本記事では、山形県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、山形県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢運営の指針と重点推進項目面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

山形県警察の面接試験では、「なぜ山形県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。山形県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、山形県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と山形県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

山形県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは山形県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 山形市に県警本部を置き、山形県全域を管轄する。管轄人口は約99万人で、県内には13市19町3村の35市町村がある。
  • 県土の面積は9,323.15平方キロメートルと全国第9位の広さで、東西約97キロメートル・南北約164キロメートルに及ぶ。県内は村山・最上・置賜・庄内の4つの地域に分かれ、蔵王や月山などの山々と盆地・平野が地域を隔てているため、同じ県内でも移動に時間がかかる。
  • 組織は、警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部といった本部各部のほか、県内各地の警察署と警察学校で構成されている。
  • 刑法犯認知件数は令和7年で3,191件と全国的にも少ない水準にあるが、前年から4.6%増と増加に転じており、「治安は年々良くなっている」と言い切れる局面ではない。
  • 一方で刑法犯の検挙率は74.3%(令和7年)と高く、認知された事件のおよそ4件に3件が検挙されている計算になる。起きた事件を確実に解決する捜査力が、県内の治安を支えている。
  • 令和7年国勢調査の速報では県人口は993,127人で、令和2年から74,900人(7.0%)の減少。しかも県内の全市町村が人口減少となっており、地域の担い手が細るなかで住民の安全をどう守るかが、活動の前提になっている。
  • 令和6年7月には記録的な大雨が庄内地域と最上地域を襲い、人的被害と浸水が発生した。地震についても山形盆地断層帯をはじめ4つの断層帯が想定されている。大雨と地震のどちらにも備える災害警備は、県警察の重要な役割である。
  • 令和8年の運営の指針では「県民の期待と信頼に応える力強い警察」を掲げ、犯罪の予防・重要犯罪の検挙・交通事故の防止・警備諸対策の4分野を重点推進項目としている。

山形県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「山形県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄する県土と人口、県内の地域構成、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
管轄区域山形県全域(13市19町3村の35市町村)
管轄人口約99万人(令和7年国勢調査速報で993,127人)
管轄面積9,323.15平方キロメートル(全国第9位)
県内の地域区分村山501,859人・庄内242,296人・置賜185,769人・最上63,203人の4地域(令和7年国勢調査速報)
県警本部の所在地山形市
本部の組織警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部(ほかに警察署・警察学校)
刑法犯認知件数3,191件(令和7年・前年比4.6%増)
刑法犯検挙率74.3%(令和7年)

管轄人口と地域別人口は令和7年国勢調査人口速報集計(令和7年10月1日現在)、面積と市町村数は山形県の公表資料、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計(確定値)にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の数や職員数は本記事では扱っていないため、必要な場合は山形県警察の最新の公表資料でご確認ください。(出典:国勢調査人口速報集計|令和7年

数字から考えられる治安課題

山形県は、全国的に見れば刑法犯の件数が少ない県です。ただ、少ないから安心という話にはなりません。

令和7年の認知件数3,191件は前年から4.6%増え、長く続いた減少の流れが変わりつつあります。令和2年からの5年間で県人口は7.0%減り、35市町村のすべてで人口が減りました。

「事件は少ないが、守る側の人手も地域の目も減っていく」という組み合わせのなかで、限られた人員をどこに厚く配置するかという判断が、これまで以上に重みを持つようになっています。数字は単体で覚えるのではなく、この組み合わせで理解しておきましょう。

たとえば面接では、山形県の治安の現状について、次のように数字と課題を結び付けて説明できます。

「山形県は全国で見ても犯罪の件数が少ない県だと聞いていましたけれども、去年の刑法犯は3千件を超えて、前の年より増えたそうです。一方で検挙率は7割を上回っていて、起きた事件を確実に解決する力の強い県だとも感じました。人口が減り続けるなかで、この解決する力を保ちながら、そもそも事件を起こさせない取組を地域に広げていくことが、これからの山形では大切になるのではと思っています」

山形県の治安情勢

刑法犯認知件数と検挙の状況

山形県内の刑法犯認知件数は、令和7年の確定値で3,191件、前年比4.6%の増加となりました。

全国的には少ない部類に入りますが、件数が増える側に振れている点は押さえておきたいところです。あわせて刑法犯全体の検挙率は74.3%と、高い水準が保たれています。

面接で治安を語るときは、この検挙率の高さを起点にすると話を組み立てやすくなります。高い検挙率が示しているのは、被害の届出を受けてから犯人にたどり着くまでの一連の捜査が機能しているということです。

その水準を人口減少のなかでも維持しつつ、被害そのものを生まない働きかけを地域にどう広げるかが、これからの山形県警察の仕事になります

主な罪種の内訳

総数の3,191件は、県全体をひとまとめにした数字です。同じ年を5つの罪種に分けると、山形で多く起きている犯罪と、めったに起きない犯罪の落差が見えてきます。

主な罪種(令和7年・認知件数)件数
殺人2件
強盗4件
侵入盗241件
自動車盗10件
ひったくり1件

ここに挙げた罪種のなかで目を引くのは侵入盗の241件です。殺人や強盗といった重要犯罪はごくわずかで、路上でのひったくりも年間1件にとどまる一方、住宅や事業所に入り込む盗みは三桁の件数で発生し続けています。

都市部で問題になる街頭犯罪よりも、住まいと暮らしの場をねらう犯罪をどう防ぐかが、山形では身近な論点になるということです。鍵かけの呼びかけや地域住民との情報共有といった地道な活動が、そのまま治安に直結します。

特殊詐欺と匿名・流動型犯罪グループ

山形県警察が広報に力を入れている分野のひとつが特殊詐欺対策です。県警察は「STOP!特殊詐欺」のページ群で手口や被害の統計を発信し、金融機関と連携した水際での被害防止に取り組んでいます。(出典:STOP!特殊詐欺|山形県警察

とくに近年重視されているのが、海外から国際電話番号でかかってくる詐欺の電話です。県警察は「みんなでとめよう!!国際電話詐欺#みんとめ」と名付けた国際電話着信ブロックの推進運動を展開し、そもそも電話をつながらせないという入口の対策を県民に呼びかけています。

志望動機で詐欺対策に触れるなら、こうした運動の名前まで挙げられると、県警察の取組をどこまで追ったかが答えに表れます(出典:国際電話詐欺防止運動「#みんとめ」|山形県警察

背景にあるのが、令和8年の運営の指針が名指しした匿名・流動型犯罪グループです。SNSなどで実行役を集めて犯行を繰り返す形態のため、末端を検挙しても被害が止まりにくく、実態の解明と取締り、資金源を断つ取組、そして加担者を出さないための働きかけまでが一続きの課題になっています。

高齢化の進行と交通事故の防止

交通事故の防止は、令和8年の運営の指針でも4つの重点推進項目のひとつに置かれています。取組内容のなかで目を引くのは、指導取締りや事故事件の捜査に加えて高齢運転者の特性に応じたきめ細かな安全対策が独立して掲げられている点です。

高齢運転者を名指しした対策が置かれている背景には、山形県の人口構成の見通しがあります。県の分析では、およそ10年後の2035年に県人口は88.6万人まで減り、65歳以上が県民の38.8%を占めると推計されています。

運転する人にも歩く人にも高齢層が増えていくため、取締りだけで事故を減らしきることはできません。免許をめぐる相談から、集落を結ぶ道路での歩行者の安全確保まで、地域の実情に合わせた働きかけが求められます。(出典:将来推計人口の分析|令和6年

県内の交通事故の発生件数や死者数は毎年公表され、数値も年ごとに動きます。面接で交通安全に触れる場合は、山形県警察が公表する最新の交通事故統計をあわせて確認しておきましょう。

山形県の主な治安課題

ここまでの数字を踏まえると、山形県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「山形県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

少ない件数のなかで起きている増加と体感治安

令和7年の刑法犯3,191件という水準は、全国的に見れば小さな数字です。しかし住民一人ひとりにとって重要なのは県全体の件数ではなく、自分の住む地区で何が起きているかです。

近所で空き巣の被害が出たという話は、統計上の増減よりもはるかに強く住民の不安をかき立てます

件数が少ない県では、一件の事件が住民の体感治安に与える影響がかえって大きくなるという点は、面接で語る価値のある視点です。だからこそ、増加に転じた今の局面で、検挙と街頭での見せる警戒の両方をどう保つかが問われています。

特殊詐欺と匿名・流動型犯罪グループへの対応

令和8年の運営の指針は、犯罪の予防の項目でも検挙の項目でも匿名・流動型犯罪グループを挙げています。両方に登場するということは、被害を防ぐ側と犯人を捕まえる側の双方から挟み撃ちにしなければ止まらない相手だという認識の表れです。

国際電話の着信をブロックして入口をふさぐ運動、金融機関と連携した水際での声かけ、被害に遭いやすい高齢者への働きかけを同時に進める必要があります。地域に人手が少ない分、警察だけで抱えるのではなく、自治体や金融機関、離れて暮らす家族まで巻き込んだ多重の防波堤をどう作るかが課題です

サイバー空間の脅威

運営の指針は「サイバー空間における脅威への対処」を犯罪予防の柱のひとつに掲げています。詐欺の入口も、若者が実行役として勧誘される場も、いまはインターネットやSNSに移りました。

相手が県外や海外にいても被害が生じるのは県内の家庭や事業所ですから、人口の少ない県だから縁が薄いという話にはならず、現場の警察官にも基本的なデジタルの知識が求められます

山形県警察にはサイバー捜査官の採用区分が置かれており、この分野に組織として力を入れていることがうかがえます。情報系の学習や職務の経験がある人は、志望動機と接続しやすいテーマです。

高齢化の進行と暮らしの安全

2035年に65歳以上が38.8%という見通しは、交通安全だけの問題ではありません。詐欺で狙われるのも、災害時に逃げ遅れるおそれが高いのも、多くは高齢の方です。

防犯でも交通でも災害対応でも、守る相手の中心には高齢層が置かれることになります。この一点を押さえておくと、分野の違う質問にも一本の筋を通して答えられます。

加えて、県人口ビジョンが示すとおり、県内の高校卒業生の約53%が県外へ転出しており、地域で見守りを担う世代そのものが薄くなっている点も見落とせません

広い県土と災害への備え

令和6年7月25日からの大雨では、酒田市や遊佐町などに大雨特別警報が発表され、庄内地域と最上地域が大きな打撃を受けました。県のまとめでは死者3人・軽傷4人が出たほか、住家の全半壊や浸水も多数にのぼっています。(出典:令和6年7月の大雨による被害状況|令和6年

地震の想定も具体的です。山形盆地断層帯は、県庁所在地の山形市を含む内陸部を大石田町から上山市まで縦断する全長約60キロメートルの断層帯で、北部・南部のいずれでもマグニチュード7.3程度の地震が想定されています。

県はこれに新庄盆地断層帯・長井盆地西縁断層帯・庄内平野東縁断層帯を加えた4つの断層帯について、想定震度を示す地震ハザードマップを公表しています。

9,323平方キロメートルの県土に人員を分散して配置しながら、いざ災害が起きれば被災地へ人と資機材を集中させなければなりません。この切り替えを支えるのが、指針が掲げる災害等緊急事態に備えた各種対策です。(出典:地震ハザードマップ|山形県

重点方針|令和8年山形県警察運営の指針

山形県警察は、毎年の警察活動の方向性を示すものとして『令和8年山形県警察運営の指針』を公表しています。掲げられたスローガンは「県民の期待と信頼に応える力強い警察」で、これに「県民の安全安心の確保」「複雑化する社会への的確な対応」という2行が添えられています。(出典:山形県警察運営の指針|令和8年

指針が示す方向性

この3行から読み取れることは2つあります。ひとつは、「期待」と「信頼」を並べている点です。期待に応えるのは事件や事故に対処する実力の話ですが、信頼に応えるのは日々の言葉づかいや届出への向き合い方まで含む話で、両方がそろって初めて成り立ちます。

もうひとつは「複雑化する社会への的確な対応」という言葉で、詐欺の手口やサイバー空間の脅威のように、去年の知識のままでは追いつけない領域が広がっている現実を指しています。

求められているのは、変化の速さに合わせて学び直し続けられる警察官だと読み替えると、面接で「どんな警察官になりたいか」を語るときの土台になります。

4つの重点推進項目

指針は、重点推進項目として次の4項目を掲げ、それぞれに取組内容を置いています。項目名は公式のもので、内容は受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕いて整理しました。

重点推進項目(公式の項目名)受験生向けの解説
① 犯罪を予防するための取組の強化ストーカーやDVのように生命・身体への危害が心配される人身安全関連事案に組織で対処する。匿名・流動型犯罪グループが仕掛ける特殊詐欺や強盗から県民を守る。サイバー空間で生じる脅威に対処し、社会の変化に合わせて防犯活動を組み直す
② 重要・悪質な犯罪の検挙殺人や強盗といった重要犯罪を確実に検挙する。犯罪組織には戦略を立てて対策する。移り変わる犯罪に対応できるよう捜査の基盤を厚くする
③ 交通事故の防止事故の分析と交通実態の把握をもとに総合的な防止策を組み立てる。指導取締りと事故事件の捜査を進める。高齢の運転者の特性をふまえた安全対策を講じ、歩行者や自転車の利用者に向けた対策も行う
④ 情勢に即した警備諸対策社会情勢の変化に即した各種の対策を講じる。災害などの緊急事態に備える。警衛と警護に万全を期す

4項目の並びは、そのまま警察という組織の仕事の全体像です。面接で自分のやりたい仕事を話すとき、それが4つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

各項目の下に置かれた取組内容は、県警察の公式ページで確認できます。

POINT|4項目を暗記することが目的ではない

項目名を覚えることが組織研究のゴールではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①山形で何が起きているか(数字) → ②県警察はどう対処しようとしているか(重点推進項目) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順に整理しましょう。

悪い例「困っている人の力になれる警察官になりたいです」

改善例「まずは交番の警察官として、地域の方の顔と名前を覚えるところから始めたいです。山形は刑法犯が3千件ほどと少ない県ですけれども、去年は前の年より増えていますし、空き巣のような住まいをねらう盗みが200件を超えていると知りました。ですので、鍵かけの声かけや見回りを重ねて、事件そのものを減らす側で力になりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 自分が受ける系統の受験案内(試験種目・配点・受験資格・申込方法)
  • 山形県警察の採用案内ページ(仕事の紹介と職員のメッセージ)
  • 令和8年山形県警察運営の指針(重点推進項目と取組内容)
  • 県警察の犯罪統計・特殊詐欺の統計データのページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、山形県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。山形県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

山形県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

山形県警察の面接の概要

ここからは、山形県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

山形県警察の面接の流れ

山形県警察の警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。

人物についての面接は、第2次試験の「人物試験2」=口述による個別面接として実施されます。種目と配点の全体像は、次の表のとおりです。

項目内容(令和8年度・警察官採用試験〈先行実施枠〉)
試験の段階第1次試験 → 第2次試験の2段階
第1次試験教養試験(警察官AはSPI3で70題・70分、警察官BはSPI3-Hで95題程度・70分)。サイバー捜査官はこれに専門試験が加わる
作文試験60分・1,000字。第2次試験の種目だが第1次試験日に実施され、第1次試験の合格者のみ評定される
第2次試験人物試験1(適性検査)・身体測定・身体検査・体力検査・人物試験2(口述による個別面接)
面接の種類人物試験2=口述による個別面接。集団面接・集団討論は受験案内に記載がない
配点(警察官A・B)教養試験200点・作文試験100点・体力検査100点・人物試験2(個別面接)400点の満点800点(資格加点8点又は20点により最高820点)
配点(サイバー捜査官)教養試験100点・専門試験100点・作文試験100点・体力検査100点・人物試験2(個別面接)400点の満点800点
合否の決め方全試験種目の結果を総合した成績で決定。ただし各種目に合格基準があり、1つでも基準に達しない種目があれば不合格
申込方法インターネットによる電子申請(やまがたe申請)

この表で注目してほしい点は2つあります。1つ目は配点の置き方です。個別面接の400点は満点800点のちょうど半分を占め、教養試験200点と作文試験100点を足しても届きません。

筆記の得点だけで合否が決まる試験ではない、ということです。

2つ目は合格基準です。合格者は全種目を総合した成績で決まりますが、1種目でも基準に届かなければ、総合得点が高くても不合格になります。

面接だけ、あるいは体力検査だけを捨てるという戦い方は成立しません。

あわせて、作文試験が第1次試験日に実施される点も準備計画に効いてきます。作文は60分で1,000字を書く種目で、第1次試験に合格しなければ評定されません。

第1次の結果を見てから面接と作文の準備を始めるのでは、間に合わないと考えてください

上記の試験構成は、山形県警察の令和8年度・警察官採用試験〈先行実施枠〉の受験案内にもとづく内容です。山形県警察の採用にはこの先行実施枠のほかに教養試験による系統があり、相互に併願できません。ご自身が受ける系統の種目・配点は、必ずその系統の受験案内でご確認ください。面接用の提出書類の有無についても、最新の受験案内でご確認ください。(出典:警察官採用試験受験案内〈先行実施枠〉|令和8年度

山形県警察が求める人材

山形県警察は、箇条書きで定式化した「求める警察官像」を採用案内や受験案内では公表していません。手がかりになるのは、令和8年の運営の指針が掲げる「県民の期待と信頼に応える力強い警察」という言葉と、それに添えられた2行です。

「県民の安全安心の確保」と「複雑化する社会への的確な対応」という組織の姿勢を、一人の警察官の行動に置き換えて考えてみましょう。(参考:警察官採用案内|山形県警察

ここで求められているのは、特別な経歴や派手な実績ではありません。自己PRでは、任された役割を投げ出さずに続けた経験や、前提が変わったときにやり方を組み立て直した経験など、信頼を積み重ねる行動と変化に対応する柔軟さに重なる自分の行動を、具体的な場面で示すことが軸になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。山形県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク昨夜はよく眠れましたか?何気ないやり取りに、素の受け答えと表情の自然さが表れます
② 動機・志望数ある仕事のなかで、なぜ警察官を選んだのですか?他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性
③ 自己理解あなたの強みは、警察の仕事のどんな場面で活きますか?自分の性格や強みを、警察の具体的な仕事と結びつけて説明できているか
④ 経験・行動これまでで一番粘り強く続けたことは何ですか?やり遂げた規模ではなく、途中で何につまずき、それにどう手を打ったかという事実
⑤ 学業・経歴その学校や学科を選んだ理由を教えてください自分の選択の理由を、借り物でない言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来交替制の勤務や規律のある集団生活に不安はありませんか?働き方への理解と、体力・生活面の備えの度合い
⑦ 公共性・社会性警察官に最も必要な資質は何だと思いますか?職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識

ただし、この7カテゴリーは山形県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。多くの受験者が対策してくる領域なので、ここで大きな差はつきません。

なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在すると知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。

合否を分けるのは山形の実情を踏まえた質問

「警察官を目指すなら他の県警という選択肢もあったはずですが、なぜ山形県警察なのですか?」
「いま山形県警察が力を入れるべきことは何だと思いますか?」

どちらも、山形県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「山形県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい山形県警察の事実答え方のヒント
治安の現状刑法犯認知件数は令和7年で3,191件(前年比4.6%増)、検挙率は74.3%。殺人2件・強盗4件と重要犯罪はごく少ない一方、侵入盗は241件「少ないが増えている」という向きの変化と、重要犯罪はごくわずかな一方で住まいをねらう盗みが目立つという中身の両方に触れると、統計を自分で読んだ跡が残る
志望動機・やりたい仕事令和8年の運営の指針は「県民の期待と信頼に応える力強い警察」。犯罪の予防・重要犯罪の検挙・交通事故の防止・警備諸対策の4項目を重点推進項目に掲げる志望する分野が4項目のどれに当たるかを言い添え、その項目の取組内容の言葉をひとつ借りて自分の関心を説明する
特殊詐欺への対策県警察は「STOP!特殊詐欺」で手口と統計を発信し、国際電話の着信ブロックを呼びかける「#みんとめ」の運動を展開。指針は匿名・流動型犯罪グループを名指ししている運動の名前まで挙げたうえで、電話をつながらせない入口の対策と、金融機関や家族を巻き込む多重の備えという二層で語る
人口減少と高齢化令和7年国勢調査速報の県人口は993,127人で令和2年比7.0%減、35市町村すべてが減少。2035年には65歳以上が38.8%になる見通し守られる人も見守る人も減るという前提を置いたうえで、高齢の方の交通安全や詐欺被害の防止に自分がどう関わりたいかへつなげる
災害への備え令和6年7月の大雨は庄内地域と最上地域に大きな被害をもたらし、死者3人。地震は山形盆地断層帯など4つの断層帯が想定され、県はハザードマップを公表大雨と地震の両方に備える県だと押さえ、発災時に人と資機材を被災地へ集中させる災害警備の役割へ関心を寄せる

使い方のコツは、5つを丸ごと覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、指針が掲げる「期待と信頼に応える」という組織の価値観に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
信頼を積み重ねる誠実さ決まりや約束を守り続けたか。都合の悪い事実も自分から伝えられるか「県民の信頼に応える」を掲げる組織である以上、目立たない約束を守り通した出来事を、周囲の反応まで含めて話せるようにしておく
複雑化する状況への対応力前提が変わったとき、やり方をどう組み立て直したか詐欺の手口が毎年変わる県で働く前提に立ち、予定どおり進まなかった場面で自分が何を変えたのかを具体的に言葉にする
地域の人と関わる力年齢や立場の違う相手と、自分から関わりを作れるか2035年に県民の4割近くが65歳以上になる山形では、高齢の方や地域の行事に関わった経験が生きる。そのときの会話まで思い出しておく

評価の観点の3項目は、令和8年山形県警察運営の指針の趣旨をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける系統の受験案内を読み、試験種目・配点・申込方法を確認する。個別面接に400点が置かれ、各種目に合格基準があることを、準備の前提として頭に入れる
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉に置き換えておく
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、第2次試験の体力検査と身体測定に備えて日々のトレーニングと生活リズムづくりを進め、60分で1,000字を書く作文の練習も早めに始めておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。満点の半分が個別面接に置かれた試験だからこそ、自分を語る材料の準備が最優先です。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、山形県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

山形県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。個別面接に400点が置かれた試験では準備の密度がそのまま得点差になるため、本番までの時間が限られている方は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。

山形県警察の想定問答集を見る

さいごに

山形県警察の採用試験は、満点800点のうち400点が個別面接に置かれ、教養試験と作文試験を合わせた300点を上回ります。しかも各種目に合格基準があるため、どれか一つでも届かなければ総合得点では取り返せません。

面接と体力検査、そして60分で1,000字の作文まで、どれも捨てられない試験です

山形は令和7年の刑法犯が3,191件と全国的に少なく、検挙率は74.3%と高い県です。ただ、令和2年からの5年間で人口が7.0%減り、35市町村のすべてで減少が続くなかでも、その水準を保ち続けなければならないという難しさを抱えています。

だからこそ、「山形の何を、誰のために守りたいのか」を自分の言葉で言い切れるかどうかが、面接での差になります。この記事で整理した事実を、あなた自身の経験と結び直す作業から始めてみてください。