高島市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

高島市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官・自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ高島市消防本部なのか」「体力検査に向けてどう準備してきたか」といった、管轄の実情を踏まえているかを試す質問が想定されます。

びわ湖源流の郷と呼ばれる管内の地理や、令和8年度から刷新された試験制度を知っておくことで、他の消防本部と同じ一般論で終わらない受け答えがしやすくなります。20分という短い個人面接1回に評価が集約される試験だからこそ、事前準備の質の高さがそのまま結果に表れます。

この記事の内容を、自分のこれまでの経験と高島市消防本部の仕事との接点を考える材料に役立ててください。試験の構成が刷新されたばかりの本部だからこそ、事前の理解の深さがそのまま準備の差になります。

第1部|組織研究編

高島市消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは高島市消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 高島市消防本部は、高島市を単独で管轄する市直営の消防本部である。滋賀県や広域連合ではなく高島市の組織であり、消防職の採用も高島市が実施する職員採用試験の一区分「消防職(中級)」として行われている。
  • 組織は1本部2署2分遣所(消防本部、北部消防署とその朽木分遣所・マキノ救急分遣所、南部消防署)で構成され、職員数は令和7年4月1日現在で消防吏員103人(うち女性3人)である。消防本部には消防総務課・予防課・警防課・通信指令課の4課が置かれている。
  • 前身は湖西地域広域市町村圏事務組合が昭和47年に設置した「湖西広域消防本部」であり、平成17年の高島市発足に伴い現在の名称に改称された。組合消防としての歴史を引き継ぎつつ、現在は市の単独消防として運営されている。昭和47年9月の業務開始時は職員44名・1本部2署1分遣所で、平成17年の市発足時の消防職員定員は100名であった。
  • 管轄面積は琵琶湖を含めて693.05平方キロメートルと県内最大で、県面積のおよそ17%を占め、市域の72%が森林である。「びわ湖源流の郷」を称し、琵琶湖へ注ぐ水のおよそ3分の1を生み出す地域とされている。
  • 航空自衛隊饗庭野分屯基地・陸上自衛隊今津駐屯地とそれぞれ消火活動の相互支援協定を平成27年に締結しているほか、滋賀県内6消防(局)本部との広域相互応援協定、京都中部広域消防組合との相互応援協定も結んでいる。

高島市消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「高島市消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下の表には、市域の広さと吏員数、出動件数の内訳を集めています。数字の桁の違いから、日々の活動の重心がどこにあるかが見えてきます。まずは全体の像を掴んでおきましょう。

項目内容
管内人口44,473人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)
高齢化率37.6%(75歳以上率22.1%)
管轄面積693.05km²(琵琶湖を含む・県内最大)
消防署所1本部2署2分遣所(北部消防署〈朽木分遣所・マキノ救急分遣所〉、南部消防署)
消防吏員数103人(うち女性3人)※令和7年4月1日現在
火災出動件数21件(令和6年中)
救急出動件数3,280件(令和6年中)
救助出動件数52件(令和6年中)

管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在、消防吏員数は総務省消防庁が公表する全国の消防本部データ(令和7年4月1日現在)、出動件数は同資料の令和6年中の値によります。消防署所の構成は高島市公式サイトの記載によります。

数字から考えられる高島市消防の特徴

まず確かめておきたいのは、火災21件に対して救急が3,280件という桁の違いです。少人数の当直体制で、消火だけでなく救急対応が活動量の大部分を占める実態を、業務理解の前提として押さえておきましょう。

高島市の高齢化率は37.6%(75歳以上率22.1%、令和8年1月1日現在の住民基本台帳)です。滋賀県全体の高齢化率は27.5%(令和7年7月1日現在の県推計人口)で、基準となる統計と時点は異なるものの、市の水準が県より大きく高いことは押さえておきましょう(出典:滋賀県の推計人口|令和7年7月1日現在)。

高齢化の進み具合は救急需要に直結するため、出動件数の話をこの人口構成と結び付けられると説明の見通しがよくなります。103人という体制で年間3千件を超える救急に対応している実態も、業務の密度を語るうえで押さえておきたい事実です。

「高島市では救急の出動が年間3千件を超える一方で、火災は年間20件ほどと聞きました。高齢化率が4割近くまで上がっていることを踏まえると、救急への対応力を保ちながら、予防や地域との連携にも力を入れていく必要があるのではと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 高島市は琵琶湖の西部に位置し、東部は琵琶湖に、南西部は比良山地を境に大津市および京都府に、北西部は饗庭野・野坂山地を境に福井県に接する。
  • 県内最大となる693.05km²の市域のうち72%が森林で、県面積の約17%を占める。平成17年に5町1村(マキノ町・今津町・朽木村・安曇川町・高島町・新旭町)が合併して発足した。
  • 日本海側に近く冬季の積雪が多い日本海側気候で、秋には「高島しぐれ」と呼ばれる降雨が続く。市内では旧マキノ町・旧今津町・旧朽木村の区域が豪雪地帯に指定されている。(出典:滋賀県の雪崩災害・豪雪地帯|滋賀県砂防課)
  • 陸上自衛隊今津駐屯地の饗庭野演習場、航空自衛隊饗庭野分屯基地が立地し、いずれも消防本部と消火活動の相互支援協定を結んでいる。

つまり高島市消防本部は、県内最大の広大な森林地域と、琵琶湖の水辺という二つの環境を一つの本部でカバーしていると整理できます。山間部の分遣所と湖岸の署をどう結ぶかという視点は、面接での組織理解を裏付ける材料になり、他の受験生との差別化にもつながります。

琵琶湖西岸断層帯地震のリスク

滋賀県の地震被害想定では、琵琶湖西岸断層帯(M7.8)や花折断層帯(M7.4)など内陸活断層6ケースと南海トラフ巨大地震が想定対象とされています。断層帯の名称や規模を丸暗記する必要はありませんが、管内が想定の対象になっているという事実は押さえておきましょう。

このうち高島市を中心地域の一つとする琵琶湖西岸断層帯地震(大津・南部・高島地域中心、冬夕方のケース2)では、想定最大震度7、建物全壊38,504棟・半壊83,856棟、死者1,992人・負傷者17,199人、避難者は249,534人にのぼるとされています。数字の大きさよりも、自分たちの管内が想定の中心地域に含まれているという点を押さえておくと、備えの話につなげやすくなります。(出典:滋賀県地震被害想定 概要版|平成26年3月)

水難救助と豪雪への備え

令和6年中の救助活動52件のうち水難事故は13件、救急の事故種別では水難が18件と、前年の11件から増えています。

琵琶湖という広大な水域を抱える高島市ならではの活動領域であり、水難救助の技術と体制づくりは他の内陸の本部にはない特色といえます。加えて豪雪地帯を抱えることから、積雪期の出動体制も年間を通じた課題の一つです。

高島市の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、高島市消防本部が向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

救急需要と高齢化への対応

令和6年中の全国の救急出動件数は771万8,380件で、昭和38年に統計を取り始めて以来の最多となりました。

高島市の3,280件(令和6年中)もこの全国的な増加の延長線上にあり、その背景には75歳以上率22.1%という人口構成があります。少人数の署所体制でこの需要にどう応えるかは、受験者としても具体的にイメージしておきたい論点です。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)

大規模災害への備え

琵琶湖西岸断層帯地震の想定は前章で触れたとおりで、高島市はその中心地域の一つに位置づけられています。大規模災害時の応援については、緊急消防援助隊に全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が登録され、都道府県の境を越えて部隊が派遣される仕組みが整えられています。

高島市消防本部も滋賀県内6消防(局)本部との広域相互応援協定を結んでおり、単独では対応しきれない事態への備えを地域ぐるみで固めています。(出典:令和6年版 消防白書)

水難救助体制の維持

琵琶湖を管轄に抱える以上、水難救助は避けて通れない重要な業務です。令和6年中の救急出動を事故種別で見ると、水難は前年の11件から18件へ増えています。

湖岸の観光利用が広がるほど、迅速な救助体制の維持が求められます。少人数の当直チームがこの専門性をどう継承していくかは、地域の実情に即した重要な課題です。

人材確保と女性消防吏員の活躍

消防吏員103人のうち女性は3人で、割合は約2.9%にとどまります。

全国の女性消防吏員は令和7年4月1日現在で6,386人、消防吏員168,230人の約3.8%にとどまり、国は「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げています。吏員が百人規模の本部では採用一人が構成比に及ぼす影響も大きく、性別にかかわらず人材の裾野を広げる視点が求められます。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

重点方針|地域と結ぶ消防体制

高島市消防本部が単独で公表する年次の運営方針や中長期計画は確認できません(2026年9月時点・当研究会調べ)。前身の湖西広域消防本部の時代から数えて半世紀以上の歴史を持つ組織ですが、現行の重点方針を独自の文書として明確に示す形は取られていません。

そこで手がかりになるのが、市が消防年報で公表している組織の形と、外部の機関と結んだ応援の枠組みです。消防本部に消防総務課・予防課・警防課・通信指令課の4課を置き、北部・南部の2消防署と2つの分遣所で県内最大の市域をカバーする体制の組み方に、この本部の運営の考え方が表れています。(出典:令和7年版消防年報 第53号|高島市消防本部)

相互応援の枠組みで地域を支える体制

高島市消防本部は、自衛隊2施設との消火活動相互支援協定(航空自衛隊饗庭野分屯基地・陸上自衛隊今津駐屯地、いずれも平成27年締結)に加え、滋賀県内6消防(局)本部との広域相互応援協定、京都中部広域消防組合との相互応援協定、警察との相互応援協定を重ねて結んでいます。

単独の消防本部として規模は大きくないものの、周辺の組織と結び合う体制づくりを重ねてきた点が、この本部の運営の特徴といえます。こうした協定の一つひとつが、少人数の本部を実際に支える現実的な備えになっています。(出典:高島市消防本部の組織|高島市)

POINT|協定の名称を覚えることが目的ではない

相互応援協定の名称をすべて覚えることが組織研究の目的ではありません。関心のある取組を一つ選び、なぜその協定が必要なのか、高島市の地理的な事情とどうつながっているのかを、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

悪い例「自然が好きなので、高島市消防本部を志望します」

改善例「山間部でのアルバイトで、限られた人数で連携して仕事を進める経験をしてきました。高島市消防本部は森林や水域が広く、少人数のチームで幅広い状況に対応する場面が多いと感じていますので、そこで培った連携の姿勢を生かしていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

高島市消防本部を受けるなら、受験資格を確かめる資料と、琵琶湖を抱える地域の姿を知る資料の両方が要ります。次の4点を押さえておきましょう。

  • 高島市職員採用試験(消防職)の受験案内
  • 高島市消防本部の消防年報(出動件数と組織の概要)
  • 総務省消防庁が公表する全国消防本部のデータ
  • 滋賀県地震被害想定 概要版

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、高島市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しております。高島市消防本部の採用面接で実際に問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

高島市消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

高島市消防本部の面接の概要

ここからは、高島市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

高島市消防本部の面接の流れ

高島市消防職は、市が実施する職員採用試験の一区分「消防職(中級)」として募集されます。令和8年度第1期試験から、選考の構成が大きく見直されました。

第1次試験の筆記は「事務能力検査」のみとなり、これまで行われていた適性検査・教養試験・記述試験は廃止されました(消防職の第1次試験では、これとは別に体力検査が課されます)。全職種で3次試験も廃止され、2次試験までで合否が判定される方式になりました。

項目内容(令和8年度第1期試験・消防職〈中級〉)
試験の段階2次試験制。第1次=事務能力検査+体力検査、第2次=個人面接試験
第1次試験(能力検査)事務能力検査(テストセンター方式・約50分)
第1次試験(体力検査)新体力テスト(文部科学省)に準拠。検査当日に誓約書の提出が必要で、未受験者は以後の試験を受験できません
面接の種類個人面接試験1回(約20分)。エントリーシートに記述された内容について面接官が質問する形式
消防職に課されない種目一般行政職等に課される「プレゼン型面接試験」は、消防職には課されません

注目してほしいのは、教養試験・記述試験・適性検査がすべて廃止されたという変更の大きさです。筆記の負担が軽くなった分、限られた事務能力検査と20分の個人面接1回に評価が集約される構造になったと考えられます。

体力検査は文部科学省の新体力テストに準拠する形で実施され、検査当日には誓約書の提出が求められます。未受験の場合は以後の試験を受けられなくなるため、当日までの体調管理も試験の一部だと捉えておく必要があります。(参考:高島市職員採用試験(消防職)受験案内|令和8年度第1期)

上記の試験構成は、高島市が公表する令和8年度第1期試験の消防職(中級)のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

高島市消防本部が求める人材

高島市消防本部は、採用向けの「求める人物像」を明文では公表していません(2026年9月時点・当研究会調べ)。一般に、高島市消防本部のような吏員百人前後の単独消防本部では、署所の数が少なく部門間の距離が近いため、勤務を重ねるうちに消火・救急・予防・総務といった複数の職務を幅広く担う場面が出てくると考えられます。

一つの分野を突き詰める志向だけでなく、配置が変わるたびに新しい業務を覚え直していける適応力が評価につながりやすいでしょう。高島市消防本部の場合は、1本部2署2分遣所という小さな組織のなかで、山間部の分遣所と湖岸の署をまたいだ連携が日常的に求められる点が、その具体像といえます。

水難救助という専門性を持ちながらも、限られた人員で幅広い業務を回していく姿勢も、この本部で働くうえで欠かせない視点だといえます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。高島市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやってここまで来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ高島市消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と高島という土地を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴今の進路を選んだ理由を教えてください進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来体力検査に向けてどんな準備をしていますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

7つの枠組みは、大きな本部でも高島市消防本部のような小規模な本部でもおおむね共通します。ここから先、高島市を受ける理由まで踏み込めるかどうかは、次の固有質問で決まります。

合否を分けるのは高島市消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「なぜ高島市消防本部なのですか?」

前者は近い職業との違いをどこまで整理できているか、後者はこの土地を選んだ理由をどれだけ具体的に語れるかを見る質問です。20分という限られた面接時間のなかで的確に答えるには、事前の準備が欠かせません。

一度きりの面接だからこそ、答えの精度の高さがそのまま評価に直結します。面接で使いやすい「高島市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい高島市の事実答え方のヒント
地理・管轄の広さ県内最大の693.05km²、うち72%が森林で「びわ湖源流の郷」(詳細は第1部1章・3章)広い管轄をどう分担して守っているかという視点で語ると、組織理解の深さが伝わります
水難救助令和6年中の水難事故は救助・救急ともに前年から増加傾向(詳細は第1部3章)琵琶湖という水域を抱える本部ならではの専門性として位置づけると具体性が増します
大規模災害琵琶湖西岸断層帯地震で高島市が想定の中心地域の一つ、最大震度7(詳細は第1部3章)被害の数字だけでなく、周辺本部との相互応援協定にまで触れると理解の厚みが出ます
救急需要と高齢化火災21件に対し救急3,280件、高齢化率37.6%(詳細は第1部2章・4章)件数の桁の違いを高齢化の進行と結び付けて語れると説得力が増します
試験制度の刷新令和8年度第1期から2次試験制へ簡素化、個人面接1回20分(詳細は第2部1章)限られた面接時間の重みを理解したうえで臨む姿勢を示すと、準備の深さが伝わります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。表にある数字や年号は、そのまま暗唱するのではなく、自分の答えを裏付ける材料として使ってください。

想定される評価の観点

高島市は消防職(中級)について、試験の段階と種目は公表していますが、各段階の配点までは明らかにしていません。第1次が事務能力検査と体力検査、第2次が個人面接1回という構成から読み取れるのは、短い準備期間の中で人物像を一度の面接で確かめる、密度の高い構造だという点です。

一般論として知っておくと役立つのが、公務員の採用面接で広く用いられるコンピテンシー評価、すなわち過去の行動の事実から入職後の再現性を確かめる考え方です。高島市が評価方法として明示しているわけではありませんが、エントリーシートに基づく20分の面接で深掘りを受ける場面では、この見方が支えになります。

事務能力検査と体力検査という客観的な基準に加え、面接で人物面を見極める構成だと理解しておきましょう。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
状況への向き合い方限られた人数・限られた時間の中で、自分の役割を果たした経験があるか高島市消防本部は少人数の当直体制です。役割分担のなかで自分がどう動いたかを語れる出来事を選ぶ
幅広い対応力専門分野に閉じず、必要に応じて別の役割も引き受けた経験があるか1本部2署2分遣所という小さな組織では持ち場が入れ替わる場面があります。柔軟に対応した経験を用意しておく
地域とのつながり年齢や立場の違う相手と、地域の中で関わった経験があるか豪雪地帯や水域を含む広い管内では住民との距離が近くなります。地域と関わった具体的な場面を思い出しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。高島市消防本部のように面接が20分1回に絞られている試験ではなおさら、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。面接時間が限られているからこそ、要点を絞って話す練習も並行して進めておくと安心です。

本番までの準備6ステップ

ここまで整理してきた材料を、当日までに手を動かす順番へ並べ替えておきます。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、事務能力検査の出題範囲と体力検査の基準(新体力テスト準拠)を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、少人数で役割を分担した具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力検査の当日提出が必要な誓約書の内容も事前に確認しておく

体力検査は文部科学省の新体力テストに準拠します。特別な訓練を積んでいなくても、日頃の運動習慣を整えておくことで対応しやすくなります。

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で高島の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。20分という短い面接時間だからこそ、優先順位をつけた準備が効いてきます。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、高島市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

令和8年度から選考が2次試験制へと簡素化され、個人面接の比重が実質的に増した高島市消防本部だからこそ、こうした教材を使った準備が力を発揮します。限られた回数の面接でどれだけ自分を表現できるかが、これまで以上に問われる試験になっています。

高島市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。限られた準備期間を効率よく使いたいと考えている方には特に役立つはずです。

高島市消防本部の想定問答集を見る

さいごに

高島市消防本部は、県内最大の面積を誇る森林と琵琶湖を一つの管轄で受け持つ、103人体制の単独消防本部です。令和8年度第1期試験からは選考の構成が大きく簡素化され、事務能力検査と体力検査、そして20分の個人面接1回に評価が集約される形になりました。

試験の負担が軽くなった一方で、限られた面接の中で自分の言葉をどれだけ具体的に語れるかが、これまで以上に重要になっています。びわ湖源流の郷と呼ばれる管内の広さと、水難救助という特色ある業務を踏まえたうえで、自分自身の経験のどこが生かせるのかを言葉にしていってください。

自衛隊や近隣本部との協定に支えられた小さな組織だからこそ、一人ひとりが担う役割の重みも大きくなります。準備を一つずつ丁寧に積み重ね、当日に臨んでいただければと思います。