本記事では、上越市職員採用試験の面接対策で必要な、上越市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

上越市役所の面接試験では、「なぜ上越市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

上越市はⅠ種の一般行政区分でグループディスカッションを課しており、過去の出題テーマも試験案内で公開しています。

個人面接だけを想定した準備では足りない試験だと考えておきましょう。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と上越市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

上越市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは上越市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 新潟県南西部の日本海沿岸にあり、平成17年1月1日に14の市町村が合併して現在の市域になった。合併の経緯を踏まえ、地域自治区の制度を採っている。
  • 人口は177,922人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、新潟市、長岡市に次ぐ県内3番目の規模。
  • 市域は973.89km²で、村上市に次いで県内20市で2番目に広い。人口密度は183人/km²。
  • 平成19年4月1日に特例市へ移行し、特例市制度の廃止後は「施行時特例市」として同じ事務を処理している。新潟県内の施行時特例市は長岡市と上越市の2市(令和5年4月1日現在、全国では23市)。
  • 直江津港は昭和26年9月22日に重要港湾に指定され、平成23年11月には日本海側拠点港(LNG部門)に選定された。令和6年の総貨物量は7,381,219トン。
  • 製造品出荷額等は6,287億円で県内3番目(構成比11.6%)。製造業の事業所数は377で、新潟市・長岡市・燕市・三条市に次ぐ県内5番目。
  • 65歳以上の割合は34.3%、75歳以上の割合は20.0%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。県内20市のなかでは高齢化が緩やかな側に入る。
  • 豪雪地帯対策特別措置法上、旧上越市をはじめとする12の地域が特別豪雪地帯、それ以外の地域が豪雪地帯。市の花はツバキ、市の木はサクラ。

上越市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「上越市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

上越市を数字で捉えるときは、人口の順位と面積の順位を並べて見るのが早道です。表ではそこに市の制度上の位置づけと港湾を加え、新潟県全体の数値も添えました。

項目内容
総人口177,922人(令和8年1月1日現在・住民基本台帳/県内20市で3番目)
総面積973.89km²(県内20市で2番目の広さ)
人口密度183人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
高齢化率34.3%(65歳以上61,115人・令和8年1月1日現在/県内20市で低いほうから5番目)
75歳以上の割合20.0%(35,545人・令和8年1月1日現在)
市の位置づけ施行時特例市(平成19年4月1日に特例市へ移行)。県内の施行時特例市は長岡市と上越市の2市
成り立ち平成17年1月1日に14市町村が合併。地域自治区の制度を採用
港湾直江津港(重要港湾・日本海側拠点港(LNG部門))。令和6年の総貨物量7,381,219トン
隣接自治体柏崎市、十日町市、糸魚川市、妙高市、佐渡市(海上で隣接)、長野県飯山市・栄村
市役所所在地〒943-8601 新潟県上越市木田一丁目1番3号
市の花・市の木ツバキ・サクラ
(参考)新潟県の総人口2,071,066人(令和7年10月1日現在の推計人口)
(参考)新潟県の高齢化率34.6%(令和7年10月1日現在。全国は29.4%)

上越市の人口・高齢化率・75歳以上の割合と県内順位は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)をもとに当研究会が集計したものです。面積・隣接自治体・市役所所在地・市の花木は、公表値をもとに整理した自治体データベースによります。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。施行時特例市の状況は総務省の公表資料(令和5年4月1日現在)、直江津港の数値は令和6年の実績によります。新潟県の総人口・高齢化率は令和2年国勢調査を基準とする推計人口(令和7年10月1日現在)です。市の値と県の値は集計の基礎が異なりますので、傾向の違いを読む材料としてお使いください。

数字から考えられる市政課題

上越市の特徴は、人口が県内3番目で、面積が県内2番目という組み合わせにあります。

177,922人が973.89km²に暮らし、人口密度は183人/km²。

県内で最も広い村上市より人口が3倍以上多く、県内2番目に人口の多い長岡市より市域が広い。

県内でも指折りの人口を抱えながら、その人たちが広い範囲に分かれて住んでいる市という理解が、上越市政を語るときの土台になります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

この配置は、平成17年に14市町村が合併して成立したという経緯から来ています。

市は地域自治区の制度を採り、旧市町村の単位で地域の声を拾う仕組みを持っています。

年齢構成では、高齢化率は34.3%で、同じ住民基本台帳ベースの比較では県内20市のうち低いほうから5番目です。

人口規模も年齢構成も県内では余裕のある側にありますが、その内訳は地域によって違う。市全体の平均値だけを見ていては実情に届かないのが、この市の難しさです。

「上越市は人口が18万人ほどで県内3番目、面積は県内2番目に広いと知りました。14の市町村が合併してできた市ということですので、市全体の平均を見るだけでは分からない地域ごとの事情があるのではと感じています」

上越市の経済・産業

県内3番目のものづくり

上越市の製造品出荷額等は6,287億円(令和4年実績)で、新潟市の1兆2,194億円、長岡市の7,229億円に次ぐ県内3番目です。

県全体に占める構成比は11.6%にのぼります。

製造業の事業所数は377(令和5年6月1日現在)で、新潟市1,069、長岡市859、燕市804、三条市595に続く県内5番目です。

事業所数の順位より出荷額の順位が高いのは、一つあたりの規模が大きい事業所が立地している証と読めます。

燕市や三条市のような金属加工の集積地とは異なる産業の姿を持っている、という対比で理解しておきましょう(出典:新潟県の工業統計(市町村別)|令和5年)。

直江津港というエネルギーの入口

直江津港は昭和26年9月22日に重要港湾に指定され、平成23年11月には日本海側拠点港(LNG部門)に選定されました。

令和6年の総貨物量は7,381,219トンで前年の95.7%。

主要な輸入品目はLNGが5,550,803トン、化学薬品が237,080トンです。

港はLNG基地と火力発電所を通じて、関東甲信越や富山、静岡など国内各地へパイプラインで製品ガスを送るエネルギー拠点であり、あわせて明治25年に開設された佐渡島連絡航路の拠点でもあります。

物流と観光と生活の航路が一つの港に重なっているという構造は、上越市を語るうえで欠かせません(出典:上越市 直江津港)。

県の柱と、上越市の性格の違い

上越市の産業の性格は、県全体と比べたときにはっきりします。

新潟県の製造品出荷額等は全製造業合計で41,797億円(令和2年実績)、そのうち食料品等が8,325億円で構成比19.9%の第1位、次いで化学5,451億円(13.0%)、金属製品4,560億円(10.9%)です。

米菓の出荷額は日本一、水産練り製品も生産量と出荷額がそろって全国1位という県です。

県全体の柱が食に関わるものづくりであるなかで、上越市は港の輸入品目から見るかぎりエネルギーと化学に寄った性格を持ちます。

この違いを言えるだけで、産業の質問への答えが具体的になります(出典:新潟県 食品産業のすがた)。

上越市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、上越市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と、地域ごとに異なる高齢化

新潟県の人口は1998年1月の約249.4万人をピークに減少へ転じ、2024年には約209.9万人になりました。

合計特殊出生率は2024年に1.14、出生数は9,941人、社会動態は4,548人の転出超過で、最も多いのは20歳から24歳の層です。

県は人口ビジョンのなかで、少子化と若い世代の県外流出により、人口が減っていく局面は当面続くとの見方を示しています。

上越市の高齢化率34.3%は県内では低いほうですが、14市町村が合併した市である以上、市全体の数字と地域ごとの実態にはずれがあると考えるのが自然です(出典:新潟県人口ビジョン)。

広い市域を、どうつないで運営するか

973.89km²という市域は、県内20市で2番目の広さです。

しかもその成り立ちは、平成17年1月1日の14市町村の合併にあります。

市は地域自治区の制度を採り、旧市町村の単位で地域の意見を市政へ届ける仕組みを維持してきました。

中心部の効率と、周辺地域の暮らしの維持を、同じ予算のなかで両立させる。

これは合併した広域の市に共通する課題ですが、県内3番目の人口を抱える上越市では、その調整の規模も大きくなります。

市内で雪の条件が分かれる

上越市は、旧上越市、旧安塚町、旧浦川原村、旧大島村、旧牧村、旧柿崎町、旧吉川町、旧中郷村、旧板倉町、旧清里村、旧三和村、旧名立町の地域が特別豪雪地帯、それ以外の地域が豪雪地帯に指定されています。

新潟県は30市町村すべてが豪雪地帯で、そのうち特別豪雪地帯は18市町村です。

同じ市のなかで指定が分かれるということは、除雪の体制や必要な支援を地域ごとに設計する必要があるということです。

合併前の単位がそのまま雪の条件の単位になっている点も、この市らしい事情といえます(出典:豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定状況|令和8年4月1日現在)。

地震と災害への備え

平成19年7月16日の新潟県中越沖地震では、上越市は小千谷市・出雲崎町とともに震度6弱を観測しました。

県全体では死者15人、住家の全壊1,331棟、一部損壊37,277棟という被害です。

さらに新潟県の地震被害想定調査では、内陸6地震と海域3地震の計9地震のうち、長岡平野西縁断層帯の地震(マグニチュード7.50)が最大の被害をもたらすとされ、県全体で死者7,920人(冬・深夜強風時のシーン)、全壊171,244棟、避難者471,386人が想定されています。

海と山と広い市域を同時に守るという条件は、防災を語るときの前提になります(出典:新潟県地震被害想定調査)。

施行時特例市としての事務の範囲

上越市は施行時特例市として、環境保全行政に関する事務(一般粉じん発生施設の設置の届出受理、汚染または廃液を排出する施設の設置の届出の受理、汚染土壌処理業の許可)、都市計画等に関する事務(土地区画整理組合の設置の認可、宅地造成の規制区域内における宅地造成工事の許可、市街化区域・市街化調整区域内の開発行為の許可)、計量法に基づく勧告や定期検査などを処理しています。

一方で、保健所を設置する市が行う保健衛生行政の事務は中核市の処理事務に位置づけられており、上越市はその移譲を受けていません。

どこまでが市の仕事で、どこからが県の仕事かという線引きが、他の一般市より一段複雑なのが上越市の特徴です(出典:総務省 中核市・施行時特例市)。

上越市の重点政策|上越市人材育成方針

総合計画や個別の施策は市公式サイトの最新版で確認するとして、面接対策として先に読むべきは「上越市人材育成方針」です。市が職員に何を求め、どう育てようとしているかが、そのまま市政運営の考え方を映しています。当研究会が参照したのは平成28年8月改訂版です。

目指す職員像と2種類のものさし

方針は目指す職員像を、「このまちを良くするプロフェショナル」としての自覚と誇りを持って職務に携わり、市民の思いに寄り添いながら考え・行動する職員と定めています。

人材育成の目標は「人が育つ組織づくり・まちを良くする人づくり」です。

そのうえで、職員に求めるものを2つに分けています。

職位にかかわらず一定に求められる基本的な資質として、倫理、責任感、市民感覚、応対態度、向上意欲の5項目。

職位に応じて習得・発揮が求められる職務遂行上必要な能力として、業務遂行、理解・判断、説明、調整、組織行動、人材育成の6項目です(出典:上越市人材育成方針)。

10年目までの配属の考え方

方針には、一般行政職の人事異動についても書かれています。

採用からおおむね10年目までは、人材育成を目的とした戦略的な人事異動として、税・福祉などの市民対応系、都市整備・産業観光・農業などの事業系、総務・企画などの管理・調整系のいずれかの課へ順次配属し、さまざまな部署と協力して働くことや市民と接することを通じて視野を広げ、社会性や市民感覚を育むことを目指す、というものです。

最初の10年で複数の系統を経験する前提が、市の側から示されているということです。

志望動機で分野を一つに絞りきると、この方針とかみ合わなくなる可能性があります。

方針が示す軸上越市ではどう具体化するか
市民感覚と応対態度14市町村が合併した広い市です。地域によって事情が違う相手に、同じ丁寧さで向き合えるかが問われます
説明と調整地域自治区の仕組みを通じて地域の声が市政に届きます。異なる立場の間に立つ場面が想定されます
向上意欲10年目までに3系統を回る前提です。配属のたびに新しい分野を学び直す姿勢が要ります
倫理と責任感施行時特例市として許可や認可の事務を扱います。判断の重さを引き受ける覚悟が求められます

面接では、自分の取り組みたい仕事がこの4つのどこに接するのかを一言添えられるだけで、市の方針を踏まえた志望だと伝わります。なお、市の職員採用試験案内の末尾には、キャッチフレーズとして「みんなの幸せ」私たちの仕事です、という一文が置かれています。

POINT|方針の項目を暗記しなくてよい

11項目を暗唱できることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな取組があるか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう生かすか」の順で調べていきましょう。

悪い例「上越市の産業振興の仕事に就きたいです」

改善例「まずは配属された部署で、市民の方と直接やり取りする仕事を覚えたいです。そのうえで、直江津港がエネルギーの拠点になっていると知りましたので、港を軸にした産業の仕事にも関わっていけたらと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

  • 受験する回次の上越市職員採用試験案内(上越市は年度内に複数回の試験を実施し、回次により職種や内容が異なります)
  • 上越市人材育成方針と、市の人事に関する最新の方針(改訂の有無をあわせて確認してください)
  • 上越市の総合計画と最新年度の予算資料(市公式サイトの最新版)
  • 直江津港に関する市・県のページ、新潟県人口ビジョン(市を取り巻く条件を確かめるとき)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、上越市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。上越市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

上越市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

上越市役所の面接の概要

ここからは、上越市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

上越市役所の面接の流れ

令和9年度採用の上越市職員採用試験(令和8年9月試験分)を例にとると、選考は第一次試験と第二次試験の2段階です。

区分ごとに中身が大きく変わるのが上越市の特徴で、Ⅰ種の一般行政と民間企業等職務経験者の一般行政だけは、第一次試験にグループディスカッションが加わります。

第二次試験は個別面接です。

項目内容(令和9年度採用・令和8年9月試験分)
試験の段階第一次試験 → 第二次試験(個別面接)の2段階
Ⅰ種・民間企業等職務経験者第一次はSPI3(基礎能力検査及び性格検査)のテストセンター方式。一般行政区分のみグループディスカッションが加わります。Ⅰ種はSPI3-U、民間企業等職務経験者と技能労務職はSPI3-G
Ⅲ種・障害のある人第一次は教養試験(択一式)とSPI3の性格検査(マークシート)。障害のある人の区分のみ、教養試験終了後に個別面接を実施します
公務員経験者第一次はSPI3の性格検査(WEBテスティング)のみ
グループディスカッション50分(説明とテーマ発表5分、役割決めと議論40分、発表5分)。テーマは当日発表
第二次試験個別面接(自動車運転手は面接に加えて公道での実技試験)。第一次試験の合格者と、試験職種「公務員経験者」が対象
性格検査の扱い試験案内に「SPI3 性格検査は、試験の合否判定に影響しません。面接試験受験の際に、面接官の補助資料として活用します」と明記
申込と入力項目市の職員採用サイトからエントリー。入力項目は志望動機、自己PR、学校その他での諸活動、専門性の確認など。Ⅰ種の土木・建築は専門性確認シートを添付します
採用予定人数今年度実施予定の試験の合計で、Ⅰ種一般行政25人程度、Ⅲ種一般行政5人程度、民間企業等職務経験者と公務員経験者の一般行政が合計9人程度など
配点・人物試験の比重試験案内に記載がなく非公表

この設計から読み取れることが3つあります。

1つは、性格検査が合否を決めるものではなく、面接官の手元の資料として使われると明言されていること。答えを偽らずに受けてよい、という意味でもあります。

2つ目は、Ⅰ種一般行政の採用予定が25人程度と、今年度実施予定の試験の合計で見てまとまった人数が見込まれていること。

3つ目は、申込時に入力する志望動機と自己PRが、そのまま面接の入口になるということです。

上記の試験構成は、令和9年度採用(令和8年9月試験分)の上越市職員採用試験案内にもとづくものです。配点や人物試験の比重は公表されていません。上越市の採用試験は年度内に何度か行われ、実施回によって試験職種も内容も変わります。グループディスカッションが課されるのはⅠ種(一般行政)と民間企業等職務経験者(一般行政)のみで、他の区分には課されません。受験の際は、必ずご自身が受ける回次の最新の受験案内をご確認ください(出典:上越市職員採用試験案内|令和9年度採用・令和8年9月試験分)。

上越市役所が求める人物像

上越市の場合、求める人物像は人材育成方針にはっきり書かれています。

目指す職員像は「このまちを良くするプロフェショナル」としての自覚と誇りを持ち、市民の思いに寄り添いながら考え・行動する職員。

基本的な資質は倫理、責任感、市民感覚、応対態度、向上意欲の5つです。

「寄り添う」と「考え・行動する」が同じ一文に置かれているところに、この職員像の重心があります。

話を聞く姿勢と、そこから手を動かすこと、どちらが欠けても届かないという書き方です。

グループディスカッションが課される理由も、ここから読み解けます。

試験案内に掲載されている過去の出題テーマは、ふるさと納税の寄付額を増やすための取組(令和7年度)、高齢者を含むすべての市民がデジタル化の恩恵を受けられる社会の実現(令和8年度)で、いずれも市として取り組むべき事例を1つから3つ挙げて理由とあわせて説明する形式でした。

個人の主張の強さではなく、話し合って市の施策の形にできるかが問われていることが分かります。

もう一段、上越市という組織の形からも考えておきましょう。

人口・面積・採用規模という公表された数字を突き合わせると、当研究会には次のような構図が見えてきます。

人口177,922人という規模は、職員一人が何もかも担う小規模な市役所とは違います。

Ⅰ種一般行政で25人程度を採用する組織であり、部署ごとに担当も分かれています。

一方で、市域は973.89km²と広く、14市町村の合併で成立し、地域自治区を通じて地域の声が上がってくる仕組みを持っています。

つまり、本庁で制度を組み立てる仕事と、地域の現場で住民と向き合う仕事の、その両方が同じ市役所の中にあるということです。

だからこそ、現場で聞いた話を制度の言葉に翻訳できる人、逆に制度の話を地域の言葉に置き換えられる人が、力を発揮しやすいと考えられます。

採用からおおむね10年目までに市民対応系・事業系・管理調整系の3系統を回るという方針も、この見立てと重なります。

特定の分野の専門家として入るのではなく、いくつもの現場を経験しながら市全体を理解していく育て方です。

面接の準備としては、立場の違う人の間に立った場面や、聞いた話を形にした場面を、自分の経験のなかから拾い出しておきましょう。

そこで何を考え、どう動いたかを話せれば、上越市の仕事の進み方と自然に重なります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。上越市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク控室では緊張されていましたか?構えのない場面での応じ方。会話の入り方や声の張り具合といった素の部分
② 動機・志望公務員という働き方を選んだ理由を教えてください公務員でなければできない部分まで説明できるか。その考えが自分の経験から出てきているか
③ 自己理解ご自身の課題だと感じている点は何ですか?自分を客観視できているか。課題にどう向き合っているかまで語れるか
④ 経験・行動意見の違う人と一緒に何かを進めた経験を教えてください合意に至る過程で自分がどんな働きかけをしたかという行動の中身
⑤ 学業・経歴学びのなかで力を入れたことを説明してください専門外の相手にも通じる言葉へ置き換える力。学びを仕事へつなげる視点
⑥ 適性・将来10年後、どんな職員になっていたいですか?複数の分野を回る前提を理解しているか。長い目で自分の成長を描けているか
⑦ 公共性・社会性関心を持っている社会の動きはありますか?社会への関心の持ち方と、自分の考えを短く述べられるか

ただし、この7カテゴリーは上越市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「上越市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「上越市役所ならでは」の質問

「なぜ新潟県庁ではなく、上越市役所なのですか?」
「上越市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

上越市の場合は、グループディスカッションでも市の実情を知っているかどうかが議論の質に直結します。

こうした質問に答えるための「上越市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい上越市の事実答え方のヒント
市の規模と広がり人口177,922人で県内3番目、面積973.89km²で県内2番目。平成17年に14市町村が合併して成立し、地域自治区の制度を採る「大きい市です」で終わらせず、人口と面積の両方の順位を挙げると、地域差という論点に自然に進めます
なぜ県庁ではなく市役所か施行時特例市として、開発行為の許可や規制区域内の宅地造成工事の許可など、県から移された事務を市が処理している制度の暗記ではなく、「許可や相談の窓口が市にあることで、住民に近い場所で判断ができる」という実務の話に置き換えます
市の産業製造品出荷額等6,287億円は県内3番目。直江津港は日本海側拠点港(LNG部門)で、令和6年の総貨物量は7,381,219トン港と製造業を結んで語ると、産業政策の話に厚みが出ます。数字は一つか二つに絞って構いません
雪と地域差旧上越市を含む12の地域が特別豪雪地帯、それ以外は豪雪地帯。合併前の単位で雪の条件が分かれている市内で条件が違うという事実を押さえ、一律ではない支援の必要性へ話を運びます
10年目までの配属人材育成方針は、採用からおおむね10年目まで市民対応系・事業系・管理調整系へ順次配属すると明記やりたい分野を挙げつつ、複数の系統を経験する前提を理解していると示すと、方針とかみ合った志望になります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「目指す職員像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

Ⅰ種の一般行政ではグループディスカッションも加わりますので、自分の考えを述べる力と、議論を先へ動かす力が別々に見られると考えてください。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民感覚と応対態度相手の事情に合わせて説明を変えた経験や、困っている人にどう関わったかを聞かれます14市町村が合併した市であることを踏まえ、背景の違う相手に向き合った場面を選んでおく
説明と調整グループディスカッションで、他の人の意見を受けてどう整理し、結論へ運ぶかを見られます過去の出題テーマが市の施策を考えさせる形式であることを踏まえ、上越市の事実を3つほど持ち込めるようにしておく
向上意欲知らないことを学び直した経験や、環境が変わったときの適応の仕方を掘り下げられます10年目までに複数の系統を経験する方針を踏まえ、未経験の分野に自分から取り組んだ話を用意する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

申込時に入力した志望動機と自己PRが手元にある前提で問われますので、書いた内容と話す内容がずれないようにしておきましょう。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておくことが大切です。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する回次の上越市職員採用試験案内を入手し、自分の区分にグループディスカッションが課されるかどうかを確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、関心の近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 試験案内に載っている過去のディスカッションのテーマを使い、40分で結論まで運ぶ練習をする。市の事実を持ち込めるかどうかが差になります
  6. 申込時に入力する志望動機と自己PRを書き上げ、そこから掘られる想定で声に出して練習する

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、上越市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

上越市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

上越市役所の想定問答集を見る

さいごに

上越市の試験は、区分によって中身が大きく変わります。

Ⅰ種の一般行政を受けるなら、40分の議論で結論まで運ぶ練習が欠かせません。

市が過去のテーマを公開しているのは、その準備をしてきてほしいという合図だと受け取ってよいでしょう。

人口は県内3番目、面積は県内2番目、成り立ちは14市町村の合併。この市で「みんなの幸せ」を仕事にするとは、自分にとって何をすることなのか。

人材育成方針の一文を手がかりに、自分の経験と重なる部分を探してみてください。