本記事では、十日町市職員採用試験の面接対策で必要な、十日町市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
十日町市役所の面接試験では、「なぜ十日町市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
十日町市は年度内に複数回の採用試験を行っており、回次によって募集職種も試験科目も変わります。
まずは自分が受ける回次の要項を手元に置き、そのうえで市の姿を押さえていきましょう。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と十日町市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
十日町市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは十日町市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 新潟県の南部にあり、信濃川が市域を貫き、南西では長野県と県境を接する市。隣接するのは長岡市、上越市、柏崎市、小千谷市、魚沼市、南魚沼市、津南町、湯沢町と、長野県の栄村。
- 人口は45,992人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。新潟県内にある20の市のなかでは11番目の規模。
- 市域は591.33km²と県内20市で8番目に広く、人口密度は77.8人/km²。ひとつの市のなかに、市街地と山あいの集落が同居している。
- 市域の隅々までが特別豪雪地帯の指定を受けている。新潟県内で特別豪雪地帯に指定されているのは18市町村。
- 気象庁が公表する最深積雪の全国ランキングでは、十日町の観測地点の391センチメートル(1981年2月28日)が第6位に入る。
- 65歳以上の割合は41.9%。県内20市のなかでは佐渡市に次いで2番目に高い(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
- 平成16年の新潟県中越大震災では市内で震度6強を観測し、死者9名、住家の全壊107棟、一部損壊13,733棟の被害を受けた。
- 製造業の事業所数は150(令和5年6月1日現在)で、新潟県内の市町村では上位に位置する。市の花はユリ、市の木はブナ。
十日町市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「十日町市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
十日町市を数字で見るときの勘所は、人口の少なさよりも「広さ」と「年齢構成」にあります。表では市域と人口密度、そして高齢化の進み具合を並べ、県全体の数値を添えて比べられるようにしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 45,992人(令和8年1月1日現在・住民基本台帳) |
| 総面積 | 591.33km²(県内20市で8番目) |
| 人口密度 | 77.8人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 高齢化率 | 41.9%(65歳以上19,280人・令和8年1月1日現在) |
| 75歳以上の割合 | 25.5%(11,742人・同上) |
| 位置づけ | 新潟県南部。信濃川の中流域にあり、南西で長野県と接する |
| 隣接自治体 | 長岡市、上越市、柏崎市、小千谷市、魚沼市、南魚沼市、津南町、湯沢町、長野県栄村 |
| 市役所所在地 | 〒948-8501 新潟県十日町市千歳町三丁目3 |
| 市の花・市の木 | ユリ・ブナ |
| (参考)新潟県の総人口 | 2,071,066人(令和7年10月1日現在の推計人口) |
| (参考)新潟県の高齢化率 | 34.6%(令和7年10月1日現在。全国は29.4%) |
| (参考)新潟県の面積 | 12,584.10km²(全国第5位) |
十日町市の人口・高齢化率・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)によります。面積・隣接自治体・市役所所在地・市の花木は、公表値をもとに当研究会が整理した自治体データベースによります。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。新潟県の総人口・高齢化率は令和2年国勢調査を基準とする推計人口(令和7年10月1日現在)、面積は新潟県の公表資料によります。県の値と市の値は集計の基礎が異なるため、差をそのまま比較せず、傾向の違いを読む材料として使ってください。
数字から考えられる市政課題
まず押さえたいのは、面積591.33km²に45,992人という配置です。人口密度77.8人/km²は、県内でも市街地の密度が高い市とは桁が違います。
除雪も、道路や上下水道の維持も、公共交通も、同じ人数を相手にする仕事でありながら、移動距離のぶんだけ手間と費用が積み上がっていく(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
これが十日町市の行政コストの前提です。
そこに年齢構成が重なります。高齢化率41.9%は県全体の34.6%を7ポイント以上上回り、県内20市では佐渡市に次ぐ位置です。しかも75歳以上が25.5%と、市民の4人に1人が後期高齢者にあたります。高齢化の「率」よりも、75歳以上の厚みが行政サービスの中身を決めるという見方をしておくと、除雪の支援も、通院の足も、見守りも、ひとつながりの課題として説明できます(参考:新潟県の高齢者の現況|令和7年10月1日現在)。
十日町市の経済・産業
市の産業の輪郭
十日町市について公表されている市単独の経済統計は限られますが、製造業については市町村別の集計があります。市内の製造業の事業所数は150(令和5年6月1日現在)で、新潟市、長岡市、燕市、三条市、上越市、柏崎市、新発田市、村上市に続く規模です。
事業所の「数」が県内で上位に入る一方、県が公表する製造品出荷額等の市町村別上位10市町には十日町市の名前は入っていません。
出荷額の大きな工場が集まる市ではなく、小さな事業所が数多く立地する市という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に厚みが出ます(出典:新潟県の工業統計(市町村別)|令和5年)。
食のものづくりに強い県のなかで
市単独の統計では見えない部分は、新潟県全体の産業から補って考えます。県の製造品出荷額等は全製造業合計で41,797億円(令和2年実績)、そのうち食料品等が8,325億円で構成比19.9%の第1位です。次いで化学5,451億円(13.0%)、金属製品4,560億円(10.9%)と続きます。米菓の出荷額は全国一で、水産練り製品も生産量と出荷額がともに全国1位という位置にあります。県の強みが食に関わるものづくりに寄っているという事実は、農業を「つくる」だけの話に閉じない視点を与えてくれます(出典:新潟県 食品産業のすがた)。
観光と交流の条件
令和5年の新潟県の観光入込客数は62,401千人で、前年から12.8%増えました。分類別では都市型観光が34.6%で最も多く、スポーツ・レクリエーションが18.3%、歴史・文化13.0%、温泉・健康10.7%と続きます。
十日町市は都市型観光の受け皿にはなりにくい代わりに、雪と山と川という条件をそのまま資源にできる位置にあります。
面接で交流人口の話をするなら、「観光地を紹介する」のではなく、来てもらった人にどう関わってもらうかという視点まで持っていきましょう(出典:新潟県観光入込客統計|令和5年)。
十日町市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、十日町市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
人口減少と、県内でも先を行く高齢化
新潟県の人口は1998年1月の約249.4万人をピークに減少へ転じ、2024年には約209.9万人になりました。県の合計特殊出生率は2024年に1.14、出生数は9,941人です。社会動態も2024年に4,548人の転出超過で、最も多いのは20歳から24歳、次いで15歳から19歳という層です。十日町市の高齢化率41.9%は、この県全体の流れの先頭に近い位置にあります。進学や就職で若い人が出ていく構造にどう向き合うかは、市の全部署に関わる課題です(出典:新潟県人口ビジョン)。
雪とともにある暮らしを支える
十日町市は市域の全部が特別豪雪地帯に指定されています。新潟県内で全域が指定されているのは、小千谷市、加茂市、十日町市、糸魚川市、妙高市、魚沼市、南魚沼市、阿賀町、湯沢町、津南町、関川村の11市町村です。
気象庁の最深積雪の全国ランキングでは十日町の391センチメートル(1981年2月28日)が第6位で、上位12地点のうち8地点を新潟県内が占めます。
雪は災害であると同時に、この市の暮らしの前提条件です。
除雪の体制、屋根の雪下ろしの担い手、雪の日の通学と通院。高齢化率41.9%という数字は、これらの課題を年々重くしていきます(出典:豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定状況|令和8年4月1日現在)。
震災の経験を、次の備えにつなぐ
平成16年10月23日の新潟県中越大震災で、十日町市は午後5時56分に震度6弱、午後6時34分に震度6強を観測しました。
市が公表している被害は、死者9名、重傷70名、軽傷522名、住家の全壊107棟、大規模半壊156棟、半壊962棟、一部損壊13,733棟です。
一部損壊の棟数の多さは、市内のほぼ全域が揺れたことを示しています。
あわせて、新潟県の地震被害想定調査では長岡平野西縁断層帯の地震(マグニチュード7.50)が最大の被害をもたらすとされ、県全体で死者7,920人(冬・深夜強風時のシーン)、全壊171,244棟が想定されています(出典:十日町市の中越大震災の被害状況/新潟県地震被害想定調査)。
広い市域を、単独ではなく広域で支える
591.33km²の市域に9つの自治体が隣接するという地理は、市の仕事の進め方にも表れます。消防は十日町地域消防本部が担っており、平成28年の糸魚川市駅北大火では、新潟県の広域消防応援として県内17本部の一つとして出動しました。人口が減っていく地域では、単独で抱えるより広域で持ち合うほうが確実な分野が増えていきます。市の中だけで完結しない仕事があるという視点は、志望動機に現実味を持たせてくれます。
十日町市の重点政策|新潟県人口ビジョンと十日町市
十日町市の総合計画そのものは、市の公式サイトで最新版を確認するのが確実です。ここでは、市の政策の方向を決める外枠として、新潟県が示している人口と財政の見通しを整理します。県の見通しを知っておくと、市の計画を読んだときに「なぜこの施策なのか」が理解しやすくなります。
新潟県人口ビジョンは、長年の少子化と、進学・就職を契機とする若者の県外流出により、今後も人口減少局面が続くことは避けられないという現状認識を示しています。そのうえで、2050年に合計特殊出生率2.07と社会動態の均衡が実現すれば、2100年ごろに人口が100万人程度で安定するという将来推計を置いています(出典:新潟県人口ビジョン)。
県の財政という制約
新潟県の令和7年度当初予算は一般会計1兆2,635億円で、前年度から237億円(1.8%)の減です。令和5年度決算の実質公債費比率は18.4%で、18%以上のため県債の発行に国の許可が必要な起債許可団体にあたります。将来負担比率は297.8%です。
県の財政に余裕がないということは、市が県の補助や負担金を当てにした事業を組みにくいということでもあります。
市の仕事を語るときに「予算をつけて解決する」と言い切らない感覚は、この背景から生まれます。
県の見通しを、十日町市の論点に置き換える
| 県が示す構図 | 十日町市ではどう具体化するか |
|---|---|
| 20代前半を中心とした県外への転出超過 | 進学や就職で市を出た人と、どうつながり続けるか。戻る選択肢を残す仕事は市の広い部署にまたがります |
| 高齢化率34.6%の県内で、市は41.9% | 県の平均より数年から十数年先の姿を先に経験している市として、支え方の工夫が求められます |
| 県全体が豪雪地帯、市は全域が特別豪雪地帯 | 雪の下でも暮らしと産業が止まらない仕組みを、限られた人手でどう回すか |
| 県は起債許可団体で財政に余裕がない | 新しい事業を足すだけでなく、既存の事業をやめる・組み替える判断が求められます |
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの4つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、市の置かれた状況を踏まえた志望だと伝わります。
POINT|施策名を暗記しなくてよい
計画の名称や事業名を並べられることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を一つか二つに絞り、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな取組があるか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう生かすか」の順で調べていきましょう。
悪い例「十日町市の高齢者福祉に貢献したいです」
改善例「まずは窓口で市民の方と直接やり取りする仕事を覚えたいです。そのうえで、市民の4人に1人が75歳以上という数字がありますので、雪の季節に外に出られない方へ、必要な支援が届く仕組みづくりに関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
- 受験する回次の十日町市職員採用試験要項(募集職種・試験科目・採用予定数が回次ごとに異なります)
- 十日町市の総合計画と最新年度の予算資料(市公式サイトの最新版)
- 市の地域防災計画・雪対策に関する資料(除雪や克雪の取組を調べるとき)
- 新潟県人口ビジョン、新潟県の高齢者の現況(県全体との位置関係を確かめるとき)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、十日町市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。十日町市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
十日町市役所の面接の概要
ここからは、十日町市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
十日町市役所の面接の流れ
令和9年度採用(第3回)の新卒・既卒採用を例にとると、試験は一次試験(筆記試験)、二次試験(個別面接)、三次試験(個別面接)の3段階です。つまり、筆記を通過した後は、個別面接だけで2回選考が行われる設計になっています(学芸員(考古)のみ二次試験が口述試験)。
| 項目 | 内容(令和9年度採用・第3回・新卒既卒採用) |
|---|---|
| 試験の段階 | 一次試験(筆記試験)→ 二次試験(個別面接)→ 三次試験(個別面接)の3段階 |
| 筆記の科目 | 一般事務上級・土木技師上級・建築技師上級・保健師・学芸員(考古)はSPI3-U基礎能力検査と性格検査(ペーパーテスティング)、作文。一般事務初級・土木技師中級・社会福祉士・精神保健福祉士・自動車運転手はSPI3-H基礎能力検査と性格検査、作文 |
| 方式 | SPI3が択一式、作文が記述式 |
| 面接の種類 | 個別面接が2回(二次試験・三次試験) |
| 集団形式 | 試験要項に集団面接・集団討論の記載はありません(実施しないと明記されているわけではありません) |
| 配点・人物試験の比重 | 試験要項に記載がなく非公表 |
| 提出書類 | 申込書・履歴書、成績証明書または調査書、卒業(見込)証明書、返信用封筒2通。学芸員(考古)は研究等実績調書を追加。面接カードやエントリーシートの提出に関する記載はありません |
| 結果の開示 | 総合得点及び順位。合否通知書の発送日から2週間以内であれば、市役所総務部総務課人事係の窓口で即時開示(電話請求は不可) |
| 採用予定数 | 一般事務初級15名程度、一般事務上級5名程度、土木技師(上級・中級合わせて)3名程度、建築技師上級1名、保健師2名、社会福祉士1名、精神保健福祉士1名、学芸員(考古)1名、自動車運転手2名 |
この構成から読み取れることは2つあります。1つは、筆記がSPI3と作文で構成されており、いわゆる教養試験対策の重さよりも受け答えと文章に比重があること。
もう1つは、個別面接が2回あるということは、同じ話題を別の面接官から角度を変えて確かめられるということです。暗記した答えを再生するのではなく、掘り下げに耐える準備が要ります。
なお、同じ職種は年度内に1回しか受験できず、同日日程の併願もできません。職種が異なれば受験資格を満たす限り併願は可能です。
上記の試験構成は、令和9年度採用(第3回)新卒・既卒採用の十日町市職員採用試験要項にもとづくものです。配点や人物試験の比重は公表されていません。また、十日町市は年度内に複数回の採用試験を実施しており、回次によって募集職種・試験科目・段階構成が異なります。受験の際は、必ずご自身が受ける回次の最新の受験案内をご確認ください(出典:十日町市職員採用試験要項|令和9年度採用・第3回)。
十日町市役所が求める人物像
十日町市は、試験要項の冒頭に「十日町市に求められる職員像」として次の3項目を明記しています。ここに書かれていることが、面接の評価軸を考えるときの出発点です。
- 市民感覚とコスト意識を持ち、広い視野とスピード感を持って政策に取り組む職員
- チャレンジ精神を持ち、変化に対応できる柔軟な発想を持った職員
- 市民との相互理解を心がけ、高い倫理観を持って市民から信頼される職員
3つに共通しているのは、市民との距離の近さを前提にした言葉づかいです。「市民感覚」「相互理解」「信頼される」と、市民の側からどう見えるかで職員を定義しています。
コスト意識が1番目に置かれていることも見逃せません。
県が起債許可団体であり、市域が広く雪の負担が大きいという条件のもとでは、限りある予算をどこに使うかという判断が日常的に発生するからです。
要項から読み取れる事実はここまでです。ここから先は当研究会の見立てで、市が公表しているものではありません。第3回募集の採用予定を並べると、建築技師も社会福祉士も精神保健福祉士も学芸員も、それぞれ1名です。分野ごとに担当を何人も置ける人数ではありません。加えて、591.33km²の市域に集落が点在し、冬にはその全域に雪が積もります。窓口で受けた相談を現場まで確かめに行き、必要なら関係機関へつなぐ。ひとりの職員が追いかける距離が、書類の上でも実際の移動でも長くなりやすい職場だといえます。前例のない相談を投げ返さずに受け止め、調べながら道筋をつけていく動き方は、そうした環境で重宝されやすいと考えられます。
もうひとつ、人口45,992人という規模では、庁舎を出たあとも職員と市民の距離は縮んだままです。窓口で交わした一言が、市役所の評判として市内を回ることもあります。
「市民感覚」「相互理解」「信頼される」という言葉が3つの職員像に並ぶ背景には、この近さがあるとみてよいでしょう。
市外から受ける人にとって、その近さは身構える材料かもしれません。
ただ、面接で確かめられるのは土地勘の量ではなく、十日町市の何に関心を持ち、この土地で暮らす一人としてどう関わるつもりかです。これまで積み上げてきたものを、雪と距離を前提にした市の仕事に置き換えて語れれば、それで十分に伝わります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。十日町市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はここまでどうやって来ましたか? | 身構えていない場面での話し方。声の大きさや目線といった、素の受け答えの様子 |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間企業でも実現できる動機で止まっていないか。職業選択の理由が自分の経験とつながっているか |
| ③ 自己理解 | ご自身の短所を教えてください | 自分を客観的に見られているか。短所を認めたうえで、どう付き合っているかまで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も苦労した経験と、その乗り越え方を教えてください | 苦労の大きさではなく、その場面で何を考え、どう動いたかという行動の中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れて学んだことを説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ言い換える力。学びを仕事につなげる視点があるか |
| ⑥ 適性・将来 | 採用後はどんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事への理解の細かさ。希望と異なる配属でも力を出せる柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になったニュースを教えてください | 社会の動きへの関心と、それについて自分の考えを一言で述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは十日町市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。では、どこで差がつくのか。それが次の「十日町市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「十日町市役所ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。個別面接が2回あるということは、この種の質問を掘り下げる時間が十分にあるということでもあります。こうした質問に答えるための「十日町市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい十日町市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成の現在地 | 人口45,992人で県内20市の11番目。高齢化率41.9%は佐渡市に次ぐ2番目で、75歳以上は25.5%(令和8年1月1日現在) | 「高齢化が進んでいます」で止めず、75歳以上が4人に1人という厚みまで言えると、除雪支援や通院の足といった具体的な話に進めます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 専門職の採用は建築技師も社会福祉士も学芸員も各1名という規模。分野ごとに担当を何人も置ける人数ではない | 制度の違いを説明するより、相談を受けた場所から現場まで自分の足で確かめられる働き方に惹かれた、という語り口のほうが十日町市には合います |
| 雪という条件 | 市の全域が特別豪雪地帯。気象庁の最深積雪の全国ランキングで十日町の391センチメートル(1981年2月28日)が第6位 | 雪を苦労話にせず、暮らしと産業を止めないために市が何をしているかを一つ挙げ、そこに自分が関わる形を添えます |
| 防災の記憶 | 中越大震災で市内は震度6強。死者9名、全壊107棟、一部損壊13,733棟。県の被害想定では長岡平野西縁断層帯の地震が最大とされる | 被害の数字だけでなく、その経験が今の市の備えにどうつながっているかへ話を運ぶと、防災を自分ごととして語れます |
| 市の産業の姿 | 製造業の事業所数は150(令和5年6月1日現在)で県内上位。一方で製造品出荷額等の市町村別上位10市町には入っていない | 大きな工場に頼る構造ではないという読み方を示し、小さな事業所が続いていくために市ができることへつなげます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。関心の近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「求められる職員像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民感覚とコスト意識 | 限られたお金や時間、人手のなかで、何を優先し何を我慢したかを聞かれます | 部活動の予算や行事の準備など、使えるものが足りない状況で優先順位をつけた場面を、判断の理由まで言えるようにしておく |
| チャレンジ精神と柔軟な発想 | やり方を変えた経験、うまくいかなかったときにどう切り替えたかを掘り下げられます | 雪や災害のように前提条件が動く土地で働くことを意識し、計画どおりに進まなかった話を一つ用意しておく |
| 市民との相互理解と倫理観 | 意見の違う相手とどう折り合いをつけたか。約束や決まりをどう守ってきたか | 人口4万6千人の市では職員と市民が日常的に顔を合わせます。誠実さが行動として表れた場面を選ぶ |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。十日町市は個別面接が2回ある分、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受験する回次の十日町市職員採用試験要項を入手し、募集職種・試験科目・提出書類を確認する(回次によって内容が変わります)
- これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、関心の近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、十日町市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
十日町市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
十日町市の試験は、筆記がSPI3と作文で構成され、そのあとに個別面接が2回控えています。
配点は公表されていませんが、面接に2回の機会が割かれている以上、そこで何を話すかが結果を大きく左右すると考えて準備するのが安全です。
市域591平方キロメートルの全部が特別豪雪地帯にあり、市民の4人に1人が75歳以上。この条件のもとで自分は何をしたいのか。
要項に並ぶ3つの職員像を眺めながら、自分の経験のどれがそこに重なるのかを一つずつ言葉にしていってください。