本記事では、燕市職員採用試験の面接対策で必要な、燕市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
燕市役所の面接試験では、「なぜ燕市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。燕市は受験案内の冒頭で求める人材をはっきり言葉にしている市であり、その表現に自分の経験をどう重ねるかが準備の出発点になります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と燕市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
燕市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは燕市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 市域110.81平方キロメートルに製造業の事業所が804集まる、密度の高いものづくりのまち。事業所数は新潟市・長岡市に次ぐ県内3番目の規模になる。
- 人口は75,260人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。1平方キロメートルあたりの人口密度は670人を超え、市街地に人と仕事が集まっている。
- 製造品出荷額等は4,905億6,057万円(令和4年実績)で県内4位。県全体の9.1%を1つの市が生み出している。
- 製造業で働く15,947人のうち、6,343人が金属製品製造業に従事している。働く人の4割前後が金属製品づくりに関わる計算になる。
- 隣接する自治体は新潟市・長岡市・三条市と西蒲原郡弥彦村の4つ。「燕三条」は駅名・地域名であり、燕市と三条市は別々の自治体で、職員採用試験もそれぞれが独自に実施している。
- 市役所は燕市吉田西太田に置かれている。市の花はキク・サルビア・バーベナ・テネラの3種、市の木はサクラ。
- 消防は市が単独で本部を置かず、燕・弥彦総合事務組合消防本部が担っている。職員採用試験に消防職は含まれない。
- 新潟県内の30市町村はすべて豪雪地帯に指定されており、燕市もその区域に含まれる。
燕市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「燕市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
燕市の数字を読むときのコツは、人口や面積を単独で見ず、必ず「面積のわりに人と仕事が多い」という比の形で覚えることです。下の表は、その比の感覚をつかむために必要な項目を並べたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 75,260人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 24,203人(高齢化率32.2%) |
| うち75歳以上人口 | 14,135人(総人口の18.8%) |
| 総面積 | 110.81km² |
| 人口密度 | 679人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 新潟市・長岡市・三条市・西蒲原郡弥彦村 |
| 市の花・木 | キク/サルビア/バーベナ・テネラ、サクラ |
| 市役所所在地 | 燕市吉田西太田1934番地 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。面積・隣接自治体・市の花と木については、2026年5月1日時点で公表されていた値を当研究会がまとめています。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。本文で触れる新潟県の高齢化率は国勢調査を基準とした県の推計人口による値のため、住民基本台帳をもとにした市の値と単純に引き算して比べることはできません。
数字から考えられる市政課題
燕市の高齢化率は32.2%、75歳以上は18.8%です(令和8年1月1日現在)。
高齢化が進んでいるという点では新潟県内の他市と同じ方向を向いていますが、燕市の場合は1平方キロメートルあたり679人という人口密度が数字の意味を変えます。住民の暮らしが比較的まとまった範囲に収まっているということは、公共施設や公共交通、見守りの仕組みを設計しやすいということでもあり、逆に言えば「距離の遠さ」を言い訳にできない環境だということです。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
もう1つの軸が、働く場としての厚みです。人口75,260人の市に、製造業だけで15,947人が働いています。
市外から通ってくる人も含まれますが、それでも人口に対する就業の比重の大きさは際立ちます。市民の暮らしを支える行政と、事業者を支える行政の両方が、同じ規模感で必要になる市だと考えておきましょう。
面接で市の現状を尋ねられたら、次のような組み立てが使えます。
燕市の経済・産業
県内での位置と、集積の密度
- 製造業の事業所数は804で、県全体の13.9%。新潟市(1,069)・長岡市(859)に次ぐ県内3位。
- 製造品出荷額等は4,905億6,057万円(令和4年実績)で、県全体の9.1%を占める県内4位。
- 製造業の従業者数は15,947人。1事業所あたりでは20人前後で、中小規模の事業所が層を成している。
- うち金属製品製造業が400事業所・6,343人・1,048億1,090万円。事業所数では市の製造業のほぼ半数にあたる。
数字を並べると、燕市の経済は狭い市域に中小の工場がぎっしり詰まっているという形をしていることがわかります。
市の面積110.81平方キロメートルは隣接する三条市(431.97平方キロメートル)の4分の1ほどですが、製造業の事業所数はそれを上回ります。工場が徒歩圏に隣り合うような密度は、分業や外注の速さという強みになる一方、1つの事業所の廃業が周囲に波及しやすいという弱さにもつながります。(出典:新潟県の製造業の状況(市町村別)|令和4年実績)
金属製品づくりの比重をどう語るか
燕市の製造業従業者15,947人のうち金属製品製造業が6,343人ですから、働く人のおよそ4割がこの分野に関わっています。一方で出荷額でみると1,048億1,090万円は市全体の2割ほどです。
つまり人手の比重に対して、金額の比重は相対的に小さくなります。手仕事の要素が残る分野が市の雇用を支えているという読み方ができます。
産業振興を志望動機にするなら、出荷額の伸びだけでなく、働く人の処遇や技能の継承という切り口を持っておくと話に厚みが出ます。
県全体の産業のなかでの見え方
新潟県の製造品出荷額等は合計41,797億円で、業種別では食料品等が8,325億円(構成比19.9%)で第1位、次いで化学5,451億円、金属製品4,560億円と続きます(令和2年実績)。県の顔は米菓に代表される食品産業ですが、金属製品はそれに続く柱です。
県内で製造業の事業所数が多いのは新潟市・長岡市・燕市・三条市の順で、この4市だけで県全体の57.4%を占めます(令和5年6月1日現在)。県の産業地図のどこに燕市が立っているかを言えるようにしておきましょう。(参考:新潟県 食品産業のすがた)
燕市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、燕市役所が扱う仕事の輪郭が見えてきます。面接で市の課題に触れるときの手がかりとして、次の5つを持っておくと答えが組み立てやすくなります。
ものづくりの担い手と事業承継
804という事業所数は、裏を返せば1つあたりの規模が大きくないということです。従業者数15,947人を事業所数で割ると20人前後になり、経営者が現場にも出るような規模の会社が多数を占める姿が浮かびます。
こうした事業所では、後継者の確保、設備更新の資金、人手不足が同時に押し寄せます。市の産業政策は、大口の企業誘致より数百の事業者への個別対応が中心になると考えておくのが実情に近いでしょう。
企業支援を志望するなら、相談に来られない事業者にどう届くかまで考えておきたいところです。
人口減少と高齢化の進行
燕市の高齢化率は32.2%、75歳以上は18.8%です(令和8年1月1日現在)。新潟県全体では高齢化率34.6%で、全国の29.4%を5.2ポイント上回っています(令和7年10月1日現在。県の値は推計人口によるもので、市の住民基本台帳の値とは基準が異なります)。
県の人口ビジョンによれば、合計特殊出生率は2024年に1.14まで低下し、出生数は9,941人。社会動態は4,548人の転出超過で、最も流出が多いのは20歳から24歳の層です。
進学と就職の時期に若者が県外へ出るという構図は、市内の事業所の人手不足とも直結しています。(出典:新潟県人口ビジョン)
広域で担う行政サービスの設計
燕市は消防本部を市単独では設置しておらず、燕・弥彦総合事務組合消防本部が消防を担っています。平成28年12月の糸魚川市駅北大火では、新潟県内17の消防本部が広域応援に出動し、燕・弥彦総合事務組合もその一つとして現場に入りました。
単独で抱えるか、近隣と組んで担うかという判断は、人口規模の限られた市にとって恒常的な論点です。市職員の仕事にも、組合や近隣自治体との調整という要素が入ってくることを理解しておきましょう。(参考:糸魚川市駅北大火記録(概要版)|平成29年1月20日現在)
地震と豪雨への備え
新潟県の地震被害想定調査は、内陸6地震と海域3地震の計9地震を対象としています。最大の被害をもたらすとされるのは長岡平野西縁断層帯の地震(マグニチュード7.50)で、冬・深夜・強風時のシーンで死者7,920人・全壊171,244棟・避難者471,386人という想定が示されました。
前回調査(1995年から1997年に実施)と比べ人的被害は約6.40倍です。県内では平成16年7月の新潟・福島豪雨で6河川11箇所が破堤し、県全体で死者15人・半壊5,657棟という被害も出ています。
地震と水害の両方に構えることが、新潟県の自治体に共通する前提です。(出典:新潟県地震被害想定調査の結果)
雪への対応という毎年の仕事
新潟県は全域が豪雪地帯に指定され、県内30市町村すべてが該当します。うち特別豪雪地帯は18市町村で、燕市は特別豪雪地帯には含まれませんが、豪雪地帯としての備えは毎年必要になります。
除排雪の体制づくり、通学路や生活道路の確保、高齢者世帯の除雪支援は、冬のあいだ市役所の多くの部署に関係してくる仕事です。志望動機で「地域に根ざした仕事」を語るなら、この季節ごとの現実にも触れられると具体性が増します。(出典:豪雪地帯及び特別豪雪地帯指定地域一覧|令和8年4月1日現在)
燕市の重点政策|受験案内が掲げる人材像と新潟県の課題
燕市は、令和8年度の一般行政(大学卒業程度)の職員採用試験案内の冒頭に、求める人材をはっきり書き込んでいます。
掲げられているのは「経営感覚を持っている人」「自発的に考えられる人」「積極的に行動する人」という3つの言葉で、これらを含めて「市民のために考えて行動できる多様な人材を求めています」と結ばれています。志望動機と自己PRは、この3つのどれに自分の経験がつながるかを意識して組み立てるのが近道です。(出典:燕市職員採用試験案内(一般行政・大学卒業程度)|令和8年度)
3つの言葉をどう読むか
並んだ言葉には順番があります。「経営感覚」が先頭に来ているのは、市の財源や人員が無限ではないという前提を職員にも共有してほしいという意思の表れと読めます。
そのうえで「自発的に考えられる」「積極的に行動する」と続きます。受験案内には、一般行政の主な業務内容として戸籍・住民登録、年金、税務、福祉、財務、総務、企画、教育など行政全般の幅広い業務が挙げられており、この幅の広さと3つの言葉は無関係ではないでしょう。
| 受験案内の言葉 | 面接で確かめられそうな中身 |
|---|---|
| 経営感覚を持っている人 | 限られた予算・人手・時間のなかで、どこに力を割くかを判断した経験があるか |
| 自発的に考えられる人 | 指示を待たずに、自分で課題を見つけて動き出したことがあるか |
| 積極的に行動する人 | 考えただけで終わらせず、実際に人を巻き込んで形にしたか |
| 市民のために考えて行動できる | 自分の都合ではなく、相手の事情を起点に判断できるか |
あわせて押さえておきたいのが、令和8年度の一般行政(大学卒業程度)の採用予定人数が3名程度だという事実です。
受験案内には「燕市職員採用試験を実施するための経費は、市民の方に納めていただいた税金が使われています。模擬試験代わりの受験はご遠慮ください。」という一文も置かれています。少数を丁寧に選ぶ試験であり、志望度そのものを見られる試験だと考えておきましょう。
新潟県全体の人口と財政という背景
市の施策を考える土台として、県全体の動きも押さえておきましょう。新潟県の総人口は2,071,066人(令和7年10月1日現在)で、前年同月比27,738人の減少。
県の人口ビジョンは、1998年1月の約249.4万人をピークに減少へ転じ2024年には約209.9万人になったとしたうえで、2050年までに出生率が2.07まで戻り人の出入りが釣り合えば、2100年ごろの人口は100万人程度で落ち着くという長期推計を示しています。財政面では、県の令和5年度決算の実質公債費比率が18.4%となり、県債の発行に国の許可が必要な「起債許可団体」になりました。
県の補助を当てにした事業設計が難しくなるという意味で、市の側にも影響する話です。
POINT|3つの言葉に、自分の経験を1つずつ当てる
受験案内の言葉を暗記して繰り返しても評価は動きません。「経営感覚」「自発的に考える」「積極的に行動する」のそれぞれに、自分の経験を1つずつ割り当ててみてください。埋まらない枠があれば、そこが準備の弱点です。
悪い例「燕市が求める積極的に行動する人に、私は当てはまると思います」
改善例「アルバイト先で在庫が余りがちだったので、売れ行きを1か月分書き出して発注の目安を作りました。人手も時間も限られている中で何を優先するかを考える経験になったと思っています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 燕市職員採用試験案内(最新のもの。一般行政のほか土木・建築、保育士は別の案内が公表されています)
- 燕市公式サイトの職員採用情報のページ
- 燕市公式サイトで公開されている総合計画と当初予算の概要
- 新潟県人口ビジョン(県全体の人口と若者の流出の状況)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、燕市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。燕市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
燕市役所の面接の概要
ここからは、燕市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
燕市役所の面接の流れ
令和8年度の一般行政(大学卒業程度・令和9年4月1日付け採用)の試験は3段階です。目を引くのは、第1次試験と第2次試験がどちらも自宅等での受験で、集合形式の試験を行わないと受験案内に明記されている点です。
会場に足を運ぶのは最終試験だけ。その前に、画面の向こうの面接官に自分を伝えきる段階が置かれています。
| 項目 | 内容(令和8年度・一般行政〈大学卒業程度〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験(最終試験)の3段階 |
| 第1次試験 | 知的能力科目(Web-GAB。言語理解・計数理解のWEBテスト約60分)、パーソナリティ科目(Web-GAB。性格傾向についての質問にWEBで約20分回答)、自己アピールシート試験(受験申込時に事前提出・1,000字程度) |
| 第2次試験 | WEB面接試験(自宅等で受験) |
| 第3次試験(最終試験) | 面接試験および作文試験 |
| 面接の回数 | 2回(第2次はWEB面接、第3次は面接試験) |
| 事前提出物 | 自己アピールシート(1,000字程度)。第1次試験の選考資料であると同時に、第2次試験以降の面接の資料としても使用されると明記 |
| 採用予定人数 | 3名程度 |
| 申込方法 | インターネットの申込フォーム(LoGoフォーム)。WEBテスト用のパソコン環境が必要で、スマートフォンでの受験は不可 |
| 配点 | 公表されていません。最終合格者は第1次から第3次までの結果に基づいて決定されます |
この設計から読み取れることは2つあります。1つは、自己アピールシートが試験の最初から最後まで効き続けるということです。
1,000字程度という分量は、経験を1つか2つに絞らなければ書ききれません。ここで選んだ題材が、そのままWEB面接と最終面接の話題になります。
もう1つは、最終試験に作文が置かれていること。面接で話した内容と書いた内容の方向がずれていると、印象が弱まります。
話す準備と書く準備を切り離さず、同じ材料から組み立てていきましょう。
上記の試験構成は、燕市の令和8年度職員採用試験(一般行政〈大学卒業程度〉・令和9年4月1日付け採用)の受験案内にもとづくものです。面接試験の形式が個別か集団かについて受験案内に説明はなく、集団討論やグループワークを行うという記述も見当たりません。土木・建築や保育士の区分は別の案内で公表されており、本記事では扱っていません。試験の構成・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
燕市役所が求める人物像
第1部でも触れたとおり、燕市は受験案内の冒頭で「経営感覚を持っている人」「自発的に考えられる人」「積極的に行動する人」を挙げ、市民のために考えて行動できる多様な人材を求めると述べています。面接対策としては、この3つを別々の質問への答えとして用意するのではなく、1つのエピソードのなかに3つの要素が同居している形を目指すと、話に無理がなくなります。
以下は市の公表内容ではありません。人口7万人台の市役所という職場の条件から、当研究会が推し量った部分として読んでください。
一般行政の採用予定は3名程度で、受験案内が挙げる業務範囲は戸籍から企画、教育までと幅広いものです。この2つを重ねると、1人の職員が担当する制度の数がおのずと多くなる職場だと考えられます。
制度を設計した人がそのまま窓口で説明し、地域の関係者とも調整することになります。そうした環境では、前例のない相談を持ち込まれたときに、自分で決めてよい範囲と上に相談すべき範囲を切り分けられることが実務上の強みになりやすいと言えます。
「自発的に考えられる人」という公表の言葉は、この現実と重なって見えます。
加えて、燕市の仕事には季節でめぐってくるものがあります。豪雪地帯としての除排雪や高齢者世帯の除雪支援は毎年必ず来る仕事で、同じ地区の同じ住民と、年をまたいで何度も向き合うことになります。
1平方キロメートルあたり679人という密度も、その回数を押し上げます。相手は前の年の約束を覚えている、という前提で仕事が進みます。
だからこそ、その場をしのぐ受け答えよりも、決めたことを守り抜く姿勢が効いてきます。自己PRの題材を、燕市向けに選び直す必要はありません。
手持ちの経験のうち、この職場でそのまま働く要素はどれかを考えるほうが、掘り下げられたときに言葉が続きます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。燕市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今、緊張していますか? | 取り繕えない一言に出る素のトーンと、受け答えの自然さ |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく公務員を選んだ理由は何ですか? | 会社勤めとの違いをどこに見ているか。その見方が自分の体験から出てきたものか |
| ③ 自己理解 | ご自身の長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか。短所との付き合い方まで言えるか |
| ④ 経験・行動 | 周囲と意見が食い違ったときの経験を教えてください | 対立の有無ではなく、その場で何を考え、どう歩み寄ったか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れた学びを教えてください | 学んだ内容そのものより、取り組み方と仕事への接続の仕方 |
| ⑥ 適性・将来 | 希望と違う部署に配属されたらどうしますか? | 市の仕事への理解の解像度と、配属を受け止める柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、関心を持った出来事を教えてください | 世の中の出来事を自分ごととして受け止めているか。意見を短くまとめられるか |
ただし、この7カテゴリーは燕市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「燕市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「燕市役所ならでは」の質問
燕市を受ける場合、これに「隣の三条市ではなく燕市を選んだ理由」が加わることも考えられます。地域として一続きに語られやすい環境だからこそ、市の側は選択の理由を確かめたくなるからです。
いずれも市の実情を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。面接で持ち出しやすい形に、燕市の事実を絞り込んでおきました。
| 質問テーマ | 知っておきたい燕市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 一般行政の主な業務内容は戸籍・住民登録、年金、税務、福祉、財務、総務、企画、教育等と受験案内に明記。採用予定は3名程度 | 受験案内に並んだ業務の幅をそのまま志望理由の材料にします。3名程度という規模から、一人が担う範囲の広さに触れると理解の深さが伝わります |
| なぜ三条市ではなく燕市か | 燕市の製造業は804事業所・従業者15,947人で県内3位の事業所数。市域110.81平方キロメートルに集積している | 「燕三条」という呼び名を前提にせず、事業所の密度という燕市固有の条件を挙げて選んだ理由を言い切ります。両市を混ぜて語らないことが差別化になります |
| 求める人材像 | 受験案内の冒頭に「経営感覚を持っている人」「自発的に考えられる人」「積極的に行動する人」と明記 | 3つを列挙し直すのではなく、自分の経験1つの中に3つの要素が入っている形で話します。市の言葉を自分の行動で言い換えるのが要点です |
| 産業と雇用 | 製造業の従業者15,947人のうち6,343人が金属製品製造業。出荷額では市全体の2割ほど | 人手の比重と金額の比重の差に触れ、技能の継承や働く人の処遇という視点を添えると、産業振興への関心が具体的に伝わります |
| 防災・広域連携 | 消防は燕・弥彦総合事務組合消防本部が担当。糸魚川市駅北大火では県内17本部が広域応援に出動した | 市単独で持つ機能と近隣と組んで担う機能の違いに触れ、調整も市職員の仕事だという理解を示します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、受験案内が掲げる人材像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 経営感覚 | 限られた資源のなかで、何を優先し何を後回しにしたか | 受験案内が最初に挙げる言葉です。予算・人手・時間のどれかが足りない状況で判断した経験を1つ、数字を添えて話せるようにしておきます |
| 自発的に考える力 | 誰にも言われていない段階で、課題に気づいて動き出したか | 一般行政の業務範囲は戸籍から教育まで広く、前例のない相談も回ってきます。自分で調べて動いた経験を、調べ方まで含めて用意します |
| 積極的な行動 | 考えを実際の行動に移し、周囲を巻き込めたか | WEB面接では熱意が伝わりにくくなります。行動の結果と、その時に周囲がどう変わったかを短く言い切る練習をしておきましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
燕市は自己アピールシートが面接資料として使われるため、書いた内容がそのまま掘り下げの入口になります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、自分の区分の試験構成と、申込に必要なパソコン環境・証明写真データの条件を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自己アピールシート(1,000字程度)の題材を決め、そこから掘り下げられる質問を自分で書き出しておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- WEB面接を想定して、カメラの前で話す練習をする。答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、燕市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
燕市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
燕市の一般行政は採用予定3名程度で、第1次と第2次は自宅からの受験、会場に集まるのは最終試験だけという構成です。受験案内が求める人材として最初に挙げているのは「経営感覚を持っている人」でした。
限られた予算と人手のなかで何を選び取るかを、自分の経験の言葉で語れるかどうか。そこが準備の芯になります。
1,000字の自己アピールシートに何を書くかを決めた時点で、面接の半分は始まっています。書いた自分の言葉を、画面越しでも会場でも同じ温度で話せるところまで、練習を重ねていきましょう。