本記事では、高梁市職員採用試験(事務職・令和8年6月実施分)の面接対策で必要な、高梁市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
高梁市役所の面接では、「なぜ高梁市を志望したのか」「市職員としてどんな仕事に取り組みたいのか」「自分の経験を高梁市政でどう活かすのか」といった、市の条件を知らないままでは中身の伴わない質問が想定されます。市がどんな条件のもとにあり、いま何を抱えているのかを先に知っておくと、どこの自治体にも当てはまる話では終わりません。
読み進めながら、高梁市の仕事のどこに自分の経験や関心が引っかかるかを見つけてください。そこが面接で話す出発点になります。
第1部|自治体研究編
高梁市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは高梁市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 岡山県の中西部、県境に位置する人口25,272人の市(令和8年1月1日現在)。総社市・井原市・新見市・真庭市・吉備中央町と接し、広島県の庄原市・神石高原町とも県境を接する。
- 面積は546.99km²と岡山県全体の約7.7%を占める一方、人口密度は約46人/km²にとどまる。広い市域に人口が薄く分布している。
- 高齢化率は44.2%(令和8年1月1日現在)で、岡山県全体の31.0%を13.2ポイント上回る。75歳以上の割合も27.1%と、県全体の18.7%を大きく超える。
- 備中松山城は、現存12天守で唯一の山城である。標高約480メートルの臥牛山に築かれている。
- 吹屋は標高約550メートルの山村で、昭和52年(1977年)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。石州瓦とベンガラ色で統一された町並みが残る。
- 平成30年7月豪雨では、市内の落合町近似を流れる陰地川で土石流が発生し、その一部が避難所となっていた高梁中学校・高梁小学校の敷地に流入した。
- 職員採用試験は、事務職から消防職までを同一の実施要項で募集している。事務職(大学卒)と事務職(高梁ゆかり枠)を合わせた採用予定は10人程度である。
- 市の花はサクラ、市の木はアカマツ。市役所は松原通に置かれている。
高梁市の基礎データ
数字を一つずつ覚え込むことが、自治体研究の目的ではありません。ただ、高梁市がどれくらいの広さで、どれくらいの人が暮らす市なのかは、数字で言えるようにしておきたいところです。
ここでは、人口と年齢構成、市域の広さ、隣接する自治体など、市の条件をつかむための数字を並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 25,272人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 11,171人(44.2%、岡山県全体31.0%) |
| 75歳以上人口 | 6,849人(27.1%、岡山県全体18.7%) |
| 総面積 | 546.99km²(岡山県の約7.7%) |
| 人口密度 | 約46人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接する自治体 | 総社市、井原市、新見市、真庭市、加賀郡吉備中央町、広島県庄原市、広島県神石郡神石高原町 |
| 市の花・市の木 | サクラ・アカマツ |
| 事務職の採用規模 | 事務職(大学卒)と事務職(高梁ゆかり枠)を合わせて10人程度 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。比較のために並べた岡山県全体の数値も、同じ調査の岡山県の値です。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。国勢調査を基礎とする推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と他の系列の人口を並べて増減を計算しないようご注意ください。
数字から考えられる市政課題
高梁市の年齢構成は、岡山県のなかでもかなり高齢化が進んだ側にあります。
65歳以上が44.2%、75歳以上が27.1%(いずれも令和8年1月1日現在)。県全体と比べると、65歳以上で13.2ポイント、75歳以上で8.4ポイント高い水準です。
市民のおよそ4人に1人が75歳以上、そして半数近くが65歳以上という構成です。この年齢構成を、546.99km²という広い市域が受け止めています。
人口密度は約46人/km²。
支える人の数が少なく、支えに行くまでの距離が長いという二重の条件が、高梁市の行政運営を規定しています。
買い物や通院の足、除雪や道路の維持、独居世帯の見守り。どれも「距離」が費用と時間に直結します。
この二重の条件を面接で説明するなら、たとえばこんな話し方になります。
高梁市の経済・産業
山の上に残された歴史資源
高梁市の観光を代表するのが備中松山城です。
現存12天守のうち唯一の山城で、標高約480メートルの臥牛山に築かれています。城が山の上にあるということは、来訪者の移動と受け入れをどう組み立てるかという課題が最初から付いてくるということでもあります。(出典:備中松山城の史跡概要(高梁市))
もう一つが吹屋です。標高約550メートルの山村で、昭和52年(1977年)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
石州瓦とベンガラ色で統一された町並みが今も残っています。(出典:吹屋の町並み(高梁市))
高梁市の観光資源は、いずれも標高の高い場所にあるという共通点を持ちます。
景観の価値と、そこへ人を運び、暮らしを維持する手間は表裏一体です。観光を志望動機にするなら、名所の紹介ではなく、来訪者を市内の経済にどうつなぐかまで踏み込みたいところです。
中山間地域という条件
岡山県は、県北部の中国山地と盆地、中部の吉備高原などの丘陵地、南部の平野という三つの地勢に分かれます。高梁市はこのうち内陸側に位置します。
県の最上位計画は、中山間地域について、農山村の諸機能の弱体化や地域コミュニティの衰退といった課題があると認識しています。(出典:第4次晴れの国おかやま生き活きプラン(岡山県)|令和7年度から4年間)
集落の機能が弱まるということは、これまで地域で担われてきた見守りや草刈り、消防団の活動といった役割の受け皿がなくなるということです。その分は行政に回ってきます。
市役所の仕事量は、地域の力の減り方と裏返しで増えていくという構図を理解しておくと、業務の話に実感が伴います。
県の産業のなかでの位置
県全体では、製造業の中心は倉敷市南部の水島臨海工業地帯にあり、製造品出荷額等は3兆2,104億円で県全体の45.5%を占めます(令和2年)。
観光では、令和4年の県内観光入込客数が1,579万人でした。高梁市は県南の工業地帯からは離れた内陸に位置し、産業の条件が県南部とは異なります。(参考:岡山県観光客動態調査|令和4年)
県の統計は市の数字ではありません。それでも、県のどこに高梁市が置かれているかを知っておくと、市の条件を説明する言葉が具体的になります。
どこまでが県の話で、どこからが高梁市の話なのかを言い分けられるだけでも、調べ方の丁寧さは伝わります。
高梁市の主な行政課題
ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、高梁市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
高齢化率44.2%という現在地
65歳以上が44.2%、75歳以上が27.1%(令和8年1月1日現在)という構成は、行政サービスの設計を根本から変えます。介護と医療の需要が増えるだけでなく、免許を返した人の移動手段、独居世帯の見守り、避難時に手を貸す相手の確保まで、課題が連鎖していきます。
こうした連鎖を福祉部門だけで抱えることはできません。交通、住宅、防災、地域づくり。
どの部署に配属されても高齢化と無関係ではいられないのが、この規模の市の実情です。志望分野を語るときは、自分の関心とこの年齢構成をどう結ぶかを一度考えておきましょう。
広い市域に行政サービスを届けること
546.99km²という面積に25,272人が暮らしています。市街地から離れた集落まで含めて、道路も水道も学校も維持しなければなりません。
人口密度が約46人/km²ということは、同じサービスを届けるための一人あたりの費用が高くなりやすいということです。限られた財源のなかで、どこに何を残し、どこを集約するのか。
この判断は住民の生活に直結するため、説明の丁寧さが結果を左右します。決めることと、決めた理由を伝えることが同じ重さで求められるのが、広い市域を抱える市役所の仕事です。
土砂災害と、避難所そのものの安全
平成30年7月豪雨では、県内で土砂災害が56箇所(土石流11・がけ崩れ35・地すべり10)発生しました。
高梁市では、落合町近似を流れる陰地川で土石流が発生し、その一部が避難所となっていた高梁中学校・高梁小学校の敷地に流入しています。(出典:平成30年7月豪雨災害記録誌(岡山県)|令和2年)
逃げ込んだ先が安全とは限らないという事実が、この市には具体的な形で残されました。
避難所の選定、開設の判断、そして代替の逃げ先の確保。防災を志望動機にするなら、この論点まで持ち込むと話の深さが変わります。
南海トラフ巨大地震と断層型地震への備え
岡山県が13年ぶりに見直した被害想定(令和7年度公表)では、南海トラフ巨大地震による県内の死者数は最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)とされ、前回想定の3,111人から増えました。
県は南海トラフのほかに、大原断層や中央構造線の一部を含む断層型地震7地震も想定の対象としています。(出典:南海トラフ巨大地震等の被害想定(岡山県)|令和7年度)
内陸の市であっても、揺れと、それに伴う土砂災害からは逃れられません。しかも道路が寸断されれば、集落が孤立します。
水害の経験で積み上げた備えのうち、地震でも効く部分とそうでない部分を切り分ける作業が必要になります。
人と担い手をどう確保するか
岡山県の人口は2005年の約196万人をピークに減少し、2020年時点で約189万人。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年には2020年から20.0%減の約151万人まで減る見通しです。(出典:岡山県人口ビジョン|令和7年3月改訂版)
県全体が減るなかで、高梁市は事務職から消防職、保健師、保育士、看護師、薬剤師までを同一の実施要項で募集しています。市が必要とする専門職を、市が自分で集めなければならないということです。
人材の確保そのものが行政課題であるという点は、採用試験を受ける側にとっても他人事ではありません。
高梁市の重点政策|広い市域を支える仕組みと県の計画
高梁市がどこに力を入れているかは、市の採用の設計からも読み取れます。
高梁市は、事務職を含む全職種に「高梁ゆかり枠」を設けています。
市内に住んでおり採用後も住み続ける人、市の出身で採用後に市内に住む人、あるいは市内居住者や市出身者で公務の職務経験が3年以上ある人が対象です。
担い手を市の内側からも集める設計
ゆかり枠は、市とのつながりを要件にした別枠です。
事務職(大学卒)の枠はそれとは別に置かれており、両方を合わせた採用予定が10人程度とされています。職務経験3年以上の要件で受験する区分には第1次試験の免除もあり、経験者を呼び戻す入口としても組み立てられています。(出典:高梁市職員採用試験実施要項|令和8年度)
採用の枠組みは、その市が何を必要としているかの表明でもあります。第1次試験を免除してまで職務経験者に門戸を開いているのは、育つのを待たずに戦力を確保したいという事情の表れだと読めます。
要件に居住を置いた枠と、経験者を呼び戻す入口。人の定着が採用の段階から設計されていることが、ここに表れています。
豪雨の経験を市政に織り込む
平成30年7月豪雨で高梁市が経験したのは、土石流が避難所の敷地にまで達したという事態でした。逃げ先の安全をどう確かめるか、代わりの場所をどこに置くか、そして住民にどう周知するか。
この問いは、防災担当だけでなく、学校を所管する教育部門や、地域と接する部門にも及びます。
災害への備えは、部署をまたいで情報を持ち寄れるかどうかで質が変わります。どの分野を志望する場合でも、この点は自分の仕事に関わってきます。
県の計画が示す方向と、高梁市
岡山県は令和7年度からの4年間を計画期間とする最上位計画「第4次晴れの国おかやま生き活きプラン」を策定しています。
重点戦略はⅠ結婚・子育ての希望がかなう社会の実現、Ⅱ夢を育む教育県岡山の推進、Ⅲ地域を支える産業の振興、Ⅳ安心で豊かさが実感できる地域の創造の4つで、少子化対策を新たな最重要課題に位置づけています。(出典:第4次晴れの国おかやま生き活きプラン(岡山県)|令和7年度から4年間)
県の計画は、そのまま高梁市の計画ではありません。ただ、県が中山間地域の課題を正面から挙げていることと、高梁市が置かれている条件は重なります。
どこまでを県が引き受け、どこからを市が引き受けているのかを整理しておけば、「なぜ県庁ではなく市役所か」への答えも、条文の説明ではなく自分の判断として語れます。
POINT|計画名を覚えるより、条件から考える
名称を並べられても、面接官の側に発見はありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな取り組みがあるか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう使うか」の順で調べていきましょう。
悪い例「高梁市の地域振興に携わりたいです」
改善例「高梁市は面積が広くて人口が少ないので、集落まで足を運ぶ仕事が多いと聞きました。地域の方と直接話しながら、何を残して何をまとめるかを一緒に決めていく仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
資料は順番を決めて開くと迷いません。実施要項で自分の区分を確かめたら、次に市の計画、最後に防災の資料という流れが取り組みやすいはずです。
- 高梁市職員採用試験の実施要項(最新年度・事務職か高梁ゆかり枠かを確認)
- 高梁市の総合計画の最新版と、関心のある分野の個別計画
- 高梁市のハザードマップと、土砂災害の警戒区域に関する資料
- 高梁市が公表している統計情報(人口・世帯・産業などを分野別に確認できます)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、高梁市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。高梁市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
高梁市役所の面接の概要
ここからは、高梁市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。取り上げるのは、令和8年度・令和8年6月実施分の事務職です。
高梁市役所の面接の流れ
高梁市の試験構成で特徴的なのは、第1次試験が筆記試験と集団討論の2日構成になっている点です。
筆記の日と討論の日が別に置かれ、その両方を経て第1次試験の合格発表があり、第2次試験の個別面接へ進みます。段階としては2段階ですが、受験者から見れば試験の日は3日にわたります。
| 項目 | 内容(事務職・大学卒/令和8年6月実施分) |
|---|---|
| 試験の段階 | 2段階。ただし第1次試験は筆記試験と集団討論を別の日程で実施します |
| 第1次試験(筆記) | 教養試験(選択式90分)、事務適性検査(10分)、その他検査「職務適応性」(20分)。専門試験・実技試験はありません |
| 第1次試験(集団討論) | 指定したテーマに基づくグループ討議。市役所の会議室で実施されます |
| 第2次試験 | 口述試験(個別面接)。全試験区分に共通の種目です |
| 面接の機会 | 集団討論1回と個別面接1回 |
| 採用予定人員 | 事務職(大学卒)と事務職(高梁ゆかり枠)を合わせて10人程度 |
| 受験資格(事務職・大学卒) | 平成8年4月2日以降に生まれた人で、4年制大学を卒業した人または令和9年3月31日までに卒業見込みの人 |
| 申込時の準備 | 3か月以内に撮影した上半身脱帽正面向きの写真データ(縦4対横3程度の比率)が必要です |
上記は、高梁市が公表する令和8年度・令和8年6月実施分の職員採用試験実施要項にもとづく事務職(大学卒)の内容です。高梁市は各試験種目の配点や満点、最終合格者の決定方法を実施要項に記載していません。また、高梁市は同一年度に9月実施分の採用試験も行っており、募集職種や区分が異なります。高梁ゆかり枠は教養試験の時間や第1次試験の免除など事務職(大学卒)と条件が異なる部分がありますので、受験の際は、ご自身が受ける区分の最新の実施要項でご確認ください。
もう一つ押さえておきたいのが、高梁ゆかり枠の申込者は全国のテストセンター試験会場で筆記試験を受けられるという仕組みです。
ただし実施要項は「テストセンター方式で筆記試験を受験された方も、集団討論試験を受験する必要があります。」と明記しており、集団討論は市役所の会場で行われます。
遠方から受験する場合は、この点を日程の組み方に織り込んでおく必要があります。
試験結果については、合格しなかった場合に本人の順位と総合得点、そして合格最低点の開示を請求できます。第1次・第2次のいずれについても、合格発表日から2週間以内に、本人が直接持参して請求する仕組みです。
高梁市役所が面接で見ているもの
高梁市が公表している令和8年度の職員採用試験実施要項と、市の採用情報ページには、「求める職員像」にあたる定型の文言が掲載されていません。
そこでここからは、試験の設計そのものから読み取れることを整理します。第1次試験を筆記と集団討論の2日に分けていること、第2次試験が全区分共通の個別面接であること、そして全職種に高梁ゆかり枠を設けていること。
この3点が手がかりになります。まず、25,272人が暮らす市で、事務職の採用はこの6月実施分だけで10人程度という規模です。
事務職から消防職、保健師、保育士、看護師までを一つの実施要項で募集していることからも分かるとおり、組織の全体が見渡せる大きさの役所です。担当が細かく分かれた組織とは違い、同じ職員が分野をまたいで動くことになります。
だとすれば、担当したことのない分野でも、まず自分で調べて要点をつかめる人のほうが、任される仕事の幅は早く広がります。次に、市域が547km²に広がるこの市では、窓口で用件が終わらず、集落まで出向いて話をする場面が出てきます。
相手の暮らしの場で制度を説明し、その場で判断を求められることもあります。誠実さや言葉づかいが面接で重く見られやすいのは、こうした距離の取り方まで仕事に含まれるからだと当研究会は考えています。
そして高梁ゆかり枠の存在です。居住や出身を要件にした枠を全職種に設けているということは、この地域で働き続ける人をどう確保するかが、市にとって現実の課題になっているということです。
ゆかり枠と大学卒枠は、別の区分として並んでいます。市外から受ける人に必要なのは、なぜ高梁市なのか、生活者としてどう関わるつもりなのかを自分の言葉で語ることです。
高梁市は、合格しなかった場合に順位と総合得点、合格最低点までを開示する仕組みを置いています。結果が数字で返ってくる試験だということです。
だからこそ、面接で話す内容は、後から自分で振り返れる形にしておきたいところです。実際にやったことを順を追って説明できる状態にする。
約2万5千人が547km²に暮らす市で何を担いたいのかという答えは、その積み重ねの上にしか立ちません。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。高梁市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらから来られましたか? | 答えの正確さより、初対面の相手に向ける声と表情。集団討論の会場でも、最初のやりとりの印象は同じように残ります |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 全職種に高梁ゆかり枠を置いている市です。ゆかりのない立場で受けるなら、公務員を選んだ理由と高梁市を選んだ理由の両方を、自分の生活の話として持っているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を見る目の確かさ。第1次試験の事務適性検査や職務適応性の検査に表れた傾向と、口頭での説明が食い違っていないか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 個別面接は1回だけです。その1回で一つの経験を底まで掘られる前提に立ち、出来事の大きさではなく、その場で何を考えどう動いたかを出せるか |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでで最も力を入れて取り組んだことを教えてください | 第1次試験の筆記は教養試験と検査だけで、専門試験はありません。学んだ中身を、その分野を知らない相手にも届く言葉へ置き換えられるか。市の仕事へつなげる視点があるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 2万5千人規模の市で事務職が担う仕事の幅を理解しているか。希望どおりでない配属でも働けるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きを自分の関心として語れるか。第1次試験の集団討論でも同じ力が問われます |
もっとも、7つの区切り自体は高梁市に限った話ではありません。
全国どこの官公庁でも似た質問が出るため、ここは受験者の答えが最も似通う場所です。違いが出るのは、この先で扱う高梁市の条件に踏み込む質問のほうになります。
合否を分けるのは「高梁市役所ならでは」の質問
この2問は、市の条件を調べていなければその場で組み立てようがありません。高梁市の場合、答えの材料は備中松山城や吹屋という魅力の側にも、高齢化率44.2%と広い市域という条件の側にもあります。
材料をどれだけ集めたかではなく、そのうちどれを自分の話に据えたかで差がつく質問です。
こうした質問に答えるための高梁市の事実を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい高梁市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の年齢構成 | 人口25,272人、65歳以上11,171人で44.2%、75歳以上6,849人で27.1%(令和8年1月1日現在)。岡山県全体の31.0%・18.7%を大きく上回る | 4割を超える高齢化率をどう受け止めるかを示したうえで、支える側の人手をどう確保するかまで踏み込みます |
| 市域の広さ | 面積546.99km²は岡山県全体の約7.7%。人口密度は約46人/km²。総社市・井原市・新見市・真庭市・吉備中央町のほか、広島県の庄原市・神石高原町とも接する | 広さを不便さの話で終わらせず、移動に時間がかかる市で行政サービスをどう届けるかという設計の話に運びます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市は事務職から消防職、保健師、保育士、看護師までを同一の実施要項で募集している。事務職の採用は高梁ゆかり枠と合わせて10人程度 | 規模の小ささを弱みとして語らず、市役所全体の動きが見える環境で何をしたいのかという話にします |
| 歴史資源と観光 | 備中松山城は現存12天守で唯一の山城で、標高約480メートルの臥牛山に築かれている。吹屋は標高約550メートルの山村で、昭和52年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された | 名所の紹介で終わらせず、来訪者を市内の暮らしや経済にどうつなぐかという視点で語ります |
| 災害への備え | 平成30年7月豪雨では、市内の落合町近似を流れる陰地川で土石流が発生し、その一部が避難所となっていた高梁中学校・高梁小学校の敷地に流入した | 避難所そのものが被災しうるという事実を押さえ、逃げ先をどう選び直すかという問いに自分の考えを添えます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
高梁市は求める職員像を公表していないため、ここでは選考の設計から見える観点を整理します。
土台にあるのはコンピテンシー評価です。
話のまとまりよりも、その経験で自分が実際にとった行動と、それを職場でも繰り返せるかが確かめられます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 未経験の仕事への向き合い方 | 初めて任された役割を、どんな手順で進めたか。分からないことをそのままにしなかったか | 前例のない役割を引き受けた経験を一つ選び、着手から完了までの進め方を順に書き出しておく |
| 議論のなかでの立ち位置 | 第1次試験の集団討論では、指定されたテーマへの発言だけでなく、他の人の意見の受け止め方が見られます | 賛成できない意見に出会ったときの返し方を、言い方の面から一度整理しておく |
| この地域で働き続ける意思 | 市が全職種に高梁ゆかり枠を設けている以上、この土地で働き続ける見通しを持っているかは、志望動機の掘り下げのなかで確かめられます | 高梁市で暮らしながら働くことを、自分の生活としてどう考えているかを言葉にしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
高梁市の個別面接は1回ですから、その1回で掘り下げが集中します。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の実施要項で、自分が受けるのは事務職(大学卒)か高梁ゆかり枠かを確かめ、試験の種目と日程の構成を確認する
- 第1次試験の教養試験(選択式90分)と各種検査の形式を確認し、慣れる時間を先に取る
- これまでの経験を棚卸しする。学業と課外活動、そしてアルバイトや仕事から、話せる具体例を1つずつ選ぶ
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い高梁市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 集団討論と個別面接を想定して声に出し、話すたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ3で経験を棚卸しし、ステップ6の声に出す練習まで先に済ませてください。
個別面接が1回しかない試験では、話す材料が定まっていないまま知識だけを増やしても間に合いません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、高梁市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
高梁市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
高梁市の事務職(令和8年6月実施分)は、第1次試験で筆記と集団討論を別の日に受け、第1次を通過したあとに個別面接が1回置かれています。
配点は公表されていませんが、討論と面接という対人の場面が二つ用意されている以上、そこで何をどう話すかが結果を左右します。県内でも高い水準の高齢化と、547km²という広い市域を抱えながら、山城と町並みという資源を残してきた市で、自分は何を担いたいのか。
高梁市が出している資料に目を通し、自分がこれまでにしてきたことと照らし合わせる時間を、本番までに確保してください。