本記事では、佐渡市職員採用試験の面接対策で必要な、佐渡市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

佐渡市役所の面接試験では、「なぜ佐渡市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。島がまるごとひとつの市であるという佐渡市の成り立ちを理解しているかどうかで、答えの厚みは大きく変わります。

本記事に載せた事実を材料に、自分の強みや関心と佐渡市政の重なりを探し、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

佐渡市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは佐渡市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 佐渡島がまるごとひとつの市。陸続きで接する自治体はなく、新潟市・上越市と海上で隣り合う。
  • 市域は855.68km²で、新潟県内20市のうち5番目の広さ。人口は46,760人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は55人/km²。
  • 65歳以上の割合は43.5%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、新潟県内20市のなかで最も高い。
  • 令和6年7月27日、「佐渡島(さど)の金山」が世界文化遺産に登録された。構成資産は西三川砂金山と相川鶴子金銀山。
  • 「トキと共生する佐渡の里山」は平成23年6月に世界農業遺産に認定。新潟県は日本で初めての認定だとしている。
  • 市の花はカンゾウ、市の木はアテビ。
  • 職員採用試験は前期・後期の年2回。申込みは年度を通じて1つの職種に限られ、前期と後期の併願はできない。
  • 令和8年度採用試験から筆記試験の方式を全面的に切り替えた。従来の教養試験・専門試験は廃止されている。

佐渡市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「佐渡市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

佐渡市の場合、島の面積と人口、そして高齢化の水準を押さえると、市政の議論のほとんどが説明できます。県全体の値を横に置いて、どこがどれだけ違うのかを確かめてください。

項目内容
総人口46,760人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積855.68km²(新潟県内20市のうち5番目の広さ)
人口密度55人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合43.5%(新潟県全体は34.2%。県内20市で最も高い)
75歳以上の割合26.4%(新潟県全体は19.8%)
隣接自治体新潟市・上越市(いずれも海上で隣接)
市の花・市の木カンゾウ・アテビ
市役所所在地佐渡市千種232番地
(参考)新潟県の総人口2,071,066人(令和7年10月1日現在の推計人口)
(参考)新潟県の面積12,584.10km²(全国第5位)

65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値で、この統計における佐渡市の総人口は46,760人です。割合の分母にもこの数値を用いています。並記した新潟県全体の割合、および県内20市での順位も同じ統計にもとづくもので、県が公表する推計人口や国勢調査をもとにした数値とは調査の基準が異なるため、直接は比較できません。総面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は公表値をもとに整理したもので、総人口は上記の住民基本台帳人口46,760人、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出した値です。県内の面積順位も、当研究会が整理した全国自治体の基礎データの面積で比較したものです。

数字から考えられる市政課題

佐渡市の高齢化は、新潟県のなかでも先を行っています。

令和8年1月1日現在の住民基本台帳で65歳以上の割合は43.5%、75歳以上は26.4%。県全体の34.2%・19.8%を大きく上回り、県内20市のなかで最も高い水準です(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

市民の4人に1人以上が75歳以上という構成です。もう一つの前提が、海に囲まれているという条件です。

855.68km²の市域は県内20市で5番目の広さですが、他市のように隣の市へ車で抜けることができません。医療も、物流も、災害時の応援も、すべて海路と空路を経由します。

面接では、この2つを重ねて次のように話せます。

「佐渡市は市民の4割以上が65歳以上で、県内の市では最も高いと知りました。しかも島なので、体調を崩したときにすぐ本土の病院へというわけにもいきません。島の中で暮らしを完結できる仕組みをどう保つかが、市役所の一番大きな仕事だと感じています」

佐渡市の経済・産業

世界文化遺産の登録と観光

令和6年7月27日、インドで開かれた第46回世界遺産委員会で、「佐渡島(さど)の金山」が全会一致で世界文化遺産に登録されました。

構成資産は西三川砂金山と、相川金銀山・鶴子銀山からなる相川鶴子金銀山です(出典:佐渡島(さど)の金山の世界文化遺産登録|令和6年7月)。市にとっては、来訪者を呼ぶ看板が一つ増えたというだけの話ではありません。

遺産の保存と活用を長期にわたって担う責任が、市の仕事に加わったということです。県全体の観光に目を移すと、令和5年の新潟県の観光入込客数は62,401千人で前年から12.8%の増加でした。

分類別では都市型観光34.6%、スポーツ・レクリエーション18.3%、歴史・文化13.0%、温泉・健康10.7%、自然5.9%という構成です(出典:新潟県観光入込客統計|令和5年)。

歴史・文化を目的とする来訪をどれだけ島の経済に結び付けられるかが、佐渡市の観光政策の焦点になります。

船や飛行機に乗って来る観光客は、日帰りが難しいぶん滞在が長くなりやすいという性質もあります。

農業と世界農業遺産

「トキと共生する佐渡の里山」は、平成23年6月に世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。

認定の対象になったのは、島全体で取り組む「生きものを育む農法」、水田に「江」と呼ばれる深みを設けて一年を通じて生きものが暮らせる環境をつくる取組、そして環境に配慮した米のブランド化である「朱鷺と暮らす郷」などです(出典:トキと共生する佐渡の里山(世界農業遺産)|平成23年6月認定)。

新潟県は、これを日本で初めての世界農業遺産の認定だとしています。ここで大事なのは、環境保全と農業経営が別々の取組ではないという点です。

水田の環境を守ることが米の付加価値になり、その米が売れることで農地が守られる。この循環そのものが認定の理由でした。

農政や環境の分野を志望するなら、どちらか一方だけを語る答えにならないよう気をつけましょう。

海路と空路が生命線になる島

佐渡市には陸路の出入口がありません。

本土との行き来を支えてきたのが航路で、上越市の直江津港は明治25年に開設された佐渡島連絡航路の拠点として位置づけられています(出典:直江津港|上越市)。人も物も、天候と便数に左右されながら動いているのが佐渡市の日常です。

観光でも、医療でも、災害対応でも、この制約が必ず前提条件として付いてきます。この条件は、市の仕事のほとんどに影を落とします。

工事の資材も、店に並ぶ商品も、職員が出張で本土へ渡る移動も、すべて便のある時間に合わせて組み立てられます。県内の他市と同じ発想では回らない場面がある、と理解しておきましょう。

佐渡市の主な行政課題

ここまでの事実を並べると、佐渡市が向き合っている論点が浮かび上がります。面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の4つを整理しておきましょう。

県内でいちばん進んだ高齢化

新潟県の人口は1998年1月の約249.4万人をピークに減り続け、2024年には約209.9万人となりました。

同年の合計特殊出生率は1.14、出生数は9,941人です。社会動態は4,548人の転出超過で、転出が最も多いのは20〜24歳、次いで15〜19歳という構造が続いています(出典:新潟県人口ビジョン)。

県全体の高齢化率は34.6%で、全国の29.4%を5.2ポイント上回っています(出典:新潟県 高齢者の現況|令和7年10月1日現在)。

なお、この34.6%は県が推計人口をもとに公表している令和7年10月1日現在の値で、基礎データの表に並記した県全体の34.2%は住民基本台帳(令和8年1月1日現在)による別系列の値です。基準日も集計の方法も違うため、どちらか一方に統一して読むようにしてください。

県が抱える課題の先端が、佐渡市には先に現れます。

進学や就職で島を出た若者に戻る理由をどうつくるかは、市の最重要のテーマの一つです。

島であることが生む制約

買い物も通院も、島の中で完結させる必要があります。

専門的な医療を本土で受ける場合は、船や飛行機の時間に生活を合わせることになります。物資の輸送費は本土より高くつき、事業者の経営にも家計にも影響します。

「本土にあるものが島にもある」状態を保つには、市が意識して手を打ち続けるしかありません。

市の政策を読むときは、この一点を軸に据えると、施策のつながりが見えてきます。

大規模災害と本土からの応援

新潟県地震被害想定調査は、内陸6地震・海域3地震の計9地震を想定しています。

最大の被害をもたらすとされる長岡平野西縁断層帯の地震(マグニチュード7.50)では、死者7,920人(冬の深夜・強風時のケース)、建物の全壊171,244棟、避難者471,386人が想定されています(出典:新潟県地震被害想定調査)。

佐渡市で考えるべきは、被害の数そのものより、応援が届くまでの時間です。港が使えなければ人員も物資も入れません。

数日は島の中でしのぐ前提の備えが要るという点を、防災を語るときの出発点にしてください。

人材をどう確保するか

佐渡市は令和8年度採用試験からの制度見直しについて、「より多くの方にチャレンジしていただけるよう」「遠方にお住まいの方もこれまで以上に受験しやすい環境に改善します」と説明しています(出典:佐渡市職員採用試験の見直しについて|令和8年2月)。

島外に住む受験者が、試験のたびに船に乗って渡ってくる負担をどう減らすか。採用制度そのものが、人材確保という行政課題への打ち手になっています。

前期と後期の年2回に加え、フルタイム会計年度任用職員の採用試験も年度内に複数回実施されており、市が人を採り続けている状況がうかがえます。

重点政策|新潟県の状況と佐渡市の置かれた位置

佐渡市が現在どの計画のもとで市政を進めているかは、市公式サイトに掲載されている最新の総合計画で確かめてください。ここでは、その計画を読むときの下敷きになる新潟県全体の状況を整理します。

県が置いた人口の見通し

新潟県人口ビジョンは、長年の少子化と、進学や就職を契機とした若者の県外流出により、人口減少が今後も続くことは避けられないという認識を示しています。

そのうえで、2050年に合計特殊出生率2.07と社会動態の均衡が実現できれば、2100年ごろに人口が100万人程度で安定するという推計を置いています。

減少をなくす議論ではなく、どこで下げ止まらせるかという議論だと理解しておきましょう。佐渡市に置き換えると、島を出る若者に対して市がどんな接点を持てるか、そして島外から移り住む人にどんな入口を用意できるかが焦点になります。

世界文化遺産の登録も、世界農業遺産の認定も、島の外の人に佐渡を知ってもらう手がかりです。

観光として消費されて終わるのか、住む人・働く人につながるのか。その分かれ目に市の施策があります。

県の財政という条件

新潟県の令和5年度決算では、実質公債費比率が18.4%(3か年平均)となり、18%以上のため県債の発行に国の許可が必要な「起債許可団体」となっています。

将来負担比率は297.8%です(出典:新潟県の健全化判断比率|令和5年度決算)。

県に余力がないということは、市が県の補助や広域事業に頼れる範囲も限られるということです。島という条件でかさむ費用を抱えながら、事業の取捨選択を続けることになります。

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関わるものを選び、要点を自分の言い回しに置き換えられるところまで読んでおきましょう。

  • 佐渡市職員採用試験の受験案内(前期・後期の最新版)と、市の職員採用のページ
  • 佐渡市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
  • 佐渡島(さど)の金山の保存活用に関する市・県の資料(文化・観光分野を志望する場合)
  • 佐渡市地域防災計画(島内での初動対応の考え方を知るため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、佐渡市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。佐渡市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

佐渡市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

佐渡市役所の面接の概要

ここからは、佐渡市の試験がどう組み立てられ、どの段階で何を見られるのかを、市の公表資料と当研究会の分析から確かめていきます。

佐渡市役所の試験の構成

佐渡市の試験を語るうえで最初に押さえるべきは、令和8年度採用試験からの制度改正です。

従来の教養試験・専門試験・事務適性検査・性格特性検査はすべて廃止され、総合適性検査「SCOA」に置き換わりました。

数年前の受験体験談や、前の制度を前提にした情報をそのまま信じると、準備の方向を誤ります。

項目内容(令和9年度採用)
実施回数前期試験・後期試験の年2回。申込みは年度を通じて1つの職種に限られ、前期と後期の併願はできない(フルタイム会計年度任用職員を除く)
第1次試験SCOAの基礎能力検査とパーソナリティ検査。基礎能力検査の出題は文章読解能力、数的能力、論理的思考能力、人文・社会、自然に関する一般知識、基礎英語
第1次試験の受け方全国47都道府県・350カ所以上の会場から希望の日時と場所を選んで受験するテストセンター方式。新潟県内には常設会場が8カ所ある
佐渡市内の会場佐渡テストセンター(佐渡市千種丙201-10)が1カ所。ただし試験日が限られ、先着順のため早めの申込みが必要
第2次試験第1次試験の合格者を対象に、作文試験と面接試験。消防士または救急救命士は体力試験も実施
第2次試験の会場佐渡市役所本庁舎(佐渡市千種232番地)または佐渡市消防本部(佐渡市八幡58)
専門試験専門職の筆記(専門)試験は廃止。かわりに対象職種は資格・免許の保有または取得見込みが受験資格の条件になった
前期試験の職種一般事務(大学卒業程度)、一般事務(社会人経験者)、土木技師、建築技師、保健師、消防士または救急救命士(大学卒業程度)。いずれも採用予定人員は若干名
後期試験の職種一般事務(高校卒業程度)、総合土木(高校卒業程度)、土木技師、建築技師、保健師、消防士または救急救命士(高校卒業程度)
申込方法原則としてオンライン申請。資格が必要な職種は免許証や資格証などの写しを添付する

テストセンター方式とは、市が用意した会場に受験者が集まる形をやめ、民間が全国に持つ常設会場のうち都合のよい場所と日時を各自が予約して受ける仕組みです。

島外に住む人が第1次試験のためだけに船で渡る必要はなくなりました。

ただし、佐渡市内の会場は1カ所で試験日も限られており、島内で受けたい人ほど早く動く必要があります。

第2次試験は佐渡市内の会場で行われるため、そこからは島へ渡ることになります。

上記は佐渡市の令和9年度採用に係る受験案内および市の制度改正の説明にもとづく内容です。第2次試験の面接について、個別面接か集団面接か、集団討論の有無、面接の回数は公表されていません。各試験種目の配点も公表されていません。試験の構成・日程・職種は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内をご確認ください(出典:佐渡市職員採用試験受験案内(前期試験)|令和9年度採用)。

佐渡市役所が求める人物像

佐渡市の受験案内と職員採用のページを当研究会で読み通しましたが、「求める人物像」を一つにまとめた記載は本文にありませんでした。

ただし、市が制度改正のねらいを自ら説明している文章は残っています。

「より多くの方にチャレンジしていただけるよう」「遠方にお住まいの方もこれまで以上に受験しやすい環境に改善します」という一節です。

島の外にいる人材にも入口を開こうとしている市だと読むことができます。

試験の設計からも読み取れることがあります。第1次試験は基礎能力とパーソナリティを見る検査で、志望動機を書かせる場面がありません。

面接カードにあたる提出書類の公表もありません。つまり、志望の中身を伝える機会は第2次試験の作文と面接に集中しているということです。

事前に書いたものを面接官が読み込んだ状態から始まるのではなく、その場で語ることが評価の材料になります。

ここからは資料に書かれていない部分です。島という条件から当研究会が考えたこととして読んでください。

佐渡市で働くということは、どこへ異動しても勤務地が島の中にあるということです。職員でいる時間とそうでない時間の境目は、外から見れば区別がつきません。

仕事の場を離れても振る舞いが市役所の評価として受け取られやすい状況が、常に続きます。丁寧さや誠実さ、そして仕事と私生活の切り分けの感覚が本土の市より重く見られやすいのは、この閉じた生活圏があるためです。

組織の規模も見ておきましょう。職種別の採用予定人員は若干名。

855.68km²の島に4万6千人あまりが暮らし、戸籍も福祉も産業振興も観光も消防も、この一つの市が担っています。異動のたびに前提知識のない分野へ移ることも珍しくありません。

だからこそ、資料に当たり、周りに聞き、時間をかけて仕上げていける人かどうかに、採用の目も向きやすくなります。世界文化遺産の保存も、トキの野生復帰も、成果が見えるまでに何十年もかかった取組でした。

腰の据わり方が問われる土地だと言えます。

島外の出身であることは弱みになりません。市自身が島外からの受験を歓迎する姿勢を示しています。

問われるのは、なぜ佐渡なのか、島のどの課題に関心があるのかを、その場で自分の言葉にできるかどうかです。借り物の言葉で島への思いを語る必要はありません。

これまで自分が続けてきたことのうち、島の暮らしを支える仕事に重なるものを選んで話せば十分です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。佐渡市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク島までの移動は大変ではありませんでしたか身構えていない場面での話しぶりと、受け答えの自然さ
② 動機・志望公務員を選んだ理由を教えてくださいどの職場でも通じる建前で止まらず、自分の経験に根があるか
③ 自己理解ご自身の弱点はどこだと思いますか自分を突き放して見られるか。弱点をどう扱ってきたか
④ 経験・行動思うようにいかなかった経験を一つ教えてください失敗の重さではなく、その後に何を変えたか
⑤ 学業・経歴これまでに学んだことで、仕事に生きそうなことは何ですか学びを業務に接続して考えられているか
⑥ 適性・将来10年後、どんな職員になっていたいですか長く働く姿を自分で描けているかどうか
⑦ 公共性・社会性最近のニュースで印象に残ったものはありますか社会への関心と、それを手短に述べる力

ただし、この7カテゴリーは佐渡市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「佐渡市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「佐渡市ならでは」の質問

「なぜ新潟県庁ではなく、佐渡市役所なのですか」
「佐渡市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも佐渡市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「佐渡市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい佐渡市の事実答え方のヒント
島がひとつの市であること陸で接する自治体はなく、新潟市・上越市と海上で隣接。市域855.68km²は県内20市で5番目の広さ「離島だから大変」で止めず、行政の単位と生活圏が一致しているという強みにも触れると、見え方の違いを示せます
なぜ県庁ではなく市役所か佐渡市は戸籍や福祉から観光振興、消防までを一つの市で担っている県が広域を扱うのに対し、佐渡市は島の暮らしを丸ごと引き受ける立場だという整理を、自分が関わりたい分野の話につなげます
世界文化遺産の登録令和6年7月27日に「佐渡島(さど)の金山」が世界文化遺産に登録。構成資産は西三川砂金山と相川鶴子金銀山登録を喜ばしい出来事として語るだけでなく、保存の責任と来訪者の受け入れ体制という二つの宿題に触れます
世界農業遺産とトキ「トキと共生する佐渡の里山」は平成23年6月に世界農業遺産に認定。トキは平成26年に目標の60羽定着を達成した環境保全と農業経営が同じ取組の中にあることを押さえ、どちらか一方だけの話にしないよう気をつけます
高齢化の水準65歳以上43.5%、75歳以上26.4%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、いずれも県内20市で最も高い数字を挙げたうえで、島の中で医療や買い物をどう成り立たせるかという具体の話に落とすと、地に足のついた答えになります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、ここまで読み解いてきた「佐渡市で評価されやすい資質」に照らして、これまで実際にどう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
知らない分野に自分で当たる力前提知識のない課題に、どこから手をつけたか佐渡市の採用は職種ごとに若干名で、担当の幅は広くなります。調べ方や相談の仕方まで説明できる経験を用意しておきましょう
限られた条件で工夫する力資源や時間が足りない状況で、何を優先し何を諦めたか島では物も人も本土のようには揃いません。手持ちの条件で成立させた経験が、この市では特に伝わります
長く関わり続ける姿勢すぐに結果が出ないことに、どれだけ付き合ってきたか世界遺産の保存もトキの野生復帰も、数十年単位の取組です。腰を据えて続けた経験を一つ選んでおくと、志望との接続が自然になります

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

佐渡市の場合、志望の中身を伝える場が第2次試験に集中しています。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、その場で出せる状態にしておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、前期と後期のどちらで、どの職種を受けるかを決める。併願ができないため、この判断が最初の分岐点になる
  2. SCOAの受験会場と日時を早めに押さえる。佐渡市内の会場を希望する場合は、試験日が限られ先着順であることを踏まえて動く
  3. 基礎能力検査の出題範囲(文章読解、数的、論理的思考、人文・社会、自然、基礎英語)に一通り触れ、苦手な領域を先に潰す
  4. 学業・課外活動・アルバイトや仕事を振り返り、語れるエピソードを分野ごとに1つずつ確保する。第2次試験の作文対策も兼ねて書き出す
  5. 本記事の第1部から佐渡市の事実を2つか3つ選び、資料を閉じた状態で口に出せるか試す
  6. 面接では事前提出の書類に頼れないことを前提に、志望動機を声に出して練習する。掘られたときの答えも書き足しておく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、佐渡市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

佐渡市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

佐渡市役所の想定問答集を見る

さいごに

佐渡市は、筆記の入口を全国のテストセンターへ開く一方で、面接は島の庁舎で行います。

制度としては受けやすくなりましたが、最後に問われるのは「島で働き続ける人かどうか」です。世界文化遺産の登録も、世界農業遺産の里山も、数十年先を見て守り育てるものです。

その時間の長さに自分の言葉で応えられるよう、第2次試験までに材料をそろえておきましょう。