本記事では、山口市職員採用試験の面接対策で必要な、山口市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度の受験案内をもとに、大学卒業程度・行政の通常枠を軸として整理し、同じ年度に併設されている先行実施枠との違いも並べます。

山口市役所の面接試験では、「なぜ山口市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「山口市の強みと弱みをどう見ているか」といった、県庁所在地という肩書きの内側まで見ていないと答えに詰まる質問が想定されます。市の実情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、山口市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

以下に挙げる数字や地名は、覚えて並べるためのものではありません。志望動機や自己PRを組み立てるときに、自分の経験を置ける場所を見つけるために使ってください。

第1部|自治体研究編

山口市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは山口市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 山口県の県庁所在地であり、市域は1,023.18km²と県全体のおよそ17%を占める。市役所は亀山町に置かれている。
  • 住民基本台帳人口は184,285人(令和8年1月1日現在)。同じ時点の山口県全体は約127万5千人。
  • 県内では下関市に次ぐ2番目の人口規模で、県庁所在地が県内で最も人口の多い市ではない。同じ時点の下関市は239,655人。
  • 人口密度は約180人/km²。市域の北側は島根県の津和野町・吉賀町と県境を接し、南側は防府市・宇部市と接する。
  • 広い市域に対応するため、本庁舎のほかに各総合支所・各地域交流センターが置かれ、採用試験の合格者の受験番号もこれらの施設で閲覧できる。
  • 令和8年度の職員採用試験は、筆記中心の通常枠と、公務員試験対策を必要としない先行実施枠の2本立てで、両者は併願できる。
  • 市の人材育成基本方針は「期待される職員像」として4つの職員像を掲げ、人材育成の取り組みに「採用は人物重視です」を挙げている。
  • 市の花は菜の花、市の木はイチョウ。

山口市の基礎データ

面接で統計を丸暗記しても、点数にはつながりません。山口市で効いてくるのは、人口の数字を、市域の広さと組にして説明できることです。

市政の性格に直結する項目に絞って並べました。

項目内容
総人口184,285人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口56,977人(30.9%/山口県全体は35.4%)
75歳以上人口33,352人(18.1%/山口県全体は21.5%)
総面積1,023.18km²(山口県全体の約17%)
人口密度約180人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地山口市亀山町
隣接する自治体周南市、美祢市、宇部市、防府市、萩市、島根県鹿足郡津和野町・吉賀町
市の花・市の木菜の花/イチョウ

人口・年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の市および県の数値です。総面積・隣接自治体・市の花と市の木は当研究会が整理した基礎データによります。県全体に占める面積の割合は、国土地理院の面積調による山口県の総面積6,113.00km²(令和7年1月1日時点)から算出しました。住民基本台帳による人口は、国勢調査による人口とは調査の基準が異なるため、そのまま並べて比較することはできません。

数字から考えられる市政課題

年齢構成から見ていきます。

山口市の高齢化率30.9%は、同じ時点の山口県全体(35.4%)を4.5ポイント下回ります。75歳以上の割合も18.1%で、県全体の21.5%より軽い。

県内では若い側の市だといえます。ただし、率が低いことと負担が小さいことは別です。

65歳以上の実数は56,977人で、これは同じ時点の県内では下関市に次ぐ規模になります。

割合では県平均を下回りながら、人数では県内有数という二重の姿を、山口市の年齢構成は持っています。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

もう一つの軸が市域の広さです。1,023.18km²に18万人あまりが暮らし、人口密度は約180人/km²。

市域の北側は島根県と県境を接し、南側は瀬戸内側の防府市・宇部市に接します。まちの中心部と山あいの集落が、同じ一つの市の中にあるということです。

率と人数、そして距離。この3つをつないだ話し方の例を挙げます。

「山口市は高齢化率が3割ほどで、県全体よりは低いほうだと聞きました。ただ65歳以上の方の人数で見ると県内でも多いほうですし、市域も1,000平方キロを超えますので、同じサービスでも住んでいる場所によって届きやすさが変わってくるのではと感じています」

山口市の経済・産業

化学を軸とする県の産業構造

山口県の経済は、瀬戸内海沿岸の素材産業が支えています。令和4年の県の製造業出荷額は7兆6,150億円で、業種別では化学工業製品が32.4%と最も大きな割合を占めます。

さらに、1事業所当たりの付加価値額と従業者1人当たりの付加価値額はいずれも全国1位です。

少数の大規模な事業所が県全体の生産額を押し上げる構造が、山口県の産業の姿だといえます。(出典:山口県の製造業の状況|令和4年)

県都に置かれた機能と、1,023km²の生活圏

山口市はこの県の行政の中心にあります。

県庁が置かれたまちで働くということは、県と市のどちらが担う仕事なのかという線引きを、住民に対して説明する場面が少なくないということでもあるでしょう。同時に、市域は1,023.18km²と広く、北端は島根県との県境に達します。

県都としての中心機能と、山あいまで含む広い生活圏が同じ行政区域に同居している点は、志望動機を組み立てるときの土台になります。

県全体で伸びる観光と、人の流れ

山口県全体の観光客数は、令和5年(1月から12月)で31,025,606人(前年比116.5%)となり、令和元年以来の3千万人台まで戻りました。

令和6年は延べ宿泊者数・観光客数がともに前年を上回り、外国人の延べ宿泊者数は過去最高を記録しています。県内を動く人の量そのものは増えているということです。

観光や交流の分野を志望するなら、名所を並べるのではなく、この流れをどこで受け止め、どう滞在時間に変えるかまで考えておきましょう。(出典:山口県の観光客数の動向|令和5年)

山口市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、山口市が置かれている状況が見えてきます。面接で「市の課題」を問われたときに取り出せるよう、次の4つを整理しておきましょう。

想定より速く進む県全体の人口減少

山口県の総合戦略は、予測より早いペースで人口減少が進んでいると認識を示し、令和5年8月に県人口が130万人を割り込んだことを転換点として挙げています。

要因としては自然減が大きく、少子化により合計特殊出生率の目標達成が厳しいこと、高齢化の進行で死亡数が高止まりしていることが指摘されています。県庁所在地である山口市の行政サービスも、この人口の前提の上に組まれています。(出典:山口県第3期総合戦略(2025改訂版)|令和7年3月)

進学・就職で県外へ出ていく若い世代

同じ総合戦略は、若者を中心に進学・就職による県外流出が一貫して続いていること、男性に比べて女性の流出が大きいこと、コロナ禍のあと東京圏などへの社会減が再び拡大傾向にあることを課題に挙げています。進学や就職で人が動く年齢層をどう引き留め、どう呼び戻すか。

県庁所在地で働く市職員にとっても、この問いは日常業務の背景として効いてきます。

広い市域を支えるための体制と費用

1,023.18km²という市域は、行政運営に固有の重さをもたらします。

山口市は本庁舎のほかに各総合支所・各地域交流センターを置いており、採用試験の合格発表でも、これらの施設で受験番号を閲覧できる体制がとられています。窓口も、道路や施設の管理も、この広がりの上で回さなければなりません。

同じ制度を用意しても、届くまでの距離は住む場所によって変わるという前提が、山口市の仕事にはついて回ります。

南海トラフ地震への備え

山口県が令和7年に見直しを公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、県全体で最大震度6強(柳井市)、最大津波高3.7m(光)、死者502人(うち津波によるものが474人)、負傷者1,446人、全壊・焼失9,738棟、経済被害約1.9兆円が見込まれています。

津波浸水面積は9,768ha、発災1日後の避難者数は245,720人と想定され、災害関連死者数も641人から1,282人と幅をもって示されました。瀬戸内海沿岸の全15市町が南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されています。

防災を語るときは、これらが県全体の想定値であることを断ったうえで、自分の暮らす地域の備えに引き寄せて話しましょう。(出典:南海トラフ巨大地震の被害想定の見直し|令和7年)

山口市の重点政策|広域連携と人づくり

山口市の方向性は、市が実際に動かしている仕組みから読み取れます。ここでは、近隣市町との連携の枠組み、市自身の人材育成の方針、そして県の総合計画という3つを順に見ていきます。

山口県央連携都市圏域という枠組み

山口市は、土木・建築職(社会人)を対象とする市町職員共同採用試験に参加しています。

参加団体は萩市、防府市、美祢市、山陽小野田市、山口市と、島根県の津和野町。第1次試験は全志望者を対象に共同で実施され、第2次試験前期で不合格となった場合でも、第2志望または第3志望の自治体が第2次採用試験後期を実施する仕組みがとられています。

職員を採るという入口の段階から、県境を越えて近隣市町と枠組みを共有していることになります。

なお対象は土木職・建築職(社会人)で、行政職は山口市の単独実施です。(出典:土木・建築職(社会人)市町職員共同採用試験|令和8年度)

「期待される職員像」を掲げる人材育成の方針

山口市人材育成基本方針は、「期待される職員像」として次の4つを掲げています。

  • 自ら考え・調べ・行動できる職員
  • 共感をよぶことのできる職員
  • 高い倫理観と専門性を持つ職員
  • チームワークのよい職員

この方針で見逃せないのは、人材育成の取り組みの2番目に「採用は人物重視です」と明記されている点です。

あわせて方針は、「期待される職員像の内容は長期に普遍的なものではなく、環境の変化や住民意識の変化により、変化します」とも述べています。言葉そのものを暗記する使い方は、市の想定とずれるということでもあります。(出典:山口市人材育成基本方針|平成20年3月)

県の総合計画が示す方向

市の政策の背景として、県の計画も押さえておくと視野が広がります。

山口県の総合計画「やまぐち未来維新プラン」は、産業維新・大交流維新・生活維新の3つを柱に、デジタル変革とグリーン成長(脱炭素)を重点プロジェクトに位置づけています(令和4年12月策定、計画期間は2022年度から2026年度)。

これは県の計画であって山口市の計画ではありませんが、県庁所在地で働く以上、県が向かおうとしている方向を知っておくことは無駄になりません。(参考:やまぐち未来維新プラン|令和4年12月策定)

POINT|計画の名前より、関心の掘り下げ方

名称を言えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を一つ決めて、①山口市でいま何が起きているか → ②市はどうしようとしているか → ③その中で市職員が実際に動く場面はどこか → ④自分の経験のどれをそこに置けるか、の順にたどってみましょう。

悪い例「山口市の子育て支援に関わる仕事がしたいです」

改善例「山口市は市域が1,000平方キロを超えると知りました。まずは窓口で市民の方の話を聞く仕事から始めて、住んでいる場所によって届きにくさが出ていないか、自分の目で確かめられるようになりたいです」

あわせて確認したい公式資料

数は多くありません。次の4つは、面接までに一度は開いておきましょう。

  • 令和8年度山口市職員採用試験の受験案内(通常枠・先行実施枠のうち自分が受けるもの)
  • 山口市人材育成基本方針(「期待される職員像」の原文)
  • 山口市の総合計画(市公式サイトの最新版)
  • やまぐち未来維新プラン(県が何を柱に置いているかを知るため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、山口市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。山口市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

山口市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

山口市役所の面接の概要

ここからは、山口市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

山口市役所の面接の流れ

令和8年度の山口市職員採用試験は、大学卒業程度・行政について通常枠と先行実施枠の2つが用意され、両者は併願できます。

採用予定人員はどちらも7名程度。第1次試験の科目は大きく異なりますが、第2次試験はどちらも口述試験と作文試験です。

項目内容(令和8年度・大学卒業程度/行政)
試験の段階二段階選抜。第1次試験 → 第2次試験(通常枠・先行実施枠とも共通)
第1次試験(通常枠)教養試験(120分)、専門試験(120分)、適性検査(20分・性格特性検査)
第1次試験(先行実施枠)基礎能力検査(60分)、適性検査(35分・職場対人適応性検査)、エントリーシート(50分)
第2次試験口述試験および作文試験(両枠とも同じ構成)
面接の種類口述試験は「個別面接による試験を行います」と記載。受験案内に集団討論の記載はありません
作文試験「表現力、文章構成力等の試験を行います」
合否の決め方第1次試験の合格者は第1次試験の成績により決定し、いずれかの科目が一定の得点に達しない場合は他の成績にかかわらず不合格。第2次試験の合格者は第2次試験の総合成績により決定
採用予定人員行政(大学卒業程度)は通常枠7名程度、先行実施枠7名程度
申込・提出書類申込は電子申込。先行実施枠のエントリーシートは第1次試験当日に作成し、持ち込んだ資料等を閲覧することはできません

この構成でいちばん重いのは、合否の決め方の一行です。

最終合格は第2次試験の総合成績によって決まり、第1次で積んだ得点は最後の判定に持ち越されません。

第2次の科目は口述試験と作文試験の2つだけで、しかも口述試験は個別面接です。第1次を通過した時点で全員が同じ線に並び直す試験だと考えて準備しましょう。

もう一つ押さえたいのが先行実施枠の性格です。

受験案内はこの枠を、民間企業志望の方でも受験可能な公務員試験対策不要の筆記試験と、エントリーシートによる自己PRを取り入れた、人物面や意欲を重視した採用試験と説明しています。

エントリーシートは試験当日に会場で作成し、持ち込んだ資料を見ることはできません。

手元の原稿に頼れない以上、書ける題材をあらかじめ持っているかどうかが、初日から効いてきます。(出典:令和8年度山口市職員採用試験受験案内(大学卒業程度)|令和8年度/令和8年度山口市職員採用試験(先行実施枠)受験案内|令和8年度)

上記は令和8年度の大学卒業程度・行政の構成です。令和8年度の受験案内に、各試験の配点や満点の記載はありません。試験の構成・受験区分・採用予定人員は年度によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける枠と区分の最新の受験案内をご確認ください。

山口市役所が求める人物像

山口市は、採用の受験案内とは別に、人材育成基本方針の中で「期待される職員像」を公表しています。

前半で挙げた4つの職員像がそれにあたります。方針が示された時期は平成20年3月で、方針自身が「期待される職員像の内容は長期に普遍的なものではなく、環境の変化や住民意識の変化により、変化します」と断っています。

文言をそのまま覚えるより、いまの山口市の職場でこの4つが何を指すのかを考えるほうが実用的です。手がかりになるのは、行政7名程度という採用の規模と、本庁舎から各総合支所・各地域交流センターまで広がる配置です。

以下はそこから当研究会が考えた内容で、市が方針に書いていることではありません。行政の採用予定は、通常枠が7名程度、先行実施枠が7名程度。

この人数で、1,023.18km²の市域と、本庁舎および各総合支所・各地域交流センターという配置を支えます。一人が向き合う分野はおのずと複数にまたがり、自分の所管ではない相談を最初に受ける場面も生じやすくなります。

この環境では、答えを知っていることより、どこに当たれば答えが出るかを調べ、確かめてから住民に返せることが効いてくると考えられます。

「自ら考え・調べ・行動できる職員」という一つ目の職員像は、こうした場面と重なりやすいはずです。

「共感をよぶ」「チームワーク」という二つの言葉も、この配置の上で読むと具体性を帯びます。本庁と支所、地域の施設に人が分かれている組織では、自分の手元で完結する仕事のほうが少なくなります。

相手が何を知りたくて窓口に来たのかを聞き出す力と、離れた場所にいる同僚と話をそろえる力は、どちらも日々の実務に直結するでしょう。自己PRで「協調性があります」と名乗っても、この配置の中で何ができる人なのかは伝わりません。

誰と誰の間に入り、その結果として何が動いたのかまで話してください。山口市の第2次試験は、口述試験と作文試験の2種目だけで組まれています。

先行実施枠であれば、その手前でエントリーシートを試験会場で書き上げることになります。話す場面と書く場面の両方で同じ経験を取り出すことになるので、準備の中心は持ちネタを増やすことよりも、いくつかの経験を「山口市の仕事のどの場面に置けるか」まで詰めておくことに置きましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。山口市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?第2次試験は口述と作文の2種目だけ。最初の一言で固まらずに入っていけるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?県庁が同じまちにある環境で、市の側を選んだ理由が自分の言葉になっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?性格特性検査や職場対人適応性検査で示した自分と、口頭での説明が食い違わないか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください行政の採用予定が枠ごとに7名程度という規模で、早い時期から任される場面を想像させる具体性
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門試験で問われる憲法や行政法、経済学の知識を、専門外の相手に伝わる言葉へ置き換えられるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?本庁舎と各総合支所のどこに配属されても働けるかという現実的な見通し
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?教養試験の時事や、作文試験で問われる表現力・文章構成力と地続きの力

この7つは山口市の受験案内から導いたものではなく、当研究会が全国の想定問答を整理してつくった枠組みです。

ここに並ぶ問いへの備えは、面接室に入る人の多くがひととおり済ませてきます。評価が割れるのは、次に挙げる山口市の事情に踏み込んだ問いのほうです。

合否を分けるのは「山口市役所ならでは」の質問

「山口県庁ではなく、山口市役所を志望したのはなぜですか」
「山口市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

1問目は、山口市では他の市より現実味のある問いです。県庁は同じまちにあり、受験生の多くが両方を視野に入れて動きます。

だからこそ、県と市の違いを制度の言葉で説明するだけでは足りません。2問目も、県庁所在地という肩書きの話に寄せた瞬間に、県の紹介と区別がつかなくなります。

1,023.18km²の市域で暮らす人の側から魅力と課題を言えるかどうか、つまり山口市について語れる具体を持っているかどうかで、答えの厚みがはっきり変わる質問です。面接で使いやすい材料を、下の表に絞り込みました。

質問テーマ知っておきたい山口市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳人口は184,285人、高齢化率30.9%、75歳以上の割合は18.1%(令和8年1月1日現在)。県全体の同じ指標は35.4%と21.5%県より低い数字をそのまま強みとして語らず、65歳以上が5万7千人近くいるという人数の側にも触れます
なぜ県庁ではなく市役所か山口市は山口県の県庁所在地。市域は1,023.18km²で、本庁舎のほかに各総合支所・各地域交流センターが置かれている制度の解説で終えず、住民の相談を最初に受ける側で働きたいという動機を、自分の経験から裏づけます
市の人材育成の方針人材育成基本方針が「期待される職員像」として4つを掲げ、人材育成の取り組みに「採用は人物重視です」と記している4つを復唱するのではなく、そのうち一つを選び、自分が実際にとった行動と重ねて話します
山口市の魅力県庁所在地でありながら、市域の北側は島根県の津和野町・吉賀町と県境を接し、南側は防府市・宇部市と接する。市の花は菜の花、市の木はイチョウ観光名所の紹介にせず、中心市街地と山あいの両方を抱える構造そのものに触れます
防災への備え県が令和7年に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定は、県全体で死者502人(うち津波474人)、全壊・焼失9,738棟、発災1日後の避難者245,720人。瀬戸内海沿岸の全15市町が推進地域に指定数字が県全体の想定であることを断ったうえで、広い市域に情報を行き渡らせる難しさに引き寄せます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、市が掲げる「期待される職員像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、見られているのは答えの体裁ではなく、実際にとった行動と、その再現のしやすさです。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自ら考え・調べ・行動できる指示を待たずに動いた場面と、動く前に何を調べたか分からないことに当たったときの調べ方を、当たった先の順番まで言えるようにしておく
共感をよぶことのできる一方的に伝えるのではなく、やり取りの中で結果が変わった経験相手の言い分を聞いて自分の案を変えた場面を、変える前と変えた後に分けて話せるようにする
高い倫理観と専門性を持つ決まりごとに沿って判断した場面と、学んできたことの深さ専門試験で扱う分野から関心のあるものを一つ選び、市の仕事とのつながりを一言で言えるようにする
チームワークのよい集団の中でどの位置に立ち、うまくいかない相手にどう関わったか役割を分担した経験を、自分が引き受けた部分と人に任せた部分に分けて整理しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

山口市の第2次試験は口述試験と作文試験の2種目に絞られているため、一つの話題に費やされる時間はその分だけ長くなります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内で、通常枠と先行実施枠のどちらを受けるか(あるいは併願するか)を決め、第1次試験の科目を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い山口市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 同じ経験を「話す」「書く」の両方で出す練習をする(先行実施枠を受けるなら、資料を見ずに短時間で書き起こす練習も)

優先順位に注意

ステップ4とステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。手が回らないときは、ステップ2の棚卸しと、ステップ6の書く練習を先に終わらせてください。

最終合格が第2次試験の総合成績で決まる以上、口述と作文で出せる経験がなければ、市の知識をいくら足しても届きません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、山口市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

山口市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。口述試験までの時間が限られている方は、必要に応じてご活用ください。

山口市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の山口市職員採用試験は、大学卒業程度・行政であれば、通常枠でも先行実施枠でも第2次試験は口述試験と作文試験の2種目で、最終合格は第2次試験の総合成績によって決まります。

第1次でどれだけ得点を積んでも、最後に残るのは面接室と作文用紙で何を出せたかです。県と市が同じまちに並ぶ場所で、それでも市の側に立って働きたい理由を、自分が実際にしてきたことから言えるところまで持っていきましょう。