本記事では、上野原市職員採用試験の面接対策で必要な、上野原市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
上野原市役所の面接試験では、「なぜ上野原市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度の上野原市は、近隣3市3村との共同採用試験と市単独の採用試験を並行して行っており、どちらの入口から入るかで第1次試験の中身が変わります。
自分が受ける枠組みを先に確定させておきましょう。
ここに並べた事実を手元に置いて、自分の関心が上野原市のどの仕事につながるのかを考えながら読んでください。
第1部|自治体研究編
上野原市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは上野原市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 山梨県の最東部に位置し、首都圏の中心部から60〜70km圏にある市。東は神奈川県相模原市、北は東京都西多摩郡の奥多摩町・檜原村と接する。
- 市域は170.57km²、人口は20,763人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は122人/km²。
- 桂川、秋山川、鶴川、仲間川とそれらの支流が形づくった河岸段丘が、住民の生活基盤になっている。
- 桂川と秋山川はともに相模川水系に属し、神奈川県における主要な水道供給源となっている。市域の水が県境の外の暮らしを支えている。
- 中央自動車道の上野原インターチェンジと談合坂スマートインターチェンジ、JR中央本線の上野原駅と四方津駅、国道20号が通る。
- 65歳以上の割合は40.9%、75歳以上は23.2%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、山梨県全体の32.1%・18.6%を上回る。
- 市の花はリンドウ、市の木はヤマモミジ。市役所は上野原3832番地にある。
- 令和8年度は共同採用試験と市単独の採用試験を並行して実施している。単独試験には行政経験者を対象とした枠も置かれている。
上野原市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「上野原市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
上野原市の位置づけは、2万人という人口規模と、東京都・神奈川県に接する県境という立地の2つで大づかみできます。県全体の数値も添えましたので、あわせて見てください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 20,763人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 170.57km² |
| 人口密度 | 122人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 40.9%(山梨県全体は32.1%) |
| 75歳以上の割合 | 23.2%(山梨県全体は18.6%) |
| 隣接自治体 | 大月市・都留市・南都留郡道志村・北都留郡小菅村/東京都西多摩郡奥多摩町・檜原村/神奈川県相模原市 |
| 主な交通 | 中央自動車道上野原IC・談合坂スマートIC、JR中央本線上野原駅・四方津駅、国道20号 |
| 観光入込客数(実人数) | 260,221人(令和6年) |
| 市役所所在地 | 上野原市上野原3832番地 |
| (参考)山梨県の推計人口 | 774,332人(令和8年6月1日現在。前年同月比6,652人減) |
65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値によります。この統計での上野原市の総人口は20,763人、山梨県全体は794,684人で、割合の分母もこの数値です。末尾に添えた県の推計人口は国勢調査を基準に算出されたもので、住民基本台帳とは調査の基準が異なるため、両者を並べて増減を論じることはできません。総人口、面積、人口密度、隣接自治体、市役所所在地は、公表されている値から整理しました。
数字から考えられる市政課題
上野原市を語るときに外せないのが立地です。首都圏の中心部から60〜70km圏にあり、東は相模原市、北は奥多摩町と檜原村。
中央自動車道のインターチェンジが2か所、JR中央本線の駅が2か所あり、国道20号も通っています(出典:上野原市の概要(位置と地勢)|上野原市)。通勤や通学で東京や神奈川へ出る人がいる一方、市内で暮らしを完結させる人もいます。
生活圏が県境をまたいで広がっている市だという点は、市政のあらゆる分野に影響します。
そこに高齢化が重なります。令和8年1月1日現在の住民基本台帳では65歳以上が40.9%、75歳以上が23.2%で、山梨県全体の32.1%・18.6%を上回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
河岸段丘に沿って集落が点在する地形ですから、高台の住宅地から病院や買い物先まで下りていく移動そのものが課題になります。面接では、立地と高齢化を次のように結び付けて話すことができます。
上野原市の経済・産業
交通の結節点という条件
中央自動車道の上野原インターチェンジと談合坂スマートインターチェンジ、JR中央本線の上野原駅と四方津駅、そして国道20号。2万人規模の市としては、東西を貫く幹線が集まっています。
これは人と物が通り過ぎる場所であることを意味すると同時に、通り過ぎる人に立ち寄ってもらえる余地があるということでもあります。令和6年の上野原市の観光入込客数(実人数)は260,221人でした。
山梨県全体の実人数は31,587,960人で、そのうち54.8%は富士・東部圏域が占めています(出典:山梨県観光入込客統計調査報告書|令和6年)。通過交通をどう滞在に変えるかは、この立地の市に固有の宿題です。
水源地としての役割
市内を流れる桂川と秋山川は、いずれも相模川水系に属し、神奈川県における主要な水道供給源となっています。市域の森林や河川の管理が、県境の外に住む人の飲み水につながっているということです。
上流にある自治体としての責任は、環境部門だけでなく、災害時の対応や土地利用の判断にも関わります。志望動機で環境や治水に触れるなら、市内の景観の話にとどめず、下流にどんな影響が及ぶかという視点まで持っておくと厚みが出ます。
県の産業という背景
山梨県全体では、製造品出荷額等が2兆5,302億20百万円で、構成比の最上位は生産用機械器具製造業の7,915億54百万円(31.3%)。はん用・生産用・業務用機械や電子部品、電気機械などからなる機械電子産業が県の基幹産業と位置づけられています(出典:山梨県の工業(経済センサス活動調査)|令和3年)。
また、山梨リニア実験線は笛吹市から大月市、都留市、上野原市へと続く総延長42.8kmの区間で、上野原市もその沿線に含まれます(出典:山梨リニア実験線・県立リニア見学センター|山梨県)。
上野原市の主な行政課題
ここまでの事実から、上野原市役所が向き合っている論点を4つに整理します。どれか1つを自分の関心に引き寄せておくと、課題を尋ねられたときに困りません。
高齢化と地形が重なる暮らしの支え方
65歳以上40.9%、75歳以上23.2%という構成に、河岸段丘という地形が重なります。集落ごとに標高も道路事情も違うため、同じ制度を届けるにも手間の量が変わります。
買い物や通院の移動、除雪、災害時の連絡、独居世帯の見守り。住民の4割が65歳以上という前提で組み立てられた行政サービスが、この市には必要です。
東部地域の人口減少
山梨県人口ビジョン2.0は、県内すべての地域で人口減少が見込まれるとしたうえで、峡南地域と東部地域では減少のスピードが速く、生産年齢人口だけでなく老年人口も大きく減ると見ています。2100年までに県内のスーパーやコンビニは現在の半分以下になり、峡南・東部地域では現存店舗の9割以上が閉店、小中学校は約3分の1に、消防団員数は4割弱まで減るという試算です(出典:山梨県人口ビジョン2.0|令和7年)。
首都圏に近いという条件は、人口減少を止める保証にはなりません。
大規模地震への備え
令和5年の山梨県地震被害想定調査で最大の被害が想定されているのは曽根丘陵断層帯による地震で、建物の全壊・全焼94,102棟、死者3,843人、1週間後の避難者207,242人という数字が示されています。
南海トラフの巨大地震(東側ケース・M9クラス)でも、県中西部で最大震度7、建物の全壊・全焼60,017棟、死者3,019人、1週間後の避難者140,329人が想定されています(出典:山梨県地震被害想定調査(概要版)|令和5年)。段丘の斜面や谷を通る道路は、災害時に寸断されやすい場所でもあります。
上流域の市として、水源の安全確保も含めた備えが求められます。
職員の確保と世代の入れ替わり
上野原市は令和8年度に、共同採用試験と市単独の採用試験を並行して実施しています。単独試験の募集職種には、官公庁での行政事務経験が3年以上ある人を対象とした公務員経験者枠と、市の行政事務経験が3年以上ある人を対象とした本市退職者枠が置かれています(出典:上野原市職員採用試験(令和9年4月採用)|令和8年度)。
新卒だけでなく、経験を積んだ人や一度市役所を離れた人にも入口を開いているということです。裏を返せば、限られた人数で市政を回す体制を維持することが、それだけ切実な課題になっているとも読めます。
重点政策|首都圏に接する市の位置取り
上野原市が現在どの総合計画のもとで市政を進めているかは、市公式サイトの最新版で必ず目を通してください。ここでは、計画の背景として押さえておきたい2つの条件を整理します。
県境の市であるということ
上野原市は東で神奈川県相模原市、北で東京都西多摩郡の奥多摩町・檜原村と接し、市の中心部は首都圏の中心から60〜70km圏にあります。通勤・通学の流れも、買い物や医療の行き先も、市の境で完結しません。
移住や定住の施策を考えるにしても、比較の対象になるのは県内の他市だけでなく、東京都や神奈川県の郊外です。同じ距離帯の首都圏郊外と比べられる立場にあることが、この市の政策づくりの出発点になります。
上流の自治体としての責任
桂川と秋山川が相模川水系の一部として神奈川県の主要な水道供給源になっているという事実は、市の環境政策の位置づけを決めています。森林の管理も、下水の処理も、市内の環境だけの話ではありません。
県境をまたぐ調整が日常的に発生する分野であり、県や国、下流の自治体との協議も仕事の一部になります。市の規模は小さくても、扱う対象は市域を越える。
この感覚は、面接で行政の仕事を語るときの下地になります。
POINT|計画名を暗記することが目的ではない
市の計画や事業名を覚えても、面接で問われるのは「あなたはどこに関わりたいのか」です。①市の現状を示す数字を1つ選ぶ、②そこから起きている困りごとを具体的に書き出す、③市や県がすでに動いている領域を確かめる、④自分の経験のどこが使えるかを言葉にする。この順に整理すれば、事業名を挙げなくても話は立ちます。
悪い例「首都圏に近く自然も豊かな上野原市で、移住促進に貢献したいです」
改善例「まずは窓口の仕事で市民の方の暮らしを知りたいです。そのうえで、都心から60kmほどの立地ですので、移り住んだ方が段丘の上の集落でも困らないように、移動や生活の支えを整える仕事に関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
4つを均等に読む必要はありません。受ける枠組みの案内を軸に据え、あとは志望分野に近いものを1つ足せば十分です。
- 上野原市職員採用試験の実施要項(単独試験)と、市の職員採用のページ
- 山梨県東部地域3市3村職員共同採用試験の試験案内(共同の枠組みで受験する場合)
- 上野原市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- 山梨県人口ビジョン2.0(東部地域の人口の見通しを押さえるため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、上野原市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。上野原市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
上野原市役所の面接の概要
ここからは、2つの枠組みの選考がどう進み、面接で何が確かめられるのかを、市の実施要項と共同採用試験の公表資料、そして当研究会の分析から押さえていきます。
上野原市役所の試験の構成
令和8年度の上野原市は、3市3村の共同採用試験と、市単独の職員採用試験を並行して実施しています。枠組みが違っても、第2次で論述と個別面接の両方を課す点は共通しています。
異なるのは第1次試験の実施主体と、募集職種の幅です。
| 項目 | 共同採用試験(令和8年度) | 市単独試験(令和8年度・令和9年4月採用) |
|---|---|---|
| 試験の枠組み | 都留市・大月市・道志村・小菅村・丹波山村とともに第1次試験を共同実施。試験事務局は山梨県総務部市町村振興課 | 上野原市が単独で実施する第1次・第2次の2段階 |
| 第1次試験 | SCOA(基礎能力検査)60分とSCOA(性格検査)35分。全国のテストセンター約300会場(県内3会場)で受験 | 各職種共通で教養試験(基礎能力検査SCOA)60分と性格検査20分。テストセンター試験として実施 |
| 第1次試験の程度 | 職種ごとの受験資格に応じる | 事務職(初級)・土木職(初級)・保育士(中級)は高卒程度、その他は大卒程度 |
| 第2次試験 | 人物試験(個別面接、論文) | 各職種共通で論述試験(現状把握力・論理的思考力、文章表現力等の試験)と個別面接試験 |
| 募集職種 | 行政・事務職、保健師、社会福祉士、土木 | 事務職、土木職、土木職(経験者)、保健師、社会福祉士、保育士、事務職(行政経験者)、保健師(行政経験者) |
| 採用予定人員 | 行政・事務職5人程度、保健師1人程度、社会福祉士1人程度、土木1人程度 | 若干名 |
| 経験者への配慮 | 職種ごとの受験資格による | 行政経験者枠(事務職・保健師)の受験者は第1次の教養試験が免除され、性格検査のみ実施される(性格検査での合否はない) |
| 受験票 | 共同採用試験の案内による | 郵送されない。電子申請から各自ダウンロードしてA4横で印刷し、はがき大に切って写真(タテ5cm・ヨコ4cm、上半身・脱帽・正面向き)を貼り、第2次試験当日に持参する |
| 初任給 | 各自治体の条例等の規定による(大学卒約232,000円) | 事務職・土木職は上級232,000円(地域手当6,960円)・初級200,300円(同6,009円)、保健師上級274,100円(同8,223円)、社会福祉士上級232,000円、保育士中級216,500円(令和8年4月1日現在) |
共同採用試験の上野原市分については、第2次試験の合格者が公表されています。公表された受験番号でみると、事務職(上級)9人、保健師1人、社会福祉士1人でした(出典:上野原市 第2次試験合格者の発表|令和8年度)。
共同採用試験での採用予定は行政・事務職で5人程度とされていましたから、第2次の合格者はそれを上回る人数が公表されたことになります。数字を眺めるだけでなく、自分がその中に残るために何を話すのかを考えておきましょう。
上記は上野原市の令和8年度職員採用試験の実施要項および共同採用試験の公表資料にもとづく内容です。配点や人物試験の比重については、いずれの案内にも記載がありません。上野原市はこのほかにも年度内に別の日程の採用選考を実施しており、枠組みごとに試験構成が異なります。消防職は別ページ・別案内で募集されているため、行政職の情報と混同しないよう注意してください。受験の際は必ずご自身が申し込む試験の最新の案内をご確認ください。
上野原市役所が求める人物像
上野原市の単独試験の募集要項には、求める人物像を項目立てて示した記載はなく、面接カードの提出も求められていません。提出物は受験票と電子申請の入力内容が中心です。
つまり、事前に書いた文章で人物を判断する設計ではなく、その場の受け答えと論述試験の中身で見るということになります。
募集の形にも目を向けてみます。単独試験では行政経験者枠が設けられ、官公庁で3年以上勤めた人や、市を一度離れた人にも入口が開かれています。
新卒だけで職場を構成するのではなく、経験のある人を含めて必要な戦力を集める。そうした職場では、年齢や経歴の違う相手と自然に仕事を進められることが力になります。
人口2万人規模の市ですから、一人の職員が企画から窓口、関係機関との調整までを受け持つ場面も多いはずです。この段落は、募集要項の項目立てを当研究会が実務の側から言い換えたものです。
もう一つ、生活圏が県境をまたいで広がっている点も面接に関わります。市民の暮らしは東京や神奈川とつながっており、行政の相手方も市内だけにとどまりません。
上野原市を選んだ理由と、この市のどの課題に関心があるのかを、生活者の視点で語れるかが問われるでしょう。地図の上の距離ではなく、実際に市を訪ねて感じたことを一つ持っているかどうかで、答えの手触りは変わります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。上野原市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までの道のりはいかがでしたか | 身構える前の一言に出る、話し方の自然さ |
| ② 動機・志望 | 公務員を志望した理由を教えてください | どの自治体にも当てはまる理由で止まっていないか |
| ③ 自己理解 | ご自身の長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか、裏づけの出来事があるか |
| ④ 経験・行動 | 年上の人と一緒に取り組んだ経験はありますか | 経歴の違う相手との距離の取り方 |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの経験で市の仕事に活かせることは何ですか | 経験の中身と、仕事への接続の説明 |
| ⑥ 適性・将来 | 希望どおりの配属にならなかったらどうしますか | 市の業務範囲への理解と、配属に対する構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった出来事はありますか | 身の回りの話題を選ぶ目と、要点の絞り方 |
ただし、枠組みとしての7カテゴリーは、どの自治体を受けても大きくは変わりません。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「上野原市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「上野原市ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。県境の市という条件は、答えに固有性を出しやすい材料でもあります。
| 質問テーマ | 知っておきたい上野原市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 共同採用試験での行政・事務職の採用予定は5人程度。担当した仕事の結果が住民の反応となってすぐ返ってくる規模である | 市の仕事は住民との距離が近いぶん、判断の当たり外れが早く見えます。その距離を選んだ理由を、自分の経験と重ねて話しましょう |
| 首都圏に近い立地 | 首都圏の中心部から60〜70km圏。東は相模原市、北は奥多摩町と檜原村に接する | 近さを利点として述べるだけでなく、通勤先が市外にあることが市政にどう跳ね返るかまで踏み込むと、地に足のついた答えになります |
| 水源としての役割 | 桂川と秋山川は相模川水系に属し、神奈川県の主要な水道供給源になっている | 環境や治水を志望分野にする場合、市内の景観だけでなく下流への影響に触れると、行政の広がりを理解していることが伝わります |
| 高齢化と地形 | 65歳以上40.9%、75歳以上23.2%。河岸段丘に沿って集落が点在する | 数字を挙げるだけでなく、坂道や移動といった生活の場面を一つ具体的に語ると、実感のある答えになります |
| 上野原市の魅力と課題 | 中央道のインターチェンジ2か所とJR2駅を持つ一方、観光入込客数は令和6年で260,221人 | 魅力は立地と自然、課題は通過されることと高齢化、と対にして語ると、褒めるだけの回答になりません |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接で問われるのは、ここまで整理してきた資質を、あなたがどの場面で使ってきたかという事実です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 現状を捉えて筋を立てる力 | 第2次の論述試験と、面接での課題の語り方 | 実施要項は論述の観点として現状把握力・論理的思考力・文章表現力を挙げています。市の課題を1本書き切ってから面接の答えを整えると、両方が同時に固まります |
| 経歴の違う相手と組む力 | 年上や経験者と一緒に動いた場面の掘り下げ | 行政経験者枠のある職場です。年齢や立場の違う相手とどう役割を分けたかを、具体的な場面で話せるようにしておきましょう |
| 未経験の仕事を形にする力 | 頼れる前例がないとき、最初に何をしたか | 採用予定が若干名から5人程度という規模では、担当の幅は広くなります。前例を探すところから完成までの段取りを、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。上野原市はどちらの枠組みでも個別面接ですから、書類ではなく口頭で細部まで確かめられます。
口頭で細部まで再現できる実体験に根ざした答えを選んでおきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が申し込む選考を特定する(共同採用試験か、市単独試験か)。そのうえで該当する実施要項を通読する
- SCOA形式の検査に慣れるところから始める。どちらの枠組みも同じ形式なので、時間配分の練習は共通で使える
- 受験票の準備方法を確認する(単独試験は郵送されず、印刷と写真の貼付を自分で行う)
- 学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる場面を1つずつ選んで書き留める
- 第1部から上野原市の事実を2つ選び、資料を見ないまま声に出して説明する
- 論述の答案づくりと面接の受け答えを交互に練習し、掘られたときの返しを書き足していく
優先順位に注意
ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、上野原市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
上野原市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
上野原市の採用は、共同の枠組みと単独の試験、そして経験者への入口まで用意された、幅の広い構えになっています。それだけ多様な経歴の人が同じ職場に集まるということでもあります。
都心から60kmの距離にありながら、住民の4割が65歳以上で、市内の川が県境の外の水道を支えている。この重なり方を面白いと思えるかどうかが、志望動機の芯になります。
段丘の坂を一度自分の足で歩いてみると、資料で読んだ数字が少し違って見えるはずです。その感触ごと、面接の場に持っていってください。