本記事では、備前市職員採用試験の面接対策で必要な、備前市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
備前市役所の面接試験では、「なぜ備前市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度【7月実施】の試験では、第1次の段階から集団活動等が課されます。
市を知らないまま臨むと、初日から言葉が薄くなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と備前市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
備前市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは備前市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 岡山県の東側で兵庫県と接する県境の市。市役所は東片上に置かれている。
- 住民基本台帳による人口は3万209人(令和8年1月1日現在)。
- 市域は258.13km²で、人口密度は約117人/km²。人口が広い市域に薄く分布している。
- 陸で接するのは岡山市・瀬戸内市・赤磐市・美作市・和気町と、兵庫県の赤穂市・上郡町・佐用町。海上では姫路市や香川県の小豆島町・土庄町とも接しており、県境が陸と海の両方にある。
- 特別史跡の旧閑谷学校は、寛文11年(1671年)に藩主池田光政が庶民教育のために創建したもので、「近世日本の教育遺産群」として2015年(平成27年)に日本遺産に認定されている。
- 備前焼も「きっと恋する六古窯」として日本遺産に認定されており、市内に二つの日本遺産が並ぶ。
- 65歳以上の割合は40.8%、75歳以上は25.8%で、市民のおよそ4人に1人が75歳以上(令和8年1月1日現在)。
- 消防は市単独ではなく、和気町とともに構成する東備消防組合が担っている。
- 市の花はサツキ、市の木はカイノキ。
備前市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「備前市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、周囲との位置関係など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 30,209人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 1万2,321人(40.8%、岡山県全体31.0%) |
| 75歳以上人口 | 7,782人(25.8%、岡山県全体18.7%) |
| 総面積 | 258.13km² |
| 人口密度 | 約117人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 陸で接する自治体 | 岡山市・瀬戸内市・赤磐市・美作市・和気町、兵庫県の赤穂市・上郡町・佐用町 |
| 消防の体制 | 和気町とともに構成する東備消防組合 |
| 市の花・市の木 | サツキ/カイノキ |
| 市役所の所在地 | 備前市東片上 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値です。岡山県全体の数値も同じ調査の岡山県の値を並べています。人口密度は、この人口と総面積から当研究会が算出しました。岡山県が公表する毎月流動人口調査の推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と並べて増減を計算しないようご注意ください。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理しています。
数字から考えられる市政課題
備前市の65歳以上の割合は40.8%で、岡山県全体の31.0%を9.8ポイント上回ります。より重いのは75歳以上の25.8%という数字で、県全体の18.7%を7.1ポイント超えています。
医療や介護の必要度が高くなる年代が、すでに市民の4分の1を占めているということです。
そこに、市域の広さが重なります。258.13km²に3万人あまりが暮らす計算で、人口密度は約117人/km²。
同じ市の中でも、集落から集落までの距離があります。買い物や通院の移動をどう確保するか、災害時の情報がどこまで届くか、という問いは、この二つの数字が組み合わさったところから出てきます。
年齢構成と市域の広さをひとつなぎにして語る例を挙げておきます。
備前市の経済・産業
二つの日本遺産が並ぶまち
備前市を語るときに外せないのが、日本遺産に認定された二つの資産です。ひとつは備前焼で、「きっと恋する六古窯」として認定されています。
もうひとつが特別史跡の旧閑谷学校で、寛文11年(1671年)に藩主池田光政が庶民教育のために創建し、「近世日本の教育遺産群」として2015年(平成27年)に認定されました。焼き物と学びという性格の違う二つが同じ市にあるのは、産業と観光の両面で使える条件です。
面接では、これらを名所として挙げるだけでなく、担い手の確保や、訪れた人の滞在をどう伸ばすかという行政側の課題まで見ておきましょう。(参考:旧閑谷学校|市公式/備前焼|市公式)
県境に開いた市域
備前市は、陸では兵庫県の赤穂市・上郡町・佐用町と接し、海上では姫路市や香川県の小豆島町・土庄町とも接しています。人の動きも経済の圏域も、県境の内側では完結しない市だということです。
通勤や買い物、観光の流れが県をまたぐ前提で施策を考える必要があり、消防を和気町との組合で担っているように、行政の実務でも他団体との調整が日常的に発生します。「岡山県の中でどうか」だけでなく「県境をまたいだ圏域の中でどうか」という視点を持っておくと、志望動機に奥行きが出ます。
県全体の産業のなかでの位置
岡山県は山陽道の中央に位置し、北の中国山地と盆地、中部の吉備高原などの丘陵地、南の平野へと地形が移り変わります。県の観光入込客数は令和4年で1,579万人でした。
県の製造業は南部の臨海部に大きく集中しており、備前市はそこから東へ離れた位置にあります。大規模な工場の集積で語る市ではないぶん、伝統産業と文化資産、そして県境を越えた人の流れが、この市の経済を説明する軸になります。(出典:岡山県観光客動態調査|令和4年)
備前市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、備前市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
4割を超える高齢化と、広い市域
65歳以上40.8%、75歳以上25.8%(令和8年1月1日現在)という数字は、県全体を大きく上回ります。しかも市域は258.13km²あり、人口密度は約117人/km²。
支援を必要とする人が増える一方で、その人たちが市内に広く散らばっているという条件です。移動手段の確保、見守りの網、施設をどこに置くかという判断が、いずれも距離という制約とセットになります。
人口減少に向かう県の中で
岡山県の人口は2005年の約196万人をピークに減少し、2020年時点で約189万人となりました。県の人口ビジョンは、2050年に2020年から20.0%減の約151万人になるという国立社会保障・人口問題研究所の推計を示しています。
合計特殊出生率は2023年の現況値で1.32、2028年の目標値が1.37です。県は、中山間地域では農山村の諸機能の弱体化や地域コミュニティの衰退といった課題があると認識しており、備前市が抱える条件と重なる部分が多くあります。(出典:岡山県人口ビジョン|令和7年3月改訂版)
県境をまたぐ暮らしと、他団体との連携
消防は市単独ではなく、和気町とともに構成する東備消防組合が担っています。県境の側では、兵庫県の赤穂市・上郡町・佐用町と直接接しています。
市の仕事の少なくない部分が、他の団体との調整の上に成り立っているということです。単独では規模が足りない業務を、どう組んで担うか。
面接で「市の課題」を語るとき、この広域連携の話に触れられる受験者はそう多くいません。
豪雨と地震への備え
平成30年7月豪雨では、岡山県内で県管理10河川16箇所の堤防が決壊し、県全体で死者68人、住家被害18,005棟という被害が出ました。県の災害検証委員会は、要配慮者が利用する施設や危険物・劇物を扱う事業所をハザードマップに明示し、救助・救出活動に活用できるようにしておく必要があると提言しています。
地震については、岡山県が令和7年度に13年ぶりに被害想定を見直し、南海トラフ巨大地震の死者数を最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)と見込みました。同じ条件での建物被害は、揺れによる全壊3,240棟、液状化2,644棟、津波9,470棟、急傾斜地崩壊172棟です。
海に面し、かつ高齢化率が4割を超える市では、避難の呼びかけと、その後に動ける支援の両方が問われます。(出典:平成30年7月豪雨 岡山県災害記録誌/南海トラフ巨大地震・断層型地震の被害想定|令和7年度)
文化資産を抱える市の、人の配置
令和8年度に備前市が募集する職種区分には、事務職(一般・図書館司書・学芸員)、技術職(土木・一般)、社会福祉士、保健師、保育教諭(一般・経験者)、事務職(行政事務経験者)、技術職(土木・実務経験者)、技能労務職(環境センター及び斎場等)が並びます。図書館司書と学芸員の枠を置いていること自体が、二つの日本遺産を抱える市の姿を映しています。
人口3万人規模でこれだけの専門職を自前で置くということは、一人あたりが受け持つ守備範囲も相応に広くなります。(参考:備前市職員採用情報|市公式)
備前市の重点政策|二つの日本遺産と採用の設計
備前市がどこに人と時間を割いているかは、市が抱える資産と、採用で置いている職種、そして県が示す方向の三つを重ねると見えてきます。順に整理していきます。
日本遺産のまちとしての備前市
旧閑谷学校は、寛文11年(1671年)に藩主池田光政が庶民教育のために創建した学校で、現在は特別史跡に指定されています。2015年(平成27年)には「近世日本の教育遺産群」として日本遺産に認定されました。
備前焼のほうも「きっと恋する六古窯」として認定を受けています。二つとも、保存して終わりにはできない資産です。
修繕や管理の費用が続き、担い手が細れば技術も途切れます。文化財の分野を志望する人はもちろん、観光や地域振興を語る人も、この二つを起点に話を組み立てられます。
令和8年度の採用の設計から見えること
令和8年度【7月実施】の募集は、事務職(一般)10名程度、事務職(図書館司書)2名程度、保健師若干名、社会福祉士2名程度、技術職(土木・一般)5名程度という構成です。市はこの年度から試験回数を3回から2回にし、最終合格発表日が早くなると公表しています。
また、【7月実施】の他の試験区分との併願はできず、最終合格者は同年度に備前市職員任用委員会が実施する他の試験区分を受験できません。最終合格者は職種ごとに採用候補者名簿に登載され、名簿の有効期間は原則として令和10年3月31日までです。
受ける職種を先に決めきる必要がある設計だと理解しておきましょう。(出典:令和8年度備前市職員採用試験【7月実施】受験案内|備前市職員任用委員会)
県の重点戦略と備前市
岡山県は、令和7年度からの4年間を計画期間とする最上位計画「第4次晴れの国おかやま生き活きプラン」を策定しています。重点戦略は、Ⅰ結婚・子育ての希望がかなう社会の実現、Ⅱ夢を育む教育県岡山の推進、Ⅲ地域を支える産業の振興、Ⅳ安心で豊かさが実感できる地域の創造の4つで、少子化対策を新たな最重要課題に位置づけたのが今回の改定の特徴です。
計画は中山間地域における農山村の諸機能の弱体化や地域コミュニティの衰退にも触れており、備前市で仕事を考えるときの背景として押さえておく価値があります。(出典:第4次晴れの国おかやま生き活きプラン|令和7年度からの4年間)
POINT|資産の名前を並べても加点にはならない
備前焼と旧閑谷学校の名前を出せることと、そこから市の仕事を語れることは別です。関心のある分野を一つか二つ選び、「①いま何が起きているか → ②市はどうしたいのか → ③そのために何が動いているか → ④市だから担える部分はどこか → ⑤自分の経験のどこが効くか」の順で調べていきましょう。
悪い例「備前焼を生かした観光の仕事に携わりたいです」
改善例「日本遺産が二つある市ですが、訪れた方が日帰りで帰ってしまうともったいないと感じています。まずは窓口や現場で市民の方や事業者の方のお話を伺って、その上で、滞在の時間を伸ばす取り組みに関わっていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
下に挙げたのは、この記事で扱った事実がどこから来ているかを確かめられる資料です。備前市の資料と岡山県の資料が半分ずつ並ぶのは、この市の課題が県の条件と重なっているからです。
- 備前市職員採用試験の受験案内(最新年度・備前市職員任用委員会)と、市の職員採用情報のページ
- 旧閑谷学校と備前焼に関する市の紹介ページ
- 岡山県の被害想定と、平成30年7月豪雨の災害記録誌
- 第4次晴れの国おかやま生き活きプラン(岡山県の最上位計画)
目を通したら、「自分ならここに関わりたい」と思った箇所に印をつけておきましょう。その印が、面接で最初に出す一手になります。
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、備前市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。備前市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
備前市役所の面接の概要
ここからは、令和8年度【7月実施】の事務職(一般)を軸に、備前市役所の試験の組み立てと面接の位置づけを整理していきます。備前市の採用試験は人事委員会ではなく、備前市職員任用委員会が実施します。
備前市役所の試験の組み立て
この試験でまず驚くのは、種目の並び順です。集団活動等が第1次試験の段階で課され、択一式の筆記は第2次試験の職務基礎力試験として置かれています。
筆記で絞ってから人物をみる、という一般的な順序とは逆向きです。第1次に択一式の教養試験はなく、代わりに記述式の文章完成試験と作文試験が置かれています。
| 項目 | 内容(令和8年度【7月実施】・事務職(一般)) |
|---|---|
| 実施主体 | 備前市職員任用委員会(事務局は総務部総務課) |
| 試験の段階 | 第1次試験と第2次試験の2段階。令和8年度から試験回数を3回から2回に変更し、最終合格発表日が早くなると市が公表しています |
| 第1次試験 | 文章完成試験(記述式10分/人柄や興味、関心等についての検査)、作文試験(記述式60分/当日出題される課題についての作文試験)、適性検査(択一式60分/職務遂行に必要な適性についての検査)、集団活動等(集団討論やグループワーク等による課題発見試験) |
| 第2次試験 | 職務基礎力試験(択一式60分)と個別面接 |
| 職務基礎力試験の内容 | 論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解等を確認するための基礎的な出題 |
| 個別面接で評価される点 | 主として人物、見識、職務適性、対人能力等 |
| 集団形式 | 集団活動等(第1次試験) |
| 配点 | 令和8年度の受験案内には、配点・満点の記載はありません。最新の受験案内でご確認ください |
| 併願 | 【7月実施】の他の試験区分との併願はできません。最終合格者は、同年度に備前市職員任用委員会が実施する他の試験区分を受験できません |
| 募集職種と人数 | 事務職(一般)10名程度、事務職(図書館司書)2名程度、保健師若干名、社会福祉士2名程度、技術職(土木・一般)5名程度 |
| 合格後の扱い | 職種ごとに採用候補者名簿に登載され、名簿の有効期間は原則として令和10年3月31日まで |
この並びが意味するのは、第1次試験の日に、すでに人物を見る場が始まっているということです。作文は当日出題される課題について書きますし、集団活動等では課題発見の様子が見られます。
知識で下駄を履いておいて面接で挽回する、という組み立てが通用しません。第2次の職務基礎力試験も、暗記量よりは資料を読んで筋を通す力に寄った出題内容が示されています。
上記は、令和8年度【7月実施】の備前市職員採用試験受験案内にもとづく事務職(一般)の内容です。試験の種目・募集職種・人数は、実施回や年度によって異なります。受験の際は、必ずご自身の職種について備前市職員任用委員会が公表する最新の受験案内でご確認ください。
経験者枠は第2次試験の構成が違う
事務職(行政事務経験者)と技術職(土木・実務経験者)の枠では、第1次試験は文章完成試験・作文試験・適性検査・集団活動等という同じ4種目で共通しますが、第2次試験は個別面接のみで、職務基礎力試験は課されません。経験者枠を受ける場合、択一式の対策に割く時間はそのまま面接と作文へ振り向けられます。
どちらの枠で受けるかによって、準備の配分が変わります。
備前市役所が求める人材
備前市の職員採用情報のページと令和8年度【7月実施】の受験案内には、「求める職員像」にあたる定型の公表文言は置かれていません。そのかわり、個別面接で評価する点は明記されており、「主として人物、見識、職務適性、対人能力等」とされています。
ここに集団活動等と作文試験が加わるのが備前市の設計です。
事務職(一般)10名程度に対し、事務職(図書館司書)2名程度、社会福祉士2名程度、保健師は若干名。当研究会が注目しているのは、この人数の刻み方です。
人口3万人の市が専門職をそれぞれ一人か二人ずつ置くということは、その分野の相談がその人のところへ集まるということでもあります。何人かで分担して処理する体制ではないぶん、扱ったことのない事案を渡されたときに自分で調べて筋道をつけられるかどうかが、日々の仕事の進み方を左右します。
面接でそうした場面の話が出やすいのも、この構造と無関係ではないはずです。市域が258.13km²と広く、地域ごとの事情も一様ではありませんから、相手の背景を聞き取ったうえで説明を組み替える力は、備前市では応用ではなく基本の側に入ってきます。
備前市の試験は、第1次で作文と集団活動等、第2次で個別面接という順に進みます。書いたもの、グループで動いた姿、一対一で語る言葉。
この三つが同じ方向を向いているかが見られる並びです。だとすれば、準備の中身は経験を増やすことではなく、手持ちの一つの経験を作文でも、グループの場でも、面接でも出せる形に整えておくことになります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。備前市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までの道は、迷わずに来られましたか? | 第1次試験の日に集団活動等がある試験です。初対面の場でどんな話し方をする人かは、そこから見られています |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間との比較で止まらず、県境に接する3万人の市を選んだ理由まで言葉にできているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 第1次の文章完成試験は人柄や興味、関心等をみる検査です。そこで書いた自分と、面接で語る自分がずれていないか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も難しかった場面と、そこで何をしたかを教えてください | 集団活動等で示した課題の見つけ方と、過去の行動に一貫した型があるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことを、専門外の人にもわかるように説明してください | 相手の前提に合わせて説明を組み替えられるか。作文試験で問われる整理の力とも重なります |
| ⑥ 適性・将来 | 採用後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 職種を絞って採用する市なので、その職種の中でどこまで見えているかが問われます |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 職務基礎力試験でも国内外の社会情勢への理解が問われます。日頃どこまで見ているかが出る質問です |
もっとも、ここに並ぶ7つは、どの自治体を受けても形を変えて出てきます。準備の量で差がつく領域ではあっても、備前市を選んだ理由が伝わる領域ではありません。
それを担うのが、次の固有の問いです。
合否を分けるのは「備前市役所ならでは」の質問
備前市の場合、2問目は答えやすいようでいて差が出ます。魅力として挙げられるものが備前焼と旧閑谷学校にほぼ集中するため、同じ素材をどう料理したかが、そのまま準備の深さとして表に出るからです。
以下に、この2問へ向かうための事実と、その使い道を並べました。
| 質問テーマ | 知っておきたい備前市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 備前市は人口3万209人(令和8年1月1日現在)の市で、図書館司書や学芸員まで自前で採用している。消防は和気町との東備消防組合が担う | 職種の並びを引き合いに出し、市民との距離が近い場所で専門を持って働きたい、という自分側の軸を示します |
| 人口と年齢構成 | 65歳以上の割合は40.8%、75歳以上は25.8%で、いずれも岡山県全体を大きく上回る(令和8年1月1日現在) | 高齢化を課題として挙げるだけで止めず、市域258.13km²という広さと組み合わせて語ると具体性が出ます |
| 備前市の魅力 | 備前焼が「きっと恋する六古窯」、旧閑谷学校が「近世日本の教育遺産群」として日本遺産に認定されている。旧閑谷学校の創建は寛文11年(1671年) | 二つの資産を並べて終わりにせず、保存の費用と担い手という続く負担にも触れると、行政の目線が伝わります |
| 県境という立地 | 陸では兵庫県の赤穂市・上郡町・佐用町と接し、海上では姫路市や香川県の小豆島町・土庄町とも接する | 人の流れが県境で止まらない前提に立ち、圏域で考える施策の必要性に触れると視野の広さが出ます |
| 災害への備え | 平成30年7月豪雨では県内で県管理10河川16箇所の堤防が決壊し、県全体で住家被害18,005棟。県の被害想定では津波による建物全壊9,470棟が見込まれている | 海に面し高齢化率が4割を超える市という条件を置いたうえで、情報の届け方と避難の支援を分けて話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
備前市は「求める職員像」にあたる定型文を掲げていないため、ここでは選考の設計から評価の観点を読み取ります。第1次に記述式2種目と適性検査と集団活動等、第2次に択一式と個別面接。
いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 課題を見つける力 | 集団活動等は課題発見試験と位置づけられています。個別面接でも、状況の何を問題だと捉えたかが問われます | 過去の経験を語るとき、起きたことよりも先に「何がまずいと思ったか」を置く順序で話す練習をする |
| 書く力と整理する力 | 作文試験は当日出題される課題について書きます。面接でも、長い話を短くまとめ直せるかが見られます | 備前市の課題を一つ選び、400字程度で書いてから、それを1分で話し切る形に縮める往復をしておく |
| 人物と対人能力 | 個別面接では主として人物、見識、職務適性、対人能力等が評価されます | 意見が食い違った相手とどう折り合いをつけたかを、勝ち負けではない結末で語れるようにする |
| この市で働き続ける意思 | 職種を絞って採用し、併願も認めていない試験です。志望の固さは正面から確かめられます | 備前市でなければならない理由を、地縁の有無ではなく、関わりたい課題の側から言い切れるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。備前市では個別面接が第2次に一度置かれており、その一度で人物、見識、職務適性、対人能力等が評価されます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の受験案内で、志望する職種と試験の種目を確認する(併願ができない試験なので、職種は早めに決めきる)
- 第1次試験の作文に備え、備前市に関わるテーマで一本書いてみる。書いたものは面接で話す材料にもなる
- 高校・大学生活や職務経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイト・仕事から、話せる場面を1つずつ書き出す
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の前半に戻り、備前市の事実を2〜3個選んで、自分の関心とつなげて言えるようにする
- 声に出して練習する。集団活動等に備え、課題を切り分けて言葉にする練習を、人数のいる場面で一度は試しておく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の作文とステップ3の棚卸しを先に回してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、備前市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
備前市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度【7月実施】の事務職(一般)では、第1次試験の日に作文と集団活動等が置かれ、択一式の筆記は第2次に回ります。初日から自分の言葉と振る舞いが見られる試験だということです。
配点は受験案内に示されていませんが、この並び順そのものが、備前市が何を確かめたいのかを教えてくれます。市民の4人に1人が75歳以上で、市域は広く、県境の向こうとも人が行き来する。
そんな3万人の市で、二つの日本遺産をどう次に渡していくか。自分ならどの場面に立ちたいのかを決めておけば、作文でも集団活動等でも面接でも、同じ答えが出せます。