本記事では、長岡市職員採用試験の面接対策で必要な、長岡市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

長岡市役所の面接試験では、「なぜ長岡市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、長岡市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と長岡市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

長岡市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは長岡市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口は252,265人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。新潟県内の20市のなかで、新潟市に次ぐ2番目の規模である。
  • 平成19年4月1日に特例市へ移行した市。特例市は政令指定都市・中核市に次ぐ都市格で、人口20万以上の市が対象となり、都道府県から一定の事務権限の移譲を受ける(特例市制度の廃止後は施行時特例市)。
  • 市域は891.26km²で、新潟県の面積12,584.10km²の約7.1%にあたる。人口密度は1平方キロメートルあたり283人。
  • 保健所は新潟県の長岡地域振興局(健康福祉環境部)が所管しており、長岡市は保健所設置市ではない。県と市で役割が分かれている分野がある点は押さえておきたい。
  • 県内の製造業では、事業所数859で県内2位、製造品出荷額等7,229億円で県全体の13.4%を占め、こちらも県内2位である(事業所数は2023年6月1日現在、出荷額は令和4年実績)。
  • 接している自治体は新潟市・燕市・三条市・見附市・魚沼市・小千谷市・十日町市・柏崎市・三島郡出雲崎町・刈羽郡刈羽村・西蒲原郡弥彦村の11市町村にのぼる。
  • 平成16年の新潟県中越地震では、川口町(現長岡市)で最大震度7を観測した。平成19年の中越沖地震でも市内で最大震度6強を記録している。
  • 市の花はツツジ、市の木はケヤキ。市役所は大手通一丁目にある。

長岡市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「長岡市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

長岡市で押さえておきたいのは、25万人という人口、891km²という市域、そして県内で2番目という立ち位置の3点です。この3つを言えるだけで、市の話は具体的になります。

項目内容
総人口252,265人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積891.26km²(新潟県の面積の約7.1%)
人口密度283人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
住民基本台帳人口252,265人(令和8年1月1日現在。次の2行の割合はこの値が分母)
65歳以上人口・高齢化率82,567人・32.7%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)
75歳以上人口・75歳以上率47,663人・18.9%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)
市の位置づけ平成19年4月1日に特例市へ移行(制度廃止後は施行時特例市)。保健所は新潟県の長岡地域振興局が所管
製造業(市内)事業所数859(県内2位・2023年6月1日現在)、製造品出荷額等7,229億円(県全体の13.4%・県内2位・令和4年実績)
隣接自治体新潟市、燕市、三条市、見附市、魚沼市、小千谷市、十日町市、柏崎市、三島郡出雲崎町、刈羽郡刈羽村、西蒲原郡弥彦村
市の花・市の木ツツジ・ケヤキ
市役所所在地〒940-8501 新潟県長岡市大手通1丁目4番地10
(参考)新潟県の高齢化率34.6%。全国は29.4%(いずれも令和7年10月1日現在。県の値は推計人口ベース)

長岡市の人口・面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は、公表値をもとに当研究会が整理したものです(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。65歳以上と75歳以上の数値は、総務省が住民基本台帳をもとにまとめた令和8年1月1日現在の集計から取っています。参考として並べた新潟県の高齢化率は県が公表する推計人口をもとにした集計で、住民基本台帳ベースの市の値とは前提が異なります。県と市を比べるときは、同じ出所の数字で並べてください。

数字から考えられる市政課題

住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値では、長岡市の65歳以上人口は82,567人、高齢化率は32.7%で、75歳以上は47,663人(18.9%)です。市民の3人に1人近くが65歳以上、5人に1人近くが75歳以上という構成になります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)|令和8年1月1日現在)。

この年齢構成に、891.26km²という市域の広さが重なります。人口密度は283人/km²ですから、中心市街地から山あいの集落まで、条件のまったく違う地域を一つの市が受け持っていることになります。

11もの市町村と境を接している点も、周辺との行き来が日常的にあることを示しています。除雪も、通院の足も、買い物の手段も、場所が変われば必要な支援の形が変わります。

県全体では高齢化率が34.6%(令和7年10月1日現在・県の推計人口ベース)で、全国の29.4%を5.2ポイント上回ります。

市の32.7%は住民基本台帳ベースの値なので単純な比較はできませんが、県も市も全国より高齢化が進んでいるという方向は共通しています。高齢化と市域の広さを重ねると、答えはこんな形になります。

「長岡市は高齢者の割合が3割を超えていて、市の面積も900平方キロメートル近くあると知りました。同じ市の中でも、雪の量や病院までの距離がずいぶん違うと思いますので、地域ごとに支え方を変える必要があるのではと感じています」

長岡市の経済・産業

長岡市の経済を考えるときの軸は、県内2番目の製造業の集積です。県の産業統計のなかで長岡市がどの位置にいるかを知っておくと、産業や雇用の話題に具体的に答えられます。

県内2位の製造業

新潟県が公表する市町村別の集計では、長岡市の製造業は事業所数859で県内2位、製造品出荷額等は7,229億円で県全体の13.4%を占め、こちらも新潟市に次ぐ2位です。

事業所数で見ると県内の上位は新潟市に続いて長岡市、さらに燕市・三条市と並び、上位4市の合計が県内の製造業事業所の57.4%にあたります。長岡市は、金属加工で知られる燕市・三条市とも境を接する位置にあり、ものづくりの集積地が連なるエリアの一角を占めています(出典:新潟県の市町村別の製造業の状況|令和4年実績・令和5年6月1日現在)。

県の産業の顔ぶれ

新潟県全体の製造品出荷額等は4兆1,797億円(令和2年実績)で、業種別では食料品等が8,325億円(構成比19.9%)と第1位、次いで化学5,451億円(13.0%)、金属製品4,560億円(10.9%)と続きます。

県は米菓の出荷額が日本一であること、水産練り製品の生産量と製造品出荷額が平成24年から全国1位であることも公表しています。食品と金属という2つの柱がある県だと理解しておくと、企業誘致や人材確保の話題にも入りやすくなります(出典:新潟県 食品産業のすがた)。

広い市域が抱える産業の幅

長岡市は平成の合併を経て891.26km²という市域を持ち、11の市町村と接しています。市街地の商業や工業だけでなく、中山間の農業や地域の生活サービスまでが同じ市の産業として並んでいるということです。

産業振興を語るときに「工場を誘致する」だけの話にとどめず、担い手が減っていく地域の産業をどう続けるかという視点まで持てると、志望動機の幅が出ます。

長岡市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、長岡市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県全体で進む人口減少と若者の流出

新潟県の人口がピークを迎えたのは1998年1月の約249.4万人で、2024年には約209.9万人まで減りました。2024年の出生数は9,941人、合計特殊出生率は1.14まで下がり、社会動態は4,548人の転出超過です。

転出超過が最も多い年齢層は20〜24歳で、次いで15〜19歳、25〜29歳という並びになっています。進学と就職の時期に人が県外へ出る流れをどう受け止めるかは、県内2番目の都市である長岡市にとっても中心的な課題です(出典:新潟県人口ビジョン)。

市の名を冠した断層帯の想定

新潟県の地震被害想定調査は内陸6地震と海域3地震の計9地震を想定していますが、最大の被害をもたらすとされているのが長岡平野西縁断層帯の地震(マグニチュード7.50)です。人的被害の想定は冬・深夜強風時のシーンで死者7,920人、建物被害は全壊171,244棟、避難者数は471,386人。

前回調査(1995年から1997年に実施)と比べ、死者で約6.40倍、建物被害で約4.80倍という見直しが行われました。市の名を含む断層帯が県内最大の想定になっているという事実は、防災を語るうえで避けて通れません(出典:新潟県地震被害想定調査)。

雪とともにあるまちの運営

豪雪地帯の指定は新潟県では全県に及び、30市町村がひとつ残らず対象になっています。長岡市はさらに、旧長岡市・旧小国町・旧越路町・旧山古志村・旧栃尾市・旧川口町の区域が特別豪雪地帯に指定されています(令和8年4月1日現在)。

市の一部だけが特別豪雪地帯という指定のされ方そのものが、市域の中の条件差を表しています。除雪の体制、高齢者世帯の雪下ろし、通学路の確保といった仕事は、冬になれば毎年立ち上がる業務です(出典:豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定状況(国土交通省)|令和8年4月1日現在)。

高齢化と広い市域の組み合わせ

高齢化率32.7%・75歳以上率18.9%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)という数字が、891.26km²の市域全体に及びます。人口密度283人/km²という前提では、拠点に施設を集めるだけでは届かない層が必ず出てきます。

公共交通、見守り、買い物支援、医療への搬送。どの分野でも「どこに住んでいる人の話か」を確かめてから設計する必要がある、というのが長岡市の福祉やまちづくりの前提です。

県の財政制約と市の立ち位置

令和5年度決算で新潟県の実質公債費比率は18.4%でした。この比率が18%以上の団体は県債の発行に国の許可を要するため、県は「起債許可団体」に該当します。

将来負担比率は297.8%です。県が財政の制約を抱えるなかで、施行時特例市である長岡市がどこまでを自ら担い、どこを県と分け合うのか。

保健所を県の長岡地域振興局が所管しているという事実は、その分担が実際に存在することを示す分かりやすい例です(出典:新潟県の健全化判断比率|令和5年度決算)。

長岡市の重点政策|「新しい米百俵」と災害の経験

長岡市が職員に何を期待しているかは、採用試験の案内にはっきり書かれています。市は求める人物像の前置きとして、「次の100年に向けた『新しい米百俵』で長岡市の未来を切り開くため」と述べています。

人づくりを軸に次の100年を考える、という宣言だと読めます。具体的な4つの内容は第2部で扱いますが、市政の方向を短い言葉で知りたいなら、ここが出発点になります(記載元は令和8年度の試験案内で、出典リンクは第2部で示します)。

特例市への移行と県との分担

長岡市は平成19年4月1日に特例市へ移行しました。特例市は政令指定都市・中核市に次ぐ都市格で、人口20万以上の市が対象となり、都道府県から一定の事務権限の移譲を受ける制度です(制度の廃止後は施行時特例市と呼ばれます)。

一方で、保健所は新潟県の長岡地域振興局が所管しており、長岡市は保健所設置市ではありません。県から受けている事務と、県が担い続けている事務の両方があるという状態です。

この線引きを知っておくと、面接で県と市の違いを問われたときに具体例で答えられます(出典:長岡市の特例市への移行について)。

三つの災害が残したもの

長岡市の防災は、机上の想定だけで語られる分野ではありません。平成16年10月23日の新潟県中越地震では、川口町(現長岡市)で最大震度7を観測しました。

県内の人的被害は死者68人・重軽傷者4,795人、住家被害は全壊3,175棟・半壊13,810棟。避難者はピーク時に10万人に達し、7市町村61集落で外部に通じる道路がすべて寸断されて1,938世帯が孤立しました。

山古志村(現長岡市)では2,000人を超える全村民の村外避難が行われています(出典:新潟県中越大震災(新潟県 災害アーカイブ))。

その3年後、平成19年7月16日の新潟県中越沖地震では、長岡市・柏崎市・刈羽村で最大震度6強を観測しました。

さらにさかのぼれば、平成16年7月の新潟・福島豪雨では栃尾市(現長岡市)で日降水量421ミリメートルを記録しています。地震と豪雨と豪雪の三つを、いずれも実際に経験してきた市だという理解は、防災や危機管理を志望動機にするときの土台になります。

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 受験する日程の試験案内(令和8年度は先行枠・社会人対象・前期日程・後期日程・障害のある方対象など複数に分かれています)
  • 長岡市の総合計画とその実施計画(市公式サイトで最新版を開く)
  • 最新年度の当初予算の概要と、関心のある分野の個別計画
  • 長岡市の地域防災計画や防災に関するページ(防災・危機管理を志望する場合)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、長岡市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。長岡市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

長岡市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

長岡市役所の面接の概要

ここからは、長岡市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

長岡市役所の面接の流れ

長岡市の職員採用試験は、総務部人事課が所管しています。令和8年度の採用試験は先行枠、社会人対象の複数の回、前期日程、後期日程、障害のある方対象などに分かれ、受験資格を満たせば今後の日程との併願も可能です。

ここでは前期日程の一般事務職員Ⅰ種を前提に整理します。採用予定人員は8人程度です。

項目内容(令和8年度・前期日程・一般事務職員Ⅰ種)
試験の段階三段階選抜。第1次試験(教養試験・論述試験・適性検査)→ 第2次試験(個別面接試験)→ 第3次試験(個別面接試験)
面接の回数個別面接が計2回。受験案内に集団討論・グループワークの記載はありません
教養試験時事、社会・人文、自然に関する一般知識と、文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力を問う択一式・2時間
他職種の筆記一般事務職員Ⅰ種以外の職種は、第1次でSPI3(性格検査約30分・基礎能力検査約35分)を指定期間に自宅等で受検
第1次試験の会場一般事務職員Ⅰ種は申込時に長岡会場(さいわいプラザ)と東京会場(ビジョンセンター京橋)から選択できる
第2次試験の提出書類最終学歴の学業成績証明書を提出し、面接試験の参考とする
合否の扱いそれぞれの試験科目において一定の基準に達しない場合は、他の成績にかかわらず不合格
別枠の選考一般事務職員Ⅰ種(デザイン・クリエイティブ人材)は第1次がSPI3(テストセンター方式)のみで来場不要。第2次で適性検査とアピールシート作成、第3次でプレゼンテーションが加わる
受験の申込原則として電子申請(インターネット)

この試験で意識してほしいのは、三段階のうち2つの段階が個別面接で占められていることです。集団討論やグループワークの記載がないぶん、評価は一対一の受け答えに集中します。

また、第2次試験では学業成績証明書を提出し、それが面接の参考資料になります。学生時代の学びについて聞かれる可能性を前提に、成績の良し悪しではなく、何をどう学んだのかを話せるようにしておきましょう。

なお、試験結果は個人情報の保護に関する法律に基づいて開示請求ができ、第1次試験は科目別得点・合計得点および順位、第2次・第3次試験は得点および順位が開示の対象です(出典:令和8年度長岡市職員採用試験案内(前期日程)|令和8年度)。

上記の試験構成は、長岡市の令和8年度・前期日程の試験案内にもとづく一般事務職員Ⅰ種のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験する日程、職種によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の日程と職種の最新の試験情報をご確認ください。

長岡市役所が求める人物像

長岡市は、試験案内のなかで求める人物像を4つ挙げています。

第1部で触れたとおり、その前置きは「次の100年に向けた『新しい米百俵』で長岡市の未来を切り開くため」です。抽象的な人柄の話ではなく、仕事の進め方そのものを名指しした人物像になっているのが特徴です。

市が挙げる人物像面接で確かめられそうなこと
失敗を恐れずに「デザイン思考」で課題解決ができる人誰のどんな困りごとから出発したか。試してみて外れたときに、何を変えたか
「プログラミング的思考」で効率的な手順により政策立案ができる人やることを順番に分解して説明できるか。無駄な工程を省いた経験があるか
新しい発想で行政の内外に「イノベーション」を起こす意欲のある人前例のないやり方を提案し、周囲を巻き込んだ経験があるか
「デジタル」に理解と関心があり、その知識や技術でDXに取り組む意欲のある人道具を使いこなした話だけでなく、それで誰の手間が減ったのかを語れるか

4つとも、性格ではなく行動の型を求めています。したがって自己PRも、「まじめです」「協調性があります」では届きません。

どんな順番で考え、何を試し、どこを直したのかという手順まで話しましょう。デザイン・クリエイティブ人材の枠でプレゼンテーションを課していることからも、考えを形にして人に見せる力を市が重く見ていることがうかがえます。

長岡市が文章で示しているのは、この4点までです。以下は当研究会が資料から読み取った補足になります。

長岡市は25万人規模で、891.26km²という広い市域と11の隣接自治体を抱え、保健所のように県が担い続けている分野もあります。つまり、市役所だけで完結する仕事が少ない環境だということです。

この条件では、大きな構想を語れることよりも、地域の団体や県の出先機関、近隣の市町村と話をつけながら、手持ちの人と予算で回る形まで持っていける人が力を出しやすいと考えられます。中越大震災からの復興を経験した市であることも合わせると、うまくいかなかったときに立て直す過程を語れることが効いてきそうです。

大切なのは市に合わせて話を作ることではなく、人を巻き込んで進めた自分の経験を、長岡市の現場に置き直して説明することです。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。長岡市の個別面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?作り込んだ答えではなく、その場のやり取りに自然に乗れるか。表情や声の調子を含めた印象
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択の筋道が自分の経験とつながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。短所を認めたうえで、その付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください困難そのものよりも、そこで何を選び、周りをどう巻き込んだかという行動の中身
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学んだことを仕事へつなげる視点
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか

ただし、この7カテゴリーは長岡市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「長岡市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「長岡市役所ならでは」の質問

「なぜ新潟県庁ではなく、長岡市役所なのですか?」
「長岡市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

1問目は、長岡市では材料を用意しやすい質問です。第1部で見たとおり、特例市として県から移譲を受けた事務がある一方で、保健所は県が所管しているという具体的な線引きがあるからです。

どちらの質問も、下調べなしにその場で答えを作ることはできません。その意味で、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「長岡市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい長岡市の事実答え方のヒント
市の規模と位置人口252,265人で県内20市のうち新潟市に次ぐ2番目。面積891.26km²、人口密度283人/km²で、11の市町村と境を接する2番目の市ですで終えず、11の自治体と接する市では通勤や医療の圏域が市境を越えるという話につなげると、規模の説明が仕事の話になります
なぜ県庁ではなく市役所か平成19年4月1日に特例市へ移行し県から事務の移譲を受けている一方、保健所は新潟県の長岡地域振興局が所管している県の仕事を低く見る言い方は避け、市が持っている分野と県が持っている分野の両方を挙げたうえで、自分は市の側で関わりたいと述べます
市の課題高齢化率32.7%・75歳以上率18.9%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)。市域891.26km²に人口密度283人/km²高齢化という言葉で止めず、人口密度が300人を下回る市では拠点に集約するだけでは届かない層が出る、という読み替えを添えます
防災・危機管理県内最大の被害想定は長岡平野西縁断層帯の地震(マグニチュード7.50)で、冬・深夜強風時のシーンで死者7,920人・全壊171,244棟。市は中越大震災で川口町(現長岡市)に震度7、中越沖地震で震度6強を経験している想定の数字と過去の経験を両方そろえて話し、そのうえで自分が参加した訓練や地域活動に一つ触れると、他人事に聞こえません
長岡市の魅力製造業の事業所数859・製造品出荷額等7,229億円はいずれも県内2位。市は「次の100年に向けた『新しい米百俵』」という言葉で人づくりを掲げているものづくりの話と人づくりの話をつなげ、産業を続けるには人を育てる必要があるという筋で語ると、市の言葉と自分の考えがかみ合います

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、市が掲げる4つの人物像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
課題を見つける力誰の困りごとから出発したか。思い込みではなく現場を見たか市がデザイン思考を挙げていることを踏まえ、人に話を聞いてから内容を変えた経験を一つ用意しておく
手順に落とす力やることを分解して順番に並べられるか。省ける工程を見つけたかプログラミング的思考という言葉に合わせて、作業の段取りを組み直して時間を短くした場面を話せるようにする
学びを語る力学生時代に何をどう学び、それを仕事にどうつなげるか第2次試験で学業成績証明書を提出する市なので、専攻の内容を一分程度で言い切れる要約をつくっておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

長岡市は三段階のうち2段階が個別面接ですから、同じ経験を別の面接官から角度を変えて問われる前提で臨みましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する日程と職種を決め、その試験案内で試験の段階・科目・提出書類を確認する(併願できる日程も同時に確かめておきます)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。市が掲げる4つの人物像のどれに自分の経験が重なるかも、あわせて整理しておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、長岡市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

長岡市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

長岡市役所の想定問答集を見る

さいごに

長岡市の試験は三段階のうち2段階が個別面接で、集団の場での立ち回りではなく、一対一の対話の中身で評価が決まります。しかも市が掲げる人物像は、性格ではなく仕事の進め方を名指ししたものです。

地震も豪雨も豪雪も実際に経験してきた市で、県内2番目の人口と891平方キロメートルの市域を抱えながら、次の100年をどうつくるのか。市の言う「新しい米百俵」に、自分の経験のどこが重なるのかを一つずつ確かめていきましょう。