本記事では、防府市職員採用試験の面接対策で必要な、防府市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度の実施計画をもとに、大卒程度・一般事務を軸として整理します。一般事務には性格の異なる2つの型があるため、両方を並べて扱います。
防府市役所の面接試験では、「なぜ防府市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「防府市の課題をどう捉えているか」といった、このまちで暮らす人の生活が見えていないと踏み込めない質問が想定されます。市の実情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、防府市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
これから挙げる数字は、面接で読み上げるためのものではありません。自分の経験を市の仕事のどこに置けるかを決めるための、判断材料として扱ってください。
第1部|自治体研究編
防府市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは防府市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 山口県の南部に位置し、市役所は寿町に置かれている。読みは「ほうふし」。
- 住民基本台帳人口は111,750人(令和8年1月1日現在)。同じ時点の山口県全体は約127万5千人で、県人口のおよそ9%にあたる。
- 市域は189.34km²とまとまっており、人口密度は約590人/km²。隣接する山口市(約180人/km²)や周南市(203人/km²)の3倍近い密度になる。
- 陸で接しているのは周南市と山口市の2市だけ。県境を接する市町はない。
- 平成21年7月21日の豪雨災害を経験しており、市は災害検証委員会を設けて7項目の検証を行った。
- 大卒程度の一般事務の採用試験には、SPIから入る基礎能力検査型と、教養・専門試験から入る専門試験型の2つがある。
- 土木技術・建築技術(社会人経験者対象)については、山口県央連携都市圏域を構成する市町が連携する共同採用試験に参加している。
- 市の花はサルビア、市の木はサンゴジュ。
防府市の基礎データ
統計を細かく覚えることに意味はありません。防府市で押さえたいのは、人口の規模ではなく、それが収まっている市域の狭さのほうです。
面接で使う可能性のある項目だけを取り出しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 111,750人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 34,857人(31.2%/山口県全体は35.4%) |
| 75歳以上人口 | 21,083人(18.9%/山口県全体は21.5%) |
| 総面積 | 189.34km² |
| 人口密度 | 約590人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 防府市寿町 |
| 隣接する自治体 | 周南市、山口市 |
| 市の花・市の木 | サルビア/サンゴジュ |
表中の人口と年齢別人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値で、市・県とも同じ調査によります。総面積、隣接自治体、市の花と市の木は、当研究会が整理した基礎データによるものです。比較に用いた山口市・周南市の人口密度も、同じ方法(住民基本台帳人口を総面積で割る)で算出しました。住民基本台帳の人口と国勢調査の人口は調査の基準が違うため、二つを同じ物差しで比べることはできません。
数字から考えられる市政課題
防府市の高齢化率は31.2%で、同じ時点の山口県全体(35.4%)を4ポイント以上下回ります。75歳以上の割合も18.9%と、県全体の21.5%より軽い水準です。
県内では若い側に位置する市だといえます。とはいえ、これは県との相対的な比較にすぎません。
市民のおよそ3人に1人が65歳以上であるという状態自体は、すでに窓口にも現場にも表れているはずです。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
年齢構成以上に防府市を特徴づけるのが、市域の形です。189.34km²に11万人あまりが暮らし、人口密度は約590人/km²。
隣接する山口市は約180人/km²、周南市は203人/km²ですから、同じ県内でも人の集まり方がまったく違います。市域が狭いということは、職員が現場へ行くまでの時間が短いということでもあります。
この条件をどう読むかを、面接での説明に組み込んでみましょう。
防府市の経済・産業
付加価値額が全国1位という県の産業構造
山口県の産業を語るとき、規模より先に見ておきたいのが効率の指標です。県は1事業所当たりの付加価値額と、従業者1人当たりの付加価値額がいずれも全国1位で、瀬戸内海沿岸に石油化学コンビナートなどの基礎素材型産業が集まる工業県だとされています。
令和4年の県の製造業出荷額は7兆6,150億円、そのうち化学工業製品が32.4%を占めます。働く人の数ではなく、設備と装置が生産額を生む型の産業構造が、この県の土台にあります。(出典:山口県の製造業の状況|令和4年)
狭い市域に人が集まるという条件
防府市の産業を考えるうえで欠かせないのが、前章で見た密度です。約590人/km²という数字は、住まいも職場も生活の場も、限られた範囲に重なっていることを意味します。
市域が広い自治体では、交通手段の確保や施設の統廃合が政策の中心に来やすいのに対し、防府市のような形の市では、限られた土地をどの用途に配分するかが論点になりやすいでしょう。まちづくりや産業振興を志望分野にするなら、この違いを意識しておくと話が具体的になります。
県全体で伸びる観光と宿泊
山口県全体の観光客数は、令和5年(1月から12月)で31,025,606人(前年比116.5%)と、令和元年以来の3千万人台に回復しました。令和6年には延べ宿泊者数・観光客数がともに前年を上回り、外国人の延べ宿泊者数は過去最高となっています。県内を動く人の総量は増えているわけです。
交流人口の話題を扱うなら、来訪者の数を追うだけでなく、その人たちが県内のどこで時間とお金を使っているのかまで見ておきましょう。(出典:山口県の観光客数の動向|令和5年)
防府市の主な行政課題
ここまでの数字を土台に、防府市が向き合っている論点を4つに整理します。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして使ってください。
県全体で加速する人口減少
山口県の総合戦略は、人口減少が予測より早いペースで進んでいるとし、令和5年8月に県人口が130万人を割り込んだと現状を示しています。要因の中心は自然減で、少子化により合計特殊出生率の目標達成が厳しいこと、高齢化の進行で死亡数が高止まりして自然減が拡大していることが挙げられています。
出生数が減り、死亡数が減らないという組み合わせは、施策で短期に反転させにくい類のものです。(出典:山口県第3期総合戦略(2025改訂版)|令和7年3月)
進学と就職で県外へ向かう流れ
同じ総合戦略は、若者を中心に進学・就職による県外流出が一貫して続いていること、男性に比べて女性の流出が大きいこと、コロナ禍のあと東京圏などへの社会減が再び拡大傾向にあることを課題として挙げています。
防府市の人口も、この流れと無関係ではありません。若い世代が地元で働き続けられる条件をどう整えるかは、産業振興にも子育て支援にもまたがる論点です。
平成21年の豪雨災害と、その後の検証
防府市は、平成21年7月21日の豪雨で大きな被害を受けました。市がまとめた検証報告書によれば、被害は死者19名(災害関連で亡くなられた5名を含む)・負傷者35名、住家の被害は床下浸水1,012件・床上浸水114件・全壊30件・半壊61件の計1,216件で、毛利氏庭園や阿弥陀寺といった文化財も被災しています。
市はこれを受けて災害検証委員会を設置し、初動体制・避難勧告・情報収集伝達など7項目について検証を行い、平成22年12月に最終報告書が市長へ提出されました。防災を語るなら、被害の大きさをなぞるのではなく、その後に市が何を点検し直したのかを踏まえて話しましょう。(出典:防府市豪雨災害検証報告書|平成22年12月)
南海トラフ地震に向けた県全体の想定
山口県が令和7年に見直しを公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、県全体で最大震度6強(柳井市)、最大津波高3.7m(光)、死者502人(うち津波によるものが474人)、全壊・焼失9,738棟、経済被害約1.9兆円が見込まれています。発災1日後の避難者数は245,720人、災害関連死者数は641人から1,282人と幅をもって示されました。
南海トラフ地震防災対策推進地域には、瀬戸内海沿岸の15市町すべてが指定されました。これらは県全体の想定値です。
市の備えを語るときは、その点を断ったうえで自分の生活圏に引き寄せてください。(出典:南海トラフ巨大地震の被害想定の見直し|令和7年)
防府市の重点政策|災害の検証と圏域の連携
防府市が何を大事にしているかは、市が続けている取り組みの形に表れます。ここでは、災害対応の見直し、近隣市町との連携、そして県の計画という3つの角度から確かめます。
検証を制度に変えるという発想
災害のあとに検証委員会を立ち上げ、初動体制から情報の伝え方までを項目ごとに点検し、報告書を市長へ提出する。この一連の流れは、起きたことを記録して終わりにせず、次の判断の材料に変える手続きです。
面接で防災に触れるなら、「備えが大事です」と述べるより、市が実際に何を見直してきたかを踏まえたほうが説得力が出ます。志望分野が防災でなくても、避難情報の伝達や要配慮者への連絡は多くの部署に関わる仕事です。
山口県央連携都市圏域という広がり
防府市は、土木技術・建築技術(大卒程度・社会人経験者対象)を対象とする市町職員共同採用試験に参加しています。市の説明によれば、この試験は「山口県央連携都市圏域を構成する市町が連携して実施」するものです。
第1次試験は全志望者を対象に共同で実施され、第2次試験前期は第1志望の自治体で受験し、第2志望または第3志望の自治体が実施する場合は第2次試験後期を受験できます。
技術職を採るという場面で、単独ではなく圏域として動いていることになります。なお対象は土木技術・建築技術に限られ、一般事務は防府市が単独で実施しています。(出典:市町職員共同採用試験(テストセンター方式)|令和8年度)
県の総合計画が置いている柱
市の政策を読むときは、県が何を目指しているかも併せて見ておくと視野が広がります。「やまぐち未来維新プラン」という県の総合計画(令和4年12月策定、計画期間は2022年度から2026年度)が掲げているのは、産業維新・大交流維新・生活維新という3つの柱です。重点プロジェクトには、デジタル変革とグリーン成長(脱炭素)が置かれています。
県の計画であって防府市の計画ではありませんが、県内の市町が置かれた前提を知る手がかりにはなります。(参考:やまぐち未来維新プラン|令和4年12月策定)
POINT|「知っている」から「関われる」へ進める
取り組みの名前を挙げられることがゴールではありません。関心のある分野を一つ決めたら、①防府市でその分野はいまどうなっているか → ②市はどんな手を打ってきたか → ③その仕事で職員が実際に動く場面はどこか → ④自分の経験のどれをそこに重ねられるか、と順にたどってみてください。
悪い例「防府市の防災の仕事に携わりたいです」
改善例「防府市は大雨の被害を受けたあとに、初動の体制や避難の呼びかけ方を項目ごとに見直したと聞きました。私も、決めたことが本当に住民の方へ届いているかを確かめていく仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
読むべきものは多くありません。次の4つを押さえておけば、受け答えの土台は整います。
- 令和8年度防府市職員採用試験の実施計画(自分が受ける区分と型のもの)
- 防府市豪雨災害検証報告書(市が何を点検したかを知るため)
- 防府市の総合計画(市公式サイトの最新版)
- やまぐち未来維新プラン(県が何を柱に置いているかを知るため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、防府市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。防府市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
防府市役所の面接の概要
ここからは、防府市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
防府市役所の面接の流れ
防府市の大卒程度・一般事務でまず確かめるべきなのは、自分がどちらの型で受けるかです。同じ一般事務でありながら、基礎能力検査型は3段階で面接が2回、専門試験型は2段階で面接が1回と、選考の形そのものが分かれています。
| 項目 | 内容(令和8年度・大卒程度/一般事務) |
|---|---|
| 一般事務(基礎能力検査型) | 三段階。第1次試験=SPI → 第2次試験=面接 → 第3次試験=論文および面接 |
| 一般事務(専門試験型) | 二段階。第1次試験=教養・専門・適性および論文(作文) → 第2次試験=面接。第三次試験は実施されません |
| 面接の回数 | 基礎能力検査型は第2次・第3次の計2回、専門試験型は第2次の1回 |
| 募集の回数 | 基礎能力検査型は年2回の日程で募集、専門試験型は年1回のみ |
| 採用予定人員 | 大卒程度・一般事務は、翌年度4月採用が10名程度(両型を通じた人員)、年度途中の10月採用が10名程度(基礎能力検査型) |
| 他の職種(大卒程度) | 農業枠・土木技術・建築技術は基礎能力検査型と同じ三段階。機械技術・保健師・社会福祉士は、専門・適性・論文のあと第2次で面接という二段階 |
| 高卒程度・障害者対象の一般事務 | 第1次試験の段階で面接を実施(第1次=教養・適性・面接・論文、第2次=面接) |
| 配点 | 令和8年度の実施計画に、一般事務の配点・満点の記載はありません |
この表から読み取ってほしいのは、型の違いが有利不利の話ではないということです。基礎能力検査型は筆記がSPIだけになる代わりに、面接を2回受けて論文も書きます。
専門試験型は第1次で教養・専門・適性・論文をまとめて課される代わりに、面接は1回です。筆記で測る部分を減らせば、その分だけ人物を見る場が増えるという関係になっています。
どちらを選ぶにせよ、自分が受ける型の段階構成を先に固めておきましょう。(出典:令和8年度防府市職員採用試験実施計画|令和8年度)
この違いは、準備の順番にも表れます。論文を書く段階が、型によって別の場所に置かれているからです。
基礎能力検査型で論文を書くのは第3次試験、面接を一度通ったあとになります。専門試験型は論文(作文)が第1次試験に組み込まれていて、教養・専門・適性と同じ段階で書きます。
専門試験型で受けるなら、論文は面接対策より先に仕上がっていなければならないということです。基礎能力検査型は第1次がSPIだけですから、面接と論文に時間を回す余地が早い段階から生まれます。
申込の時期にも差があります。基礎能力検査型の受付は5月1日から5月29日までと、7月1日から8月14日までの2回。専門試験型は5月1日から6月12日までの1回だけです。
専門試験型は第1次で専門試験まで課されますから、受付を見てから学習を組み立てて間に合う型ではありません。
すでに専門科目を積み上げてきた人がその蓄積を使うのが専門試験型、筆記の負担を抑えて面接と論文に力を寄せたい人が向かうのが基礎能力検査型、という選び分けになります。年度途中の10月採用という入口があるのも基礎能力検査型のほうです。
一方で、一般事務については実施計画に配点も満点も記載がありません。面接が何点を占めるかを見てから力の入れどころを決める、という進め方はできないということです。
代わりに目安になるのは、通らなければならない関門の数でしょう。基礎能力検査型は3つ、専門試験型は2つ。
筆記に自信がある人ほど面接を後ろへ回しがちですが、基礎能力検査型では第1次を抜けた次がもう面接です。SPIの学習と並行して、話す材料を集め始めておきたいところです。
なお、防府市が参加する市町職員共同採用試験については配点が公表されており、最終合格の判定はSCOA10点・面接80点・小論文10点の計100点とされています。ただし、この試験の対象は土木技術・建築技術(大卒程度・社会人経験者対象)です。一般事務の配点ではありませんので、一般事務を受ける人が自分の準備の目安に使える数字ではありません。
上記は令和8年度の実施計画にもとづく大卒程度・一般事務の構成です。試験の構成・区分・採用予定人員は年度によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける区分と型の最新の受験案内をご確認ください。共同採用試験の配点は、対象職種である土木技術・建築技術(社会人経験者対象)のものです。
防府市役所が求める人物像
防府市の職員採用試験の実施計画と職員採用のページには、「求める人物像」にあたる定型の一文は置かれていません。では、どんな人が評価されやすいのか。市が文言で示していない以上、ここから先は当研究会の考えになります。材料にするのは、一般事務をあえて2つの型に分けた選考の形と、189.34km²という市域の条件の2つです。
手がかりは3つあります。第1に、一般事務の2つの型がどちらも面接を選考の後半に置いていること。第2に、高卒程度・障害者対象の一般事務では第1次試験の段階から面接が行われること。
第3に、基礎能力検査型が年2回の日程で募集され、10月採用と翌年4月採用という2つの入り口を持っていること。人物を見る機会を、市が意識して多めに確保している設計だと読めます。
そこに市の条件を重ねます。防府市の市域は189.34km²で、人口密度は約590人/km²。陸で接するのは周南市と山口市の2市だけです。
移動に時間がかからない範囲に住民も施設も収まっているため、企画を考える立場と現場に立つ立場が、同じ職員の中で行き来しやすくなります。この環境では、机上で整えた案をそのまま押し通す力よりも、現場で聞いた話を持ち帰って案を直せる柔らかさのほうが効いてくると考えられます。
自己PRでは「行動力があります」と一言で片づけず、その力を発揮した場面で何を行い、相手や周囲に何が起きたのかまで語ってください。
防府市の一般事務は、どちらの型を選ぶかで面接の回数が変わります。基礎能力検査型なら第2次と第3次で2回、専門試験型なら第2次の1回だけ。回数が違っても、向き合う相手は同じ防府市の職員です。
準備の力点は、面接の回数に合わせて話題を増やす方向ではなく、いくつかの経験について「防府市の窓口や現場に置いたらどう働くか」まで考えを進める方向に置くとよいでしょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
面接で問われることは、当研究会の分析では7つのカテゴリーに収まります。全国の自治体・官公庁の想定問答を集めて整理した結果です。防府市の面接も、この7つのカテゴリーを土台に準備すれば、大きな抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 面接が2回ある型を選んだ場合、2回とも同じ調子で入っていけるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 基礎能力検査型は民間と併願しやすい形式のため、公務員を選ぶ理由そのものが確かめられる |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 適性検査で示した傾向と、口頭で語る自己像がずれていないか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 年10名程度という採用規模で、配属後まもなく住民と向き合う場面を想像させる具体性 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 論文試験で測る構成力を、話し言葉に置き換えても保てるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市域が狭い分だけ、企画と現場を行き来する働き方への理解があるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きを、防府市で起きうることに引き寄せて考えられるか |
ただし、この7つは防府市の実施計画から導いたものではなく、当研究会が全国の想定問答を整理してつくった枠組みです。同じような問いを想定して本番に臨む受験者は、決して少なくありません。評価が割れるのは、次に挙げる防府市の事情に踏み込んだ問いのほうです。
合否を分けるのは「防府市役所ならでは」の質問
1問目は、専門試験型を選んだ人にとっては一度きりの面接で答えることになる問いです。県と市の役割分担を説明しただけでは、県内のほかの市ではなくなぜ防府市なのかが残ります。2問目も同じで、市域189.34km²という条件を外して魅力を語れば、山口県のどこにでも当てはまる話になってしまいます。この2問は、防府市そのものを説明できる材料があるかどうかで答えの中身が入れ替わる質問です。答えの材料になりそうな事実を、5つに絞って並べます。
| 質問テーマ | 知っておきたい防府市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成 | 住民基本台帳人口は111,750人、高齢化率31.2%、75歳以上の割合は18.9%(令和8年1月1日現在)。県全体はそれぞれ35.4%と21.5% | 県より低いことを強みとして語るのではなく、3人に1人が65歳以上という現在地から話を始めます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市域は189.34km²で人口密度は約590人/km²。陸で接するのは周南市と山口市の2市のみ | 広域の調整ではなく、住民との距離が短い場所で働きたいという理由を、自分の経験で裏づけます |
| 防府市の魅力 | まとまった市域に11万人あまりが暮らし、密度は隣接する山口市・周南市の3倍近い。市の花はサルビア、市の木はサンゴジュ | 名所を並べるのではなく、移動の短さが暮らしと行政サービスにどう効くかへ話を運びます |
| 災害への向き合い方 | 平成21年7月21日の豪雨災害を受けて災害検証委員会を設置し、初動体制・避難勧告・情報収集伝達など7項目を検証。平成22年12月に最終報告書を市長へ提出 | 被害の大きさを語るのではなく、市が何を点検し直したのかを踏まえ、自分がその延長で何をしたいかを述べます |
| 広域での連携 | 土木技術・建築技術(社会人経験者対象)では、山口県央連携都市圏域を構成する市町による共同採用試験に参加 | 採用の場面でも圏域として動いている点に触れ、市単独では完結しない仕事があるという理解を示します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
公表された人物像がない以上、面接は選考の設計に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場だと考えるのが妥当です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、見られているのは答えの整い方ではなく、実際にとった行動と、その再現のしやすさです。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 現場の話を持ち帰る姿勢 | 人から聞いた話をきっかけに、自分の考えや進め方を変えた経験 | 変える前と変えた後を分け、そのとき相手が何と言ったのかまで思い出しておく |
| 短い距離で動く行動力 | 気づいたことに対して、どれだけ早く最初の一歩を踏み出したか | 市域189.34km²という近さを念頭に、思い立ってから動くまでの時間が短かった例を選ぶ |
| 書いて伝える力 | 論文試験と面接の両方で、同じ考えを崩さずに示せるか | 基礎能力検査型は第3次試験が論文と面接で構成されるため、話す材料をそのまま書ける形にしておく。専門試験型は第1次で論文を書き終えてから面接に進むので、書いた内容を口頭で説明し直せるようにしておく |
| 不測の事態への構え | 予定どおりに進まなかった場面で、何を優先して立て直したか | 市が災害後に初動体制を点検し直した経緯を踏まえ、自分の経験でも順序を組み替えた例を用意する |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
防府市で基礎能力検査型を選ぶ場合は面接が2回あるため、同じ話題を別の面接官から角度を変えて問われる可能性も想定しておきましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておくことが、いちばん確実な備えになります。
本番までの準備6ステップ
ここまで見てきたことを、実際の手順に置き換えます。
- 最新年度の実施計画で、自分が受ける区分と型を決める。専門科目の学習をすでに進めてきたなら専門試験型、筆記を絞って面接と論文に時間を配りたいなら基礎能力検査型が、判断のいちばん大きな分かれ目になる
- これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い防府市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- ステップ5でまとめた話を一度書き出してから、声に出して練習する。論文を書くのは、専門試験型なら第1次、基礎能力検査型なら面接を一度受けたあとの第3次。書く練習をどの時期に入れるかは、自分の型に合わせて決める
優先順位に注意
ステップ4とステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の棚卸しと、ステップ6の書いて話す練習を先に済ませてください。どちらの型を選んでも論文と面接は必ず課されるため、語れる経験がないまま知識だけを増やしても得点にはなりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、防府市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
防府市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。募集の回次が近づいている方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度の防府市職員採用試験は、大卒程度の一般事務であれば、基礎能力検査型なら三段階で面接が2回、専門試験型なら二段階で面接が1回という形で進みます。どちらの型でも論文と面接は必ず課され、筆記で測る部分を減らした型ほど人物を見る場が増える設計になっています。
市域189.34km²に11万人あまりが暮らし、大雨の被害を検証して体制を組み直してきたまちです。
書いて示すことと話して示すことがそろっているか、自分が実際にしてきたことを並べるところから確かめていきましょう。