本記事では、東根市職員採用試験の面接対策で必要な、東根市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
東根市役所の面接試験では、「なぜ東根市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。東根市の人物試験は第2次試験に置かれ、同じ第2次で800字程度の作文試験も課されますので、話す準備と書く準備を並行して進めておきたいところです。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と東根市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
東根市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは東根市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 山形県に2つある空港のうち、山形空港が置かれているのが東根市である。昭和39年6月の開港で、滑走路は2,000m×45m。
- 県土を南から置賜・村山・最上・庄内の4つに分けたうちの村山地域に属し、山形市や天童市と同じ内陸のまとまりのなかにある。
- 人口は47,486人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、山形県内の13市では6番目にあたる。
- 総面積は206.94km²。県土9,323.15km²のおよそ2.2%で、県内13市では9番目の広さにとどまり、面積の並びは人口の並びより下にある。
- 人口密度は229人/km²で、県内13市では山形市、天童市、寒河江市に次ぐ4番目。県全体の平均およそ107人/km²の2倍を超える。
- 隣り合うのは尾花沢市、村山市、天童市、山形市、西村山郡河北町の県内5市町と、県境を越えた宮城県仙台市の計6自治体である。
- 市の花はサクランボ、市の木はケヤキ。さくらんぼは山形県を代表する農産物であり、市の花がそのまま県の看板作物と重なっている。
- 市役所は中央一丁目にあり、採用試験を所管するのは総務部庶務課職員係。第1次試験もこの市役所か、隣接する東根市職業訓練センターで行われる。
- 試験区分は上級行政、社会人経験(行政・土木・建築)、初級行政、初級土木、保健師、保育士、消防士の9区分。市が消防職員も自前で採用しており、受験できるのは1区分のみである。
東根市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「東根市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、隣り合う自治体など、東根市の位置づけを説明できる項目を整理しました。東根市単独の経済統計は公表資料の範囲が限られるため、比較の物差しとして山形県全体の数値もあわせて示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 47,486人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 206.94km²(山形県のおよそ2.2%。県内13市で9番目) |
| 人口密度 | 229人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 〒999-3795 山形県東根市中央一丁目1番1号 |
| 隣接自治体 | 尾花沢市、村山市、天童市、山形市、西村山郡河北町、宮城県仙台市(6自治体) |
| 市の花・市の木 | サクランボ/ケヤキ |
| 市内の空港 | 山形空港(昭和39年6月開港、滑走路2,000m×45m) |
| (参考)山形県の総人口 | 993,127人(令和7年10月1日現在・国勢調査人口速報集計) |
| (参考)山形県の総面積 | 9,323.15km²(全国第9位) |
| (参考)村山地域の人口 | 501,859人(令和7年10月1日現在・同上) |
東根市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木は、自治体の公表値による数値で、市公式の統計ページとの照合は済んでいません。数値を提出書類等で用いる際は、市公式サイトの最新値をご確認ください。山形県の総人口・村山地域の人口は令和7年国勢調査人口速報集計、県の総面積と全国順位・4地域区分は山形県公式サイトによります。県の平均人口密度、県土に占める面積の比率、県内13市での順位は、これらの公表値から当研究会が算出しました。市と県で数値の時点が異なるため、おおよその水準感として捉えてください。(出典:令和7年国勢調査人口速報集計|山形県/山形県について(県土と地域区分)|山形県)総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
東根市の輪郭は、三つの順位を並べると見えてきます。県内13市のなかで人口は6番目、面積は9番目、人口密度は4番目という並びが、東根市の位置を表しています。
人口規模はまん中より少し上、市域は狭いほう、そのぶん人は密に暮らしている、ということです。県全体の993,127人と9,323.15km²から計算すると県平均はおよそ107人/km²ですから、東根市はその2倍を超える密度で市政が営まれている計算になります。
県内の市と並べると位置づけはもう少しはっきりします。県内13市で東根市より人口密度が高いのは、県都の山形市(620人/km²)、天童市(528人/km²)、寒河江市(279人/km²)の3市だけで、いずれも村山地域の市です。
北に隣り合う尾花沢市の35.2人/km²と比べると差は大きく、村山地域のなかでも人がまとまって暮らしている側の市だと押さえておくと、地域を語るときの足場になります。
もう一つの前提が、県全体の人口の動きです。令和7年10月1日現在の国勢調査人口速報集計によると、山形県の総人口は993,127人で、令和2年調査から74,900人減(5年間で7.0%減)。
東根市が属する村山地域は501,859人で、県内の全ての市町村が人口減少となりました。東根市の47,486人は村山地域のおよそ9.4%にあたります(市と県で時点が異なるため、おおよその割合です)。
地域のなかでの規模と、県全体の動き。次のようにつないでみましょう。
東根市の経済・産業
山形県の経済規模と東根市の位置
東根市単独の市民経済計算は公表資料の範囲が限られるため、ここでは東根市が属する山形県全体の姿を土台に、地域経済を整理します。
- 山形県の県内総生産は令和元年度で4兆3,367億円。
- 産業別の構成比では製造業が25.6%で最も高い。
- 製造品出荷額等の業種別内訳(令和元年)は電子部品・デバイスが最多で、情報通信、食料品、化学がこれに続く。
- 県土は米沢・山形・新庄の各盆地と庄内平野からなり、東京から北におよそ300kmの位置にある。
つまり、「県の生産のうち4分の1が製造業で、その中身は電子部品・デバイスが先頭に立つ」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:山形県の産業の現状|令和元年度)
ここで気をつけたいのは、これらがすべて県の数字だということです。県の総生産をそのまま面接で持ち出しても、県の話で終わってしまいます。
県全体の数字を知る意味は、自分が働く場所がどれくらいの経済のなかに置かれているかを見積もるためだと考えてください。面接で効くのは、その規模感を土台にしたうえで語られる東根市の話です。
市の花がサクランボであるということ
東根市の市の花はサクランボです。さくらんぼ(おうとう)は山形県を代表する農産物で、県は栽培面積・収穫量・産出額といった生産流通統計を継続して公表しています。
全国有数の産地であることを、県自身が数字で示し続けている作物だということです。(出典:さくらんぼ生産流通統計|山形県)
面接でこれを使うときは、名産品の紹介で終わらせないことです。市の花に果樹を選んでいるということは、農業が景観や暮らしの一部として市の自己紹介に組み込まれているということでもあります。
農業を志望分野に選ばない人でも、収穫期の人手、鳥獣や気象による被害、直売や観光との結び付きなど、ほかの分野へつながる糸口はいくつもあります。市が自分をどう名乗っているかから話を起こすと、借り物ではない志望理由になります。
空港と県境がある内陸の市という立地
山形県の鉄道網は内陸に奥羽本線、庄内に羽越本線が南北に縦貫する構成で、空港は東根市の山形空港と酒田市の庄内空港の2つです。県の空の玄関のうち内陸側の一方が、東根市に置かれていることになります。
(出典:山形県の交通の現状|山形県)
もう一つの特徴が、県境です。東根市は県内5市町のほかに宮城県仙台市と接しています。
通勤や通学、買い物や通院といった暮らしの動きは、市の境でも県の境でも止まりません。空の便と県境の両方を持つ内陸の市だという前提は、交流人口や地域振興の話題に触れるときの出発点になります。
東根市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、東根市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
全ての市町村で人口が減るという県全体の局面
令和7年10月1日現在の国勢調査人口速報集計では、山形県の35市町村すべてで人口が減少しました。県全体では993,127人で、令和2年調査から74,900人減(5年間で7.0%減)。
男女別では男性が6.6%減、女性が7.4%減です。世帯数は398,213世帯とほぼ横ばいの一方、1世帯当たり人員は2.49人へ0.19人減っており、世帯の数は保たれたまま、一つひとつの世帯が小さくなっていることが分かります。
この動きは、行政の仕事の量に直結します。世帯が小さくなれば、人口が減っても窓口に来る件数や必要な手続の回数はそれほど減りません。
むしろ、高齢の一人暮らしや二人暮らしが増えるほど、一件あたりの手当ては厚くなります。東根市で仕事を語るなら、人口減少を「利用者が減る話」として受け取らないことが大切です。
若い世代が県外へ出ていくという積み重ね
山形県では、高齢化の進行により1997年(平成9年)に死亡数が出生数を上回る自然減へ転じています。あわせて県人口ビジョンは、県内高校卒業生のうち大学等進学者の約69%、就職者の約22%が県外へ進み、卒業生全体でおよそ53%が県外へ転出していることを課題として示しています。
(出典:山形県人口ビジョン|山形県)
およそ2人に1人が県外へ出るという数字は、東根市役所を受ける人にとっても他人事ではありません。受験者の多くが、県外で働くという選択肢を現実に持っている、ということだからです。
県外へ出る道があるなかで、あえて東根市役所を選ぶ理由は、面接で必ず確かめられると考えておきましょう。市内出身の方なら「なぜ戻るのか」、市外出身の方なら「なぜこの市なのか」という形で問われます。
どちらの立場でも、自分の経験に接続した答えが必要です。
盆地を貫く断層帯という前提
山形県は、想定震源として山形盆地断層帯・新庄盆地断層帯・長井盆地西縁断層帯・庄内平野東縁断層帯の4つを挙げ、想定震度を示す地震ハザードマップを公表しています。このうち山形盆地断層帯は大石田町から山形市を経て上山市に至る全長約60kmで、北部・南部いずれもマグニチュード7.3程度の地震が想定されています。
東根市は、この北端の大石田町と南端側の山形市にはさまれた区間、村山地域の内陸に位置しています。(出典:山形盆地断層帯|地震調査研究推進本部)
これは県が示した想定であって、東根市単独の被害想定ではありません。ただ、断層帯の名前に自分の暮らす盆地の名が入っているという事実は、この市で防災を語るときの出発点になります。
防災に触れるときは、想定の規模に軽く触れたうえで、206.94km²の市域で避難所を開け、被害を把握する市職員の現場へ話を進めると、地に足のついた説明になります。
県全体の厳しい財政という土台
東根市単独の財政指標は公表資料からは確認できませんが、市町村の財政は県全体の状況と地続きです。同じ基準で公表されている県の数値を物差しに、市政が置かれた土台をつかんでおきましょう。
山形県の財政力指数は0.35801(令和5年度)。実質公債費比率は12.8%、将来負担比率は218.3%、経常収支比率は92.4%で、ラスパイレス指数は100.0です。
(出典:都道府県財政指数表|令和5年度)
面接で財政の話を持ち出す必要はありません。ただ、この前提を知っているかどうかで、「やりたいこと」の語り方は変わります。
新しい事業を提案する形で志望を語るなら、その財源をどこから持ってくるのか、既にある事業のどれを見直すのかという問いが返ってくることを、あらかじめ想定しておきましょう。
少人数の採用で「あらゆる行政事務」を担うこと
東根市の採用予定人数は、9つの試験区分すべてで「若干名」です。受験案内はこれを1〜3名程度と定義しています。
そして行政職の職務内容は、「市政の各分野において、あらゆる行政事務に従事します。」の一文です。少ない人数が広い範囲を担う体制が、採用の入口の段階で示されている、ということになります。
この事実は、志望の語り方に直接はねかえります。特定の分野だけをやりたいという形で志望動機を組み立てると、この一文と噛み合いません。
希望する分野を語りつつ、配属がどこであっても働ける根拠を自分の経験から示すという二段構えが要ります。東根市は消防士も市の採用試験で募集していますので、市役所の仕事の幅を事務室の中だけで思い描かないでおきましょう。
重点政策|受験案内が示す職務と県の計画
東根市の総合計画や重点施策の名称は、市の公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市が受験案内で公表している職務の姿と、東根市が属する山形県の計画を組み合わせて、市政を理解する土台をつくります。
受験案内が示す「東根市職員の仕事」
令和7年度の受験案内は、職種ごとの主な職務内容を次のように説明しています。(出典:東根市職員採用試験受験案内|令和7年度)
| 職種 | 受験案内が示す職務内容 |
|---|---|
| 行政 | 市政の各分野において、あらゆる行政事務に従事します。 |
| 土木 | 土木工事の設計や施工管理、道路や都市基盤の整備等、土木に関する専門的、技術的業務に従事します。 |
| 建築 | 建築に関する専門的、技術的業務に従事します。 |
| 保健師 | 妊婦、乳幼児から高齢者まで、全ての世代の健康保持、増進に関する業務に従事します。 |
| 保育士 | 保育所・こども園等において園児の発達に応じた援助指導、子育て支援としての保育に関する相談や助言等の保育業務に従事します。 |
| 消防士 | 消防、救助、救急、防火、防災、消防車両・機器の整備等、消防行政に関する業務に従事します。 |
注目したいのは、行政職の説明が「市政の各分野において、あらゆる行政事務に従事します。」という一文だけで示されているところです。分野を限定する言葉がありません。
専門職には保健師の「全ての世代」、消防士の「消防、救助、救急、防火、防災」のように担当範囲が具体的に書かれているのに対し、行政職だけは範囲を区切らずに示されています。ここに、東根市が行政職に期待している姿が表れています。
山形県の計画が示す方向を、東根市の現場でどう受け止めるか
山形県は令和7年3月に「第4次山形県総合発展計画」の後期実施計画(令和7年度から11年度)を策定しました。若年層を中心とした社会減と少子高齢化による自然減が続く人口減少を最重要課題と位置づけ、そのスピードの緩和に粘り強く取り組むとしています。
施策推進の柱は、①人材の育成・確保、②農林水産業の振興・活性化、③高付加価値な産業経済の振興、④安全・安心で総活躍できる社会づくり、⑤発展基盤となる県土の整備・活用の5つです。(出典:第4次山形県総合発展計画 後期実施計画|令和7年3月)
県の計画が示すのは、山形県全体としてどちらへ向かうかという方向です。この方向を、東根市役所の窓口に持ち込まれる一つひとつの相談や申請という形で受け止めるのが、市職員の仕事になります。
県と市の違いは権限の上下ではなく市民との距離だと考えると、志望理由の輪郭がはっきりします。県が方向を定め、市がその方向を暮らしの単位まで運ぶ。
東根市役所を選ぶ理由を説明するときは、この距離の話を自分の経験に重ねてください。
POINT|計画名を言えなくても、面接の準備はできる
計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①東根市の人口47,486人と面積206.94km²、県内13市での位置づけを知る → ②県の35市町村すべてで人口が減っているという前提を重ねる → ③その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ④市の公式サイトや広報紙で、実際に動いている取組を確かめる、という順で準備しましょう。
悪い例「東根市の地域振興に貢献したいです」
改善例「まずは窓口で市民の方のお話を正確に受け止められる職員になりたいです。そのうえで、東根市は県内では人がまとまって暮らしているほうの市だと知りましたので、その近さを活かして、地域の行事や集まりに顔を出せる職員になっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 東根市職員採用試験の受験案内(自分が受ける年度・区分のもの。第1次試験の種目は区分ごとに異なります)
- 申込サイト「パブリックコネクト」の東根市のページ(申込はここからのインターネット申込のみです)
- 東根市公式サイトの市政情報・広報紙・各種計画のページ
- 山形県の総合発展計画と統計のページ(市の話を県の方向と結び付けるための背景資料)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、東根市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。東根市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
東根市役所の面接の概要
ここからは、東根市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
東根市役所の試験の流れ
東根市の職員採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階です。第1次の試験種目は区分ごとに違いますが、第2次試験の種目は全職種共通で作文試験と人物試験の2つで、消防士だけこれに視力検査と体力検査が加わります。
人物試験の内容は受験案内に「口述による個別面接・集団討論等」と記されており、個別面接に加えて集団討論が試験内容として明示されています。
| 項目 | 内容(令和7年度) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験の2段階。第2次試験の日時・会場等は第1次試験合格者に直接通知されます |
| 試験区分 | 上級行政、社会人経験(行政)、社会人経験(土木)、社会人経験(建築)、初級行政、初級土木、保健師、保育士、消防士の9区分。受験できるのは1区分のみです |
| 採用予定人数 | 全区分「若干名」。受験案内は「『若干名』とは1〜3名程度です」と定義しています |
| 第1次試験の種目 | 上級行政・初級土木・保健師は教養試験、専門試験、適性検査。初級行政・保育士・消防士は教養試験、適性検査。社会人経験の3区分は職務能力試験、適性検査 |
| 教養試験 | 知識より論理的思考力等の知能を重視する多肢選択式・40題・120分。上級行政は大学卒業程度、初級行政・初級土木・保健師・保育士・消防士は高校卒業程度 |
| 専門試験 | 上級行政は大学卒業程度の多肢選択式・40題・120分で、出題分野は憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係。初級土木・保健師は30題・90分 |
| 職務能力試験(社会人経験) | 論理的な思考力、文章理解力、社会情勢への理解等を確認する基礎的な多肢選択式・60題・60分。受験案内は「特別な対策や勉強は不要です」と明記しています |
| 適性検査 | 全職種の第1次試験で実施。職務への適応性についての検査・20分 |
| 第2次試験の種目 | 全職種共通で作文試験と人物試験。消防士のみ視力検査と体力検査が加わります |
| 作文試験 | 文章による表現力、課題に対する理解力等についての記述式による筆記試験(800字程度) |
| 人物試験 | 「口述による個別面接・集団討論等」と記載されています。実施回数や区分別の内訳は公表されていません |
| 配点 | 各試験種目の配点、および人物試験の比重は、受験案内に記載がありません |
| 提出書類・面接資料 | 申込は公務員専用求人サイト「パブリックコネクト」からのインターネット申込のみ。マイページのプロフィールに基本情報、学歴、職歴、自己PR等を登録します。自己PR欄は形式上は任意ですが、受験案内は「面接等で参考としますので、必ず入力して下さい」と明記しています。顔写真データの登録も必要で、申込は1回のみ、送信後の内容変更はできません |
| 第1次試験合格後 | 第2次試験日に受験者本人の住民票抄本(原本)1通を提出します。保健師・保育士・消防士で資格を既に取得している場合は免許証等の写しも提出します |
| 結果の発表・開示 | パブリックコネクトのサイトで本人へ通知されるほか、東根市役所前掲示場と市ホームページに合格者の受験番号が掲載されます。不合格者は、合格発表の日から1か月間、東根市総務部庶務課職員係の窓口で総合得点・総合順位・合格基準点の口頭提供を求めることができます |
| 試験会場 | 第1次試験は東根市役所(東根市中央一丁目1番1号)または東根市職業訓練センター(同一丁目3番1号) |
| (参考)初任給・勤務条件 | 初任給は上級行政・社会人経験(大学卒)222,900円、初級行政・初級土木(高校卒)189,700円、保健師・保育士(短大卒)206,600円、消防士は高校卒196,400円・大学卒222,900円(令和7年4月1日現在の給料表による)。勤務時間は原則1週間あたり38時間45分、年次有給休暇は年間20日(新規採用の年は15日) |
この表から読み取れることが二つあります。一つは、第1次試験の中身が区分によってかなり違うことです。
上級行政は専門試験まで課される一方、社会人経験の区分は「特別な対策や勉強は不要です」と書かれた職務能力試験だけで、負担のかけどころが正反対です。もう一つは、配点が公表されていないことです。
何点で何が決まるのかは分かりませんが、不合格だった場合に総合得点・総合順位・合格基準点を口頭で教えてもらえる制度があります。結果を受け止めて次に生かす道は用意されている、ということです。
上記は東根市の令和7年度職員採用試験受験案内にもとづく内容です。本記事の執筆時点でより新しい年度の受験案内が市公式サイトに掲載されていますが、本記事はその内容を反映していません。試験の構成・区分・種目等は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の受験する区分の情報をご確認ください。また、人物試験を何回行うのか、集団討論が全区分で実施されるのかは受験案内から判別できず、区分別の内訳・実施順・所要時間はいずれも公表されていません。住所要件は区分によって異なり、要件が課されているのは初級行政のみです(消防士は採用後に東根市へ住所を異動し居住できることが要件)。
東根市役所で評価されやすい資質
東根市が公表する「求める人物像」にあたる文言を、受験案内と市公式サイトの範囲では確認できていません。公表されたものがない以上、評価されやすい資質は、市が示している事実から読み解くことになります。
手がかりは三つあります。行政職の職務内容が「市政の各分野において、あらゆる行政事務」と範囲を区切らずに書かれていること。
採用予定人数が9区分すべて「若干名」(1〜3名程度)で、少人数が広い範囲を担う体制であること。そして第2次試験に800字程度の作文と、個別面接に加えて集団討論を含む人物試験が置かれていること。
これらを重ねると、「配属が変わっても働ける幅」「自分の考えを文章でも口頭でも筋の通った形で示す力」「他の人の意見の上に自分の意見を積める姿勢」のあたりが評価の中心になると考えられます。自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。東根市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は会場まで、迷わずに来られましたか | 身構えていない問いかけへの応じ方。声の出し方や表情が、ここで一度確かめられます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください | 比べたうえでの選択になっているか。動機が自分の来し方と地続きか |
| ③ 自己理解 | 自分の短所を一つ挙げて、どう付き合っているか教えてください | 弱さを言い切れるか。認めたうえで手を打っているところまで話せるか |
| ④ 経験・行動 | うまくいかなかった経験を一つ挙げて、そのとき何をしたか教えてください | 困りごとの大きさではなく、その場面で自分がどこから手を動かしたか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学校生活や職務で力を入れたことを、事情を知らない人にも伝わるように話してください | 相手に合わせて言い換える力。学んだことを仕事へつなぐ視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 5年後、東根市役所でどんな仕事をしていたいですか | 市の仕事の広がりをどこまで見込んでいるか。希望どおりの配属でない場合の構え方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近見聞きした出来事で、印象に残っているものはありますか | 社会の動きに目を向けているか。自分の受け止めを短い言葉にできるか |
ただし、この7カテゴリーは東根市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「東根市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「東根市役所ならでは」の質問
どちらも東根市の現状を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「東根市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい東根市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と密度 | 人口47,486人・面積206.94km²・人口密度229人/km²。県内13市で人口は6番目、面積は9番目、密度は4番目 | 三つの順位を並べると「人口はまん中より上、市域は狭いほう、そのぶん人は密」という東根市の形が一息で言えます。規模を言って終わらせず、隣の尾花沢市が35.2人/km²であることまで添えると、村山地域の中での立ち位置が伝わります |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 受験案内の行政職の職務内容は「市政の各分野において、あらゆる行政事務に従事します。」の一文のみ。採用予定は9区分すべて「若干名」(1〜3名程度)で、受験できるのは1区分だけ | 県が方向を定め、市が暮らしの単位まで運ぶという距離の違いから話を起こします。1区分しか受けられない試験をあえて選んだこと自体も、志望度の説明の材料になります |
| 東根市の魅力 | 県内に2つある空港のうち山形空港が立地(昭和39年6月開港・滑走路2,000m×45m)。市の花はサクランボ、市の木はケヤキ。県境を越えて宮城県仙台市と接する | 名所を並べるのではなく、空の便と県境を持つ内陸の市という位置から、人の行き来に引きつけて話します。市の花に果樹を選んでいることは、市が自分をどう名乗っているかの手がかりです |
| 防災 | 県が示す4つの想定断層帯のうち山形盆地断層帯は大石田町から山形市を経て上山市に至る全長約60kmで、マグニチュード7.3程度の地震が想定されている | 県全体の想定だと断ったうえで、206.94km²の市域で避難所を開ける市職員の側から何ができるかへ話を進めます。断層帯の名に盆地の名が入っていることに一言触れると、他人事になりません |
| 人口減少 | 山形県の人口は令和7年10月1日現在で993,127人。令和2年から74,900人減(5年間で7.0%減)で、県内35市町村すべてが減少。県内高校卒業生のおよそ53%が県外へ転出 | 全県で減っているという事実だけなら誰でも言えます。世帯数はほぼ横ばいで1世帯当たり人員だけが減っている点まで拾うと、窓口の仕事が減るわけではないという見立てが立ちます |
| 試験の性格 | 第2次試験の種目は全職種共通で作文試験(800字程度)と人物試験(口述による個別面接・集団討論等)。配点は非公表で、不合格者は総合得点・総合順位・合格基準点の口頭提供を請求できる | 書く力と話す力の両方が同じ日に見られる構成です。作文で書きそうな内容と面接で話す内容を早い段階からそろえておくと、どちらの準備も一度で進みます |
使い方のコツは、6つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、先ほど整理した「東根市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 配属が変わっても働ける幅 | 担当の外にある頼みごとを受けたとき、どこまで自分で引き取り、どこから人に渡したか。9区分すべてが若干名という採用の規模を知ったうえで、希望どおりの配属にならない場合をどう考えているか | 行政職の職務内容は「市政の各分野において、あらゆる行政事務」の一文で、分野を区切る言葉がありません。担当外のことを引き受けて形にした経験を用意し、希望分野の話とセットで出せるようにしておく |
| 考えを文章でも口頭でも筋の通った形で示す力 | 作文で書いた内容と面接で話す内容が食い違わないか。理由の順序が入れ替わっても崩れないか | 第2次試験は800字程度の作文と人物試験が同じ段階に置かれています。申込時のプロフィールに登録した自己PRも面接の参考にされますので、書いたものと話すことの筋を先にそろえておく |
| 他の人の意見の上に自分の意見を積める姿勢 | 複数人で結論を出す場面で、どの発言を拾い、どこで自分の考えを足したか | 人物試験には集団討論が明示されています。話し合いで自分と違う意見が出たとき、それをどう受け止めて案を作り直したかという経験を一つ、時系列で説明できるようにしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける年度・区分の受験案内を読み、第1次試験の種目が区分ごとに違うこと、申込がパブリックコネクトからのインターネット申込だけで、送信後は内容を変更できないことを確認する
- これまでの経験を棚卸しする。学業、部活動、アルバイト、職務、地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口47,486人・面積206.94km²・人口密度229人/km²という東根市の輪郭と、県内13市での位置づけを、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 申込時に登録した自己PRを読み返し、800字程度の作文で書きそうな内容も先に文章化してから、声に出す練習に移る。答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、東根市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
東根市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
東根市の採用は、9つの区分すべてが「若干名」という小さな入口です。そのぶん、行政職に示された仕事の範囲は「市政の各分野において、あらゆる行政事務」と広く取られています。
県内13市で6番目の人口が、県平均の2倍を超える密度で暮らす市で、その広い仕事を少人数で回していく。第2次試験に置かれた作文と人物試験は、その担い手として一緒に働けるかどうかを、書く形と話す形の両方から確かめる場です。
山形空港のある内陸のまちで働く自分を思い描きながら、手持ちの経験を一つずつ言葉にしていってください。