本記事では、酒田市職員採用試験の面接対策で必要な、酒田市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

酒田市役所の面接では、「なぜ酒田市を志望したのか」「市職員としてどんな仕事に取り組みたいのか」「自分の経験を酒田市政でどう活かせるのか」といった、市の実情を知らなければ答えにくい質問が想定されます。令和8年度の採用試験では、行政(大学卒業程度)の第2次試験はプレゼンテーションと個人面接という、話して伝える2つの場だけで構成されています

本記事の内容を手がかりに、自分の経験と酒田市の仕事がどこで結び付くのかを考えながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

酒田市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは酒田市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口92,129人、市域は602.98km²、人口密度は153人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。山形県の日本海側に位置する。
  • 鶴岡市・庄内町・三川町・真室川町・鮭川村・戸沢村・遊佐町に加え、秋田県の由利本荘市とも県境を接する。暮らしや働き方が県境をまたいで結び付きやすい位置にある。
  • 市域には庄内空港(平成3年10月開港・地方管理空港)が置かれ、鉄道は日本海側を南北に貫く羽越本線が通る。
  • 市役所は酒田市本町二丁目2番45号にあり、職員採用は総務部人事課が所管しており、試験結果の開示請求もこの窓口で受け付けている。
  • 令和8年度(令和9年4月採用)の採用試験で、大学卒業程度の職種「行政」の採用予定は10人程度。行政(障がい者対象)・土木・電気・建築・福祉は各若干名である。
  • 第1次試験は総合適性検査(SCOA)で、教養試験・専門試験・作文・集団討論の記載はない。第2次試験は行政ならプレゼンテーションと個人面接である。
  • 採用試験案内は「酒田市が求める人材像(入庁後に目指す職員像)」を明記している。市長メッセージも、利他・共創・率先変革という3つの言葉で求める人材を表現している。
  • 行政職は「新規採用から10年程度の期間は、市民と直接接する部門、管理部門、事業部門等の異なる分野の業務をバランスよく経験します」と、育て方の方針が公表されている。
  • 市の花はトビシマカンゾウ、市の木はケヤキ。

酒田市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「酒田市が県内でどのくらいの位置を占める自治体なのか」をつかんでおくことは重要です。

酒田市単独の市民経済計算について、当研究会が確認できている公式資料はありません。ここでは人口・面積・人口密度といった基礎的なプロフィールを整理し、比較の物差しとして山形県全体の数値も並べました。

項目内容
総人口92,129人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積602.98km²
人口密度153人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体鶴岡市・庄内町・三川町・真室川町・鮭川村・戸沢村・遊佐町、秋田県の由利本荘市
市役所所在地酒田市本町二丁目2番45号
市の花/市の木トビシマカンゾウ/ケヤキ
(参考)山形県の総人口993,127人(令和7年10月1日現在)
(参考)山形県の総面積9,323.15km²(全国第9位)
(参考)山形県の市町村数35市町村(13市19町3村)

酒田市の面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整備する自治体データベース(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)による値です。市が公表する推計人口とは基準日や集計方法が異なる場合がありますので、面接で数値に触れる際は酒田市公式サイトの最新値もあわせてご確認ください。山形県の総人口は令和7年国勢調査人口速報集計、総面積と市町村数は山形県公式のプロフィールによる値です。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

山形県の総人口は令和7年10月1日現在で993,127人、総面積は9,323.15km²です(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計|山形県山形県について|県公式プロフィール

酒田市の人口92,129人は県人口の9%ほどにあたり、602.98km²の市域は県土の6%を超えます。県全体の人口密度がおよそ107人/km²ですから、153人/km²の酒田市は県平均より人が集まっている側の市だといえます。

ただし、密度が県平均を上回るといっても、市域には市街地から農地、海岸部までが含まれます。同じ市の中で、駅前の商店街と集落とでは、必要な行政サービスの中身が変わります。

9万人規模の市の職員は、性格の違う地域を1つの市として束ねる仕事をすることになります

面接では、この規模感を暮らしの場面へ翻訳して語れると強くなります。たとえば次のような話し方です。

「酒田市は人口が9万人ほどで、山形県全体の1割近くを占めていると知りました。ただ、市の中を見ると駅の近くと海沿いや農村部では暮らし方がかなり違うと感じますので、同じ市の中でも場所によって必要な支援が変わることを忘れずに仕事をしたいです」

酒田市の経済・産業

県全体の経済という土台

酒田市単独の市内総生産や事業所統計について、当研究会が確認できている公式資料はありません。ただ、市の産業は県経済の一部として動いていますから、県全体の姿を押さえておけば、産業や雇用の話題で軸を見失わずにすみます。

  • 令和元年度の県内総生産は4兆3,367億円。産業別の構成比は製造業25.6%が最も高い。
  • 製造品出荷額等の業種別内訳(令和元年)は電子部品・デバイスが最多で、情報通信・食料品・化学がこれに続く。
  • 産業別の就業人口構成比(令和2年国勢調査)は、第1次産業8.8%・第2次産業28.7%・第3次産業62.6%

ここから読み取れるのは、付加価値の柱は製造業でありながら、働く人の6割超は第3次産業にいるという二重の構造です。稼ぎを生む産業と、雇用を吸収する産業が別だということ。

この理解があると、「地域経済をどう支えるか」という問いに、企業誘致と暮らしのサービスの両面から答えられます(出典:山形県産業の現状|令和元年度

港と空港が語る酒田市の産業

酒田市の産業を考えるうえで見逃せないのが、市の組織のつくりです。令和8年4月1日現在の行政組織機構では、地域創生部の商工港湾課に「港湾・エネルギー振興係」が置かれています。

港をどう使い、エネルギー関連の産業をどう育てるかが、独立した係を置くだけの課題として扱われているということです(出典:令和8年度酒田市職員採用試験案内

加えて、市域には平成3年10月開港の庄内空港があり、鉄道は羽越本線が日本海側を南北に貫いています。人と物が海と空と陸で行き来する条件がそろっている、という言い方ができます。

産業振興や物流に関心があるなら、酒田市公式サイトで港の取扱貨物や立地企業の情報を確かめ、係の名前まで下ろして話せるようにしておきましょう。

観光と交流人口

山形県の主要観光地における観光者数は、令和6年度が4,128万9千人で、令和5年度比6.8%増、令和元年度比では8.9%減でした。増加の要因のひとつとして、訪日外国人の受入延人数が2年連続で過去最高となったことが挙げられています(出典:主要観光地の観光者数|令和6年度

感染症拡大前の水準にはまだ届いていない一方で、外国人客の回復が県全体を押し上げている。これが直近の姿です。

酒田市の組織にも、地域みらい創生課に「移住定住ふるさと係・関係人口創出係」が置かれています。観光を一度きりの来訪で終わらせず、通い続ける人や移り住む人まで広げていく。

市が力を入れている方向は、組織図から読み取ることができます。

酒田市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえて、酒田市が山形県内の市として向き合う課題を5つに整理します。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして使ってください。

県が最重要課題と位置づける人口減少

山形県の総人口は令和7年10月1日現在で993,127人となり、令和2年の国勢調査から74,900人(7.0%)減りました。同じ速報集計では県内の全市町村が人口減少となっています。

県が令和7年3月に策定した第4次山形県総合発展計画の後期実施計画は、若年層を中心とした社会減と少子高齢化による自然減が続く人口減少を「最重要課題」と位置づけ、減少スピードの緩和に粘り強く取り組むとしています(出典:第4次山形県総合発展計画 後期実施計画|令和7年3月策定

酒田市がこの流れのなかでどう推移しているかは、市が公表する人口統計で必ず自分で確かめておきましょう。県の分析をそのまま市の課題として語ると、裏づけのない話になってしまいます

若い世代の県外流出と関係人口

山形県人口ビジョンは、県内高校卒業生のうち大学等進学者の約69%、就職者の約22%が県外へ進み、卒業生全体では約53%が県外へ転出していると示しています(出典:山形県人口ビジョン。進学や就職で一度県外に出た人がどれだけ戻るかが、地域の担い手の数を左右するということです。

酒田市が地域みらい創生課に移住定住と関係人口の係を置いているのは、この構造への対応と読めます。戻る人を増やす、外から来る人を増やす、そして完全には移り住まなくても関わり続ける人を増やす。

3つを分けて考えられると、「若者の流出をどうしますか」という問いに厚みのある答えができます。

高齢化の進行と支え手の減少

国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計に基づく山形県の分析(令和6年報告)では、およそ10年後の2035年に県人口は88.6万人となり、総人口に占める65歳以上の割合は38.8%に達する見込みです。2020年から2050年にかけては、生産年齢人口(15歳から64歳)が58.7万人から33.6万人へと42.8%減ると推計されています。

サービスの受け手が増える一方で、支える側が細っていくという構図です。

酒田市の組織には、健康福祉部にこども未来課(こども家庭センター)が置かれています。子育て支援と高齢者福祉は、限られた職員数と財源をどう配分するかという同じ土俵の上にあります。

福祉分野を志望するなら、「支援を厚くしたい」で止めず、何を優先するかまで考えておきましょう。

大雨と地震への備え

令和6年7月25日からの大雨では、酒田市・遊佐町等に大雨特別警報が発表され、最上・庄内地域を中心に被害が生じました。県内では死者3人(新庄市2人・酒田市1人)、軽傷4人のほか、住家の全半壊や浸水が多数発生しています(出典:令和6年7月25日からの大雨による被害状況|山形県

酒田市にとって水害は、過去の教訓ではなく直近の経験です。

地震も無縁ではありません。山形県は庄内平野東縁断層帯を含む4つの断層帯を想定震源とする地震ハザードマップを公表しており、1833年には庄内沖でマグニチュード7.5程度の地震が発生し、津波や揺れ、地盤の液状化によって県西部を中心に大きな被害が生じたことも記録されています。

防災に触れるなら、県の想定を出発点に、酒田市が公表するハザードマップで自分の生活圏の想定まで確かめておきましょう。

広い市域と多様な地域をどう束ねるか

602.98km²という市域には、港や市街地から農山村、海岸部までが含まれます。市の組織に共生社会課の「男女共同参画・多文化共生係、公益活動推進係」が置かれているように、地域で活動する団体や住民と行政がどう手を組むかも課題のひとつです。

人口が減っていく局面では、行政だけで生活の隅々を支えることはできません。市民や事業者と役割を分け合いながら進める仕事が増えていく、という前提で志望動機を組み立てましょう。

重点政策|県の計画と酒田市の組織が示す力点

酒田市の総合計画の名称や重点施策について、当研究会が確認できている公式資料は限られています。ここでは、県の計画と、酒田市の行政組織機構という2つの角度から市政の力点を読み解きます。

市固有の計画名や施策は、酒田市公式サイトの市政情報で最新の状況を確認してください。

第4次山形県総合発展計画 後期実施計画

山形県は令和7年3月、第4次山形県総合発展計画の後期実施計画(令和7年度から11年度・山形県版総合戦略第3期)を策定しました。施策推進の柱は、(1)人材の育成・確保 (2)農林水産業の振興・活性化 (3)高付加価値な産業経済の振興 (4)安全・安心で総活躍できる社会づくり (5)発展基盤となる県土の整備・活用の5つです。

市町村の仕事は、この5本の柱と重なりながら、より住民に近い距離で実施されます。自分の志望分野が5本のどこに接するのかを一度整理しておくと、県と市の役割分担を問われたときに答えの軸ができます。

組織機構から読む酒田市の重点

計画名が手元になくても、市が何に人を割いているかは組織図から読み取れます。令和8年4月1日現在の酒田市の行政組織機構には、次のような部署が置かれています。

  • 企画部 企画調整課「ローカルSDGs推進室」/デジタル戦略課「業務改革・デジタル変革係」
  • 地域創生部 地域みらい創生課「移住定住ふるさと係・関係人口創出係」/商工港湾課「港湾・エネルギー振興係」
  • 市民部 共生社会課「男女共同参画・多文化共生係、公益活動推進係」
  • 健康福祉部 こども未来課(こども家庭センター)

持続可能な地域づくり、行政のデジタル化、移住定住と関係人口、港とエネルギー、多文化共生と市民活動、こども施策。係の名前は、市が「これは常設で担当を置くべき仕事だ」と判断した証拠です。

志望動機を語るとき、抽象的な分野名ではなく実在する係の名前まで下ろせると、調べた深さがそのまま伝わります。

県財政という前提条件

山形県の令和7年度一般会計当初予算は6,754億円で、前年度当初から3.9%増えました。一方、財政の自立度を示す財政力指数は0.35801(令和5年度)で、自主財源だけでは必要な行政サービスを賄えない水準です。

同じ令和5年度の経常収支比率は92.4%となっています。県と市で規模も構造も異なりますが、「新しいことを始めるには、いまあるものを見直すしかない」という制約は共通しています。

新しい取り組みを提案するなら、財源や人手をどう考えるかまで一言添えられるようにしておきましょう。

POINT|計画名の暗記より、係の名前と自分の経験をつなぐ

計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①酒田市の人口規模と市域の広がりを知る → ②組織図で市がどこに担当を置いているかを見る → ③自分が携わりたい係を1つか2つ選ぶ → ④その仕事に自分の経験のどれが生きるかを言葉にする、という順で進めましょう。

悪い例「酒田市の活性化に貢献できる職員になりたいです」

改善例「まずは窓口や現場の仕事で市民の方の困りごとを知りたいです。そのうえで、酒田市には関係人口をつくる担当の係があると知りましたので、一度離れた人が酒田と関わり続けられる仕組みづくりに携わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 令和8年度酒田市職員採用試験案内・採用試験ガイド(最新年度・志望する職種のもの)
  • 酒田市公式サイトの市政情報・行政組織機構・広報紙
  • 酒田市が公表している防災情報(ハザードマップ・避難所一覧等)
  • 山形県の統計・計画資料(県内における酒田市の位置づけを知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、酒田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。酒田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

酒田市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

酒田市役所の面接の概要

ここからは、酒田市役所の採用試験の構成と面接の位置づけ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

酒田市役所の面接の流れ

令和8年度酒田市職員採用試験(令和9年4月1日採用)は、第1次試験と第2次試験の2段階です。大学卒業程度・社会人経験者・保育士の第1次試験は総合適性検査(SCOA-A・C)、技能労務職は総合適性検査(SCOA-B)で、募集ページに教養試験・専門試験・作文(論文)・集団討論の記載はありません。

第2次試験は、大学卒業程度と社会人経験者の行政・土木・電気・建築がプレゼンテーションと個人面接、福祉・保育士・技能労務職が個人面接です(出典:令和8年度酒田市職員採用試験|募集ページ

もうひとつ押さえておきたいのが、第1次と第2次のあいだにある検査です。案内には「1次試験がSCOA-A・Cの方は、1次試験に合格した場合、2次試験実施前にWeb方式によるSCOA-Bを実施していただきます」と記されています。

第1次を通過してから面接までのあいだに、もう1段階の検査が挟まるという流れです。

項目内容(令和8年度・大学卒業程度の行政を中心に)
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階(第2次試験の会場は酒田市役所)
第1次試験総合適性検査(SCOA-A・C)。教養試験・専門試験・作文(論文)・集団討論の記載はない
第1次と第2次のあいだ第1次合格者は、第2次試験の実施前にWeb方式によるSCOA-Bを受検
第2次試験プレゼンテーション、個人面接(福祉・保育士・技能労務職は個人面接)
受験から採用までの流れ受験申込 → 受験票送付 → 1次試験(筆記試験)→ 1次合格発表 → 2次試験(面接試験)→ 最終合格発表 → 意向確認 → 採用内定 → 採用
2次試験の判定A判定・B判定・C判定で発表。Aは令和9年4月1日から採用見込み、BはAに欠員が生じたときに採用が見込まれる者、Cは不合格
採用予定人員行政10人程度。行政(障がい者対象)・土木・電気・建築・福祉は各若干名
配点各試験種目の配点、人物試験の比重はいずれも公表されていない
申込方法市ホームページの「令和8年度酒田市職員採用試験ガイド」から電子申請(kintone)
試験結果の開示1次不合格者には受験者数・合格者数・1次試験の得点と順位、2次不合格者(B・C判定)には受験者数・合格者数・総合得点と総合順位を情報提供(合格発表から1か月間・総務部人事課の窓口で本人が請求)
採用後の配属行政職は「主事」「技師」等に任命され、新規採用から10年程度は市民と直接接する部門・管理部門・事業部門等をバランスよく経験
試験の所管総務部人事課(試験結果の開示請求の窓口も同課)

この構成から読み取れることは2つあります。1つは、知識量を問う筆記が見当たらないことです。

第1次は適性検査、第2次は話す場だけ。過去問の暗記で埋められる部分が小さい分、準備の重心は自己分析と自治体研究に寄ります。

もう1つは、プレゼンテーションという場が用意されていることです。質問に答える力に加えて、自分から筋道を立てて話し切る力が別枠で見られていると考えるのが自然です。

直近の競争率も押さえておきましょう。令和7年度実施の行政A(大学卒業程度)は、第1次受験者64人に対し最終合格者8人で8.0倍

前年度の令和6年度は45人・8人で5.6倍でしたから、受験者が増えて競争率が上がっています。同じ年度の行政(高校卒業程度)は20人・4人で5.0倍、行政(社会人経験者・6月試験)は25人・4人で6.3倍、福祉(大学卒業程度)は3人・2人で1.5倍でした(出典:令和8年度酒田市職員採用試験案内(令和7年度実施結果)

上記は令和8年度酒田市職員採用試験(令和9年4月1日採用)の案内・ガイド・募集ページによる内容です。各試験種目の配点と人物試験の比重、個人面接の回数、面接官の人数や所要時間、プレゼンテーションのテーマ・時間・形式、面接カードや自己PRシート等の提出書類の有無は、公表資料では確認できていません。集団討論・集団面接についても記載がありません(記載がないことと実施しないことは同じではありません)。令和7年度実施結果の職種名「行政A」は令和8年度の区分名「行政」と表記が異なります。試験の構成・日程等は年度や職種によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご自身の職種の試験情報をご確認ください。

酒田市役所が求める人材像

酒田市は、採用試験案内のなかで「酒田市が求める人材像(入庁後に目指す職員像)」を3つの柱で公表しています。採用時点で完成していることを求める要件ではなく、入庁後に目指す像という建て付けである点は押さえておきましょう。

公表されている職員像(要旨)
地域愛/利他・公益地域社会をより良くしたい、市民を幸せにしたいと考える人。より市民に近いところでまちづくりに携わりたい人。さまざまな市民等の考えや立場に思いをはせ、みんなのために行動することができる人
協働(共創)さまざまな人と接することをいとわず、人と協力することができる人。自分一人の考えに固執せず、みんなで考え、共にものごとを創り上げることができる人
率先・変革/自立前例にとらわれることなく、自ら柔軟に考え、より良い状態に変えていこうと率先して行動することができる人

採用試験ガイドの市長メッセージは、この3つを「利他」「共創」「率先・変革」という言葉でまとめています。面接対策としては、3つの言葉をなぞるのではなく、自分の経験のどれがどの柱に当たるのかを1つずつ当てはめておくのが実際的です。

とくに第2の柱は、集団の中での振る舞いを具体的に語れるかどうかが問われます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。酒田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどのように会場までお越しになりましたか準備していない一言のやり取りに出る、表情と受け答えの間合い
② 動機・志望民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください職業選択の理由が、自分の経験や暮らしの実感と結び付いているか
③ 自己理解周囲からどんな人だと言われることが多いですか自己認識と他者からの見え方が一致しているか
④ 経験・行動チームで何かを成し遂げた経験と、その中での自分の役割を教えてください成果の大きさではなく、集団の中での立ち回りと働きかけ方
⑤ 学業・経歴これまでの学びや仕事で身につけたことを教えてください学びを市の仕事へ翻訳する視点と、説明の分かりやすさ
⑥ 適性・将来希望と異なる部署に配属されたらどうしますか10年で複数部門を回る市役所の育て方への理解と現実的な構え
⑦ 公共性・社会性最近関心を持った社会の出来事を教えてください社会の動きへの関心と、自分の意見を一言で述べる力

ただし、この7カテゴリーは酒田市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「酒田市ならでは」の質問です。

差がつくのは「酒田市役所ならでは」の質問

「なぜ山形県庁ではなく、酒田市役所なのですか」
「酒田市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも、市の現状を知らなければその場で組み立てられない質問です。裏を返せば、材料を持っている人だけが具体的に語れる質問でもあります。

酒田市は第2次でプレゼンテーションまで課す試験ですから、こうした材料はそのまま持ち時間を支える中身になります。次の表に、面接で使いやすい事実と答え方を整理しました。

質問テーマ知っておきたい酒田市の事実答え方のヒント
市の規模感人口92,129人・面積602.98km²・人口密度153人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。県人口の9%ほどを占め、県全体の人口密度およそ107人/km²を上回る「庄内の大きな市」で終わらせず、県平均より人が集まる市街地と、農山村や海岸部を同じ市として束ねる難しさまで話します
なぜ県庁ではなく市役所か広域自治体である県の役割は、県全体の政策づくりと市町村間の調整にある。酒田市は行政職について、採用から10年程度で市民と直接接する部門・管理部門・事業部門をバランスよく経験させると公表している制度の比較で終わらせず、10年で複数の分野を回るという育て方に触れ、市民に近い現場から始めたい理由を自分の言葉で述べます
試験の性格と志望度第1次は総合適性検査、第2次はプレゼンテーションと個人面接。令和7年度実施の行政Aは8.0倍で、前年度の5.6倍から上昇した知識量ではなく伝える力で決まる試験だと理解していることを示し、プレゼンテーションで何を伝えたいかを準備段階から考えておきます
市が担当を置いている分野組織にローカルSDGs推進室、移住定住ふるさと係・関係人口創出係、港湾・エネルギー振興係、こども未来課(こども家庭センター)などが置かれている(令和8年4月1日現在)志望分野を実在する係の名前まで下ろして話します。組織図は、市が何に人を割いているかを示す一次情報です
防災と災害の記憶令和6年7月25日からの大雨で酒田市等に大雨特別警報が発表され、県内で死者3人(うち酒田市1人)。1833年の庄内沖地震では津波や液状化により県西部に大きな被害直近の大雨と歴史地震の両方に触れたうえで、市のハザードマップで自分の生活圏の想定を確かめ、平時にできる備えを述べます
求める人材像との接続「地域愛/利他・公益」「協働(共創)」「率先・変革/自立」の3本柱。市長メッセージは利他・共創・率先変革という言葉でまとめている3つの言葉をなぞらず、自分の経験のどれがどの柱に当たるかを1つずつ当てはめ、柱ごとに違うエピソードを用意しておきます

使い方のコツは、6つ全部を暗記することではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話にしておくことです。

想定される評価の観点

面接は、公表された求める人材像に照らして、これまで実際にどう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自分から筋道立てて話す力第2次試験のプレゼンテーション(テーマ・時間・形式は公表されていない)で、質問を待たずに話し切れるかが見られる原稿の暗記ではなく、結論を先に置いて理由を2つ添える型を身体に入れます。テーマが公表されていない以上、どんなお題でも使える話の順番を持っておくことが備えになります
共に創る姿勢(協働)求める人材像の第2の柱にあたり、個人面接で他者と協力した場面を掘り下げられる役割分担がうまくいかなかった場面を1つ選び、自分がどう働きかけて合意をつくったかまで語れるようにしておきます。うまくいった話だけでは、協働の実感は伝わりません
前例にとらわれない行動求める人材像の第3の柱にあたり、市長メッセージも柔軟な発想で前向きに行動する人材を挙げている大きな改革である必要はありません。手順を1つ変えて周りが楽になった経験を、変える前と後の違いが分かる形に整理しておきます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられることが多いです。酒田市はプレゼンテーションで自分から語った内容が、そのまま個人面接の掘り下げの入口になる可能性があります。

細部まで自分の言葉で語れる実体験に根ざした答えを用意しておくことが、いちばんの備えになります。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の採用試験ガイドと試験案内を読み、志望職種の受験資格と試験の流れ、電子申請(kintone)での申込方法を確認する。第1次合格後にWeb方式のSCOA-Bがあることも頭に入れておきます
  2. これまでの学業・課外活動・アルバイトや仕事の経験を棚卸しし、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の第1部を読み返し、酒田市の組織図で気になる係を1つか2つ選んで、その仕事の中身を調べる
  5. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話にまとめる
  6. 声に出して練習する。個人面接の一問一答に加えて、プレゼンテーションを想定し、時間を計って一人で話し切る練習も必ず行う

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。第2次が話す場だけで構成される試験では、語る材料の不足がそのまま沈黙になります

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、酒田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

酒田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

酒田市役所の想定問答集を見る

さいごに

酒田市の採用試験は、第1次が総合適性検査、第2次がプレゼンテーションと個人面接という組み立てです。知識を詰め込んで乗り切る試験ではなく、自分の考えを整理して人に伝える力が、そのまま得点になる試験だといえます。

令和7年度実施の行政Aは8.0倍で、前年度から競争率が上がりました。人口9万人あまりの市で、行政の採用予定は10人程度。

港と空港を抱え、市街地から農山村までを一つの市として束ねる仕事に、これから10年をかけて複数の部門から関わっていくことになります。市が常設の係を置いてまで取り組もうとしている分野のどれに自分は加わりたいのか。

組織図と、令和6年7月の大雨の記憶と、山形県全体の人口の見通しを手がかりに、自分の経験と結び直す時間をとってから本番に臨んでください。