本記事では、鶴岡市職員採用試験の面接対策で必要な、鶴岡市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
鶴岡市役所の面接試験では、「なぜ鶴岡市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度の上級行政区分は、第2次試験がプレゼンテーション面接試験、第3次試験が個人面接試験という構成で、人物を確かめる場が2回置かれています。
話す準備を早い時期から始めておきたい試験です。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と鶴岡市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
鶴岡市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは鶴岡市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 山形県の庄内地域にある市で、面積1,311.51km²は県内13市のなかで最も広い。県土9,323.15km²のおよそ14%を、一つの市が占めている。
- 人口は114,745人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。県内13市では、県庁所在地の山形市に次ぐ2番目の規模である。
- 人口密度は87.5人/km²で、県内13市のなかでは12番目。山形県全体の平均およそ107人/km²を下回っている。
- 隣り合うのは酒田市、東田川郡庄内町、三川町、西村山郡西川町の県内4市町と、県境を越えた新潟県村上市の計5自治体。
- 市役所は馬場町にあり、採用試験の第2次試験の対面会場と第3次試験の会場も、この本庁舎に置かれる。市の花はさくら、市の木はブナである。
- 令和8年度の上級行政区分は、第1次がテストセンター方式の総合適性検査、第2次がプレゼンテーション面接試験、第3次が個人面接試験という三段階で実施される。
- 受験案内が示す上級行政の試験種目に、教養試験・専門試験・論文(作文)試験は含まれていない。人物を評価する場は2回の面接に集約されている。
- 上級行政の採用予定者数は10名程度。上級土木・上級建築・上級電気・保健師などの各区分はいずれも若干名(おおむね1〜2名程度)である。
- 令和6年7月の大雨では、最上・庄内地域を中心に被害が生じた。山形県が想定震源として挙げる4つの断層帯にも庄内平野東縁断層帯が含まれており、防災はこの市の自治体研究で外せない論点になる。
鶴岡市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「鶴岡市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、隣り合う自治体など、鶴岡市の位置づけを説明できる項目を整理しました。鶴岡市単独の経済統計は公表資料の範囲が限られるため、比較の物差しとして山形県全体の数値もあわせて示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 114,745人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 1,311.51km²(県内13市で最も広い。山形県のおよそ14.1%) |
| 人口密度 | 87.5人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 山形県鶴岡市馬場町9番25号 |
| 隣接自治体 | 酒田市、東田川郡庄内町、三川町、西村山郡西川町、新潟県村上市(5自治体) |
| 市の花・市の木 | さくら/ブナ |
| (参考)山形県の総人口 | 993,127人(令和7年国勢調査人口速報集計) |
| (参考)庄内地域の人口 | 242,296人(同上。県内4地域のうちの一つ) |
| (参考)山形県の総面積 | 9,323.15km²(全国第9位) |
鶴岡市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値で、鶴岡市公式の人口統計とは未照合です。受験申込や提出書類で数値を使う場面では、市公式サイトの最新値に当たり直してください。山形県の総人口と庄内地域の人口は令和7年国勢調査人口速報集計(令和7年10月1日現在)、総面積と全国順位は山形県公式サイトによる値です。県の平均人口密度、県土に占める面積の比率、県内13市での順位は、これらの公表値をもとに当研究会が算出しました。市と県で数値の時点がそろっていないため、おおよその水準感として扱ってください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
県内13市のなかで順位を取ると、鶴岡市は人口が2番目、面積が1番目、人口密度が12番目に来ます。人口では上位、面積では県内最大、密度では下から2番目という組み合わせです。
山形県全体の993,127人と9,323.15km²から計算すると県平均はおよそ107人/km²ですから、鶴岡市はその8割ほどの密度で市政が営まれていることになります。(出典:令和7年国勢調査人口速報集計|山形県/山形県について(県土と地域区分)|山形県)
この組み合わせは、市政の日常に直結します。人口だけを見れば県内2番目の市ですが、その人たちが1,311.51km²に分かれて暮らしています。
市役所へ来ること自体に時間がかかる市民の方が一定数いる、道路や施設を保つ距離が長い、災害のときに被害の全体像をつかむまでに手間がかかる。広さが時間とコストになって効いてくる市だと押さえておくと、地域を語るときの足場になります。
押さえておきたいもう一つの前提が、県全体の人口の動きです。山形県の人口は令和7年国勢調査人口速報集計で993,127人となり、令和2年の調査から74,900人、率にして7.0%減りました。
この調査では県内の全市町村が人口減少となっています。鶴岡市が属する庄内地域の人口は242,296人ですから、時点の違いはありますが、庄内で暮らす人のおよそ4割半が鶴岡市民という計算になります。
人口と面積、逆を向く二つの数字は、面接で次のように使えます。
鶴岡市の経済・産業
山形県の経済規模と、そのなかの鶴岡市
市町村単位の経済統計は、公表されている範囲が限られます。ここでは山形県全体の産業の姿を先に置き、そのなかで鶴岡市の仕事を考える材料にします。
| 項目 | 山形県の数値 |
|---|---|
| 県内総生産 | 4兆3,367億円(令和元年度) |
| 産業別構成比が最も高い産業 | 製造業25.6%(令和元年度) |
| 製造品出荷額等の業種別内訳 | 電子部品・デバイスが最多。情報通信、食料品、化学がこれに続く(令和元年) |
| 産業別就業人口構成比 | 第1次産業8.8%・第2次産業28.7%・第3次産業62.6%(令和2年国勢調査) |
| 主要観光地の観光者数 | 4,128万9千人(令和6年度。対令和5年度6.8%増、対令和元年度8.9%減) |
つまり、「産業別では製造業が最も大きい一方、就業者のおよそ11人に1人が第1次産業で働いている」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。製造業の中身も、電子部品・デバイスが最多で情報通信や食料品が続くという並びです。
ものづくりと農林水産業が並び立っている県だと理解しておきましょう。(出典:山形県の産業の現状|令和元年度)
ただし、ここまでの数値はすべて県単位のものです。面接で扱うなら、県の産業構造を背景に置いたうえで、鶴岡市の窓口や現場で何が起きるかへ話を進めてください。
広い市域と、庄内という土地の性格
山形県の県土は、南から置賜・村山・最上・庄内の4つの地域に区分されます。鶴岡市はこのうち日本海側の庄内地域にあり、市域は1,311.51km²と県内13市で最も広い一方、人口密度は87.5人/km²にとどまります。
市の木にブナが選ばれていることからも分かるとおり、市街地の外側に広がる山林や田園を含んだ市域です。
県は自らの県土を、蔵王・月山・鳥海・吾妻・飯豊・朝日といった日本百名山に数えられる山々に囲まれ、米沢・山形・新庄の各盆地と庄内平野を最上川が流れる土地だと説明しています。そのうち庄内平野の側にあるのが鶴岡市です。
産業を語るときも防災を語るときも、この地形の幅がそのまま論点の幅になります。
交通と観光をどう読むか
庄内地域は羽越本線が南北に貫き、陸羽西線が庄内と内陸を結んでいます。空の便は、平成3年10月に開港した庄内空港が酒田市にあります。
県は昭和48年策定の基本計画に位置づけられた奥羽新幹線・羽越新幹線の整備実現をめざし、オール山形の組織を立ち上げています。庄内と内陸、そして県外を結ぶ交通は、この地域では現在進行形の話題です。
観光は、令和6年度の県内主要観光地の観光者数が4,128万9千人で、対令和5年度6.8%増となりました。訪日外国人の受入延人数が2年連続で過去最高となったことが、増加の要因の一つです。
ただし対令和元年度では8.9%減で、コロナ禍前の水準には戻りきっていません。観光を語るなら、にぎわいが戻ったという話で止めず、どこがまだ戻っていないのかまで見ておきましょう。
(出典:主要観光地の観光者数|令和6年度)
鶴岡市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、鶴岡市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と、その先にある高齢化
山形県の人口は、令和7年国勢調査人口速報集計で993,127人。令和2年から74,900人、率にして7.0%減りました。
県の推計では、2050年の県人口は71.1万人となり、2020年の106.8万人と比べて33.4%減る見通しです。10年後の2035年でも88.6万人まで下がり、65歳以上の割合は38.8%に達すると見込まれています。
支える側と支えられる側の比率が変われば、行政の仕事量と、それを担う職員や財源の見通しは反対の方向へ動きます。鶴岡市で取り組みたいことを語るときは、事業を増やす話だけでなく、いま動いているものをどう続けるかという視点も一緒に持っておきたいところです。
県外へ出ていく若い世代をどう迎え直すか
山形県人口ビジョンは、県内の高校卒業生のうち、大学等進学者の約69%、就職者の約22%が県外へ進み、卒業生全体では約53%が県外へ転出していることを課題として示しています。2人に1人が県外へ出ていく計算です。
(出典:山形県人口ビジョン)
この数字は、鶴岡市役所を受ける方にとって他人事ではありません。受験する側の多くが、県外で働くという道を現実に持っているからです。
進学や就職で県外へ出る選択肢があるなかで、鶴岡市役所という職場を選んだ理由は、面接で正面から確かめられます。市外や県外の出身なら「なぜ鶴岡なのか」、地元出身なら「なぜここで働くのか」という形で問われます。
どちらの立場でも、自分の経験に接続した答えが必要です。
直近の大雨が示した、庄内の水害リスク
令和6年7月25日からの大雨では、酒田市・遊佐町等に大雨特別警報が発表され、最上・庄内地域を中心に被害が生じました。県のまとめによる人的被害は死者3人(新庄市2人・酒田市1人)、軽傷4人で、住家の全半壊・浸水も多数発生しています。
鶴岡市が属する庄内地域は、直近の災害で実際に大きな影響を受けた地域だということです。(出典:令和6年7月25日からの大雨による被害状況|山形県)
面接で防災に触れるときは、被害の数字を並べるだけで終わらせないことです。1,311.51km²の市域では、どこでどれだけ浸水しているかを把握するだけでも時間がかかります。
情報が集まりきる前に判断しなければならない場面が出てくる、という前提から市職員の役割を考えると、話が現場に近づきます。
庄内平野東縁断層帯という、もう一つの想定
山形県は想定震源として、山形盆地断層帯・新庄盆地断層帯・長井盆地西縁断層帯・庄内平野東縁断層帯の4つの断層帯を挙げ、想定震度を示す地震ハザードマップを公表しています。このうち庄内平野東縁断層帯は、鶴岡市が属する庄内地域にかかる断層帯です。
歴史をさかのぼると、1833年には庄内沖でマグニチュード7½の地震が発生し、津波や揺れ、地盤の液状化によって県西部を中心に大きな被害が生じたことが記録されています。水害と地震、そして津波。
庄内という土地は、この三つを同時に視野に入れておく必要があります。防災を志望動機に据えるなら、どれか一つの災害だけを語るのではなく、複数の災害が重なりうる土地であることを踏まえた話にしましょう。
県の厳しい財政という前提
鶴岡市単独の財政指標は公表資料からは確認できませんので、ここでは県内のどの市にも同じように効いてくる土台として、山形県の指標を並べておきます。市そのものの数字は、市が公表している財政状況の資料で確かめてください。
山形県の財政力指数は0.35801(令和5年度)。実質公債費比率は12.8%、将来負担比率は218.3%、経常収支比率は92.4%です。
県の令和7年度一般会計当初予算は約6,754億円で、前年度当初から3.9%増えました。
面接で財政指標を暗記して披露する必要はありません。ただ、この土台を知っているかどうかで、やりたいことの語り方は変わります。
新しい取組を提案する形で志望を語るなら、その財源をどうするのか、あるいは何を見直すのかという問いが続くと考えておきましょう。県内で最も広い市域を保ち続けること自体にも、当然お金がかかっています。
鶴岡市の重点政策|受験案内が示す市職員の仕事と県の計画
鶴岡市の総合計画や重点施策の名称は、市の公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市が受験案内で公表している職務の姿と、鶴岡市が属する山形県の計画を組み合わせて、市政を理解する土台をつくります。
受験案内が示す「鶴岡市職員の仕事」
令和8年度の受験案内は、上級行政・上級行政(障害者対象)の勤務内容を、「各種施策の企画立案、各種証明の窓口業務、市税の賦課徴収、農林水産、商工業の振興など対外的な仕事から、条例案の作成、予算編成、職員管理などの内部的な仕事まで、幅広い市政の業務に従事します」と説明しています。(出典:令和8年度鶴岡市職員採用試験案内(上級行政等))
注目したいのは、「企画立案」と「各種証明の窓口業務」と「市税の賦課徴収」が、同じ一文のなかに並んでいるところです。政策をつくる仕事と、市民一人ひとりに向き合う仕事と、お金をいただく仕事が、同じ職種の説明に収まっています。
しかも上級行政の採用予定者数は10名程度です。少人数が幅広い分野を担うことが前提になっている、と読めます。
| 試験区分 | 採用予定者数と第3次試験の種目(令和8年度) |
|---|---|
| 上級行政 | 10名程度/第3次は個人面接試験 |
| 上級行政(障害者対象) | 若干名/第3次は個人面接試験 |
| 上級土木・上級建築・上級電気 | 各若干名/第3次は個人面接試験と専門試験(多肢選択式) |
| 保健師 | 若干名/第3次は個人面接試験 |
| UIJターン(社会人経験者)上級土木・上級建築・上級電気 | 各若干名/第3次は個人面接試験 |
若干名は、受験案内でおおむね1〜2名程度と説明されています。上記は令和8年度の上級行政等の受験案内による内容です。初級行政・保育士・技能職・消防などの区分は別の案内で公表され、日程も試験の構成も異なります。自分が受ける区分の案内を必ず確認してください。
県の計画から見る、鶴岡市の仕事の方向
山形県は令和7年3月に、第4次山形県総合発展計画の後期実施計画(令和7年度から11年度まで)を策定しました。この計画は、若年層を中心とした社会減と少子高齢化による自然減が続く人口減少を「最重要課題」と位置づけ、人口減少のスピードの緩和に粘り強く取り組むとしています。
施策推進の柱として掲げられているのは次の5つです。(出典:第4次山形県総合発展計画 後期実施計画|令和7年3月)
- 人材の育成・確保
- 農林水産業の振興・活性化
- 高付加価値な産業経済の振興
- 安全・安心で総活躍できる社会づくり
- 発展基盤となる県土の整備・活用
5つの柱は、県が向かう方向を示したものです。鶴岡市役所の仕事は、この方向を市民一人ひとりの相談や申請という単位で受け止めるところにあります。
県の計画を読む目的も、名称を覚えることではなく、自分が立つ窓口の向こう側にどんな流れがあるのかをつかむことだと考えてください。
POINT|計画名を言えなくても、面接の準備はできる
計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①鶴岡市の人口114,745人と面積1,311.51km²、県内13市での位置づけを知る → ②山形県の人口が5年で7.0%減ったという前提を重ねる → ③その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ④市の公式サイトや広報紙で、実際に動いている取組を確かめる、という順で準備しましょう。
悪い例「鶴岡市の地域振興に貢献したいです」
改善例「鶴岡市は県内で一番広い市だと知りました。人口は県内で2番目に多いのに人口密度は下のほうで、住んでいる場所によって市役所との距離がかなり違うのだと思います。まずは窓口で市民の方のお話を正確に受け止められるようになりたいですし、その上で、遠くにお住まいの方にも同じ説明が届く方法を先輩に教わりながら考えていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 鶴岡市職員採用試験の受験案内(自分が受ける区分・年度のもの。上級行政等と、初級行政・保育士・技能職などでは案内が別に公表されます)
- 鶴岡市公式サイトの職員採用ページ(「鶴岡市が求める人材」のページも置かれています)
- 第4次山形県総合発展計画の後期実施計画(令和7年度から11年度まで)
- 鶴岡市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、鶴岡市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。鶴岡市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
鶴岡市役所の面接の概要
ここからは、鶴岡市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
鶴岡市役所の試験の流れ(上級行政等)
令和8年度の受験案内は、上級行政等の試験を第1次・第2次・第3次の三段階と定めています。特徴が出ているのは試験種目の組み合わせで、上級行政の種目に教養試験・専門試験・論文(作文)試験は含まれず、人物を評価する場が2回置かれています。
第2次がプレゼンテーション面接試験、第3次が個人面接試験です。勉強の計画に、話す準備を最初から組み込んでおく必要がある構成だといえます。
| 項目 | 内容(令和8年度・上級行政等) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験・第3次試験の三段階 |
| 採用予定者数 | 上級行政10名程度。上級土木・上級建築・上級電気・保健師・上級行政(障害者対象)・UIJターン(社会人経験者)は各若干名(おおむね1〜2名程度) |
| 第1次試験 | 総合適性検査(基礎能力試験60分・パーソナリティ検査35分)。テストセンター方式・多肢選択で、試験時間は全区分共通です |
| 基礎能力試験の内容 | 文章読解能力、数的能力、推理判断能力、人文・社会、自然に関する一般知識等の分野について、基礎的な能力およびその応用力を問う試験 |
| パーソナリティ検査の内容 | 意欲、性格特徴、気質など、個人の持ち味を測定する適性検査 |
| テストセンター方式 | 市が設定する受験可能期間中に、都合の良い日時と会場を予約して受験します。会場は全国47都道府県に約300か所。他自治体や他企業で受験した結果は流用できません |
| 第2次試験 | 全区分共通で「プレゼンテーション面接試験」。人柄や論理的思考力、表現力等について、与えられたテーマに関するプレゼンテーションおよび質疑応答による試験です。詳細は第1次試験合格者に通知されます |
| 第2次試験の会場 | 鶴岡市役所ほか。鶴岡会場での対面面接と、東京会場等でのWeb面接が予定されています |
| 第2次試験の提出書類 | 住民票抄本、成績証明書(最終卒業(見込)学校)、自己申告書の3点 |
| 第3次試験 | 上級行政・上級行政(障害者対象)・保健師・UIJターン(社会人経験者)は「個人面接試験」、上級土木・上級建築・上級電気は「個人面接試験・専門試験」。受験案内は「第3次試験は、第2次試験受験者を対象に行います。」と記載しています |
| 第3次試験の会場 | 鶴岡市役所(鶴岡会場での対面面接を予定) |
| 集団形式 | 集団討論・集団面接・グループワークは、受験案内の試験種目に記載がありません |
| 配点 | 各試験種目の配点、および人物試験の比重は、受験案内に記載がありません |
| 申込 | 原則として電子申請(やまがたe申請)によるインターネット申込。申請者本人のメールアドレスと、顔写真データ(申込前6か月以内に脱帽・上半身正面向きで撮影、本人確認が可能でサイズ2M以下)が必要です |
| 受験資格 | 上級行政・上級土木・上級建築・上級電気は平成4年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた方(保健師には別の定めがあります) |
| 最終合格後 | 最終合格者は採用候補者名簿に登載され、これに基づいて採用者が決定されます。採用は原則として令和9年4月1日です |
| (参考)初任給 | 上級行政は234,900円(大学4卒)、保健師は221,800円(短大3卒)。いずれも令和8年4月1日現在 |
この表から読み取れることが三つあります。一つは、第1次がテストセンター方式で、他社で受けた結果は使えないこと。
二つ目は、第2次のプレゼンテーション面接では、与えられたテーマをその場で組み立てて話すことが求められること。三つ目は、第2次試験の受験にあたって自己申告書を提出することです。
面接カードという名称の書類は受験案内に見当たりませんが、この自己申告書がそれに相当する可能性があります。様式や記載項目は公表されていませんので、提出前に必ず案内を確認してください。
上記は鶴岡市の令和8年度職員採用試験案内(上級行政・上級行政(障害者対象)・上級土木・上級建築・上級電気・保健師・UIJターン(社会人経験者))にもとづく内容です。初級行政・保育士・技能職・上級行政(社会人経験者)・消防などの区分は別ページで案内され、日程も試験の構成も異なりますので、混同しないでください。各試験種目の配点および人物試験の比重は公表されていません。また、第2次試験で提出する自己申告書の様式・記載項目は公表されておらず、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。第3次試験の対象についても、受験案内は「第2次試験受験者を対象に行います。」と記載する一方で第2次試験の合格発表に関する記載もあり、案内文だけでは対象範囲を確定できませんでした。試験の構成・区分・日程等は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の受験する区分の情報をご確認ください。
鶴岡市役所が求める人物像
鶴岡市の公式サイトには職員採用の関連情報として「鶴岡市が求める人材」のページが置かれていますが、当研究会では公表文言そのものを確認できていません。受験前に必ずご自身で市の採用ページを開き、市の言葉を直接読んでください。
ここでは、受験案内から読み取れる事実をもとに、評価されやすい資質を整理します。手がかりは三つです。
第2次のプレゼンテーション面接が「人柄や論理的思考力、表現力等」を見る試験と明示されていること。上級行政の職務内容に、企画立案から窓口業務・賦課徴収・農林水産・商工業の振興・予算編成までが並んでいること。
そして採用予定者数が10名程度で、少人数が幅広い分野を担う体制であること。これらを重ねると、「与えられたテーマを筋道立てて伝える力」「相手に合わせて説明を届ける力」「配属が変わっても働ける幅」のあたりが評価の中心になると考えられます。
自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。鶴岡市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどのように会場までお越しになりましたか | 構えのない問いに、いつもの声で返せるか。表情と話す速さが、ここで一度確かめられます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください | 比べたうえでの選択になっているか。動機がこれまでの経験と地続きか |
| ③ 自己理解 | 周りの人からは、どんな人だと言われますか | 自分の見え方を客観的につかんでいるか。ほめられた評価も渋い評価も引き受けられるか |
| ④ 経験・行動 | 力を尽くしたのに思うような結果にならなかった経験を教えてください | 結果の良し悪しではなく、その場面で何を考え、どこから手を動かしたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学校で取り組んだことを、専門を知らない人にも分かるように説明してください | 相手に合わせて言い換える力。学んだことを市の仕事へつなぐ視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 希望とは違う部署に配属されたら、どうしますか | 市役所の仕事の幅をどこまで見込んでいるか。役割を引き受ける構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になった出来事を一つ教えてください | 社会の動きに目を向けているか。自分の受け止めを短い言葉にできるか |
ただし、この7カテゴリーは鶴岡市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「鶴岡市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「鶴岡市役所ならでは」の質問
どちらも鶴岡市の現状を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「鶴岡市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい鶴岡市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の輪郭 | 人口114,745人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)は県内13市で2番目、面積1,311.51km²は県内で最も広く、人口密度87.5人/km²は下から2番目 | 三つの数字を並べると、人が多い市であり同時に広い市でもあるという鶴岡市の輪郭が出ます。規模の紹介で止めず、市域の広さが窓口や移動にどう効くかまで一言添えます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 受験案内は上級行政の仕事を「各種施策の企画立案、各種証明の窓口業務、市税の賦課徴収、農林水産、商工業の振興」から「条例案の作成、予算編成、職員管理」までと説明 | 企画立案と窓口業務が同じ一文に並んでいるのが鶴岡市の説明です。制度としての県と市の違いを論じるより、この一文のどこに惹かれたのかを具体名で示すほうが伝わります |
| 鶴岡市の魅力 | 庄内地域にあり、酒田市や新潟県村上市など5つの自治体と接する。市の花はさくら、市の木はブナ | 観光名所を並べるより、県境を越えて新潟県と接する市であることや、市の木にブナが選ばれている土地柄から話を起こすと、借り物でない語り口になります |
| 防災 | 令和6年7月25日からの大雨では最上・庄内地域を中心に被害が生じ、県内で死者3人・軽傷4人。山形県は庄内平野東縁断層帯を含む4断層帯を想定震源としており、1833年には庄内沖でマグニチュード7½の地震が起きている | 水害と地震と津波の三つが庄内にかかっています。1,311.51km²という市域の広さを、被害の把握や避難所の運営の難しさに結び付けて話すと、実務の話になります |
| 人口減少 | 山形県の人口は令和7年国勢調査速報で993,127人。令和2年から7.0%減り、全市町村が減少した。庄内地域は242,296人 | 県の数字をそのまま市の話にしないことが大切です。庄内地域24万人規模のなかで11万人を抱える市の役割は何か、という置き方をすると自分の考えを乗せられます |
| 試験の性格 | 上級行政は第2次がプレゼンテーション面接試験、第3次が個人面接試験。第1次はテストセンター方式の総合適性検査で、教養試験・専門試験・論文試験は種目に含まれない | 与えられたテーマを組み立てて話す力が、そのまま合否に効く構成です。志望動機を暗記するのではなく、初見のテーマでも数分話せる型を先につくっておきます |
使い方のコツは、6つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、先ほど整理した「鶴岡市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 与えられたテーマを筋道立てて伝える力 | 第2次のプレゼンテーション面接は「人柄や論理的思考力、表現力等」を見る試験と受験案内に明示されている。話の順序と根拠の置き方が正面から測られる | テーマを一つ決め、結論から理由、そして自分の経験へと進む順で数分話す練習を録音で繰り返す。鶴岡市の人口114,745人や面積1,311.51km²といった数字を、話の途中に自然に挟めるところまで持っていく |
| 相手に合わせて説明を届ける力 | 断りにくい話や分かりにくい手続を、相手が納得できる形で伝えた経験があるか | 受験案内は職務に「各種証明の窓口業務」と「市税の賦課徴収」を名指ししている。専門用語を使わずに説明した場面を一つ選び、相手が何に困っていて、どの言葉に置き換えたら通じたのかまで書き出しておく |
| 配属が変わっても働ける幅 | 役割が急に変わった場面で何を最初にやり直したのかが、第2次と第3次の二度の面接で角度を変えて掘り下げられる。頼まれごとを引き受けたときは、何を後回しにして時間をつくったのかまで踏み込まれる | 上級行政の採用予定は10名程度で、企画立案から農林水産・商工業の振興、予算編成までを少人数で担う前提がある。受験案内に挙がった分野のうち今の自分から一番遠い分野を挙げ、そこで何ができそうかまで考えておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。鶴岡市はプレゼンテーション面接と個人面接という性格の違う面接が続きますから、同じ経験を別の角度から問い直される前提で備えておく必要があります。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける区分の最新の受験案内を読み、三段階の試験構成と、申込がやまがたe申請による電子申請であること(顔写真データのアップロードが必要です)を確認する
- これまでの経験を棚卸しする。学業、部活動、アルバイト、地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口114,745人・面積1,311.51km²・人口密度87.5人/km²という鶴岡市の輪郭と、県内13市での位置づけを、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- プレゼンテーション面接に備えて、テーマを自分で決めて数分話す練習を繰り返す。録音して聞き直し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2で洗い出した経験を、県内で最も広い市域を抱える市役所のどの場面で使えるかという形に言い換える作業を先に済ませてください。プレゼンテーション面接と個別面接が続く試験では、自分の経験を語れる状態にしておくことが最優先になります。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、鶴岡市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
鶴岡市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
鶴岡市の上級行政の試験は、第1次がテストセンター方式の総合適性検査、第2次がプレゼンテーション面接、第3次が個人面接という並びです。教養試験も専門試験も論文試験も種目にはなく、合否を決める場面の多くが「話す」ことに寄っています。
県内で最も広い1,311.51km²の市域に11万人余りが暮らし、その庄内地域では直近の大雨の被害も記憶に新しいところです。この市で自分は何を引き受けるのか、どの数字が自分の関心とつながるのか。
声に出して確かめながら、本番までの時間を組み立てていってください。