本記事では、井原市職員採用試験の面接対策で必要な、井原市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

井原市役所の面接試験では、「なぜ井原市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。井原市の試験は第1次試験の段階からすでに個人面接が組み込まれているため、市の実情を語る準備は、筆記の対策と並行して早い段階から必要になります。

本記事で扱う試験の内容は、井原市が公表した令和8年9月試験(令和9年4月1日付採用)の受験案内にもとづき、事務職を中心に整理したものです。井原市は同じ年度に6月試験も実施していますので、掲載内容を参考に、自分の強みや関心と井原市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

井原市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは井原市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 岡山県の西南部にあり、西と南で広島県の福山市・神石高原町と県境を接する内陸の市。
  • 市域の面積は243.54km²で、岡山県全体の約3.4%にあたる。県内の隣接自治体は笠岡市・総社市・高梁市・矢掛町。
  • 人口は3万5,886人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
  • 高齢化率は38.4%で、岡山県全体の31.0%を7.4ポイント上回る。75歳以上の割合も23.4%と、県全体の18.7%を大きく超える。
  • 美星町が2021年11月1日、国際ダークスカイ協会の「星空保護区(コミュニティ部門)」にアジアで初めて認定された。
  • 平成30年7月豪雨では市内で2人が亡くなり、西江原町のがけ崩れによる犠牲も出た。
  • 職員採用試験は年2回(6月試験と9月試験)の実施計画が公表されており、令和8年9月試験の採用予定は事務職5人程度をはじめ計15人程度。
  • 受験案内は「いずれの職種も人物重視の試験を行います。」と明記し、第1次試験から個人面接を課している。

井原市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「井原市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

市ごとの総生産は、岡山県が「市町村民経済計算」として公表しています。ただし県の説明にあるとおり、これは市町村ごとに積み上げた数字ではなく、県民経済計算を各種の統計指標で市町村別に按分したものです。

大まかな特徴をつかむための数字ですので、面接で細かい金額を持ち出す用途には向きません。下の表には、人口の構成、市域の広さと密度、周囲との位置関係を並べました。

井原市の規模を説明するときは、ここから話を始めれば足ります。(出典:岡山県市町村民経済計算|岡山県公式)

項目内容
総人口35,886人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口(高齢化率)1万3,788人(38.4%/岡山県全体は31.0%)
75歳以上人口(75歳以上率)8,407人(23.4%/岡山県全体は18.7%)
総面積243.54km²(岡山県の約3.4%)
人口密度約147人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体笠岡市・総社市・高梁市・矢掛町、広島県福山市・神石高原町
市の花・市の木サクラ・クロマツ
市役所の所在地井原市井原町311番地1

人口と65歳以上・75歳以上の内訳、それぞれの割合には、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値を使っています。並記した岡山県全体の割合も同じ調査の県の値なので、そのまま比較できます。人口密度は、この人口と面積から当研究会が計算したものです。岡山県が毎月公表している推計人口は国勢調査を基礎とした別系列の調査ですので、本表の人口と混ぜて増減を出さないようご注意ください。

数字から考えられる市政課題

井原市の人口3万5,886人に対し、市域は243.54km²あります。人口密度にすると約147人/km²で、人が広い面積に散らばって暮らしている形です。

そこに高齢化率38.4%が重なります。岡山県全体の31.0%を7.4ポイント上回る水準で、4人に1人近くがすでに75歳以上という構成です(いずれも令和8年1月1日現在)。

この2つが重なると、行政サービスの「届け方」が課題になります。同じ数の職員でも、まとまった市街地に人が集まっている市と、集落が点在している市では、一つの用件にかかる時間も移動距離も変わってくるからです。

面接で市の現状を説明するなら、次のように数字と暮らしの手触りをつなげて話せます。

「井原市は人口3万6千人ほどで、高齢化率は4割近くと聞きました。県全体より7ポイントくらい高い数字です。市域は240平方キロを超えていますので、その広さの中に高齢の方が散らばって住んでいることになります。移動や見守りをどう支えるかが、これから一番効いてくるのではと感じています」

井原市の経済・産業

市域の広がりと県境の位置

井原市の市域243.54km²は、岡山県全体(7,114.44km²)の約3.4%にあたります。県内では笠岡市・総社市・高梁市・矢掛町と接し、西と南では県境を越えて広島県の福山市・神石高原町と隣り合います。

県境をまたいで人と物が行き来する位置にあるという条件は、通勤・買い物・観光のどの話題でも前提になります。(参考:岡山県の面積・地勢|岡山県公式)

岡山県は、県北部が中国山地と盆地、中部が吉備高原などの丘陵地、南部が平野という地勢です。井原市はこのうち県西部の丘陵地から平野にかけての一帯にあたり、市域には市街地と中山間の集落の両方が含まれます。

県のどのあたりに志望先があるのかを言葉で説明できると、県と市の役割分担を問われたときの答えが具体的になります。

美星町と星空という資源

井原市を語るうえで欠かせないのが、美星町の星空です。2021年11月1日、美星町は国際ダークスカイ協会の「星空保護区(コミュニティ部門)」にアジアで初めて認定されました。

星空保護区は、夜空の暗さそのものを守るために光の使い方を地域ぐるみで管理していく仕組みで、自然が残っているだけでは認定されません。(出典:美星町の星空保護区認定|井原市公式)

面接でこの話題を使うなら、観光資源としての紹介で止めないことです。屋外照明のルールづくり、住民や事業者への説明、認定を維持するための継続的な管理と、市役所の仕事としての中身がはっきりしている題材です。

地域の資源を守るために行政が何をしているかという角度から話せると、志望動機の解像度が一段上がります。

岡山県の経済と、その中の井原市

市単位の経済統計が限られるぶん、県全体の産業の重心を知っておくと説明が安定します。岡山県の製造業は倉敷市の水島臨海工業地帯に集中しており、水島コンビナートだけで事業所245・従業者2万5,061人を抱え、製造品出荷額等3兆2,104億円は県全体の45.5%にあたります(令和2年)。

県の経済の中心は県南の臨海部にあり、井原市はそこから内陸へ入った位置にあります。(出典:水島コンビナートの概要|令和2年)

一方、県は温暖な気候を生かした農業を県の特色として掲げており、内陸部や丘陵地の産業を考えるうえではこちらの文脈のほうが近くなります。市の産業データを細かく覚えるより、県の経済がどこに集まり、井原市がその地図のどこに位置しているのかを言葉にできる状態にしておくほうが、面接では役に立ちます。

井原市の主な行政課題

ここまでの数字と地理の姿を踏まえると、井原市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

高齢化の先行と人口減少

高齢化率38.4%は、岡山県全体の31.0%より7.4ポイント高い水準です。県全体でも人口は2005年の約196万人をピークに減少に転じ、2020年時点で約189万人。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年の県人口は約151万人(2020年比20.0%減)と見込まれています。合計特殊出生率は2023年の現況値が1.32で、県の目標値は2028年に1.37です。

県が今後30年で経験する変化を、井原市は先に体験していると捉えると、市政の優先順位が理解しやすくなります。(出典:岡山県人口ビジョン|令和7年3月改訂版)

広い市域でのサービスの届け方

243.54km²の市域に対して、人口は3万5,886人。市街地と中山間の集落が同じ市の中にあるため、同じサービスでも、届ける相手の住む場所によって手間が変わるという前提がついて回ります。

窓口で待つ仕事だけでなく、出向いていく仕事の比重が相対的に高くなると見ておくのが実際的です。この構造は、志望動機で「住民に近い仕事がしたい」と述べたときの裏づけにもなります。

豪雨と土砂災害への備え

平成30年7月豪雨は、井原市にとって直接の被災経験です。岡山県内の人的被害は死者68人(災害関連死を除くと61人)・行方不明者3人にのぼり、井原市でも2人が亡くなりました。

県内で発生した土砂災害56箇所(土石流11・がけ崩れ35・地すべり10)による死者3人のうち、1人は井原市西江原町のがけ崩れによるものです。住家被害は県内で18,005棟にのぼりました。

中山間の集落を抱える市にとって、斜面の崩落と孤立への備えは具体的な課題です。(出典:平成30年7月豪雨災害検証報告書|平成31年3月)

大規模地震への備え

岡山県は13年ぶりに被害想定を見直し、令和7年度に公表しました。県全体の死者数は最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)で、前回想定の3,111人から増えています。

災害関連死は最大1,247人が新たに加えられました。パターン1での建物被害は、揺れによる全壊が3,240棟、液状化2,644棟、津波9,470棟、急傾斜地崩壊172棟と見込まれています。

県は南海トラフ巨大地震のほか、大原断層や中央構造線の一部を含む断層型地震7地震も想定の対象としています。(出典:南海トラフ巨大地震等の被害想定|令和7年度)

担い手をどう確保するか

井原市は令和8年度、6月試験と9月試験の年2回の採用試験を実施する計画を公表しています。9月試験だけでも事務職5人程度・土木技術職4人程度・建築技術職2人程度・保健師2人程度・保育士2人程度が予定され、土木と建築、保健師、保育士には実務経験者の区分も設けられています。

年2回の実施と実務経験者区分の併用という設計そのものが、市の人材確保の姿勢を映しています。(出典:井原市職員採用試験実施計画|令和8年度)

井原市の重点政策|岡山県の生き活きプランと井原市

岡山県は、令和7年度からの4年間を計画期間とする最上位計画「第4次晴れの国おかやま生き活きプラン」を策定し、少子化対策を新たな最重要課題に位置づけました。市町村の施策はこの県の方向と重なる部分が多いため、井原市を志望する場合も背景として押さえておく価値があります。(出典:第4次晴れの国おかやま生き活きプラン|令和7年度)

4つの重点戦略

  • Ⅰ 結婚・子育ての希望がかなう社会の実現
    少子化対策を最重要課題として、結婚・出産・子育ての希望をかなえる
  • Ⅱ 夢を育む教育県岡山の推進
    子どもの学びの環境を整え、その育ちを支える
  • Ⅲ 地域を支える産業の振興
    県内産業の力を高め、地域の雇用と経済を支える
  • Ⅳ 安心で豊かさが実感できる地域の創造
    防災や医療福祉を含む暮らしの安心と、地域の持続性を確保する

このプランは、県南の都市部でも人口が減る地域が見られること、中山間地域では農山村の諸機能の弱体化や地域コミュニティの衰退といった課題があることを明記しています。高齢化率38.4%で、市街地と中山間の集落を同時に抱える井原市は、後者の記述にそのまま重なる位置にあります。

市の資源を政策につなげる

県の方向を踏まえたうえで、井原市が独自に持っている材料も見ておきましょう。代表格が美星町の星空保護区です。

夜空の暗さを守るという目的のために、照明の使い方を地域として決めていく取組は、環境政策であり、観光振興であり、住民との合意形成でもあります。一つの資源が複数の政策分野にまたがっているという点で、志望動機に使いやすい題材です。

POINT|計画の名前を並べても評価にはつながらない

計画名を覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を一つか二つに決めて、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指しているか → ③今どんな取組があるか → ④市役所だからこそ担える役割は何か → ⑤自分の経験をどう生かすか」の順で調べていきましょう。

悪い例「井原市の観光振興に携わりたいです」

改善例「星空を守るために照明のルールを決めていく仕事のように、住民の方と話し合いながら地域のきまりをつくっていく仕事に関わりたいです。大学のゼミで地域の方に聞き取りをした経験が生かせるのではと考えています」

あわせて確認したい公式資料

面接前に目を通しておきたい資料を挙げます。いずれも公式に公開されているものなので、時間があるうちに一度は開いておきましょう。

  • 井原市職員採用試験の受験案内(最新の回次)
    試験区分・採用予定者数・試験科目・提出書類がすべて載っています
  • 井原市の総合計画
    市がどの分野に力を入れようとしているのかを、自分の関心と照らせます
  • 美星町の星空保護区に関する市の説明ページ
    認定の内容と、市が続けている取組の中身を確認できます
  • 第4次晴れの国おかやま生き活きプラン(概要版)
    県全体の方向の中で、井原市の位置を捉え直せます

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、井原市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。井原市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

井原市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

井原市役所の面接の概要

ここからは、井原市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

井原市役所の面接の流れ

令和8年9月試験の受験案内で目を引くのは、面接の位置です。第1次試験の2日目にすでに個人面接(口述試験)が置かれ、第2次試験も面接という構成で、筆記だけを突破して面接に備えるという順番が成り立ちません。

受験案内自身が「いずれの職種も人物重視の試験を行います。」と書いており、その方針が日程の組み方にそのまま表れています。

項目内容(令和8年9月試験)
試験の段階全試験区分で第1次試験と第2次試験。第2次試験は第1次試験の合格者に対して行われます
第1次試験の科目(初日)職務能力試験(択一式・60分・60題)、作文試験(800字・60分・課題は当日提示)、適性検査(マーク式・70分)
第1次試験の科目(2日目)口述試験。形式は「個人」と明記され、人物についての面接が行われます
第2次試験の科目事務職・土木技術職・建築技術職・保健師は口述試験(人柄や特性等についての面接)。保育士は実技を含み、自己アピール(楽器演奏、歌唱、絵本の読み聞かせ、絵画等)が加わります
作文試験の扱い評定結果は第1次試験の合格者決定には反映されず、最終合格者を決める際に他の試験と総合されます
専門試験土木技術職・建築技術職・保健師・保育士は、いずれも専門試験を行いません
集団形式令和8年9月試験の受験案内に、集団討論・集団面接の記載はありません
配点科目ごとの配点・満点は公表されていません
提出書類受験申込書と履歴書・身上書(いずれも市指定様式)。履歴書・身上書の自己PR欄は記入必須と明記されています

この構成から、準備の上で押さえておくべき点が2つ出てきます。1つは、作文の出来が第1次の通過には効かず、最終合格の判定でだけ効くということ。

当日提示される課題に800字で答える力は、最後まで持ち越されます。もう1つは、履歴書・身上書が面接の土台になるという点です。

自己PR欄は「スポーツ、文化、ボランティア、学業、趣味等、どのようなことでも構いません。必ず記入してください。」と記入必須が明示されており、職歴欄は学生時代のアルバイトを除いて社会人以降の非正規の職歴もすべて記入するよう求められています。書いた内容は、そのまま面接で確かめられると考えておきましょう。

上記は、井原市職員採用試験委員会が公表した令和8年9月試験(令和9年4月1日付採用)の受験案内にもとづく内容です。各科目の配点・満点は、この受験案内にも令和8年度の実施計画にも記載されていません。試験の構成・科目・区分は回次や年度によって異なりますので、受験の際は井原市が公表する最新の受験案内でご確認ください。

試験区分と採用予定者数

井原市は職種ごとの採用予定者数を受験案内で公表しています。自分が受ける区分の規模感を知っておくと、準備の力の入れどころが判断しやすくなります。

試験区分(令和8年9月試験)採用予定者数
事務職(大学卒/短大・高校卒/社会人経験者)5人程度
土木技術職・土木技術職(実務経験者)4人程度
建築技術職・建築技術職(実務経験者)2人程度
保健師(実務経験者)2人程度
保育士(実務経験者)2人程度

いずれの職種も、身体等に障害のある人を含む区分として実施されます。受験申込は1人につき1つの試験区分に限られ、申込完了後の区分変更はできません。また、この試験を受験した人は、同一年度に井原市が実施する採用試験(会計年度任用職員採用試験を除く)を受験することができません。

井原市が求める職員像

井原市が公表している令和8年9月試験の受験案内と、令和8年度の採用試験実施計画には、「求める人物像」としてまとめられた項目は置かれていません。市が示している方針は「いずれの職種も人物重視の試験を行います。」という一文と、それを裏づける試験の組み方です。

土木技術職から保育士まで専門試験を課さず、第1次から個人面接を入れる設計は、この一文と一貫しています。

受験案内が説明しているのは試験の手順までで、入庁後の働き方には触れていません。以下は、公表された採用予定者数と市域の広さを手がかりにした当研究会の補足です。

事務職の採用予定が5人程度という規模で243.54km²の市域を受け持つとすれば、担当をこまかく割り振る余裕はそれほど大きくないはずです。自分の担当の外にある相談が回ってくる場面も出てくるでしょう。

知識の量よりも、分からないことを分からないまま置いておかない習慣のほうが働きやすさにつながるのではないかと当研究会は整理しています。

もう一点、人口3万5,886人という規模では、市の仕事と職員自身の暮らしの距離が近くなります。担当している施策の相手が自分の日常の生活圏の中にいるという前提で、大きな組織よりも一つひとつの応対を丁寧に組み立てることになりそうです。

市外から受験する場合は、井原市のどの課題に関心があるのか、この地域で暮らしながら何をしたいのかを、自分の経験に引きつけて話せるように整えておきましょう。井原市の試験は履歴書・身上書という書面が先に手元へ届く形なので、そこに書いた自分の経験を、この市の仕事の形に置いて説明できるかどうかが分かれ目になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。井原市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?2日目の面接に臨む時点での落ち着きと、受け答えのテンポ
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間ではなく市役所を選んだ理由が、自分の経験と地続きになっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?短所を認めたうえで、その付き合い方まで説明できるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください困難の大きさではなく、その場面で何を考えてどう動いたか
⑤ 学業・経歴履歴書・身上書の自己PR欄に書いた内容を説明してください記入必須の欄に書いた内容が、口頭でも同じ厚みで語れるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事の幅への理解と、希望と違う配属になったときの構え
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?職務能力試験でも問われる社会情勢への関心が、日常にあるか

井原市の受験案内は「いずれの職種も人物重視の試験を行います。」と明記し、第1次試験の段階から個人面接を課しています。つまりここに並べた7項目は、筆記を通過してから準備する話ではなく、最初の関門でそのまま問われる内容です。

一方で、これらはどの自治体でも同じように置かれる質問でもあります。差がつくのは、この先で扱う井原市の事情に踏み込む質問のほうです。

合否を分けるのは「井原市役所ならでは」の質問

「なぜ岡山県庁ではなく、井原市役所なのですか?」
「井原市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。井原市の場合、第1次と第2次で計2回の面接がありますから、同じテーマを別の場面で角度を変えて問われることも想定しておきましょう。

答え方とセットで使える形に、井原市の事実を5つ絞り込みました。

質問テーマ知っておきたい井原市の事実答え方のヒント
人口と高齢化の現在地人口3万5,886人、高齢化率38.4%(岡山県全体は31.0%)、75歳以上率23.4%(令和8年1月1日現在)数字で終わらせず、243.54km²の市域に散らばって暮らしているという条件まで一続きで話します
美星町の星空保護区2021年11月1日、国際ダークスカイ協会の星空保護区(コミュニティ部門)にアジアで初めて認定観光の紹介にせず、照明のルールづくりや住民との合意形成という行政の仕事に引きつけて語ります
なぜ県庁ではなく市役所か事務職の採用予定は5人程度。専門試験を課さず、第1次から個人面接を行う人物重視の設計制度の比較ではなく、少人数で幅広く担う職場を選ぶ理由を、自分が動いてきた経験に結び付けます
防災平成30年7月豪雨で市内2人が犠牲。西江原町のがけ崩れによる犠牲も出た。県が令和7年度に公表した想定では、県全体の死者が最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)被害の事実に触れたうえで、中山間の集落を抱える市としての備えと、自分が住民の側でできることを続けて語ります
市の採用の姿勢令和8年度は6月試験と9月試験の年2回を計画。土木・建築・保健師・保育士には実務経験者の区分も設定「採用してくれる市」ではなく「人を確保しようとしている市」と捉え、自分が何を持ち込めるかで話を組み立てます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

井原市は「求める人物像」を一覧の形では公表していませんので、ここでは選考の設計から評価の軸を読み取ります。専門試験を置かず、第1次から個人面接を課し、履歴書・身上書の自己PR欄を必須にしているという組み立てです。

いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自分の経験を語りきる力履歴書・身上書に書いた内容を、口頭で同じ厚みで説明できるか自己PR欄に書く題材を、面接で3分話せる量まで先に膨らませてから記入する
未経験の仕事に向かう構え知らない領域を任されたときに、どう調べどう人を頼ったか初めてのことに手を挙げた場面を1つ選び、動き出す前後で何が変わったのかを整理しておく
地域と関わり続ける姿勢なぜ井原市なのか、どの課題に関心があるのかを具体的に語れるか星空保護区や中山間の集落など、市の材料を1つ選び、自分の関心とつなげた言い方を用意する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。井原市は第1次と第2次で面接が2回ありますから、同じ話題を2度、別の面接官から掘られる場面も想定できます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の回次の受験案内を読み、自分が受ける試験区分を1つ決める。申込後は区分の変更ができないため、ここは慎重に選ぶ
  2. 履歴書・身上書の自己PR欄に書く題材を決める。書いた内容はそのまま面接で確かめられるので、話せる中身のあるものを選ぶ
  3. 高校・大学生活の経験を棚卸しし、学業・課外活動・アルバイトから話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにしたうえで、固有質問の対応表から材料を集めて一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2と3で自分の経験を言葉にする作業を先に終わらせてください。井原市は履歴書・身上書が面接の入口になる試験ですから、順番を逆にすると準備全体が回りません。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、井原市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

井原市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

井原市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年9月試験の受験案内を読むかぎり、井原市の採用試験は第1次の段階から個人面接が入り、第2次でも面接が行われる構成でした。作文の評定は最終合格の判定まで持ち越され、履歴書・身上書の自己PR欄は必須です。

つまり、自分について語る作業から逃げられる場面がほとんどありません。人口3万5,886人、市域243.54km²というこの市で、自分は何をしたいのか。

星空を守る取組でも、広い市域での暮らしの支え方でも構いませんので、一つ選んで、掘り下げられても続けられる厚みまで育てておきましょう。なお、井原市は年2回の採用試験を計画していますので、受ける回次によって区分や科目が異なる可能性があります。

準備を始める前に、必ず最新の受験案内で確認してください。