本記事では、総社市職員採用試験(一般事務職員・大学卒業程度/会場実施方式)の面接対策で必要な、総社市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

総社市役所の面接では、「なぜ総社市を志望したのか」「市職員としてどんな仕事に取り組みたいのか」「自分の経験を総社市政でどう活かすのか」といった、市の現状を知らないままでは形にならない質問が想定されます。市の来歴と現在の課題を先に頭に入れておけば、どの自治体にも当てはまる話で終わらせずに済みます。

自分の経験や関心が総社市の仕事のどこと重なるのか。それを探しながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

総社市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは総社市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 岡山県南部の内陸に位置する人口69,642人の市(令和8年1月1日現在)。岡山市・倉敷市・井原市・高梁市・吉備中央町・矢掛町という6つの自治体と接する。
  • 市は「人口増推進課」という組織を置いており、令和7年度も人口増を記録したとしている。県全体が減少局面にあるなかでの動きである。
  • 高齢化率は28.6%(令和8年1月1日現在)で、岡山県全体の31.0%を下回る。75歳以上の割合も16.9%と、県全体の18.7%より低い。
  • 市域の面積は212.01km²で、岡山県全体の約3.0%。人口密度は約328人/km²。
  • 平成30年7月豪雨では、市内で5人が犠牲になった(災害関連死を除くと4人)。
  • 同じ豪雨では、市内で浸水したアルミ工場の爆発事案が発生した。県の災害検証委員会報告書は、この事案などを踏まえた提言をまとめている。
  • 令和8年度の職員募集は、一般事務職員(社会人経験者・大学卒程度・高校短大卒程度・障がいのある人)のほか、保健師、社会福祉士、精神保健福祉士(新規)、文化財専門職員、学芸員、土木・電気・建築・水道の技術職員、幼稚園・保育教諭、消防職員に及ぶ。
  • 市の花はレンゲ、市の木はモミジ。市役所は中央一丁目に置かれている。

総社市の基礎データ

面接の準備として、統計を細かく暗記する必要はありません。ただ、総社市がどれくらいの規模で、県のなかでどんな位置にある市なのかは、自分の言葉で言えるようにしておきたいところです。

ここでは、人口と年齢構成、市域の広さ、隣接する自治体など、市の大きさをつかむための数字を並べます。

項目内容
総人口69,642人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口19,890人(28.6%、岡山県全体31.0%)
75歳以上人口11,785人(16.9%、岡山県全体18.7%)
総面積212.01km²(岡山県の約3.0%)
人口密度約328人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接する自治体岡山市、倉敷市、井原市、高梁市、加賀郡吉備中央町、小田郡矢掛町
市の花・市の木レンゲ・モミジ
事務職の採用規模一般事務職員(大学卒業程度・会場実施方式)で3人程度

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。比較のために並べた岡山県全体の数値も、同じ調査の岡山県の値です。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。国勢調査を基礎とする推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と他の系列の人口を並べて増減を計算しないようご注意ください。

数字から考えられる市政課題

総社市の年齢構成は、岡山県のなかでは若い側にあります。

65歳以上が28.6%で県全体より2.4ポイント低く、75歳以上も16.9%と県全体を1.8ポイント下回ります(いずれも令和8年1月1日現在)。市が人口増推進課を置いて人口を増やす方向に舵を切っていることと、この年齢構成は無関係ではありません。

ただし、若い世帯が増えるということは、保育、学校、住宅、道路、公園への需要が同時に立ち上がるということでもあります。人口が増えている市の課題は、減っている市の課題とは向きが違います。

面積212.01km²に約7万人が暮らし、人口密度は約328人/km²。市街地と農村部の両方を抱えるため、増える地区と静かに減っていく地区が同じ市の中に並ぶ点にも目を向けておきたいところです。

この「増えている市の課題」を面接で話すなら、たとえばこんな言い方ができます。

「総社市は岡山県のなかでは人口が増えているまちだと聞きました。高齢化率も3割を下回っていて、県の平均より若い構成です。ただ、その分だけ保育や学校の受け入れをどう間に合わせるかという課題が先に来るのではと感じています」

総社市の経済・産業

人が増えているという条件

総社市の経済を考えるとき、まず置いておきたいのが人口の動きです。

市は人口増推進課を設け、令和7年度も人口増を記録したとしています。人が増えれば、住宅が建ち、店が開き、税収の見通しも変わります。(出典:人口増推進課の取組(総社市)|令和7年度)

一方で、人口の増加は自動的に財政の余裕を生むわけではありません。増えた世帯に合わせて保育所や学校、道路、上下水道を整えれば、支出も同時に増えます。

増加を市の力に変えるには、投資の順番を決める判断が要るということです。志望動機で「人口が増えている元気なまち」と述べるだけで終わらせず、その先の判断まで意識を向けておきましょう。

岡山市・倉敷市に接する立地

総社市は、岡山市と倉敷市という県内で最も人口の多い2市に接しています。

県の製造業の中心は倉敷市南部の水島臨海工業地帯にあり、製造品出荷額等は3兆2,104億円で県全体の45.5%、事業所245、従業者25,061人です(令和2年)。総社市はこの集積の北側に位置しています。(参考:水島臨海工業地帯の概要(岡山県)|令和2年)

通勤・通学・買い物といった日々の動きは、市の境界で止まりません。人が増えている理由にも、隣接する2市との距離が関わっていると考えられます。

ただし、これは市の統計そのものではなく、位置関係から言えることにとどまります。面接では、市の数字と県の数字を混ぜずに話せることのほうが、はるかに印象に残ります。

県の産業と交通のなかで

県に視野を広げると、岡山県は瀬戸大橋をはじめとする高速道路網、新幹線、東西南北に7本の在来線が交わる鉄道網、岡山桃太郎空港といった交通基盤を持ち、温暖な気候を生かした農業も営まれています。観光の面では、令和4年の県内観光入込客数が1,579万人に達しています。(参考:岡山県観光客動態調査|令和4年)

県の交通基盤は、総社市が岡山市・倉敷市と行き来しやすい条件の土台にもなっています。県が持っている資源と、市が自分で動かせる政策を分けて理解しておくと、「県ではなく市を志望する理由」を組み立てるときに迷いません。

総社市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、総社市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

増えている状態をどう続けるか

市は人口増推進課を置き、令和7年度も人口増を記録したとしています。ただ、増加を何年先まで保てるかは別の問題です。

県全体の人口は2005年の約196万人をピークに減少し、2020年時点で約189万人。国立社会保障・人口問題研究所は、2050年の県人口を2020年比20.0%減の約151万人と見込んでいます。

合計特殊出生率も2023年で1.32、県が2028年の目標に置く値でさえ1.37という水準です。(出典:岡山県人口ビジョン|令和7年3月改訂版)

県が減るなかで市だけが増え続ける状態は、周辺からの移動に支えられている面があると考えられます。

移動で増えた人口は、条件が変われば動きます。住み続けたいと思われる理由をどこに作るのかが、次の課題になります。

増える世帯に合わせた基盤の整備

人が増えれば、保育所の定員、小中学校の教室、通学路の安全、公園、上下水道と、必要な整備が同時に増えます。総社市は面積212.01km²のなかに市街地と農村部の両方を抱えており、地区によって必要なものが違います。

限られた予算のなかで、どの地区の何から手をつけるか。

この判断は市職員の日常業務そのものです。福祉、教育、建設、企画のどこに配属されても、この優先順位づけからは離れられません。

平成30年7月豪雨の教訓

平成30年7月豪雨では、総社市で5人が亡くなりました(災害関連死を除くと4人)。県全体では死者68人・行方不明者3人、住家被害は18,005棟にのぼっています。(出典:平成30年7月豪雨災害記録誌(岡山県)|令和2年)

総社市に固有の論点として残ったのが、浸水した工場の爆発事案です。県の災害検証委員会報告書は、この事案や、浸水区域内の病院・特別養護老人ホーム等が孤立した事案を踏まえ、要配慮者利用施設や危険物・劇物取扱事業所をハザードマップに明示し、救助・救出活動に活用できるようにしておく必要があると提言しました。(出典:平成30年7月豪雨災害検証委員会報告書(岡山県)|平成31年3月)

地図に何を載せておくかという行政の判断が、災害時の救助のしやすさを左右する。防災を志望動機にするなら、この具体性まで持ち込みたいところです。

南海トラフ巨大地震への備え

岡山県は令和7年度に、13年ぶりとなる被害想定の見直し結果を公表しました。南海トラフ巨大地震で県内の死者数は最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)と見込まれ、前回想定の3,111人を上回っています。

今回の見直しで新たに算入された災害関連死は、最大1,247人とされました。想定の対象も南海トラフだけではなく、大原断層や中央構造線の一部を含む断層型地震7地震が加えられています。(出典:南海トラフ巨大地震等の被害想定(岡山県)|令和7年度)

これは県全体の数値ですが、水害の記憶が新しい市で、地震への備えを同時に進めなければならないという構図は変わりません。

備蓄、避難所、要配慮者の把握。水害対策で積み上げたものが地震でも効く部分と、効かない部分を切り分ける作業が要ります。

幅の広い職種を少人数で回す体制

令和8年度、総社市は一般事務職員のほか、保健師、社会福祉士、精神保健福祉士、文化財専門職員、学芸員、土木・電気・建築・水道の技術職員、幼稚園・保育教諭、消防職員を募集しました。精神保健福祉士は新規の区分です。

約7万人の市が、これだけ多様な専門職を自前で抱えているということです。

一方、一般事務職員(大学卒業程度・会場実施方式)の採用は3人程度でした。

専門職の層が厚い分、事務職には各分野をつなぐ役回りが求められます。受験案内が示す職務内容も、企画・総務・税務・福祉・産業・建設・環境・教育などに及びます。

総社市の重点政策|人口を増やす市政と豪雨の教訓

総社市が今どこに力を入れているかを見るとき、軸は2つあります。

人口を増やす方向に組織を組み替えてきたことと、平成30年7月豪雨の経験を市政に織り込んできたことです。前者は市の攻めの側面、後者は市の守りの側面にあたります。

人口を増やすという方針

市が人口増推進課という名前の組織を持っていることは、それ自体が方針の表明です。

子育て支援を看板に掲げ、令和7年度も人口増を記録したとしています。県全体が減少局面にあるなかでこの姿勢を続けているという事実は、面接で市の性格を説明するときの起点になります。

ただし、人を呼ぶことと、来た人が住み続けることは別の課題です。保育所や学校の受け入れ、通勤の便、医療へのかかりやすさ、そして地域の関係づくり。

呼び込みの施策と定住の施策は、同じ担当が同時に扱うことになります。面接で子育て支援に触れるなら、呼ぶ側と支える側の両方に言及できると、話が一段深くなります。

豪雨の経験を市政に織り込む

平成30年7月豪雨で総社市が経験したのは、住宅の浸水だけではありませんでした。

浸水した工場での爆発事案は、市街地に危険物を扱う事業所があるという条件を、災害対応の前提として突きつけました。県の検証報告書がハザードマップへの明示を提言したのは、この経験があったからです。

災害対応は、防災担当だけの仕事ではありません。事業所の情報を持っているのは産業や環境の担当であり、要配慮者の情報を持っているのは福祉の担当です。

部署をまたいで情報を持ち寄れる市役所かどうかが、災害時の動きを決めます。どの部署を志望する場合でも、この点は自分の仕事に関わってきます。

県の計画が示す方向と、総社市

県の最上位計画は「第4次晴れの国おかやま生き活きプラン」で、令和7年度からの4年間が計画期間にあたります。

柱として置かれた重点戦略は、Ⅰ結婚・子育ての希望がかなう社会の実現、Ⅱ夢を育む教育県岡山の推進、Ⅲ地域を支える産業の振興、Ⅳ安心で豊かさが実感できる地域の創造の4本です。今回の改定で県は、少子化対策を新たな最重要課題に位置づけました。(出典:第4次晴れの国おかやま生き活きプラン(岡山県)|令和7年度から4年間)

県の計画をそのまま市の計画として語ることはできません。ただ、県が少子化対策を最重要課題に据えていることと、総社市が人口増を掲げていることは、向きとして重なります。

県が受け持つ範囲と市が受け持つ範囲を切り分けておけば、「なぜ県庁ではなく市役所か」と聞かれたときに、制度の解説ではなく自分の考えとして答えられます。

POINT|施策名を並べても評価は上がらない

名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。分野を一つか二つに絞ったうえで、①何が課題になっているか、②市はどんな状態を目指しているか、③そのために何が動いているか、④市だからこそ担える役割はどこか、⑤自分の経験のどれが効くか、という順に掘っていきましょう。

悪い例「総社市の子育て支援に携わりたいです」

改善例「総社市は県の中では人口が増えていると聞きました。ただ増えれば保育所や学校の受け入れも足りなくなりますので、呼び込む施策と受け入れの整備を同じテーブルで考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

開く順番を先に決めておくと迷いません。受験案内で自分の区分を確かめてから、市の計画、そして防災の資料へと広げていってください。

  • 総社市職員採用試験の受験案内(最新年度・自分が受ける区分と試験方式を確認)
  • 総社市の総合計画(最新版)と、市の公式サイトで公開されている子育て・福祉分野の計画
  • 総社市のハザードマップと、平成30年7月豪雨に関する市の資料
  • 総社市が公開している統計情報(人口・世帯・産業などを分野別に確認できます)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、総社市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。総社市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

総社市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

総社市役所の面接の概要

ここからは、総社市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。取り上げるのは、令和8年度の一般事務職員(大学卒業程度・会場実施方式)です。

総社市役所の面接の流れ

総社市の一般事務職員(大学卒業程度)の試験でまず押さえるべきなのは、第3次試験の中身です。

個別面接に加えて、「プレゼンテーション討論」という種目が課されます。同じ試験で募集される保健師は第2次・第3次とも個別面接のみですから、これは一般事務職員に固有の設計です。

項目内容(一般事務職員・大学卒業程度/会場実施方式)
試験の段階3段階(第1次・第2次・第3次)
第1次試験適性検査(職務遂行に必要な適性についての検査)と教養試験(択一式2時間/時事などの一般知識および文章理解などの能力を問う試験)
第2次試験口述試験(個別面接)
第3次試験口述試験(個別面接とプレゼンテーション討論)
面接の機会個別面接2回とプレゼンテーション討論1回
採用予定人員3人程度(職務内容は企画・総務・税務・福祉・産業・建設・環境・教育などの一般行政事務)
受験資格平成8年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた人(学歴は問われません)。国籍も問われません
併願の可否テストセンター方式を含む各試験区分の併願はできません

上記は、総社市が公表する令和8年度の受験案内にもとづく一般事務職員(大学卒業程度・会場実施方式)の内容です。総社市は各試験種目の配点や満点、最終合格者の決定方法を受験案内に記載していません。総社市は同じ年度に、第1次試験をテストセンター方式で行う区分や、別日程の募集も実施しています。受験にあたっては、自分が受ける区分の最新の受験案内で必ず確かめてください。

もう一つ知っておきたいのが、試験結果の開示の範囲です。

第1次試験に合格しなかった場合は本人の得点の開示を請求できますが、受験案内は「第2次試験及び第3次試験の成績は開示しません。」と明記しています。面接とプレゼンテーション討論で何がどう評価されたかは、受験者に返ってきません。

プレゼンテーション討論という種目は、話す力だけを見るものではありません。与えられた題材から論点を選び、順序立てて示し、他の受験者の意見を受けて自分の考えを動かす。

この一連の動きが観察されます。第2次で個別面接、第3次で個別面接とプレゼンテーション討論という構成は、人物を見る場面を3回重ねる設計だといえます。

総社市役所が求める職員像

総社市は、受験案内の冒頭で求める職員像を示しています。挙げられているのは「礼儀礼節を重んじ 誠実に対応する職員」「失敗を恐れず 積極果敢に情熱をもって職務に当たる職員」「自ら考え 自ら実行し 自ら解決に導く職員」の3つです。(出典:総社市職員採用試験の受験案内|令和8年度)

あわせて受験案内には、「市民が感動することを自分の誇りとし,知恵をしぼり,汗をかき,市民サービスの向上を目指す方の応募をお待ちしています。」という一文が置かれています。

3つの職員像のうち2つ目と3つ目が、自分から動くことを正面から求めている点は見逃せません。第3次試験にプレゼンテーション討論を置いていることと、この文言はつながっています。

ここまでは受験案内の文言そのものです。

総社市の場合、一般事務職員(大学卒業程度)の採用が3人程度であること、第3次試験にプレゼンテーション討論が置かれていること、第2次・第3次の成績が開示されないこと。この3点をどう読むかには、当研究会の判断が入ります。

約7万人の市で、一つの年度に入る事務職が3人程度という規模です。受験案内が示す職務内容も、企画から税務、福祉、産業、建設、環境、教育まで及びます。

大きな組織のように担当が細かく割られてはおらず、一人が複数の分野を順に受け持つことになります。だとすれば、前例のない相談を持ち込まれても、条文や過去の資料をたどって答えを組み立てられる人のほうが、早くから任される場面が増えます。

さらに総社市の場合、人口増推進課を置いて人を増やす方向に踏み込んでいることや、豪雨の経験からハザードマップの作り方を問い直したことに表れているように、前例のない打ち手を検討する場面が出てきます。

プレゼンテーション討論という種目は、そうした場面で考えを組み立てて人に示せるかを、採用の段階で見ようとしているものだと当研究会はみています。

そして総社市の第2次・第3次の成績は開示されません。何がどう評価されたかは返ってこないまま、結果だけが示される試験です。

だとすれば、当日の言い回しを整えることより、討論の場で自分の考えを立ち上げられる状態にしておくことが先になります。素材は、これまでに自分が実際に動いた場面から取ってください。

3人が入る採用試験で問われるのは、経歴の見栄えよりも、入ってから何を回せるかという点になりやすいはずです。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。総社市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどちらから来られましたか?受け答えの巧みさより、初対面の相手に向ける声と表情。個別面接が2回あるため、2人目の面接官にも同じ調子で話せるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?行政の立場でなければ動かせない部分まで話が届いているか。総社市を志望した理由と、公務員という職業を選んだ理由が一本につながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を見る目の確かさ。第1次試験の適性検査に表れた傾向と、口頭での説明が大きくずれていないか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください出来事の重さより、迷った場面で何を選び取ったか。個別面接が2回あるため、同じ経験を別の角度から確かめられます
⑤ 学業・経歴これまでで最も本腰を入れて取り組んだことを教えてください前提を共有していない相手にも通じる言葉に置き換えられるか。総社市は学歴を問わない試験のため、どこで学んだかより何をしたかが見られます
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?企画から税務、福祉、産業、建設、環境、教育まで及ぶ職務の幅を理解しているか。希望どおりでない配属でも働けるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?社会の動きを自分の関心として語れるか。第3次試験のプレゼンテーション討論でも同じ力が問われます

ただし、この7区分は総社市の試験に固有のものではありません。

どの自治体でも似た質問が置かれるため、受験者の答えが最もそろう領域になります。違いが出るのは、この先で扱う総社市固有の事情に触れる質問のほうです。

合否を分けるのは「総社市役所ならでは」の質問

「なぜ岡山県庁ではなく、総社市役所なのですか?」
「総社市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらの問いも、市の現状を知らないまま答えを作ることはできません。総社市の場合、答えの材料は人口が増えているという現在地の側にも、豪雨で突きつけられた条件の側にもあります。

集めた事実の数ではなく、そこから何を選んで自分の志望に接続したかで差がつく質問です。こうした質問に答えるための総社市の事実を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい総社市の事実答え方のヒント
人口の現在地人口69,642人、65歳以上19,890人で28.6%、75歳以上11,785人で16.9%(令和8年1月1日現在)。いずれも岡山県全体の31.0%・18.7%を下回る。市は人口増推進課を置き、令和7年度も人口増を記録したとしている県全体が減るなかで増えている位置を押さえ、その状態を何年先まで保つのかという問いに自分の考えを重ねます
なぜ県庁ではなく市役所か一般事務職員の職務内容は、企画・総務・税務・福祉・産業・建設・環境・教育などに及ぶ。採用は3人程度幅の広さを列挙で終わらせず、住民に近い距離で複数の分野をつなぐ仕事のどこに自分が向いているかを話します
豪雨の教訓平成30年7月豪雨で総社市の犠牲者は5人(災害関連死を除くと4人)。県の検証報告書は、浸水した工場の爆発事案などを踏まえ、危険物・劇物取扱事業所や要配慮者利用施設をハザードマップに明示すべきだと提言した出来事の説明で終わらせず、地図に何を載せるかという行政の判断の問題として扱うと、話の解像度が上がります
地震への備え岡山県の被害想定(令和7年度公表)では、南海トラフ巨大地震による県内の死者は最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)。県は断層型地震7地震も想定の対象としている県全体の数値であると断ったうえで、水害の記憶がある市で地震への備えをどう並行させるかを述べます
市の立地面積212.01km²。岡山市・倉敷市・井原市・高梁市・吉備中央町・矢掛町という6つの自治体と接する通勤や買い物が市域を越えて動く前提を押さえ、市の中だけで完結しない課題への向き合い方を語ります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、総社市が受験案内に掲げる3つの職員像に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。

基本にあるのはコンピテンシー評価です。整った話し方ではなく、その場面で実際にとった行動と、それを職場でも再現できるかが見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
礼儀礼節と誠実な対応言いにくいことを相手に伝えた場面での言い方。引き受けたことを最後まで果たしたか自分が謝った経験を一つ選び、何をどの順で伝えたのかを言葉にしておく
失敗を恐れない積極性やったことのない役割に手を挙げた経験。思うようにいかなかったときの引き受け方うまくいかなかった取り組みを一つ用意し、自分が負った責任の範囲まで言えるようにしておく
自ら考え実行し解決に導く第3次試験のプレゼンテーション討論では、考えを組み立てて人前に出す過程がそのまま観察されます関心のある市の課題を一つ選び、原因と打ち手を数分で話せる形に整えておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

総社市は第2次と第3次で個別面接が置かれているため、掘り下げも二度に分かれます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内で、自分が受ける区分と試験方式(テストセンター方式か会場実施方式か)を確かめる
  2. 第1次試験の教養試験と適性検査の出題範囲を確認し、択一式2時間の形式に慣れる時間を取る
  3. これまでの経験を棚卸しする。学業、課外活動、アルバイトや仕事のそれぞれから、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い総社市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 第3次試験のプレゼンテーション討論を想定し、市の課題を一つ選んで人前で話す練習をする

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ3の経験の棚卸しと、ステップ6の討論の練習を先に回してください。自分が何をしてきた人なのかを言えないまま総社市の知識だけを増やしても、討論の場では持ちません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、総社市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

総社市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

総社市役所の想定問答集を見る

さいごに

総社市の一般事務職員(大学卒業程度・会場実施方式)は、第1次試験を通過したあと、個別面接が2回とプレゼンテーション討論が1回続きます。配点は公表されておらず、第2次・第3次の成績も開示されません。

それでも、討論という種目をわざわざ置いている以上、自分の考えを組み立てて人前に出せるかどうかが問われているのは確かです。県全体が減るなかで人口を増やそうとし、豪雨の経験から地図の作り方まで問い直してきた市です。

その一連の取り組みの、どこに自分の手を入れたいのか。調べたことと自分の経験を突き合わせる作業を、討論の練習と並行して進めていきましょう。