢が伝わります
富士山の防災富士山は気象庁の常時観測火山。県をまたぐ協議会が令和5年3月に富士山火山避難基本計画を策定した噴火の知識を語るより、観光客が市内にいる時間帯に避難をどう回すかという行政の実務に話を寄せると答えが具体になります
人口と働き手2015年国勢調査で5万人を割り込み、2020年国勢調査は46,530人。県の労働力人口も2050年に35万人を下回る見通し観光客の数と定住人口の動きを分けて語ると、市の課題を正確に捉えていることが示せます
富士吉田市の魅力と課題市街地は標高650〜850mの高原。市域の多くが国立公園で、南側には北富士演習場が広がる魅力は景観と観光、課題は人口と受け入れ体制、と対にして語ると、褒めるだけの回答になりません

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接では、ここまで挙げてきた力が、あなたの過去にどんな形で現れたのかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
書いて筋を通す力第2次の論文で、課題をどう捉え、どう順序立てたか第2次には論文が含まれます。市の課題を1本、制限時間を決めて書き切る練習をしておくと、面接での答えも整理されます
初めての分野に取りかかる力配属直後に任された仕事を、どう覚えていったか行政職の採用は一般枠で8名程度です。配属先がどこでも最初は覚える側に回ります。知らない分野をどう調べ、誰に確かめたのかまで話せるようにしましょう
来訪者と市民の双方に向き合う姿勢立場の違う相手にどう対応してきたか市民44,000人ほどの市に年間570万人が訪れます。接する相手が入れ替わる場面で、何に気をつけたかを一つ具体的に用意しておきましょう

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。富士吉田市では第2次と第3次で二度面接を受けますから、同じ経験を別の面接官から角度を変えて問われると考えておきましょう。

二度の面接をまたいでも細部まで一貫して説明できる実体験に根ざした答えを選んでおきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の採用試験案内を読み、受ける職種と、第3次まで進む選考の全体像を確かめる
  2. 県内の会場を含むテストセンターの予約を早めに済ませ、受験する日程を先に確定させる
  3. 第2次で提出する写真と履歴書の準備を、第1次の結果を待たずに済ませておく
  4. 学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる場面を1つずつ選んで書き留める
  5. 第1部で拾った富士吉田市の事実を3つ選び、資料を見ずに人へ説明してみる
  6. 論文と面接の両方を想定して声に出し、深掘りへの返しを書き足していく

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、富士吉田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

富士吉田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

富士吉田市役所の想定問答集を見る

さいごに

富士吉田市の選考は、テストセンターで基礎を測り、論文で書かせ、面接を二度重ねるという長い道のりです。長いということは、その分だけあなたの人となりを見る時間が用意されているということでもあります。

富士山を目の前にした4万人の市で、毎年その百倍を超える人を迎え入れながら、市民の暮らしを守る。その両方に関わる仕事に、自分の経験のどこを差し出せるのか。

答えを探す作業そのものが、面接の準備になります。焦らずに、一つずつ言葉にしていってください。